(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載された対基板作業機では、対基板作業位置を目標位置として搬送装置の作動が制御され、目標位置で停止させられた回路基板を撮像装置によって撮像することで、停止させられている回路基板の位置情報が取得される。そして、その取得された回路基板の位置情報と対基板作業位置とが比較され、取得された回路基板の位置情報が、対基板作業位置と異なる場合には、再度、搬送装置が駆動され、回路基板が対基板作業位置に搬送されている。このように、目標位置で停止させられた回路基板の位置情報を取得し、その位置情報に基づいて、搬送装置の作動を制御することで、回路基板を適切に対基板作業位置に搬送することが可能となる。
【0005】
しかしながら、回路基板の位置情報を取得するために、回路基板の搬送を停止していては、サイクルタイムの遅延を招くことになる。また、撮像装置は、作業実行装置を移動させるための移動装置に取り付けられていることがあり、その撮像装置によって回路基板を撮像していては、回路基板の撮像が終了するまで、作業実行装置による作業を行うことができない。このため、作業実行装置による作業を効率的に行うことができなくなり、サイクルタイムの短縮を図り難くなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、サイクルタイムの短縮を図りつつ、回路基板を適切に対基板作業位置に搬送可能な対基板作業機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願の請求項1に記載の対基板作業機は、回路基板を搬送するとともに、回路基板に対する作業が行われる対基板作業位置において回路基板を保持する搬送装置と、その搬送装置に保持された回路基板に対して作業を実行する作業実行装置と、その作業実行装置を任意の位置に移動させる移動装置と、その移動装置に取り付けられ、前記対基板作業位置に位置する回路基板を撮像する第1撮像装置と、前記対基板作業位置に搬送される前の回路基板を撮像する第2撮像装置と、(a)前記対基板作業位置より回路基板の搬送方向の上流側に位置する設定位置から前記対基板作業位置まで回路基板を搬送するために必要な前記搬送装置の駆動源の駆動量である第1駆動量
と、前記設定位置から前記第2撮像装置によって搬送中の回路基板を撮像可能な位置まで回路基板を搬送するために必要な前記搬送装置の駆動源の駆動量である第2駆動量とを演算する駆動量演算部を有し、前記搬送装置の駆動源の駆動量が前記第1駆動量となるように、前記搬送装置の作動を制御する搬送装置制御部と、(b)前記第2撮像装置による撮像を指令するとともに、前記第2撮像装置によって撮像された画像データを処理する第2撮像装置制御部とを有する制御装置とを備え、前記第2撮像装置制御部が、
前記搬送装置の駆動源が前記第2駆動量駆動したときに、前記設定位置と前記対基板作業位置との間で搬送中の回路基板の撮像を指令する撮像指令部と、その撮像指令部の指令により撮像された画像データを処理し、処理された画像データに基づいて、撮像時の回路基板の位置を検出する回路基板位置検出部とを有し、前記搬送装置制御部が、前記回路基板位置検出部によって検出された撮像時の回路基板の位置情報に基づいて、前記第1駆動量を補正する駆動量補正部を有し、その駆動量補正部によって前記第1駆動量が補正された後には、前記搬送装置の駆動源の駆動量が補正後の前記第1駆動量となるように、前記搬送装置の作動を制御するように構成される。
【0007】
【0008】
また、
請求項2に記載の対基板作業機は、請求項
1に記載の対基板作業機において、当該対基板作業機が、前記設定位置に回路基板が搬送されたことを検出可能なセンサを備えるように構成される。
【0009】
また、
請求項3に記載の対基板作業機は、請求項1
または請求項2に記載の対基板作業機において、前記第2撮像装置が、回路基板の前記搬送方向の下流側の端部を、前記搬送方向に直交かつ水平である方向の全域に渡って撮像可能とされるように構成される。
【0010】
また、
請求項4に記載の対基板作業機は、請求項1ないし
請求項3のいずれか1つに記載の対基板作業機において、前記回路基板位置検出部が、前記撮像指令部の指令により撮像された画像データの特定の領域の画像データを処理し、処理された前記特定の領域の画像データに基づいて、撮像時の回路基板の位置を検出するように構成される。
【0011】
また、
請求項5に記載の対基板作業機は、
請求項4に記載の対基板作業機において、前記第2撮像装置制御部が、前記特定の領域を変更する画像データ処理領域変更部を有するように構成される。
【0012】
また、
請求項6に記載の対基板作業機は、請求項1ないし
請求項5のいずれか1つに記載の対基板作業機において、前記搬送装置制御部が、回路基板が前記設定位置を通過した後の回路基板の搬送速度が、回路基板が前記設定位置を通過する前の回路基板の搬送速度より低くなるように、前記搬送装置の作動を制御するように構成される。
【0013】
また、
請求項7に記載の対基板作業機は、請求項1ないし
請求項6のいずれか1つに記載の対基板作業機において、前記搬送装置が、回路基板を支持する1対のコンベアベルトを有し、前記第2撮像装置が、前記1対のコンベアベルトの間に固定的に配設され、それら1対のコンベアベルトに支持された回路基板を下方から撮像するように構成される。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の対基板作業機では、移動装置に取り付けられた第1の撮像装置とは異なる第2の撮像装置が設けられており、その第2の撮像装置によって、回路基板の位置情報が取得される。これにより、回路基板の撮像時において、移動装置によって作業実行装置を移動させることが可能となる。したがって、作業実行装置を効率的に稼働させることが可能となり、サイクルタイムの短縮を図ることが可能となる。また、請求項1に記載の対基板作業機では、対基板作業位置に向かって搬送されている最中の回路基板が撮像され、その撮像データから回路基板の位置情報が取得される。これにより、回路基板の位置情報を取得するために、回路基板の搬送を停止させる必要が無くなり、サイクルタイムの遅延を防ぐことが可能となる。そして、取得された回路基板の位置情報に基づいて、第1駆動量が補正されることで、回路基板を適切に対基板作業位置に搬送することが可能となる。したがって、請求項1に記載の対基板作業機によれば、サイクルタイムの短縮を図りつつ、回路基板を適切に対基板作業位置に搬送することが可能となる。
さらに、請求項1に記載の対基板作業機では、上記設定位置から第2撮像装置による回路基板の撮像位置まで回路基板を搬送するために必要な搬送装置の駆動量が演算されており、搬送装置がその演算された駆動量駆動されたときに、回路基板の撮像が行われる。これにより、タイミング良く回路基板を撮像することが可能となる。
【0015】
【0016】
また、
請求項2に記載の対基板作業機では、上記設定位置への回路基板の搬送を検出可能なセンサが設けられている。これにより、第1駆動量および第2駆動量の基準となる位置を確定することが可能となり、好適に回路基板を対基板作業位置に搬送するとともに、好適なタイミングで回路基板を撮像することが可能となる。
【0017】
また、
請求項3に記載の対基板作業機では、回路基板の先端部が撮像されており、その撮像範囲は、搬送方向に直交かつ水平な方向の全域に渡っている。これにより、回路基板の搬送方向下流側の縁部の全域を撮像することが可能となり、回路基板の先端位置情報を適切に取得することが可能となる。
【0018】
また、
請求項4に記載の対基板作業機では、撮像された画像データの特定の領域のみが処理され、その処理された特定の領域の画像データに基づいて、回路基板の位置情報が取得される。これにより、例えば、電子部品が回路基板の先端から延び出した状態で装着された回路基板であっても、適切に回路基板の先端位置を取得することが可能となる。具体的には、後に詳しく説明するが、回路基板に装着されている電子部品からズレた位置に特定の領域を設定することで、電子部品を、回路基板と誤認することが無くなり、適切に回路基板の先端位置を取得することが可能となる。
【0019】
また、
請求項5に記載の対基板作業機では、画像データが処理される特定の領域を変更することが可能となっている。電子部品は、回路基板の様々な位置に装着され、回路基板の先端から電子部品が延び出す位置は、製造される回路基板種毎に異なる。したがって、請求項6に記載の対基板作業機によれば、回路基板種毎に特定の領域を変更することが可能となり、どのような種類の回路基板であっても、回路基板の先端位置情報を確実に取得することが可能となる。
【0020】
また、
請求項6に記載の対基板作業機では、上記設定位置を通過後の回路基板の搬送速度を、通過前の搬送速度より低くしている。搬送装置の駆動量が第1駆動量となるように、搬送装置の作動が制御された場合、つまり、対基板作業位置を目標位置として搬送装置の作動が制御された場合に、搬送先の位置が対基板作業位置とならない理由として、搬送装置上での回路基板のズレ等がある。このため、対基板作業位置への回路基板の搬送速度を低くすることで、搬送装置上での回路基板のズレ等を抑制することが可能となり、回路基板を適切に対基板作業位置に搬送することが可能となる。
【0021】
また、
請求項7に記載の対基板作業機では、搬送装置を構成する1対のコンベアベルトの下方に、第2撮像装置が設けられている。搬送装置の上方には、種々の装置が設けられており、空きスペースが少ない。一方、1対のコンベアベルトの下方であれば、ある程度空きスペースがあり、1対のコンベアベルトの間から回路基板の下面を撮像することが可能である。したがって、請求項に記載の対基板作業機によれば、空きスペースを有効利用し、第2撮像装置を配設することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0024】
<電子部品装着機の構成>
図1および
図2に、本発明の実施例の電子部品装着機10を示す。
図1は、電子部品装着機10の斜視図であり、
図2は、上部カバーを取り除いた状態での電子部品装着機10を上方からの視点において示した概略平面図である。電子部品装着機10は、回路基板12に対して電子回路部品(以下、「電子部品」と略す)の装着作業を行うものであり、回路基板12を搬送する搬送装置14と、回路基板に対して電子部品を装着する作業ヘッド16と、その作業ヘッド16を移動させる移動装置18と、電子部品を供給する1対の供給装置20,22とを備えている。
【0025】
搬送装置14は、ベース23上に設けられた1対のコンベアベルト24を有しており、それら1対のコンベアベルト24を電磁モータ(
図5参照)26によって周回させることで、コンベアベルト24に支持される回路基板12を搬送する構造とされている。また、搬送装置14は、基板保持装置32を有しており、所定の位置(
図2での回路基板12が図示されている位置であり、以下、「対基板作業位置」という場合がある)において回路基板12を固定的に保持する構造とされている。なお、本実施例では、搬送装置14による回路基板12の搬送方向(
図2における左右方向)をX軸方向とし、その方向に直角な方向をY軸方向と称し、説明を行う。また、回路基板12が、電子部品装着機10内に搬入され、電子部品装着機10内から搬出される方向は、図での左から右に向かう方向である。
【0026】
また、作業ヘッド16は、搬送装置14によって保持された回路基板12に対して電子部品を装着するものであり、下面に電子部品を吸着する吸着ノズル34を有する装着ヘッドである。吸着ノズル34は、正負圧供給装置(
図5参照)36を介して負圧エア,正圧エア通路に通じており、負圧にて電子部品を吸着保持し、僅かな正圧が供給されることで保持した電子部品を離脱する構造とされている。さらに、作業ヘッド16は、吸着ノズル34を昇降させるノズル昇降装置(
図5参照)38および吸着ノズル34をそれの軸心回りに自転させるノズル自転装置(
図5参照)40を有しており、保持する電子部品の上下方向の位置および電子部品の保持姿勢を変更することが可能とされている。なお、吸着ノズル34は、作業ヘッド16に着脱可能とされており、電子部品のサイズ,形状等に応じて変更することが可能とされている。
【0027】
その作業ヘッド16は、移動装置18によって、ベース23上の任意の位置に移動可能とされている。詳しく言えば、移動装置18は、作業ヘッド16をX軸方向に移動させるためのX軸方向スライド機構50と、作業ヘッド16をY軸方向に移動させるためのY軸方向スライド機構52とを備えている。X軸方向スライド機構50は、X軸方向に移動可能にベース23上に設けられたX軸スライダ54と、駆動源としての電磁モータ(
図5参照)56とを有しており、その電磁モータ56によって、X軸スライダ54がX軸方向の任意の位置に移動可能とされている。また、Y軸方向スライド機構52は、Y軸方向に移動可能にX軸スライダ54の側面に設けられたY軸スライダ58と、駆動源としての電磁モータ(
図5参照)60とを有しており、その電磁モータ60によって、Y軸スライダ58がY軸方向の任意の位置に移動可能とされている。そして、そのY軸スライダ58に作業ヘッド16が取り付けられることで、作業ヘッド16は、移動装置18によって、ベース23上の任意の位置に移動可能とされている。なお、作業ヘッド16は、Y軸スライダ58にワンタッチで着脱可能とされており、種類の異なる作業ヘッド、例えば、ディスペンサヘッド等に変更することが可能とされている。
【0028】
また、1対の供給装置20,22は、搬送装置14を挟むようにして、ベース23のY軸方向における両側部に配設されている。それら1対の供給装置20,22は、フィーダ型の供給装置とされており、テーピング化された電子部品を保持して1つずつ電子部品を送り出すテープフィーダ70を複数有している。そして、それら複数のテープフィーダ70の各々によって、作業ヘッド16への供給位置に電子部品を供給する構造とされている。
【0029】
また、電子部品装着機10は、マークカメラ80およびパーツカメラ(
図5参照)82を備えている。マークカメラ80は、下方を向いた状態でY軸スライダ58の下面に固定されており、移動装置18によって移動させられることで、対基板作業位置の回路基板12の表面を任意の位置において撮像することが可能となっている。また、パーツカメラ82は、上を向いた状態でベース23上に設けられており、作業ヘッド16の有する吸着ノズル34によって吸着保持された電子部品を撮像することが可能となっている。マークカメラ80によって得られた画像データおよび、パーツカメラ82によって得られた画像データは、画像処理装置(
図5参照)84において処理され、回路基板12に関する情報,基板保持装置32による回路基板12の保持位置誤差,吸着ノズル34による電子部品の保持位置誤差等が取得される。
【0030】
電子部品装着機10は、さらに、対基板作業位置に搬送される前の回路基板を撮像するための基板カメラ86を備えている。基板カメラ86は、搬送装置14の下方に設けられており、1対のコンベアベルト24に支持された回路基板12を下方から撮像することが可能となっている。詳しく言えば、基板カメラ86は、
図3に示すように、1対のコンベアベルト24の間であって、一方のコンベアベルト24寄りの位置で、ベース23上に固定されており、1対のコンベアベルト24に支持された回路基板12の下面を撮像可能となっている。基板カメラ86は、斜め上方を向いた状態で配設されており、図中の一点鎖線に示すように、回路基板を幅方向、つまり、Y軸方向の全域に渡って撮像可能となっている。
【0031】
基板カメラ86は、後に詳しく説明するように、回路基板12の搬送方向下流側の先端部を撮像し、その撮像された画像データが画像処理装置84によって処理されることで、回路基板12の先端位置情報が取得される。具体的には、例えば、
図3に示す回路基板12、詳しくは、上面に電子部品88が装着された回路基板12の先端部が、基板カメラ86によって撮像された場合には、
図4に示す画像90が撮像される。電子部品88は、図から解るように、回路基板12の先端から延び出した状態で回路基板12に装着されている。この画像90の画像データ全てが、画像処理装置84によって処理されると、電子部品88の先端、つまり、図での上端が、回路基板12の先端と誤認識される虞がある。
【0032】
このため、電子部品装着機10では、基板カメラ86によって撮像された画像90において、全ての画像データが処理されずに、特定の領域92の画像データのみが処理される。これにより、回路基板12の先端位置を正しく認識することが可能となり、回路基板12の先端位置情報を適切に取得することが可能となる。なお、この特定の領域92は、後に詳しく説明するが、変更することが可能となっている。
【0033】
さらに、電子部品装着機10は、
図5に示すように、制御装置100を備えている。制御装置100は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体とするコントローラ102と、上記電磁モータ26,56,60,基板保持装置32,正負圧供給装置36,ノズル昇降装置38,ノズル自転装置40,テープフィーダ70の各々に対応する複数の駆動回路104とを備えている。コントローラ102には、各駆動回路104を介して搬送装置,移動装置等の各装置14,18等の駆動源が接続されており、搬送装置,移動装置等の各装置14,18等の作動を制御することが可能とされている。また、コントローラ102には、マークカメラ80,パーツカメラ82,基板カメラ86によって得られた画像データを処理する画像処理装置84が接続されている。
【0034】
さらに、制御装置100には、検知センサ106が接続されている。検知センサ106は、
図2に示すように、発光部108と受光部110とから構成されており、対基板作業位置より上流側に配置されている。回路基板12が電子部品装着機10内に搬入され、対基板作業位置に向かって搬送される際に、発光部108から受光部110に向かって発せられる光ビームを回路基板12が遮ることで、回路基板12の通過が検出される。つまり、発光部108と受光部110と結ぶ仮想の直線と、回路基板12の搬送経路とが交わる位置(以下、「設定位置」という場合がある)に回路基板12が搬送されたときに、検知センサ106によって回路基板12が検知される。
【0035】
<電子部品装着機による装着作業>
電子部品装着機10では、上述した構成によって、搬送装置14に保持された回路基板12に対して、作業ヘッド16によって装着作業を行うことが可能とされている。具体的に説明すれば、まず、搬送装置14によって、回路基板12を対基板作業位置まで搬送するとともに、その位置において回路基板12を固定的に保持する。次に、移動装置18によって、作業ヘッド16を回路基板12上に移動させ、マークカメラ80によって、回路基板12を撮像する。その撮像により回路基板12の種類,搬送装置14による回路基板12の保持位置誤差が取得される。その取得された回路基板12の種類に応じた電子部品を、供給装置20,22のテープフィーダ70によって供給し、その電子部品の供給位置に、作業ヘッド16を移動装置18によって移動させる。これにより、作業ヘッド16の吸着ノズル34によって電子部品が吸着保持される。続いて、電子部品を保持した状態の作業ヘッド16を、移動装置18によってパーツカメラ82上に移動させ、パーツカメラ82によって、作業ヘッド16に保持された電子部品を撮像する。その撮像により電子部品の保持位置誤差が取得される。そして、移動装置18によって、作業ヘッド16を回路基板12上の装着位置に移動させ、作業ヘッド16によって、回路基板および電子部品の保持位置誤差に基づいて吸着ノズル34を自転させた後に,電子部品が装着される。
【0036】
<回路基板の対基板作業位置への搬送>
上述したように、電子部品装着機10は、作業ヘッド16の吸着ノズル34によって保持された電子部品を、対基板作業位置で固定的に保持された回路基板に装着するように構成されている。このように構成された装着機では、回路基板12を適切に対基板作業位置に搬送することが重要である。このため、従来の装着機では、マークカメラ80によって撮像された回路基板12の画像データを利用して、回路基板12を対基板作業位置に搬送させていた。
【0037】
詳しく言えば、まず、回路基板12が電子部品装着機10内に搬入され、上記設定位置、つまり、検知センサ106による回路基板12の検知位置を、回路基板が通過したときに、その設定位置から対基板作業位置まで回路基板を搬送するために必要な搬送装置14の電磁モータ26の駆動量(以下、「第1駆動量」という場合がある)が演算される。そして、搬送装置14の電磁モータ26の駆動量が第1駆動量となるように、電磁モータ26の作動が制御される。これにより、回路基板12が対基板作業位置に向かって搬送される。しかし、搬送中の回路基板12のコンベアベルト24上でのズレ等により、回路基板12の搬送先の位置が、対基板作業位置からズレる場合がある。
【0038】
このため、従来の装着機では、搬送装置14の電磁モータ26が第1駆動量駆動された後に、回路基板12の搬送を停止し、その停止した回路基板12をマークカメラ80によって撮像することで、第1駆動量に相当する距離搬送された回路基板12の画像データを取得していた。そして、取得された画像データに基づいて、回路基板12の搬送先の位置情報を取得するとともに、その回路基板12の搬送先の位置情報と対基板作業位置とのズレ量を演算し、その演算されたズレ量分、再度、搬送装置14の電磁モータ26が駆動されることで、回路基板12が対基板作業位置に搬送されていた。
【0039】
このように、マークカメラ80による回路基板12の画像データを利用することで、回路基板12を適切に対基板作業位置に搬送することが可能となる。しかしながら、この手法によって、回路基板12を対基板作業位置へ搬送する際には、回路基板の搬送を停止させた後に回路基板12の搬送先の位置情報が取得されており、サイクルタイムが長くなる虞がある。
【0040】
また、作業ヘッド16を移動させる移動装置18に、マークカメラ80が取り付けられているため、マークカメラ80による回路基板12の撮像が終了するまでは、作業ヘッド16による作業、具体的には、テープフィーダ70から電子部品を吸着保持する作業等を行うことができない。このため、作業ヘッド16による作業を効率よく行うことができなくなり、サイクルタイムの短縮を図ることが困難となっている。
【0041】
さらに言えば、上記設定位置での回路基板12の検知は、検知センサ106によって行われているため、回路基板12の先端位置を適切に認識することができず、回路基板12の搬送先の位置が、対基板作業位置から大きくズレる場合がある。詳しく言えば、例えば、
図4に示すような回路基板12、つまり、電子部品88が回路基板12の先端から延び出した状態で装着された回路基板12の検知が、検知センサ106によって行われた場合には、電子部品88が光ビームを遮り、その電子部品88の先端が、回路基板12の先端と誤認識される。このため、回路基板12の搬送先の位置が、少なくとも電子部品88の延び出し量に相当する距離、対基板作業位置からズレる。
【0042】
以上のことに鑑みて、電子部品装着機10では、回路基板12の位置情報を取得するために基板カメラ86を設け、その基板カメラ86によって、対基板作業位置に搬送される前の回路基板12の位置情報を取得している。そして、その対基板作業位置に搬送される前の回路基板12の位置情報に基づいて、回路基板12を対基板作業位置に搬送させている。
【0043】
具体的には、まず、従来の手法と同様に、上記設定位置から対基板作業位置まで回路基板を搬送するために必要な第1駆動量が演算される。この際に、第1駆動量だけでなく、設定位置から、基板カメラ86によって回路基板12の先端部を撮像可能な位置(以下、「撮像位置」という場合がある)まで回路基板12を搬送するために必要な搬送装置14の電磁モータ26の駆動量(以下、「第2駆動量」という場合がある)も演算される。なお、第1駆動量および第2駆動量を演算するための機能部として、
図5に示すように、駆動量演算部120が制御装置100のコントローラ102に設けられている。
【0044】
第1駆動量および第2駆動量が演算されると、搬送装置14の電磁モータ26の駆動量が演算された第1駆動量となるように、電磁モータ26の作動が制御される。ちなみに、上記設定位置を通過した後の回路基板12の搬送速度は、通過前の搬送速度と同じとなるように、電磁モータ26の作動が制御される。そして、搬送装置14の電磁モータ26が第2駆動量駆動されたときに、制御装置100のコントローラ102によって、基板カメラ86の撮像指令が発せられる。ちなみに、電磁モータ26の駆動量が第1駆動量となるように、電磁モータ26が駆動されている状態で、基板カメラ86への撮像指令は発せられる。これにより、搬送されている最中の回路基板12の先端部が撮像され、上述したように、回路基板12の先端位置情報が取得される。なお、搬送中の回路基板12の撮像を指令するための機能部として、
図5に示すように、撮像指令部122が制御装置100のコントローラ102に設けられている。
【0045】
基板カメラ86によって回路基板12の先端部が撮像されると、その撮像された画像データの一部、詳しくは、特定の領域92の画像データが、画像処理装置84によって処理され、回路基板12の先端位置情報が取得される。この回路基板12の先端位置情報によって、基板カメラ86による撮像時の回路基板12の位置情報、つまり、第2駆動量に相当する距離搬送された回路基板12の位置情報が検出される。なお、基板カメラ86による撮像時の回路基板12の位置情報を検出するための機能部として、
図5に示すように、回路基板位置検出部124が制御装置100のコントローラ102に設けられている。
【0046】
基板カメラ86による撮像時の回路基板12の位置情報が検出されると、その検出された回路基板12の位置情報と上記撮像位置とが比較される。この撮像位置は、回路基板12の撮像時に回路基板12が搬送されていることが期待される位置である。その期待される位置から、検出された位置情報がズレている場合には、検出された位置情報と撮像位置との差に基づいて、第1駆動量が補正される。具体的には、検出された位置情報と撮像位置との差に相当する電磁モータ26の駆動量を演算し、その演算された駆動量を第1駆動量に加算若しくは、第1駆動量から減算する。なお、検出された位置情報と撮像位置との差に基づいて、第1駆動量を補正するための機能部として、
図5に示すように、駆動量補正部126が制御装置100のコントローラ102に設けられている。
【0047】
そして、第1駆動量が補正された後に、搬送装置14の電磁モータ26の駆動量が補正後の第1駆動量となるように、電磁モータ26の作動が制御される。これにより、回路基板12を対基板作業位置に適切に搬送することが可能となる。なお、搬送装置14の電磁モータ26の駆動量が補正後の第1駆動量となるように、電磁モータ26の作動を制御するための機能部として、
図5に示すように、搬送装置制御部128が制御装置100のコントローラ102に設けられている。ちなみに、搬送装置制御部128は、上記駆動量演算部120,駆動量補正部126を含んで構成されている。
【0048】
また、電子部品装着機10では、
図4に示すような回路基板12、つまり、電子部品88が回路基板12の先端から延び出した状態で装着された回路基板12に対応するべく、上述したように、基板カメラ86によって撮像された画像90の全ての画像データが処理されずに、特定の領域92の画像データのみが処理されている。しかしながら、電子部品88が特定の領域92内に位置するように、回路基板12に装着される場合がある。具体的には、
図6に示すように、点線で示される特定の領域92a内に電子部品88が装着されている場合がある。
【0049】
このような場合に、点線で示される特定の領域92a内の画像データが処理されると、電子部品88の先端位置が回路基板12の先端位置であると誤認識される虞がある。このため、電子部品装着機10では、画像データの処理を行うための領域を、2点鎖線で示す特定の領域92bに変更することが可能とされている。これにより、確実に回路基板12の先端位置情報を取得することが可能となる。なお、特定の領域92を変更するための機能部として、
図5に示すように、領域変更部130が制御装置100のコントローラ102に設けられており、特定の領域92の変更は、オペレータによって、変更後の領域が領域変更部130に入力されることで行われる。
【0050】
また、制御装置100のコントローラ102には、基板カメラ86の撮像指令および回路基板12の先端位置情報の取得を行うための機能部として、基板カメラ制御部132が設けられており、その基板カメラ制御部132は、上記撮像指令部122,回路基板位置検出部124,領域変更部130を含んで構成されている。
【0051】
上述した構成によって、電子部品装着機10では、搬送中の回路基板12が撮像され、撮像時の回路基板の位置情報が取得されている。これにより、回路基板の位置情報を取得するために、回路基板の搬送を停止させる必要が無くなり、サイクルタイムの遅延を防ぐことが可能となる。また、マークカメラ80ではなく、基板カメラ86によって、回路基板12の位置情報が取得されることから、作業ヘッド16に何らかの作業を行わせることが可能となる。このため、作業ヘッド16による作業を効率よく行うことが可能となり、サイクルタイムの短縮を図ることが可能となる。
【0052】
さらに言えば、電子部品装着機10では、検知センサ106によって回路基板12の位置を検知し、第2駆動量が演算されている。これにより、搬送中の回路基板12の撮像を適切に行うことが可能となっている。そして、撮像された回路基板12の画像データの特定の領域が処理されることで、電子部品が回路基板12の先端から延び出した状態で装着された回路基板12であっても、適切に回路基板12の先端位置情報を取得することが可能となっている。また、画像データの処理範囲を規定する特定の領域92を変更することが可能となっており、様々な電子部品が装着される回路基板12に対応することが可能となっている。
【0053】
ちなみに、上記実施例において、電子部品装着機10は、対基板作業機の一例である。その電子部品装着機10を構成する搬送装置14,作業ヘッド16,移動装置18,マークカメラ80,基板カメラ86,検知センサ106は、搬送装置,作業実行装置,移動装置,第1撮像装置,第2撮像装置,センサの一例であり、搬送装置14を構成するコンベアベルト24,電磁モータ26は、コンベアベルト,駆動源の一例である。また、画像処理装置84と制御装置100とによって構成されるものが、制御装置の一例であり、制御装置100を構成する駆動量演算部120,撮像指令部122,駆動量補正部126,搬送装置制御部128,領域変更部130,基板カメラ制御部132は、駆動量演算部,撮像指令部,駆動量補正部,搬送装置制御部,画像データ処理領域変更部,第2撮像装置制御部の一例である。さらに、制御装置100を構成する回路基板位置検出部124と画像処理装置84とによって構成されるものが、回路基板位置検出部の一例である。
【0054】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、基板カメラ86による回路基板12の撮像は、1回だけ行われていたが、複数回撮像してもよい。複数回の撮像により、回路基板12の位置情報も複数となり、第1駆動量の補正を精度良く行うことが可能となる。
【0055】
また、上記実施例では、上記設定位置を通過した後の回路基板12の搬送速度は、通過前の搬送速度と同じとされていたが、設定位置を通過後の回路基板12の搬送速度を、通過前の搬送速度より低くしてもよい。これにより、搬送中の回路基板12のコンベアベルト24上でのズレ等を抑制することが可能となり、回路基板12を確実に対基板作業位置に搬送することが可能となる。
【0056】
また、上記実施例では、基板カメラ86の撮像により検出された回路基板12の位置情報と上記撮像位置との差に基づいて、第1駆動量が補正されているが、検出された回路基板12の位置情報を利用した補正であれば、種々の手法に従った補正を採用することが可能である。具体的には、PID制御,PI制御等のフィードバック制御の手法に従って、第1駆動量を補正してもよい。