特許第5861145号(P5861145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5861145
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】ノズルアノードユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/00 20060101AFI20160202BHJP
   C25D 21/12 20060101ALI20160202BHJP
   C25D 17/12 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C25D17/00 J
   C25D21/12 F
   C25D17/12 C
   C25D17/12 K
【請求項の数】2
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-195787(P2014-195787)
(22)【出願日】2014年9月25日
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115072
【氏名又は名称】ユケン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135183
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 克之
(72)【発明者】
【氏名】小島 憲和
(72)【発明者】
【氏名】菊池 義治
(72)【発明者】
【氏名】赤松 慎也
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/069023(WO,A1)
【文献】 特開2004−300462(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 21/00−21/22
C25D 17/00−17/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
めっき液噴出部と、不溶性アノードと、アノード保持部とを備えているノズル−アノードユニットの製造方法であって、
被めっき部材の形状に基づいてアノード保持部を積層造形法により作製するアノード保持部作製工程
記アノード保持部の表面に沿って前記不溶性アノードの形状を形成する不溶性アノード形成工程;および
前記めっき噴出部に対向する位置に少なくともその一部が配置されるように、前記めっき液噴出部と前記不溶性アノードとの相対的な位置関係を固定する工程を備えている
ノズル−アノードユニットの製造方法。
【請求項2】
前記アノード保持部作製工程は前記被めっき部材の3次元データに基づいて前記アノード保持部を製造する請求項1に記載のノズル−アノードユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置に関し、詳しくは、高速で均一なめっきを行う際の制御が容易であるノズルアノードユニット、そのノズルアノードユニットを備えためっき装置、およびそのノズルアノードユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子・電気部品、自動車など輸送機器の部品、建設部材など各種被めっき部材に対して、均一な厚さのめっき皮膜を高速で形成したいという要求は高く、この要求に応えるべく、さまざまな方式が提案されている。
【0003】
その一つとして、多数の被めっき部材を連続的にめっき液に浸漬させ(めっき液を噴射させる場合もある。)、被めっき部材をめっき液中で移動させながら(めっき液が噴射される領域を移動させながら)めっきを行うライン式のめっき方式が提案されている。この方式によれば、被めっき部材一つ当たりのめっき時間は長いものの、被めっき部材の被めっき面にめっき皮膜が形成されてなるものであるめっき部材を短時間で多数得ることができる。この方式は、標準品など被めっき部材の総数が多い場合であって、被めっき部材が単純な形状(例えば平板など)である場合に好適である。
【0004】
また、このライン式を行うほど被めっき部材数が多くないなどの理由により、バッチ式でめっきを行うことが選択されることもある。このようなバッチ式でめっきを行う場合には、例えば特許文献1や2に開示されるように、被めっき部材をめっき槽内で回転させることによって、被めっき部材が受けるめっき液の流れを均一にすることによってめっき皮膜の厚さの均一性を高めることが行われていた。特許文献1や2に開示されるめっき方式では、被めっき部材は基本的に平板状であること、または回転する被めっき部材の保持機構に対して十分に小さいことが前提とされている。
【0005】
そこで、本発明の発明者らは、特許文献3に開示されるように、不溶性アノードをめっき槽内で移動させ、所定の位置で保持することができるアノード変位機構を提案している。このアノード変位機構を備えためっき装置によれば、エンジンブロックやプレス部品などといった複雑形状を有する被めっき部材に対して、めっき皮膜の厚さの均一性を高めつつ、高速で電気めっきを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−256897号公報
【特許文献2】特開2004−30462号公報
【特許文献3】特許第5515056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献3に開示されるめっき装置は、アノード変位機構を備えており、このアノード変位機構により、アノードを被めっき部材の形状に合わせた位置に配置した状態で電気めっきを行う。これにより、複雑形状を有する被めっき部材に対して、めっき皮膜の厚さの均一性を高めつつ、電気めっきを行うことが可能となる。しかし、電気めっきの際、被めっき部材毎にアノードが所定の位置に配置されるように、アノード変位機構を制御する必要がある。このため、被めっき部材の形状によっては、電気めっきにおけるアノードの位置制御が複雑になる場合があった。
【0008】
そこで、本発明は、電気めっきを行う際のアノード位置の制御が容易なめっき装置を提供することを課題とする。また、本発明は、そのような高速のめっき装置において使用されるノズル−アノードユニットを提供することを課題とする。さらに、本発明は、かかるノズル−アノードユニットの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために提供される本発明は次のとおりである。
(1)めっき液噴出部と、不溶性アノードと、アノード保持部とを備えているノズル−アノードユニットの製造方法であって、被めっき部材の被めっき面形状に基づいてアノード保持部を積層造形法により作製するアノード保持部作製工程;前記アノード保持部の表面に沿って前記不溶性アノードの形状を形成する不溶性アノード形成工程;および前記めっき噴出部に対向する位置に少なくともその一部が配置されるように、前記めっき液噴出部と前記不溶性アノードとの相対的な位置関係を固定する工程を備えているノズル−アノードユニットの製造方法。
(2)前記アノード保持部作製工程は前記被めっき部材の3次元データに基づいて前記アノード保持部を製造する(1)に記載のノズル−アノードユニットの製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明のノズル−アノードユニットの不溶性アノードは、被めっき部材の被めっき面に沿って曲がった部分を備えているから、被めっき部材が複雑な3次元形状であっても、容易に不溶性アノードを被めっき面に沿って配置することができる。また、めっき液噴出部からめっき液を噴出することにより、被めっき面と不溶性アノード間のめっき液の流れの均一性を向上させることができる。したがって、本発明によれば、めっき皮膜を形成する際に必要な不溶性アノードの変位を単純にして、位置制御を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るノズル−アノードユニットと被めっき部材の構成を概念的に示す斜視図である。
図2図1に示されるノズル−アノードユニットと被めっき部材の構成を概念的に示しており、(a)一方のノズルアノードユニットの斜視図であり、(b)被めっき部材の斜視図である。
図3図1に示されるノズル−アノードユニットと被めっき部材の構成を概念的に示しており、(a)被めっき部材の斜視図であり、(b)他方のノズルアノードユニットの斜視図である。
図4図1に示されるノズル−アノードユニットにより被めっき部材をめっき処理するときの配置状態を概念的に示す斜視図である。
図5図1に示されるノズル−アノードユニットを備えためっき装置の構成を概念的に示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るめっき装置の構成を概念的に示すブロック図である。
図7】本発明の一実施形態に係るめっき装置の動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
(ノズル−アノードユニット)
図1は本発明の一実施形態に係るノズル−アノードユニットと被めっき部材の構成を概念的に示す斜視図である。同図に示すように、本実施形態に係るノズル−アノードユニット(以下、「NAU」ともいう。)1は2つのNAU10、20から構成されている。ただし、NAU1を構成するNAUは、被めっき部材2のめっき面に対応した位置に不溶性アノードを配置するために適した数とすればよく、2つには限られない。
【0015】
図2は、図1に示されるノズル−アノードユニットと被めっき部材の構成を概念的に示す斜視図である。図2(a)は、一方のノズル−アノードユニットであるNAU10の斜視図であり、図2(b)被めっき部材2の斜視図である。
【0016】
図3は、図1に示されるノズル−アノードユニットと被めっき部材の構成を概念的に示す斜視図である。図3(a)は被めっき部材2の斜視図であり、図3(b)は他方のノズル−アノードユニットであるNAU20の斜視図である。
【0017】
NAU10は、めっき液噴出部11a〜11dと、不溶性アノード12と、アノード保持部13とを備えている。また、NAU20もNAU10同様、めっき液噴出部21fおよび21gと、不溶性アノード22と、アノード保持部23とを備えている。以下、複数のめっき液噴出部を区別しないときは、添え字を付さずにめっき液噴出部11、21のように示す。
【0018】
めっき液噴出部11、21は、後述するめっき液取り込み部から取り込んだめっき槽内のめっき液をポンプで循環させてめっき槽に戻すためにめっき槽内に配置される部分をいう。NAU1は、NAU10およびNAU20にそれぞれ、複数のめっき液噴出部11、21が設けられているから、被めっき部材2の被めっき面の近傍に供給されるめっき液の流れの均一性が良好になる。
【0019】
NAU10、20は、図1〜3において濃色で示した領域に、不溶性アノード12、22が設けられている。これら不溶性アノード12、22は、不溶性アノード12、22は、被めっき部材2の被めっき面に沿って曲がった部分を有している。ここで、「被めっき面に沿って曲がった部分」とは、被めっき部材2の形状に沿って被めっき面に近づく方向に、不溶性アノード12、22の表面が、折れ曲がった部分や、緩やかに曲がった部分などをいう。
【0020】
このような部分を備えた不溶性アノード12、22は、例えば、板状部材を二次加工することにより形成することができる。ここで、「二次加工」とは、板状部材等のようなあらかじめ加工されている部材を改めて加工することをいう。例えば、板状部材を曲げて、被めっき部材2の形状に沿った形状に加工することにより、被めっき部材2の被めっき面に沿って曲がった部分を有する不溶性アノード12、22を形成することができる。
【0021】
不溶性アノード12、22はそれぞれ、めっき液噴出部11、21に対する相対位置が管理されている。ここで、相対位置が管理されているとは、めっき液噴出部11、21から噴出されためっき液の流れの方向が、不溶性アノード12、22に対して所定の範囲内となるように管理されていることをいう。この具体的な一例として、両者の相対的な位置関係が固定されている構成が挙げられる。
【0022】
本実施形態のNAU10、20はそれぞれ、アノード保持部13、23を備えている。アノード保持部13、23は、不溶性アノード12、22の形状を規定する型となるとともに、形成された不溶性アノード12、22の形状を保持する機能を有する。アノード保持部13、23の被めっき部材2側表面に沿って不溶性アノード12、22を設けることにより、被めっき部材2の被めっき面に沿った形状を形成し、保持することができる。
【0023】
図2(A)に示すように、アノード保持部13の被めっき部材2側の表面は、概略、その両側が被めっき部材2側に向かって近づくように曲がった曲面状に形成されている。そして、被めっき部材2の被めっき面2A〜2Cに沿って曲がった曲部13A〜13C、および被めっき部材2側に突出し、その側面が被めっき部材2の貫通孔内側の被めっき面2Dの近傍に位置する突出部13Dを有している。
【0024】
アノード保持部13は、被めっき部材2の被めっき面のうち、その方向や位置の異なる被めっき面2A〜2Cに沿って曲がった曲部13A〜13C、および被めっき面2Fに近づく方向に突出した突出部13Fを備えている。したがって、アノード保持部13の被めっき部材2側の表面に沿って不溶性アノード12を設けることにより、容易に被めっき部材2の形状に沿って曲がった不溶性アノード曲部12A〜12C、ならびに被めっき部材2側に突出した不溶性アノード突出部12Dを形成することができる。なお、不溶性アノード突出部12Dは、被めっき面2Fに沿って曲がった曲部により形成されたものである。
【0025】
アノード保持部13の表面に沿った形状の不溶性アノード12は、柔らかい金属の板状部材を用いることにより、容易に形成することができる。上記柔らかい金属としては、例えば、鉛等が挙げられる。柔らかい金属の板状部材は、アノード保持部13の表面に沿った形状不溶性アノード12を作製する場合に好適である。ただし、不溶性アノードは、それ自体を積層造形法により製造することも可能である。この場合、アノード保持部なしで所定の形状を維持することができる、積層造形法に適した素材により不溶性アノードが形成される。
【0026】
不溶性アノード12は、アノード保持部13側表面と被めっき部材2側表面とを貫通する貫通孔が多く形成されている。このため、めっき液噴出部11から噴出されためっき液は、不溶性アノード12の貫通孔を通って被めっき部材2表面の被めっき面の近傍に供給される。
【0027】
図3(B)に示すように、アノード保持部23の被めっき部材2側の表面は、概略、平面状に形成されている。そして、被めっき部材2側に突出し、その側面が被めっき部材2の貫通孔内側の被めっき面2Dの近傍に位置する突出部23D、およびその側面が被めっき部材2の溝内面側の被めっき面2Eの近傍に位置する突出部23E、ならびに、被めっき部材2の被めっき面2F〜2Hに沿って曲がった曲部23F〜23Hを有している。
【0028】
アノード保持部23は、被めっき部材2の被めっき面のうち、その方向や位置の異なる被めっき面2D〜2Eに近づく方向に突出した突出部23D〜23Eおよび、および被めっき面2F〜2Hに沿って曲がった曲部23F〜23Hを備えている。したがって、アノード保持部23の被めっき部材2側の表面に沿って不溶性アノード22を設けることにより、被めっき部材2側に突出した不溶性アノード突出部22D〜22E、および被めっき部材2の形状に沿って曲がった不溶性アノード曲部22F〜22Hを形成することができる。なお、不溶性アノード突出部22Dおよび22Eは、被めっき面2Fおよび2Eに沿って曲がった曲部により形成されている。
【0029】
不溶性アノード22が柔らかい金属の板状部材を用いて容易に形成できること、不溶性アノード22に多くの貫通孔が形成されていることは、不溶性アノード12と同様である。
【0030】
図4図1に示されるノズル−アノードユニットにより被めっき部材をめっき処理するときの配置状態を概念的に示す斜視図である。図2(B)および図3(A)に示すように、被めっき部材2は複雑な形状をしている。しかし、めっき処理をする際には、不溶性アノード曲部12A〜12Cおよび不溶性アノード突出部12D、ならびに不溶性アノード突出部22D〜22Eおよび不溶性アノード曲部22F〜22Hがそれぞれ、被めっき部材2の被めっき面2A〜2Cおよび2D、ならびに被めっき面2D〜2Eおよび2F〜2Hの近傍に位置する。このため、被めっき部材2の被めっき面の近傍に、不溶性アノード12、22を繰り返し精度よく配置することができる。したがって、被めっき部材2にめっき皮膜を形成する際における不溶性アノード12、22の位置の制御が容易となる。
【0031】
また、NAU10、20はそれぞれ、めっき液噴出部11、21を備えている。このため、被めっき部材2のめっき処理において、不溶性アノード12、22と被めっき部材2の被めっき面との間にめっき液を噴出することができる。したがって、不溶性アノード12、22と被めっき部材2との間にめっき液の均一な流れを形成して、複雑な形状をした被めっき部材2表面の被めっき面を均一にめっきすることができる。
【0032】
不溶性アノード突出部12D、22Dおよび22Eの内側にそれぞれ、めっき液噴出部11d、21dおよび21eが形成されているから、被めっき部材2のくぼんだ被めっき面にもめっき液を効果的に供給することができる。また、不溶性アノード突出部の内側以外にも、めっき液噴出部11a、11bおよび11が形成されているから、くぼんだ被めっき面以外の被めっき面にめっき液を効果的に供給することができる。したがって、めっき液噴出部11、21からめっき液を供給することにより、不溶性アノード12、22と被めっき部材2との間にめっき液の均一な流れを形成することが可能である。
【0033】
また、NAU10のめっき液噴出部11dとNAU20のめっき液噴出部21dとは、被めっき部材2をめっきする際、対向する位置に設けられている。ここで、めっき液噴出部が「対向する」とは、吐出されためっき液の流れが相互に影響することにより、吐出方向に対して横方向の流れを生じさせたり、強めたりする位置にめっき吐出部が設けられていることをいう。例えば、めっき液噴出部同士が正対する位置に設けられている構成が挙げられる。めっき液噴出部11dとめっき液噴出部21dとを対向する位置に設けることにより、被めっき部材2の貫通孔内側の被めっき面2Dの方向へのめっき液の流れを形成することができる。したがって、被めっき面2Dの近傍に効率よくめっき液を供給することが可能となる。
【0034】
アノード保持部13、23は積層造形法を用いて製造されたものが好ましい。ここで、積層造形法とは、コンピュータグラフィック(CG)やCAD(キャド、COMUTER AIDED DESIGN)ソフトウェア等で作成した3次元データに基づいて、断面形状の薄い層を積み重ねることにより3次元形状を形成する方法をいう。例えば、3Dプリンタは、積層造形法を用いて3次元形状を製造するものであるから、3Dプリンタを用いて製造されたアノード保持部は、積層造形法を用いて製造されたものに該当する。
【0035】
3Dプリンタを用いることにより、エンジンブロックやプレス部品などといった複雑形状を有する被めっき部材2の被めっき面に沿った形状のアノード保持部13、23を容易に製造することができる。ここで、被めっき部材2の被めっき面に沿った形状とは、被めっき部材2の被めっき面からアノード保持部13、23表面までの距離が均一になる方向に曲がった曲部13A〜13C、曲部23F〜23H、被めっき部材2側に突出した突出部13D〜13E、23D〜23E(図2図3参照)等を有する形状をいう。
【0036】
(ノズル−アノードユニットの製造方法)
アノード保持部を備えたノズル−アノードユニットは、被めっき部材の形状に基づいてアノード保持部を作製するアノード保持部作製工程の後に、アノード保持部の表面に沿って不溶性アノードの形状を形成する不溶性アノード形成工程を行うことにより製造することができる。
【0037】
アノード保持部作製工程は、被めっき部材の3次元データに基づいて積層造形法を用いて行うことが好ましい。積層造形法を用いてアノード保持部を製造することにより、種々の複雑形状を有する被めっき部材の形状に対応した形状を容易かつ迅速に作製することができる。
【0038】
ただし、本実施形態の被めっき部材の形状に対応した形状を備えた不溶性アノードは、上記の製造方法により製造されたもの限られない。例えば、不溶性アノード自体を積層造形法により製造したり、切削造形法等の他の方法を用いて製造したり、他の方法を用いてアノード保持部を製造したりしてもよい。
【0039】
(めっき装置)
図5は、本発明の一実施形態に係るめっき装置の構成を概念的に示す図である。なお、図5では、めっき電源、被めっき部材およびアノードに電圧を印加する電気配線、制御配線など電気関連の構成は表示を省略しており、これらのめっき装置の制御に関する構成は図6を用いて説明する。
【0040】
本実施形態に係るめっき装置100が備えるめっき槽3はその内部にめっき液が入っている。そのめっき液内に、被めっき部材2が浸漬した状態にあり、この被めっき部材2は、部材変位機構4により保持されている。
【0041】
部材変位機構4は、被めっき部材2の移動および被めっき部材2の少なくとも一部がめっき槽3内に配置されるような位置での被めっき部材2の保持を行うものであり、部材位置制御装置により制御される。
【0042】
部材変位機構4は、固定装置4A、垂直方向直動摺動軸4B、水平方向直動摺動軸4Cおよび摺動保持装置4Dを備えている。固定装置4Aの一部の部材は被めっき部材2との通電部をも兼ねる。垂直方向直動摺動軸4B、水平方向直動摺動軸4Cおよび摺動保持装置4Dは、駆動可能な距離や耐荷重などが目的に適合するものを、いわゆるリニアガイドとして市場から入手できるものの中から適宜選択すればよい。部材変位機構4は、被めっき部材2の位置を適切に制御できれば、駆動および保持の方式は空圧方式でもよいし、油圧方式でもよいし、電気方式でもよい。
【0043】
本実施形態に係るめっき装置100は、めっき槽3内に複数の不溶性アノードを備える。具体的には、上述したNAU10、20が備えている不溶性アノード12、22の他、めっき槽3の側壁に付設される固定の不溶性アノード(以下「固定アノード」ともいう。)5を備える。不溶性アノードの材質は特に限定されず、一般的に用いられる材質を採用すればよく、チタン材上に白金をめっきしたものが具体例として挙げられる。なお、めっき装置100は、固定アノード5を備えているが、不溶性アノード12、22のみを備えた構成としても良い。
【0044】
アノード変位機構6、7は、NAU10、20をめっき槽3内で移動させたり、NAU10、20をめっき槽3の所定の位置で保持したりするものであり、後述するアノード位置制御装置により制御される。アノード変位機構6、7の基本構成は部材変位機構4と同様であり、垂直方向直動摺動軸6A、7A、水平方向直動摺動軸6B、7Bおよび摺動保持装置6C、7Cから構成される。
【0045】
垂直方向直動摺動軸6A、7AはNAU10、20を上下方向に移動する際のガイドとなるものであって、図5ではその鉛直方向下側の端部またはその近傍にNAU10、20が設けられている。水平方向直動摺動軸6B、7BはNAU10、20水平方向の移動をガイドするものである。摺動保持装置6C、7Cは、垂直方向直動摺動軸6A、7Aおよび水平方向直動摺動軸6B、7B上を移動することにより、NAU10、20の位置を変動させたり、垂直方向直動摺動軸6A、7Aおよび水平方向直動摺動軸6B、7B上の所定の位置で停止した状態を維持することによりNAU10、20を所定の位置に保持したりするものである。
【0046】
本実施形態に係るめっき装置100は、めっき槽3内のめっき液を循環させるための循環機構8を有する。本実施形態に係るめっき装置100の循環機構8は、めっき液取り込み部8A、往路配管8B、ポンプ8C、復路配管8D、第一の復路配管8E、固定めっき液噴出部8F、第一の流量調整バルブ8G、第二の復路配管8H、第二の流量調整バルブ8I、ノズル−アノードユニット(NAU20)のめっき液噴出部8J、その噴出孔8K、第三の復路配管8L、ノズル−アノードユニット(NAU10)のめっき液噴出部8M、その噴出孔8N、および第三の流量調整バルブ8Oを備える。
【0047】
めっき液取り込み部8Aは、めっき槽3のオーバフロー用仕切板3Aにより区切られた領域(以下、この領域を「取り込み用領域」といい、めっき槽3内の取り込み用領域以外の領域を「主領域」ともいう。)の底部に設けられ、めっき槽3内のめっき液を取り込むものである。めっき液取り込み部8Aから取り込まれためっき液は、往路配管8B内を通ってポンプ8Cに至る。ポンプ8Cから吐出されためっき液が流れる復路配管8Dは、第一の復路配管8E、第二の復路配管8Hおよび第三の復路配管8Lに分岐する。
【0048】
第一の復路配管8Eの一方の端部はめっき槽3の主領域の底部に設けられた固定めっき液噴出部8Fに接続されている。このため、循環機構8により、主領域から取り込み用領域へとオーバフローしためっき液をめっき液取り込み部8Aから取り込み、そのめっき液をポンプ8Cで加圧して固定めっき液噴出部8Fから主領域に戻すという循環系統(以下、「第一の循環系統」ともいう。)が構築されている。この第一の循環系統を流れるめっき液量は、ポンプ8Cおよび第一の復路配管8Eの途中に設置された第一の流量調整バルブ8Gにより調整される。
【0049】
第二の復路配管8Hの一方の端部は、めっき槽3内に配置されたNAU20のめっき液噴出部21に接続されている。このため、循環機構8により、主領域から取り込み用領域へとオーバフローしためっき液をめっき液取り込み部8Aから取り込み、そのめっき液をポンプ8Cで加圧してめっき液噴出部8Jの噴出孔8Kから主領域に噴出させて戻すという循環系統(以下、「第二の循環系統」ともいう。)により、めっき液噴出部21からめっき液を噴出する循環が構築されている。この第二の循環系統を流れるめっき液量は、ポンプ8Cおよび第三の復路配管8Lの途中に設置された第三の流量調整バルブ8Oにより調整される。
【0050】
第三の復路配管8Lの一方の端部は、めっき槽3内に配置されたNAU10のめっき液噴出部11に接続されている。このため、循環機構8により、主領域から取り込み用領域へとオーバフローしためっき液をめっき液取り込み部8Aから取り込み、そのめっき液をポンプ8Cで加圧してめっき液噴出部8Mの噴出孔8Nから主領域に噴出させて戻すという循環系統(以下、「第三の循環系統」ともいう。)により、めっき液噴出部11からめっき液を噴出する循環が構築されている。この第三の循環系統を流れるめっき液量は、ポンプ8Cおよび第三の復路配管8Lの途中に設置された第三の流量調整バルブ8Oにより調整される。
【0051】
NAU10、20は、めっき液噴出部11、21と、噴出孔8Nに対向する位置に少なくともその一部が配置される不溶性アノード12、22とを備える。図5では、不溶性アノード12、22はその一部が噴出孔8K、8Nに接するように配置されている。このような配置とすることで、噴出孔8K、8Nから吐出されるめっき液は不溶性アノード12、22に少なくとも一部が接しながら、めっき槽3内へと拡散する。したがって、不溶性アノード12、22に正電圧が印加されると、めっき液噴出部11、21から吐出しためっき液の流れる方向と電気力線の方向とが平行になりやすく、被めっき部材2の被めっき面におけるめっき金属の析出状態が一様になりやすい。
【0052】
なお、本実施形態に係るめっき装置100の循環機構8は、めっき液を循環させるための装置としてポンプ8Cのみを備えるが、循環機構8は複数のポンプを備えていてもよい。その場合におけるポンプの配置は限定されない。一例を挙げれば、第一の循環系統、第二の循環系統および第三の循環系統のそれぞれにポンプが設けられ、これらが相互に関連しながら制御されている構成が挙げられる。
【0053】
また、本実施形態に係るめっき装置100が備える不溶性アノード(具体的には固定アノード5および不溶性アノード12、22の少なくとも一つ)は、被めっき部材2と接触して短絡を生じる可能性を低減させるために、絶縁性の保護部材を、被めっき部材2に近位な側に備えていてもよい。そのような保護部材の具体的な構成は特に限定されない。具体例として、プラスチックなどからなるメッシュが不溶性アノードの被めっき部材2に近位な側に付設されている構成が挙げられる。
【0054】
図6は、本発明の一実施形態に係るめっき装置の制御を概念的に示すブロック図である。めっき槽3内に配置される固定アノード5、および不溶性アノード12、22は、それぞれ、固定アノード用配線51A、不溶性アノード用配線51Bおよび不溶性アノード用配線51Cによって、めっき電源50の陽極端子50Aに電気的に接続されている。また、図5に示されるめっき装置100のめっき電源50は、固定アノード用配線51Aから出力される電圧および電流、不溶性アノード用配線51Bから出力される電圧および電流、ならびに不溶性アノード用配線51Cから出力される電圧および電流はそれぞれ独立に制御可能とされている。また、めっき槽3内に配置される被めっき部材2は、被めっき部材用配線51Dによって、めっき電源50の陰極端子50Bに電気的に接続されている。
【0055】
本実施形態に係るめっき装置100は、めっき電源50から電圧を印加しているときの固定アノード5、不溶性アノード12、22のそれぞれを流れる電流および固定アノード5、不溶性アノード12、22の被めっき部材2に対する電位の少なくとも一方を測定する測定機器52A、52B、52Cを備える。測定機器の具体的な構成は特に限定されない。電流計であってもよいし、シャント抵抗と電圧計とからなっていてもよいし、電圧計であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。なお、図6では、固定アノード用配線51A、不溶性アノード用配線51Bおよび不溶性アノード22のそれぞれに、電流計からなる測定機器またはシャント抵抗と電圧計とからなる測定機器が設けられている構成を示している。
【0056】
固定アノード5、不溶性アノード12、22の被めっき部材2に対する電位を測定する場合の具体的な一例として、固定アノード5、不溶性アノード12、22のそれぞれとめっき電源50の陰極端子50Bとを、電圧計を介在させた配線にて互いに並列になるように接続する構成が挙げられる。この構成によれば、固定アノード5、不溶性アノード12、22のそれぞれの被めっき部材2に対する電位を電圧計にて個別に計測することができる。
【0057】
本実施形態に係るめっき装置100は、測定機器52A、52B、52Cによる測定結果としての信号を入力とし、めっき装置100が備える装置(めっき電源50、摺動保持装置4D、ポンプ8Cなど)の動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を対応する装置に出力する制御装置53を有する。制御装置53は、測定機器52A、52B、52Cからの信号を受け入れるための信号入力部53A、ならびにこの信号入力部53Aで受け取った信号を入力とする電気出力制御装置53B、位置制御装置53Cおよび循環制御装置53Dを備える。この制御装置53が備える複数の装置は、独立していてもよいし、一つの制御装置が複数の制御装置の機能を果たすことができるものであってもよい。この制御装置53は、あらかじめ規定された制御プログラムやキーボードなどのインターフェース装置からの入力信号に基づいて、各装置を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を対応する装置に出力する機能も有する。
【0058】
電気出力制御装置53Bは、測定機器52A、52B、52Cにより測定された結果に基づいて、固定アノード5、不溶性アノード12、22に印加する電流および電圧の少なくとも一方を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号をめっき電源50に出力する。めっき電源50は、電気出力制御装置53Bから制御信号を入力したことを条件として、その入力信号とあらかじめ関連付けられた動作(出力電流の増加もしくは減少、または出力電圧の増加もしくは減少)を行う。また、電気出力制御装置53Bは、あらかじめ規定された制御プログラムやユーザーインターフェース装置からの入力信号に基づいて、めっき電源50を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号をめっき電源50に出力する機能も有する。
【0059】
位置制御装置53Cは、部材変位機構4の摺動保持装置4Dの動作(移動、保持など。以下同じ。)を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を摺動保持装置4Dに対して出力する部材位置制御装置、アノード変位機構6の摺動保持装置6Cの動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を摺動保持装置6Cに対して出力するアノード位置制御装置、アノード変位機構7の摺動保持装置7Cの動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を摺動保持装置7Cに対して出力するNAU位置制御装置および固定装置4Aを動作させるための駆動装置の動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号をその駆動装置に対して出力する固定装置制御装置を備える。NAU位置制御装置は、不溶性アノード12、22のめっき槽3内の配置を制御するためのものであるアノード位置制御装置と、めっき液噴出部8J、8Mのめっき槽3内の配置を制御するためのものである噴出部位置制御装置とが統合されたものと位置づけることができる。
【0060】
位置制御装置53Cは、測定機器52A、52B、52Cにより測定された結果に基づいて、上記の複数の位置制御装置に制御信号を発生させることができる。また、位置制御装置53Cは、あらかじめ規定された制御プログラムやインターフェース装置からの入力信号に基づいても、上記の複数の位置制御装置に制御信号を発生させることができる。
【0061】
位置制御装置53Cは、当該装置が備える上記の複数の制御装置に対して個別に制御信号を発生させることができる。また、複数の制御装置を協働させ、複数の摺動保持装置を連動させることもできる。そのような連動の具体例として、部材位置制御装置からの制御信号により部材変位機構4の摺動保持装置4Dを駆動させて被めっき部材2を水平方向に往復動(揺動)させた際に、この往復動によっても、不溶性アノード12、22の被めっき部材2に対する相対位置が変動しないように、アノード位置制御装置、噴出部位置制御装置およびNAU位置制御装置から適切な制御信号を出力させて、摺動保持装置6C、7Cを駆動させることが挙げられる。
【0062】
循環制御装置53Dは、ポンプ8Cを駆動するためのポンプ駆動装置54Aの動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号をポンプ駆動装置54Aに対して出力するポンプ制御装置、第一の流量調整バルブ8Gの動作させる第一の流量調整装置54Bの動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を第一の流量調整装置54Bに対して制御信号を出力する第一のバルブ制御装置、第二の流量調整バルブ8Iの動作させる第二の流量調整装置54Cの動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を第二の流量調整装置54Cに対して第二のバルブ制御装置および第三の流量調整バルブ8Oの動作させる第三の流量調整装置54Dの動作を制御するための制御信号を発生させ、その制御信号を第三の流量調整装置54Dに対して出力する第三のバルブ制御装置を備える。
【0063】
循環制御装置53Dは、測定機器52A、52B、52Cにより測定された結果に基づいて、上記の複数の位置制御装置に制御信号を発生させることができる。また、循環制御装置53Dは、あらかじめ規定された制御プログラムやインターフェース装置からの入力信号に基づいても、上記の複数の位置制御装置に制御信号を発生させることができる。さらに、循環制御装置53Dは、当該装置が備える上記の複数の制御装置に対して個別に制御信号を発生させることも、複数の制御装置を協働させることもできる。なお、第一の復路配管8E、第二の復路配管8Hおよび第三の復路配管8Lのそれぞれに流量計を設置し、それらの流量計からの情報に基づいて、循環制御装置53Dが備える各制御装置の動作を設定してもよい。
【0064】
制御装置53は、制御装置53が備える複数の制御装置を協働させることができる。そのような協働の具体例として、被めっき部材2をめっき槽3内のめっき液中に配置し、めっき電源50から電圧を所定時間印加し、めっき皮膜が形成された被めっき部材(めっき部材)2をめっき槽3内のめっき液から取り出すまでの一連のプロセスを、図7を参照しつつ説明する。
【0065】
図7は、本発明の一実施形態に係るめっき装置の動作の一例を示すフロー図である。本例では、部材取付工程、部材配置工程、配置工程、噴出開始工程、印加工程、噴出終了工程、退避工程および部材回収工程がこの順番で行われている。
【0066】
(部材取付工程)
本例に係る部材取付工程では、位置制御装置53Cが備える部材位置制御装置から出力される制御信号に基づき部材変位機構4の摺動保持装置4Dを動作させるとともに、制御装置53が備える固定装置制御装置から出力される制御信号に基づき固定装置4Aを動作させて、被めっき部材2を固定装置4Aに固定させる。
【0067】
(部材配置工程)
部材配置工程では、位置制御装置53Cが備える部材位置制御装置から出力される制御信号に基づき部材変位機構4の摺動保持装置4Dを動作させることにより、部材取付工程の実施によって固定装置4Aに対して固定された被めっき部材2の少なくとも一部をめっき槽3内のめっき液中に浸漬させる。
【0068】
(配置工程)
配置工程では、めっき槽3の内部に配置されるNAU10、20の構成要素である不溶性アノード12、22を被めっき部材2により近位となるように移動させる。配置工程の開始時期と部材配置工程の開始時期との関係は特に限定されない。いずれかを先に開始してもよいし、双方を同時に開始してもよい。いずれかを先に開始する場合において、一方の工程の終了時期と他方の工程の開始時期との関係も限定されない。一方の工程が終了した後に他方の工程を開始してもよいし、一方の工程が終了する前に他方の工程を開始してもよい。また、NAU10、20も、両者を同時に移動しても、いずれか一方を先に移動しても良い。
【0069】
本例に係る配置工程では、アノード配置工程、噴出部配置工程およびNAU部配置工程の3つの工程が行われる。これらの3工程の開始時期の関係は特に限定されず、同時に開始してもよいし、順次開始してもよい。
【0070】
アノード配置工程では、位置制御装置53Cが備えるアノード位置制御装置から出力される制御信号に基づきアノード変位機構6、7の摺動保持装置6C、7Cを動作させることにより、めっき槽3内の所定の位置(「アノード初期位置」ともいう。)に配置された状態にある不溶性アノード12、22を、部材配置工程によりめっき槽3内のめっき液中に配置された状態にある被めっき部材2に近づくように、すなわち、より近位となるように移動させ、あらかじめ設定された第一、第二の位置にて保持する。
【0071】
アノード配置工程により不溶性アノード12、22が配置される第一、第二の位置は、被めっき部材2をめっき液から取り出すように移動させたときに被めっき部材2が不溶性アノード12、22の一部と干渉する位置であってもよい。この場合には、部材配置工程により被めっき部材2がある程度めっき液中に浸漬された状態となってから、不溶性アノード12、22は第一、第二の位置に配置される。
【0072】
通常、不溶性アノードは、固定アノード5のようにめっき槽3に対して固定されている場合が多い。そのような場合には、上記の第一の位置のように、被めっき部材2の取り出し動作に対してその一部が干渉する様な位置に、不溶性アノードを配置することは不可能である。しかしながら、本実施形態に係るめっき装置100が備える不溶性アノード12、22は、めっき槽3内で移動させることが可能であるため、被めっき部材2と干渉を生じるような位置にも配置することができる。したがって、本実施形態に係るめっき装置100によれば、被めっき部材2の形状に関わらず不溶性アノード12、22の配置を適切に設定することが可能である。
【0073】
また、不溶性アノード12、22は被めっき部材の形状に沿って曲がった部分を備えているから、被めっき面と不溶性アノード12、22との距離のばらつきを小さくすることができる。このような不溶性アノード12、22の形状の具体例として、被めっき部材2のすべての被めっき面について、被めっき面と不溶性アノード12、22との距離のばらつきを所定の範囲以内(例えば20%以内)に設定することができる。この場合には、被めっき部材2の被めっき面におけるめっき時の電流密度のばらつきは、被めっき面と不溶性アノード12、22との距離のばらつきに基づき被めっき面と不溶性アノードとの間の溶液抵抗がばらつくことが主要な原因の一つである。したがって、被めっき面と不溶性アノード12、22との距離のばらつきを所定の範囲内に制御することができる場合には、被めっき面における電流密度のばらつきが小さくなって、被めっき部材2上に形成されためっき皮膜は、その厚さや膜質の均一性に優れたものとなる。
【0074】
また、このように、電流密度のばらつきが少ないため、めっき液中に均一電着性を高めるための添加剤を含有させる必要がない、またはその含有量を少なくすることができる。均一電着性を高めるための添加剤は、一般的に、電流密度の高い被めっき面におけるめっき皮膜の析出速度を低下させてしまう。このため、均一電着性を高める添加剤を使用するとめっき皮膜の析出速度が全体的に遅くなってしまい、高速でめっき皮膜を形成することは困難となる傾向がある。これに対し、本実施形態に係るめっき装置100を用いれば、上記の様な添加剤を使用しない、または使用量を少なくすることができるため、被めっき部材2に高速でめっき皮膜を形成することが容易である。
【0075】
さらに、上記のような添加剤を用いることは、電流密度を高めてもめっき析出速度が低くなってしまうため、無添加の場合に比べてエネルギーの利用効率を低下させることをも意味する。したがって、本実施形態に係るめっき装置100を用いて、添加剤を使用せず、またはその使用量を少なくしてめっきを行うことにより、めっき処理におけるエネルギーの利用効率を高めることができる。
【0076】
(噴出開始工程)
配置工程により不溶性アノード12、22およびめっき液噴出部11、21を、それぞれ、第一の位置および第二の位置に配置したら、循環制御装置53Dが備える第二のバルブ制御装置および第三のバルブ制御装置から制御信号を出力し、これらの制御信号を入力した第二の流量調整装置54Cおよび第三の流量調整装置54Dが、その制御信号に従って、第二の流量調整バルブ8Iおよび第三の流量調整バルブ8Oを動作させることにより、めっき液噴出部21およびめっき液噴出部11からめっき液を噴出させる。
【0077】
従来技術に係るめっき装置では、めっき液の循環機構におけるめっき液の噴出部は、固定めっき液噴出部8Fのように、めっき槽3の特定の位置に固定されているため、めっき槽3における固定のめっき液噴出部から遠位の位置では、めっき液の流動が不十分となる場合があった。このようなめっき液の流動が不十分な領域に被めっき部材2が配置されていると、その領域にある被めっき面では、めっき金属イオンの供給が不十分となり、めっき析出速度が他の被めっき面に比べて低下してしまい、めっき皮膜の厚さにばらつきが生じやすくなっていた。
【0078】
ところが、本実施形態に係るめっき装置100は、めっき液噴出部11、21がめっき槽3内で移動可能なNAU10、20の一部として設けられている。このため、上記のような固定のめっき液噴出部からのめっき液循環のみではめっき金属イオンの供給が不十分となる領域があっても、その領域にめっき液が噴出されるようにめっき液噴出部11、21を配置することにより、被めっき部材2の被めっき面上のめっき皮膜の厚さを均一化することが容易となる。上記のようなめっき金属イオンの供給不足の問題はめっき析出速度が高い場合に特に顕著となることから、本実施形態に係るめっき装置100を用いることにより、高速でめっきを析出させることが容易となる。
【0079】
また、本実施形態に係るめっき装置100のNAU10、20は、被めっき部材2の形状(被めっき面)に沿った形状の不溶性アノード12、22と相対位置が管理されためっき液噴出部11、21からめっき液を噴出することにより、被めっき部材2の被めっき面に対して均一にめっき液を噴出することができる。
【0080】
なお、本例に係る方法では、ポンプ8Cおよび第一の流量調整バルブ8Gは部材配置工程の段階から動作していることにより、第一の循環経路によるめっき液の循環は継続的に行われ、往路配管8Bに取り付けられたストレーナーによりめっき液に含まれる異物などの除去が行われている。
【0081】
本例では、噴出開始工程を配置工程の後に実施しているが、噴出開始工程は配置工程の前または途中に開始されてもよいし、特に噴出開始工程を設けず、第一の復路配管8Eの場合と同様にNAU10、20のめっき液噴出部11、21から継続的にめっき液の噴出が行われていてもよい。あるいは、めっき液噴出部11、21から継続的にめっき液の少量の噴出を行わせておき、噴出開始工程において、めっき液噴出部11、21からの噴出量を増加させてもよい。
【0082】
(印加工程)
印加工程では、電気出力制御装置53Bからの制御信号に基づいてめっき電源50を動作させることにより、被めっき部材2と不溶性アノード12、22との間に電圧を所定の時間印加して被めっき部材2上にめっき皮膜を形成する。この電圧値は特に限定されず、被めっき部材2の形状、めっきの種類、求めるめっき皮膜の厚さなどを考慮して適宜設定すればよい。また、電圧を印加するにあたり、電圧値を制御してもよいし、電流値を制御してもよい。
【0083】
電気出力制御装置53Bは印加工程中に電流または電圧が変動するような制御を行ってもよい。その変動はあらかじめ設定されたプログラムに従って行ってもよいし、ユーザーインターフェース装置からの入力操作によって行ってもよいし、次に説明するフィードバック制御によって行ってもよい。
【0084】
このフィードバック制御では、固定アノード5への固定アノード用配線51A上の測定機器52A、NAU10、20の不溶性アノード12、22への不溶性アノード用配線51B、51C上の測定機器52B、52Cにおいて測定された電流および/または電圧に関する信号を入力として、制御装置53が備える電気出力制御装置53Bは、固定アノード5、不溶性アノード12、22に印加する電流および電圧の少なくとも一つを制御するための信号を発生させ、その信号をめっき電源50に出力する。かかる信号を入力しためっき電源50は、その信号に従って、固定アノード5、不溶性アノード12、22の少なくとも一つに対して印加する電流および/または電圧を変動させる。
【0085】
かかるフィードバック制御の具体例として、不溶性アノード12および/または不溶性アノード22への不溶性アノード用配線51Bおよび/または不溶性アノード用配線51C上の測定機器52Bおよび/または測定機器52Cにおいて測定された電流値がある所定の値から低下してめっき金属の析出速度が低下している場合には、不溶性アノード12および/または不溶性アノード22に印加する電圧を上昇させ、不溶性アノード12および/または不溶性アノード22への不溶性アノード用配線51Bおよび/または不溶性アノード用配線51C上の測定機器52Bおよび/または測定機器52Cにおいて測定される電流値が所定の値に回復したときに、その印加電圧を保持することが挙げられる。
【0086】
このフィードバック制御では、固定アノード5への固定アノード用配線51A上の測定機器52A、不溶性アノード12、22への不溶性アノード用配線51B、51C上の測定機器52B、52Cにおいて測定された電流および/または電圧に関する信号を入力として、制御装置53が備える位置制御装置53Cは、摺動保持装置4D、6C、7Cの少なくとも一つを制御するための信号を発生させ、その信号を該当する摺動保持装置4D、6Cおよび/または7Cに出力する。かかる信号を入力した摺動保持装置4D、6Cおよび/または7Cは、その信号に従って、被めっき部材2、不溶性アノード12および22の少なくとも一つのめっき槽3内の位置を変動させる。
【0087】
かかるフィードバック制御の具体例として、不溶性アノード12、22への不溶性アノード用配線51B、51C上の測定機器52B、52Cにおいて測定された電流値がある所定の値から低下してめっき金属の析出速度が低下している場合には、NAU10、20を被めっき部材2に対してより近位となるように移動させ、不溶性アノード12、22への不溶性アノード用配線51B、51C上の測定機器52B、52Cにおいて測定される電流値が所定の値に回復したときに、その位置を保持することが挙げられる。
【0088】
位置制御装置は、摺動保持装置4D、6Cおよび7Cを連動させて、被めっき部材2をめっき槽3内で揺動させてもよい。固定アノード5に電圧を印加しなければ、被めっき部材2の被めっき面の電流密度分布をほとんど変更することなく被めっき部材2をめっき槽3内で揺動させることができる。
【0089】
さらに、印加工程中に、固定めっき液噴出部8F、めっき液噴出部11、21の少なくとも一つからのめっき液の噴出量を変動させてもよい。その変動はあらかじめ設定されたプログラムに従って行ってもよいし、ユーザーインターフェース装置からの入力操作によって行ってもよいし、次に説明するフィードバック制御を行ってもよい。
【0090】
このフィードバック制御では、固定アノード5への固定アノード用配線51A上の測定機器52A、不溶性アノード12、22への不溶性アノード用配線51B、51C上の測定機器52B、52Cにおいて測定された電流および/または電圧に関する信号を入力として、制御装置53が備える循環制御装置53Dは、第一の流量調整バルブ8G、第二の流量調整バルブ8Iおよび第三の流量調整バルブ8Oの少なくとも一つを制御するための信号を発生させ、その信号を該当する第一の流量調整バルブ8G、第二の流量調整バルブ8Iおよび/または第三の流量調整バルブ8Oに出力する。かかる信号を入力した第一の流量調整バルブ8G、第二の流量調整バルブ8Iおよび/または第三の流量調整バルブ8Oは、その信号に従って、固定めっき液噴出部8F、めっき液噴出部11およびめっき液噴出部21の少なくとも一つからのめっき液の噴出量を変動させる。
【0091】
かかるフィードバック制御の具体例として、不溶性アノード12、22への不溶性アノード用配線51B、51C上の測定機器52B、52Cにおいて測定された電流値がある所定の値から低下してめっき金属の析出速度が低下している場合には、めっき液噴出部11、21からのめっき液の噴出量を増加させ、測定機器52B、52Cにおいて測定された電流値が所定の値に回復したときに、その噴出量を保持することが挙げられる。
上記の複数のフィードバック制御は、独立していてもよいし、互いに連携するように制御が行われてもよい。
【0092】
(噴出停止工程)
噴出停止工程では、めっき液噴出部11、21などからのめっき液の噴出を停止する。具体的には、循環制御装置53Dが備える第二のバルブ制御装置および第三のバルブ制御装置から制御信号を出力し、これらの制御信号を入力した第二の流量調整装置54Cおよび第三の流量調整装置54Dが、その制御信号に従って、第二の流量調整バルブ8Iおよび第三の流量調整バルブ8Oを動作させることにより、めっき液噴出部11、21からのめっき液の噴出を停止させる。
【0093】
噴出停止工程の開始時期は、印加工程の終了後であれば、特に限定されない。次に説明する退避工程を実施した結果、依然としてめっき液噴出がめっき槽3内のめっき液中に向けて行われうる状態である場合には、退避工程の完了後に噴出停止工程を実施してもよく、噴出停止工程を実施せず、めっき液噴出部11、21などからのめっき液の噴出を、固定めっき液噴出部8Fからのめっき液噴出と同様に継続的に行ってもよい。
【0094】
(退避工程)
退避工程では、NAU10、20の不溶性アノード12、22およびめっき液噴出部11、21などめっき槽3の内部に配置される可動の構成要素を、めっき皮膜が形成された被めっき部材からより遠位となるように移動させる。退避工程の実施時期は、印加工程の終了後であれば、特に限定されない。上記の噴出停止工程との開始時期の関係は任意である。また、前述の配置工程によって所定の位置に配置された不溶性アノード12、22などの可動の構成要素が、後述する部材回収工程において、めっき液から取り出される被めっき部材2の移動と干渉しなければ、退避工程は部材回収工程の後に行ってもよい。
【0095】
本例に係る退避工程では、アノード退避工程、噴出部退避工程およびNAU退避工程の3つの工程が行われる。これらの3工程の開始時期の関係は特に限定されず、同時に開始してもよいし、順次開始してもよい。
【0096】
アノード退避工程では、位置制御装置53Cが備えるアノード位置制御装置から出力される制御信号に基づきNAU10、20のアノード変位機構6、7の摺動保持装置6C、7Cを動作させることにより、印加工程が終了したことによりめっき槽3内の所定の位置(例えば第一の位置)に保持された状態にある不溶性アノード12、22を、印加工程が終了してその表面にめっき皮膜が形成された状態にある被めっき部材(めっき部材)2から離れるように、すなわち、より遠位となるように移動させ、あらかじめ設定された第三、第四の位置にて保持する。この第三、第四の位置は、アノード配置工程の際に不溶性アノード12、22が当初配置されていた位置であるアノード初期位置であってもよい。
【0097】
印加工程が終了したことによりめっき槽3内の所定の位置が、被めっき部材2をめっき液から取り出すように移動させたときに被めっき部材2がNAU10、20の不溶性アノード12、22と干渉する位置である場合には、NAU10、20を第二の位置に移動させるアノード退避工程を行ってから後述する部材回収工程が行われる。
【0098】
(部材回収工程)
部材回収工程では、位置制御装置53Cが備える部材位置制御装置から出力される制御信号に基づき部材変位機構4の摺動保持装置4Dを動作させることにより、めっき槽3内のめっき液中に少なくとも一部が浸漬し、浸漬部分の表面にめっき皮膜が形成された状態にある被めっき部材2をめっき槽3から取り出し、めっき部材として得る。
【0099】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属するすべての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0100】
実施形態において説明しためっき装置を用いて、下記の条件により被めっき部材にめっき処理を施した。
めっき電流:80ASD(A/dm、1平方デシメートル当たりのアンペア)
被めっき部材
形状:被めっき部材2(図1〜4参照)と略同様の形状
被めっき面の面積:4dm
めっき時間:1分
【0101】
〔比較例〕
従来のめっき装置を用いて、上記の本発明のめっき装置と同じ条件で同じ被めっき部材にめっき処理を施した。従来のめっき装置として、アノード変位機構を有する箱型ノズル−アノードユニットを備えためっき装置を用いた。箱型ノズル−アノードユニットのアノードの形状は、箱型であって、本発明のアノードのように、被めっき部材の被めっき面に沿って曲がった部分を備えたものではない。
【0102】
上記のめっき処理により得られた各めっき部材について、平均膜厚を測定した結果を以下の表に示す。
なお、平均膜厚は、被めっき部材における類型的に異なる8つの部分の膜厚を測定した結果を平均したものである。ここで、類型的に異なる部分とは、被めっき部材の表面の異なる被めっき面など、めっき条件に差が生じやすいことから、膜厚が不均一になりやすい部分をいう。
【表1】
【0103】
上記の表に示すように、本実施例のめっき装置を用いることにより、従来のめっき装置を用いた場合と比較して、得られるめっき膜の膜厚を均一にすることができ、また、めっき処理における電流利用効率(理論析出量と実際の析出量の比)を向上させることができた。
【符号の説明】
【0104】
100…めっき装置
1…NAU(ノズルアノードユニット)
2…被めっき部材
2A〜2H 被めっき面
3…めっき槽
3A…オーバフロー用仕切板
4…部材変位機構
4A…固定装置
4B…垂直方向直動摺動軸
4C…水平方向直動摺動軸
4D…摺動保持装置
5…固定アノード
6…アノード変位機構
6A…垂直方向直動摺動軸
6B…水平方向直動摺動軸
6C…摺動保持装置
7…アノード変位機構
7A…垂直方向直動摺動軸
7B…水平方向直動摺動軸
7C…摺動保持装置
8…循環機構
8A…めっき液取り込み部
8B…往路配管
8C…ポンプ
8D…復路配管
8E…第一の復路配管
8F…固定めっき液噴出部
8G…第一の流量調整バルブ
8H…第二の復路配管
8I…第二の流量調整バルブ
8J…めっき液噴出部
8K…噴出孔
8L…第三の復路配管
8M…めっき液噴出部
8N…噴出孔
8O…第三の流量調整バルブ

10、20 ノズル−アノードユニット(NAU)
11a〜11d、21f、21g めっき液噴出部
12 不溶性アノード
12A〜12C 不溶性アノード曲部
12D 不溶性アノード突出部
13 アノード保持部
13A〜13C 曲部
13D 突出部
22 不溶性アノード
22D、22E 不溶性アノード突出部
22F〜22H 不溶性アノード曲部
23 アノード保持部
23D、23E 突出部
23F〜23H 曲部

50…めっき電源
50A…陽極端子
50B…陰極端子
51A…固定アノード用配線
51B…不溶性アノード用配線
51C…不溶性アノード用配線
51D…被めっき部材用配線
52A…固定アノードへの配線上の測定機器
52B…NAUのアノードへの配線上の測定機器
52C…NAUのアノードへの配線上の測定機器
53…制御装置
53A…信号入力部
53B…電気出力制御装置
53C…位置制御装置
53D…循環制御装置
54A…ポンプ駆動装置
54B…第一の流量調整装置
54C…第二の流量調整装置
54D…第三の流量調整装置
【要約】      (修正有)
【課題】アノード変位機構を備えためっき装置において使用される、電気めっきの際のアノードの位置制御が容易なノズル−アノードユニットを提供する。
【解決手段】めっき液噴出部11a〜11dと、めっき液噴出部11a〜11dに対する相対位置が管理されている不溶性アノード12とを備えたNAU10は、被めっき部材2の被めっき面に沿って不溶性アノード曲部12A〜12Cおよび不溶性アノード突出部12Dを備えており、めっき液噴出部21d〜21eと、めっき液噴出部21d〜21eに対する相対位置が管理されている不溶性アノード22とを備えたNAU20は、被めっき部材2の被めっき面に沿って、不溶性アノード突出部22D〜22Eおよび不溶性アノード曲部22F〜22Hを備えている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7