(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記プロセッサは、前記信号品質指数が信号品質指数未満である場合に、少なくとも1つの音声警報および映像警報を開始する、請求項8に記載の自動酸素運搬システム。
前記センサインターフェースに結合され、前記センサインターフェースに追加のセンサデータを提供する経皮ガス張力センサをさらに備え、前記追加のセンサデータは、血管の酸素の分圧測定値PtcO2および動脈の二酸化炭素圧力測定値PtcCO2を含む、請求項1に記載の自動酸素運搬システム。
前記センサは、侵襲的なカテーテル血液分析器であり、前記測定データは、血中溶解酸素の測定値PO2、血中溶解二酸化炭素の測定値PCO2、血液の酸性度pHの測定値、および血液温度の測定値を含む、請求項1に記載の自動酸素運搬システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、血流中で測定された酸素の量と、測定に関連するステータス情報とに基づいて、患者に運搬される酸素の量を自動的かつ安全に制御する、改善された酸素運搬システムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、患者に自動的に酸素を運搬するシステムを提供する。
【0006】
一実施形態では、自動的に酸素を運搬するシステムは、患者の血流中の酸素の量を測定するパルスオキシメータであるセンサと、空圧サブシステムであって、酸素入口と、空気入口と、混合ガス出口と、前記酸素入口、前記空気入口、および、前記混合ガス出口に結合され、酸素と空気とを混合し、運搬される酸素濃度を有する混合ガスを形成し、患者に前記混合ガスを運搬する、ガス運搬機構を含む空圧サブシステムと、前記センサおよび前記空圧サブシステムに結合される制御サブシステムであって、前記患者の血流中の所望の酸素濃度を受け取る入力装置と、測定データおよび前記測定データに関連するステータス情報であって、動脈拍動の拡張期と収縮期との間における、酸素を運ぶ赤血球の光吸収のわずかな変動を示す潅流指数と、光吸収の変動に基づく信号品質指数とを含むステータス情報を前記センサから受け取るセンサインターフェースと、前記空圧サブシステムに命令を送り、前記空圧サブシステムからデータを受け取る空圧サブシステムインターフェースと、前記入力装置、前記センサインターフェース、および、前記空圧サブシステムインターフェースに結合され、前記所望の酸素濃度、前記測定データ、および、前記ステータス情報に基づいて、前記運搬される酸素濃度を制御するプロセッサとを含む、制御サブシステムとを備え、前記運搬される酸素濃度は、吸気酸素濃度FiO
2として表され、前記測定データは、末梢の酸素飽和度SpO
2の測定値を含み、前記プロセッサは、前記SpO
2測定値の1つ、および、前記潅流指数に基づき、前記SpO
2測定値が有効かどうかを判定し、前記SpO
2測定値は、(i)前記SpO
2測定値がSpO
2低閾値とSpO
2高閾値との間
の正常範囲内にある場合、および、(ii)前記潅流指数が潅流閾値未満である場合は、無効であると判定される。
また、他の一実施形態では、自動的に酸素を運搬するシステムは、患者の血流中の酸素量を測定するセンサと、空圧サブシステムと、制御サブシステムとを含む。空圧サブシステムは、酸素入口、空気入口、混合ガス出口、および、ガス運搬機構を含み、ガス運搬機構は酸素と空気とを混合し、運搬される酸素濃度の混合ガスを形成し、混合ガスを患者に運搬する。制御サブシステムは、患者の血流中で所望の酸素濃度を受け取るための入力装置と、測定データおよび測定データに関連するステータス情報をセンサから受け取るためのセンサインターフェースと、命令を送り、また空圧サブシステムからデータを受け取る空圧サブシステムインターフェースと、所望の酸素濃度、測定データ、およびステータス情報に基づいて運搬される酸素濃度を制御するプロセッサとを含む。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記空気入口は、呼吸可能な混合ガスを受け取る。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記ガス運搬機構は、前記混合ガスの流量および運搬圧力を制御する。また、自動的に酸素を運搬するシステムの運搬される酸素濃度は、吸気酸素濃度FiO
2として表される。また、自動的に酸素を運搬するシステムで運搬される前記FiO
2は、FiO
2閾値以上である。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記センサは、パルスオキシメータであり、前記センサデータは、末梢の酸素飽和度の測定値SpO
2、潅流指数、および信号品質指数を含む。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記プロセッサは、前記運搬される酸素濃度を、前記SpO
2、前記潅流指数、および、前記信号品質指数に基づいて制御する。また、自動的に酸素を運搬するシステムのプロセッサは、測定された前記SpO
2が低SpO
2閾値未満である場合に前記FiO
2を増加させ、測定された前記SpO
2が高SpO
2閾値を上回る場合に運搬される前記FiO
2を減少させる。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記プロセッサは、前記潅流指数が潅流閾値未満である場合に、前記FiO
2を所定の値に設定する。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記プロセッサは、前記信号品質指数が信号品質閾値未満である場合、前記FiO
2を所定の値に設定する。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記プロセッサは、前記信号品質指数が信号品質指数未満である場合に、少なくとも1つの音声警報および映像警報を開始する。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記センサは、経皮ガス張力センサであり、前記センサデータは、血管の酸素の分圧測定値PtcO
2および動脈の二酸化炭素圧力測定値PtcCO
2を含む。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記センサは、侵襲的なカテーテル血液分析器であり、前記センサデータは、血中溶解酸素の測定値PO
2、血中溶解二酸化炭素の測定値PCO
2、血液の酸性度pHの測定値、および血液温度の測定値を含む。また、自動的に酸素を運搬するシステムは、患者の血流中の末梢の酸素飽和度SpO
2を測定するパルスオキシメータセンサと、空圧サブシステムであって、酸素入口と、空気入口と、混合ガス出口と、前記酸素入口、前記空気入口、および、前記混合ガス出口に結合され、酸素と空気とを混合して吸気酸素濃度FiO
2を有する混合ガスを形成し、前記患者に前記混合ガスを運搬する、ガス運搬機構と、を含む空圧サブシステムと、前記センサおよび前記空圧サブシステムに結合された制御サブシステムであって、前記患者の血流中の所望の酸素濃度を受け取る入力装置と、SpO
2測定値、および、前記SpO
2測定値に関連し、潅流指数および信号品質指数を含むステータス情報を、前記センサから受け取るセンサインターフェースと、前記空圧サブシステムに命令を送り、前記空圧サブシステムからデータを受け取る空圧サブシステムインターフェースと、前記入力装置、前記センサインターフェース、および、前記空圧サブシステムに結合され、前記FiO
2を前記所望の酸素濃度、前記SpO
2、前記潅流指数および前記信号品質指数に基づいて制御し、前記潅流指数の値が潅流閾値未満である場合または前記信号品質指数が信号品質閾値未満である場合に、前記FiO
2を所定の値に設定するプロセッサとを含む、制御サブシステムとを備える。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記酸素入口は、呼吸可能な混合ガスを受け取る。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記ガス運搬機構は、流量および混合ガスの運搬圧力を制御する。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記FiO
2はFiO
2閾値以上である。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記プロセッサは、測定された前記SpO
2が低SpO
2の閾値未満である場合にFiO
2を増加させ、測定された前記SpO
2が高SpO
2の閾値を上回る場合に前記FiO
2を減少させる。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記潅流指数は、動脈拍動の拡張期と収縮期との間における、酸素を運ぶ赤血球の光吸収のわずかな変動である。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記信号品質指数は、前記SpO
2の信頼できる測定基準を提供する。また、自動的に酸素を運搬するシステムの前記信号品質指数は、酸素を運ぶ赤血球の光吸収の変動に基づく。また、酸素を患者に自動的に運搬するシステムにおいて、患者の血流中の酸素量を測定する手段と、空圧サブシステムであって、酸素入口と、空気入口と、混合ガス出口と、酸素と空気とを混合し、運搬される酸素濃度を有する混合ガスを形成する手段とを含む空圧サブシステムと、前記酸素量を測定する手段および前記空圧サブシステムに結合された制御サブシステムであって、患者の血流中の所望の酸素濃度を受け取る入力装置と、測定データおよび前記酸素量を測定する手段の前記測定データに関連するステータス情報を、前記酸素量を測定する手段から受け取る第1のインターフェースと、前記空圧サブシステムに命令を送り、前記空圧サブシステムからデータを受け取る第2のインターフェースと、前記第1のインターフェースおよび前記第2のインターフェースに結合され、前記所望の酸素濃度、前記測定データ、および、前記ステータスデータに基づいて、前記運搬される酸素濃度を制御するプロセッサとを含む、制御サブシステムとを備える。
【0007】
以上、本明細書の詳細な説明がよりよく理解され、また、技術分野への貢献がよりよく理解されるように、本発明の特定の実施形態の概略を説明した。もちろん、本発明の追加の実施形態が以下で説明され、添付の特許請求の範囲の内容を含む。
【0008】
本発明の少なくとも一つの実施形態を詳細に説明するにあたり、本発明はその適用を以下の説明または図面に例示された設計の詳細および部品の配置に限定されるものではないことを理解されたい。本発明の実施形態は、それらの説明の他にも、またはさまざまな方法で実施および実行されることが可能である。また、本明細書、同様に要約でも用いられている用語または専門用語は、説明の目的であり限定を意味するとみなされるものではないことを理解されたい。
【0009】
このように、当業者は、本開示の基礎となる概念を、本発明のいくつかの目的を実行するための他の構造、方法およびシステムを設計する根拠として容易に利用することが出来る。したがって、特許請求の範囲は、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限りにおいて、そのような均等物を含むものとみなされることが重要である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。図面を通じて同様の構成要素には同様の参照符号が付される。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に従う自動酸素運搬システムのブロック図である。概して、自動酸素運搬システム100は、ソフトウェアによって駆動される、サーボ制御のガス運搬システムであって、新生児、小児、および、大人の患者のためのあらゆる量での加圧換気を提供する。より詳細には、自動酸素運搬システム100は、酸素の測定値に基づいてFiO
2を滴定することによって、患者の血流中で測定された酸素の量をユーザが選択可能な範囲で安全に維持する。
図1に示されるように、自動酸素運搬システム100は、患者の血流中の酸素量を測定するセンサ10、制御サブシステム20、および、空圧サブシステム30を含む。
【0013】
好適な実施形態では、センサ10は、Mashimo Signal Extraction pulse oximeterセンサ(カリフォルニア州アーバインのMasimo社製)であり、赤色光および赤外線など2つの異なる波長の光の吸収を測定する。これらの光は、光学経路内で酸素を運搬している赤血球の一部から出たものであり、それによって、患者の血流中の酸素量を判定することができる。本実施形態では、センサモジュール12は、例えばMS−11やMS−13などのMasimoのインターフェースボードであり、また、センサ10は、Masimo pulse oximeterセンサであり、例えばLNCS(またはLNOP)Adtx、Pdtx、Inf、Neo、Neoptなどであり、センサモジュール12および看護師のインターフェースケーブルを通して制御サブシステム20に結合される。センサモジュール12は、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、および、例えば赤色および赤外線LEDなどのセンサ10内の能動素子を駆動させ、センサ10で生成された光信号をとらえ、これらの信号を処理し、測定データおよびセンサに関連するステータス情報を生成する補助回路を含む。センサモジュール12は、これらの光信号に基づいて患者の血流中の末梢の酸素飽和度SpO
2および患者の心拍数を計算し、潅流指数、信号品質指数などを含むSpO
2データに関連するステータス情報を生成し、このデータを制御サブシステム20に、例えばRS−232シリアルインターフェースなどのセンサインターフェース14を介して伝達する。あるいは、センサモジュール12は、センサインターフェース14の代わりに制御サブシステム20そのものに含まれてもよい。
【0014】
本実施形態では、潅流指数は、動脈の脈拍の周期の拡張期と収縮期との間における、酸素を運ぶ赤血球の光吸収のわずかな変動を示す。信号品質指数は、一般に、SpO
2の信頼できる測定基準を提供し、本実施形態のパルスオキシメータでは、信号品質指数は、心臓周期に関連する、あるいは関連しない光吸収の変動に基づいている。さらに、センサモジュール12は、例えば、光学干渉(例えば周辺光が多すぎるなど)、電気的干渉、センサが検出していない、センサが取り付けられていない、などの測定アーチファクトまたはセンサの不具合を特定してもよく、このステータス情報を制御サブシステム20に提供する。別の実施形態では、センサモジュール12は、例えば4バイト/信号および60Hzなどの、SpO
2が制御サブシステム20によって直接計算される特殊なサンプル分解能およびサンプルレートで、赤色および赤外線プレチスモグラフィ信号を、直接センサインターフェース14に提供してもよい。これらの信号は、必要に応じて、処理され、平均化され、フィルタリングされるなどしてもよく、潅流指数、信号品質指数、多くの信号測定基準などを生成するために使用されてもよい。
【0015】
別の実施形態では、センサ10は、経皮ガス張力センサであり、例えば、細動脈血、すなわち毛細血管の表面の血中酸素の分圧を、皮膚と密着したガス透過性膜を用いて直接測定するラジオメータTCM4またはTCM40経皮モニタ(デンマーク、ブレンスホイのRadiometer Medical Aps社製)などである。膜は、表面の血管を膨張させるために38℃から40℃までに加熱され、酸素は、センサ内部の酸素の分圧が血中酸素の分圧と均衡になるまで、表皮および透過膜を介して拡散する。経皮ガス張力センサは、銀および白金電極と、分解された化学物質のリザーバを有する電気化学セルとを含み、血中の二酸化炭素濃度および酸素を直接検出する。このセンサに提供される測定データは、動脈の酸素の分圧測定値PtcO
2および動脈の二酸化炭素分圧測定値PtcCO
2を含み、一方、ステータス情報は、熱出力、センサ温度、および皮膚灌流を含んでもよい。これらのデータは、パルスオキシメータによって得られた追加の情報によって補足されてもよい。経皮ガス張力センサの実施形態では、センサモジュール12が独立したモジュールとして設けられてもよく、または、制御サブシステム20内の構成要素として設けられてもよい。
【0016】
さらに別の実施形態において、センサ10は、例えば、Diametric Neocath、ParatrendまたはNeotrendなどの動脈圧モニタといった侵襲的なカテーテル血液分析器であり、血管内に挿入され、センサ付近の溶解分子の量に依存する光の特定の波長を形成または吸収する化学発光物質を使用して、O
2、CO
2、pHなどの血液のさまざまな化学成分を直接測定する。光は、カテーテル内の光ファイバに沿って、センサモジュール12などの外部モニタ装置に伝達される。このセンサから提供された測定データは、血中溶解酸素PO
2と、血中溶解二酸化炭素PCO
2と、血液の酸性度pHと、血液温度とを含む。この侵襲的なカテーテル血液分析器の実施形態では、センサモジュール12が独立したモジュールとして設けられてもよく、または、制御サブシステム20内の構成要素として設けられてもよい。
【0017】
制御サブシステム20は、換気機能、センサ測定処理、ガス計算、モニタリングおよびユーザーインターフェース機能のすべてを制御する。好適な実施形態では、制御サブシステム20は、とりわけ、ディスプレイ24、1つ以上の入力装置26、センサインターフェース14、空圧サブシステムインターフェース28、および、これらに結合された1つ以上のプロセッサ22を含む。例えば、ディスプレイ24は、12.1インチ、800×600のバックライト付きアクティブマトリックス方式液晶ディスプレイ(LCD)であってもよく、これは、ユーザに波形、ループ、デジタルモニタ、アラームの状態などを示すとともに、調整可能な制御およびアラームのすべてを含むグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を提供する。入力装置26は、ディスプレイ24用のアナログ抵抗タッチスクリーンオーバーレイと、一組のメンブレンキーパネルと、光学エンコーダ等とを含んでもよい。プロセッサ22によって実行されるソフトウェアは、タッチスクリーンオーバーレイと協働してコンテクストに応じた一組のソフトキーをユーザに提供し、一方、メンブレンキーパネルは、特定の機能のための一組のハードキーを提供する。例えば、ユーザは、ソフトキーを用いて機能を選択し、特定の設定を光学エンコーダで調整してもよく、特定の設定は、適切なハードキーを押すことによって容認されるかまたは無効にされる。空圧サブシステムインターフェース28は、空圧サブシステム30内に配置された制御サブシステムインターフェース34に結合され、例えば、高速シリアルチャネルを通じて空圧サブシステム30に命令を送り、空圧サブシステム30からデータを受け取ってもよい。
【0018】
プロセッサ22は、概して、患者に運搬される酸素濃度を、ユーザによって入力された所望の動脈内酸素濃度、および、センサ10から受け取った測定データおよびステータス情報に基づいて制御する。例えば、プロセッサ22は、ガス計算を行い、患者に混合ガスを運搬するのに必要とされる全ての弁、ソレノイド、空圧サブシステムの電子部品を制御する。さらに、プロセッサ22は、ディスプレイ24の更新、および、メンブレンキーパッド、アナログ抵抗タッチスクリーン、光学式エンコーダの活性についてのモニタリングを含むGUIの管理を行う。プロセッサ22によって行われるガスの制御プロセスは、以下でより詳細に説明される。
【0019】
空圧サブシステム30は、機械的な弁、センサ、マイクロコントローラ、アナログ電子部品、電源等のすべてを含み、混合ガスを受け取り、処理し、患者に運搬する。好適な実施形態では、空圧サブシステム30は、とりわけ、制御サブシステムインターフェース34と、1つ以上の任意のマイクロコントローラ(図示せず)と、酸素入口36と、空気入口37と、混合ガス出口38と、任意の呼気入口39と、ガス運搬機構40とを備え、空圧サブシステム30は、酸素と空気とを混合することによって、運搬される酸素濃度を有する混合ガスを形成し、混合ガス出口38を通じて混合ガスを患者に運搬する。一実施形態では、空圧サブシステム30は、酸素入口36を介して酸素を受け取り、空気入口37を介して高圧の空気を受け取り、濾過し、これらのガスを、ガス混合器を介して混合した後、混合ガス出口38を介して、適切な圧力およびまたは体積の混合ガスを運搬する。別の実施形態では、空圧サブシステム30は、酸素入口36を介して酸素を受け取り、空気入口37を介して高圧の空気を受け取り、これらのガスを濾過し、その後、ガス出口38を介し、必要な吸気酸素濃度FiO
2による適切な圧力または体積の混合ガスを提供すべく、計算された流量の空気および計算された流量の酸素を患者に運搬する。さらなる実施形態では、空圧サブシステム30は、例えば窒素、ヘリウム、80対20のヘリオックスなどの他のガスと予め混ぜられた酸素を、空気入口37を介して受け取る。また、制御サブシステム30は、大気/他のガスの吸気口への供給特性に基づいて、混合、運搬量、運搬量のモニタおよび警報を調整するとともに、FiO
2のモニタリングおよび警報を調整する。加熱された呼気システム、噴霧器、コンプレッサが提供されてもよい。
【0020】
一実施形態では、制御サブシステム20および空圧サブシステム30は、それぞれ別の物理モジュールまたはハウジング内に収納されているが、別の実施形態では、制御サブシステム20および空圧サブシステム30は、単一のモジュールまたはハウジング内に収容されている。
【0021】
図2Aは、本発明の一実施形態に従うガス運搬機構のブロック図である。本実施形態では、ガス運搬機構40は、とりわけ、入口空圧部41と、酸素混合器42と、アキュムレータシステム43と、流量制御弁44と、流量制御センサ45と、安全/逃し弁・出口マニホールド46と、を備える。一実施形態では、コンプレッサ49は、空気の補充または交換を酸素混合器42に対して行う。入口空圧部41は、清浄なO
2および空気、または、空気/他のガスの混合物を受け取り、さらなる濾過を行い、混合器42に運搬するための酸素および空気を調整する。酸素混合器42は、酸素および空気を、制御サブシステム20から受け取った命令によって決定された所望の濃度に混合する。アキュムレータシステム43は、ピーク流量容量を提供する。流量調整弁44は、概して、患者への混合ガスの流量を制御し、流量センサ45は、実際の吸気の流れの情報を制御サブシステム20に提供する。ガスは、安全/逃し弁・出口マニホールド46を介して、患者に運搬される。
【0022】
一実施形態では、入口空圧部41は、高圧(例えば、20から80PSIG)の空気および酸素用の、地域または国ごとに適合する取付部品を有するマニホールドと、入口ガスからエアゾールおよび粒子状の汚染物質を除去するサブミクロン入口フィルタと、それぞれの入口ガスの損失を検出する圧力変換器と、空気入口の逆止弁と、酸素入口のパイロット酸素スイッチとを含む。酸素スイッチは、電力が印加されていない時には酸素閉止弁として働き、電力が印加されたときは逆止弁として働く。下流の空気レギュレータとO
2リレーとの組み合わせを用いて、調整された圧力をガス混合システムに提供してもよい。空気レギュレータは、空気供給圧を11.1PSIGに低下させ、O
2リレーをこの圧力に追随させる。コンプレッサ49が設けられる場合、空気供給圧は、5PSIGから10PSIGまでに調整され、または、好ましくは、6PSIGから9.5PSIGまでに調整される。
【0023】
空気供給圧が約20PSIGを下回る場合、コンプレッサ49が自動的に起動され、酸素混合器42に空気を供給する。コンプレッサ49が設けられていない場合、クロスオーバーソレノイドが開くことによって、高圧の酸素が空気レギュレータに運搬され、空気レギュレータは、O
2リレーを導くための調整された酸素を供給するようになる。さらに、このとき酸素混合器42が100%酸素位置まで動くことにより、患者に対する全開流量が維持される。同様に、酸素圧が約20PSIGを下回る場合、クロスオーバーソレノイドは閉じたままであり、酸素スイッチソレノイドが通電せず、混合器は21%酸素位置に移動し、調整された空気圧によって酸素混合器42には100%の空気が提供される。
【0024】
酸素混合器42は、入口空圧部41から供給されるガスを受け取り、2種のガスを、制御サブシステム20によって提供された特定の値に混合する。一実施形態では、酸素混合器42は、弁、ステッピングモータ、および、駆動電子部品を含む。
【0025】
アキュムレータ43は、酸素混合器42の出口マニホールドに接続され、逆止弁と並列の大きな開口のパイロット弁を用いる。アキュムレータ43は、酸素混合器42からの混合されたガスを蓄え、これによりシステム効率が向上し、呼吸ごとの一回換気量およびピーク流量容量が比較的低い圧力で提供されるので、結果的に低電力システムになるという利点がある。アキュムレータガス圧力は、一回換気量およびピーク流量要件に応じて、約2PSIGから約12PSIGの間で循環する。アキュムレータのブリードオリフィスは、毎分約6リットルの排出が可能であり、流量調整弁から何も流れていなくても安定したO
2混合物を提供することができる。圧力逃し弁は、約12PSIGを超える圧力から保護するために提供される。排水ソレノイドは、予め決められた時間に定期的に起動されてもよく、蓄積されているかもしれない水分を除去するために、アキュムレータ43からそれぞれの量のガスを放出する。レギュレータは、アキュムレータのすぐ下流に取り付けられ、調整された圧力源を空圧部に提供する。毎分約0.1リットルの排出流量は、運搬されるFiO
2の測定のためにO
2センサによってサンプリングされる。別の実施形態では、ガス運搬機構40からアキュムレータ43を省略してもよい。
【0026】
流量制御システムは、所望の流量の混合ガスを患者に提供し、流量調整弁44および流量センサ45を含み、ガス温度センサと回路圧力センサも含む。アキュムレータ43に蓄積されている高圧ガスは、流量調整弁44に供給され、制御サブシステムインターフェース34を通じて、制御サブシステム20によって制御される。流量センサ45は、ガス温度センサおよび回路圧力センサと共に、制御サブシステム20にフィードバックを提供する。制御サブシステム20は、周期的にセンサを読み取り、計算し、位置命令を流量調整弁44に提供する。制御サブシステム20は、流量、ガスの温度、ガスの濃度、背圧を調整する。流量に比例した圧力の低下は、圧力変換器によって測定され、1つ以上のオートゼロソレノイドを用いてゼロにされる。重要なことには、患者が新生児であるとき、逆止/バイパス弁は閉まっており、混合ガスは、必要最小限の混合器流量を提供するために酸素混合器42からアキュムレータ43には流れ続けるが、アキュムレータ43から患者回路には逆流しない。これは、設定された吸気酸素濃度が変化して患者の出口に達するまでにかかる時間を最小化するので有益である。
【0027】
安全/逃し弁・出口マニホールド46は、とりわけ、3方向の安全ソレノイド、パイロットサブアンビエント/過圧逃し弁、および逆止弁を含む。安全/逃し弁・出口マニホールド46は、呼吸回路に圧力がかかりすぎるのを防ぎ、「安全弁開」アラームの間に患者が大気を呼吸することを可能にする。ガスの供給または電力の供給を完全になくすことによって安全な状態がさらに確保される。圧力逃し弁は、機械的な逃し弁であり、毎分約150リットルの最大気体流によって圧力が所定の値を超えないようにする。サブアンビエント弁は、安全ソレノイドによって制御されており、電力喪失時または人工呼吸器が動作不能であった場合(vent imp)に安全ソレノイドが停止され、これによりサブアンビエント弁が開いて患者が周囲の気体を呼吸できるようになる。この場合、逆止弁は、患者がサブアンビエント弁から息を吸い込み、呼気弁を通じて息を吐くのを確実にし、したがって、患者がガスを再度呼吸することはない。
【0028】
好適な実施形態では、運搬されるガスは、サーボ制御の呼気弁を閉じることによって患者に強制的に送られてもよい。呼気弁は、患者が息を吐くことを可能にし、基準圧力またはPEEP(呼吸終末陽圧)を維持することも可能である。呼気ガスは、患者回路の呼気側を通じて排出され、一実施形態においては、呼気入口39を通じて、空圧サブシステム30に再び入り、加熱された呼気フィルタを通って外部の流量センサへと渡った後に、呼気弁を通じて大気に出る。
【0029】
ガス量は、機械の呼気側または患者用Y字状回路でモニタされる。これは患者、特に乳児のより正確なモニタリングを可能にする一方で、成人ICUで好まれる、熱フィルタによって保護される呼気側流量センサの利便性を図る。また、気管および食道の圧力が測定されうる。任意のCO
2センサ、例えば、Novametrix Capnostat 5 Mainstream CO
2センサなどが患者用Y字状呼吸回路に取り付けられてもよく、制御サブシステム20にシリアル通信ポートを通じて接続され、吐き出されたCO
2および吐き出されたCO
2の圧力波形の呼気終期圧力をモニタリングできるようにする。Y字状流量センサと共に使用されたとき、または、呼吸回路のコンプライアンス補正が可能である場合、CO
2圧力波形を用いて二次モニタを得てもよい。
【0030】
図2Bは、本発明の別の実施形態に従うガス運搬機構のブロック図である。本実施形態では、ガス運搬機構50は、とりわけ、酸素入口の空圧部51、酸素流量調整器52、空気入口の空圧部53、空気流量調整器54、ガス混合マニホールド57、流量調整センサ55、および、安全/逃し弁・出口マニホールド56を含む。酸素入口の空圧部51は、清浄なO
2を受け取り、さらに濾過し、得たO
2を酸素流量調整器52に提供する。酸素入口の空圧部53は、清浄な空気を受け取り、空気と他のガスとが混合したものをさらに濾過して得た空気を空気流量調整器54に提供する。一実施形態において、空気流量調整器54は、サーボ制御された流量調整弁であり、一方、他の実施形態においては、空気流量調整器54は、可変速度ブロワーまたはポンプである。酸素流量調整器52および空気流量調整器54は、それぞれ、ガス混合マニホールド57に供給される酸素および空気のそれぞれの流れを、制御サブシステム20から受け取った命令によって決定されたように、正確な速度で制御する。流量センサ55は、実際の呼気流量に関する情報を制御サブシステム20に提供し、ガスは、安全/逃し弁・出口マニホールドを通じて患者に運搬される。本実施形態では、運搬される混合ガスにおける酸素の比率は、酸素および空気の調整された流量(Qoxygen およびQairと示す)に依存し、以下の式(1)で表される。
【0032】
図2Cは、本発明のさらに別の実施形態に従うガス運搬機構のブロック図である。本実施形態では、ガス運搬システム60は、とりわけ、酸素入口の空圧部61、酸素流量調整器62、空気入口の空圧部63、ガス混合マニホールド67、ガス流量調整器68、流量調整センサ65、および、安全/逃し弁・出口マニホールド66を含む。空気入口の空圧部63は、清浄な空気、または空気/他のガスの混合物を受け取り、さらに濾過して、得られた空気をガス混合マニホールド67に提供する。酸素入口の空圧部61は清浄なO
2を受け取り、さらに濾過して、制御サブシステム20から受け取った命令によって決定されるガス混合マニホールド67に運搬される酸素のフローを制御する酸素流量調整器62にO
2を提供する。混合されたガスは、その後、制御サブシステム20から受け取った命令によって決定されたように、患者に供給される混合ガスの流れを制御するガス流量調整器68に提供される。好適な実施形態では、ガス流量調整器68は、可変速度ブロワーまたはポンプである。流量センサ65は、実際の呼気流量に関する情報を制御サブシステム20に提供し、本実施形態では、ガスは、安全/逃し弁・出口マニホールド66を通じて患者に運搬される。運搬される混合ガスの酸素の比率は、酸素および混合ガスの制御された流量に依存し、以下の式(2)で表される。
【0034】
図3は、本発明の一実施形態に従う自動酸素運搬システムの制御プロセス図である。概して、自動酸素運搬システム100は、患者の血流中の酸素濃度およびユーザに提供された所望の酸素濃度の測定値に基づいて、患者に運搬されるFiO
2を閉ループ方式で制御する。閉ループFiO
2制御プロセス90は、1以上のプロセッサ22によって実行されるソフトウェアおよび/またはファームウェアによって実施され、また、入力装置26を介してオペレータ入力82を受け取り、センサモジュール12からまたはセンサ10からセンサデータ80を直接受け取り、命令をガス運搬機構40に送り、同様に、必要に応じて空圧モジュール30内の他の構成要素にも送ることによって、患者に運搬されるFiO
2を制御する。
【0035】
オペレータ入力82は、とりわけ、センサデータ閾値、所望のFiO
2割合、および、最低許容FiO
2値に対応するFiO
2低閾値を含む。センサデータ80は、センサ測定値、および、例えば信号品質インジケータなどの関連するステータス情報を含む。好適な実施形態では、センサ10は、パルスオキシメータであり、センサデータ80は、SpO
2測定値、潅流指数、信号品質指数、測定アーチファクトインジケータ、センサ故障データなどを含む。オペレータ入力82は、それに対応して、意図されたSpO
2のターゲット範囲の低点に対応するSpO
2低閾値と、SpO
2ターゲット範囲の高点に対応するSpO
2高閾値とを含む。
【0036】
閉ループFiO
2制御プロセス90は、センサデータフィルタリング92、FiO
2制御94および出力処理96を提供する。センサデータフィルタリング92は、患者の血流中の酸素濃度を表す測定データ、関連するステータス情報、および、センサデータ閾値を受け取り、センサデータを処理し、測定データが有効であるかどうかを判定する。一実施形態では、この測定データから、患者の血流中の酸素濃度のレベルをそれぞれ低い範囲、通常の範囲、高い範囲で示す血中酸素状態が決定される。FiO
2制御94は、処理されたセンサデータおよび血中酸素状態、センサデータ閾値、所望のFiO
2割合、および、FiO
2低閾値を受け取り、例えば混合ガス流量や運搬圧力などの空圧モジュール30の他のオペレーティングパラメータに加えて、運搬されるFiO
2を決定する。出力処理96は、必要に応じて、他の空圧モジュール30のパラメータと同様に、運搬されるFiO
2およびオペレーティングパラメータを、ガス運搬機構40の特定の命令に変換する。
【0037】
好適な実施形態において、FiO
2制御94は、所望の酸素濃度、測定された酸素濃度、FiO
2ベースラインおよびFiO
2血中酸素状態の成分に基づいて、運搬されるFiO
2を制御する。FiO
2ベースラインは、患者を安定した正常な血中酸素状態に維持するのに必要なFiO
2の基準値であり、FiO
2血中酸素状態の成分は、例えば比例、積分、比例積分などの異なった制御アルゴリズムを提供する。
【0038】
FiO
2制御94は、センサデータが無効であると決定されたとき、患者の血流中の酸素濃度が低閾値を下回らないようにし、高閾値を上回らないようにする。この決定は、典型的な酸素濃度測定値だけではなく、センサ測定値に関連するステータス情報にも基づいているということが重要である。例えば、センサモジュール12は、正常な酸素濃度範囲に収まるように見える特定の測定値を提供するが、センサモジュール12によって提供される1つ以上の関連する信頼度測定基準によって示されるように、このデータは、実際には疑わしいかもしれない。
【0039】
パルスオキシメータの実施形態では、センサデータフィルタリング92がSpO
2の低および高閾値を受け取り、SpO
2の測定が有効かどうかを判定するために、測定されたSpO
2の潅流指数、信号品質指数、測定アーチファクトインジケータ、センサ故障データなどを調べ、1以上のSpO
2データを記憶する。血中酸素状態は、SpO
2の測定値およびSpO
2の閾値から判定される。好適な実施形態では、SpO
2測定値がSpO
2低閾値よりも低い場合には、低酸素血症(低範囲)と判定され、SpO
2測定値がSpO
2高閾値よりも高い場合には、高酸素血症(高範囲)と判定され、SpO
2測定値がSpO
2低閾値と高閾値との間にあれば、正常な血中酸素状態であると判定される。低閾値および高閾値である特定のSpO
2値は、患者の特定の要求に基づいて医師から処方されるが、これらの閾値は、通常80%から100%の範囲内に収まる。例えば、SpO
2低閾値が87%に設定されると、SpO
2高閾値は93%に設定される。直近のSpO
2測定値が上記決定に使われてもよく、もしくは、複数の以前のSpO
2測定値が統計的に処理され(例えば、中央値、平均値)その結果としての値が決定に用いられてもよい。
【0040】
本実施形態では、FiO
2制御94は、処理されたSpO
2測定値、潅流指数、信号品質指数等、および、血中酸素状態、SpO
2閾値、所望のFiO
2割合およびFiO
2低閾値、を受け取り、運搬されるFiO
2、および、空圧モジュール30の他のオペレーティングパラメータを計算する。特定のFiO
2低閾値は、患者の特定の要求によって医師から処方され、この閾値は、通常は21%から100%の範囲内に収まり、例えば40%である。FiO
2低閾値に関しては、運搬されるFiO
2の計算値がFiO
2低閾値未満であれば、FiO
2制御94は、運搬されるFiO
2をFiO
2低閾値に設定する。同様に、SpO
2に関しては、測定されたSpO
2がSpO
2低閾値を下回る場合、FiO
2制御94は、運搬されるFiO
2の計算値を大きくし、測定されたSpO
2がSpO
2高閾値を上回る場合、FiO
2制御94は、FiO
2の計算値を小さくする。センサステータス情報に関しては、潅流指数が、例えば0.3など、潅流閾値より小さい場合、FiO
2制御94は、運搬されるFiO
2を所定の値に設定する。同様に、信号品質指数が、例えば、0.3など、信号品質閾値未満である場合、FiO
2制御94は、運搬されるFiO
2を所定の値に設定し、音声または視覚警報を任意に発する。測定アーチファクトインジケータおよびセンサ故障データなどに対して同様の動作がとられてもよい。
【0041】
さらなる実施形態では、血液酸素張力の制御の効果を線形化するために、FiO
2の正常な血中酸素状態および低血中酸素状態の変化が概念上の酸素張力から計算される。本実施形態では、FiO
2制御94は、まず、SpO
2値を変換し、周波数分布を基準化し、その後、変換されたSpO
2値に1以上の線形フィルタが適用される。このような変換の1つが酸化ヘモグロビン飽和曲線の逆変換である。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に従う、患者に自動的に酸素を運搬する方法を示すフローチャートである。
【0043】
所望の酸素濃度をまずユーザから受け取る(210)。上述したように、ユーザは、例えば、所望のFiO
2割合などの所望の酸素濃度を、入力装置(26)およびディスプレイ24を用いて入力してもよい。
【0044】
センサモジュール12から、または、センサインターフェース14を通じて直接センサ10からセンサデータを受け取る(220)。上述したように、センサデータは、患者の血流中の酸素量の測定値、および測定に関連したステータス情報、例えば、末梢の酸素の飽和量の測定値、動脈の酸素分圧の測定値、血流中に溶けた酸素の測定値、潅流指数、信号品質指数、測定アーチファクト、センサ状態を含む。
【0045】
測定されたデータの有効性は、測定されたデータの値とステータス情報とに基づいて決定される(230)。上述したように、センサデータフィルタリング92は、患者の血流中の酸素濃度を表す測定データ、関連するステータス情報、および、センサデータ閾値を受け取り、当該センサデータを処理し、測定データが有効かどうかを判定する。
【0046】
測定されたデータが有効であると判定された場合(240)、患者に運搬されるFiO
2は、所望の酸素濃度および測定されたデータに基づいて制御される(250)。上述したように、FiO
2制御94は、処理されたセンサデータ、センサデータ閾値、および、所望のFiO
2割合を受け取り、運搬されるFiO
2を、所望の割合のFiO
2および測定された酸素濃度に基づいて制御する。
【0047】
他方、測定されたデータが有効であると判定されなかった場合(240)、FiO
2制御94は、患者に運搬されるFiO
2を所定の値に設定する(260)。
【0048】
そして、判定されたFiO
2の割合の酸素を含む混合ガスが、患者に運搬される(270)。
【0049】
図5は、本発明の別の実施形態に従う、計算された酸素を含む呼吸混合ガスを患者に自動的に運搬する方法202を示すフローチャートである。
【0050】
まず、所望の酸素濃度をユーザから受け取る(210)。上述したように、ユーザは、入力装置26およびディスプレイ24を用いて、例えば、所望のFiO
2割合などの所望の酸素濃度を入力してもよい。
【0051】
パルスオキシメータデータは、パルスオキシメータモジュールから、または、センサインターフェース14を通じて直接パルスオキシメータから受け取られる(222)。上述したように、パルスオキシメータデータは、患者の血流中の末梢の酸素飽和度の測定値SpO
2、潅流指数、信号品質指数、および、任意で、測定アーチファクト、パルスオキシメータ状態などを含む。
【0052】
測定されたSpO
2の有効性は、その後、測定されたSpO
2の値、潅流指数、信号品質指数、および、任意には、測定アーチファクトインジケータ、パルスオキシメータの状態などのうち少なくとも1つに基づいて決定される。上述したように、センサデータフィルタリング92は、測定されたSpO
2、潅流指数、信号品質指数等、および、SpO
2データ閾値を受け取り、データを処理し、測定されたSpO
2が有効であるかどうかを判定する。センサデータフィルタリング92はまた、血中酸素状態を、測定されたSpO
2に基づいて決定する。
【0053】
測定されたSpO
2が有効であった場合(242)、その後、測定されたSpO
2は、低血中酸素、正常な血中酸素、高血中酸素に分類され、患者に運搬されるFiO
2は、所望のFiO
2割合、測定されたSpO
2、および、それぞれの分類範囲に基づいて制御される(254)。上述したように、FiO
2制御94は、血中酸素状態、FiO
2閾値、処理されたSpO
2、SpO
2閾値、および、所望のFiO
2割合を受け取り、運搬されるFiO
2を、所望のFiO
2割合、測定されたSpO
2、および、それぞれの分類範囲に基づいて制御する。FiO
2制御94は、運搬されるFiO
2をFiO
2閾値未満にならないようにし、測定されたSpO
2がSpO
2の低閾値を下回る場合、運搬されるFiO
2を増加させ、測定されたSpO
2がSpO
2の高閾値を上回る場合、運搬されるFiO
2を減少させる。
【0054】
他方、測定されたSpO
2が有効であると判定されなかった場合(242)、FiO
2制御94は、患者に運搬されるFiO
2を所定の値に設定する(260)。
【0055】
そして、酸素が患者に運搬される(270)。
【0056】
本発明の多くの特徴および利点が詳細な説明から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲および趣旨に当てはまるこのような特徴および利点をすべて網羅することを意図される。さらに、多数の変更および修正が当業者には容易に着想でき、本発明を図示および記載されたとおりの構成および動作に限定することは意図していない。よって、適切な修正およびその均等物は本発明の範囲内に収まるとみなされる。