特許第5860181号(P5860181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5860181転覆時における乗員の垂直方向及び斜め方向の運動に対するカーテンエアバッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5860181
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】転覆時における乗員の垂直方向及び斜め方向の運動に対するカーテンエアバッグ
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/213 20110101AFI20160202BHJP
【FI】
   B60R21/213
【請求項の数】18
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-85967(P2015-85967)
(22)【出願日】2015年4月20日
(65)【公開番号】特開2016-3006(P2016-3006A)
(43)【公開日】2016年1月12日
【審査請求日】2015年7月7日
(31)【優先権主張番号】14/309,411
(32)【優先日】2014年6月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】マーク クローサー
(72)【発明者】
【氏名】パラニアッパン パラニアッパン
【審査官】 永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009040641(DE,A1)
【文献】 特表2012−511458(JP,A)
【文献】 特開2015−020508(JP,A)
【文献】 特開2004−249845(JP,A)
【文献】 特開2003−335203(JP,A)
【文献】 特開平03−276844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイド・チャンバと、
ルーフ・チャンバと、
前記サイド・チャンバ及び前記ルーフ・チャンバとは別体的なコーナー・チャンバであって、当該サイドカーテンルーフエアバッグが展開位置に在るときに前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間に配置されるというコーナー・チャンバと、
前記コーナー・チャンバを横切って前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間に延在する係留要素であって、当該サイドカーテンルーフエアバッグが前記展開位置に在るときに前記コーナー・チャンバの所望形状を維持するという係留要素と、
を備える、自動車のためのサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項2】
前記コーナー・チャンバは、前記サイド・チャンバ及び前記ルーフ・チャンバから、コーナー・チャンバ壁部を介して分離される、請求項1に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項3】
前記コーナー・チャンバは、当該サイドカーテンルーフエアバッグが前記展開位置に在るときに前記サイド・チャンバ及び前記ルーフ・チャンバ内の内部圧力とは異なる内部圧力を有する、請求項2に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項4】
前記コーナー・チャンバの内部圧力は、サイド・チャンバの内部圧力より少なくとも1.5倍以上大きい、請求項3に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項5】
前記係留要素は、前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間において径方向に延在する、請求項4に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項6】
前記係留要素は複数の係留要素であり、該複数の係留要素の各々は、前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間において径方向に延在する、請求項5に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項7】
前記係留要素は、長手方向において当該サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも50%だけ延在する単一の係留要素である、請求項5に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項8】
前記係留要素は、前記長手方向において当該サイドカーテンルーフエアバッグの前記丈の前記少なくとも50%に沿い、前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間に連続的な表面を形成する、請求項7に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項9】
当該サイドカーテンルーフエアバッグは、当該サイドカーテンルーフエアバッグが自動車内に設置されたときに、前記自動車の最前側のピラーから最後側のピラーにかけて延在するように構成される、請求項8に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項10】
前記コーナー・チャンバは、コーナー・チャンバ壁部内の複数の通孔を介し、前記サイド・チャンバ及び前記ルーフ・チャンバと流体連通する、請求項1に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項11】
前記ルーフ・チャンバは、当該サイドカーテンルーフエアバッグが自動車内に設置され、且つ、当該サイドカーテンルーフエアバッグが前記展開位置に在るときに、前記自動車の通常位置に着座している乗員に対し、少なくとも、該乗員の頭部の内方側面の垂直上方の位置まで内方に延在するように構成される、請求項1に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項12】
前記ルーフ・チャンバは、当該サイドカーテンルーフエアバッグが自動車内に設置され、且つ、当該サイドカーテンルーフエアバッグが前記展開位置に在るときに、前記自動車の中心線まで延在するように構成される、請求項11に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項13】
当該サイドカーテンルーフエアバッグが自動車内に設置されたときに、当該サイドカーテンルーフエアバッグの展開の間に前記ルーフ・チャンバを内方に案内するジャンプ・ブラケットを更に備える、請求項12に記載のサイドカーテンルーフエアバッグ。
【請求項14】
サイドカーテンエアバッグ付き自動車であって、
フレームと、
前記フレームに対して取付けられたサイドカーテンルーフエアバッグであって、該サイドカーテンルーフエアバッグは、サイド・チャンバと、ルーフ・チャンバと、該サイドカーテンルーフエアバッグが展開位置に在るときに前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間に配置されるコーナー・チャンバとを有するというサイドカーテンルーフエアバッグと、
前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間にて径方向に延在する係留要素であって、前記サイドカーテンルーフエアバッグが展開されたときに前記コーナー・チャンバの所望形状を維持するという係留要素と、
を備える、自動車。
【請求項15】
前記コーナー・チャンバは、コーナー・チャンバ壁部を介し、前記サイド・チャンバ及び前記ルーフ・チャンバから分離される、請求項14に記載の自動車。
【請求項16】
前記係留要素は複数の係留要素であり、該複数の係留要素の各々は、前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間において径方向に延在する、請求項15に記載の自動車。
【請求項17】
前記係留要素は、長手方向において前記サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも50%だけ延在し且つ前記サイド・チャンバと前記ルーフ・チャンバとの間に連続的な表面を形成する単一の係留要素である、請求項16に記載の自動車。
【請求項18】
前記コーナー・チャンバは、前記コーナー・チャンバ壁部内の複数の通気開孔を介し、前記サイド・チャンバ及び前記ルーフ・チャンバと流体連通する、請求項17に記載の自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイドカーテンルーフエアバッグ(side curtain-roof airbag)に関し、特に、3つの別体的なチャンバを有するサイドカーテンルーフエアバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグを備えた自動車は知られている。これに加え、内側もしくは内部の衝撃を伴う衝突から乗員を保護すると共に、車両の横窓及びピラーと接触するサイドカーテンエアバッグも知られている。斯かるエアバッグは一般的に、カーテンエアバッグ、サイドカーテンエアバッグ、または、カーテンシールドエアバッグと称される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
同様に、転覆に対する保護機能を向上させるべく改良されたサイドカーテンエアバッグは好適であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
サイドカーテン/チャンバ、ルーフ・チャンバ、及び、コーナー・チャンバを備えた、自動車のためのエアバッグ(本明細書で以下においては、サイドカーテンルーフエアバッグと称される)が提供される。上記コーナー・チャンバは、上記サイド及びルーフの各チャンバの間の中央に配置されたチャンバであって、車両のルーフ・レールから車両の内部内へと内方に延在するというチャンバである。これに加え、上記コーナー・チャンバは、上記サイドカーテンルーフエアバッグが展開位置に在るときに、上記サイド及びルーフの各チャンバから分離される。本発明の目的に対し、“展開位置”という語句は、当業者に公知の如く、自身が完全に膨張された位置もしくは配向に在るエアバッグを指している。更に、自身の展開位置に在る上記エアバッグは、該エアバッグが“展開されている”と称され得ることは理解される。
【0005】
上記コーナー・チャンバは、上記サイド及びルーフの各チャンバから、少なくとも一つのチャンバ壁部を介して分離される。同様に、幾つかの場合、上記少なくとも一つのチャンバ壁部は、上記コーナー・チャンバと上記サイド及び/またはルーフ・チャンバとの間で気体が制御された様式で通過することを許容する複数の通孔を有する。他の場合、上記少なくとも一つのコーナー・チャンバ壁部は何らの通孔を有さず、且つ、気体は、少なくとも一つのインフレータにより上記コーナー・チャンバに対して直接的に供給される。
【0006】
例えば、一実施形態において、上記少なくとも一つのチャンバ壁部は何らの通孔を有さず、且つ、上記サイドカーテンルーフエアバッグは、別体的なインフレータ、すなわち、サイド、ルーフ及びコーナーの各チャンバの夫々に対して気体を供給すべく専用とされた3つのインフレータを有する。別実施形態において、上記少なくとも一つのチャンバ壁部は何らの通孔を有さず、且つ、上記サイドカーテンルーフエアバッグは、上記サイド・チャンバに対して気体を供給すべく専用とされた第1インフレータ、及び、上記ルーフ及びコーナーの各チャンバに対して気体を供給する第2インフレータを有する。更に別の実施形態において、上記サイド・チャンバと上記コーナー・チャンバとの間のチャンバ壁部は何らの通孔を有さず、且つ、単一のインフレータが、上記サイド、ルーフ及びコーナーの各チャンバに対して気体を供給する。
【0007】
上記に加え、上記サイドカーテンルーフエアバッグは、上記コーナー・チャンバが、該サイドカーテンルーフエアバッグが展開されたときに上記サイド・チャンバ及び/またはルーフ・チャンバ内の内部圧力とは異なる内部圧力を有しても良く、有さなくても良い様に設計かつ製造される。例えば、サイド・チャンバ内の圧力(P1)、ルーフ・チャンバ内の圧力(P2)、及び、コーナー・チャンバ内の圧力(P3)は、エアバッグが展開されるときに以下の関係に従い得る:P3>P1及びP3>P2;P3>P1及びP3=P2;P3>P1及びP3<P2;または、P3=P1=P2
【0008】
上記サイドカーテンルーフエアバッグはまた、上記サイド及びルーフの各チャンバの間に延在しまたは掛けわたる係留要素を有することから、上記サイドカーテンルーフエアバッグが上記展開位置に在るときに上記コーナー・チャンバが所望形状を維持することが確実とされる。上記係留要素はまた、上記サイド、ルーフ及び/またはコーナーの各チャンバ間の貫通も阻止する。幾つかの場合、上記係留要素は、上記コーナー・チャンバを横切って上記サイド及びルーフの各チャンバの間に掛けわたる複数の係留要素である。他の場合、上記係留要素は、長手方向において上記サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも50%だけ延在する単一の係留要素である。その故に、上記係留要素は、上記エアバッグの全長に沿い、上記サイド及びルーフの各チャンバ間に連続的な表面を形成しても良く、しなくても良い。
【0009】
上記サイドカーテンルーフエアバッグは、上記車両の最前側のピラーから最後側のピラーにかけて延在し得る。例えば、上記サイドカーテンルーフエアバッグは、セダン車両のAピラーからCピラーまで、または、代替例においては、SUV及び/またはバン型車両に対するAピラーからDピラーまで、延在し得る。
【0010】
上記サイドカーテンルーフエアバッグの上記ルーフ・チャンバは、該エアバッグが展開されたとき、自動車内で内側方向に延伸する。同様に、上記ルーフ・チャンバは、上記車両の内部の自動車座席上で通常位置に着座している乗員に対し、少なくとも、該乗員の頭部の内方側面の垂直上方である横方向位置まで延伸し得る。代替例において、上記ルーフ・チャンバは、車両内部の中心線まで延伸し得る。
【0011】
上記サイドカーテンルーフエアバッグには、該エアバッグの展開を支援する他の係留要素、ブラケットなども含まれ得る。例えば、ジャンプ・ブラケットが含まれ得ると共に、該ジャンプ・ブラケットは、上記サイドカーテンルーフエアバッグが展開する間に、上記ルーフ・チャンバを内側方向に案内する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る一対のサイドカーテンルーフエアバッグの配置箇所を、一方のエアバッグを展開位置として示す斜視図である。
図2図1に示された断面2−2による破断端面図である。
図3】本発明の実施形態に係るサイドカーテンルーフエアバッグの展開位置における破断端面図である。
図4】本発明の実施形態に係るサイドカーテンルーフエアバッグの展開位置における斜視図である。
図5】本発明の別実施形態に係るサイドカーテンルーフエアバッグの展開位置における斜視図である。
図6】本発明の更なる別実施形態に係るサイドカーテンルーフエアバッグの展開位置における斜視図である。
図7】本発明の更なる別実施形態に係るサイドカーテンルーフエアバッグの展開位置における斜視図である。
図8】本発明の実施形態に係る単一の係留要素を示すサイドカーテンルーフエアバッグの側面図である。
図9】本発明の別実施形態に係る複数の係留要素を示すサイドカーテンルーフエアバッグの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
サイド部分及びルーフ部分を有するカーテンエアバッグが提供される。該エアバッグはまた、上記サイド部分と上記ルーフ部分との間に配置されたコーナー部分も有する。更に詳細には、上記サイド部分はサイド・チャンバの形態であり、上記ルーフ部分はルーフ・チャンバの形態であり、且つ、該サイド及びルーフの各チャンバ間にはコーナー・チャンバが存在する。同様に、上記コーナー・チャンバは、上記サイド及びルーフの各チャンバから別体的とされると共に、該各チャンバに対し、少なくとも一つのチャンバ壁部内の複数の開孔もしくは通孔を介し、流体連通されても良く、されなくても良い。
【0014】
上記サイドカーテンルーフエアバッグは、当業者に公知である如く該エアバッグ内へと気体を放出すべく作用可能な一つ以上のアクチュエータを含む。これに加え、上記サイドカーテンルーフエアバッグの設計及び製造は、上記コーナー・チャンバが、該エアバッグが展開されたときに上記サイド・チャンバ及び/またはルーフ・チャンバ内の内部圧力とは異なる内部圧力を有し得る如きである。
【0015】
上記サイドカーテンルーフエアバッグは、(1)該サイドカーテンルーフエアバッグが適切な様式で展開し、(2)該エアバッグが展開されたときに上記コーナー・チャンバが所望形状を維持し、且つ、(3)サイド、ルーフ及び/またはコーナーの各チャンバ間を物体が貫通しない、ということを確実にするために、上記サイド及びルーフの各チャンバを横切ってまたは各チャンバ間に延在し/掛けわたる係留要素(tether)も含む。該係留要素は、当該複数の係留要素の各々が、上記サイド及びルーフの各チャンバ間において上記コーナー・チャンバを横切って掛けわたる、という複数の係留要素であり得る。代替例において、上記係留要素は、上記サイドカーテンルーフエアバッグの丈に沿い長手方向に延在する単一の係留要素である。例えば、上記サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも50%だけ、単一の係留要素が延在し得る。他の例は、上記単一の係留要素が上記サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも75%だけ延在することを許容する。更なる他の実施形態において、上記エアバッグは、該サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも25%だけ延在する第1係留要素と、該サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも25%だけ延在する第2係留要素とを有する。更に別の他の例において、上記エアバッグは、各々が上記サイドカーテンルーフエアバッグの丈の20〜30%だけ延在する3つの係留要素を有する。
【0016】
上記の一つ以上の係留要素は、上記サイド及びルーフの各チャンバ間に連続的な表面を提供し得る。その故に、例えば、上記の一つ以上の係留要素は、上記サイドカーテンルーフエアバッグの丈の少なくとも50%に沿い、上記サイド及びルーフの各チャンバ間に連続的な表面を提供し得る。
【0017】
当然乍ら、上記ルーフ・チャンバは、展開するときに、且つ、上記エアバッグが展開位置に在るときに、自動車のサイド部分もしくはルーフ・レールから該車両の中心線に向けて内側方向に延伸する。上記ルーフ・チャンバは、上記車両の中心線まで、または、代替例において該チャンバは、少なくとも、展開されたエアバッグの側で自動車において通常位置に着座している乗員の頭部の中心寄り縁部の直上である位置まで、内方へと延伸し得る。この様にして、本明細書中に開示されたサイドカーテンルーフエアバッグは、車両の横窓、ピラー、サイド・レール、及び、ルーフに関し、対象者に対する保護を提供する。これに加え、本明細書中に開示された上記サイドカーテンルーフエアバッグ、特に上記コーナー・チャンバは、車両のサイド部分及びルーフ部分に付随するルーフ・レールもしくはコーナー部分に対する防護を提供する。上記コーナー・チャンバによるルーフ・レールの被覆は、車両の転覆の事象において特に有用であることは理解される。
【0018】
次に図1に移ると、参照番号10にて概略的に自動車が示され、該自動車10は、アクチュエータ201を備えたサイドカーテンルーフエアバッグ200を有している。車両10は、Aピラー100、Bピラー110及びCピラー120を含み得る。同様に、上記車両は、ルーフ130と、Aピラー100からBピラー110及びCピラー120まで延在するルーフ・レール140とを有する。同様に、当業者に公知である如く、車両10は横窓Wを有する。
【0019】
次に図2を参照すると、図1に示されて2−2とラベル表示された断面の破断端面図が提供される。該断面図は、サイドカーテンルーフエアバッグ200が取付けられたBピラー110及びルーフ・レール140を示している。Bピラー110は、(本明細書で以下においては単に“Bピラー・インナ”と称される)Bピラー・インナ部材102、及び、内側トリム104を有する。ピラー部材102と内側トリムとの間には、トリム取付けブラケット106が在る。ルーフ140は、自身に対して取付けられたルーフボウ132を有し得ると共に、(本明細書で以下においては単に“Bピラー・アウタ”と称される)Bピラー・アウタ139も同様であり得る。ルーフ・レール140に対しては、当業者に公知であるブラケット136、締結具142などの如き複数の構造的な補強部材が取付けられ得る。その故に、ルーフ・レール140は、付随する及び/または近傍である自動車のルーフ、横窓、トリムなどよりも強力及び/または堅固であることは理解される。ルーフ・レール140は、接着剤、溶接、リベット、及び、図中に示された如き螺条付き締結具142などの当業者に公知である任意の種類の単一もしくは複数の締結具を用いて、Bピラー・インナ102、ルーフボウ132、及び、ブラケット136を伴い得ることも理解される。
【0020】
サイドカーテンルーフエアバッグ200の展開を支援するジャンプ・ブラケット134の如き他の構造部材が含まれ得る。同様に示されるのは、カーテンエアバッグ200を視界から覆い隠しまたは隠蔽するヘッドライナ138である。
【0021】
図3を参照すると、本発明の一実施形態に対する展開位置におけるサイドカーテンルーフエアバッグ200の破断端面図が示される。図中に示された如く、エアバッグ200は、ルーフ・レール140から車両10の内部の側面に沿い下方向に延伸するサイド・チャンバ202(別名、サイドバッグ)を有する。同様に、エアバッグ200は、上記レールから上記ルーフに沿い車両の中心線230に向かい内側方向に延伸するルーフ・チャンバ204(別名、ルーフバッグ)を有する。サイド・チャンバ202とルーフ・チャンバ204との間には、コーナー・チャンバ206(別名、コーナーバッグ)が在る。コーナー・チャンバ206は、チャンバ壁部208を介して、サイド・チャンバ202及びルーフ・チャンバ204から分離される。これに加え、コーナー・チャンバ206は、ルーフ・レール140、及び、その複数の構造的な補強部材の近傍であり、且つ/又は、それらに対して隣接する。
【0022】
コーナー・チャンバ206は自身内に、サイド・チャンバ202内の内部圧力P1及び/またはルーフ・チャンバ204内の内部圧力P2とは異なり得る内部圧力P3を有するが、このことは必須ではない。例えば、サイド・チャンバ内の圧力(P1)、ルーフ・チャンバ内の圧力(P2)、及び、コーナー・チャンバ内の圧力(P3)は、エアバッグが展開されるときに以下の関係に従い得る:P3>P1及びP3>P2;P3>P1及びP3=P2;P3>P1及びP3<P2;または、P3=P1=P2。同様に、例示目的でのみ、一実施形態は、P3≒1.5P1を許容し得、または、代替例においては、P3≒2.0P1を許容し得る。
【0023】
サイドカーテンルーフエアバッグ200は、コーナー・チャンバ206を横切ってサイド・チャンバ202とルーフ・チャンバ204との間に掛けわたる係留要素240を有する。該係留要素240は、接着剤、繊維細線、クリップ、スタッド付き締結具などにより、コーナー・チャンバ206、サイド・チャンバ202、及び/または、ルーフ・チャンバ204に対して取付けられ得る。
【0024】
図3はまた、自動車座席150に着座している乗員‘O’も示しており、該乗員は頭部‘H’を有している。これに加え、ルーフ・チャンバ204は、少なくとも、点線220により参照される頭部Hの内方側面まで、内側方向に延伸する。別様に述べると、ルーフ・チャンバ204は、少なくとも、自動車10の側部に配置された座席に対象者が通常的に着座しているときにおける該対象者の頭部の内方側面であって、展開されたサイドカーテンルーフエアバッグ200が配置されるという箇所であるという内方側面まで、内方に延伸する。好適実施形態において、ルーフ・チャンバ204は、点線204a及び矢印12により図示された如く、車両内部の中心線230上までも延伸する。同様に、ルーフ・チャンバ204はヘッドライナ138の上方に延伸し得ると共に、ヘッドライナ138は、当業者に公知である如く、上記サイドカーテンルーフエアバッグが展開する間に変形することは理解される。
【0025】
別の好適実施形態において、ルーフ・チャンバ204は、展開された別のサイドカーテンルーフエアバッグからのルーフ・チャンバまで延伸してそれに遭遇する。別様に述べると、図3に示された両方のサイドカーテンルーフエアバッグ200が展開され得ること、及び、各エアバッグ200のルーフ・チャンバは相互に対して遭遇して接触することで、車両10のルーフボウ132全体を覆い得ることは理解される。
【0026】
次に図4を参照すると、一実施形態に係るサイドカーテンルーフエアバッグ200の側方斜視図が参照番号20により示される。コーナー・チャンバ206をサイド・チャンバ202及びルーフ・チャンバ204から分離するチャンバ壁部208を図示するために、破断部が提供されることは理解される。サイド・チャンバ202は、第1壁部202aと、第2壁部202bと、それらの間に延在する底壁部202cとを有する。この様にして、取り囲まれたサイド・チャンバ202が提供される。同様に、ルーフ・チャンバ204は、第1壁部204aと、第2壁部204bと、それらの間に延在する端壁部204cとを有する。この様にして、取り囲まれたルーフ・チャンバ204が提供される。最後に、コーナー・チャンバ206は、第2壁部202b及び第2壁部204bの一部であっても良くまたはそうでなくても良いという少なくとも一つのコーナー・チャンバ壁部208を有する。別様に述べると、第2壁部202b及び第2壁部204bの一部はコーナー・チャンバ壁部208を形成し得るか、または、代替例において、コーナー・チャンバ壁部208は、第2壁部202b及び第2壁部204bに隣接する追加的な材料層であり得る。
【0027】
いずれにしても、且つ、任意の所定のコーナー・チャンバ壁部208の構成に対し、少なくとも一つのコーナー・チャンバ壁部208、及び、選択的には第2壁部202b及び第2壁部204bは、コーナー・チャンバ206とサイド・チャンバ202及びルーフ・チャンバ204との間の流体連通を許容する複数の通孔もしくは開孔212を有し得る。この様にして、アクチュエータ201により提供された気体は、コーナー・チャンバ206を通過して流れ、且つ、制御された様式にて、サイド・チャンバ202及びルーフ・チャンバ204内へと進行し得る。これに加え、通孔もしくは開孔212を備えるコーナー・チャンバ壁部208は、上記で論じた如く、コーナー・チャンバ206内の圧力P3が、サイド・チャンバ202内の圧力P1及びルーフ・チャンバ204内の圧力P2と異なることを許容する。
【0028】
各図中に示されたコーナー・チャンバ206は単一のもしくは連続的な壁部208を有するが、このことは必須でないこと、すなわち、コーナー・チャンバ206は、取り囲まれたコーナー・チャンバ206を提供するために例えば相互に縫い合わされた第1壁部、別体的な第2壁部、及び/または、別体的な端壁部を有し得ることは理解される。
【0029】
係留要素240は、径方向(radial derection)Rに延伸すると共に、コーナー・チャンバ206を横切って掛けわたる。係留要素240は、サイド・チャンバ202及び/またはルーフ・チャンバ204まで延在しても良く、しなくても良い。係留要素240は、長手方向に沿い、サイドカーテンルーフエアバッグ200の丈‘L’に沿い延在する連続的な係留要素であり得る。幾つかの場合、係留要素240は、エアバッグ200の丈の50%超だけ延在し得る。代替例においては、図5に示された如く、複数の係留要素240が含まれると共に、エアバッグ200の丈に沿って配置され得る。いずれにしても、且つ、係留要素240が何処に配置されようとも、該係留要素は、サイド・チャンバ202とルーフ・チャンバ204との間に連続的な表面を形成し得る。
【0030】
次に図5に移ると、別実施形態が参照番号22にて概略的に示される。少なくとも一つのチャンバ壁部208、及び、選択的には第2壁部202b及び第2壁部204bが通孔もしくは開孔を有さないことを除き、実施形態22は図4に示された実施形態20と同様である。代わりに、一つ以上のインフレータ201が、サイド・チャンバ201、ルーフ・チャンバ204及びコーナー・チャンバ206内へと、直接的に気体を注入する。サイド・チャンバ202まで導向された少なくとも一本の気体ライン、ルーフ・チャンバ204まで導向された少なくとも一本の気体ライン、及び、コーナー・チャンバ206まで導向された少なくとも一本の気体ラインを備える少なくとも3本の吐出気体ラインを介し、単一のインフレータ201がサイド、ルーフ及びコーナーの各チャンバ202、204及び206に対して気体を供給し得ることは理解される。代替例においては、サイド、ルーフ及びコーナーの各チャンバ202、204及び206の各々に対して気体を供給するために、別体的なインフレータ、すなわち3つのインフレータが使用され得る。別の代替例においては、第1のインフレータはサイド・チャンバ202に対して気体を供給し、且つ、第2のインフレータは、例えば、ルーフ・チャンバ204まで導向された少なくとも一本の気体ライン、及び、コーナー・チャンバ206まで導向された少なくとも一本の気体ラインを備えた少なくとも2本の気体ラインを介し、ルーフ及びコーナーの各チャンバ204、206に対して気体を供給する。
【0031】
図6を参照すると、別実施形態は参照番号24にて示される。コーナー・チャンバ206が、チャンバ壁部208の使用もしくは存在なしで、サイド・チャンバ202及びルーフ・チャンバ204を横切ってもしくはそれらの間に延在しもしくは掛けわたる係留要素240により形成されることを除き、実施形態24は図4に示された実施形態20と同様である。例えば、係留要素240は、図中に示された如く、サイド・チャンバの第2壁部202b及びルーフ・チャンバの第2壁部204bに対して取付けられることにより、コーナー・チャンバ206を提供し得る。これに加え、サイド・チャンバの第2壁部202b及びルーフ・チャンバの第2壁部204bは、複数の通孔212を有することから、サイド、ルーフ及びコーナーの各チャンバ202、204、206には、上記にて実施形態20に対して図示され且つ論じられたのと同様の様式にて、気体が充填される。
【0032】
参照番号26にて示された更なる別実施形態において、図7は、サイド・チャンバ202及びルーフ・チャンバ204を横切って掛けわたる係留要素240により形成されたコーナー・チャンバ206を示している。但し、サイド・チャンバの第2壁部202b及びルーフ・チャンバの第2壁部204bは自身内に通孔を有さず、且つ、サイド、ルーフ及びコーナーの各チャンバ202、204、206には、上記にて実施形態22に対して図示され且つ論じられたのと同様の様式にて、気体が充填される。
【0033】
上述の如く、係留要素240は、長手方向に沿い、サイドカーテンルーフエアバッグ200の丈‘L’に沿って延在する連続的な係留要素であり得る。幾つかの場合、単一の係留要素240は、図8に示された如くエアバッグ200の丈の50%超だけ延在し得る。代替例においては、図9に示された如く、複数の係留要素240が含まれて、エアバッグ200の丈に沿って配置され得る。いずれにしても、且つ、係留要素240が何処に配置されようとも、該係留要素は、サイド・チャンバ202とルーフ・チャンバ204との間に連続的な表面を提供または形成し得る。
【0034】
本明細書中に開示されたサイドカーテンルーフエアバッグは、例えば織成されたナイロン生地などの、当業者に公知の任意の材料から作成され得る。
【0035】
上記で論じられた各実施形態は、例示目的のためだけであり、いずれにしても、本発明の有効範囲を制限することは意味されないことは理解される。変更、改変などは、当業者にとり明らかであると共に、依然として、本発明の有効範囲内に収まるものである。その故に、本発明の有効範囲は、各請求項、及び、その全ての均等物により定義される。
【符号の説明】
【0036】
200 サイドカーテンルーフエアバッグ
202 サイド・チャンバ
204 ルーフ・チャンバ
206 コーナー・チャンバ
240 係留要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9