特許第5860482号(P5860482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5860482オキアミ油の製造方法およびこの方法で製造されたオキアミ油
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5860482
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】オキアミ油の製造方法およびこの方法で製造されたオキアミ油
(51)【国際特許分類】
   C11B 1/00 20060101AFI20160202BHJP
   A23D 9/02 20060101ALI20160202BHJP
   A23L 17/40 20160101ALI20160202BHJP
   C12P 7/64 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C11B1/00
   A23D9/02
   A23L1/33 B
   C12P7/64
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-553336(P2013-553336)
(86)(22)【出願日】2011年7月21日
(65)【公表番号】特表2014-509339(P2014-509339A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】KR2011005386
(87)【国際公開番号】WO2012108593
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0012550
(32)【優先日】2011年2月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513204539
【氏名又は名称】テドク・エフアールディー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(74)【代理人】
【識別番号】100179154
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 真衣
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100184424
【弁理士】
【氏名又は名称】増屋 徹
(72)【発明者】
【氏名】イ,サンス
【審査官】 吉田 邦久
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−534800(JP,A)
【文献】 特表2006−507838(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/035750(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/030193(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00
A23D 9/02
A23L 1/33
C12P 7/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキアミを準備するステップと、
前記オキアミにタンパク質分解酵素を添加して、酵素反応を行うステップと、
前記酵素反応の行われた前記オキアミから、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リン脂質およびアスタキサンチンを抽出するステップと、
前記抽出されたエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リン脂質およびアスタキサンチンを混合するステップとを含んでなり、
前記タンパク質分解酵素は、バチルスリケニフォルミスから分離されたアルカリ性セリンプロテアーゼ、およびバチルスサブチリスとバチルスアミロリケファシエンスから分離された中性メタロプロテアーゼを含むことを特徴とする、オキアミ油の製造方法。
【請求項2】
前記酵素反応が超高圧反応器で行われることを特徴とする、請求項1に記載のオキアミ油の製造方法。
【請求項3】
前記超高圧反応器において、反応圧力が10〜300MPaであり、反応温度が50〜60℃であり、反応時間が3〜24時間であることを特徴とする、請求項2に記載のオキアミ油の製造方法。
【請求項4】
前記超高圧反応器で、前記タンパク質分解酵素の添加された前記オキアミが液化することを特徴とする、請求項2に記載のオキアミ油の製造方法。
【請求項5】
前記酵素反応の後、前記液化したオキアミのpHが3.0〜5.0に調節されることを特徴とする、請求項4に記載のオキアミ油の製造方法。
【請求項6】
前記酵素反応の後、前記液化したオキアミが濾過されて濾液とスラッジに分離され、前記エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびリン脂質が前記濾液を遠心分離することにより抽出され、
前記アスタキサンチンは前記スラッジをエタノールで洗浄することにより抽出されることを特徴とする、請求項4に記載のオキアミ油の製造方法。
【請求項7】
前記オキアミを準備するステップが、前記オキアミを粉砕するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載のオキアミ油の製造方法。
【請求項8】
前記酵素反応の前に、前記オキアミのpHが7.5〜9.0に調節されることを特徴とする、請求項1に記載のオキアミ油の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキアミ油に係り、さらに詳しくは、タンパク質分解酵素と超高圧反応器を用いてオキアミからオキアミ油を製造する方法およびこの方法で製造されたオキアミ油に関する。
【背景技術】
【0002】
オキアミ類に属するナンキョクオキアミ(E.superba)は、推定棲息量が20億トンに達し、毎年の適正漁獲量が3,000万トンであると推算され、その利用および開発が世界的に注目されている。オキアミはヒゲクジラ類を含む水産動物などの重要な食料であり、南極海における生物の食物連鎖の最下位に位置しており、有害成分の環境汚染が少なくて食品、化粧品、医薬品などへの活用価値が高まっている。
【0003】
オキアミは、栄養学的には良質のタンパク質と脂質から構成されている。新鮮なオキアミは、約10%の脂質を含有し、オキアミの脂質は、オメガ3系の高度不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)が約40%含有されており、リン脂質(phospholipids)が約40〜50%含有されている。さらに、脂溶性カロチノイド(carotenoid)の抗酸化物質であるアスタキサンチン(astaxanthin)が含有されており、有用である。
【0004】
このように栄養学的に価値の高いオキアミの脂質を抽出するための方法としては有機溶媒抽出法と超臨界抽出法がある。有機溶媒抽出法は、有機溶媒を用いた抽出に多くの時間がかかり、多量の有機溶媒が必要とされるうえ、有機溶媒がオキアミ油などに残留するおそれがあり、有機溶媒により廃水が発生することもある。一方、超臨界抽出法は、超臨界装備が高価であるうえ、超臨界運用が難しいなどの問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような問題点を解決するために、本発明は、製造費用を節減し且つ環境にやさしい方法でオキアミ油を製造する方法を提供する。
【0006】
本発明は、上記の方法で製造されたオキアミ油を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係るオキアミ油の製造方法は、オキアミを準備するステップと、前記オキアミにタンパク質分解酵素を添加して酵素反応を行うステップと、前記酵素反応の行われた前記オキアミからエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リン脂質およびアスタキサンチンを抽出するステップと、前記抽出されたエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リン脂質およびアスタキサンチンを混合するステップとを含んでなる。前記タンパク質分解酵素は、バチルスリケニフォルミスから分離されたアルカリ性セリンプロテアーゼ、およびバチルスサブチリスとバチルスアミロリケファシエンスから分離された中性メタロプロテアーゼの中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0008】
前記酵素反応は超高圧反応器で行われてもよい。前記超高圧反応器において、反応圧力は10〜300MPaであり、反応温度は50〜60℃であり、反応時間は3〜24時間であってもよい。前記超高圧反応器で前記タンパク質分解酵素の添加された前記オキアミが液化できる。前記酵素反応の後、前記液化したオキアミのpHが3.0〜5.0に調節できる。前記酵素反応の後、前記液化したオキアミが濾過されて濾液とスラッジに分離することができる。前記エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびリン脂質は前記濾液を遠心分離することにより抽出でき、前記アスタキサンチンは前記スラッジをエタノールで洗浄することにより抽出できる。
【0009】
前記オキアミを準備するステップは、前記オキアミを粉砕するステップを含んでもよい。
【0010】
前記オキアミ油の製造方法は、前記酵素反応の前に、前記オキアミのpHを、7.5〜9.0に調節することができる。
【0011】
本発明の実施形態に係るオキアミは、前記方法によって製造され、エイコサペンタエン酸を14〜18重量%、ドコサヘキサエン酸を8〜12重量%、リン脂質を35〜45重量%、およびアスタキサンチンを70〜170ppm、含んでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、アセトンやヘキサンなどの毒性有機溶媒を用いることなく、オキアミの有用成分を環境調和的に抽出してオキアミ油を製造することができる。このように環境調和的な方法で製造することにより、廃水などに環境が汚染するのを防止することができ、オキアミ油の抽出後に残ったオキアミ粕を食品用タンパク質エキスとして使用することができる。また、高価の超臨界装備を用いることなく、オキアミの有用成分を抽出してオキアミ油を製造することにより、製造費用を節減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るオキアミ油の製造方法を説明するための図である。
図2】本発明の他の実施形態に係るオキアミ油の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態によって本発明をより詳細に説明する。本発明の目的、特徴および利点は下記の実施形態から容易に理解されるであろう。本発明はここで説明される実施形態に限定されず、他の形態でも具体化できる。ここで紹介される実施形態は、開示された内容が徹底的かつ完全なものにするために、そして本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想が十分伝えられるようにするために提供されるものである。よって、下記の実施形態に本発明が限定されてはならない。
【0015】
図1は本発明の一実施例に係るオキアミ油の製造方法を説明するための図である。
【0016】
図1を参照すると、冷凍されたオキアミまたは凍結乾燥したオキアミを解凍し、水洗で塩分を除去する。前記オキアミを粉砕する。前記オキアミは例えば0.5cm程度のサイズに粉砕することができる。
【0017】
前記粉砕されたオキアミに、タンパク質分解酵素を添加する。前記タンパク質分解酵素は、添加後30分〜1時間、前記オキアミと混合して攪拌することができる。前記タンパク質分解酵素は、アルカリ性セリンプロテアーゼおよび中性メタロプロテアーゼの中から選択された1種以上を含むことができる。前記アルカリ性セリンプロテーゼは、バチルスリケニフォルミスから分離されたものを含んでもよく、前記中性メタロプロテアーゼはバチルスサブチリスとバチルスアミロリケファシエンスから分離されたものを含んでもよい。本発明者は、多様なタンパク質分解酵素を用いて実験した結果、バチルスリケニフォルミスから分離されたアルカリ性セリンプロテアーゼおよび/またはバチルスサブチリスとバチルスアミロリケファシエンスから分離された中性メタロプロテアーゼを使用したとき、オキアミから脂質、リン脂質およびアスタキサンチンを効果的に抽出することができることを見出した。
【0018】
前記タンパク質分解酵素は、前記オキアミの100重量部に対して0.1〜3.0重量部で添加できる。前記タンパク質分解酵素の添加量が0.1重量部未満の場合は、タンパク質に比べて酵素の量が少なくて酵素反応時間が遅く、完全な加水分解が行われない。前記添加量が3.0重量部を超える場合は、加水分解時間は速いものの、タンパク質に比べて酵素が必要以上添加され、加水分解が完全に行われた後に酵素が残っていることになり、オキアミの風味に影響を与えるおそれがあり、酵素の過剰使用により費用が増加するおそれもある。
【0019】
前記タンパク質分解酵素を添加した後、前記オキアミのpHを7.5〜9.0に調節することができる。前記タンパク質分解酵素は前記pHの範囲で活性化できる。
【0020】
前記タンパク質分解酵素が添加された前記オキアミに対して酵素反応が行われる。前記酵素反応によってオキアミのタンパク質は加水分解できる。前記酵素反応は超高圧反応器で行われる。前記超高圧反応器において、反応圧力は10〜300MPaであり、反応温度は50〜60℃であり、反応時間は3〜24時間であってもよい。前記超高圧反応器で前記オキアミは液化し、前記酵素反応は液化したオキアミに対して行われる。
【0021】
前記酵素反応の後、前記液化したオキアミのpHが、3.0〜5.0に調節できる。前記pHは、前記オキアミの重量に対して2〜4重量部のクエン酸および/またはアスコルビン酸を添加した後、30分〜1時間静置させることにより調節できる。このようにpHを調節することにより、タンパク質の加水分解で形成されたアミノ酸の混合された水と脂質が分離される。
【0022】
前記酵素反応の後、前記液化したオキアミは濾過され、濾液とスラッジに分離される。100と200meshの濾過材を用いて前記濾液は濾過され、オキアミの甲殻などを含むスラッジが分離される。
【0023】
前記濾液を遠心分離して脂質およびリン脂質を抽出することができる。前記脂質はエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)を含むことができる。前記遠心分離の速度は、3000〜13000rpmであってもよい。また、前記遠心分離によって前記濾液からアミノ酸およびペプチドが回収できる。前記アミノ酸およびペプチドを減圧濃縮することにより、オキアミエキスが製造できる。
【0024】
前記スラッジを、95%エタノールで洗浄してアスタキサンチンを抽出することができる。前記エタノールは、前記スラッジの100重量部に対して200〜300重量部で添加できる。
【0025】
前記脂質及びリン脂質と前記アスタキサンチンを混合し、減圧濃縮することにより、オキアミ油を製造することができる。前記減圧濃縮によって前記エタノールが回収され、水が除去できる。前記減圧濃縮時の温度は45〜65℃であってもよい。
【0026】
図2は本発明の他の実施形態に係るオキアミ油の製造方法を説明するための図である。図2を参照すると、前記酵素反応は、超高圧反応器ではなく、通常の反応器で行われてもよい。
【実施例】
【0027】
[実施例]
オキアミの準備
冷凍されたオキアミを解凍し、水で洗浄して塩分および不純物を除去した試料と、凍結乾燥したオキアミの試料を準備し、その栄養成分の含量を分析し、その結果を下記表1に示した。
【0028】
【表1】
【0029】
オキアミ油の製造
実施例1〜4
冷凍されたオキアミをミキサーで粉砕した試料に蒸留水とタンパク質分解酵素を添加し、30、50、70および100MPaの超高圧と、55℃の温度で加水分解し、液化させた。前記タンパク質分解酵素として、バチルスリケニフォルミスから分離されたアルカリ性セリンプロテアーゼ、およびバチルスサブチリスとバチルスアミロリケファシエンスから分離された中性メタロプロテアーゼが混合された液を使用した。前記アルカリ性セリンプロテアーゼおよび前記中性メタロプロテアーゼは低温水抽出法によって分離できる。
【0030】
前記オキアミの100重量部に対して、前記蒸留水は100重量部添加し、前記タンパク質分解酵素は1重量部添加した。
【0031】
前記加水分解の完了後、前記液化した分解生成物を濾過して濾液とスラッジに分離した。前記濾液を遠心分離して脂質とリン脂質を抽出し、前記スラッジをエタノールで洗浄してアスタキサンチンを抽出した。前記脂質およびリン脂質と前記アスタキサンチンを混合した後、減圧濃縮してオキアミ油を製造した。反応時間による脂質の回収率を求め、その結果を下記表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
前記表2を参照すると、反応時間が3時間以上の場合は脂質の回収率が30%以上であり、反応時間が9時間以上の場合は脂質の回収率が80%以上であり、反応時間が12時間以上の場合は脂質の回収率が90%以上であり、 反応時間が18時間以上の場合は圧力の大きさを問わず脂質の回収率がいずれも95%であった。
【0034】
実施例5
冷凍されたオキアミをミキサーで粉砕した試料に蒸留水とタンパク質分解酵素を添加し、常圧及び55℃の温度で12時間反応させて加水分解し、液化させた。前記タンパク質分解酵素として、バチルスリケニフォルミスから分離されたアルカリ性セリンプロテアーゼ、およびバチルスサブチリスとバチルスアミロリケファシエンスから分離された中性メタロプロテアーゼが混合された液を使用した。
【0035】
前記オキアミの100重量部に対して、前記蒸留水は100重量部添加し、前記タンパク質分解酵素は1重量部添加した。
【0036】
前記加水分解の完了後、前記液化した分解生成物を濾過して濾液とスラッジに分離した。前記濾液を遠心分離して脂質とリン脂質を抽出し、前記スラッジをエタノールで洗浄してアスタキサンチンを抽出した。前記脂質およびリン脂質と前記アスタキサンチンを混合した後、減圧濃縮してオキアミ油を製造した。
【0037】
実施例6
冷凍されたオキアミをミキサーで粉砕した試料に蒸留水を添加し、100MPaの超高圧および55℃の温度で12時間反応させて加水分解し、液化させた。前記蒸留水は前記オキアミの100重量部に対して100重量部添加した。実施例5とは異なり、タンパク質分解酵素を添加せず、超高圧反応器を用いてオキアミ油を製造した。
【0038】
実施例7
冷凍されたオキアミをミキサーで粉砕した試料に蒸留水とタンパク質分解酵素を添加し、100MPaの超高圧および55℃の温度で12時間反応させて加水分解し、液化させた。超高圧反応器を使用した以外は実施例5と同様の方法で、オキアミ油を製造した。
【0039】
実施例8
凍結乾燥したオキアミをミキサーで粉砕した試料に蒸留水とタンパク質分解酵素を添加し、100MPaの超高圧および55℃の温度で12時間反応させて加水分解し、液化させた。凍結乾燥したオキアミを使用した以外は実施例7と同様の方法で、オキアミ油を製造した。
【0040】
実施例5〜8で製造されたオキアミ油の有用な栄養成分を分析し、その結果を下記表3に示した。前記栄養成分に対する分析方法は次のとおりである。
【0041】
(a)脂肪酸分析:オキアミ油をメタノール性水酸化ナトリウムで加水分解し、脂肪酸誘導体化試液(BF−メタノール)でメチルエステル化させてガスクロマトグラフィーで分析した。
【0042】
(b)リン脂質分析:健康機能食品公典のリン脂質分析によって、オキアミ油から中性脂質および不純物を核酸で除去し、アセトンに溶解させてアセトン不溶物としてリン脂質を測定した。
【0043】
(c)アスタキサンチン分析:健康機能食品機能/指標成分試験法指針書のアスタキサンチン分析法によってコレステロールエステラーゼで加水分解した後、石油エーテルで溶解し、回収して石油エーテルを濃縮した後、アセトンで再溶解して液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0044】
【表3】
【0045】
前記表3を参照すると、タンパク質分解酵素または超高圧反応器を用いた実施例1及び2は脂質の回収率が80%を超えた。タンパク質分解酵素および超高圧反応器を用いた実施3および4は脂質の回収率が95%と非常に高く、アスタキサンチンの含量も非常に高かった。また、オキアミ油はエイコサペンタエン酸14〜18重量%、ドコサヘキサエン酸8〜12重量%、リン脂質35〜45重量%、およびアスタキサンチン70〜170ppmを含むことができる。
【0046】
以上、本発明についての具体的な実施例を考察した。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形した形態で具現できることを理解することができるであろう。よって、開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されるべきである。本発明の範囲は前述した説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の実施例によれば、アセトンやヘキサンなどの毒性有機溶媒を用いることなく、オキアミの有用成分を環境調和的に抽出してオキアミ油を製造することができる。このように環境調和的な方法で製造することにより、廃水などに環境が汚染するのを防止することができ、オキアミ油の抽出後に残ったオキアミ粕を食品用タンパク質エキスとして使用することができる。また、高価の超臨界装備を用いることなく、オキアミの有用成分を抽出してオキアミ油を製造することにより、製造費用を節減することができる。
図1
図2