特許第5861175号(P5861175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5861175
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】融雪機械
(51)【国際特許分類】
   E01H 5/00 20060101AFI20160202BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   E01H5/00 Z
   E04H9/16 L
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2015-87105(P2015-87105)
(22)【出願日】2015年4月3日
【審査請求日】2015年6月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511054868
【氏名又は名称】有限会社薄井建設
(72)【発明者】
【氏名】薄井 介
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−124818(JP,U)
【文献】 特開昭63−297618(JP,A)
【文献】 特開2005−336898(JP,A)
【文献】 特開平06−200659(JP,A)
【文献】 実開昭63−018531(JP,U)
【文献】 特開平05−272116(JP,A)
【文献】 特開平02−300406(JP,A)
【文献】 特開昭63−272810(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/00−15/00
E04D 15/00
E04H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方に、融雪タンクと吸引装置を設け、折りたたみ式ブームの側面に設けた吸引管により、雪を吸引して除雪する融雪機械において、前記融雪タンクの底部に加熱ヒーターを設け、前記融雪タンク内に送られた雪を加熱ヒーターにて融雪し、前記融雪タンク内で融雪された水又は温水を、散水ポンプにより散水管から雪に放水することで、濡らされた雪を吸引することを特徴とする融雪機械。
【請求項2】
前記吸引装置に配管により連結される圧送装置の底部に、加熱ヒーターを設けることで、前記圧送装置内に吸引した雪を融雪し、前記圧送装置に連結した圧送管から、融雪タンクへの移送または外部へ排出できることを特徴とする請求項1に記載の融雪機械。
【請求項3】
前記吸引装置に配管により連結される圧送装置により、前記圧送装置に連結した圧送管から、吸引した雪を直接外部へ排出することにより、効率的な除雪が可能であることを特徴とする請求項1に記載の融雪機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根に降雪した雪をその場で吸引して融かして処理する融雪機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常屋根に降雪した雪は、人力作業により除雪仮置きされている。
しかし、屋根の上での除雪作業においては、常に危険な状態の中でしなければならないという問題が生じている。
この改善策としては、ボランテアなどを使用したとしても人数に限りがありスムーズに除雪が行われていないのが現状である。
【0003】
例えば、特開平6−200659号には、車両の旋回台に伸縮ブームが上下回動自在に配設され、該伸縮ブームの先端部に上下回動可能に取付けたステージ上に台車が載置され、該台車には、積雪掻き取り機と、掻き取った雪を集めるための集雪管とが設けられ、前記旋回台上の巻き取りドラムに巻回された可橈性集雪用ホースの先端部が上記集雪管に接続されると共に、該ホースの後端部が車両の積雪貯留タンクに接続され、該タンクには積雪吸引機構が備えられている融雪装置に関する技術が公開されているが、回収した雪の処理に課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−200659号(明細書0005、図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、屋根の上で人が除雪作業をすることなく、また、仮置きを必要としない、その場で除雪を行い、回収した雪を融雪などにより処理することのできる機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両後方に融雪タンクを設け、その底盤部に加熱ヒーターを設置し、散水ポンプにより融雪タンク内の水又は温水を、折りたたみ式ブーム側面に設けた散水管より、屋根に降雪された雪に放水し、放水された状態の雪を折りたたみ式ブーム側面に設けた吸引管により吸引することで、雪の吸引がし易くなること、及び除雪と吸引した雪の融雪を同時に行うことを特徴とする。また、圧送装置により、吸引した雪を外部へ排出処理することも可能としている。
【0007】
融雪を促進するために、圧送装置と融雪タンク底部には加熱ヒーターを設け、雪の回収と連動して融雪されるために、作業の効率が上がる融雪機械を提供できる。
【0008】
折りたたみ式ブーム先端付近には、目視用カメラを設置することにより、除雪作業の詳細な状況が掌握でき、除雪作業の効率向上につながる融雪機械を提供することができる。
【0009】
融雪タンク内で融雪された水を、散水用として再利用することで、最小限の水の使用に抑えられ、コストの削減効果が期待できる
【発明の効果】
【0010】
本発明の融雪機械は、降雪した雪を吸引しその場で溶かして排除できるため、従来のような屋根の上での危険が常に伴っていた人力作業をすることなく、また仮置きすることもなく、安全で時間と経費の削減に大きく貢献ができる。
【0011】
従来の転倒滑落による事故防止につながり、人体と人命の安全か確保される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一例の側面図
図2】本発明の一例の平面図
図3】本発明のブームに取り付けた、吸引管と散水管の一例の正面図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
本発明の融雪機械について、図面を引用して説明する
【0014】
9 融雪タンク20 発電機
図1を参照して詳細に説明する。融雪機械1は、エンジンルーム23、発電機20、融雪タンク9、折りたたみ式ブーム2で構成される。折りたたみ式ブーム2には、吸引管4と散水管12が側面に設けられ、その先端部には目視用カメラ5が設けられ、運転室14の内部前方にモニター6が設けられている。そのモニター16で屋根に積もっている雪17を目視でき、除雪吸引作業がしやすくなっている。
【0015】
図3に示すように折りたたみ式ブーム2の側面には、吸引管4と散水管12が設けられ、散水管12から降雪した雪17に放水しながら、吸引装置22に連結した吸引ホース3で雪を吸引し、融雪タンク9へ移送する。これにより除雪と融雪作業を同時に行うことを実現している。
【0016】
折りたたみ式ブーム2は油圧可動であるため、作業がスムーズに出来るものである。
【0017】
図2に示すように、吸引管4から吸い込まれた雪17は、圧送装置7に取り込まれ、圧送装置7の底部には加熱ヒーター18が設けられており、融雪が図られる構造となっている。
【0018】
圧送装置7から、融雪タンク9へと送られた雪17は、融雪タンク9の下部に設けられている加熱ヒーター18により、融雪されるようになっている。また、融雪タンク9には、雪が融けて水になったものを外部へ排出するための開閉コック10が設けられ、排水ホース11を経由し、排水溝21に排出される構造となっている。
【0019】
融雪タンク9内部には、散水用ポンプ19が設置され、雪が融けた水を、散水用として再利用でき、経費の削減に貢献できるものである。
【0020】
融雪タンク9内部に、事前に水を張り温めておけば、散水時及び吸引した雪の融雪効果が促進され作業の短縮が図られる。
【0021】
スピーディーに除雪を進めたい時には、圧送装置7に設けた圧送管8に、外部につながる配管を連結することで、溶けていない状態の雪をそのまま排出することが可能となり、作業効率が向上する。
【0022】
図2に示すように、融雪機械1に搭載した発電機6は、熱源と電力源に利用する。
【0023】
図1に示すように、運転席14の前面には、安全カバー15が設けられ、滑落した雪が当たっても、運転席14には、直接当たらない構造となっているため、安全作業が確保される構造となっている。
【0024】
図1に示すように、機械の走行にはタイヤが望ましいが、キャタピラ等も利用できる。
【産業上の利用の可能性】
【0025】
本発明の融雪機械は、工業生産が可能であり、除雪作業に利用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 融雪機械 11 排水ホース 21 排水溝
2 折たたみ式ブーム 12 散水管 22 吸引装置
3 吸引ホース 13 タイヤ 23 エンジンルーム
4 吸引管 14 運転室
5 目視カメラ 15 カバー
6 モニター 16 屋根
7 圧送装置 17 雪
8 圧送管 18 加熱ヒーター
9 融雪タンク 19 散水用ポンプ
10 開閉コック 20 発電機
【要約】
【課題】 従来屋根に積もった雪は、人力作業により除雪をし、また住居の周りに仮置きされていた状況であった。一方で屋根の上で除雪作業をするのは常に危険が伴い、事故等が起きるという課題があった。
【解決の手段】本発明は、車両後方に融雪タンクを設け、その底盤部に加熱ヒーターを設置し、散水ポンプにより融雪タンク内の水又は温水を、折りたたみ式ブーム側面に設けた散水管より、屋根に降雪された雪に放水し、放水された状態の雪を折りたたみ式ブーム側面に設けた吸引管により吸引することで、雪の吸引をし易くすること、及び除雪と吸引した雪の融雪を同時に行うことを特徴とする。また、圧送装置により、吸引した雪を外部への排出処理も可能としている。
【選択図】図1
図1
図2
図3