(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861058
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】スタンド型りん棒
(51)【国際特許分類】
A47G 33/00 20060101AFI20160202BHJP
【FI】
A47G33/00 L
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-238649(P2013-238649)
(22)【出願日】2013年11月19日
(62)【分割の表示】特願2009-63646(P2009-63646)の分割
【原出願日】2009年3月16日
(65)【公開番号】特開2014-54564(P2014-54564A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2013年11月21日
(31)【優先権主張番号】特願2008-66062(P2008-66062)
(32)【優先日】2008年3月14日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】392031790
【氏名又は名称】株式会社小泉製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】本保 実
(72)【発明者】
【氏名】小泉 俊博
【審査官】
大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−167442(JP,A)
【文献】
実公昭36−14053(JP,Y1)
【文献】
実開昭48−2816(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/00
G10D 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
つまみ部と打撃部とを可撓体で連結してあり、
前記つまみ部は可撓体の上部に有し、
前記可撓体は線形バネ又は板バネであり、
前記打撃部は可撓体の下部に有するとともに底部に自立可能な平面部を有することを特徴とするスタンド型りん棒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は宗教用具のスタンド型りん棒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スタンド型りん棒としては特許3012872号に記載のりん撥がある。
これは棒状本体の先端に球形打鐘部をそなえ、一方に直立安定させるための基部台座が設けられていることを特徴としている。
【0003】
あるいは特開2006−167442号のようにスタンド型りん棒として重量部を下部に持たせて安定させたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3012872号公報
【特許文献2】特開2006−167442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスタンド型りん棒において、りんを叩く打撃部と把持部が一体的であったり、打撃部と把持部のいずれもが黒檀等の硬質の、木材樹脂、金属が好適であるとされていた。
しかしながら、従来のりん棒は把持部から、打撃部に直接的に力を加えることが出来る便利さがある反面、その跳ね返りも直接的に把持部に伝わり、手の掴む指などに衝撃を与えるため、打った瞬間にスムーズな打撃動作が妨げられるといった不具合がときおりあった。
特に打撃対象のりん本体が固定されていたり、実質的に固定されている状態である場合にこの弊害が多くみられた。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の不具合を軽減し、スムーズな打撃動作が出来るスタンド型りん棒の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、把持部と打撃部との連結に可撓体を用いて、打撃時の大きな反発の衝撃を把持部に直接的に伝達せしめず、衝撃を緩和するように工夫したスタンド型りん棒とした点に特徴がある。
ここでスタンド型りん棒と表現したのは、りん棒を概ね立てた状態で安置できる平面部を有していることを意味する。
【0008】
より具体的に説明すると、
本発明に係るスタンド型りん棒は、
つまみ部と打撃部とを可撓体で連結してあり、前記つまみ部は可撓体の上部に有し、前記可撓体は線形バネ又は板バネであり、前記打撃部は可撓体の下部に有するとともに底部に自立可能な平面部を有することを特徴とする。
【0009】
ここで、把持部と打撃部が可撓体を介して連結されていると表現したのは、打撃部でりんを打撃したときの反発衝撃が把持部に直接的に伝達しないように、把持部と打撃部との間を可撓性を有する物体で繋いだことを意味し、把持部そのものが可撓性を有していても良い。
従って、把持部全体もしくは一部を可撓体としてもよい。
また、可撓体が紐状の編み上げた繊維などの紐であってもよい。
編み上げの度合いにより、可撓体の可撓性の度合いを調整できる。
また、打撃部に連結した紐はリング状の輪になっていても良い。
【0010】
把持部の可撓体としては、ゴムやバネなどの弾性体であってもよい。
前述の弾性体の場合には、その弾性エネルギーを利用して、積極的に打撃時に大きなエネルギーを与えることが出来る。
バネとしては、線状の線形バネや板バネ
が好ましい。
前記把持部の端部付近に前記把持部より断面部の大なるつまみ部を有することを特徴とするスタンド型りん棒とした。
これにより、つまみ部が、すべり止めの役目をして、使い勝手がよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、把持部と打撃部が可撓体を介して連結されているので、りんを叩く際の打撃時に打撃部からの反発力を、可撓体が有する柔軟な可撓性により、把持部に直接的に伝えることを防ぐことが出来る。
また、把持部全体もしくは一部を可撓体とすることで、構成が簡便になる。
同時に把持する部分や位置により可撓性の可撓具合を変化させることも出来て便利である。
【0012】
可撓体が、紐であれば、軽く便利であるし、後述するつまみ部4を
図6のようにくるりと巻いてこぶし状にして作成することもでき、あるいは
図8に示すように、輪のように打撃部に取り付けることができて便利である。
また、紐として、自由度が高いので、折りたたんだり、巻いたりできて、収納性を持たせることが容易である。
【0013】
可撓体に弾性体を用いると、そのバネ性を有効に使って、打撃部からりんに打撃を与える力を増すことが出来る。
つまり、打撃時までに、可撓体を撓らせて、弾性エネルギーを蓄えて、衝突時にそのエネルギーを力として放出することが出来る。
また、弾性体であると、元の姿に容易に戻るために把持部と打撃部の位置関係が、使用していないときには常に一定に位置に戻るために扱いやすい。
【0014】
把持部の端部付近に前記把持部より断面部の大なるつまみ部を有するようにすることで把持部を掴みやすくし、また使用時に手から滑り落ちることを、防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図7】立てて載置するための平面部の形状例を示す。
【
図8】紐をリング状にして打撃部に取り付けた例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のスタンド型りん棒の具体的な構成について、各図面の基づいて説明するがこれに限定されない。
【実施例1】
【0017】
図1はつまみ部4と打撃部1を可撓体3を介して連結した例を示す。
本実施例は可撓体3が弾性体31である線形バネ311で出来ている例である。
この弾性体31は板ばね、あるいは
図4のようなコイルバネ312でもよい。
つまみ部4は木材、樹脂、軽量金属など軽量なものが適切であるが、特に素材に限定されるものではない。
この場合はつまみ部4もしくは可撓体3に係る部分が把持部2になり、自在に好きな場所を手で把持し、りんを鳴らすことができる。
打撃部1は黒檀などの硬い木や樹脂、金属などが、好ましいが、特に限定されるものではない。
【実施例2】
【0018】
図2は可撓体3が紐32であるスタンド型りん棒の実施例である。
紐を編み込んで硬く構成した状態であると、
図2のように不使用時にもあまり曲がらずに棒状の垂直性を持たせることができて、摘みやすく、同時に持ちやすいので好ましい。
本実施例は把持部(つまみ部)2全体が可撓体3(紐32)で構成した例である。
この場合に、
図6に示すように紐32の先に結び玉を設けてつまみ部4を形成しても良く、
図8に示すように紐32をリング状にして、つまみ部と把持部2をかねても良い。
【実施例3】
【0019】
図3は可撓体3が紐32であり、紐の先につまみ部4を連結した実施例である。
紐32は繊維質のもの、樹脂性のものなど特に限定はない。
実施例の紐32のように可撓体3の自由度が高いと振り子のようにりんを打撃することになる。
【0020】
図5は打撃部1の縦断面図である。
可撓体3が紐32であると打撃部1の通し穴に紐32の端部付近に結び目をつけた紐32を通すだけで、簡便に繋げることができる。
つまり、本発明では、このような打撃部1とのつながりでもよく、目的が果せれば、特につながり方に限定はされない。
【0021】
図7はスタンド型りん棒の各打撃部の平面部の形状例を示し、りん棒の打撃部の平面部デザインは
図7のようにさまざまな形が考えられる。
打撃部の先に
図7に示すような各種形状の平面部を設けたことにより、この平面部を底部にして立てて仏壇内等に安置でき、スタンド型りん棒として成立するのであれば、打撃部の形状等に特段の限定はない。
【符号の説明】
【0022】
1 打撃部
2 把持部
3 可撓体
4 つまみ部
31 弾性体
32 紐
311 線形バネ
312 コイル状バネ