特許第5860730号(P5860730)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5860730
(24)【登録日】2015年12月25日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】ゴムシート切断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/06 20060101AFI20160202BHJP
   B26D 5/30 20060101ALI20160202BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   B26D1/06 Z
   B26D5/30 B
   B26D3/00 601F
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-48029(P2012-48029)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-180385(P2013-180385A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】山田 聡
(72)【発明者】
【氏名】鬼松 博幸
【審査官】 細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−59395(JP,A)
【文献】 特開2005−125701(JP,A)
【文献】 実公昭51−1321(JP,Y1)
【文献】 米国特許第3975974(US,A)
【文献】 特開2003−175490(JP,A)
【文献】 特開平7−172009(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/06
B26D 3/00
B26D 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定幅の切断残部が設けられた切り込みを、帯状のゴムシートの長手方向に沿って、所定の間隔で、左右交互に形成するゴムシート切断装置であって、
前記ゴムシートを間欠的に搬送する搬送手段と、
前記ゴムシートの上方に配置されて、前記ゴムシートの幅方向に平行移動する昇降自在のカッターと、
前記カッターの両側から所定の距離を隔てて配置され、前記カッターと共に移動して、前記ゴムシートの端部を検知する一対のセンサーと
が備えられており、
前記カッターの移動方向の後側に位置するセンサーが、前記ゴムシートの端部を検知することにより、
前記カッターが、降下して前記ゴムシートを突き刺し、前記ゴムシートの他端部まで前記ゴムシートを切断するように構成されている
ことを特徴とするゴムシート切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のゴムシートの長手方向に沿って、左右交互に切り込みを入れることができるゴムシート切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ製造工程においては、従来より、帯状の未加硫ゴムシートを所定の長さや形状に切断して、混練装置などに供給することが行われており、そのためのゴムシート切断装置が種々提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
【0003】
このようなゴムシート切断装置の一種に、搬送手段によって供給されたゴムシートの幅方向の一方に延在して端部にまで達する切り込みを、ロータリーカッターを用いて、ゴムシートの長手方向に沿って左右交互に形成するゴムシート切断装置がある。
【0004】
図9は、従来のロータリーカッターを備えたゴムシート切断装置の動作を説明する斜視図であり、(a)はロータリーカッターの動作を示す斜視図、(b)は切断されたゴムシートの様子を示す斜視図である。
【0005】
図9(a)に示すように、このロータリーカッター100は、ロール102の表面に、2枚のブレードカッター刃104、105が、周方向に等間隔に配置されて構成されている。さらに、ブレードカッター刃104は、ロール102の軸方向において、右側にオフセットされ、ブレードカッター刃105は、左側にオフセットされている。
【0006】
そして、矢印Fの方向に搬送されてきたゴムシートGが、このロータリーカッター100を通過すると、図9(b)に示すように、2枚のブレードカッター刃104、105によってゴムシートGの長手方向に沿って、左右交互に、所定の切断残幅Dの切断残部が設けられた切り込みが所定の切断間隔Wで形成される。即ち、ゴムシートGは、ブレードカッター刃104によって、幅方向の右側に延在して端部にまで達する切り込み106が形成される一方、ブレードカッター刃105によって、幅方向の左側に延在して端部にまで達する切り込み107が形成される。
【0007】
交互に切り込みが形成されたゴムシートGは、その後、切り込みが切り開かれてジグザグ状の短冊となって混練装置などに供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−28885号公報
【特許文献2】特開2005−125701号公報
【特許文献3】特開2010−155318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このようなロータリーカッター100を備えた従来の切断装置を用いた場合、ゴムシートGの切断間隔Wはブレードカッター刃104、105の回転径によって決定され、また、ゴムシートGの切断残幅Dはブレードカッター刃104、105の形状や取付け位置によって決定されるため、切断間隔Wや切断残幅Dの変更に際しては、回転径、形状、取付け位置などが異なるロータリーカッターに変更する必要がある。
【0010】
この結果、多種類のロータリーカッターを用意しておく必要があり、また、煩雑な交換作業の頻度が高くなるため、生産性を充分に向上させることができなかった。
【0011】
そこで、本発明は、上記に鑑み、種々のサイズのゴムシートに対して、煩雑な交換作業を行うことなく、任意の切断間隔や切断残幅で、交互に切り込みを形成することができるゴムシート切断装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明は、
所定幅の切断残部が設けられた切り込みを、帯状のゴムシートの長手方向に沿って、所定の間隔で、左右交互に形成するゴムシート切断装置であって、
前記ゴムシートを間欠的に搬送する搬送手段と、
前記ゴムシートの上方に配置されて、前記ゴムシートの幅方向に平行移動する昇降自在のカッターと、
前記カッターの両側から所定の距離を隔てて配置され、前記カッターと共に移動して、前記ゴムシートの端部を検知する一対のセンサーと
が備えられており、
前記カッターの移動方向の後側に位置するセンサーが、前記ゴムシートの端部を検知することにより、
前記カッターが、降下して前記ゴムシートを突き刺し、前記ゴムシートの他端部まで前記ゴムシートを切断するように構成されている
ことを特徴とするゴムシート切断装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、種々のサイズのゴムシートに対して、煩雑な交換作業を行うことなく、任意の切断間隔や切断残幅で、交互に切り込みを形成することができるゴムシート切断装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置の正面図である。
図2】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置の左側面図である。
図3】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置の平面図である。
図4】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置のカッター周辺部の拡大正面図である。
図5】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置のカッター周辺部の拡大左側面図である。
図6】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置のカッターの動作、作用および効果を説明する斜視図である。
図7】本発明の一実施の形態に係るゴムシート切断装置のカッターの動作フローを示す模式図である。
図8図7に続くカッターの動作フローを示す模式図である。
図9】従来のロータリーカッターを備えたゴムシート切断装置の動作を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るゴムシート切断装置の実施の形態について説明する。
【0016】
1.ゴムシート切断装置の構成
図1は本実施の形態に係るゴムシート切断装置の正面図であり、図2はその左側面図、図3はその平面図である。そして、図4は本実施の形態に係るゴムシート切断装置のカッター周辺部の拡大正面図であり、図5はその左側面図である。
【0017】
図1図3に示すように、ゴムシート切断装置1は、ゴムシートGを切断するカッター2と、台形ネジ3と、アクチュエータ4と、ゴムシートの端部を検知する第1センサー5および第2センサー6と、ゴムシートGを搬送方向Fに搬送する搬送ローラ9、10、11と、これらを制御する制御装置(図示せず)とを備えている。
【0018】
台形ネジ3は、搬送ローラ11の略上方に水平に配設された駆動軸30に装着され、駆動軸30に平行に配設されている水平ガイド材31に沿って移動する。
【0019】
アクチュエータ4は、図4および図5に示すように、第1固定材34を介して台形ネジ3に固定されている。アクチュエータ4は、アクチュエータ4を挿通している垂直軸41を上下方向に移動させる。
【0020】
カッター2は、第2固定材44を介して垂直軸41の下端部に固定されている。カッター2の先端にはカッター刃21が取り付けられている。
【0021】
従って、台形ネジ3は、自身が移動することによって、カッター2をゴムシートGの幅方向Tに平行移動させることができる。また、アクチュエータ4は、垂直軸41を上下方向に移動させることによって、カッター2を昇降移動させることができる。
【0022】
第1センサー5および第2センサー6は、ゴムシートGの幅方向Tにおいて、カッター2の両側に位置するように配設されている。従って、第1センサー5および第2センサー6は、カッター2と共に移動する。
【0023】
より具体的には、第1センサー5は、幅方向Tに延在しているスリット52を有する取付板51の右端に取り付けられている。そして、第1センサー5は、取付板51を介して、カッター2の右側に位置するように、第2固定材44に固定されている。第2センサー6は、幅方向Tに延在しているスリット62を有する取付板61の左端に取り付けられている。そして、第2センサー6は、取付板61を介して、カッター2の左側に位置するように、第2固定材44に固定されている。
【0024】
上下に配設された取付板51、61は、それぞれ、スリット52、62によって、第2固定材44に対して左右方向に移動可能である。すなわち、第1センサー5および第2センサー6は、それぞれ、カッター2に対して左右方向に移動可能である。
【0025】
2.ゴムシート切断装置の動作
次に、本実施の形態に係るゴムシート切断装置1の動作を、図6図8を用いて説明する。なお、図6は本実施の形態に係るゴムシート切断装置のカッター2の動作、作用および効果を説明する斜視図、図7図8は前記カッターの動作フローを示す模式図である。
【0026】
図6(a)に示すように、カッター2は、台形ネジによって、搬送方向Fに対して直交する幅方向Tに平行移動自在で、かつ、アクチュエータによって、上下方向に昇降移動自在である。
【0027】
カッター2は、図7および図8を用いて以下に説明する動作フローによって、ゴムシートGに、幅方向Tの一方に延在して端部にまで達する第1切り込み部86および第2切り込み部87を、搬送方向Fに沿って左右交互に形成する。
【0028】
(1)第1切り込み部の形成
ゴムシートGが、搬送ローラ9〜11によって、所定の距離だけ搬送された後、搬送ローラ9〜11は一時停止する。そして、ゴムシートGの右側に位置しているカッター2が、第1センサー5および第2センサー6と共にアクチュエータによって所定の位置まで上昇する(図7(a))。
【0029】
次に、カッター2が、台形ネジによって、ゴムシートGの幅方向を左に平行移動する。カッター2の右側に配置されている第1センサー5が、ゴムシートGの右側端部91を検出すると、台形ネジが停止して、カッター2の平行移動が停止する(図7(b))。
【0030】
次に、カッター2が、アクチュエータによって、切断開始位置まで下降する(図7(c))。
【0031】
次に、カッター2が、台形ネジによって、ゴムシートGの幅方向を左に平行移動して、ゴムシートGの切断が開始される。そして、カッター2の右側に配置されている第1センサー5が、ゴムシートGの左側端部92を検出すると、台形ネジが停止して、カッター2の平行移動が停止する(図7(d))。こうして、ゴムシートGに、左側端部92にまで達する第1切り込み部86が形成される。
【0032】
(2)第2切り込み部の形成
次に、カッター2が、アクチュエータによって所定の位置まで上昇する(図8(a))。そして、搬送ローラ9〜11が、ゴムシートGを所定の距離だけ搬送して、一時停止する。
【0033】
次に、カッター2が、台形ネジによって、ゴムシートGの幅方向を右に平行移動する。カッター2の左側に配置されている第2センサー6が、ゴムシートGの左側端部92を検出すると、台形ネジが停止して、カッター2の平行移動が停止する(図8(b))。
【0034】
次に、カッター2が、アクチュエータによって、切断開始位置まで下降する(図8(c))。
【0035】
次に、カッター2が、台形ネジによって、ゴムシートGの幅方向を右平行移動して、ゴムシートGの切断が開始される。カッター2の左側に配置されている第2センサー6が、ゴムシートGの右側端部91を検出すると、台形ネジが停止して、カッター2の平行移動が停止する(図8(d))。こうして、ゴムシートGに、右側端部91にまで達する第2切り込み部87が形成される。
【0036】
次に、カッター2が、アクチュエータによって所定の位置まで上昇する(図8(e))。そして、搬送ローラ9〜11が、ゴムシートGを所定の距離だけ搬送して、一時停止する。
【0037】
これ以降は、図7(b)〜図8(e)の動作を繰り返すことにより、第1切り込み部86および第2切り込み部87が交互に形成されたゴムシートGを得ることができる。
【0038】
ここで、ゴムシートGの切断間隔Wは、搬送ローラ9〜11によるゴムシートGの1回の搬送量に基づいて決定される。また、ゴムシートGの切断残幅Dは、第1センサー5および第2センサー6によるゴムシートGの端部91、92の検出位置に基づいて決定される。
【0039】
また、ゴムシートGの切断残幅Dの変更は、取付板51、61を、それぞれ、左右方向に移動して、第1センサー5および第2センサー6の配設位置を変更することによって行うことができる。
【0040】
3.本実施の形態の効果
(1)本実施の形態によれば、搬送ローラ9〜11によるゴムシートGの1回の搬送量に基づいて、ゴムシートGの切断間隔Wを決定でき、さらに、第1センサー5および第2センサー6によるゴムシートGの端部91、92の位置検出に基づいて、ゴムシートGの切断残幅Dを決定できる。この結果、様々なジグザグ状の切断の条件に容易に対応することができる。
【0041】
(2)さらに、第1センサー5および第2センサー6によって、ゴムシートGの端部91、92の位置を検出しながら、ゴムシートGを切断するので、ゴムシートGの幅寸法が変更されても、容易に対応することができる。
【0042】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、上記の実施の形態に対して種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 ゴムシート切断装置
2 カッター
3 台形ネジ
4 アクチュエータ
5 第1センサー
6 第2センサー
9、10、11 搬送ローラ
21 カッター刃
30 駆動軸
31 水平ガイド材
34 第1固定材
41 垂直軸
44 第2固定材
51、61 取付板
52、62 スリット
86 第1切り込み部
87 第2切り込み部
91、92 ゴムシートの端部
106、107 切り込み
100 ロータリーカッター
102 ロール
104、105 ブレードカッター刃
F ゴムシートの搬送方向
G ゴムシート
D 切断残幅
W 切断間隔
T ゴムシートの幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9