(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、前述した基板コネクタ100は、当該基板コネクタ100を回路基板200に取り付ける際に、手間のかかる半田付け作業が必要となるという問題があった。
【0008】
また、外部機器からのケーブルを回路基板200の接点パターンに導通接続させるには、機器側コネクタを基板コネクタ100に嵌合させて、それぞれのコネクタに保持されている端子金具相互を雌雄嵌合させる必要があるが、端子金具相互を雌雄嵌合させる際に、端子相互の衝突やこじりにより端子金具の破損を招くおそれがあった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要で、しかも、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれがなく、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を簡単に回路基板上の接点パターンに導通接続させることのできる基板コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)回路基板上に所定の配列ピッチで配列された接点パターンに、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を導通接続する基板コネクタであって、
前記端子金具を前記接点パターンの配列ピッチに対応した配列ピッチで収容保持する複数の端子収容孔を備え、先端部から前記端子金具の先端部が突出可能に前記端子金具を前記端子収容孔に収容保持するコネクタ本体と、
前記端子収容孔の途中において当該端子収容孔の延在方向に沿って所定距離だけ移動自在に前記コネクタ本体内に配置されると共に、前記端子収容孔に挿入された前記端子金具の抜け止め用ランスと係合することにより前記端子金具の抜け方向への移動を規制する端子係止部を備えた第1のスペーサと、
前記コネクタ本体内において、前記第1のスペーサよりも前記端子収容孔の後端寄りの位置に配置されて前記第1のスペーサとの間にばね収容空間を形成する第2のスペーサと、
前記第1のスペーサと前記第2のスペーサとの間に圧縮状態で装着されて、前記第1のスペーサを前記コネクタ本体の先端側に付勢することで、前記端子金具の先端部を前記コネクタ本体の先端から突出した状態に弾性支持する弾発部材と、
前記回路基板に固定され、前記コネクタ本体の先端面から突出している端子金具の先端部が前記接点パターンに押圧された状態に前記コネクタ本体を係止するコネクタ受け部材と、
を備え、前記端子金具の先端部と前記接点パターンとの押圧接触により、前記端子金具と前記接点パターンとを導通接続させることを特徴とする基板コネクタ。
【0011】
(2)前記弾発部材は、前記端子金具が挿通可能な巻き径で形成された圧縮コイルばねであり、
前記コネクタ本体は、前記第1のスペーサを挿入装着可能に本体側面に開口した第1スペーサ収容部と、前記第2のスペーサを挿入装着可能に本体側面に開口した第2スペーサ収容部と、を備え、
前記第1スペーサ収容部と前記第2スペーサ収容部は、挿入された前記第1及び第2スペーサを仮係止位置に係止する仮係止手段と、本係止位置に固定する本係止手段と、を備え、
前記第1のスペーサは、前記仮係止位置に係止されている時には前記コネクタ本体内の移動規制手段との係合により前記第1スペーサの前記端子収容孔の延在方向への移動を規制するが、前記本係止位置に移動した状態では前記移動規制手段との係合が解除されて前記端子収容孔の延在方向への移動を許容する軸方向移動規制突起と、前記端子金具の挿通は許容するが前記弾発部材は挿通不可に形成された第1端子挿通孔と、を備え、
前記第2のスペーサは、前記仮係止位置に係止されている時には前記端子金具及び前記弾発部材の挿通を許容するが、前記本係止位置に移動した状態では前記弾発部材が着座するばね座部を有した第2端子挿通孔を備えたことを特徴とする上記(1)に記載の基板コネクタ。
【0012】
上記(1)の構成によれば、外部機器からのケーブルに接続された端子金具と、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、端子金具を収容したコネクタ本体を回路基板上のコネクタ受け部材に結合して、コネクタ本体の先端から突出している端子金具の先端部を回路基板上の接点パターンに押圧接触させることにより実現する。そのため、外部機器からのケーブルを回路基板の接点パターンに導通接続する際に、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要である。
【0013】
しかも、外部機器からのケーブルに接続された端子金具と、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、互いの突き合わせによる押圧接触によって行っており、接続時に衝突やこじりの発生原因となる端子金具相互の雌雄嵌合が存在しないため、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれもない。
【0014】
従って、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を簡単に回路基板上の接点パターンに導通接続させることができる。
【0015】
また、端子金具には、第1のスペーサを介して弾発部材による付勢力が作用していて、接点パターンに対して所定の接触圧が確保される。そのため、コネクタ本体の寸法誤差や、組立誤差の影響を受けずに安定した電気的接続状態を確保することができ、接点パターンと端子金具との接続信頼性を向上させることができる。
【0016】
上記(2)の構成によれば、コネクタ本体に第1のスペーサと第2のスペーサとを仮係止状態に装着した状態で、弾発部材である圧縮コイルばねを外嵌させた端子金具を、コネクタ本体の端子収容孔に挿入すると、各スペーサに端子金具を挿通させると共に、第1のスペーサと第2のスペーサとの間に圧縮コイルばねを送り込むことができる。そして、圧縮コイルばねの送り込みが完了した後、それぞれのスペーサを本係止位置に移動させると、圧縮コイルばねが2つのスペーサ間に保持された状態になると共に、第1のスペーサが圧縮コイルばねの付勢力に抗して端子収容孔の延在方向に移動可能になる。即ち、第1のスペーサにより抜け止めされている端子金具が、第1のスペーサを介して弾性支持された状態になる。
【0017】
即ち、上記(2)の構成によれば、弾発部材により端子金具が弾性支持されるコネクタ本体内の構造を、簡単に組み上げることができ、外部機器からのケーブルの回路基板の接続作業を容易にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による基板コネクタによれば、外部機器からのケーブルに接続された端子金具と、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、端子金具を収容したコネクタ本体を回路基板上のコネクタ受け部材に結合して、コネクタ本体の先端から突出している端子金具の先端部を回路基板上の接点パターンに押圧接触させることにより実現する。そのため、外部機器からのケーブルを回路基板の接点パターンに導通接続する際に、回路基板に対して手間のかかる半田付け作業が不要である。
【0019】
しかも、外部機器からのケーブルに接続された端子金具と、回路基板上の接点パターンとの導通接続は、互いの突き合わせによる押圧接触によって行っており、接続時に衝突やこじりの発生原因となる端子金具相互の雌雄嵌合が存在しないため、接続時に衝突やこじりによる端子金具の破損を招くおそれもない。
【0020】
従って、外部機器からのケーブルに接続された端子金具を簡単に回路基板上の接点パターンに導通接続させることができる。
【0021】
また、端子金具には、第1のスペーサを介して弾発部材による付勢力が作用していて、接点パターンに対して所定の接触圧が確保される。そのため、コネクタ本体の寸法誤差や、組立誤差の影響を受けずに安定した電気的接続状態を確保することができ、接点パターンと端子金具との接続信頼性を向上させることができる。
【0022】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る基板コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1〜
図15は本発明に係る基板コネクタの一実施形態を示したもので、
図1は本発明の一実施形態の基板コネクタの分解斜視図、
図5は
図1に示したコネクタ本体の前面側からの斜視図、
図6は
図1に示したコネクタ本体の側面図、
図7は
図6のA−A断面図、
図8は
図6のB−B断面図、
図9は
図1のコネクタ本体に第1のスペーサと第2のスペーサとが仮係止状態に装着されている状態の斜視図、
図10は
図9の矢印X1方向からの矢視図、
図11は
図10のC−C矢視図、
図12は
図11のD部の拡大図、
図2は
図1に示した端子金具の側面図、
図3は
図1に示した端子金具と該端子金具に外嵌される圧縮コイルばねの分解斜視図、
図4は
図1に示した圧縮コイルばね装着済の端子金具の拡大斜視図、
図13は
図1に示したコネクタ受け部材が回路基板に固定された状態の斜視図、
図14は
図13のVーV線に沿う断面図、
図15は
図14のE部の拡大図である。
【0026】
この一実施形態の基板コネクタ1は、回路基板10上に所定の配列ピッチで配列された複数の接点パターン11に、外部機器からのケーブル20に接続された複数の端子金具30を導通接続するコネクタである。
【0027】
本実施形態の基板コネクタ1が接続される回路基板10は、例えば多層の回路基板で、中間層に回路パターンや電子回路が形成されている。また、
図1に示すように、片側の表面に、複数の接点パターン11が所定の配列ピッチで配列されている。更に、
図1に示すように、複数の接点パターン11が装備された領域A1を挟む両側に、基板コネクタ1を取り付けるための取付孔12が貫通形成されている。
【0028】
外部機器からのケーブル20に接続される端子金具30は、金属板のプレス成形品で、
図1に示すように、ケーブル20の被覆部21に加締め付けられる被覆固定片31と、ケーブル20の導体に加締め付けられる導体圧着片32と、接点パターン11に接続するための箱部33と、を備えている。
【0029】
箱部33は、
図2〜
図4にも示すように、金属板を角筒状に成形した端子本体33aの先端に、接点部33bを突出装備したものである。接点部33bは、先端面を接点パターン11に当接させることで接点パターン11に導通接続される。また、箱部33には、
図2に示すように、抜け止め用ランス33cが、切り起こしにより形成されている。
【0030】
本実施形態の端子金具30は、
図4に示すように、外周に圧縮コイルばね53が嵌合装着された状態で、後述のコネクタ本体に挿入装着される。
【0031】
圧縮コイルばね53は、後述の第1のスペーサ51を介して端子金具30を接点パターン11に押圧付勢する弾発部材である。
【0032】
本実施形態の基板コネクタ1は、
図1に示すように、コネクタ本体40と、第1のスペーサ51と、第2のスペーサ52と、前述の端子金具30に外嵌される圧縮コイルばね53と、コネクタ受け部材60と、を備える。
【0033】
コネクタ本体40は、
図5及び
図6に示すように、複数の端子金具30を接点パターン11の配列ピッチに対応した配列ピッチで収容保持する複数の端子収容孔41と、コネクタ受け部材60に結合するための連結用突起42と、略板状の第1スペーサ収容部43と、略板状の第2スペーサ収容部44と、を備える。
【0034】
端子収容孔41は、コネクタ本体40の前後方向に貫通形成されていて、端子収容孔41は、端子金具30の先端部(接点部33b)が当該コネクタ本体の先端部から突出可能に端子金具30を収容保持する。この端子収容孔41は、端子挿入側(後端側)の内径が後述の圧縮コイルばね53の巻き外径よりも大きく設定されており、圧縮コイルばね53を外嵌させた端子金具30を挿通可能である。
【0035】
連結用突起42は、後述のコネクタ受け部材60に嵌合装着した時に、コネクタ受け部材60に装備された連結用係止孔62と係合することで、コネクタ本体40とコネクタ受け部材60とを結合状態にする。
【0036】
第1スペーサ収容部43は、略板状の第1のスペーサ51を収容保持する空間である。この第1スペーサ収容部43は、
図5に矢印X3で示す方向に第1のスペーサ51を挿入装着可能に、本体側面に開口して形成されている。第1スペーサ収容部43は、
図7に示すように、空間を囲う壁面に、仮係止手段43aと、本係止手段43bと、移動規制手段43cと、を備えている。
【0037】
仮係止手段43aは、第1のスペーサ51の挿入方向(
図7の矢印X4方向)の奥側の両側面に突設された係止突起で、第1スペーサ収容部43に挿入された第1のスペーサ51上の仮係止部51aと係合することで、第1のスペーサ51を
図11に示す仮係止位置に係止する。
【0038】
本係止手段43bは、第1のスペーサ51の挿入方向(
図7の矢印X4方向)の手前側の両側面に突設された係止突起で、第1スペーサ収容部43に挿入された第1のスペーサ51上の本係止部51bと係合することで、第1のスペーサ51を
図19に示す本係止位置に固定する。
【0039】
移動規制手段43cは、
図7に示すように、第1スペーサ収容部43の両側面に、第1のスペーサ51の挿入方向に沿って所定の間隔で、複数装備されている。この移動規制手段43cは、第1のスペーサ51が仮係止位置に係止されている時には第1のスペーサ51の軸方向移動規制突起51cと端子金具30の挿入方向に重なるように配置されており、軸方向移動規制突起51cとの係合により、第1のスペーサ51の端子収容孔41の後端側(
図9の矢印Y3側)への移動を規制する。なお、この移動規制手段43cは、第1のスペーサ51が本係止位置に係止されている時には、
図19に示すように、第1のスペーサ51の軸方向移動規制突起51cとは配置が重ならず、第1のスペーサ51の端子収容孔41の後端側(
図9の矢印Y3側)への移動を許容する。
【0040】
第2スペーサ収容部44は、略板状の第2のスペーサ52を収容保持する空間である。この第2スペーサ収容部44は、
図5に矢印X3で示す方向に第2のスペーサ52を挿入装着可能に、本体側面に開口して形成されている。また、第2スペーサ収容部44は、第1スペーサ収容部43よりも端子収容孔41の後端寄りの位置に設けられている。第2スペーサ収容部44は、
図8に示すように、空間を囲う壁面に、仮係止手段44aと、本係止手段44bと、を備えている。
【0041】
仮係止手段44aは、第2のスペーサ52の挿入方向(
図8の矢印X5方向)の奥側の両側面に突設された係止突起で、第2スペーサ収容部44に挿入された第2のスペーサ52上の仮係止部52aと係合することで、第2のスペーサ52を仮係止位置に係止する。
【0042】
本係止手段44bは、第2のスペーサ52の挿入方向(
図8の矢印X5方向)の手前側の両側面に突設された係止突起で、第2スペーサ収容部44に挿入された第2のスペーサ52上の本係止部52bと係合することで、第2のスペーサ52を
図17に示す本係止位置に固定する。
【0043】
第1のスペーサ51は、
図9に示すように、コネクタ本体40の第1スペーサ収容部43に挿入装着されることで、端子収容孔41の途中に、端子収容孔41の延在方向に沿って所定距離だけ移動自在に配置される。この第1のスペーサ51は、仮係止部51aと、本係止部51bと、第1端子挿通孔51dと、端子係止部51eと、を備えている。
【0044】
仮係止部51aは、当該第1のスペーサ51を第1スペーサ収容部43に挿入した時に、
図11及び
図12に示すように、第1スペーサ収容部43の仮係止手段43aと係合することで、第1のスペーサ51を仮係止位置に係止する。
【0045】
本係止部51bは、当該第1のスペーサ51を第1スペーサ収容部43の仮係止位置から更に奥までに挿入した時に、
図19及び
図20に示すように、第1スペーサ収容部43の本係止手段43bと係合することで、第1のスペーサ51を本係止位置に固定する。
【0046】
第1端子挿通孔51dは、
図2に示した端子金具30の箱部33が挿通可能に形成されている。また、この第1端子挿通孔51dには、圧縮コイルばね53は挿通できないように、内寸法を圧縮コイルばね53の巻き外径よりも狭めたばね受け部51fが設けられている。
【0047】
端子係止部51eは、第1端子挿通孔51dの周縁部の一部で、
図23に示すように、第1端子挿通孔51dを通過した端子金具30の抜け止め用ランス33cと係合することで、端子金具30の抜け方向への移動を規制する。
【0048】
第2のスペーサ52は、
図9に示すように、コネクタ本体40の第2スペーサ収容部44に挿入装着されることで、第1のスペーサ51よりも端子収容孔41の後端寄りの位置に配置される。
【0049】
この第2のスペーサ52は、仮係止部52aと、本係止部52bと、第2端子挿通孔52dと、ばね受け部52fと、を備えている。
【0050】
仮係止部52aは、当該第2のスペーサ52を第2スペーサ収容部44に挿入した時に、第2スペーサ収容部44の仮係止手段44a(
図8参照)と係合することで、第2のスペーサ52を仮係止位置に係止する。
【0051】
本係止部52bは、当該第2のスペーサ52を第2スペーサ収容部44の仮係止位置から更に奥までに挿入した時に、
図17に示すように、第2スペーサ収容部44の本係止手段44bと係合することで、第2のスペーサ52を本係止位置に固定する。
【0052】
第2端子挿通孔52dは、第2のスペーサ52が仮係止位置に係止されている時に、端子金具30及び圧縮コイルばね53が挿通可能に開口している。また、第2端子挿通孔52dは、
図18に示すように第2のスペーサ52が本係止位置に移動した時にも、端子金具30自体は挿通可能に開口している。
【0053】
ばね受け部52fは、第2端子挿通孔52dの縁部に設けられている。このばね受け部52fは、
図18に示すように、第2のスペーサ52が本係止位置に位置決めされた時には、圧縮コイルばね53の移動方向を遮るように、端子収容孔41上に被さり、圧縮コイルばね53の後端を受け止める。
【0054】
即ち、第2のスペーサ52は、
図29に示すように、第1のスペーサ51との間に、圧縮コイルばね53を収容するばね収容空間Sを形成する。
【0055】
圧縮コイルばね53は、第1のスペーサ51と第2のスペーサ52との間に圧縮状態で装着されて、第1のスペーサ51を記コネクタ本体40の先端側に付勢することで、端子金具30の先端部(接点部33b)をコネクタ本体40の先端から突出した状態に弾性支持する弾発部材である。
【0056】
コネクタ受け部材60は、
図1及び
図13に示すように、コネクタ本体40が嵌合する筒状部(フード部)61と、該筒状部61の側面に形成された連結用係止孔62と、回路基板10の取付孔12に嵌合して回路基板10との結合を果たす基板係合片63と、を備えている。
【0057】
連結用係止孔62は、筒状部61に挿入されたコネクタ本体40の連結用突起42と係合することで、コネクタ本体40を固定する。基板係合片63は、
図13〜
図15に示すように、回路基板10の取付孔12に嵌合することにより、コネクタ受け部材60を回路基板10に固定する。
【0058】
本実施形態のコネクタ受け部材60は、
図14に示すように回路基板10に固定され、後述の
図28に示すように、コネクタ本体40の先端面から突出している端子金具30の先端部が接点パターン11に押圧された状態にコネクタ本体40を係止する。
【0059】
次に、本実施形態の基板コネクタ1の組立手順を説明する。
まず、コネクタ受け部材60を、
図13に示すように、回路基板10に固定しておく。
そして、コネクタ本体40を、
図9に示すように第1のスペーサ51と第2のスペーサ52を仮係止位置に係止した状態にし、その係止の状態で、端子収容孔41に端子金具30を挿入する。端子金具30は、
図1に示したように圧縮コイルばね53を外嵌させた状態で、
図23に示すように、抜け止め用ランス33cが第1のスペーサ51に係止されるまで、端子収容孔41に挿入する。端子金具30の抜け止め用ランス33cが第1のスペーサ51に係止されることで、端子金具30が抜け止めされる。
【0060】
そして、端子金具30の挿入が完了したら、第1のスペーサ51と第2のスペーサ52とを本係止位置に移動させる。これにより、端子金具30に外嵌されていた圧縮コイルばね53は、
図22に示すように、第1のスペーサ51と第2のスペーサ52とに挟まれた状態に保持される。
【0061】
また、第1のスペーサ51は、本係止位置に移動したことで、
図11に示していた移動規制手段43cと軸方向移動規制突起51cとの係合が外れ、
図22に矢印Y4で示す方向に変位可能になる。この状態では、端子金具30は、第1のスペーサ51を介して圧縮コイルばね53の付勢力が作用した弾性支持状態となる。
【0062】
次いで、
図24に矢印Y5で示すように、回路基板10に固定されているコネクタ受け部材60の筒状部61に、コネクタ本体40を挿入する。そして、
図25〜
図27に示すように、連結用突起42が連結用係止孔62に嵌合すると、コネクタ本体40の回路基板10への接続が完了する。この状態では、
図28及び
図29に示すように、接点部33bが接点パターン11に押圧接触された時に、矢印F1で示す圧縮コイルばね53の付勢力により、所定の接触圧が得られ、端子金具30と接点パターン11とが導通接続される。
【0063】
以上に説明した一実施形態の基板コネクタ1では、外部機器からのケーブル20に接続された端子金具30と、回路基板10上の接点パターン11との導通接続は、端子金具30を収容したコネクタ本体40を回路基板10上のコネクタ受け部材60に結合して、コネクタ本体40の先端から突出している端子金具30の先端部を回路基板10上の接点パターン11に押圧接触させることにより実現する。
【0064】
そのため、外部機器からのケーブル20を回路基板10の接点パターン11に導通接続する際に、回路基板10に対して手間のかかる半田付け作業が不要である。
【0065】
しかも、外部機器からのケーブル20に接続された端子金具30と、回路基板10上の接点パターン11との導通接続は、互いの突き合わせによる押圧接触によって行っており、接続時に衝突やこじりの発生原因となる端子金具30相互の雌雄嵌合が存在しないため、接続時に衝突やこじりによる端子金具30の破損を招くおそれもない。
【0066】
従って、外部機器からのケーブル20に接続された端子金具30を簡単に回路基板10上の接点パターン11に導通接続させることができる。
【0067】
また、端子金具30には、第1のスペーサ51を介して圧縮コイルばね53による付勢力が作用していて、接点パターン11に対して所定の接触圧が確保される。そのため、コネクタ本体40の寸法誤差や、組立誤差の影響を受けずに安定した電気的接続状態を確保することができ、接点パターン11と端子金具30との接続信頼性を向上させることができる。
【0068】
また、以上に説明した一実施形態の基板コネクタ1では、コネクタ本体40に第1のスペーサ51と第2のスペーサ52とを仮係止状態に装着した状態で、弾発部材である圧縮コイルばね53を外嵌させた端子金具30を、コネクタ本体40の端子収容孔41に挿入すると、各スペーサに端子金具30を挿通させると共に、第1のスペーサ51と第2のスペーサ52との間に圧縮コイルばね53を送り込むことができる。そして、圧縮コイルばね53の送り込みが完了した後、それぞれのスペーサを本係止位置に移動させると、圧縮コイルばね53が2つのスペーサ間に保持された状態になると共に、第1のスペーサ51が圧縮コイルばね53の付勢力に抗して端子収容孔41の延在方向に移動可能になる。即ち、第1のスペーサ51により抜け止めされている端子金具30が、第1のスペーサ51を介して弾性支持された状態になる。
【0069】
即ち、以上に説明した一実施形態の基板コネクタ1では、弾発部材により端子金具30が弾性支持されるコネクタ本体40内の構造を、簡単に組み上げることができ、外部機器からのケーブル20の回路基板10の接続作業を容易にすることができる。
【0070】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0071】
例えば、本発明に係る基板コネクタが接続される回路基板は、基板コネクタの接続箇所が複数箇所に設定されるものであっても良い。
【0072】
また、回路基板に取り付けられるコネクタ受け部材の具体的な構造も、上記実施形態に示した構造に限らない。
【0073】
また、本発明に係る基板コネクタにおいて、コネクタ本体40が収容保持する端子金具30の数量は、単一でも、複数でも良く、必要に応じて、任意の数量に設定することができる。