(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記演出部材の本体部の一方の面側には前記変位部が設けられ、他方の面側には前記被押圧部が前記押圧部に押圧される際の演出とは異なる別の演出時に遊技者に視認可能となる装飾部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
前記被押圧部が前記押圧部に押圧された状態にあるとき、前記演出部材の本体部の一方の面の少なくとも一部は、前記別演出部材の少なくとも一部に覆われるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技盤92の平面方向に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技盤92の平面方向に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、上下方向とは
図1における上下方向をいうものとする。
【0022】
まず、
図1、
図2等を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は、額縁形状の機枠90を有し、この機枠90には前面枠91が回動自在に支持されている。前面枠91には、前側から遊技盤92を視認可能とする透明な板が設けられている。
【0023】
遊技盤92は、ほぼ正方形の合板により成形されており、前面枠91に着脱可能に取り付けられている。この遊技盤92には、発射装置94(ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域922に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール923が略円弧形状となるように設けられている。
【0024】
遊技領域922には、表示装置93、第一始動入賞口924、第二始動入賞口925、第一大入賞口926、第二大入賞口927、アウト口928などが設けられている。表示装置93は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置93の表示画面(表示部)において特別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置93の表示画面は、遊技盤92に形成された開口921を通じて視認可能である。
【0025】
また、遊技領域922には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域922を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0026】
遊技盤92より後方には、遊技の興趣を向上させるための演出動作を行う第一演出部材10、第二演出部材20、および第三演出部材30が設けられている。また、これら演出部材を動作させるための駆動装置(駆動源や動力伝達機構)なども設けられている。これら演出部材の構成の詳細については後述する。
【0027】
このような遊技機1では、発射装置94(ハンドル)を操作することにより遊技領域12に向けて遊技球を発射する。遊技領域12を流下する遊技球が、始動入賞口941、942や大入賞口926、927等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。
【0028】
以下、遊技機1が備える演出部材およびこれらを動作させる駆動装置の構成について図面を参照して説明する。本実施形態にかかる遊技機1は、所定の範囲を移動可能である第一演出部材10、第二演出部材20、および第三演出部材30を備える。これらの演出部材および駆動装置は、遊技盤92の後方に設けられたセンターベース95(
図3および
図4参照)に取り付けられている。また、これらの演出部材は、後述するように少なくとも前後方向で表示装置93の表示画面に重なる位置に位置することが可能であり、当該位置に位置すると遊技盤92に形成された開口921を通じて遊技者に視認可能となる。本実施形態では、これら三つの演出部材が遊技者に視認可能な位置でひとまとまりとなることにより、「馬」の顔(頭)から首にかけての一体的な形態(
図7参照)が形成される(当該形態が、本発明における「一体的な演出形態」に相当する)。
【0029】
図4、
図7、
図9等に示す第一演出部材10は、「馬」の顔上部を構成する部分である。第一演出部材10の前面が、当該「馬」の顔上部の形態が形成された装飾部分となっている。第一演出部材10は、断面で見ると略アーチ状の板状体であり、最も前側に位置する略平面方向に沿う部分(「馬」の顔面を構成する部分)より後方には、所定の大きさの空間である第三演出部材収容空間13が存在する。当該第三演出部材収容空間13は、第一演出部材10が原位置(後述)に位置するときに下側が開放した空間となる。
【0030】
この第一演出部材10は、センターベース95に取り付けられる第一演出部材支持軸11(
図4参照)に回動自在に支持されており、モータである第一駆動源41の動力によって原位置と演出位置との間を移動可能である。後述するように、第一駆動源41は第一演出部材10および第三演出部材30を動作させる共通の駆動源である。第一駆動源41の動力が図示されない動力伝達機構によって第一演出部材10に出力されたときには、第一演出部材10は第一演出部材支持軸11を中心として回動する。具体的には、センターベース95の上壁に沿って位置する原位置(
図4参照)と、表示装置93の表示画面に前後方向で重なる演出位置(
図7参照)との間を移動する。原位置に位置する第一演出部材10は、遊技盤92における開口921が形成された位置よりも上側の部分に覆われ、遊技者に視認困難な状態となる。演出位置に位置する第一演出部材10は、遊技盤92における開口921を通じて遊技者に視認可能な状態となる。
【0031】
図4、
図6、
図7、
図10〜12等に示す第二演出部材20は、「馬」の顔下部(下顎)および首を構成する部分であり、顔下部を構成する第一装飾体21、首の下側を構成する第二装飾体22、および首の上側を構成する第三装飾体23を有する。各装飾体における前面(第二演出部材20の前面)が、当該「馬」の顔下部および首の形態が形成された装飾部分となっている。
【0032】
第二演出部材20の第一装飾体21の上端は、センターベース95に取り付けられる第一装飾体支持軸24(
図11参照)に回動自在に支持されている。第二装飾体22の下端に設けられた係合部221は、センターベース95に取り付けられるスライドレール26(
図3参照)にスライド自在に係合している。スライドレール26は上下方向に沿って設けられているため、当該第二装飾体22の係合部221は上下方向に沿ってスライドする。この第二装飾体22の上端は、第一装飾体21の下端側の所定箇所に対して連結軸25(
図11参照)を介して回動自在に接続されている。モータである第二駆動源42の動力が図示されない動力伝達機構によって第二演出部材20の第一装飾体21に出力されたときには、第一装飾体21は第一装飾体支持軸24を中心に回動する。第一装飾体21には第二装飾体22の上端が回動自在に接続されているから、第一装飾体21が回動するとこれに伴って第二装飾体22が移動する。具体的には、第二演出部材20が原位置から演出位置に向かって移動するときには、第二装飾体22の係合部221が上方向にスライドしながら上端が第一装飾体21に引っ張られて表示画面の中央に向かう方向に移動する。
【0033】
また、第三装飾体23は、第一装飾体21における第二装飾体22が接続された箇所よりも上端側箇所で第一装飾体21に対して回動自在に接続されている。また、上記連結軸25に固定された駆動歯車251に噛み合う従動歯車252を有する。第二演出部材20が原位置から演出位置に向かって移動するときには、第一装飾体21が回動することにより駆動歯車251が固定された連結軸25の位置が変化する。これに伴い、駆動歯車251に噛み合う従動歯車252が回転し、第三装飾体23が回動する。
【0034】
第二演出部材20全体で見ると、原位置では第一装飾体21、第二装飾体22、および第三装飾体23は、センターベース95の右壁に沿って位置し(
図4参照)、遊技盤92における開口921が形成された位置よりも右側の部分に覆われている。第二駆動源42の動力が第二演出部材20の第一装飾体21に出力されると、第一装飾体21の下端が表示画面の中央に向かって移動するとともに、それに引っ張られて第二装飾体22の上端も表示画面の中央に向かって移動する。また、第一装飾体21に接続された第三装飾体23も表示画面の中央に向かって移動する。この動作とともに、従動歯車252が回転するため、第三装飾体23は回動する。つまり、第三装飾体23はその姿勢を変化させながら表示領域の中央に向かって移動する(
図6、
図7参照)。
【0035】
図5〜
図8、
図13〜17等に示す第三演出部材30は、本体部31、この本体部31に取り付けられた変位部32、同じく本体部31に取り付けられた被押圧部33を有する。このように、第三演出部材30は、本体部31とこの本体部31に取り付けられた変位部32および被押圧部33から構成されているため、本体部31が移動することに伴って変位部32および被押圧部33も移動する。
【0036】
本体部31は、第一駆動源41の動力によって原位置と演出位置との間を移動する。また、変位部32は本体部31の一方の面311側に取り付けられており、本体部31の他方の面側には「鞭」の装飾が施された装飾部312が形成されている。本体部31は、モータである第三駆動源43によってその長手方向に沿う軸を回転中心軸として回転する。したがって、変位部32が設けられた一方の面311を遊技者側(前方)に向けた状態(以下、当該状態を第二姿勢と称することもある)とすることも可能であるし、装飾部312が設けられた他方の面を遊技者側に向けた状態(以下、当該状態を第一姿勢と称することもある)とすることも可能である。つまり、本体部31(第三演出部材30)は、原位置と演出位置との間を移動可能であるとともに、その姿勢(遊技者側に向ける面)を変化させることも可能である。
【0037】
具体的には、本体部31は、ベース部材36およびそれに支持された第三駆動源43を介してセンターベース95に回動自在に支持されている。第一駆動源41の動力が図示されない動力伝達機構によって第三演出部材30に伝達されたときには、ベース部材36がセンターベース95に支持された箇所を回動中心として回動する。原位置では、第一演出部材10の内側である第三演出部材収容空間13内に位置し(
図4、
図9参照)、第一演出部材10とともに遊技盤92における開口921が形成された位置よりも上側の部分に覆われる。演出位置では、第三演出部材30は表示装置93の表示画面に前後方向で重なる。本実施形態では、第三演出部材30が原位置に位置するときには本体部31は第一姿勢であり、演出位置に位置するときには本体部31は第一姿勢または第二姿勢となる。つまり、第一姿勢のまま原位置と演出位置との間を移動し、演出位置に位置した状態で第三駆動源43を駆動させることにより実行する演出(後述する「馬演出」または「鞭演出」)に応じて本体部31の姿勢を第一姿勢あるいは第二姿勢に変化させる。
【0038】
第三演出部材30における本体部31には、変位部32が設けられた一方の面311から光を出射する光源313が設けられている。具体的には、本体部31の外郭を構成するケースのうち、少なくとも当該一方の面311を構成する箇所は光透過性材料で形成されており、この光透過性材料で形成された面に対向する光出射面を有する複数の光源313(例えばLED光源)が設けられている。
【0039】
本体部31に取り付けられる変位部32は、細長い第一変位演出体321および第二変位演出体322を有する。後述する一体的な演出形態が形成されたとき、当該第一変位演出体321および第二変位演出体322は馬に固定された「頭絡」のような形態の一部を構成する。さらに本実施形態では、本体部31の長手方向に沿って、第一変位演出体321および第二変位演出体322とともに「頭絡」のような形態を構成する固定演出体35が固定されている。
【0040】
図16に示すように、第一変位演出体321の一端側および第二変位演出体322の一端側には、それぞれ本体部31に対して回転自在に支持される第一変位演出体支持軸323および第二変位演出体支持軸324が設けられている。第一変位演出体支持軸323および第二変位演出体支持軸324は並んで(近接して)設けられる。第一変位演出体支持軸323の先端には、第一変位演出体支持軸323と一体的に回転する第一歯車3231が固定されている。同様に第二変位演出体支持軸324の先端には、第二変位演出体支持軸324と一体的に回転する第二歯車3241が固定されている。この第一歯車3231と第二歯車3241は、本体部31の外郭を構成するケースの内部で噛み合っている。
【0041】
被押圧部33は、第一変位演出体支持軸323における第一歯車3231が固定された側の反対側に設けられている。つまり、被押圧部33に力が作用し第一変位演出体支持軸323が回転すると、この第一変位演出体支持軸323を有する第一変位演出体321が回転する。第一変位演出体321および第二変位演出体322が原位置に位置するときには、本体部31の外郭を構成するケースの内部に設けられた図示されないストッパに第二歯車3241に設けられた突起3242が接触している。つまり、第二歯車3241の一方向への回転は阻止され、他方向への回転は許容されている。そのため、第二歯車3241が固定された第二変位演出体支持軸324および第二歯車3241に噛み合う第一歯車3231が固定された第一変位演出体支持軸323は、原位置に位置するとき、所定の方向(突起3242の作用によって回転が阻止された方向の反対方向である、回転が許容されている方向)に回転可能である。すなわち、原位置において第一変位演出体支持軸323に設けられる被押圧部33が、当該回転可能な方向に押圧されたときに第一変位演出体支持軸323は回転する。
【0042】
変位部32は、第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側(本体部31に支持された側の反対側)が互いに最も近づいた状態(
図13に示す状態)から、第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側が互いに最も離れた状態(
図14に示す状態)に変位可能である。本体部31に回転自在に支持された第二変位演出体支持軸324の外側にはねじりコイルばねである付勢部材34が設けられている。この付勢部材34は、第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側が互いに最も近づいた状態となる方向に両変位演出体を付勢する。後述するように、被押圧部33が第一演出部材10に押圧されて第一変位演出体支持軸323および第二変位演出体支持軸324が回転しない限り、この付勢部材34の作用によって第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側は互いに最も近づいた状態にある。
【0043】
第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側が互いに最も近づいた状態にあるとき、細長い第一変位演出体321と第二変位演出体322が前後方向で重なるように位置する。そのため、当該状態にあるとき(原位置)には、両変位演出体は本体部31の外縁314よりも内側に位置する。
【0044】
以上の構成を備える第一演出部材10、第二演出部材20、および第三演出部材30による「一体的な演出形態」が形成される演出(以下、当該演出を「馬演出」と称することもある)、および第三演出部材30による演出(以下、当該演出を「鞭演出」と称することもある)について、一部上記説明と重複するが以下詳細に説明する。
【0045】
「馬演出」について説明する。遊技機1が備える演出決定手段(図示されない制御基板)によって馬演出を実行することが決定し、実行する段になったときには、第一駆動源41を駆動させる(正転させる)。第一駆動源41は、第一演出部材10および第三演出部材30の駆動源となっているが、各演出部材が原位置に位置する状態で第一駆動源41を駆動させると、その動力はまず第三演出部材30に出力される。これにより、第三演出部材30は原位置から演出部材に向かって移動する。原位置に位置する第三演出部材30の本体部31は、装飾部312を前方に向けた第一姿勢にある。そして、第一変位演出体321および第二変位演出体322は第一姿勢にある本体部31の外縁314より内側に位置し、本体部31(装飾部312)に隠れた状態にある。この状態で第三演出部材30は原位置から演出位置に向かって移動する。第三演出部材30が演出位置に到達した後、第三駆動源43を駆動させる。これにより、本体部31は第一姿勢から第二姿勢に変化する。つまり、変位部32が設けられた側が前方に向けられた
図5に示す状態になる。なお、当該姿勢の変化は、第三演出部材30を原位置から演出位置に向かわせつつ行ってもよい。つまり、本体部31が第二姿勢にある状態で第三演出部材30を演出位置に位置させればよく、その移動および姿勢変化の順序は適宜変更可能である。
【0046】
一方、第二駆動源42については、第二姿勢にある第三演出部材30が演出位置に位置した後、第二演出部材20が演出位置に到達するように駆動させる。演出位置に到達した第二演出部材20は、
図6に示すように、既に演出位置に位置している第三演出部材30に接触するか、または併設する(第二演出部材20と第三演出部材30が接近して並ぶ)。具体的には、第三演出部材30における変位部32が設けられた一方の面311の少なくとも一部(固定演出体35よりも下側の部分)が、第二演出部材20の第一装飾体21に覆われた状態となるとともに、当該第一装飾体21の縁211が本体部31に固定された固定演出体35に接触または近接した状態となる。この第一装飾体21の縁211と固定演出体35とは略平行に位置する。
【0047】
第三演出部材30が演出位置に到達した後または移動中では、第一駆動源41の動力は第一演出部材10に出力される。すなわち、各演出部材が原位置に位置している状態で演出位置に向けて移動するように第一駆動源41が駆動する(正転する)と、その動力はまず第三演出部材30に出力され、第三演出部材30が演出位置に到達した後または移動中は第一演出部材10に出力されるように動力伝達機構が構築されている。原位置から移動して演出位置に到達した第一演出部材10は、
図7に示すように、既に演出位置に位置している第三演出部材30に接触するか、または併設する(第一演出部材10と第三演出部材30が接近して並ぶ)。具体的には、第三演出部材30における変位部32が設けられた一方の面311の少なくとも一部(固定演出体35よりも上側の部分)が、第一演出部材10に覆われた状態となるとともに、当該第一演出部材10の縁12が本体部31に固定された固定演出体35に接触または近接した状態となる。当該状態となると、固定演出体35の一方側に位置する第一演出部材10と、他方側に位置する第二演出部材20によって「馬」の顔(頭)から首にかけての形態が形成される。
【0048】
また、このようにして第一演出部材10が第三演出部材30に接近する際、第三演出部材30に設けられた被押圧部33が第一演出部材10に押圧されて回転する。なお、この被押圧部33が押圧されるときには、既に第三演出部材30に第二演出部材20が接触または併設した状態にある。これにより、第三演出部材30に設けられた変位部32が原位置から演出位置(演出姿勢)に変位する。具体的には、第一変位演出体321は他端側が第一演出部材10側に向かうように変位し、第二変位演出体322は他端側が第二演出部材20側に向かうように変位する。すなわち、第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側が互いに最も離れた状態に変位する。これにより、第一演出部材10と第二演出部材20の間に位置する固定演出体35と変位した第一変位演出体321および第二変位演出体322とによって、第一演出部材10および第二演出部材20で形成された「馬」に固定された「頭絡」が形成される。つまり、第一演出部材10、第二演出部材20、第三演出部材30によって「一体的な演出形態」が形成される。この際(
図6に示した状態から
図7に示した状態に変化する際)、先に第三演出部材30に接触または併設した第二演出部材20は土台として作用する。つまり、被押圧部33を有する第三演出部材30が第一演出部材10に押され過ぎてしまうことなどが抑制され、「馬」役物が形成される際の各演出部材の動作を安定したものとすることが可能となる。
【0049】
本実施形態では、当該一体的な演出形態が形成された後、本体部31に設けられた光源313を発光させ、本体部31の一方の面311から光が出射される。一体的な演出形態が形成されたとき、本体部31の一方の面311の大部分(本実施形態では固定演出体35に覆われる箇所以外の箇所)は、第一演出部材10と第二演出部材20に覆われている。そのため、第一演出部材10と第二演出部材20は、当該一方の面311から出射された光によって後方から照らされる。このように、本実施形態では、第三演出部材30において一体的な演出形態の形成に実質的に寄与するのは、変位部32(第一変位演出体321および第二変位演出体322)および固定演出体35であり、本体部31はその大部分が第一演出部材10と第二演出部材20に覆われるため殆ど寄与するものではないが、第一演出部材10と第二演出部材20を後方から照らす発光機能を有するものであるため、一体的な演出形態が形成されたときの演出効果を高める要素として機能する。
【0050】
「鞭演出」について説明する。遊技機1が備える演出決定手段(図示されない制御基板)によって馬演出を実行することが決定し、実行する段になったときには、第一駆動源41を駆動させる(正転させる)。そうすると第一駆動源41の動力が第三演出部材30に出力され、第三演出部材30が第一姿勢の状態で原位置と演出位置との間を移動する。第三演出部材30は「鞭」の装飾が施された装飾部312が前方に向けられた状態で演出位置に向かって移動するため、演出位置に到達した瞬間(
図8に示す状態となった瞬間)に表示画面に何かが弾かれたような画像を当該「鞭」の周囲に表示することで、あたかも鞭が叩かれたかのような印象の演出を提供することができる。
【0051】
このように「鞭演出」は、第三演出部材30が第一姿勢の状態で原位置と演出位置との間を移動するものである。第三演出部材30に設けられた変位部32(第一変位演出体321および第二変位演出体322)は、付勢部材34によって原位置に位置している。すなわち、原位置に位置する第一変位演出体321および第二変位演出体322は、その全体が本体部31の外縁314よりも内側に位置している。そのため、「鞭演出」においては、本体部31が装飾部312を前方に向けて原位置から演出位置に移動するため、当該本体部31(装飾部312)に覆われた第一変位演出体321および第二変位演出体322は視認できない。なお、固定演出体35もその全体が本体部31の外縁314よりも内側に位置しているため視認できない。つまり、第一変位演出体321および第二変位演出体322が「鞭」を演出する上で邪魔になることはない。
【0052】
以上説明したように、本実施形態にかかる遊技機1は、「鞭演出」に用いる「鞭」役物である第三演出部材30を「馬演出」にも利用したものである。第三演出部材30を「馬演出」に用いる場合には、本体部31の一方の面311を前方に向けた上(第二姿勢の状態)で第一変位演出体321および第二変位演出体322が所定の演出形態(頭絡)を形成するように構成する。一方、「鞭演出」に第三演出部材30を用いる場合には、本体部31の他方の面(装飾部312)を前方に向けた上(第一姿勢の状態)で、「鞭」を演出する上で邪魔になる第一変位演出体321および第二変位演出体322が本体部31に隠れて見えないようにしたものである。
【0053】
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1によれば、次のような作用効果が奏される。
【0054】
「馬演出」が実行される際には、第二演出部材20が第三演出部材30に接触または併設した後、第一演出部材10が第三演出部材30に接触または併設し、その際に第一演出部材10が被押圧部33を押圧可能方向に押圧することにより変位部32が原位置から演出位置に変位して一体的な演出形態である「馬」役物が形成される。つまり、演出位置に向かう第一演出部材10によって第三演出部材30の変位部32が原位置から演出位置に変位した上で「馬」役物が形成されるという構成であるため、当該一体的な演出形態による演出効果を優れたものとすることが可能である。
【0055】
そして、被押圧部33が第一演出部材10に押圧されることにより変位部32が原位置から演出位置に変位することとなるが、その際(
図6に示した状態から
図7に示した状態に変化する際)には先に第三演出部材30に接触または併設した第二演出部材20が土台として作用する。つまり、被押圧部33を有する第三演出部材30が第一演出部材10に押され過ぎてしまうことなどが抑制され、「馬」役物が形成される際の各演出部材の動作を安定したものとすることが可能となる。
【0056】
また、第三演出部材30の本体部31における変位部32が設けられた側の反対側には、「鞭」役物を構成する装飾部312が設けられている。つまり、一つの演出部材である第三演出部材30を、「馬演出」およびそれとは異なる「鞭演出」という二つの演出のそれぞれに用いられる演出部材とすることが可能である。
【0057】
そして、原位置で第一変位演出体321および第二変位演出体322の他端側が最も近づいた状態となり、両変位演出体が本体部31の外縁314よりも内側に位置するように構成されているため、「鞭演出」時には、遊技者が第一変位演出体321および第二変位演出体322を視認できない状態とすることが容易(「鞭」を形成する上で邪魔になる第一変位演出体321および第二変位演出体322を当該「鞭」役物自体で隠すことが可能)である。
【0058】
また、「馬演出」時には、第一演出部材10と第二演出部材20によって第三演出部材30の本体部31の一方の面311の少なくとも一部が覆われ、「馬」役物は、主に、第一演出部材10、第二演出部材20、および第三演出部材30の変位部32によって形成される。具体的には、本実施形態にかかる遊技機1は、「鞭演出」に利用されるために「馬」役物には利用しづらい第三演出部材30の本体部31を、「馬演出」時には第一演出部材10と第二演出部材20で隠し、当該本体部31に支持された変位部32を「馬」役物の形成に巧みに利用している(「鞭」役物を構成する本体部31を変位部32の支持部材として巧みに利用している)点で優れるものである。
【0059】
さらには、「馬」役物が形成されたときに第一演出部材10と第二演出部材20で一方の面311の少なくとも一部が隠される本体部31に、「馬」の形態を構築する第一演出部材10と第二演出部材20を照らすことによって演出効果を高める発光機能を持たせることも可能である。
【0060】
このように、本実施形態にかかる遊技機1は、第三演出部材30の本体部31を、1)「鞭」役物を構成する、2)「馬」役物を形成する第一変位演出体321および第二変位演出体322を支持する、3)「馬演出」時の演出効果を高めるための光を照射する、という三つの機能を発揮する要素としている。
【0061】
また、変位部32を構成する両変位演出体は、付勢部材34によって本体部31の外縁314よりも内側に位置する方向(原位置の方向)に付勢されている。つまり、「馬」役物が形成されていないときには、両変位演出体は原位置に位置し、本体部31の外縁314よりも内側に位置する。そのため、「鞭演出」時には、そのまま第三演出部材30を動作させるだけで当該演出を実行することが可能であるため、演出の制御が容易である。
【0062】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0063】
上記実施形態では、第一演出部材10および第三演出部材30を原位置から演出位置に移動させる駆動源が一つ(第一駆動源41)であることを説明したが、このような構成に限定されない。例えば、第一演出部材10および第三演出部材30それぞれを駆動させる駆動源を設けた構成としてもよい。第二演出部材20が第二姿勢にある第三演出部材30に接触または併設した後、第一演出部材10が第三演出部材30に接触または併設するように各演出部材を動作させることができる構成であれば、駆動源の種類や数、動力伝達機構の構成などはどのようなものであってもよい。また、一体的な演出形態が構成するものは「馬」の形態に限られず、他の形態を形成するものであってもよい。
【0064】
また、各演出部材の形状などは適宜変更可能である。例えば上記実施形態では、第二演出部材20が第一装飾体21、第二装飾体22、および第三装飾体23という三つの装飾体から構成されていることを説明したが、第一演出部材10と同様に単一の装飾体から構成されるものであってもよい。また、第一演出部材10が第二演出部材20のように複数の装飾体から構成されるものであってもよい。
【0065】
上記実施形態から得られる具体的手段の例を以下に記載する。
所定の範囲を移動可能である第一演出部材、第二演出部材、および第三演出部材を備える遊技機において、前記第三演出部材は、本体部、およびこの本体部に対して原位置と演出位置との間を変位可能に設けられた変位部、押圧可能方向に押圧することにより前記変位部が原位置から演出位置に変位する被押圧部を有し、前記各演出部材は、遊技者に視認可能な演出位置まで移動して前記第三演出部材が前記第一演出部材と前記第二演出部材の間に位置することで一体的な演出形態を形成するように構成され、前記一体的な演出形態は、前記第二演出部材が前記第三演出部材に接触または併設した後、前記第一演出部材が前記第三演出部材に接触または併設し、その際に前記第一演出部材が前記被押圧部を押圧可能方向に押圧することにより前記変位部が原位置から演出位置に変位して形成されることを特徴とする遊技機(第一例)。
【0066】
第一例に記載の遊技機において、前記第三演出部材の本体部の一方の面側には前記変位部が設けられ、他方の面側には前記一体的な演出形態が形成される際の演出とは異なる別の演出時に遊技者に視認可能となる装飾部が設けられていることを特徴とする遊技機(第二例)。
【0067】
第一例または第二例に記載の遊技機において、前記変位部は、前記本体部にそれぞれの一端側が軸支された第一変位演出体および第二変位演出体を有し、前記原位置では前記第一変位演出体および前記第二変位演出体の他端側が互いに最も近づいた状態となる一方、前記演出位置では前記第一変位演出体および前記第二変位演出体の他端側が互いに最も離れた状態となるように構成されていることを特徴とする遊技機(第三例)。
【0068】
第三例に記載の遊技機において、前記第一変位演出体および前記第二変位演出体は、前記原位置では前記本体部の外縁よりも内側に位置するように構成されていることを特徴とする遊技機(第四例)。
【0069】
第一例から第四例のいずれかに記載の遊技機において、前記一体的な演出形態が形成されたとき、前記第三演出部材の本体部の一方の面の少なくとも一部は、前記第一演出部材または前記第二演出部材の少なくとも一部に覆われるように構成されていることを特徴とする遊技機(第五例)。
【0070】
第五例に記載の遊技機において、前記第三演出部材には、前記本体部の一方の面から光を出射する光源が設けられており、前記一体的な演出形態が形成されたとき、前記第三演出部材の本体部の一方の面の少なくとも一部は、前記第一演出部材および前記第二演出部材に覆われ、これら前記第一演出部材および前記第二演出部材が前記光源から出射された光に照らされるように構成されていることを特徴とする遊技機(第六例)。
【0071】
第四例、第四例を引用する第五例、またはこの第四例4を引用する第五例を引用する第五例に記載の遊技機において、前記変位演出体は、付勢部材によって前記本体部の外縁よりも内側に位置する方向に付勢されていることを特徴とする遊技機(第七例)。
【0072】
第一例に記載の遊技機では、第二演出部材が第三演出部材に接触または併設した後、第一演出部材が第三演出部材に接触または併設し、その際に第一演出部材が被押圧部を押圧可能方向に押圧することにより変位部が原位置から演出位置に変位して一体的な演出形態が形成される。つまり、一体的な演出形態が形成されるときに、第一演出部材と第二演出部材の間に位置する第三演出部材の変位部が原位置から演出位置に変位した上で一体的な演出形態が形成されるという構成であるため、当該一体的な演出形態による演出効果を優れたものとすることが可能である。そして、被押圧部が第一演出部材に押圧されることにより変位部が原位置から演出位置に変位することとなるが、その際には先に第三演出部材に接触または併設した第二演出部材が土台として作用する。つまり、被押圧部を有する第三演出部材が被押圧部に接触する第一演出部材の衝撃によってがたついてしまったり押され過ぎてしまうことなどが抑制され、一体的な演出形態が形成される際の各演出部材の動作を安定したものとすることが可能となる。
【0073】
第二例に記載の遊技機のように、第三演出部材の本体部における変位部が設けられた側の反対側に装飾部が設けられていれば、一つの演出部材である第三演出部材を、一体的な演出形態が形成される際の演出およびそれとは異なる別の演出という二つの演出のそれぞれに用いられる演出部材とすることが可能となる。
【0074】
第三例に記載の遊技機のように、本体部にそれぞれの一端側が軸支された第一変位演出体および第二変位演出体を有する変位部とすれば、原位置で第一変位演出体および第二変位演出体の他端側が最も近づいた状態となり、演出位置で第一変位演出体および第二変位演出体の他端側が最も離れた状態となるように、二つの部材が一度に動作するように変位部を構成することが可能である。
【0075】
原位置で第一変位演出体および第二変位演出体の他端側が最も近づいた状態となるように変位部を構成すれば、第四例に記載の遊技機のように、当該原位置においては第一変位演出体および第二変位演出体が本体部の外縁よりも内側に位置するように構成することが容易になる。つまり、上記別の演出時には、遊技者が第一変位演出体および第二変位演出体を視認できない状態とすることが容易であるため、一つの演出部材である第三演出部材を用いた演出の幅を広げることが可能である。
【0076】
第五例に記載の遊技機のように、一体的な演出形態が形成されるとき、第一演出部材と第二演出部材によって第三演出部材の本体部の一方の面の少なくとも一部が覆われるようにし、一体的な演出形態が、主に、第一演出部材、第二演出部材、および第三演出部材の変位部によって形成される構成とすることが可能である。
【0077】
第六例に記載の遊技機のように、本体部の一方の面から光を出射する光源を設け、一体的な演出形態が形成されたときに当該光源から第一演出部材および第二演出部材が光源から出射された光に照らされるようにすれば、第三演出部材の本体部を、一体的な演出形態を形成する変位部を支持する部分としてだけでなく、演出効果を高めるための光を照射する部分としても利用することが可能である。
【0078】
第七例に記載の遊技機のように、変位演出体が付勢部材によって本体部の外縁よりも内側に位置する方向(原位置の方向)に付勢されていれば、一体的な演出形態が形成されていないときには、変位部(変位演出体)は原位置に位置し、本体部の外縁よりも内側に位置する。つまり、一体的な演出形態が形成されていない通常時には、そのまま第三演出部材を動作させるだけで一体的な演出形態が形成される演出とは異なる別の演出(第三演出部材を用いた演出)を行うことが可能となる。