(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
粉末化粧料を収容する容器本体と、前記容器本体内に収容された前記粉末化粧料を排出するための排出路と、前記排出路を覆うように設けられ、前記粉末化粧料の通過を可能とする塗布部材と、を具備する、前記排出路、前記塗布部材を介して該塗布部材の表面から被塗布部に前記粉末化粧料を塗布するための粉末化粧料容器であって、
前記塗布部材は、
弾性のある多孔質材からなり、前記排出路を介して前記粉末化粧料を排出するための流出孔が設けられている弾性体と、
前記弾性体の前記流出孔以外の該弾性体を覆うように設けられ、繊維間の距離が150μm以下である不織布と、
前記弾性体及び前記不織布を覆う前記粉末化粧料が通過可能なアプリケータと、を備え、
前記不織布の少なくとも一部は、前記流出孔の側方に位置し、
前記排出路と前記流出孔を介して前記アプリケータから被塗布部へ前記粉末化粧料を塗布可能とすると共に前記不織布は前記容器本体内の空気を通過可能とし該粉末化粧料の通過を抑制することを可能とする粉末化粧料容器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明による粉末化粧料容器の好適な実施形態について
図1〜
図13を参照しながら説明する。 なお、各図において同一の要素には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る粉末化粧料容器を示す斜視図、
図2は、
図1の状態からキャップを取り外した状態を示す斜視図、
図3は、
図1の状態からキャップとストッパーを取り外した状態を示す斜視図、
図4は、
図3の状態から移動部を第2の停止位置に移動させた状態を示す斜視図、
図5は、
図2に示す未使用時の粉末化粧料容器を示す縦断面図、
図6は、
図5中のX部拡大図、
図7は、
図4に示す使用時の粉末化粧料容器を示す縦断面図、
図8は、
図7中のY部拡大図、
図9〜
図11は、排出筒を示す各図、
図12は、ストッパーを示す斜視図、
図13は、アプリケータの平面図、
図14は、不織布の平面図、
図15は、不織布を用いていない場合の粉末化粧料の塗布例、
図16は、不織布を用いた場合の粉末化粧料の塗布例であり、本実施形態の粉末化粧料容器は、粉末化粧料を使用者により例えば顔等の皮膚に施すときに用いられるものである。
【0015】
図1〜
図5に示すように、粉末化粧料容器100は、
図5に示す粉末化粧料Aを収容する容器本体1と、この容器本体1の上部に配置されその筒孔が容器本体1内と連通する中筒部2と、この中筒部2の筒孔内にその筒部が挿入され軸線方向(上下方向)に沿って一定区間移動可能とされた移動部3と、中筒部2の外周面に容器本体1と移動部3とに挟持されるようにして取り外し可能に装着され、移動部3の軸線方向下方への移動を防止するストッパー7と、化粧料Aを外部へ流出させることが可能となるように移動部3に装着される塗布部材10と、移動部3に着脱可能に装着されるキャップ11と、を具備して成る。
【0016】
なお、本実施形態の粉末化粧料Aは9〜150μmの粒径であり、その多くは粒径が9μmとなっている。
【0017】
容器本体1は、
図5に示すように、有底円筒状に構成され内部に粉末化粧料Aを収容する収容部1eを有するものであり、その上部に、下部より薄肉で上方に円筒状に突出する突出部1aを備える。この突出部1aの内周面には、周方向(水平方向)に沿って凹凸が密に並設されるローレット1bが、容器本体1と中筒部2とを周方向回転不能に結合するためのものとして設けられている。また、突出部1aの外周面には、円環状の凸部1cが、容器本体1に対して中筒部2を軸線方向移動不能に結合するためのものとして設けられている。なお、容器本体1は、内部の粉末化粧料Aが見えるように、一部又は全部が透明であっても良い。
【0018】
中筒部2は、上方向に延びる小径の円筒部2aと、下方向に延びる大径の内側円筒部2b及び外側円筒部2cとを、環状の平板部2nにより繋いで成る。内側円筒部2bの外周面には、周方向に沿って、容器本体1の上記ローレット1bと噛み合う突条2dが複数設けられていると共に、外側円筒部2cの内周面には、容器本体1の上記円環状の凸部1cを嵌合するための円環状の凹部2eが設けられている。すなわち、中筒部2は容器本体1に対して周方向回転不能、且つ、軸線方向移動不能に結合されている。また、外側円筒部2cの外周面には、周方向に沿って、軸線方向に延びる凸形状の中筒部側回転止め2f(
図3参照)が、中筒部2と移動部3(外側移動体4)とを周方向回転不能に結合するものとして複数設けられている。
【0019】
また、中筒部2の円筒部2aは、
図5及び
図6に示すように、その内周面が、容器本体1の内部に連通する連通孔2hとされており、この連通孔2hは、移動部3の後述する排出筒6が挿入可能な挿入孔となっている。そして、円筒部2aの外周面には、その上部から下部に向かう中間位置辺りに円環状の凸部2kが形成されることで、この凸部2kを挟んだ上側及び下側の位置に軸線方向に延びる円環状の凹部2m,2gが形成され、上側の凹部2mより上側は、凸部2kと外径がほぼ同径で内径が連通孔2hより大径の段部2jとされている。この段部2jは、移動部3が
図3、
図5及び
図6に示す第1の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものであると共に、凸部2kは、移動部3が
図4、
図7及び
図8に示す第2の位置に位置しているときに当該移動部3(内側移動体5)の軸線方向上方への移動を制限する(離脱を阻止する)ものである。さらに、円筒部2aの内周面の下部には、
図5及び
図6に示すように、移動部3の後述する排出筒6の外周面に設けられているシール部6dが当接する受け部2iが設けられている。この連通孔2hの下部の受け部2iの内径は、これより上側の連通孔2h部分の内径より小径とされている。
【0020】
移動部3は、
図5に示すように、外側に位置する外側移動体4と、この外側移動体4の内側に位置する内側移動体5と、さらに、この内側移動体5の内側に位置する排出筒6(排出路)と、で構成されており、これらは一体で軸線方向に移動可能となっている。
【0021】
外側移動体4は、上部に小径の上部円筒部4aと、下部に大径の下部円筒部4bを備えている。この上部円筒部4aには、外周面にキャップ11を装着するための雄螺子4cが設けられており、また、内周面の下側に内側移動体5を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部4dが設けられている。そして、下部円筒部4bの内周面には、周方向に沿って凹凸が密に並設され中筒部2の中筒部側回転止め2fと噛み合うローレットである移動部側回転止め4eが設けられており、これにより、外側移動体4(移動部3)と中筒部2は周方向回転不能に結合されることになる。
【0022】
なお、本実施形態では、移動部側回転止め4eをローレットとし、中筒部側回転止め2fをこの移動部側回転止め4eと噛み合うことが可能な凸形状としているが、これら移動部側回転止め4e及び中筒部側回転止め2fの形状は、移動部3が周方向回転不能となるように中筒部2と結合可能な形状であれば、本実施形態以外の形状でも良い。
【0023】
内側移動体5は、凹形状のような上部5a及び凹形状を逆さまにしたような下部5bが大径に構成されると共に、これらの上部5aと下部5bとをこれらの内周側で連結する円筒形状の中間部5cが小径に構成されている。上部5aは、塗布部材10の後述する弾性体8の底部の一部又は全部を径方向外側から挟み込むことが可能な形状を有しており、その外周面には鍔部5fが設けられ、内周面には排出筒6を軸線方向移動不能に嵌合するための円環状の突部5gが設けられている。また、下部5bは、外周面に外側移動体4の突部4dと嵌合可能な嵌合部5dが設けられており、この嵌合により内側移動体5と外側移動体4とが軸線方向移動不能となる。そして、中間部5cは、内周面に凸部5hが設けられており、この凸部5hが中筒部2の段部2jに下側から当接することにより(
図6参照)内側移動体5(移動部3)の第1の停止位置から上方への移動が止められる。また、
図7及び
図8に示すように、凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入し凸部2kに下側から当接することにより内側移動体5(移動部3)の第2の停止位置から上方への移動が止められる。
【0024】
排出筒6は、
図5及び
図9〜
図11に示すように、円筒形状をしており、その外径は中筒部2の連通孔2hに挿入可能な径とされ、連通孔2hに挿入される(
図5参照)。さらに、排出筒6は、一方の端(上端)に開口している開口部(出口)6aが設けられると共に他方の端(下端)に閉口している底面部(閉口部)6bが設けられており、さらに、その排出筒6の下部側面には、周方向に沿って、粉末化粧料Aが通過可能なスリット6cが並設されている(ここでは2個)。このスリット6cは、周方向に長尺な側面視横長の略長方形状とされている。また、
図5に示すように、排出筒6の外周面の上部には、内側移動体5の突部5gと軸線方向移動不能に嵌合する嵌合部6eが設けられており、外周面の下部には、中筒部2の受け部2iと当接するシール部6dが設けられている。
図5及び
図6に示すように、この排出筒6のシール部6dの外径と中筒部2の受け部2iの内径とは略同径とされ、受け部2iとシール部6dとが圧入により嵌合されることで、その間を粉末化粧料Aが通過不可能となっている。
【0025】
また、排出筒6は、
図9〜
図11に示すように、スリット6cの上縁の周方向両側に、上方に延びて内外を連通する側面視縦長のスリット6fをそれぞれ備え、側面視横長の略長方形状を成すスリット6cと側面視縦長のスリット6f,6fとにより囲まれる断面円弧状の周壁部分6gを有している。周壁部分6gは、周方向両側のスリット6f,6fにより、上端支持で径方向に弾性を有する構成とされている。そして、この周壁部分6gの下端には、周方向に沿って径方向外方に突出する爪部6hが円弧状に設けられている。爪部6hは、
図5及び
図6に示すように、中筒部2の連通孔2hの軸線方向中程で、当該連通孔2hの内周面に近接するように配置されている。
【0026】
移動部3は、
図5に示すように、突部4dが嵌合部5dに嵌合されることで、外側移動体4と内側移動体5とが軸線方向移動不能に嵌合され、突部5gが嵌合部6eに嵌合されることで、内側移動体5と排出筒6とが軸線方向移動不能に嵌合される。このようにして、外側移動体4と内側移動体5と排出筒6が軸線方向に同一に移動可能になるように構成されている。
【0027】
このように、移動部3は、その排出筒6が連通孔2hに挿入され、排出筒6の底面部6bが連通孔2hの底面(端面)より下方に突出することなく略面一となるように受け部2iとシール部6dとが嵌合し、凸部5hが段部2jと当接する状態にある(若干の隙間があっても良い)ことを、移動部3が第1の停止位置に位置しているとする。
【0028】
さらに、
図7に示すように、移動部3が軸線方向下方に移動し、凸部5hが凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると、排出筒6が連通孔2hの底面から一定長下方に突出し、スリット6cが連通孔2hから露出することになる。このように排出筒6が一定長突出状態にあることを、移動部3が第2の停止位置に位置しているとする。
【0029】
ストッパー7は、
図1〜
図3に示すように、中筒部2の外側円筒部2cの外周を囲むと共に、外側移動体4と容器本体1とで軸線方向に挟み込むようにして粉末化粧料容器100に装着されている。このストッパー7は、粉末化粧料容器100に装着されているときは円環形状をしており、外周面に把手7aが設けられると共に、所定の力が加わると分離する接合部7b(
図12参照)が好ましくは把手7aの対向位置に設けられている。このストッパー7の接
合部7bは、例えばストッパー7が粉末化粧料容器100に装着されているときに使用者が把手7aを把持して粉末化粧料容器100の軸線に対して水平方向に引くことで当該接合部7bが分離し、粉末化粧料容器100からの取り外しが可能とされている。
【0030】
図12は、接合部7bが分離したストッパー7の図であるが、この図においては接合部7bはストッパー7が円環状となっているときに把手7aの対向位置に設けられている。なお、接合部7bの設置位置は特に限定されるものではなく、使用者が把手7aを持って水平方向に力を入れたときに接合部7bが分離可能であれば、円環状のストッパー7のどの位置に接合部7bが設けられていてもよい。
【0031】
そして、このストッパー7が、
図1、
図2及び
図5に示すように、外側移動体4と容器本体1との軸線方向の間に挟みこまれて粉末化粧料容器100に装着されていることで、移動部3の軸線方向下方への移動を不能としており(容器本体1側への移動を不能としており)、前述した凸部5hと段部2jとの軸線方向の係合による移動部3の軸線方向上方への移動不能に伴って、移動部3を第1の停止位置に留めて置くことが可能となる。
【0032】
図2〜
図5に示すように、塗布部材10は、弾性体8、アプリケータ9、不織布12から構成されている。弾性体8は、その外面が外側へ膨らみ半球形状を成し、容器内の空気及び粉末化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の弾性のある多孔質材で構成される。この弾性体8の略中央には、排出筒6の開口部6aとアプリケータ9とを連通する孔である流出孔8aが設けられており、粉末化粧料Aを外部へ流出させるための主経路となっている。
【0033】
そして、弾性体8は、流出孔8aが排出筒6の開口部6aと連通する位置にくるように、当該弾性体8の底部の一部又は全部が内側移動体5の上部5aの径方向内側に挟み込まれるようにして内側移動体5の上に載置される。このように載置された弾性体8においては、排出筒6の開口部6aを通ってきた粉末化粧料Aは主に流出孔8aを通過するが、弾性体8は多孔質材で構成されているので流出孔8a以外の部分も通過可能となっている。
【0034】
アプリケータ9は、弾性体8からの粉末化粧料Aを皮膚に塗布感良く塗布するためのものであり、弾性体8と同様に、空気と粉末化粧料Aが通り抜け可能な例えば発泡ウレタン、NBR等の弾性のある多孔質材で構成される。このアプリケータ9は、
図5、
図7及び
図13に示すように、所定の厚みを有する円板状に構成され、
図5及び
図7に示すように、外側へ膨らみ半球形状を成す弾性体8のその外側の面に被せられ、その下部が、内側移動体5の鍔部5fの外周面と外側移動体4の上部円筒部4aの内周面との間に挟持されることで、上記弾性体8を伴って移動部3に装着され、これにより、アプリケータ9の外側の面が外側へ膨らみ半球形状を成す構成となっている。
【0035】
このアプリケータ9には表裏面があり、
図13に示すように、表面には、塗布時の感触(肌触り)を良くするための植毛9aが設けられている。そして、アプリケータ9は、植毛9aを有する表面が外側の面となるように移動部3に装着されている。
【0036】
また、アプリケータ9は、
図13に示すように、その外周縁の一部に、当該アプリケータ9の表裏面を判別するための切欠部9bを備えている。そして、平面視において切欠部9bが上に位置するようにアプリケータ9を置いたときに、当該切欠部9が左側に欠けていれば、手前側が植毛9aを有する表面と判別できる。
【0037】
次に、本実施形態の特徴をなす不織布12について
図5、
図7及び
図14を参照しつつ説明する。不織布12は、空気の通過は可能とするが粉末化粧料Aの通過を抑制するものであり、
図5及び
図7に示すように弾性体8とアプリケータ9の間に挟まれる形で設けられている。このとき不織布12の下部が、アプリケータ9と同様に、内側移動体5の鍔部5fの外周面と外側移動体4の上部円筒部4aの内周面との間に挟持されることで、弾性体8及びアプリケータ9を伴って移動部3に装着される。
【0038】
この不織布12は、繊維間の距離が150μm以下で構成される不織布を用い、
図14に示すように、平面視で円形形状をしており、その円形形状の略中央には孔12aが設けられ、この孔12aの直径は、弾性体8の流出孔8aの直径と同じか、又は、多少小径となるようにされている。そして、弾性体8とアプリケータ9の間に挟み込まれる際は、
図5及び
図7に示すように、不織布12の孔12aが流出孔8aの上方に来るように位置させて、弾性体8の流出孔8a以外の部分を覆うようにして、弾性体8、アプリケータ9と共に移動部3に装着されるようにする。
【0039】
なお、不織布12は、好適には、繊維間の距離が55μm以下で構成されるとよく、更に、繊維の厚さ(不織布12の正面視での厚さ)が0.39mm以上であるとよい。
【0040】
そして、上記不織布12を備えることで、弾性体8の流出孔8a以外の部分において空気の通過は可能とするが粉末化粧料Aの通過を抑制することができる。
【0041】
なお、繊維間の距離が最大で150μmである本実施形態の不織布12とその多くの粒径が9μmである粉末化粧料Aを備える本願発明の粉末化粧料容器100において、上記不織布12を備えることで粉末化粧料Aの通過を抑制できる理由としては、粉末化粧料Aが容器本体1の収容部1e内に収容されている際に粒同士が互いにくっつき合い、不織布12の繊維の間を通過不可能な直径を持つ粉末化粧料Aの塊が多く形成される為、または、不織布12自体が持つ静電気によって粉末化粧料Aの粒の多くが不織布12の繊維に付着し、それにより繊維の間を粉末化粧料Aが塞ぐ為、等により粉末化粧料Aの不織布12の通過を抑制することが可能となる。
【0042】
このような構成の塗布部材10は、移動部3に装着されていることから、移動部3が軸線方向に移動するときも同一に移動するものとなる。
【0043】
キャップ11は、
図1に示すように、上部が閉じられた円筒形状の蓋であり、その内周面に外側移動体4の雄螺子4cと螺合する雌螺子(不図示)を有し、この雌螺子と雄螺子4cとが螺合することにより移動部3に装着される。
【0044】
ここまで説明してきた構成の粉末化粧料容器100にあっては、先ず、使用開始前は、
図1及び
図2に示すようにストッパー7が装着され、移動部3は、ストッパー7による軸線方向下方への移動不能、及び、凸部5hと段部2jによる軸線方向上方への移動不能によって、第1の停止位置に留め置かれている。
【0045】
この第1の停止位置では、
図6に示すように、移動部3の排出筒6のシール部6dと中筒部2の円筒部2aの受け部2iとが嵌合し、その間を粉末化粧料Aが通ることは不可となっている。また、排出筒6の閉口している底面部6bが連通孔2hの底面から下方に突出していないことから、容器本体1に収容されている粉末化粧料Aが連通孔2h又は排出筒6内を通過することは不可能となっている。すなわち、ストッパー7が粉末化粧料容器100に装着されている状態では、移動部3が第1の停止位置に留め置かれ、底面部6bが連通孔2hを閉鎖する弁の役割を果たし、シール部6dと受け部2iとが嵌合することで、容器本体1に収容されている粉末化粧料Aを密封している。これにより、粉末化粧料容器100の運搬、保存時にあって、不用意に粉末化粧料Aが容器本体1から外部へ排出されることを防止することができる。
【0046】
次いで、使用開始時には、先ずキャップ11が粉末化粧料容器100に装着されている状態でストッパー7を取り除き、使用者は移動部3を所定の大きさ以上の力で下方へ押し込む。これにより、移動部3は、
図7及び
図8に示すように、内側移動体5の凸部5hが中筒部2の凸部2kを乗り越え凹部2gに進入すると共に容器本体1に突き当たる第2の停止位置に移動し、容器本体1に突き当たることによる軸線方向下方(容器本体1側)への移動不能、及び、凸部5hと凸部2kによる軸線方向上方(容器本体1側とは反対側)への移動不能によって、第2の停止位置に留め置かれる。
【0047】
この移動部3の第2の停止位置への移動により、連通孔2hの底面から排出筒6が一定長下方に突出すると共に、スリット6cが連通孔2hから露出することになる。これにより、粉末化粧料Aがスリット6c、排出筒6内、開口部6aを通過可能な状態となる。
【0048】
そして、排出筒6の爪部6hが中筒部2の他の孔径より小径の受け部2iを下方へ通過する際には、当該爪部6hが径方向内側に撓み、移動部3が第2の停止位置に位置すると、爪部6hは受け部2iを通り越して元の位置に弾性復帰し中筒部2の平板部2nの底面に掛止されて軸線方向に係合し、これによっても、移動部3は容器本体1側とは反対側(軸線方向上側)への移動が不能とされる。なお、爪部6hと平板部2nの底面との係合のみにより、移動部3を容器本体1側とは反対側へ移動不能とするようにしても良く、また、内側移動体5の凸部5hと中筒部2の凸部2kとの係合の補助として機能させるようにしても良く、さらには、爪部6hによる係合を主とし、内側移動体5の凸部5hと中筒部2の凸部2kとの係合を補助として機能させるようにしても良い。
【0049】
このように、移動部3を第2の停止位置に移動させることで、底面部6bによる連通孔2hの閉鎖が開放され(弁が開とされ)、容器本体1に密封されていた粉末化粧料Aが、排出路であるスリット6c、排出筒6内、開口部6aを通って粉末化粧料容器100外へ排出されることが可能となる。そして、移動部3が第2の停止位置へ移動した後、キャップ11を粉末化粧料容器100より外し使用準備が整う。
【0050】
また、
図3に示すように、ストッパー7が粉末化粧料容器100より取り除かれた後であって移動部3が第1の停止位置にある場合は、中筒部2の一部が見えているが、
図4に示すように、移動部3が第2の停止位置に移動した後は、中筒部2は移動部3に隠れてしまう。そこで、使用者は、移動部3が軸線方向下方へ移動した状態を粉末化粧料容器100の外観から判断することによって、粉末化粧料容器100が粉末化粧料Aを排出可能な状態にあること(排出筒6が連通孔2hの底面より一定長下方に突出しスリット6cが露出していること)を確認することができる。さらに、容器本体1の一部又は全部が透明となっている場合は、排出筒6が連通孔2hの底面より一定長突出しているか否かを、直接目視で確認することもできる。
【0051】
なお、移動部3を第2の停止位置へ移動させたときに、連通孔2hの底面から突出する排出筒6の長さは、スリット6cが露出し、使用者の使用に際して適量の粉末化粧料Aが排出可能である長さであれば良い。また、キャップ11を外す際、外側移動体4(移動部3)と中筒部2とが周方向回転不能に結合されていると共に、中筒部2と容器本体1とが周方向回転不能に結合されているため、使用者が容器本体1を持ってキャップ11を螺合解除する方向へ回転させても、移動部3及び中筒部2がキャップ11と同期回転することはなく、容易に粉末化粧料容器100からキャップ11を取り外すことができる。
【0052】
そして、ここまで説明してきた粉末化粧料容器100の使用にあたっては、塗布部材10を顔等の皮膚に軽く叩き付け押し当てるようにすると、容器本体1内の粉末化粧料Aは、スリット6cから排出筒6内に進入し、この排出筒6内を通って開口部6aから塗布部材10へ向かい、塗布部材10を構成する多孔質材の弾性体8及びアプリケータ9を通して流出し、塗布に供される。
【0053】
このとき使用者は、通常、塗布部材10の略中央から粉末化粧料Aが流出してくるものと考えるが、弾性体8内を通過する粉末化粧料Aは、主経路である流出孔8a以外の部分からもアプリケータ9の方向へ向かうことになるので、流出孔8a以外の部分からも(塗布部材10の略中央以外の部分からも)流出しようとする。仮に本発明の粉末化粧料容器100のように不織布12を備えていない粉末化粧料容器を使用した場合、皮膚等の被塗布体に塗布部材10を押しつけた際、弾性体8の流出孔8a以外の部分から空気と一緒に粉末化粧料Aが流出して(流出孔8aからは粉末化粧料Aが流出せず)、
図15に示すように、ドーナツ型に被塗布体Bに粉末化粧料Aが付着してしまい、使用者が意図した場所に塗布出来ないことがあった。
【0054】
しかし、本願発明の粉末化粧料容器100のような上記不織布12を備えることで、この不織布12が空気は通過させるが粉末化粧料Aの通過を抑制することを可能とし、
図16に示すように弾性体8の流出孔8aより主に粉末化粧料Aを流出させることが出来るので(主に、塗布部材10の略中央より粉末化粧料Aを流出させることが出来るので)、使用者の意図した被塗布体の場所へ粉末化粧料Aを塗布することが可能となる。
【0055】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、弾性体8又はアプリケータ9に粉末化粧料Aの塗布時に空気の通過を妨げない箇所に接着剤を塗布して不織布12を貼り付けて塗布部材10を形成するようにしてもよい。