特許第5860197号(P5860197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5860197ウイルス感染症を処置するための治療用化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5860197
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】ウイルス感染症を処置するための治療用化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20160202BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20160202BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20160202BHJP
   A61K 31/395 20060101ALI20160202BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C07D471/14CSP
   C07D471/14 101
   C07D487/04 157
   C07D513/04 391
   A61K31/395
   A61P31/18
【請求項の数】17
【全頁数】95
(21)【出願番号】特願2015-551872(P2015-551872)
(86)(22)【出願日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】US2014010937
(87)【国際公開番号】WO2014110296
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2015年8月26日
(31)【優先権主張番号】61/750,759
(32)【優先日】2013年1月9日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500029420
【氏名又は名称】ギリアード サイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ボンディ, スティーブン エス.
(72)【発明者】
【氏名】カニッツァーロ, カリーナ イー.
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チェン−ハン
(72)【発明者】
【氏名】フー, ユンフェン エリック
(72)【発明者】
【氏名】リンク, ジョン オー.
(72)【発明者】
【氏名】リュ, チー
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー, スコット ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ツェ, ウィンストン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャン, ジェニファー アール.
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−532352(JP,A)
【文献】 特表2010−533702(JP,A)
【文献】 特表2003−531199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAPLUS/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化53】
[式中、
Aは、(C〜C12)アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−であり、Aの任意のアリールまたはアリール(C〜C)アルキル−は、1、2、3、4または5個のZ基により必要に応じて置換されており、
Bは、単環式または二環式のヘテロアリールであり、Bの前記ヘテロアリールは、2〜10個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子を有し、そして1、2、3、4または5個のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびWは、Bの隣接する環原子に結合されており、
Cは、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1、2、3、または4個の基により必要に応じて置換されており、Cの前記5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1〜6個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有し、そして単環式であり、QおよびYは、Cの隣接する環原子に結合されており、またはQおよびYは、Cの3個の連続する環原子の第1の原子および第3の原子に結合されており、
各Qは、独立に、−C(R2a−、−O−、−NR1a−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−および−S(=O)−から選択され、または2つの隣接するQ基は、一緒になって、−CR2b=CR2b−になることができ、
Wは、−CH−であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、−CH−であり、
nは、1、2、3、4または5であり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)炭素環、および(C〜C)炭素環(C〜C)アルキルから選択され、
1aは、Hまたは(C〜C)アルキルであり、各R2aは、独立に、H、ハロゲンまたは(C〜C)アルキルであり、各R2bは、独立に、Hもしくは(C〜C)アルキルであり、または1つのR2aは、隣接するQ基と一緒になって、3員の炭素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロゲン、−CN、−ORn1、−OC(O)Rp1、−OC(O)NRq1r1、−SRn1、−S(O)Rp1、−S(O)OH、−S(O)p1、−S(O)NRq1r1、−NRq1r1、−NRn1CORp1、−NRn1COp1、−NRn1CONRq1r1、−NRn1S(O)p1、−NRn1S(O)ORp1、−NRn1S(O)NRq1r1、NO、−C(O)Rn1、−C(O)ORn1および−C(O)NRq1r1から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の1a基により必要に応じて置換されており、
各Z1aは、独立に、ハロゲン、−CN、−ORn2、−OC(O)Rp2、−OC(O)NRq2r2、−SRn2、−S(O)Rp2、−S(O)OH、−S(O)p2、−S(O)NRq2r2、−NRq2r2、−NRn2CORp2、−NRn2COp2、−NRn2CONRq2r2、−NRn2S(O)p2、−NRn2S(O)ORp2、−NRn2S(O)NRq2r2、NO、−C(O)Rn2、−C(O)ORn2および−C(O)NRq2r2から選択され、
各Z1bは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよび(C〜C)アルキニルから選択され、
各Rn1は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rn1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の1a基により必要に応じて置換されており、
各Rp1は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rp1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の1a基により必要に応じて置換されており、
q1およびRr1は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rq1またはRr1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の1a基により必要に応じて置換されており、あるいはRq1およびRr1は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成し、前記5、6または7員の複素環は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、そして1、2、3、4もしくは5個の1aまたはZ1b基により必要に応じて置換されており、
各Rn2は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、
各Rp2は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、
q2およびRr2は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、またはRq2およびRr2は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、前記5、6もしくは7員の複素環は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロゲン、−CN、−ORn3、−OC(O)Rp3、−OC(O)NRq3r3、−SRn3、−S(O)Rp3、−S(O)OH、−S(O)p3、−S(O)NRq3r3、−NRq3r3、−NRn3CORp3、−NRn3COp3、−NRn3CONRq3r3、−NRn3S(O)p3、−NRn3S(O)ORp3、−NRn3S(O)NRq3r3、NO、−C(O)Rn3、−C(O)ORn3および−C(O)NRq3r3から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の2a基により必要に応じて置換されており、
各Z2aは、独立に、ハロゲン、−CN、−ORn4、−OC(O)Rp4、−OC(O)NRq4r4、−SRn4、−S(O)Rp4、−S(O)OH、−S(O)p4、−S(O)NRq4r4、−NRq4r4、−NRn4CORp4、−NRn4COp4、−NRn4CONRq4r4、−NRn4S(O)p4、−NRn4S(O)ORp4、−NRn4S(O)NRq4r4、NO、−C(O)Rn4、−C(O)ORn4および−C(O)NRq4r4から選択され、
各Z2bは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよび(C〜C)アルキニルから選択され、
各Rn3は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rn3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の2a基により必要に応じて置換されており、
各Rp3は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rp3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の2a基により必要に応じて置換されており、
q3およびRr3は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rq3またはRr3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1、2、3、4または5個の2a基により必要に応じて置換されており、あるいはRq3およびRr3は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成し、前記5、6または7員の複素環は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、そして1、2、3、4もしくは5個の2aまたはZ2b基により必要に応じて置換されており、
各Rn4は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、
各Rp4は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、
q4およびRr4は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、またはRq4およびRr4は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、前記5、6もしくは7員の複素環は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される選択される1〜3個のヘテロ原子を有し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲン、−CN、−ORn5、−NRn5CORp5、−C(O)Rn5、および−C(O)NRq5r5から選択され、
各Rn5は、独立に、H、(C〜C)アルキル、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、
各Rp5は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、
q5およびRr5は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、および(C〜C)ハロアルキルから選択され、またはRq5およびRr5は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、前記5、6もしくは7員の複素環は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される選択される1〜3個のヘテロ原子を有する
またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
各Qが、独立に、−CH−、−S−および−S(=O)−から選択され、または2つの隣接するQ基が、一緒になって−CH=CH−になる、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項3】
nが、2、3または4である、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項4】
が、−CH=CHCH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CHCH=CH−、−CHSCH−、−CHS(=O)CH−、−CH=CH−、−CHS(CH−、−CHS(=O)(CH−、−CHS−,−CHS(=O)−、−SCH−または−S(=O)CH−である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項5】
Xが、CHである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項6】
Cが、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールが、1、2、3、または4個の基により必要に応じて置換されており、QおよびYが、Cの隣接する環原子に結合されている、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項7】
式Icの化合物
【化54】
[式中、フェニルCは、1、2、3、または4個の基により必要に応じて置換されている]
である、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
各Zが、フルオロである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項9】
が、(C〜C)アルキルである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項10】
各Zが、独立に、ハロゲンおよび−O(C〜C)アルキルから選択される、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項11】
Aが、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニルまたはベンジルである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項12】
Bが、二環式ヘテロアリールであり、前記二環式ヘテロアリールが、〜10個の炭素原子および1〜5個のヘテロ原子を有しており、そして1、2、3、4もしくは5個の基により必要に応じて置換されている、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項13】
各Zが、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲン、−OHおよび−O(C〜C)アルキルから選択され、(C〜C)アルキルが、1、2、3、4もしくは5個のハロゲンにより必要に応じて置換されている、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項14】
Bが、
【化55】
から選択され、波線が、Bと、式Iの化合物のWおよびQとの結合点を示す、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項15】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
から選択される、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩
【請求項16】
請求項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む、医薬組成物。
【請求項17】
請求項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を含、哺乳動物のHIV感染症を処置するための組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2013年1月9日に出願された米国仮特許出願第61/750,759号の利益および優先権を主張し、この米国仮特許出願の開示内容は、その全体が本明細書に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
背景
Retroviridaeファミリーを含むプラス一本鎖RNAウイルスには、サブファミリーであるOrthoretrovirinae、ならびにAlpharetrovirus属、Betaretrovirus属、Gamaretrovirus属、Deltaretrovirus属、Epsilonretrovirus属、Lentivirus属およびSpumavirus属のプラス一本鎖RNAウイルスが含まれ、これらは、ヒトおよび動物の多くの疾患を引き起こす。Lentivirusの中でも、ヒトのHIV−1感染症は、ヘルパーT細胞の枯渇および免疫機能障害をもたらし、免疫不全および日和見感染症に対する脆弱性を生じる。高活性抗レトロウイルス治療(HAART)によるHIV−1感染症の処置は、ウイルス負荷を低減し、疾患の進行を著しく遅延させるのに有効であることが証明されている(Hammer, S.M.ら;JAMA 2008年、300巻:555〜570頁)。しかし、これらの処置は、現在の治療に耐性であるHIV株を実際に出現させる(Taiwo, B.、International Journal of Infectious Diseases 2009年、13巻:552〜559頁;Smith, R. J.ら、Science 2010年、327巻:697〜701頁)。したがって、出現する薬物耐性HIV変異体に対して活性な、新しい抗レトロウイルス剤を発見する差し迫った必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Taiwo, B.、International Journal of Infectious Diseases 2009年、13巻:552〜559頁
【非特許文献2】Smith, R. J.ら、Science 2010年、327巻:697〜701頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本明細書では、ウイルス感染症を処置するための化合物および方法が提供される。一実施形態は、式Iの化合物
【化1】
[式中、
Aは、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C〜C)アルキル−またはヘテロアリール(C〜C)アルキル−であり、Aの任意のアリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C〜C)アルキル−またはヘテロアリール(C〜C)アルキル−は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されており、
Bは、アリールまたはヘテロアリールであり、Bの任意のアリールまたはヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびWは、Bの隣接する環原子に結合されており、
Cは、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、または4つ)のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYは、Cの隣接する環原子に結合されており、またはQおよびYは、Cの3個の連続する環原子の第1の原子および第3の原子に結合されており、
各Qは、独立に、−C(R2a−、−O−、−NR1a−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−および−S(=O)−から選択され、または2つの隣接するQ基は、一緒になって、−CR2b=CR2b−になることができ、
Wは、−CH−であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、−CH−であり、
nは、1、2、3、4または5であり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)炭素環、(C〜C)炭素環(C〜C)アルキル−、アリール(C〜C)アルキル−およびヘテロアリール(C〜C)アルキル−から選択され、
1aは、Hまたは(C〜C)アルキルであり、各R2aは、独立に、H、ハロゲンまたは(C〜C)アルキルであり、各R2bは、独立に、Hもしくは(C〜C)アルキルであり、または1つのR2aは、隣接するQ基と一緒になって、3員の炭素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロゲン、−CN、−ORn1、−OC(O)Rp1、−OC(O)NRq1r1、−SRn1、−S(O)Rp1、−S(O)OH、−S(O)p1、−S(O)NRq1r1、−NRq1r1、−NRn1CORp1、−NRn1COp1、−NRn1CONRq1r1、−NRn1S(O)p1、−NRn1S(O)ORp1、−NRn1S(O)NRq1r1、NO、−C(O)Rn1、−C(O)ORn1および−C(O)NRq1r1から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ1a基により必要に応じて置換されており、
各Z1aは、独立に、ハロゲン、−CN、−ORn2、−OC(O)Rp2、−OC(O)NRq2r2、−SRn2、−S(O)Rp2、−S(O)OH、−S(O)p2、−S(O)NRq2r2、−NRq2r2、−NRn2CORp2、−NRn2COp2、−NRn2CONRq2r2、−NRn2S(O)p2、−NRn2S(O)ORp2、−NRn2S(O)NRq2r2、NO、−C(O)Rn2、−C(O)ORn2および−C(O)NRq2r2から選択され、
各Z1bは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよび(C〜C)アルキニルから選択され、
各Rn1は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rn1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ1a基により必要に応じて置換されており、
各Rp1は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rp1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ1a基により必要に応じて置換されており、
q1およびRr1は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rq1またはRr1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ1a基により必要に応じて置換されており、あるいはRq1およびRr1は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成し、5、6または7員の複素環は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ1aまたはZ1b基により必要に応じて置換されており、
各Rn2は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
各Rp2は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
q2およびRr2は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、またはRq2およびRr2は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロゲン、−CN、−ORn3、−OC(O)Rp3、−OC(O)NRq3r3、−SRn3、−S(O)Rp3、−S(O)OH、−S(O)p3、−S(O)NRq3r3、−NRq3r3、−NRn3CORp3、−NRn3COp3、−NRn3CONRq3r3、−NRn3S(O)p3、−NRn3S(O)ORp3、−NRn3S(O)NRq3r3、NO、−C(O)Rn3、−C(O)ORn3および−C(O)NRq3r3から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2a基により必要に応じて置換されており、
各Z2aは、独立に、ハロゲン、−CN、−ORn4、−OC(O)Rp4、−OC(O)NRq4r4、−SRn4、−S(O)Rp4、−S(O)OH、−S(O)p4、−S(O)NRq4r4、−NRq4r4、−NRn4CORp4、−NRn4COp4、−NRn4CONRq4r4、−NRn4S(O)p4、−NRn4S(O)ORp4、−NRn4S(O)NRq4r4、NO、−C(O)Rn4、−C(O)ORn4および−C(O)NRq4r4から選択され、
各Z2bは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよび(C〜C)アルキニルから選択され、
各Rn3は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rn3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2a基により必要に応じて置換されており、
各Rp3は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rp3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2a基により必要に応じて置換されており、
q3およびRr3は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rq3またはRr3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2a基により必要に応じて置換されており、あるいはRq3およびRr3は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成し、5、6または7員の複素環は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2aまたはZ2b基により必要に応じて置換されており、
各Rn4は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、複素環、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロ複素環(haloheterocycle)、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
各Rp4は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、複素環、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロ複素環、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
q4およびRr4は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、複素環、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロ複素環、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、またはRq4およびRr4は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲン、−CN、−ORn5、−NRn5CORp5、−C(O)Rn5、および−C(O)NRq5r5から選択され、
各Rn5は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
各Rp5は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
q5およびRr5は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、またはRq5およびRr5は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成する]
またはその塩を提供する。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0005】
一実施形態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む医薬組成物を提供する。
一実施形態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物(例えば、ヒト)のRetroviridaeウイルス感染症(例えば、HIVウイルス感染症)を処置する方法を提供する。
【0006】
一実施形態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物(例えば、ヒト)のHIVウイルスの増殖を阻害し、AIDSを処置し、またはAIDSもしくはARC症状の発症を遅延させる方法を提供する。
【0007】
一実施形態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物(例えば、ヒト)のHIV感染症を処置する方法を提供する。
【0008】
一実施形態は、治療有効量の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、HIVプロテアーゼ阻害化合物、HIVの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIVのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、gp41阻害剤、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、CCR5阻害剤、カプシド重合阻害剤およびHIVを処置するための他の薬物、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される治療有効量の1種または複数の追加の治療剤と組み合わせて、HIV感染症の処置を必要としている哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物(例えば、ヒト)のHIV感染症を処置する方法を提供する。
【0009】
一実施形態は、医学的治療に使用するための(例えば、Retroviridaeウイルス感染症(例えば、HIVウイルス感染症)またはHIVウイルスもしくはAIDSの増殖の処置、あるいは哺乳動物(例えば、ヒト)のAIDSまたはARC症状の発症の遅延に使用するための)、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0010】
一実施形態は、Retroviridaeウイルス感染症(例えば、HIVウイルス感染症)またはHIVウイルスもしくはAIDSの増殖を処置し、あるいは哺乳動物(例えば、ヒト)のAIDSまたはARC症状の発症を遅延する医薬の製造に使用するための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0011】
一実施形態は、Retroviridaeウイルス、HIVウイルスもしくはAIDSの増殖の予防上もしくは治療上の処置に使用するため、またはAIDSもしくはARC症状の発症を遅延する治療上の処置に使用するための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0012】
一実施形態は、Retroviridaeウイルス感染症(例えば、HIVウイルス感染症)の予防上または治療上の処置に使用するための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0013】
一実施形態は、哺乳動物(例えば、ヒト)のRetroviridaeウイルス感染症(例えば、HIVウイルス感染症)用の医薬を製造するための、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の使用を提供する。
【0014】
一実施形態は、式Iの化合物またはその塩を調製するのに有用な、本明細書に開示のプロセスおよび中間体を提供する。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0015】
他の実施形態、目的、特色および利点は、以下の実施形態の詳細な説明に記載されており、その説明から部分的に明らかになり、または特許請求される本発明を実施することによって知ることができる。これらの目的および利点は、記載の説明および本発明の特許請求の範囲において特に示されるプロセスおよび組成物によって実現され、達成されよう。上の概要は、本明細書に開示の実施形態のいくつかをまとめたものおよびそれらの全般的な要約とみなされるべきであるという了解の下で記載されたものであり、読者の利益および利便性のためだけに提供され、添付の特許請求の範囲が適法に権利を得られる範囲または等価物の範囲を、いかなる方式でも制限するものではない。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式Iの化合物
【化45】
[式中、
Aは、アリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C〜C)アルキル−またはヘテロアリール(C〜C)アルキル−であり、Aの任意のアリール、ヘテロアリール、複素環、アリール(C〜C)アルキル−またはヘテロアリール(C〜C)アルキル−は、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されており、
Bは、アリールまたはヘテロアリールであり、Bの任意のアリールまたはヘテロアリールは、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびWは、Bの隣接する環原子に結合されており、
Cは、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYは、Cの隣接する環原子に結合されており、またはQおよびYは、Cの3個の連続する環原子の第1の原子および第3の原子に結合されており、
各Qは、独立に、−C(R2a−、−O−、−NR1a−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−および−S(=O)−から選択され、または2つの隣接するQ基は、一緒になって、−CR2b=CR2b−になることができ、
Wは、−CH−であり、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、−CH−であり、
nは、1、2、3、4または5であり、
は、(C〜C)アルキル、(C〜C)炭素環、(C〜C)炭素環(C〜C)アルキル−、アリール(C〜C)アルキル−およびヘテロアリール(C〜C)アルキル−から選択され、
1aは、Hまたは(C〜C)アルキルであり、各R2aは、独立に、H、ハロゲンまたは(C〜C)アルキルであり、各R2bは、独立に、Hもしくは(C〜C)アルキルであり、または1つのR2aは、隣接するQ基と一緒になって、3員の炭素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロゲン、−CN、−ORn1、−OC(O)Rp1、−OC(O)NRq1r1、−SRn1、−S(O)Rp1、−S(O)OH、−S(O)p1、−S(O)NRq1r1、−NRq1r1、−NRn1CORp1、−NRn1COp1、−NRn1CONRq1r1、−NRn1S(O)p1、−NRn1S(O)ORp1、−NRn1S(O)NRq1r1、NO、−C(O)Rn1、−C(O)ORn1および−C(O)NRq1r1から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ1a基により必要に応じて置換されており、
各Z1aは、独立に、ハロゲン、−CN、−ORn2、−OC(O)Rp2、−OC(O)NRq2r2、−SRn2、−S(O)Rp2、−S(O)OH、−S(O)p2、−S(O)NRq2r2、−NRq2r2、−NRn2CORp2、−NRn2COp2、−NRn2CONRq2r2、−NRn2S(O)p2、−NRn2S(O)ORp2、−NRn2S(O)NRq2r2、NO、−C(O)Rn2、−C(O)ORn2および−C(O)NRq2r2から選択され、
各Z1bは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよび(C〜C)アルキニルから選択され、
各Rn1は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rn1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ1a基により必要に応じて置換されており、
各Rp1は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rp1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ1a基により必要に応じて置換されており、
q1およびRr1は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rq1またはRr1の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ1a基により必要に応じて置換されており、あるいはRq1およびRr1は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成し、前記5、6または7員の複素環は、1つまたは複数のZ1aまたはZ1b基により必要に応じて置換されており、
各Rn2は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
各Rp2は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
q2およびRr2は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、またはRq2およびRr2は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、ハロゲン、−CN、−ORn3、−OC(O)Rp3、−OC(O)NRq3r3、−SRn3、−S(O)Rp3、−S(O)OH、−S(O)p3、−S(O)NRq3r3、−NRq3r3、−NRn3CORp3、−NRn3COp3、−NRn3CONRq3r3、−NRn3S(O)p3、−NRn3S(O)ORp3、−NRn3S(O)NRq3r3、NO、−C(O)Rn3、−C(O)ORn3および−C(O)NRq3r3から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ2a基により必要に応じて置換されており、
各Z2aは、独立に、ハロゲン、−CN、−ORn4、−OC(O)Rp4、−OC(O)NRq4r4、−SRn4、−S(O)Rp4、−S(O)OH、−S(O)p4、−S(O)NRq4r4、−NRq4r4、−NRn4CORp4、−NRn4COp4、−NRn4CONRq4r4、−NRn4S(O)p4、−NRn4S(O)ORp4、−NRn4S(O)NRq4r4、NO、−C(O)Rn4、−C(O)ORn4および−C(O)NRq4r4から選択され、
各Z2bは、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルおよび(C〜C)アルキニルから選択され、
各Rn3は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rn3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ2a基により必要に応じて置換されており、
各Rp3は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rp3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ2a基により必要に応じて置換されており、
q3およびRr3は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニルから選択され、Rq3またはRr3の任意の(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニルまたは(C〜C)アルキニルは、1つまたは複数のZ2a基により必要に応じて置換されており、あるいはRq3およびRr3は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6または7員の複素環を形成し、前記5、6または7員の複素環は、1つまたは複数のZ2aまたはZ2b基により必要に応じて置換されており、
各Rn4は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、複素環、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロ複素環、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
各Rp4は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、複素環、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロ複素環、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
q4およびRr4は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)炭素環、複素環、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロ複素環、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、またはRq4およびRr4は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成し、
各Zは、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲン、−CN、−ORn5、−NRn5CORp5、−C(O)Rn5、および−C(O)NRq5r5から選択され、
各Rn5は、独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
各Rp5は、独立に、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、
q5およびRr5は、それぞれ独立に、H、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルケニル、(C〜C)アルキニル、(C〜C)ハロアルキルおよび(C〜C)ヘテロアルキルから選択され、またはRq5およびRr5は、それらが結合する窒素と一緒になって、5、6もしくは7員の複素環を形成する]
またはその塩。
(項目2)
各R1aが、Hまたは(C〜C)アルキルであり、各R2aが、Hであり、各R2bが、Hである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
各Qが、独立に、−CH−、−S−および−S(=O)−から選択され、または2つの隣接するQ基が、一緒になって−CH=CH−になる、項目1に記載の化合物。
(項目4)
nが、2、3または4である、項目1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
(項目5)
が、−CH=CHCH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CHCH=CH−、−CHSCH−、−CHS(=O)CH−、−CH=CH−、−CHS(CH−、−CHS(=O)(CH−、−CHS−,−CHS(=O)−、−SCH−または−S(=O)CH−である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
Xが、CHである、項目1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
(項目7)
Cが、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYが、Cの隣接する環原子に結合されている、項目1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
(項目8)
Cが、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYが、Cの3個の連続する環原子の第1の原子および第3の原子に結合されている、項目1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
(項目9)
式Icの化合物
【化46】
[式中、フェニルCは、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている]
である、項目1に記載の化合物またはその塩。
(項目10)
各Zが、ハロゲンである、項目1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
(項目11)
各Zが、フルオロである、項目1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
(項目12)
が、(C〜C)アルキルである、項目1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
(項目13)
が、メチルである、項目1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
(項目14)
Aが、アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−であり、Aの任意のアリールまたはアリール(C〜C)アルキル−が、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目15)
Aが、アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−であり、アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−の前記アリールが、アリール環中に6〜12個の炭素原子を有しており、Aの任意のアリールまたはアリール(C〜C)アルキル−が、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目16)
Aが、フェニルまたはベンジルであり、Aの任意のフェニルまたはベンジルが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目17)
Aが、アリールであり、アリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目18)
Aが、アリールであり、アリールが、アリール環中に6〜12個の炭素原子を有しており、アリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目19)
Aが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されているフェニルである、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目20)
各Zが、独立に、ハロゲンおよび−O(C〜C)アルキルから選択される、項目1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
(項目21)
各Zが、独立に、クロロおよび−OMeから選択される、項目1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
(項目22)
Aが、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニルまたはベンジルである、項目1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
(項目23)
Bが、ヘテロアリールであり、ヘテロアリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
(項目24)
Bが、ヘテロアリールであり、ヘテロアリールが、ヘテロアリール環系中に2〜10個の炭素原子および1〜5個のヘテロ原子を有しており、ヘテロアリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
(項目25)
Bが、二環式ヘテロアリールであり、二環式ヘテロアリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
(項目26)
Bが、二環式ヘテロアリールであり、二環式ヘテロアリールが、二環式ヘテロアリール環系中に4〜10個の炭素原子および1〜5個のヘテロ原子を有しており、二環式ヘテロアリールが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
(項目27)
Bが、インドリル、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジニルまたはピラゾリルであり、Bの任意のインドリル、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジニルまたはピラゾリルが、1つまたは複数のZ基により必要に応じて置換されている、項目1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
(項目28)
各Zが、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲンおよび−ORn3から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキルが、1つまたは複数のZ2a基により必要に応じて置換されている、項目1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
(項目29)
各Rn3が、Hまたは(C〜C)アルキルであり、Rn3の任意の(C〜C)アルキルが、1つまたは複数のZ2a基により必要に応じて置換されている、項目1〜28のいずれか一項に記載の化合物。
(項目30)
各Rn3が、Hまたはメチルである、項目1〜28のいずれか一項に記載の化合物。
(項目31)
各Zが、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲン、−OHおよび−O(C〜C)アルキルから選択され、(C〜C)アルキルが、1個または複数のハロゲンにより必要に応じて置換されている、項目1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
(項目32)
各Zが、独立に、トリフルオロメチル、フルオロ、ヒドロキシおよびメトキシから選択される、項目1〜27のいずれか一項に記載の化合物。
(項目33)
Bが、
【化47】
から選択され、波線が、Bと、式Iの化合物のWおよびQとの結合点を示す、項目1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
(項目34)
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
から選択される、項目1に記載の化合物およびその塩。
(項目35)
項目1〜34のいずれか一項に記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容されるキャリアを含む、医薬組成物。
(項目36)
治療有効量の項目1〜34のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩を、Retroviridaeウイルス感染症の処置を必要としている哺乳動物に投与するステップを含む、Retroviridaeウイルス感染症を処置する方法。
(項目37)
前記ウイルス感染症が、HIV感染症である、項目36に記載の方法。
(項目38)
項目1〜34のいずれか一項に記載の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を、哺乳動物に投与するステップを含む、前記哺乳動物のHIV感染症を処置する方法。
(項目39)
医学的治療に使用するための、項目1〜34のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
(項目40)
Retroviridaeウイルス感染症の予防上または治療上の処置に使用するための、項目1〜34のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
(項目41)
前記ウイルス感染症が、HIV感染症である、項目40に記載の化合物。
(項目42)
哺乳動物におけるRetroviridaeウイルス感染症を処置する医薬を製造するための、項目1〜34のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
(項目43)
前記ウイルス感染症が、HIV感染症である、項目42に記載の使用。
(項目44)
本明細書に記載の化合物または方法。

【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明は、様々な形態で具体化され得るが、いくつかの実施形態の以下の説明は、本開示が特許請求される主題の一例とみなされるべきであるという了解の下で記載され、添付の特許請求の範囲を、例示の具体的な実施形態に限定するものではない。本開示を通して使用される見出しは、単に便宜上、提示されたものであり、いかなる方式でも特許請求の範囲を制限すると解釈されるべきではない。任意の見出しの下に例示した実施形態は、任意の他の見出しの下に例示した実施形態と組み合わせることができる。
【0017】
定義
別段記載されない限り、以下の用語および句は、本明細書で使用される場合、以下の意味を有するものとする。
【0018】
商標が本明細書で使用されている場合、出願人らは、商標製品およびその商標製品の活性な医薬品成分(複数可)を独立に含むことを企図している。
【0019】
「アルキル」は、直鎖または分岐の飽和炭化水素である。例えば、アルキル基は、1〜8個の炭素原子(すなわち、(C〜C)アルキル)または1〜6個の炭素原子(すなわち、(C〜Cアルキル)または1〜4個の炭素原子を有することができる。適切なアルキル基の例として、メチル(Me、−CH)、エチル(Et、−CHCH)、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CHCHCH)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CHCHCHCH)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CHCH(CH)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH)CHCH)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CHCHCHCHCH)、2−ペンチル(−CH(CH)CHCHCH)、3−ペンチル(−CH(CHCH)、2−メチル−2−ブチル(−C(CHCHCH)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH)CH(CH)、3−メチル−1−ブチル(−CHCHCH(CH)、2−メチル−1−ブチル(−CHCH(CH)CHCH)、1−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)、2−ヘキシル(−CH(CH)CHCHCHCH)、3−ヘキシル(−CH(CHCH)(CHCHCH))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CHCHCHCH)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CH(CH)CHCH)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH)CHCH(CH)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH)(CHCH)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CHCH)CH(CH)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CHCH(CH)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH)C(CH、およびオクチル(−(CHCH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、例えば、炭素−炭素、sp二重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素である。例えば、アルケニル基は、2〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルケニル)または2〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルケニル)を有することができる。適切なアルケニル基の例として、エチレンまたはビニル(−CH=CH)、アリル(−CHCH=CH)および5−ヘキセニル(−CHCHCHCHCH=CH)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち炭素−炭素、sp三重結合を有する直鎖または分岐の炭化水素である。例えば、アルキニル基は、2〜8個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキン)または2〜6個の炭素原子(すなわち、C〜Cアルキニル)を有することができる。適切なアルキニル基の例として、アセチレン(−C≡CH)、プロパルギル(−CHC≡CH)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、本明細書で使用される場合、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを指す。
【0023】
用語「ハロアルキル」は、本明細書で使用される場合、1個または複数の水素原子が、ハロ置換基によってそれぞれ置き換えられている、本明細書で定義のアルキルを指す。例えば、(C〜C)ハロアルキルは、水素原子の1個または複数が、ハロ置換基によって置き換えられた(C〜C)アルキルである。このような範囲は、アルキル基のハロゲン化を完了するために、1つのハロ置換基をアルキル基上に含む。
【0024】
用語「ヘテロアルキル」は、本明細書で使用される場合、アルキルの炭素原子の1個または複数が、O、SまたはNR(各Rは、独立に、Hまたは(C〜C)アルキルである)によって置き換えられている(または置き換えられる炭素原子が、OH、SHもしくはNRq2を有する末端炭素である場合)、本明細書で定義のアルキルを指す。
【0025】
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、環の少なくとも1つが芳香族である、すべて炭素の単一芳香族環またはすべて炭素の複数縮合環系を指す。例えば、アリール基は、6〜20個の炭素原子、6〜14個の炭素原子、または6〜12個の炭素原子を有することができる。アリールは、フェニルラジカルを含む。またアリールは、少なくとも1つの環が芳香族であり、他の環が芳香族であっても芳香族でなくてもよい(すなわち、炭素環)、約9〜20個の炭素原子を有する複数縮合環系(例えば、2、3または4つの環を含む環系)を含む。このような複数縮合環系は、複数縮合環系の任意の炭素環構成部分上において、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)のオキソ基により必要に応じて置換されていてもよい。複数縮合環系の環は、価数の要件が許す場合、縮合、スピロおよび架橋結合を介して互いに結合され得る。上に定義した複数縮合環系の結合点は、環の芳香族または炭素環構成部分を含めた環系の任意の位置に存在し得ることを理解されたい。典型的なアリール基として、フェニル、インデニル、ナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、アントラセニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「アリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1個が、本明細書に記載のアリールラジカル(すなわち、アリール−アルキル部分)で置き換えられている、本明細書で定義のアルキルラジカルを指す。「アリールアルキル」のアルキル基は、典型的に、1〜6個の炭素原子(すなわちアリール(C〜C)アルキル)である。アリールアルキル基として、ベンジル、2−フェニルエタン−1−イル、1−フェニルプロパン−1−イル、ナフチルメチル、2−ナフチルエタン−1−イル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、環中に炭素以外の少なくとも1個の原子を有する単一芳香族環を指し、その原子は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される。またこの用語は、少なくとも1つのこのような芳香族環を有する複数縮合環系を含み、複数縮合環系は、以下にさらに記載される。したがってこの用語は、環中、約1〜6個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される約1〜4個のヘテロ原子を有する単一芳香族環を含む。硫黄および窒素原子はまた、環が芳香族であるならば、酸化形態で存在することができる。このような環として、ピリジル、ピリミジニル、オキサゾリルまたはフリルが挙げられるが、これらに限定されない。またこの用語は、上に定義のヘテロアリール基が、ヘテロアリール(例えばナフチリジニル、例えば1,8−ナフチリジニルを形成する)、複素環(例えば1,2,3,4−テトラヒドロナフチリジニル、例えば1,2,3,4−テトラヒドロ−1,8−ナフチリジニルを形成する)、炭素環(例えば5,6,7,8−テトラヒドロキノリルを形成する)およびアリール(例えばインダゾリルを形成する)から選択される1つまたは複数の環と縮合して、複数縮合環系を形成することができる、複数縮合環系(例えば、2、3または4つの環を含む環系)を含む。したがって、ヘテロアリール(単一芳香族環または複数縮合環系)は、ヘテロアリール環中に約1〜20個の炭素原子および約1〜6個のヘテロ原子を有する。このような複数縮合環系は、縮合環の炭素環または複素環構成部分上において、1つまたは複数(例えば、1、2、3または4つ)のオキソ基により必要に応じて置換されていてもよい。複数縮合環系の環は、価数の要件が許す場合、縮合、スピロおよび架橋結合を介して互いに結合され得る。複数縮合環系の個々の環は、互いに対して任意の順序で結合され得ることを理解されたい。複数縮合環系(ヘテロアリールについて上に定義されている通り)の結合点は、複数縮合環系のヘテロアリール、複素環、アリールまたは炭素環構成部分を含めた複数縮合環系の任意の位置、ならびに炭素原子およびヘテロ原子(例えば、窒素)を含めた複数縮合環系の任意の適切な原子に存在し得ることも理解されたい。例示的なヘテロアリールとして、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラゾリル、チエニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、フリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、インダゾリル、キノキサリル、キナゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリニル ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリルおよびチアナフテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
用語「ヘテロシクリル」または「複素環」は、本明細書で使用される場合、環中に炭素以外の少なくとも1個の原子を有する単一の飽和または部分的に不飽和の環を指し、その原子は、酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される。またこの用語は、少なくとも1つのこのような飽和または部分的に不飽和の環を有する複数縮合環系を含み、複数縮合環系は、以下にさらに記載される。したがってこの用語は、環中、約1〜6個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される約1〜3個のヘテロ原子を有する単一の飽和または部分的に不飽和の環(例えば、3員、4員、5員、6員または7員環)を含む。環は、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)のオキソ基で置換されていてもよく、硫黄および窒素原子は、それらの酸化形態で存在することもできる。このような環として、アゼチジニル、テトラヒドロフラニルまたはピペリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。また、用語「複素環」は、単一の複素環(上に定義の通り)が、複素環(例えばデカヒドロナフチリジニル(decahydronapthyridinyl)を形成する)、炭素環(例えばデカヒドロキノリルを形成する)およびアリールから選択される1つまたは複数の基と縮合して、複数縮合環系を形成することができる、複数縮合環系(例えば、2、3または4つの環を含む環系)を含む。したがって、複素環(単一の飽和もしくは単一の部分的に不飽和の環、または複数縮合環系)は、複素環中に約2〜20個の炭素原子および1〜6個のヘテロ原子を有する。このような複数縮合環系は、複数縮合環の炭素環または複素環構成部分上において、1つまたは複数(例えば、1、2、3または4つ)のオキソ基により必要に応じて置換されていてもよい。複数縮合環系の環は、価数の要件が許す場合、縮合、スピロおよび架橋結合を介して互いに結合され得る。複数縮合環系の個々の環は、互いに対して任意の順序で結合され得ることを理解されたい。複数縮合環系(複素環について上に定義されている通り)の結合点は、環の複素環、アリールおよび炭素環構成部分を含めた複数縮合環系の任意の位置に存在し得ることも理解されたい。複素環または複素環の複数縮合環系の結合点は、炭素原子およびヘテロ原子(例えば、窒素)を含めた複素環または複素環の複数縮合環系の任意の適切な原子に存在し得ることも理解されたい。例示的な複素環として、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、ベンゾオキサジニル、ジヒドロオキサゾリル、クロマニル、1,2−ジヒドロピリジニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、1,3−ベンゾジオキソリル、および1,4−ベンゾジオキサニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「ヘテロアリールアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1個が、本明細書に記載のヘテロアリールラジカル(すなわち、ヘテロアリール−アルキル部分)で置き換えられている、本明細書で定義のアルキルラジカルを指す。「ヘテロアリールアルキル」のアルキル基は、典型的に、1〜6個の炭素原子(すなわちヘテロアリール(C〜C)アルキル)である。ヘテロアリールアルキル基として、ヘテロアリール−CH−、ヘテロアリール−CH(CH)−、ヘテロアリール−CHCH−、2−(ヘテロアリール)エタン−1−イル等が挙げられるが、これらに限定されず、「ヘテロアリール」構成部分は、上記のヘテロアリール基のいずれかを含む。また当業者は、得られる基が化学的に安定であるならば、ヘテロアリール基が、ヘテロアリールアルキルのアルキル構成部分に、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって結合し得ることを理解されよう。ヘテロアリールアルキルの例として、例えば、5員の硫黄、酸素および/または窒素含有ヘテロアリール、例えばチアゾリルメチル、2−チアゾリルエタン−1−イル、イミダゾリルメチル、オキサゾリルメチル、チアジアゾリルメチル等、6員の硫黄、酸素および/または窒素含有ヘテロアリール、例えばピリジニルメチル、ピリジジルメチル(pyridizylmethyl)、ピリミジルメチル、ピラジニルメチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「ヘテロシクリルアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1個が、本明細書に記載のヘテロシクリルラジカル(すなわち、ヘテロシクリル−アルキル部分)で置き換えられている、本明細書で定義のアルキルラジカルを指す。「ヘテロシクリルアルキル」のアルキル基は、典型的に、1〜6個の炭素原子(すなわちヘテロシクリル(C〜C)アルキル)である。典型的なヘテロシクリルアルキル基として、ヘテロシクリル−CH−、ヘテロシクリル−CH(CH)−、ヘテロシクリル−CHCH−、2−(ヘテロシクリル)エタン−1−イル等が挙げられるが、これらに限定されず、「ヘテロシクリル」構成部分は、上記のヘテロシクリル基のいずれかを含む。また当業者は、得られる基が化学的に安定であるならば、ヘテロシクリル基が、ヘテロシクリルアルキルのアルキル構成部分に、炭素−炭素結合または炭素−ヘテロ原子結合によって結合し得ることを理解されよう。ヘテロシクリルアルキルの例として、例えば、5員の硫黄、酸素および/または窒素含有複素環、例えばテトラヒドロフラニルメチルおよびピロリジニルメチル(pyrroldinylmethyl)等、ならびに6員の硫黄、酸素および/または窒素含有複素環、例えばピペリジニルメチル、ピペラジニルメチル、モルホリニルメチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「炭素環」または「カルボシクリル」は、3〜7個の炭素原子を有する、単一の飽和(すなわち、シクロアルキル)または単一の部分的に不飽和(例えば、シクロアルケニル、シクロアルカジエニル等)のすべて炭素の環(すなわち(C〜C)炭素環)を指す。また、用語「炭素環」または「カルボシクリル」は、複数の縮合、飽和および部分的に不飽和のすべて炭素の環系(例えば、2、3または4つの炭素環式環を含む環系)を含む。したがって、炭素環は、多環式炭素環(carbocyle)、例えば二環式炭素環(例えば、約6〜12個の炭素原子を有する二環式炭素環、例えばビシクロ[3.1.0]ヘキサンおよびビシクロ[2.1.1]ヘキサン)、および多環式炭素環(例えば、約20個までの炭素原子を有する三環式および四環式炭素環)を含む。複数縮合環系の環は、価数の要件が許す場合、縮合、スピロおよび架橋結合を介して互いに結合され得る。例えば、多環式炭素環は、単一の炭素原子を介して互いに結合して、スピロ結合を形成し(例えば、スピロペンタン、スピロ[4,5]デカン等)、2個の隣接する炭素原子を介して互いに結合して、縮合結合を形成し(例えば、炭素環、例えばデカヒドロナフタレン、ノルサビナン、ノルカラン)、または2個の隣接していない炭素原子を介して互いに結合して、架橋結合を形成することができる(例えば、ノルボルナン、ビシクロ[2.2.2]オクタン等)。また、「炭素環」または「カルボシクリル」は、1つまたは複数(例えば、1、2または3つ)のオキソ基により必要に応じて置換されていてもよい。単環式炭素環の非限定的な例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニルおよび1−シクロヘキサ−3−エニルが挙げられる。
【0032】
「カルボシクリルアルキル」は、炭素原子に結合した水素原子の1個が、本明細書に記載のカルボシクリルラジカル(すなわち、カルボシクリル−アルキル部分)で置き換えられている、本明細書で定義のアルキルラジカルを指す。「カルボシクリルアルキル」のアルキル基は、典型的に、1〜6個の炭素原子(すなわちカルボシクリル(C〜C)アルキル)である。典型的なカルボシクリルアルキル基として、カルボシクリル−CH−、カルボシクリル−CH(CH)−、カルボシクリル−CHCH−、2−(カルボシクリル)エタン−1−イル等が挙げられるが、これらに限定されず、「カルボシクリル」構成部分は、上記のカルボシクリル基のいずれかを含む。
【0033】
用語「ハロアリール」は、本明細書で使用される場合、アリールの1個または複数の水素原子が、ハロ置換基によってそれぞれ独立に置き換えられている、本明細書で定義のアリールを指す。このような範囲は、アリール基のハロゲン化を完了するために、1つのハロ置換基をアリール基上に含む。
【0034】
用語「ハロヘテロアリール」は、本明細書で使用される場合、ヘテロアリールの1個または複数の水素原子が、ハロ置換基によってそれぞれ独立に置き換えられている、本明細書で定義のヘテロアリールを指す。このような範囲は、ヘテロアリール基のハロゲン化を完了するために、1つのハロ置換基をヘテロアリール基上に含む。
【0035】
用語「ハロ複素環」は、本明細書で使用される場合、複素環の1個または複数の水素原子が、ハロ置換基によってそれぞれ独立に置き換えられている、本明細書で定義の複素環を指す。このような範囲は、複素環基のハロゲン化を完了するために、1つのハロ置換基を複素環基上に含む。
【0036】
当業者は、容認できるほど安定な医薬組成物に製剤化され得る薬学的に有用な化合物を提供するのに十分に安定な化合物を提供するために、式Iの化合物の置換基および他の部分を選択すべきであることを認識されよう。このような安定性を有する式Iの化合物は、本発明の範囲に含まれることが企図される。
【0037】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記述されている値の全てを含み、文脈によって定められた意味を有する(例えば、特定量の測定に関連する誤差の程度を含む)。用語「約」は、化学測定の文脈では、「〜」によって記号により表すこともできる(例えば、〜50mgまたはpH〜7)。
【0038】
用語「処置」または「処置する」は、疾患または状態に関する程度において、疾患もしくは状態の発生の防止、疾患もしくは状態の阻害、疾患もしくは状態の排除、ならびに/または疾患もしくは状態の1つもしくは複数の症状の軽減を含む。
【0039】
立体異性体
本明細書で使用される立体化学の定義および慣習は、一般に、S. P. Parker編、McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984年)McGraw−Hill Book Company、New York;およびEliel, E.およびWilen, S.、Stereochemistry of Organic Compounds(1994年)John Wiley & Sons, Inc.、New Yorkに従う。
【0040】
用語「キラル」は、鏡像パートナーと重ね合わせることができない特性を有する分子を指し、用語「アキラル」は、鏡像パートナーと重ね合わせることができる分子を指す。
【0041】
用語「立体異性体」は、同一の化学構成を有するが、空間における原子または基の配置に関して異なっている化合物を指す。
【0042】
「ジアステレオマー」は、分子が互いに鏡像ではない、キラリティーの2個以上の中心または軸を有する立体異性体を指す。ジアステレオマーは、典型的に、異なる物理的特性、例えば融点、沸点、スペクトル特性、および反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動法およびクロマトグラフィーなどの高分解能の分析手順下で分離することができる。
【0043】
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。
【0044】
本明細書に開示の化合物は、キラル中心、例えばキラル炭素原子を有することができる。したがって、このような化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー、およびアトロプ異性体を含めたすべての立体異性体のラセミ混合物を含む。さらに、本明細書に開示の化合物は、任意のまたはすべての不斉キラル原子において富化または分割された光学異性体を含む。このような組成物はまた、鏡像異性体、ジアステレオマー、およびアトロプ異性体を含めたすべての立体異性体のラセミ混合物を含む。さらに、本明細書に開示の組成物は、任意のまたはすべての不斉キラル原子において富化または分割された光学異性体を含む。換言すれば、描写から明らかなキラル中心は、キラル異性体またはラセミ混合物として提供される。ラセミ混合物およびジアステレオマー混合物の両方、ならびに鏡像異性のパートナーまたはジアステレオマーのパートナーを実質的に含まない単離または合成された個々の光学異性体は、すべて本発明の範囲に含まれる。ラセミ混合物は、例えば、形成されたジアステレオマー塩を、光学的に活性な補助剤、例えば酸または塩基を用いて分離した後、光学的に活性な物質に変換して戻すなどの周知の技術によって、それらの実質的に光学的に純粋な個々の異性体に分離することができる。また、所望の光学異性体は、所望の出発材料の適切な立体異性体で始めて、立体特異的反応により合成することができる。
【0045】
本明細書に開示の化合物について、結合が非立体化学的な方式(例えば平坦)で図示されている場合、該結合が添えられている原子は、すべての立体化学的に可能性のあるものを含むことを理解されたい。また、結合が立体化学的な方式(例えば太字、太字のくさび形、破線または破線のくさび形)で図示されている場合、立体化学的な結合が添えられている原子は、別段示されない限り、示されている立体化学を有することを理解されたい。したがって、一実施形態では、本明細書に開示の化合物は、50%超が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも80%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも90%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも98%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも99%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、50%超が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも80%が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも90%が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも98%が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の化合物は、少なくとも99%が単一のジアステレオマーである。
【0046】
したがって、一実施形態では、本明細書に開示の組成物は、50%超が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも80%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも90%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも98%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも99%が単一の鏡像異性体である。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、50%超が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも80%が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも90%が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも98%が単一のジアステレオマーである。別の実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも99%が単一のジアステレオマーである。
【0047】
互変異性体
本明細書に開示の化合物は、ある特定の場合には互変異性の異性体として存在することもできる。わずか1つの非局在化共鳴構造が図示され得るが、すべてのこのような形態が、本発明の範囲に含まれることが企図される。例えば、プリン、ピリミジン、イミダゾール、グアニジン、アミジンおよびテトラゾール系では、エン−アミン互変異性体が存在することができ、それらの可能なすべての互変異性体の形態は、本発明の範囲に含まれる。
【0048】
保護基
「保護基」は、官能基の特性または化合物の特性を全体的にマスクするまたは変更する化合物の部分を指す。保護/脱保護のための化学的保護基および戦略は、当技術分野で周知である。例えば、Protective Groups in Organic Chemistry、Theodora W. Greene、John Wiley & Sons, Inc.、New York、1991年参照。保護基は、ある特定の官能基の反応性をマスクして、所望の化学反応の効率を補助し、例えば規則正しくかつ計画された様式で化学結合を生成し、破壊するためにしばしば利用される。化合物の官能基の保護により、保護された官能基の反応性に加えて、他の物理的特性、例えば極性、親油性(疎水性)、および一般的な分析ツールによって測定できる他の特性が変わる。化学的に保護された中間体は、それら自体が生物学的に活性または不活性になり得る。
【0049】
塩および水和物
本明細書に開示の化合物の薬学的に許容される塩の例として、適切な塩基、例えばアルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびNX(Xは、C〜Cアルキルである)から導出された塩が挙げられる。窒素原子またはアミノ基の薬学的に許容される塩として、例えば有機カルボン酸、例えば酢酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸およびコハク酸;有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸;ならびに無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸およびスルファミン酸の塩が挙げられる。化合物のヒドロキシ基の薬学的に許容される塩として、適切なカチオン、例えばNaおよびNX(各Xは、独立に、HまたはC〜Cアルキル基から選択される)と組み合わされる前記化合物のアニオンが挙げられる。
【0050】
薬学的に許容される塩は、薬学的に許容され、親化合物の所望の薬理学的活性を有する(または有する形態に変換し得る)、化合物の塩を指し得る。本明細書に開示の化合物の「薬学的に許容される塩」の例として、適切な塩基、例えばアルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびNX(Xは、C〜Cアルキルである)から導出された塩が挙げられる。窒素原子またはアミノ基の薬学的に許容される塩として、例えば有機カルボン酸、例えば酢酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、酒石酸、マレイン酸、マロン酸、リンゴ酸、マンデル酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、コハク酸、2−ナフタレンスルホン酸(2−napththalenesulfonic)、オレイン酸、パルミチン酸、プロピオン酸、ステアリン酸およびトリメチル酢酸;有機スルホン酸、例えばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸;ならびに無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸およびスルファミン酸の塩が挙げられる。化合物のヒドロキシ基の薬学的に許容される塩として、適切なカチオン、例えばNaおよびNX(Xは、独立に、HまたはC〜Cアルキル基から選択される)と組み合わされる前記化合物のアニオンが挙げられる。また、薬学的に許容される塩として、親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンのいずれかによって置き換えられるか、または有機塩基、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン等と配位結合する場合に形成される塩が挙げられる。また、この定義には、アンモニウム、および置換または四級化されたアンモニウム塩が含まれる。薬学的に許容される塩の代表的な非限定的な一覧は、S.M. Bergeら、J. Pharma Sci.、66巻(1号)、1〜19頁(1977年)、およびRemington: The Science and Practice of Pharmacy、R. Hendrickson編、第21版、Lippincott、Williams & Wilkins、Philadelphia、PA、(2005年)、732頁、表38−5に見出すことができ、両方の文献は、本明細書において参照によって本明細書に組み込まれる。
【0051】
治療上の使用のために、本明細書に開示の化合物の活性成分の塩は、典型的に、薬学的に許容され、すなわち生理学的に許容される酸または塩基から導出された塩である。しかし例えば、式Iの化合物または本明細書に開示の別の化合物の調製または精製では、薬学的に許容されない酸または塩基の塩を使用することもできる。生理学的に許容される酸または塩基から導出されたか否かに関わらず、あらゆる塩が本発明の範囲に含まれる。
【0052】
金属塩は、典型的に、金属水酸化物と本明細書に開示の化合物を反応させることによって調製される。このようにして調製される金属塩の例は、Li、NaおよびKを含有する塩である。可溶性の低い金属塩は、適切な金属化合物を添加することによって、可溶性がより高い塩の溶液から沈殿させることができる。
【0053】
さらに塩は、ある特定の有機および無機酸、例えば、HCl、HBr、HSO、HPOまたは有機スルホン酸を、塩基の中心、例えばアミンに酸付加することによって形成され得る。最後に、本明細書の組成物は、本明細書に開示の化合物を、それらの非イオン化形態、ならびに双性イオン形態、および水和物でのように化学量論量の水との組合せで含むことを理解されたい。
【0054】
しばしば、結晶化によって、本発明の化合物の溶媒和物が生成される。本明細書で使用される場合、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物の1つまたは複数の分子と、溶媒の1つまたは複数の分子とを含む凝集体を指す。溶媒は、水であってもよく、その場合、溶媒和物は水和物であり得る。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物は、一水和物、二水和物、半水和物、セスキ水和物、三水和物、四水和物等を含めた水和物として、ならびに対応する溶媒和形態として存在し得る。本発明の化合物は、真の溶媒和物であってもよく、一方、他の場合には、本発明の化合物は、単に偶発的な(adventitious)水を保持することができ、または水および偶発的ないくらかの溶媒との混合物であってもよい。
【0055】
同位体
本発明はまた、任意のまたはすべての原子において、天然に存在する同位体比を超えて1つまたは複数の同位体、例えば限定されるものではないが重水素(HまたはD)が富化され得る、特許請求される任意の化合物を含むことが、当業者には理解される。非限定的な例として、−CH基は、−CDで置換され得る。
【0056】
本発明の実施形態のラジカル、置換基および範囲に関して以下に列挙する具体的な値は、単に例示的なものであり、ラジカルおよび置換基について定義された他の値、またはラジカルおよび置換基について定義された範囲に含まれる他の値は排除されない。
【0057】
式Iの化合物
式Iの化合物の具体的な群は、式Iaの化合物
【化2】
またはその塩である。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0058】
式Iの化合物の別の具体的な群は、式Ibの化合物
【化3】
またはその塩である。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0059】
式Iの化合物の別の具体的な群は、式Icの化合物
【化4】
[式中、フェニルCは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている]またはその塩である。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0060】
式Iの化合物の別の具体的な群は、式Idの化合物
【化5】
[式中、フェニルCは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている]またはその塩である。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0061】
式Iの化合物の別の具体的な群は、式Ieの化合物
【化6】
[式中、フェニルCは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている]またはその塩である。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0062】
式Iの化合物の別の具体的な群は、式Ifの化合物
【化7】
[式中、フェニルCは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている]またはその塩である。ある特定の実施形態では、塩は、薬学的に許容される塩である。
【0063】
以下に列挙した具体的な値は、式Iの化合物、ならびに式Ia、Ib、Ic、Id、IeおよびIfの化合物に関する値である。
【0064】
式Iの化合物の具体的な群は、各R1aが、Hまたは(C〜C)アルキルであり、各R2aが、Hであり、各R2bが、Hである化合物である。
【0065】
1aの具体的な値は、Hまたは(C〜C)アルキルである。
【0066】
2aの具体的な値は、Hである。
【0067】
2bの具体的な値は、Hである。
【0068】
nの具体的な値は、2、3または4である。
【0069】
nの別の具体的な値は、1、2、3または4である。
【0070】
式Iの化合物の具体的な群は、各Qが、独立に、−CH−、−S−もしくは−S(=O)−であり、または2つの隣接するQ基が、一緒になって、−CH=CH−になる化合物である。
【0071】
式Iの化合物の具体的な群は、各Qが、独立に、−CH−、−S−または−S(=O)−である化合物である。
【0072】
の具体的な値は、−CH=CHCH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−CHCH=CH−、−CHSCH−、−CHS(=O)CH−、−CH=CH−、−CHS(CH−、−CHS(=O)(CH−、−CHS−、−CHS(=O)−、−SCH−または−S(=O)CH−である。
【0073】
式Iの化合物の具体的な群は、各Qが、独立に、−C(R2a−、−O−、−NR−、−S−、−C(=O)−、−S(=O)−および−S(=O)−から選択され、または2つの隣接するQ基が、一緒になって、−CR2b=CR2b−になることができ、ただし、−O−、−NR−および−S−から選択される2つの基が、互いに隣接していない化合物である。
【0074】
一実施形態では、−O−、−NR−および−S−から選択される2つのQ基は、互いに隣接することができない。
【0075】
Xの具体的な値は、CHである。
【0076】
Cの具体的な値は、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0077】
Cの具体的な値は、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYは、Cの隣接する環原子に結合されている。
【0078】
Cの具体的な値は、フェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールであり、Cの任意のフェニル、5員のヘテロアリールまたは6員のヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYは、Cの3個の連続する環原子の第1の原子および第3の原子に結合されている。
【0079】
Cの具体的な値は、フェニルであり、Cの任意のフェニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0080】
Cの具体的な値は、フェニルであり、Cの任意のフェニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYは、Cの隣接する環原子に結合されている。
【0081】
Cの具体的な値は、フェニルであり、Cの任意のフェニルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されており、QおよびYは、Cの3個の連続する環原子の第1の原子および第3の原子に結合されている。
【0082】
の具体的な値は、ハロゲンまたは(C〜C)アルキルである。
【0083】
の具体的な値は、ハロゲンである。
【0084】
の具体的な値は、フルオロである。
【0085】
の具体的な値は、(C〜C)アルキルである。
【0086】
の具体的な値は、メチルである。
【0087】
Aの具体的な値は、アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−であり、Aの任意のアリールまたはアリール(C〜C)アルキル−は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0088】
Aの具体的な値は、アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−であり、アリールまたはアリール(C〜C)アルキル−のアリールは、アリール環中に6〜12個の炭素原子を有しており、Aの任意のアリールまたはアリール(C〜C)アルキル−は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0089】
Aの具体的な値は、フェニルまたはベンジルであり、Aの任意のフェニルまたはベンジルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0090】
Aの具体的な値は、アリールであり、アリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0091】
Aの具体的な値は、アリールであり、アリールは、アリール環中に6〜12個の炭素原子を有しており、アリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0092】
Aの具体的な値は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されているフェニルである。
【0093】
各Zの具体的な値は、独立に、ハロゲンおよび−O(C〜C)アルキルから選択される。
【0094】
各Zの具体的な値は、独立に、クロロおよび−OMeから選択される。
【0095】
各Zの具体的な値は、独立に、クロロおよび−OMeから選択される。
【0096】
Aの具体的な値は、4−メトキシフェニル、4−クロロフェニルまたはベンジルである。
【0097】
の具体的な値は、ハロゲンまたは−ORn1である。
【0098】
n1の具体的な値は、(C〜C)アルキルである。
【0099】
Bの具体的な値は、ヘテロアリールであり、ヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0100】
Bの具体的な値は、ヘテロアリールであり、ヘテロアリールは、ヘテロアリール環系中に2〜10個の炭素原子および1〜5個のヘテロ原子(heteratom)を有しており、ヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0101】
Bの具体的な値は、二環式ヘテロアリールであり、二環式ヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0102】
Bの具体的な値は、二環式ヘテロアリールであり、二環式ヘテロアリールは、二環式ヘテロアリール環系中に4〜10個の炭素原子および1〜5個のヘテロ原子を有しており、二環式ヘテロアリールは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0103】
Bの具体的な値は、インドリル、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジニルまたはピラゾリルであり、Bの任意のインドリル、1H−ピロロ[3,2−b]ピリジニルまたはピラゾリルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ基により必要に応じて置換されている。
【0104】
各Zの具体的な値は、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲンおよび−ORn3から選択され、Zの任意の(C〜C)アルキルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2a基により必要に応じて置換されている。
【0105】
各Rn3の具体的な値は、Hまたは(C〜C)アルキルであり、Rn3の任意の(C〜C)アルキルは、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4または5つ)のZ2a基により必要に応じて置換されている。
【0106】
各Rn3の具体的な値は、Hまたはメチルである。
【0107】
各Zの具体的な値は、独立に、(C〜C)アルキル、ハロゲン、−OHおよび−O(C〜C)アルキルから選択され、(C〜C)アルキルは、1個または複数(例えば、1、2、3、4または5個)のハロゲンにより必要に応じて置換されている。
【0108】
各Zの具体的な値は、独立に、トリフルオロメチル(trifluormethyl)、フルオロ、ヒドロキシおよびメトキシから選択される。
【0109】
Bの具体的な値は、
【化8】
から選択され、波線は、Bと、式Iの化合物のWおよびQの結合点を示す。
【0110】
Aの具体的な値は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに図示されているAに関する値である。
【0111】
Bの具体的な値は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに図示されているBに関する値である。
【0112】
Cの具体的な値は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに図示されているCに関する値である。
【0113】
Qの具体的な値は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに図示されているQに関する値である。
【0114】
Xの具体的な値は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに図示されているXに関する値である。
【0115】
の具体的な値は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに図示されているRに関する値である。
【0116】
一実施形態は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに記載の式Iの化合物を提供する。
【0117】
一実施形態は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに記載の式Iの化合物の異性体(例えば、立体異性体、例えば鏡像異性体またはジアステレオマー)を提供する。
【0118】
一実施形態は、本明細書で以下に記載した例のいずれかまたはすべてに記載の式Iの化合物のラセミ混合物を提供する。
【0119】
一実施形態では、ヘテロアリールは、1、2、3または4つの環を有する環系である。
【0120】
一実施形態では、ヘテロアリールは、1、2または3つの環を有する環系である。
【0121】
一実施形態では、ヘテロアリールは、1または2つの環を有する環系である。
【0122】
一実施形態では、複素環は、2、3または4つの環を有する環系である。
【0123】
一実施形態では、複素環は、1、2、3または4つの環を有する環系である。
【0124】
一実施形態では、複素環は、1、2または3つの環を有する環系である。
【0125】
一実施形態では、複素環は、1または2つの環を有する環系である。
【0126】
一実施形態では、複素環は、2、3または4つの環を有する環系である。
【0127】
一実施形態では、式Iの化合物は、
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
およびその塩から選択される。
【0128】
組合せ治療
一実施形態では、本発明は、治療有効量の本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩を、HIV感染症を処置するのに適した治療有効量の1種または複数の追加の治療剤と組み合わせて、HIV感染症の処置を必要としている患者に投与するステップを含む、HIV感染症を処置する方法を提供する。
【0129】
一実施形態では、治療有効量の本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩を、治療有効量の1種または複数の追加の治療剤と組み合わせてヒトに投与するステップを含む、感染症を有しているまたは感染症を有する危険性があるヒトのHIV感染症を処置または防止する方法が提供される。
【0130】
一実施形態では、本発明は、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1つの追加の治療剤、および薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて含む医薬組成物を提供する。例えば、本明細書に開示の化合物と組み合わせて使用される治療剤は、いかなる抗HIV剤であってもよい。
【0131】
一実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩を、1種または複数の追加の治療剤と組み合わせて含む、組合せの医薬品が提供される。
【0132】
一実施形態は、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも1つの追加の治療剤、および薬学的に許容されるキャリアと組み合わせて含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、追加の治療剤は、抗HIV剤であり得る。例えば、一部の実施形態では、追加の治療剤は、HIVプロテアーゼ阻害化合物(HIVプロテアーゼ阻害剤)、HIVの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIVのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、HIVインテグラーゼ阻害剤、HIV非触媒部位(またはアロステリック)インテグラーゼ阻害剤、侵入阻害剤(例えば、CCR5阻害剤、gp41阻害剤(すなわち、縮合阻害剤)およびCD4付着阻害剤)、CXCR4阻害剤、gp120阻害剤、G6PDおよびNADH−オキシダーゼ阻害剤、カプシド重合阻害剤またはカプシド撹乱化合物、例えばUS2013/0165489(ペンシルベニア大学)およびWO2013/006792(Pharma Resources)に開示のもの、薬物動態増進剤、およびHIVを処置するための他の薬物、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される。
【0133】
さらなる実施形態では、追加の治療剤は、
(1)アンプレナビル、アタザナビル、ホスアンプレナビル、インジナビル、ロピナビル、リトナビル、ネルフィナビル、サキナビル、チプラナビル、ブレカナビル、ダルナビル、TMC−126、TMC−114、モゼナビル(DMP−450)、JE−2147(AG1776)、L−756423、RO0334649、KNI−272、DPC−681、DPC−684、GW640385X、DG17、PPL−100、DG35およびAG1859からなる群から選択されるHIVプロテアーゼ阻害剤;
(2)カプラビリン、エミビリン、デラビリジン(delaviridine)、エファビレンツ、ネビラピン、(+)カラノリド(calanolide)A、エトラビリン、GW5634、DPC−083、DPC−961、DPC−963、MIV−150、TMC−120、リルピビリン(rilpivirene)、BILR355BS、VRX840773、レルシビリン(UK−453061)、RDEA806、KM023およびMK−1439からなる群から選択される逆転写酵素のHIV非ヌクレオシドまたは非ヌクレオチド阻害剤;
(3)ジドブジン、エムトリシタビン、ジダノシン、スタブジン、ザルシタビン、ラミブジン、アバカビル、アムドキソビル、エルブシタビン、アロブジン、MIV−210、±−FTC、D−d4FC、エムトリシタビン、ホスファジド(phosphazide)、ホジブジンチドキシル、アプリシタビン(apricitibine)(AVX754)、アムドキソビル、KP−1461、GS−9131(Gilead Sciences)およびホサルブジンチドキシル(以前はHDP99.0003)からなる群から選択されるHIVのヌクレオシド逆転写酵素阻害剤;
(4)テノホビル、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩、テノホビルアラフェナミドフマル酸塩(Gilead Sciences)、テノホビルアラフェナミド(Gilead Sciences)、GS−7340(Gilead Sciences)、GS−9148(Gilead Sciences)、アデホビル、アデホビルジピボキシル、CMX−001(Chimerix)またはCMX−157(Chimerix)からなる群から選択されるHIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤;
(5)クルクミン、クルクミンの誘導体、チコリ酸、チコリ酸の誘導体、3,5−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸の誘導体、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸の誘導体、コーヒー酸フェネチルエステル、コーヒー酸フェネチルエステルの誘導体、チロホスチン、チロホスチンの誘導体、ケルセチン、ケルセチンの誘導体、S−1360、AR−177、L−870812およびL−870810、ラルテグラビル、BMS−538158、GSK364735C、BMS−707035、MK−2048、BA011、エルビテグラビル、ドルテグラビルおよびGSK−744からなる群から選択されるHIVインテグラーゼ阻害剤;
(6)限定されるものではないが、BI−224436、CX0516、CX05045、CX14442、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、WO2009/062285(Boehringer Ingelheim)、WO2010/130034(Boehringer Ingelheim)、WO2013/159064(Gilead Sciences)、WO2012/145728(Gilead Sciences)、WO2012/003497(Gilead Sciences)、WO2012/003498(Gilead Sciences)に開示されている化合物を含めた、HIV非触媒部位またはアロステリックインテグラーゼ阻害剤(NCINI);
(7)エンフビルチド、シフビルチド(sifuvirtide)、アルブビルチド(albuvirtide)、FB006MおよびTRI−1144からなる群から選択されるgp41阻害剤;
(8)CXCR4阻害剤AMD−070;
(9)侵入阻害剤SP01A;
(10)gp120阻害剤BMS−488043;
(11)G6PDおよびNADH−オキシダーゼ阻害剤イムニチン(immunitin);
(12)アプラビロク、ビクリビロク、マラビロク、セニクリビロク、PRO−140、INCB15050、PF−232798(Pfizer)およびCCR5mAb004からなる群から選択されるCCR5阻害剤;
(13)イバリズマブ(TMB−355)およびBMS−068(BMS−663068)からなる群から選択されるCD4付着阻害剤;
(14)コビシスタットおよびSPI−452からなる群から選択される薬物動態増進剤;ならびに
(15)BAS−100、SPI−452、REP9、SP−01A、TNX−355、DES6、ODN−93、ODN−112、VGV−1、PA−457(ベビリマット(bevirimat))、HRG214、VGX−410、KD−247、AMZ0026、CYT99007A−221HIV、DEBIO−025、BAY50−4798、MDX010(イピリムマブ)、PBS119、ALG889およびPA−1050040(PA−040)からなる群から選択される、HIVを処置するための他の薬物
の1つまたは複数から選択される。
【0134】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、2種、3種、4種もしくはそれより多くの追加の治療剤と組み合わされる。ある特定の実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、2種の追加の治療剤と組み合わされる。他の実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、3種の追加の治療剤と組み合わされる。さらなる実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、4種の追加の治療剤と組み合わされる。2種、3種、4種もしくはそれより多くの追加の治療剤は、同じクラスの治療剤から選択された異なる治療剤であってよく、または異なるクラスの治療剤から選択され得る。具体的な一実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤およびHIVの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤と組み合わされる。別の具体的な実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤およびHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。さらなる一実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、HIVの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、およびHIVプロテアーゼ阻害化合物と組み合わされる。さらなる一実施形態では、本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩は、HIVのヌクレオチド逆転写酵素阻害剤、HIVの非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤、および薬物動態増進剤と組み合わされる。
【0135】
一部の実施形態では、本明細書に開示の化合物の1つまたは複数は、患者に同時または逐次投与するための単位剤形で、1種または複数の他の活性な治療剤と組み合わされる。組合せ治療は、同時または逐次的レジメンとして投与され得る。逐次投与される場合、組合せは、2回以上の投与で投与され得る。
【0136】
一部の実施形態では、本明細書に開示の化合物の1つまたは複数は、1種または複数の他の活性な治療剤と共投与される。本明細書に開示の化合物と1種または複数の他の活性な治療剤との共投与とは、一般に、本明細書に開示の治療有効量および1種または複数の他の活性な治療剤の両方が、患者体内に存在するように、本明細書に開示の化合物および1種または複数の他の活性な治療剤を同時または逐次投与することを指す。
【0137】
さらに別の実施形態では、本願は、治療有効量の本明細書に開示の化合物または薬学的に許容されるその塩を、上に開示したものなどの治療有効量の1種または複数の追加の治療剤と組み合わせて、HIV感染症の処置を必要としている患者に投与するステップを含む、HIV感染症を処置する方法を提供する。
【0138】
医薬製剤
本明細書に開示の化合物は、通常の実務に従って選択される従来のキャリア(例えば、不活性成分または添加剤材料)を用いて製剤化される。錠剤は、流動促進剤、充填剤、結合剤等を含めた添加剤を含有する。水性製剤は、無菌形態で調製され、経口投与以外による送達を企図される場合には、一般に等張である。あらゆる製剤が、Handbook of Pharmaceutical Excipients(1986年)に記載のものなどの添加剤を、必要に応じて含有する。添加剤として、アスコルビン酸および他の抗酸化剤、キレート剤、例えばEDTA、炭水化物、例えばデキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸等が挙げられる。一実施形態は、製剤を、固体経口剤形を含めた固体剤形として提供する。製剤のpHは、約3〜約11の範囲であるが、普通は約7〜10である。
【0139】
活性成分は、単独で投与することが可能であるが、医薬製剤(組成物)として存在することが好ましい場合がある。動物およびヒトの両方に使用するための本発明の製剤は、上に定義の少なくとも1つの活性成分を、1種または複数の許容されるキャリア、および必要に応じて他の治療成分と一緒に含む。キャリア(複数可)は、製剤の他の成分と適合性があり、製剤のレシピエントに対して生理学的に無害であるという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0140】
製剤には、上述の投与経路に適したものが含まれる。製剤は、好都合には、単位剤形で存在することができ、薬学分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。技術および製剤は、一般に、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Co.、ペンシルベニア州、イーストン)に見出される。このような方法は、活性成分を、1種または複数の補助成分を構成する不活性成分(例えば、キャリア、医薬添加剤等)と会合させるステップを含む。一般に製剤は、活性成分を、液体キャリアまたは微紛化固体キャリアまたはその両方と、均一かつ十分に会合させ、次に、必要な場合、生成物を成形することによって調製される。
【0141】
経口投与に適した本発明の製剤は、限定されるものではないが、所定量の活性成分をそれぞれ含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤を含めた別個の単位として提供され得る。
【0142】
本発明による医薬製剤は、本明細書に開示の1つまたは複数の化合物を、1種または複数の薬学的に許容されるキャリアまたは添加剤、および必要に応じて他の治療剤と一緒に含む。活性成分を含有する医薬製剤は、企図された投与方法に適した任意の形態であり得る。経口使用のために使用される場合、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性散剤もしくは顆粒剤、乳剤、硬質もしくは軟質カプセル剤、シロップ剤、またはエリキシル剤が調製され得る。経口使用を企図された組成物は、医薬組成物の製造分野で公知の任意の方法に従って調製することができ、このような組成物は、美味な調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤を含めた1種または複数の剤を含有し得る。錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される添加剤との混和物中に活性成分を含有する錠剤は、許容される。これらの添加剤は、例えば、不活性賦形剤、例えば炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、ラクトース一水和物、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン、またはアルギン酸;結合剤、例えばセルロース、微結晶性セルロース、デンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、または胃腸管内での崩壊および吸着を遅延させ、それによって長期間にわたって持続作用をもたらすためのマイクロカプセル化を含めた公知の技術によってコーティングすることができる。例えば、時間遅延材料、例えばモノステアリン酸グリセリルもしくはジステアリン酸グリセリルを単独で用いることができ、またはワックスと共に用いることができる。
【0143】
剤形を生成するために不活性成分と組み合わされる活性成分の量は、処置される宿主および特定の投与様式に応じて変わる。例えば、一部の実施形態では、ヒトに経口投与するための剤形は、適切な好都合な量のキャリア材料(例えば、不活性成分または添加剤材料)を用いて製剤化される、およそ1〜1000mgの活性材料を含有する。ある特定の実施形態では、キャリア材料は、全組成物の約5〜約95%(重量:重量)で変わる。
【0144】
本発明の製剤は、特に上に述べた成分に加えて、問題の製剤のタイプを考慮して、当技術分野で通常の他の薬剤を含むことができ、例えば、経口投与に適した製剤は、香味剤を含み得ることを理解されたい。
【0145】
本発明はさらに、上に定義の少なくとも1つの活性成分を、動物用のキャリアと一緒に含む、動物用の組成物を提供する。
【0146】
動物用のキャリアは、組成物を投与する目的に有用な材料であり、獣医学分野において別段不活性であるかまたは許容され、活性成分と適合性がある、固体、液体または気体の材料であり得る。これらの動物用の組成物は、経口、非経口または任意の他の望ましい経路によって投与され得る。
【0147】
活性成分の有効用量は、少なくとも、処置を受ける状態の性質、毒性、化合物が予防のために(より低用量で)使用されるかどうか、送達方法、および医薬製剤に応じて決まり、慣習的な用量漸増研究を使用して臨床医によって決定される。
【0148】
投与経路
本明細書に開示の1つまたは複数の化合物(本明細書では活性成分と呼ばれる)は、処置される状態に適した任意の経路によって投与される。適切な経路として、経口、直腸、鼻、局所(頬側および舌下を含む)、膣および非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内、髄腔内および硬膜外を含む)等が挙げられる。好ましい経路は、例えばレシピエントの状態と共に変わり得ることを理解されよう。本明細書に開示の化合物の利点は、経口で生体利用可能であり、経口投与できるということである。
【0149】
本発明の化合物の抗ウイルス特性は、下記の試験Aを使用して決定することができる。
【0150】
試験A:MT4細胞における抗ウイルスアッセイ
抗ウイルスアッセイでは、10%FBSを含む培養培地中、1×試験濃度の3倍連続希釈化合物40μLを、4通りで384−ウェルプレートの各ウェルに添加した(10種類の濃度)。次に、MT−4細胞をm.o.i0.003でHIV−IIIbと1時間混合し、その直後、ウイルス/細胞混合物35μL(2000個の細胞)を、希釈化合物40μLを含有する各ウェルに添加した。次に、プレートを37℃で5日間インキュベートした。5日間インキュベートした後、2倍濃縮CellTiter−Glo(商標)試薬(カタログ番号G7571、Promega Biosciences,Inc.、ウイスコンシン州、マディソン)25μlを、MT−4細胞を含有する各ウェルに添加した。細胞の溶解を、室温で10分間インキュベートすることによって実施し、次に化学発光を読み取った。EC50値は、HIV−1複製の尺度である発光シグナルの50%低下を引き起こした化合物濃度として定義した。
【0151】
試験B:細胞傷害性アッセイ
化合物の細胞傷害性および対応するCC50値を、非感染細胞を使用したことを除き、抗ウイルスアッセイ(試験A)に記載したものと同じプロトコルを使用して決定した。
【0152】
本明細書に開示の化合物により、以下の表に示されている通りの抗ウイルス活性が実証される(試験A)。したがって、本明細書に開示の化合物は、HIVウイルス感染症を処置し、AIDSを処置し、またはAIDSもしくはARC症状の発症を遅延するのに有用となり得る。表には、2uMの試験化合物の存在下でのウイルス誘発性の細胞死滅の阻害百分率および化合物の細胞傷害性に対応する値(CC50)が示されている。
【表1】
【0153】
一実施形態では、化合物により、2μMで>10%の阻害が実証される。一実施形態では、化合物により、2μMで>30%の阻害が実証される。一実施形態では、化合物により、2μMで>50%の阻害が実証される。一実施形態では、化合物により、2μMで>70%の阻害が実証される。本明細書に開示の化合物は、上記の通り、それらの阻害%に従って分類できることを理解されたい。
【0154】
観測される具体的な薬理学的応答は、選択された特定の活性化合物、または医薬キャリアが存在するかどうか、ならびに用いられる製剤のタイプおよび投与様式に従って、かつ、それらに応じて変わり得、結果におけるこのような予期される変動または差異は、本発明の実施により想定される。
【0155】
本明細書に提供される実施例では、本明細書に開示の化合物、ならびに化合物を調製するために使用される中間体の合成を記載する。本明細書に記載の個々のステップは、組み合わせられ得ることを理解されたい。また、化合物の別個のバッチは、組み合わされ、次に、次の合成ステップに持ち越され得ることを理解されたい。
【実施例】
【0156】
(実施例1〜4)化合物1〜4の調製
【化14】
(S)−tert−ブチル3−(3−ヨードフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(3−ヨードフェニル)プロパン酸(3.8g、9.65mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、4.4g、11.6mmol)およびDIPEA(2.5ml、14.5mmol)を、DMF(10ml)に溶解し、4−メトキシ−N−メチルアニリン(1.59g、11.6mmol)で処理した。混合物を、終夜室温で激しく撹拌した。混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、ブライン(2×50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。油性の粗製生成物を、シリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(15〜38%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(4.63g、9.07mmol)、94%を得た。MS(m/z)511[M+H]
【0157】
(S)−tert−ブチル3−(3−アリルフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−ヨードフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(2.65g、5.2mmol)、2−アリル−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(1.13g、6.75mmol)、炭酸カリウム(26ml、0.4M)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.6g、0.52mmol)のトルエン78ml懸濁液を、6時間加熱還流させ、冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(1.75g、4.1mmol)、79%を得た。MS(m/z)425[M+H]
【0158】
(S)−tert−ブチル2−(3−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)プロパ−1−エニル)−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−アリルフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(220mg、0.52mmol)、tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(297mg、0.78mmol)、重炭酸ナトリウム(435mg、5.2mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(60mg、0.05mmol)のDMF4ml懸濁液を、125℃に終夜加熱した。反応物を室温に冷却し、次にセライトで濾過した。濾液を濃縮し、粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(30〜60%EtOAc/ヘキサン(Hexans))によって精製して、所望の生成物(178mg、0.25mmol)、47%を得た。MS(m/z)726[M+H]
【0159】
(S)−2−(2−(3−(3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)プロピル)−1H−インドール−3−イル)酢酸の合成
(S)−tert−ブチル2−(3−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)プロパ−1−エニル)−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(178mg、0.24mmol)およびパラジウム炭素(134mg、10%)のエタノール2.5mlおよびEtOAc2.5ml懸濁液を、窒素で脱気した。反応物を、Hの雰囲気下で1気圧において、室温で3時間撹拌した。懸濁液を窒素でパージし、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、粗製生成物をさらなる精製なしに使用した。MS(m/z)728[M+H]。粗製生成物を、テトラヒドロフラン1mlに再溶解させ、その溶液に、メタノール1mlおよび2N(水溶液)水酸化リチウム2mlを添加した。溶液を60℃で2時間加熱した。溶液を氷浴中で冷却し、1N(水溶液)HClで酸性にした。得られた混合物をEtOAc(2×25ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。TFA(2ml)を粗製生成物に添加した。20分後、溶媒を除去し、残渣を高真空下で乾燥させた。粗製生成物を、さらなる精製なしに使用した。粗製生成物の収量は、(100mg、0.2mmol)であった。MS(m/z)500[M+H]
【0160】
(4S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミド(1)の合成
(S)−2−(2−(3−(3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニル)プロピル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(100mg、0.2mmol)およびDIPEA(0.35ml、2mmol)のDMF(65ml)溶液に、DMF2mlに入れたジフェニルホスホリルアジド(275mg、1mmol)を滴下添加した。反応物を終夜室温で撹拌した。酢酸1mlおよびメタノール5mlを、その混合物に添加して、反応をクエンチした。溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAc(50ml)に溶解した。溶液をブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製した。精製した生成物のDMF溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜85%Bの勾配を使用して、25分かけて精製して(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)、所望の生成物を得た。収量は、TFA塩23mgであった。MS(m/z)482[M+H]
【0161】
また、(4S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミド(1)を調製するために使用した手順を使用して、実施例2、3および4の化合物2、3および4を調製した。実施例2のベンジル保護基を、オレフィン中間体の水素化分解中に同時に除去した。
【化15】
【0162】
中間体I−1A
【化16】
(S)−tert−ブチル3−(3−(ブタ−3−エニル)フェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−ヨードフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(510mg、1.0mmol)、Pd(dppf)Cl(10mol%)のTHF(5ml)溶液に、ブタ−3−エニルマグネシウムブロミド(8ml、4mmol、THF中0.5M)を添加した。次いで、溶液を終夜加熱還流させた。溶液を冷却し、塩化アンモニア(水溶液)でクエンチし、セライトで濾過した。濾液をEtOAc(2×25ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(270mg、0.62mmol)、62%を得た。MS(m/z)439[M+H]。中間体I−1Aを、実施例4の合成で使用した。
【0163】
中間体I−1B
【化17】
中間体I−1Bの合成は、実施例1の(S)−tert−ブチル3−(3−アリルフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成に類似していた。収率=99%、MS(m/z)411[M+H]。中間体I−1Bを、実施例3の合成で使用した。
【0164】
中間体I−2AおよびI−2B
【化18】
tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(2A)の合成
エチル2−(1H−インドール−3−イル)アセテート(5g、24.6mmol)のDCM25ml溶液に、N−ブロモスクシンイミド(4.38g、24.6mmol)を少量ずつ0℃で添加した。混合物を室温に温め、6時間撹拌した。ジ−tert−ブチルピロカーボネート(10.74g、49.2mmol)、DIPEA(8.6ml、49.5mmol)およびDMAP(触媒)を、その混合物に添加した。反応物を終夜撹拌した。混合物をDCM(100ml)で希釈し、HCl(0.5N、2×50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、シリカによるカラムクロマトグラフィー(5〜20EtOAc/ヘキサン)によって精製して、生成物6.3g(16.5mmol)を得た。MS(m/z)382[M+H]
【0165】
また、エチルtert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(I−2A)を合成する手順を使用して、中間体I−2Bを調製した。
【化19】
【0166】
(実施例5〜14)化合物5〜14の調製
【化20】
(S)−tert−ブチル1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソ−3−(3−ビニルフェニル)プロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(6.3g、13.6mmol)、4,4,5,5−テトラメチル−2−ビニル−1,3,2−ジオキサボロラン(3.3g、20.4mmol)、炭酸カリウム(54ml、0.4M)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.79g、0.68mmol)のDME50ml懸濁液を、終夜加熱還流させた。懸濁液を冷却し、セライトで濾過した。濾液をブラインで洗浄し、セライトで濾過した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(15〜35%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(5.47g、13.33mmol)、94%を得た。MS(m/z)411[M+H]
【0167】
(S)−S−3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチルエタンチオエートの合成
(S)−tert−ブチル1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソ−3−(3−ビニルフェニル)プロパン−2−イルカルバメート(2.9g、7.06mmol)およびチオ酢酸(5ml)のトルエン(30ml)溶液に、アゾビスイソブチロニトリル(3.2ml、トルエン中0.2M)を滴下添加した。溶液を、窒素でパージすることによって30分間脱気した。パージが完了した後、反応物を100℃で2時間加熱した。反応物を室温に冷却し、次にEtOAc(100ml)で希釈した。有機物を重炭酸ナトリウム(3×)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(2.8g、5.74mmol)、81.4%を得た。MS(m/z)487[M+H]
【0168】
(S)−エチル2−(2−((3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
(S)−S−3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチルエタンチオエート(2.8g、5.74mmol)のエタノール(20ml)溶液に、水酸化カリウム(0.64g、11.4mmol)を添加した。10分後、その溶液に、エチル2−(1−アセチル−2−(ブロモメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(2.2g、6.47mmol)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。反応物を1N(水溶液)HClで中和し、次にEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(3〜6%MeOH/DCM)によって精製して、所望の生成物(2.0g、3.0mmol)、52.3%を得た。MS(m/z)660[M+H]
【0169】
(S)−2−(2−((3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)酢酸の合成
(S)−エチル2−(2−((3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(2.0g、3.0mmol)のテトラヒドロフラン3mlおよびメタノール3ml溶液に、2N水酸化リチウム6mlを添加した。反応物を60℃で2時間加熱した。室温に冷却した後、混合物を1N(水溶液)HClで酸性にし、次にEtOAc(2×50ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。TFA(5ml)を粗製生成物に添加した。20分後、溶媒を除去し、残渣を高真空下で乾燥させた。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜85%Bの勾配を使用して、25分かけて精製して(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)、所望の生成物(380mg、0.71mmol)を得た。MS(m/z)532[M+H]
【0170】
(11S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−13−オキソ−3,4,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−1H−9,5−(メテノ)[1,7]チアザシクロヘキサデシノ[3,4−b]インドール−11−カルボキサミドの合成
(S)−2−(2−((3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(380mg、0.71mmol)およびDIPEA(1.23ml、7.1mmol)のDMF(236ml)溶液に、DMF5mlに入れたジフェニルホスホリルアジド(976mg、3.55mmol)を滴下添加した。反応物を終夜室温で撹拌し、次に酢酸1mlおよびメタノール5mlを添加して、反応をクエンチした。溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAc(100ml)に溶解し、ブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製した。精製した生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜85%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩240mgであった。MS(m/z)514[M+H]
【0171】
(11S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−13−オキソ−3,4,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−1H−9,5−(メテノ)[1,7]チアザシクロヘキサデシノ[3,4−b]インドール−11−カルボキサミド2,2−ジオキシドの合成
(11S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−13−オキソ−3,4,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−1H−9,5−(メテノ)[1,7]チアザシクロヘキサデシノ[3,4−b]インドール−11−カルボキサミド(240mg、0.47mmol)のDCM(5ml)溶液に、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(210mg、77%、0.93mmol)を添加した。反応物を2時間撹拌し、次にDCM(20ml)で希釈し、NaHCO(水溶液)およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製した。収量は250mgであった。MS(m/z)546[M+H]
【0172】
E異性体:(4S,12E)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドおよびZ異性体(4S,12Z)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドの合成
微粉化KOH(448mg、8mmol、20当量)を、CCl/t−BuOH/HOの混合物(5/5/1、4mL/4mL/0.8mL)に入れた(11S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−13−オキソ−3,4,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−1H−9,5−(メテノ)[1,7]チアザシクロヘキサデシノ[3,4−b]インドール−11−カルボキサミド2,2−ジオキシドの一部(215mg、0.4mmol)の溶液に、25℃で一度に添加した。得られたスラリーを、80℃で1時間撹拌した。完了したら、反応混合物を飽和NHCl水溶液(10mL)でクエンチし、水(10mL)に注ぎ、EtOAc(30ml)で抽出した。次に、有機層を水(200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜85%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、ZおよびE異性体の混合物としてのTFA塩9mgであった。再精製することによって、純粋なE異性体2mgおよび純粋なZ異性体3.6mgを得た。MS(m/z)480[M+H]
【0173】
また、(11S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−13−オキソ−3,4,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−1H−9,5−(メテノ)[1,7]チアザシクロヘキサデシノ[3,4−b]インドール−11−カルボキサミド(実施例5)を調製するために使用した手順を使用して、対応する中間体I−4BおよびI−4Cを使用して実施例6および7の化合物を調製した。
【化21】
【0174】
また、(11S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−13−オキソ−3,4,10,11,12,13,14,19−オクタヒドロ−1H−9,5−(メテノ)[1,7]チアザシクロヘキサデシノ[3,4−b]インドール−11−カルボキサミド2,2−ジオキシドを調製するために使用した手順を使用して、実施例9および10の化合物を調製した。
【化22】
【0175】
また、(4S,12E)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドおよび(4S,12Z)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミド(11)を調製するために使用した手順を使用して、実施例12、13および14の化合物を調製した。
【化23】
【0176】
中間体I−3AおよびI−3B
【化24】
(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成:(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(3−ブロモフェニル)プロパン酸(660mg、1.92mmol)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、803mg、2.1mmol)およびDIPEA(0.43ml、2.5mmol)を、DMF(10ml)に溶解し、4−メトキシ−N−メチルアニリン(316g、2.3mmol)で処理した。混合物を終夜激しく撹拌した。混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、ブライン(2×50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。油性の粗製生成物を、シリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(15〜38%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(770mg、1.66mmol)、86.5%を得た。MS(m/z)463[M+H]
【0177】
また、(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(I−3A)を合成するために使用した手順を使用して、中間体I−3Bを調製した。
【化25】
【0178】
中間体I−4A、I−4BおよびI−4C
【化26】
エチル2−(1−アセチル−2−(ブロモメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
エチル2−(2−メチル−1H−インドール−3−イル)アセテート(5g、23mmol)の無水酢酸30ml溶液に、p−トルエンスルホン酸一水和物(触媒)を添加した。反応物を80℃に1時間加熱した。反応物を室温に冷却し、無水酢酸を真空中で除去した。残渣をEtOAc(200ml)に溶解し、重炭酸ナトリウム(水溶液)およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜40EtOAc/ヘキサン)によって精製して、3g(11.54mmol)の生成物を得た。生成物を四塩化炭素(24ml)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(2.05g、11.54mmol)を、その溶液に添加した。反応物を30分間加熱還流させた。溶媒を真空中で除去した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(30〜50EtOAc/ヘキサン)によって精製して、3g(8.88mmol)の生成物を得た。MS(m/z)338[M+H]
【0179】
また、エチル2−(1−アセチル−2−(ブロモメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(I−4A)を合成するために使用した手順を使用して、中間体I−4BおよびI−4Cを調製した。
【化27】
【0180】
(実施例15〜17)化合物15〜17の調製
【化28】
エチル2−(1−アセチル−2−(アセチルチオメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
エチル2−(1−アセチル−2−(ブロモメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(I−4A、640mg、1.9mmol)のアセトン(10ml)溶液に、カリウムエタンチオエート(1.3g、11.2mmol)を添加した。溶液を1時間加熱還流させた。溶液を冷却し、次にEtOAc(50ml)で希釈し、NaHCO(水溶液)(2×25ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(10〜30EtOAc/ヘキサン)によって精製して、533mg(1.6mmol、84%)の生成物を得た。MS(m/z)334[M+H]
【0181】
(S)−エチル2−(2−((3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
2−(1−アセチル−2−(アセチルチオメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(392mg、1.17mmol)のエタノール(10ml)溶液に、水酸化カリウム(0.13g、2.32mmol)を添加した。10分後、(S)−tert−ブチル3−(3−(クロロメチル)フェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(507mg、1.17mmol)を、その溶液に添加した。反応物を2時間撹拌し、次に1N(水溶液)HClで中和した。混合物をEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(3〜6%MeOH/DCM)によって精製して、所望の生成物(650mg、1.0mmol)、85%を得た。MS(m/z)646[M+H]
【0182】
(S)−2−(2−((3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)酢酸の合成
(S)−エチル2−(2−((3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(650mg、1.0mmol)のテトラヒドロフラン1ml溶液に、メタノール1mlおよび2N(水溶液)LiOH2mlを添加した。反応物を60℃で2時間加熱した。反応物を室温に冷却し、次に1N(水溶液)HClで酸性にした。混合物をEtOAc(2×50ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。TFA(5ml)を粗製生成物に添加した。20分後、溶媒を除去し、残渣を高真空下で乾燥させた。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜85%Bの勾配を使用して、25分かけて精製して(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)、所望の生成物(160mg、0.31mmol)を得た。MS(m/z)518[M+H]
【0183】
(10S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−12−オキソ−9,10,11,12,13,18−ヘキサヒドロ−1H−8,4−(メテノ)[1,7]チアザシクロペンタデシノ[3,4−b]インドール−10(3H)−カルボキサミドの合成
(S)−2−(2−((3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(160mg、0.31mmol)およびDIPEA(0.54ml、3.1mmol)のDMF(100ml)溶液に、DMF3mlに入れたジフェニルホスホリルアジド(410mg、1.55mmol)を滴下添加した。反応物を終夜室温で撹拌し、次に酢酸1mlおよびメタノール5mlを添加して、反応をクエンチした。溶媒を除去し、残渣をEtOAc(100ml)に溶解し、次にブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製した。生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩76mgであった。MS(m/z)500[M+H]
【0184】
(10S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−12−オキソ−9,10,11,12,13,18−ヘキサヒドロ−1H−8,4−(メテノ)[1,7]チアザシクロペンタデシノ[3,4−b]インドール−10(3H)−カルボキサミド2,2−ジオキシドの合成
(10S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−12−オキソ−9,10,11,12,13,18−ヘキサヒドロ−1H−8,4−(メテノ)[1,7]チアザシクロペンタデシノ[3,4−b]インドール−10(3H)−カルボキサミド(24mg、0.048mmol)のDCM(3ml)溶液に、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(22mg、77%、0.96mmol)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌し、次にDCM(20ml)で希釈した。溶液を、NaHCO(水溶液)およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩17mgであった。MS(m/z)532[M+H]
【0185】
(4S,11Z)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−1,2,3,4,5,13−ヘキサヒドロ−6,10−(メテノ)アザシクロテトラデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドの合成
微粉化KOH(140mg、2.49mmol、22当量)を、CCl/t−BuOH/HOの混合物(5/5/1、1mL/1mL/0.2mL)に入れた(10S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−12−オキソ−9,10,11,12,13,18−ヘキサヒドロ−1H−8,4−(メテノ)[1,7]チアザシクロペンタデシノ[3,4−b]インドール−10(3H)−カルボキサミド2,2−ジオキシドの一部(60mg、0.113mmol)の溶液に、25℃で一度に添加した。次に、得られたスラリーを80℃で1時間撹拌した。完了したら、反応混合物を飽和NHCl水溶液(5mL)でクエンチし、水(5mL)に注ぎ、EtOAc(30ml)で抽出した。有機層を、水(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、ZおよびE異性体混合物としてのTFA塩4mgであった。MS(m/z)466[M+H]
【化29】
【0186】
中間体I−5
【化30】
(S)−tert−ブチル3−(3−ホルミルフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−シアノフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(2.7g、6.60mmole)を、ピリジン(18.6ml)および酢酸(9.3ml)に溶解した。ラネーニッケル(HO中スラリー2.7g)を添加し、得られた懸濁液を46℃で終夜撹拌した。反応が完了したことを、逆相HPLC/MSによって確認した。反応物を室温に冷却し、次にセライトで濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、次にEtOAcとHOの間で分配した。水層をEtOAc(3×)で抽出した。合わせた有機物を、HO(2×)およびブライン(2×)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、高真空下で終夜乾燥させ、さらなる精製なしに使用した。収量は、2.70gであった。MS(m/z)413[M+H]
【0187】
(S)−tert−ブチル3−(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−ホルミルフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(2.71g、6.58mmole)を、メタノール(66ml)に溶解した。溶液を氷浴中で0℃に冷却した。その冷却溶液にNaBHを添加し、得られた反応混合物を30分間撹拌した。反応が完了したことを、tlcおよびHPLC/MSによって確認した。反応物を減圧下で濃縮し、次にEtOAcとHOの間で分配した。水層をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた有機物を、HO(2×)およびブライン(2×)で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物を、フラッシュカラムによってEtOAc/ヘキサンを使用して精製した。収量=1.3g。MS(m/z)415[M+H]
【0188】
(S)−tert−ブチル3−(3−(クロロメチル)フェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−(ヒドロキシメチル)フェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(1..0g、2.42mmole)を、CHCl(5ml)に溶解した。トリフェニルホスフィン(666mg、2.54mmole)を添加した後、N−クロロスクシンイミド(355mg、2.66mmole)を添加した。激しい反応が弱まった後、TLCによって、約10%の未反応の出発材料が残っていたことが示された。300mgのさらなるN−クロロスクシンイミドを添加した。TLCによって、反応が完了したことが示された。反応混合物を、後処理なしにフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。収量=1.0g。MS(m/z)433[M+H]
【0189】
(実施例18〜19)化合物18〜19の調製
【化31】
(S)−S−3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニルエタンチオエートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(464mg、1.0mmol)、カリウムエタンチオエート(171.3mg、1.5mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(46mg、0.05mmol)、キサントホス(58mg、0.1mmol)およびDIPEA(0.35ml、2mmol)の1,4−ジオキサン(4ml)溶液を、マイクロ波反応器内で150℃において20分間加熱した。混合物をセライトで濾過し、セライトをEtOAc(2×50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜45%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(300mg、0.65mmol)、65%を得た。MS(m/z)459[M+H]
【0190】
(S)−エチル2−(2−((3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
(S)−S−3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニルエタンチオエート(335mg、0.73mmol)のエタノール(2ml)溶液に、水酸化カリウム(82mg、1.46mmol)を添加した。10分後、エチル2−(1−アセチル−2−(ブロモメチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(I−4A、272mg、0.8mmol)を添加した。反応物を2時間撹拌し、次に1N(水溶液)HClで中和し、次にEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製して、所望の生成物(347mg、0.55mmol)、75.3%を得た。MS(m/z)632[M+H]
【0191】
(S)−2−(2−((3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)酢酸の合成
(S)−エチル2−(2−((3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)アセテート(347mg、0.55mmol)のテトラヒドロフラン2mlおよびメタノール2ml溶液に、2NのLiOH4mlを添加した。反応物を60℃で2時間加熱し、次に室温に冷却し、1N(水溶液)HClで酸性にした。EtOAc(2×50ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。TFA(5ml)を、粗製生成物に添加した。20分後、溶媒を除去し、残渣を高真空で乾燥させた。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製して(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)、所望の生成物(111mg、0.22mmol)を得た。MS(m/z)504[M+H]
【0192】
(9S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,17−ヘキサヒドロ−1H−7,3−(メテノ)[1,7]チアザシクロテトラデシノ[3,4−b]インドール−9−カルボキサミドの合成
(S)−2−(2−((3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェニルチオ)メチル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(111mg、0.22mmol)およびDIPEA(0.38ml、2.2mmol)のDMF(70ml)溶液に、DMF3mlに入れたジフェニルホスホリルアジド(292mg、1.1mmol)を滴下添加した。反応物を終夜室温で撹拌し、次に酢酸1mlおよびメタノール5mlを添加して、反応をクエンチした。溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAc(100ml)に溶解し、次にブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製した。生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩70mgであった。MS(m/z)486[M+H]
【0193】
(9S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,17−ヘキサヒドロ−1H−7,3−(メテノ)[1,7]チアザシクロテトラデシノ[3,4−b]インドール−9−カルボキサミド2,2−ジオキシドの合成
(9S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,17−ヘキサヒドロ−1H−7,3−(メテノ)[1,7]チアザシクロテトラデシノ[3,4−b]インドール−9−カルボキサミド(29mg、0.06mmol)のDCM(3ml)溶液に、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(27.5mg、77%、0.12mmol)を添加した。反応物を室温で2時間撹拌し、次にDCM(20ml)で希釈した。溶液を、NaHCO(水溶液)およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩22mgであった。MS(m/z)518[M+H]
【化32】
【0194】
(実施例20〜21)化合物20〜21の調製
【化33】
エチル2−(2−(アセチルチオ)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(500mg、1.3mmol)、カリウムエタンチオエート(200mg、1.7mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(60mg、0.065mmol)、キサントホス(75mg、0.13mmol)およびDIPEA(0.5ml、2.6mmol)の1,4−ジオキサン(4ml)溶液を、マイクロ波反応器内で150℃で20分間加熱した。TFA(5ml)をその混合物に添加し、Boc脱保護が完了するまで1時間撹拌した。反応混合物をセライトで濾過し、EtOAc(2×50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(10〜30%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(190mg、0.69mmol)、52.8%を得た。MS(m/z)278[M+H]
【0195】
(S)−エチル2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)−1H−インドール−3−イル)アセテートの合成
エチル2−(2−(アセチルチオ)−1H−インドール−3−イル)アセテート(380mg、1.4mmol)のエタノール(5ml)溶液に、水酸化カリウム(84mg、1.5mmol)を添加した。10分後、(S)−tert−ブチル3−(3−(クロロメチル)フェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(I−5、605mg、1.4mmol)を、その溶液に添加した。反応物を2時間撹拌し、次に1N(水溶液)HClで中和し、次にEtOAcで抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製して、所望の生成物(796mg、1.26mmol)、90%を得た。MS(m/z)632[M+H]
【0196】
(S)−2−(2−(3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)−1H−インドール−3−イル)酢酸の合成
(S)−エチル2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)−1H−インドール−3−イル)アセテート(796mg、1.26mmol)のテトラヒドロフラン2mlおよびメタノール2ml溶液に、2NのLiOHの4mlを添加した。反応物を60℃で2時間加熱した。冷却した反応物を1N(水溶液)HClで酸性にし、次にEtOAc(2×50ml)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。TFA(5ml)を粗製生成物に添加した。20分後、溶媒を除去し、残渣を高真空下で乾燥させた。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製して(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)、所望の生成物(600mg、1.19mmol)を得た。MS(m/z)504[M+H]
【0197】
(9S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,17−ヘキサヒドロ−7,3−(メテノ)[1,6]チアザシクロテトラデシノ[2,3−b]インドール−9(2H)−カルボキサミドの合成
(S)−2−(2−(3−(2−アミノ−3−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)ベンジルチオ)−1H−インドール−3−イル)酢酸(600mg、1.19mmol)およびDIPEA(1.9ml、11.2mmol)のDMF(390ml)溶液に、DMF7mlに入れたジフェニルホスホリルアジド(1.58mg、5.95mmol)を滴下添加した。反応物を終夜撹拌し、次に酢酸2mlおよびメタノール10mlを添加して、反応をクエンチした。溶媒を真空中で除去し、残渣をEtOAc(200ml)に溶解した。溶液をブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(1〜5%MeOH/DCM)によって精製した。生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩380mgであった。MS(m/z)486[M+H]
【0198】
(9S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,17−ヘキサヒドロ−7,3−(メテノ)[1,6]チアザシクロテトラデシノ[2,3−b]インドール−9(2H)−カルボキサミド1,1−ジオキシドの合成
(9S)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−11−オキソ−8,9,10,11,12,17−ヘキサヒドロ−7,3−(メテノ)[1,6]チアザシクロテトラデシノ[2,3−b]インドール−9(2H)−カルボキサミド(80mg、0.17mmol)のDCM(5ml)溶液に、メタ−クロロペルオキシ安息香酸(74mg、77%、0.34mmol)を添加した。反応物を2時間撹拌し、次にDCM(20ml)で希釈した。有機層を、NaHCO(水溶液)およびブラインで洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩40mgであった。MS(m/z)518[M+H]
【化34】
【0199】
(実施例22)化合物22の調製
【化35】
(S)−tert−ブチル2−アリル−3−(2−(3−(3−ヨードフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートの合成
(S)−tert−ブチル3−(3−ヨードフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(556mg、1.09mml)のTFA(3ml)溶液を、10分間撹拌した。溶媒を真空中で除去した。2−(2−アリル−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(343mg、1.09mmol)、DIEA(0.38ml、2.18mmol)およびO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、414.4mg、1.09mmol)を、DMFに溶解した。10分後、溶液をTFA塩に添加した。反応物を室温で2時間撹拌した。混合物をEtOAc(100ml)で希釈し、ブライン(2×50ml)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。油性の粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜50%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(620mg、0.94mmolを得た。MS(m/z)660[M+H]
【0200】
(4S,11E)−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,13,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドの合成
(S)−tert−ブチル2−アリル−3−(2−(3−(3−ヨードフェニル)−1−((4−メトキシフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(620mg、0.94mmol)、Pd(dba)のTEA(6ml)およびACN(42ml)溶液を、終夜加熱還流させた。反応物を室温に冷却し、セライトで濾過した。濾液を濃縮し、粗製生成物をシリカゲル搭載カラムに導入し、カラムクロマトグラフィー(20〜40%EtOAc/ヘキサン)によって精製して、所望の生成物(313mg)を得た。生成物をTFA(2ml)に溶解した。10分間撹拌した後、溶媒を除去した。粗製生成物をDMFに溶解し、溶液を濾過し、RP HPLCによってC18カラムおよび20%B〜80%Bの勾配を使用して、25分かけて精製した(A=0.1%TFA/HO、B=0.1%TFA/アセトニトリル)。収量は、TFA塩61mgであった。MS(m/z)480[M+H]
【0201】
(実施例23)化合物23の調製
【化36】
tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートの調製
エチル2−(1H−インドール−3−イル)アセテート(15g、73.9mmol)を、DCM(750mL)に溶解した。周囲温度で、NBS(13.15g、73.9mmol)を、およそ2分間隔てて5回で反応混合物に添加した。NBSの最後の添加の後、iPrNEt(28mL、162mmol)を反応混合物にゆっくり添加し、5分間撹拌した。BocO(33.8g、155mmol)を添加した後、DMAP(900mg)を添加した。16時間撹拌した後、反応物をDCMとHOの間で分配した。有機物を1NのHCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(16.3g、58%)を得た。MS(m/z)382[M+H]
【0202】
tert−ブチル2−アリル−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートの調製
アルゴンを、tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(3.68g、9.66mmol)のDMF(50mL)溶液中に1時間吹き込んだ。アリルトリブチルスズ(3mL、9.66mmol)を反応混合物に添加した後、Pd(PPh(1.1g、10mol%)を添加した。反応物を80℃で6時間加熱し、次にEtOAcおよびHOで希釈した。全溶液をセライトで濾過し、その溶質に20%KHPO水溶液を添加した。有機物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、tert−ブチル2−アリル−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(2.52g、76%)を得た。MS(m/z)330[M+H]
【0203】
2−(2−アリル−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−インドール−3−イル)酢酸の調製
tert−ブチル2−アリル−3−(2−メトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(0.94g、2.74mmol)のTHF(15mL)およびMeOH(5mL)溶液に、LiOH(170mg、6.8mmol)のHO(5mL)溶液を添加した。溶液を2時間撹拌した。反応物をEtOAcと20%KHPO水溶液の間で分配した。有機物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去して、2−(2−アリル−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(900mg)を得た。MS(m/z)316[M+H]
【0204】
(2S,5R)−2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−5−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−2,5−ジヒドロピラジンの調製
THF(90mL)に入れた(R)−2,5−ジヒドロ−3,6−ジメトキシ−2−イソプロピルピラジン(2mL、11.03mmol)に、−78℃でn−BuLi(ヘキサン中1.6M溶液、7.5mL、12mmol)を添加した。30分間撹拌した後、THF(10mL)に入れた1−ブロモ−3−(ブロモメチル)−5−フルオロベンゼン(2.68g、10mmol)を30分かけて滴下添加した。温度を−78℃で30分間維持し、次に周囲温度に温めた。16時間撹拌した後、飽和NHCl水溶液(30mL)を添加した後、EtOAcおよびHOで希釈した。THFを真空中で除去し、残りの有機物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(2S,5R)−2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−5−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−2,5−ジヒドロピラジン(3.17g、77%)を得た。MS(m/z)371[M+H]
【0205】
(S)−メチル2−アミノ−3−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)プロパノエート塩酸塩の調製
撹拌した(2S,5R)−2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−5−イソプロピル−3,6−ジメトキシ−2,5−ジヒドロピラジン(1.21g、3.27mmol)のアセトニトリル(15mL)溶液を、0.3NのHCl水溶液(15mL)で処理した。反応物を2時間撹拌し、次に1NのNaOH水溶液を添加して中和した。アセトニトリルを真空中で除去し、溶液をEtOAcで抽出した。有機物を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で除去して、(S)−メチル2−アミノ−3−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)プロパノエート塩酸塩(720mg、70%)を得た。MS(m/z)276[M+H]
【0206】
(S)−tert−ブチル2−アリル−3−(2−(3−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートの調製
2−(2−アリル−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−インドール−3−イル)酢酸(850mg、2.7mmol)および(S)−メチル2−アミノ−3−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)プロパノエート塩酸塩(720mg、2.61mmol)を、DCM(13mL)中で合わせ、HATU(1.49g、3.9mmol)およびiPrNEt(1.13mL、6.5mmol)で処理した。室温で16時間撹拌した後、反応物をDCMとHOの間で分配した。有機物を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、(S)−tert−ブチル2−アリル−3−(2−(3−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(0.98g、63%)を得た。MS(m/z)573[M+H]
【0207】
23G、23H、23Iの調製
アルゴンを、(S)−tert−ブチル2−アリル−3−(2−(3−(3−ブロモ−5−フルオロフェニル)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートのアセトニトリル(350mL)およびTEA(50mL)溶液中で30分間吹き込んだ。X−Phos(82mg、15mol%)およびPd(PPh(52mg、5mol%)を添加し、反応混合物を3時間加熱還流させた。進行に欠けるので、反応物を周囲温度に冷却し、セライトで濾過し、アルゴンを、得られた溶質中で吹き込んだ。X−Phos(41mg)およびPd(dba)(26mg)を反応物に添加し、再度、3時間加熱還流させた。周囲温度に冷却した後、反応物をセライトで濾過し、溶媒を真空中で除去した。得られた粗製物を、EtOAcとHOの間で分配した。有機物を分離し、0.5NのHCL水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、オレフィン異性体の2つの混合物を得た。混合物Aは、14−tert−ブチル4−メチル(4S,11Z)−8−フルオロ−2−オキソ−1,2,3,4,5,13−ヘキサヒドロ−14H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4,14−ジカルボキシレート(23G)および14−tert−ブチル4−メチル(4S,12E)−8−フルオロ−2−オキソ−1,2,3,4,5,11−ヘキサヒドロ−14H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4,14−ジカルボキシレート(23H)(45mg、約5:1の比)を含有していた;MS(m/z)493[M+H]。混合物Bは、オレフィン異性体の複雑な混合物(375mg)を含有していた;MS(m/z)493[M+H]
【0208】
(4S)−14−(tert−ブトキシカルボニル)−8−フルオロ−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボン酸の調製
先のステップから得た混合物B(375mg、0.76mmol)を、EtOAc(8mL)およびEtOH(1mL)に溶解し、Pd/C(40mg)で処理した。反応物をHの雰囲気下に置き、6時間撹拌した。反応物をセライトで濾過し、溶媒を真空中で除去した。残渣を、THF(4.2mL)およびMeOH(1.4mL)に溶解し、LiOH(44mg、1.8mmol)のHO(1.4mL)溶液で処理した。周囲温度で3時間撹拌した後、反応物を20%KHPO水溶液で処理し、EtOAcで抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空中で除去して、(4S)−14−(tert−ブトキシカルボニル)−8−フルオロ−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボン酸を得た。MS(m/z)481[M+H]
【0209】
(4S)−8−フルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドの調製
(4S)−14−(tert−ブトキシカルボニル)−8−フルオロ−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボン酸(29mg、0.06mmol)、4−メトキシ−N−メチルアニリン(9mg、0.07mmol)、およびHATU(28mg、0.072mmol)のDMF(0.6mL)溶液に、iPrNEt(0.016mL)を添加した。周囲温度で16時間撹拌した後、反応物をEtOAcとHOの間で分配した。有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去した後、粗製生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。得られた生成物をDCM(1mL)に溶解し、TFA(0.5mL)で処理した。30分後、溶媒を真空中で除去し、粗製生成物をRP HPLCによって精製して、(4S)−8−フルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドを得た。1H NMR: CD3OD δ 7.48 (dd, 1H), 7.32 (d, 2H), 7.29 (dd, 1H), 7.04 (d, 2H), 7.00 (m, 2H), 6.73 (d, 1H), 6.26 (d, 1H), 6.25 (s, 1H), 4.74 (dd, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.52 (d, 1H), 3.36 (d, 1H), 3.24 (s, 3H), 2.80 (dd, 1H), 2.69 (dd, 2H), 2.58 (dd, 1H), 2.51 (m, 1H), 2.31 (m, 1H), 2.25 (m, 1H), 2.02 (m, 1H); MS(m/z)500[M+H]
【0210】
(実施例24)化合物24の調製
【化37】
化合物24を、実施例23の合成の最終ステップで提示した方法に従って、4−メトキシ−N−メチルアニリンの代わりに4−クロロ−N−メチルアニリンを使用して調製して、(4S)−N−(4−クロロフェニル)−8−フルオロ−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドを得た。1H NMR: CD3OD δ 7.44 (d, 2H), 7.39 (dd, 1H), 7.26 (d, 1H), 7.21 (dd, 2H), 6.93 (m, 2H), 6.67 (d, 1H), 6.26 (d, 1H), 6.19 (s, 1H), 4.64 (dd, 1H), 3.42 (d, 1H), 3.28 (d, 1H), 3.19 (s, 3H), 2.73 (dd, 1H), 2.62 (dd, 2H), 2.56 (m, 1H), 2.41 (m, 1H), 2.25 (m, 1H), 2.16 (m, 1H), 1.95 (m, 1H); MS(m/z)504[M+H]
【0211】
(実施例25)化合物25の調製
【化38】
化合物25を、実施例23の合成の最終ステップで提示した方法に従って、4−メトキシ−N−メチルアニリンの代わりにN−ベンジルメチルアミンを使用して調製して、(4S)−N−ベンジル−8−フルオロ−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,12,13,14−オクタヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミドを得た:MS(m/z)484[M+H]
【0212】
(実施例26〜27)化合物26〜27の調製
【化39】
実施例26および実施例27を、実施例23の合成について提示した方法に従って、23Gおよび23Hの混合物Aを利用し、Pd/Cを省いて調製した。最終ステップの精製によって、2種の生成物を得た。
【0213】
化合物26:(4S,11Z)−8−フルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,13,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミド
1H NMR: CD3OD δ 7.33 (d, 2H), 7.29 (d, 2H), 7.18 (d, 2H), 7.03 (d, 2H), 6.99 (m, xH), 6.94 (m, xH), 6.87 (m, xH), 6.40 (m, 1H), 5.46 (s, 1H), 5.39 (bs, 1H), 4.66 (m, 1H), 3.95 (m, 1H), 3.84 (m, 1H), 3.82 (s, 3H), 3.73 (d, 1H), 3.60 (d, 1H), 3.16 (m, 3H), 2.81 (dd, 1H), 2.56 (m, 1H). MS(m/z)498[M+H]
【0214】
化合物27:(4S,12E)−8−フルオロ−N−(4−メトキシフェニル)−N−メチル−2−オキソ−2,3,4,5,11,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)アザシクロペンタデシノ[5,4−b]インドール−4−カルボキサミド
1H NMR: CD3OD δ 7.42 (dd, 1H), 7.37 (d, 2H), 7.21 (dd, 1H), 7.00 (m, 1H), 6.99 (d, 2H), 6.72 (m, 1H), 6.40 (m, 1H), 6.22 (m, 1H), 6.08 (m, 1H), 4.87 (m, 1H, 溶媒により不明確), 3.80 (s, 3H), 3.65 (m, 1H), 3.56 (m, 1H), 3.46 (m, 2H), 3.01 (m, 1H), 2.86 (m, 1H). MS(m/z)498[M+H]
【0215】
(実施例28)化合物28の調製
【化40】
(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメートの調製
Boc−L−3−ブロモPhe(5g、14.5mmol)をDMF50mLに溶解し、それに4−クロロ−N−メチルアニリン(2.1mL、17.4mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.6mL、43.5mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、それにHATU(6.6g、17.4mmol)を少しずつ添加した。反応混合物を周囲温度で終夜撹拌し、次に酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、5%LiCl水溶液、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄した。次に、混合物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製して、(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート5.6gを白色固体として得た。MS(m/z):469.1[M+H];HPLC保持時間4.39分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0216】
tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレートの調製
エチル2−(5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)アセテート(1.0g、4.26mmol)を塩化メチレン(40mL)に溶解し、氷水浴で0℃に冷却した。NBS(760mg、4.26mmol)を1時間かけて少量ずつ添加した。反応混合物を0℃でさらに2時間撹拌した。次に、反応混合物に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.86mL、8.52mmol)、ジ−tert−ブチルカーボネート(1.86g、8.52mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(52mg、0.42mmol)を添加した。得られた混合物を周囲温度で終夜撹拌した。さらなる塩化メチレンを添加し、水および半(half)ブラインで洗浄した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させた。混合物を濾過し、濾液を濃縮乾固し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーによって(トルエンで搭載し、EtOAc/ヘキサンで溶出した)、次にRP HPLCによってアセトニトリル/水で溶出して精製して、tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート455mgおよび副生成物131mgを得た。MS(m/z):415.0[M+H]+;HPLC保持時間4.68分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0217】
tert−ブチル3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−2−ビニル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレートの調製
窒素雰囲気下で、tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート(207mg、0.5mmol)、トリブチルビニルスズ(175μL、0.6mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(29mg、0.025mmol)を、DMF10mL中で合わせ、混合物を85℃に終夜加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、5%LiCl水溶液およびブラインで洗浄した。次に、有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをRP HPLCによってアセトニトリルおよび水で溶出して精製して、tert−ブチル3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−2−ビニル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート120mgを得た。MS(m/z):361.2[M+H]+;HPLC保持時間4.69分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0218】
(S)−エチル2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)スチリル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)アセテートの調製
窒素雰囲気下で、tert−ブチル3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−2−ビニル−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート(120mg、0.33mmol)、(S)−tert−ブチル3−(3−ブロモフェニル)−1−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−1−オキソプロパン−2−イルカルバメート(170mg、0.36mmol)、酢酸パラジウム(7.4mg、0.033mmol)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(22.5mg、0.066mmol)、トリエチルアミン(368μL、2.6mmol)およびDMF(2mL)を、マイクロ波容器内で混合し、それを封止し、Nでパージした。バイアルを120℃に終夜加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、5%LiCl水溶液およびブラインで洗浄した。次に、有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチルおよびヘキサンで溶出して精製して、(S)−エチル2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)スチリル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)アセテート170mgを得た。MS(m/z):647.1[M+H]+;HPLC保持時間4.38分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0219】
(S)−2−(2−(3−(2−アミノ−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)酢酸の調製
(S)−エチル2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)スチリル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)アセテート(170mg、0.26mmol)を、酢酸エチル50mLに溶解し、窒素でパージした。ロジウム(アルミナ粉末担持5重量%、60mg)を添加した。反応混合物を水素でパージし、水素バルーンの下で終夜周囲温度において撹拌した。反応の完了後、混合物を濾過し、酢酸エチルですすいだ。濾液を濃縮して、(S)−エチル2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)アセテートを得、それをTHF/MeOH/HO(3/2/1)5mLに溶解し、それにLiOH.HO(55mg)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、次にRP HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(S)−2−(2−(3−(2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)酢酸を得た。化合物を、10%TFA/CHCl3mLに溶解し、周囲温度で2時間撹拌した。反応物を0℃に冷却し、ピリジン0.3mLでクエンチした。溶媒を除去し、残渣をRP HPLCによってアセトニトリルおよび水で溶出して精製して、(S)−2−(2−(3−(2−アミノ−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)酢酸106mgを得た。MS(m/z):521.3[M+H]+;HPLC保持時間2.05分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0220】
(14S)−N−(4−クロロフェニル)−2−メトキシ−N−メチル−16−オキソ−5,6,7,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−12,8−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロテトラデシン−14−カルボキサミドの調製
(S)−2−(2−(3−(2−アミノ−3−((4−クロロフェニル)(メチル)アミノ)−3−オキソプロピル)フェネチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)酢酸(106mg、0.2mmol)を、DMF100mLに溶解し、それにジフェニルホスホリルアジド(112mg、0.4mmol)および重炭酸ナトリウム(50mg、0.6mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で1日撹拌した。溶媒を除去し、残渣をRP HPLCによってアセトニトリルおよび水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(14S)−N−(4−クロロフェニル)−2−メトキシ−N−メチル−16−オキソ−5,6,7,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−12,8−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロテトラデシン−14−カルボキサミド19mgを得た。H NMR (400MHz, CDOD, ppm) δ 7.64 (d, J=8.6Hz, 1H), 7.54 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.39 (d, J=8.4Hz, 2H), 7.05−6.81 (m, 3H), 6.59 (d, J=8.7Hz, 1H), 6.44 (d, J=6.9Hz, 1H), 4.55 ( m, 1H), 4.03 (s, 3H), 3.74 (d, J=16.1Hz, 1H), 3.15 (s, 3H), 3.12 (m, 1H), 2.95 (m, 4H), 2.81−2.61 (m, 2H). MS(m/z):503.2[M+H]+;HPLC保持時間2.73分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0221】
(実施例29)化合物29の調製
【化41】
(14S)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチル−2,16−ジオキソ−1,2,5,6,7,13,14,15,16,17−デカヒドロ−12,8−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロテトラデシン−14−カルボキサミドの調製
(14S)−N−(4−クロロフェニル)−2−メトキシ−N−メチル−16−オキソ−5,6,7,13,14,15,16,17−オクタヒドロ−12,8−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロテトラデシン−14−カルボキサミド(19mg、0.037mmol)を、酢酸1mLに溶解し、それにKI(24mg、0.148mmol)を添加した。反応混合物を100℃で2時間加熱し、次に周囲温度に冷却した。溶媒を除去し、残渣をRP HPLCによってアセトニトリルおよび水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(14S)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチル−2,16−ジオキソ−1,2,5,6,7,13,14,15,16,17−デカヒドロ−12,8−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロテトラデシン−14−カルボキサミド1.3mgを得、出発材料3.2mgを回収した。H NMR (400MHz, CDOD, ppm) δ 7.53 (m, 3H), 7.38 (d, J=8.3Hz, 2H), 6.99 (s, 1H), 6.76 (m, 1H), 6.65 ( m, 1H), 6.36 (d, J=7.1Hz, 1H), 6.13 (d, J=9.2Hz, 1H), 4.55 (m, 1H), 3.46 (d, J=15.5Hz, 1H), 3.25 (s, 3H), 3.16 (m, 2H), 3.02−2.75 (m, 3H), 2.57 (t, J=11.9Hz, 1H). MS(m/z):488.9[M+H]+;HPLC保持時間2.81分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0222】
(実施例30)化合物30の調製
【化42】
(S)−メチル3−(3−アリルフェニル)−2−アミノプロパノエート塩酸塩の調製
Boc−L−3−ブロモPhe(5g、14.5mmol)を、DMF30mLに溶解し、それにメタノール(1mL)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(6.3mL、36.3mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、それにHATUを少しずつ添加した(6.6g、17.4mmol)。反応混合物を周囲温度で終夜撹拌し、次に酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、5%LiCl水溶液、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄した。次に、それをMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製して、Boc−L−3−ブロモPhe−OMe4.9gを得た。
【0223】
先のBoc−L−3−ブロモPhe−OMe(5.58mmol)2gを、DMF60mLに溶解した。この系を脱気し、窒素でパージした。アリルトリブチルスタンナン(2.6mL、8.37mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(19mg、0.017mmol)を添加し、混合物を120℃で1日撹拌した。溶媒を除去し、残渣をエチルエーテルに溶解し、それに水(150μL、8.37mmol)およびDBU(1.25mL、8.37mmol)を添加した。混合物を周囲温度で2時間撹拌し、得られた沈殿物を濾別した。濾液を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製して、Boc−L−3−アリルPhe−OMe906mgを得た。
【0224】
Boc−L−3−アリルPhe−OMe(770mg、2.4mmol)を、メタノール5mLに溶解し、それに1,4−ジオキサン中4NのHCl(2.4mL)を添加した。混合物を周囲温度で3時間撹拌した。溶媒を除去して、(S)−メチル3−(3−アリルフェニル)−2−アミノプロパノエート塩酸塩を得た。MS(m/z):220.2[M+H]+;HPLC保持時間1.72分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0225】
(S)−tert−ブチル3−(2−(3−(3−アリルフェニル)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−2−ブロモ−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレートの調製
tert−ブチル2−ブロモ−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート(380mg、0.9mmol)をTHF/MeOH/HO(3/2/1)12mLに溶解し、それにLiOH.HO(116mg、2.7mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で3時間撹拌し、次にRP HPLCによってアセトニトリル/水で溶出して精製して、2−(2−ブロモ−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)酢酸220mgを得た。先の酸(0.7mmol)200mgおよび(S)−メチル3−(3−アリルフェニル)−2−アミノプロパノエート塩酸塩(197mg、0.77mmol)を、DMF5mLに溶解し、それにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(366μL、2.1mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、それにHATU(319mg、8.4mmol)を添加し、次に周囲温度で20分間撹拌した。反応混合物を、RP HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(S)−メチル3−(3−アリルフェニル)−2−(2−(2−ブロモ−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−3−イル)アセトアミド)プロパノエート210mg(0.43mmol)を得、それをCHCl5mLに溶解し、0℃に冷却した。それにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.15mL、0.86mmol)、ジ−tert−ブチルカーボネート(113mg、0.86mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(5.2mg、0.04mmol)を添加した。得られた混合物を5分間撹拌し、次に酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮乾固させた。それを、シリカゲルクロマトグラフィーによってEtOAc/ヘキサンで溶出して精製して、(S)−tert−ブチル3−(2−(3−(3−アリルフェニル)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−2−ブロモ−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート230mgを得た。MS(m/z):586.0[M+H]+;HPLC保持時間4.86分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0226】
メチル(6E,15S)−2−メトキシ−17−オキソ−8,14,15,16,17,18−ヘキサヒドロ−5H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキシレートの調製
窒素雰囲気下で、(S)−tert−ブチル3−(2−(3−(3−アリルフェニル)−1−メトキシ−1−オキソプロパン−2−イルアミノ)−2−オキソエチル)−2−ブロモ−5−メトキシ−1H−ピロロ[3,2−b]ピリジン−1−カルボキシレート(220mg、0.37mmol)、酢酸パラジウム(8.3mg、0.037mmol)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(25.2mg、0.074mmol)、トリエチルアミン(309μL、2.22mmol)およびDMF(150mL)を混合し、Nでパージした。反応混合物を120℃に5時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、次に溶媒のほとんどを除去した。次に酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、5%LiCl水溶液およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをRP HPLCによってアセトニトリルおよび水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、メチル(6E,15S)−2−メトキシ−17−オキソ−8,14,15,16,17,18−ヘキサヒドロ−5H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキシレート50mgを得た。MS(m/z):406.2[M+H]+;HPLC保持時間2.39分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0227】
(6E,15S)−N−(4−クロロフェニル)−2−メトキシ−N−メチル−17−オキソ−8,14,15,16,17,18−ヘキサヒドロ−5H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキサミドの調製
メチル(6E,15S)−2−メトキシ−17−オキソ−8,14,15,16,17,18−ヘキサヒドロ−5H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキシレート(33mg、0.08mmol)を、THF/MeOH/HO(3/2/1)2mLに溶解し、それにLiOH.HO(10mg、0.24mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で0.5時間撹拌し、次にRP HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、酸(0.06mmol)24mgを得た。それをDMF1mLに溶解し、それに4−クロロ−N−メチルアニリン(8.2μL、0.066mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(31μL、0.18mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、それにHATU(27mg、0.072mmol)を添加した。それを周囲温度で終夜撹拌し、次にRP HPLCによってアセトニトリルおよび水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(6E,15S)−N−(4−クロロフェニル)−2−メトキシ−N−メチル−17−オキソ−8,14,15,16,17,18−ヘキサヒドロ−5H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキサミド22mgを得た。MS(m/z):514.8[M+H]+;HPLC保持時間3.02分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0228】
(15S)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチル−2,17−ジオキソ−1,5,6,7,8,14,15,16,17,18−デカヒドロ−2H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキサミドの調製
(6E,15S)−N−(4−クロロフェニル)−2−メトキシ−N−メチル−17−オキソ−8,14,15,16,17,18−ヘキサヒドロ−5H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキサミド(20mg)を、酢酸エチル10mLに溶解し、窒素でパージした。ロジウム(アルミナ粉末担持5重量%、10mg)を添加した。反応混合物を水素でパージし、水素バルーンの下で周囲温度において終夜撹拌した。反応の完了後、反応混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、RP HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、生成物10mgを得、それを酢酸1mLに溶解し、それにKI(12mg)を添加した。反応混合物を100℃にまで2時間加熱し、次に周囲温度に冷却した。溶媒を除去し、残渣をRP HPLCによってアセトニトリルおよび水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(15S)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチル−2,17−ジオキソ−1,5,6,7,8,14,15,16,17,18−デカヒドロ−2H−13,9−(メテノ)ピリド[2’,3’:4,5]ピロロ[3,2−d]アザシクロペンタデシン−15−カルボキサミド2.3mgを得た。H NMR (400MHz, CDOD, ppm) δ 8.01 (d, J=10.0Hz, 1H), 7.51 (m, 3H), 7.38 (d, J=8.1Hz, 2H), 7.14 (s, 1H), 6.65 (t, J=7.6Hz, 1H), 6.48 (d, J=7.7Hz, 1H), 6.27 (d, J=7.1Hz, 1H), 6.10 (d, J=9.1Hz, 1H), 4.52 (m, 1H), 3.55 (m, 1H), 3.39 (m, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.14 (m, 1H), 2.82 (m, 1H), 2.63 (m, 2H), 1.44 (m, 4H). MS(m/z):503.1[M+H]+;HPLC保持時間2.89分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0229】
(実施例31)化合物31の調製
【化43】
1−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルヒドラジンカルボキサミド塩酸塩の調製
トリホスゲン(593mg、2.0mmol)を、塩化メチレン13mLに溶解し、0℃に冷却した。それに、tert−ブチル2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)ヒドラジンカルボキシレート(1.6g、5mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.3mL、7.5mmol)の塩化メチレン13mL溶液を添加した。反応混合物を0℃で20分間撹拌し、それに4−クロロ−N−メチルアニリン(726μL、6mmol)の塩化メチレン4mL溶液を添加した。得られた混合物を周囲温度で3日間撹拌した。それを塩化メチレンで希釈し、1NのHCl、半飽和NaHCOおよび半ブラインで洗浄し、次にMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチルおよびヘキサンで溶出して精製して、tert−ブチル2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2−((4−クロロフェニル)(メチル)カルバモイル)ヒドラジンカルボキシレート(0.74mmol)359mgを得た。次に、それをメタノール2mLに溶解し、それに1,4−ジオキサンに入れた4NのHCl(0.9mL、3.7mmol)を添加した。混合物を周囲温度で終夜撹拌した。溶媒を除去して、1−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルヒドラジンカルボキサミド塩酸塩を得た。MS(m/z):387.9[M+H];HPLC保持時間3.88分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0230】
tert−ブチル2−アリル−3−(2−(2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2−((4−クロロフェニル)(メチル)カルバモイル)ヒドラジニル)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレートの調製
tert−ブチル2−アリル−3−(2−エトキシ−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(300mg、0.87mmol)を、THF/MeOH/HO(3/2/1)6mLに溶解し、それにLiOH.HO(110mg、2.6mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で20分間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、1N(水溶液)HClで酸性にした。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を分離し、MgSOで乾燥させた。混合物を濾過し、濃縮して、2−(2−アリル−1−(tert−ブトキシカルボニル)−1H−インドール−3−イル)酢酸260mgを得た。先のステップから得た酸(260mg、0.82mmol)を、DMF4mLに溶解し、それに1−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルヒドラジンカルボキサミド塩酸塩(0.74mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(427μL、2.5mmol)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、HATU(343mg、0.9mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、次に酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、5%LiCl水溶液、飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗浄した。次に、有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーによって酢酸エチル/ヘキサンで溶出して精製して、tert−ブチル2−アリル−3−(2−(2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2−((4−クロロフェニル)(メチル)カルバモイル)ヒドラジニル)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート418mgを白色固体として得た。MS(m/z):685.1[M+H]+;HPLC保持時間5.14分(5〜99%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0231】
N−(4−クロロフェニル)−8−フルオロ−N−メチル−2−オキソ−2,3,11,12,13,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)[1,2]ジアザシクロペンタデシノ[6,5−b]インドール−4(5H)−カルボキサミドの調製
窒素雰囲気下で、tert−ブチル2−アリル−3−(2−(2−(3−ブロモ−5−フルオロベンジル)−2−((4−クロロフェニル)(メチル)カルバモイル)ヒドラジニル)−2−オキソエチル)−1H−インドール−1−カルボキシレート(220mg、0.32mmol)、酢酸パラジウム(5mg)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(5mg)、トリエチルアミン(13mL)およびアセトニトリル(90mL)を、圧力反応容器内で混合し、110℃に1時間加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、0.5NのHClおよびブラインで洗浄した。次に、有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをRP HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、tert−ブチル(11Z)−4−[(4−クロロフェニル)(メチル)カルバモイル]−8−フルオロ−2−オキソ−1,2,3,4,5,13−ヘキサヒドロ−14H−6,10−(メテノ)[1,2]ジアザシクロペンタデシノ[6,5−b]インドール−14−カルボキシレート45.5mgを得た。
【0232】
tert−ブチル(11Z)−4−[(4−クロロフェニル)(メチル)カルバモイル]−8−フルオロ−2−オキソ−1,2,3,4,5,13−ヘキサヒドロ−14H−6,10−(メテノ)[1,2]ジアザシクロペンタデシノ[6,5−b]インドール−14−カルボキシレート20mgを、EtOAc10mLに溶解し、窒素でパージした。ロジウム(アルミナ粉末担持5重量%、10mg)を添加した。反応混合物を水素でパージし、水素バルーンの下で周囲温度において終夜撹拌した。反応の完了後、混合物を濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮し、生成物を10%TFA/CHCl2mLに溶解し、精製し、周囲温度で1時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を逆相HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、N−(4−クロロフェニル)−8−フルオロ−N−メチル−2−オキソ−2,3,11,12,13,14−ヘキサヒドロ−1H−6,10−(メテノ)[1,2]ジアザシクロペンタデシノ[6,5−b]インドール−4(5H)−カルボキサミドを得た。H NMR (400MHz, CDCl, ppm) δ 7.83 (s, 1H), 7.29 (d, J=8.7Hz, 2H), 7.22 (d, J=6.7Hz, 1H), 7.10−6.94 (m, 5H), 6.70 (t, J=8.6Hz, 2H), 6.22 (s, 1H), 5.99 (s, 1H), 4.51 (br, 1H), 4.23 (br, 1H), 3.22 (s, 3H), 3.08 (br, 1H), 2.85 (br, 1H), 2.73−1.96 (m, 6H). MS(m/z):505.2[M+H]+;HPLC保持時間4.01分(2〜98%アセトニトリル:0.05%ギ酸を含む水)。
【0233】
(実施例32)化合物32の調製
【化44】
メチル2−(5−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテートの合成
2−(5−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテートの調製
5−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール(1.0g、4.6mmol)およびCsCO(3.0g、9.3mmol)のアセトニトリル(10mL)溶液に、メチル2−ブロモアセテート(865mg、5.6mmol)を添加した。反応物を80℃で3時間加熱した。反応物を室温に冷却した後、混合物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機層を分離し、飽和NHCl水溶液およびブラインで洗浄した。次に、有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗製生成物を得、それをシリカゲルクロマトグラフィーによってジクロロメタン/ヘキサンで溶出して精製して、メチル2−(5−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテート(420mg、32%)を透明油として得た。MS(m/z):287.1[M+H]+;HPLC保持時間2.93分(2〜98%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸を含む水)。
【0234】
メチル2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテートの調製
メチル2−(5−ブロモ−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテート(420mg、1.47mmol)、トリn−ブチルアリルスズ(729mg、2.20mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(50mg、0.043mmol)を、DMF(10mL)に溶解した。溶液をアルゴンで10分間脱気し、次に120℃で終夜加熱した。溶液を室温に冷却した後、揮発物を真空下で除去した。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(トルエンで搭載し、ジクロロメタン/ヘキサンで溶出)によって精製して、メチル2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテート(140mg、38%)を透明油として得た。MS(m/z):249.1[M+H]+;HPLC保持時間3.51分(2〜98%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸を含む水)。
【0235】
2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)酢酸の調製
メチル2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテート(120mg、0.48mmol)を、THF(1mL)に溶解した。この溶液に、水(1mL)およびMeOH(0.1mL)に入れた水酸化リチウム一水和物(70mg)を添加した。得られた溶液を、終夜室温で撹拌した。反応が完了したら、生成物を、逆相HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)酢酸(110mg、99%)を油として得た。MS(m/z):235.3[M+H]+;HPLC保持時間3.03分(2〜98%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸を含む水)。
【0236】
(S)−2−(2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミド)−3−(3−ブロモフェニル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルプロパンアミド)の調製
メチル2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセテート(110mg、0.48mmol)および(S)−2−アミノ−3−(3−ブロモフェニル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルプロパンアミド(194mg、0.48mmol)のDMF(2mL)溶液に、HATU(228mg、0.6mmol)およびDIEA(193mg、1.5mmol)を添加した。反応が完了したら、生成物を、逆相HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、(S)−2−(2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミド)−3−(3−ブロモフェニル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルプロパンアミド(68mg、24%)を固体として得た。MS(m/z):582.9[M+H]+;HPLC保持時間4.52分(2〜98%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸を含む水)。
【0237】
ピラゾールマクロ環(macrocycle)の調製
窒素雰囲気下で、(S)−2−(2−(5−アリル−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)アセトアミド)−3−(3−ブロモフェニル)−N−(4−クロロフェニル)−N−メチルプロパンアミド(45mg、0.076mmol)、酢酸パラジウム(1.7mg、0.076mmol)、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(5.2mg、0.015mmol)、トリエチルアミン(85μL)およびDMF(27mL)を、マイクロ波容器内で混合し、それを封止し、Nでパージした。バイアルを120℃に終夜加熱した。反応物を周囲温度に冷却し、生成物を、逆相HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して立体異性体の混合物として精製して、それを次のステップで使用した。最終ステップから得た生成物を、EtOAc(10mL)に溶解した。この溶液にRd/Al(10mg)を添加し、反応物を1気圧のH下で室温において撹拌した。反応が完了したら、揮発物を真空中で除去し、生成物を逆相HPLCによってアセトニトリル/水(0.1%TFAを含む)で溶出して精製して、ピラゾールマクロ環(5.9mg、2つのステップで15%)を固体として得た。H NMR (400MHz, CDCl) δ 7.43 (d, J=8Hz, 2H), 7.20 (d, J=8.8Hz, 2H), 7.04 (t, J=7.6Hz, 1H), 6.88 (d, J=7.6Hz, 1H), 6.38 (m, 2H), 6.30 (d, J=9.2Hz, 1H), 6.03 (s, 1H), 4.72 (d, J=16Hz, 1H), 4.65 (m, 1H), 4.29 (d, J=16.8Hz, 1H), 3.22 (s, 3H), 2.76 (m, 1H), 2.65 (m, 2H), 2.39 (d, J=11.6Hz, 1H), 2.32 (m, 1H), 1.87 (m, 3H). MS(m/z):505.2[M+H]+;HPLC保持時間4.21分(2〜98%アセトニトリル:0.05%トリフルオロ酢酸を含む水)。
【0238】
(実施例33)
以下は、ヒトにおける治療上または予防上の使用のための、式Iの化合物(「化合物X」)を含有する代表的な医薬剤形を示す。
(i)錠剤1 mg/錠剤
化合物X= 100.0
ラクトース 77.5
ポビドン 15.0
クロスカルメロースナトリウム 12.0
微結晶性セルロース 92.5
ステアリン酸マグネシウム 3.0
300.0
(ii)錠剤2 mg/錠剤
化合物X= 20.0
微結晶性セルロース 410.0
デンプン 50.0
デンプングリコール酸ナトリウム 15.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
500.0
(iii)カプセル剤 mg/カプセル
化合物X= 10.0
コロイド状二酸化ケイ素 1.5
ラクトース 465.5
アルファ化デンプン 120.0
ステアリン酸マグネシウム 3.0
600.0
(iv)注射1(1mg/ml) mg/ml
化合物X=(遊離酸形態) 1.0
二塩基性リン酸ナトリウム 12.0
一塩基性リン酸ナトリウム 0.7
塩化ナトリウム 4.5
1.0N水酸化ナトリウム溶液(pH7.0〜7.5に調整) 適量
注射用水 1mLまでの適量
(v)注射2(10mg/ml) mg/ml
化合物X=(遊離酸形態) 10.0
一塩基性リン酸ナトリウム 0.3
二塩基性リン酸ナトリウム 1.1
ポリエチレングリコール400 200.0
1.0N水酸化ナトリウム溶液(pH7.0〜7.5に調整) 適量
注射用水 1mLまでの適量
(vi)エアロゾル剤 mg/缶
化合物X= 20.0
オレイン酸 10.0
トリクロロモノフルオロメタン 5,000.0
ジクロロジフルオロメタン 10,000.0
ジクロロテトラフルオロエタン 5,000.0
【0239】
上の製剤を、医薬分野で周知の従来の手順によって得ることができる。
【0240】
刊行物、特許および特許書類を含めたあらゆる参考文献は、あたかも参照によって個々に組み込まれるように、参照によって本明細書に組み込まれる。様々な具体的な好ましい実施形態および技術を参照することによって、本発明を記載してきた。しかし、本発明の精神および範囲に含まれる多くの変形および改変が加えられ得ることを理解されたい。
【0241】
本開示の文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における用語「a」および「an」および「the」ならびに類似の参照用語の使用は、本明細書で別段指定されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書に記載のあらゆる方法は、本明細書で別段指定されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提供される任意のおよびすべての例、または例示的な用語(例えば、好ましい、好ましくはなど)の使用は、単に、本開示の内容をさらに例示するためのものであり、特許請求の範囲を制限しない。本明細書の用語は、特許請求されていない任意の要素が、本開示の実施に必須であることを示すものと解釈されるべきでない。
【0242】
本明細書には、特許請求される本発明を実施するのに本発明者らに公知の最良の様式を含めた、特許請求される本開示の代替の実施形態が記載されている。これらの中でも、上記の開示を読むことにより、当業者には、開示の実施形態の変形形態が明らかになろう。本発明者らは、当業者がこのような変形形態を適宜用いる(例えば、特色または実施形態を変えるまたは組み合わせる)ことを予期しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているもの以外の方法で本発明が実施されることを企図する。
【0243】
したがって本発明は、適用される法令によって許される、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載の主題のあらゆる改変物および等価物を含む。さらに、そのあらゆる可能な変形形態における上記の要素の任意の組合せは、本明細書で別段指定されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって網羅される。
【0244】
個々の数値の使用は、あたかもその値に用語「約」または「およそ」が先行しているかのように、近似として記述されている。同様に、本願で特定される様々な範囲における数値は、別段明確に示されない限り、あたかも、記述されている範囲内の最小値および最大値の両方に用語「約」または「およそ」が先行しているかのように、近似として記述されている。このようにして、記述されている範囲を超える変動およびその範囲未満の変動は、範囲内の値と実質的に同じ結果を達成するために使用され得る。本明細書で使用される場合、用語「約」および「およそ」は、数値に言及する場合、開示の主題が最も密接に関係する分野、または問題となっている範囲もしくは要素に関連する分野の当業者にとって明らかな、通常の意味を有するものとする。厳密な数値境界からの広がりの量は、多くの因子に応じて決まる。例えば、考慮され得る因子の一部として、要素の重要度(criticality)および/または効果が挙げられ、所与の量の変動は、特許請求される主題の性能、ならびに当業者に公知の他の考察にかかっている。本明細書で使用される場合、異なる数値に関する異なる量の有効桁の使用は、用語「約」または「およそ」の使用が、特定の数値または範囲をどのような方法で広げるように働くかを制限することを意味しない。したがって一般的な事柄として、「約」または「およそ」により、数値が広げられる。また、範囲の開示は、最小値と最大値の間の全値を含む連続的な範囲と、用語「約」または「およそ」の使用によって付与される範囲の広がりとして企図される。したがって、本明細書の値の範囲の列挙は、単に、本明細書では別段指定されない限り、その範囲内に含まれるそれぞれ別個の値に個々に言及する略記法として働くことを企図し、それぞれ別個の値は、あたかも本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0245】
本明細書に開示のデータのいずれかによって形成され得るまたはそれらから導出され得る任意の範囲、比および比の範囲は、本開示のさらなる実施形態を表し、あたかもそれらが明確に記載されているかのように本開示の一部として含まれることを理解されたい。このことには、有限の上限および/または下限の境界を含みまたは含まずに形成され得る範囲が含まれる。したがって、特定の範囲、比または比の範囲の最も密接に関係する分野の当業者は、このような値が、本明細書に提示のデータから一義的に導出できることを理解されよう。
【要約】
式Iの化合物
またはその塩が開示される。また、式Iの化合物を含む医薬組成物、式Iの化合物を調製するプロセス、式Iの化合物を調製するのに有用な中間体、およびHIVウイルスによって引き起こされる感染症を含めたRetroviridaeウイルス感染症を処置するための治療方法が開示される。一実施形態は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物(例えば、ヒト)のHIVウイルスの増殖を阻害し、AIDSを処置し、またはAIDSもしくはARC症状の発症を遅延させる方法を提供する。