(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
粉末材料を一定の形状に成形するときは、大きく、金型プレス成形とCIP成形の二つの方法を用いる。
【0003】
金型プレス成形においては、上下のパンチと金型(Die)が備えられており、下パンチと金型からなる空間に粉末を充填し、上パンチと下パンチとの間隔を狭めながら粉末の加圧圧縮成形を行う。このとき、粉末と金型との摩擦力により、上、中、下の密度が異なる成形体が成形される。
【0004】
CIP成形は、英語のCold Isostatic Pressing(冷間等方圧加工法)の頭文字を取ったものであって、この方法によおいては、粉末材料をゴム袋などの形態抵抗の少ない成形モールド内に密封して液圧を加えると、成形体の表面は、その液圧と同等な加圧力を均一に受け、方向性なく圧縮成形される。
【0005】
これら二つの成形法は、一般にそれぞれ異なる設備で施行する。必要に応じてそれぞれの設備を備えなければならない場合、費用と設置面積が増加する。特に、大型化された最近の半導体用構造セラミックを生産するためには、金型プレス成形を行った後でCIP成形を行わなければならない場合が頻繁であり、大型構造セラミックを生産するためにこれら二つの設備を全て備えるには莫大な費用を投資しなければならない。
【0006】
このように、等方圧成形とプレス成形を共に行うために、従来は、韓国公開特許第10―2011―0120129号の"パウダー成形用プレス及び冷間等方圧成形装置"が開示されたことがある。
【0007】
従来のパウダー成形用プレス及び冷間等方圧成形装置は、パウダープレス成形を行うプレスユニット;冷間等方圧成形を行う冷間等方圧ユニット;前記プレスユニット及び前記冷間等方圧ユニットが設置されるベースフレーム;前記ベースフレーム上に設置され、前記プレスユニットと前記冷間等方圧ユニットとの間で移動可能であり、前記プレスユニット側に整列されるときはプレスユニット用フレームとして作用し、前記冷間等方圧ユニット側に整列されるときは前記冷間等方圧ユニット用フレームとして作用するメインフレーム;及び前記メインフレームが前記プレスユニット側に整列されるときは前記プレスユニットに圧力を供給し、前記メインフレームが前記冷間等方圧ユニット側に整列されるときは前記冷間等方圧ユニットに圧力を供給する共通の一つの加圧手段;を含んで構成された。
【0008】
このような構成の従来のパウダー成形用プレス及び冷間等方圧成形装置は、プレスユニットと冷間等方圧ユニットを備えるので、これらを用いてプレス成形及び冷間等方圧成形を容易に行うことができた。
【0009】
しかし、従来のパウダー成形用プレス及び冷間等方圧成形装置には、次のような問題がある。
【0010】
第一に、それぞれの工程で使用するためにメインフレームが移動しなければならない。これによると、定位置にあるメインフレームを適用する場合に比べて精密度を維持するのに困難があり、重量物を移送することによって時間的な損失がある。
【0011】
第二に、CIP作業を行う冷間等方圧ユニット側と金型成形を行う油圧シリンダーをそれぞれ設置することによって製作費用が増大し、それぞれに圧力を加える圧力媒体が異なることによって油圧部品の構成も多くなる。
【0012】
第三に、圧力容器の上部で作業物を装入・装出するCIP作業レベルと、金型装着位置で原料と製品を装入・装出する金型成形作業レベルとが異なることによって、2層構造の作業レベルを有するようになる。これによると、作業者の作業動線に適さないだけでなく、金型及び製品移送用運搬装置の使用が難しくなる。また、装備の特性上、作業を行うグランドレベル(Ground level)の下にピットを形成し、これに油圧構成部品などを埋め込むようになるが、従来の発明は、ピットレベル(Pit level)の上に金型成形作業レベルがあり、金型成形作業レベル上にCIP作業レベルがある3層構造からなっている。
【0013】
結論的に、従来のパウダー成形用プレス及び冷間等方圧成形装置は、構造が複雑であるので、故障発生時の補修が難しく、製作費用が高く、運用環境が良くないという問題を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上述した各問題を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、プレス成形時に必要とする圧力シリンダーのみならず、冷間等方圧成形時に必要とする圧力ベッセルとしても機能する一つの圧力容器を用いることによって、製作費用が低いだけでなく、比較的簡単な構成であるので故障時の補修が容易であり、本発明の冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備を使用する作業者が同一の作業レベルで二つの工程を同時に行うことによって、製品の生産性を向上させ得る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記の課題を達成するための本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備は、中央が貫通した形態のメインフレームと、前記メインフレームの貫通した部分に支持され、内部に注入される流体によって冷間等方圧成形を行う圧力ベッセルと、前記圧力ベッセルに充填される流体によって前記圧力ベッセルの上部で上下にスライディング移動可能に設置され、ピストン機能を行い、前記圧力ベッセルの上部を開放または閉鎖する上部キャップ(Top lid)と、前記圧力ベッセルの下部を開放または閉鎖する下部キャップ(Lower lid)と、前記上部キャップと前記メインフレームとの間に備えられ、前記圧力ベッセルからスライディング移動する前記上部キャップの加圧力によってプレス成形を行うプレス部を含んでもよい。
【0016】
前記プレス部は、前記メインフレームの貫通した部分の上部に結合される上部ボルスターと、前記上部キャップの上部に結合される下部ボルスターと、前記上部ボルスターに備えられ、前記下部ボルスターを支持すると同時に、前記下部ボルスターを上下に移動させる第1の駆動機構とを含んでもよい。
【0017】
前記プレス部は、前記上部ボルスターと前記上部キャップとの間に位置し、前記下部ボルスターと前記上部キャップとの間を離隔させる離隔シリンダー部と、前記離隔シリンダー部によって離隔した前記下部ボルスターと前記上部キャップとの間に挿入され、前記上部キャップが前記圧力ベッセルから離脱することを防止する離脱防止ブロックをさらに含んでもよい。
【0018】
前記プレス部は、前記下部ボルスターの両側に突出して前記離脱防止ブロックの移動をガイドするブロック移動ガイドをさらに含んでもよい。
【0019】
前記圧力ベッセルは、前記圧力ベッセルと前記下部キャップとが結合される底板をさらに含み、前記メインフレームは、前記メインフレームの貫通した部分の外側に突出し、前記圧力ベッセルが前記メインフレームから離脱したり、前記圧力ベッセルが前記メインフレームに復帰するように前記底板の移動をガイドするシリンダー移動ガイドをさらに含んでもよい。
【0020】
前記底板は、前記圧力ベッセルで前記下部キャップを上下に移動させ、前記圧力ベッセルを開放または閉鎖する第2の駆動機構をさらに含んでもよい。
【0021】
前記底板は、前記シリンダー移動ガイドで前記底板を移動させる走行機構を含んでもよい。
【0022】
前記底板は、前記底板の位置を調節するピニオンを含み、前記シリンダー移動ガイドは、前記ピニオンと噛み合い、前記底板が正確な位置に置かれるようにガイドするラックギア部を含んでもよい。
【0023】
前記圧力ベッセルは、前記圧力ベッセルに巻き取られ、前記圧力ベッセルの耐久性を増大させるベッセルワイヤを含んでもよい。
【0024】
前記メインフレームは、前記メインフレームの上部及び下部に互いに対向するように配置され、前記メインフレームに伝達される加圧力を分散させる半円状のヨークを含んでもよい。
【0025】
前記メインフレームは、前記メインフレームに巻き取られ、前記メインフレームの耐久性を増大させるヨークワイヤを含んでもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、構成部品のうち、最も大きく且つ重く、基準点としての役割をするメインフレームを固定させ、相対的に軽く且つ精密度に影響を少なく与える圧力ベッセルを移送させることによって、精巧且つ堅固に等方圧プレスと一般プレス複合装備を製作することができる。
【0027】
また、一つの圧力ベッセルに注入される流体の圧力でプレス成形と冷間等方圧成形を同時に行う単純な構造によって故障時の補修が容易であり、製作費用を減少させることができる。
【0028】
また、作業者がCIP成形を行う作業レベルと、一般プレス成形を行う作業レベルとを同一のレベルで行うことによって、生産性が増大し、金型の設置、生産製品の移送などが容易であるという利点がある。
【0029】
また、冷間等方圧成形を行うために圧力ベッセルに注入される流体でプレス成形を同時に進めることによって、油圧を提供するための構成部品の数を減少させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0032】
図1〜
図3に示したように、本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、メインフレーム110を含んでもよい。
【0033】
このメインフレーム110は、下記に説明する圧力ベッセル120を密閉する上部キャップ130及び下部キャップ140を支持し、圧力ベッセル120から上部キャップ130及び下部キャップ140が離脱することを防止することができる。
【0034】
そして、メインフレーム110は、中央が貫通した形態に形成され、この貫通した部分に圧力ベッセル120が位置してもよい。
【0035】
一方、メインフレーム110は、ヨーク111、112を含んでもよい(
図3参照)。
【0036】
このヨーク111、112は、半円状に形成され、メインフレーム110の上部または下部に凸部が互いに対向した外側に向かうようにメインフレーム110に備えられてもよい。
【0037】
すなわち、メインフレーム110の上部に位置するヨーク111は、メインフレーム110の貫通した部分に位置する圧力ベッセル120の上部に位置する上部キャップ130を支持し、メインフレーム110の下部に位置するヨーク112は、圧力ベッセル120の下部に位置する下部キャップ140を支持するように構成されてもよい。
【0038】
ここで、ヨーク111、112は、半円状に形成されるので、圧力ベッセル120を支持する上部キャップ130及び下部キャップ140の支持力がいずれか1ヶ所に集中せず、均等に分散されることによって、上部キャップ130及び下部キャップ140を支持する支持力をさらに向上させることができる。
【0039】
そして、メインフレーム110は、ヨークワイヤ113を含んでもよい。このヨークワイヤ113は、ヨーク111、112が設置されるメインフレーム110の周囲に巻き取られ、メインフレーム110の支持力を補強することができる。
【0040】
すなわち、メインフレーム110の貫通した部分に設置される圧力ベッセル120の内部圧力は、約1000bar〜7000barの範囲であってもよいので、メインフレーム110を骨組みのみで形成する場合、圧力に耐えられず破損し得る。
【0041】
したがって、メインフレーム110にヨークワイヤ113を巻き取ることによって、圧力ベッセル120を支持するメインフレーム110の支持力をさらに堅固にすることができる。
【0042】
このとき、ヨークワイヤ113には、引張強度の大きい硬鋼線、アラミド(ポリアラミド)、カーボンファイバー、ガラスファイバー、バサルトファイバーなどを適用してもよく、ヨークワイヤ113は、ピアノ線の圧延によって平面を有するスチールストリップ(steel strip)に具現されることが好ましい。
【0043】
メインフレーム110は、シリンダー移動ガイド115をさらに含んでもよく、このシリンダー移動ガイド115は、メインフレーム110の貫通した部分からメインフレーム110の貫通した部分のいずれか一側面に水平に延びる形態に備えられ、メインフレーム110の貫通した部分に位置する圧力ベッセル120をメインフレーム110の側面にガイドして移動させることができる。
【0044】
このとき、メインフレーム110の側面に延長されたシリンダー移動ガイド115の下部には、メインフレーム110の貫通した部分に設置されるシリンダー移動ガイド115の終端と水平を維持するために支柱117が設置されてもよく、シリンダー移動ガイド115は、レールの形状に一対が互いに離隔する形態で設置されてもよい。
【0045】
併せて、シリンダー移動ガイド115には、ラックギアが一部形成されたラックギア部116が形成されてもよい(
図2及び
図4参照)。実施例では、ラックギア部116をシリンダー移動ガイド115の終端、より具体的には、メインフレーム110の貫通した部分に位置する終端及びシリンダー移動ガイド115の中央部分に形成しており、ラックギア部116については、以下で詳細に説明する。
【0046】
そして、メインフレーム110には、作業者がメインフレーム110の貫通した部分に容易に移動できるようにする階段114が設置されてもよい。
【0047】
本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、圧力ベッセル120を含んでもよい。
【0048】
この圧力ベッセル120は、シリンダー形状に形成され、その内部に流体が注入され、圧力ベッセル120の内部に投入された被加工物を、圧力ベッセル120の内部に注入された流体の圧力によって全ての方向に同一の圧力で加圧する冷間等方圧成形を行うことができる。
【0049】
このとき、圧力ベッセル120に注入される流体は、水または油であってもよく、防錆剤及び滑剤を含む4水であることが好ましい。
【0050】
ここで、冷間等方圧成形は、粉末形態の被加工物、例えば、セラミックパウダーを全ての方向に流体によって加圧することによって任意の形状に成形する方法であって、この方法によると、密度が60%〜95%である緻密な構造を有する被加工物を成形することができる。
【0051】
一方、圧力ベッセル120の周囲には、高い流体の圧力に耐えるためにベッセルワイヤ121が巻き取られてもよい。このとき、ベッセルワイヤ121には、メインフレーム110に備えられるヨークワイヤ113と同様に、引張強度の大きい硬鋼線、アラミド(ポリアラミド)、カーボンファイバー、ガラスファイバー、バサルトファイバーなどを適用してもよく、ベッセルワイヤ121は、ピアノ線の圧延によって平面を有するスチールストリップに具現されることが好ましい。
【0052】
そして、圧力ベッセル120は、底板125を含んでもよい。この底板125は、圧力ベッセル120の下部に備えられてもよく、底板125には走行機構127が設置され、底板125がシリンダー移動ガイド115に沿って走行することによって、底板125に備えられた圧力ベッセル120をシリンダー移動ガイド115に沿って移動させることができる。
【0053】
このとき、走行機構127は、車輪及びモーターを含み、モーターの駆動力によって底板125が移動するように具現されてよく、または、底板125とメインフレーム110とを連結する公知の油圧シリンダーまたは空圧シリンダーによってメインフレーム110で底板125が移動するように具現されてもよい。
【0054】
一方、底板125には第2の駆動機構126が備えられてもよく、この第2の駆動機構126は、以下で説明する圧力ベッセル120の下部に位置する下部キャップ140を底板125の下部で上下に移動させる形態で圧力ベッセル120の下部を開放または閉鎖することができる。
【0055】
ここで、第2の駆動機構126は、公知の空圧シリンダーまたは油圧シリンダーに具現されてもよく、第2の駆動機構126は、底板125の周囲に複数設置されてもよい。
【0056】
実施例では、底板125を四角形状に形成し、底板125の各コーナー部分に第2の駆動機構126を設置した。
【0057】
また、圧力ベッセル120にはピニオン128を含んでもよい(
図2及び
図4参照)。このピニオン128は、圧力ベッセル120、より具体的に、圧力ベッセル120を支持する底板125に設置されてもよく、シリンダー移動ガイド115のラックギア部116と噛み合い、メインフレーム110で圧力ベッセル120を正確な位置に置くことができる。
【0058】
このとき、ピニオン128は、モーターによって回転することができ、ピニオン128に備えられるモーターは、底板125に備えられるセンサーによってメインフレーム110で圧力ベッセル120が正確な位置に置かれるように制御されてもよい。
【0059】
本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、上部キャップ130を含んでもよい。
【0060】
この上部キャップ130は、圧力ベッセル120の上部に位置し、圧力ベッセル120の上部を開放または閉鎖することができる。
【0061】
一方、上部キャップ130は、圧力ベッセル120の上端の内部に挿入され、圧力ベッセル120の上部から圧力ベッセル120の内部に注入される流体の圧力によって上下にスライディング移動可能に設置され、ピストンの機能を行うことができ、上部キャップ130の周囲には、上部キャップ130の外側に突出して圧力ベッセル120の上端に置かれる上部フランジ131が形成されてもよい。
【0062】
そして、上部キャップ130には、圧力ベッセル120に上部キャップ130を結合した状態で外部から圧力ベッセル120の内部に流体を注入するための注入口133が形成されてもよく、この注入口133には、1000bar〜7000barの圧力範囲に至る流体の逆流を防止するチェックバルブ135が設置されてもよい。
【0063】
そして、圧力ベッセル120の内部に挿入される上部キャップ130の部分には、圧力ベッセル120と上部キャップ130との間を気密状態にするシール部材132が設置されてもよい。
【0064】
本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、下部キャップ140を含んでもよい。
【0065】
この下部キャップ140は、圧力ベッセル120の下部に位置し、圧力ベッセル120の下部を開放または閉鎖することができる。
【0066】
一方、下部キャップ140は、圧力ベッセル120の下端の内部に一部が挿入されるように構成され、下部キャップ140の周囲には、下部キャップ140の外側に突出して圧力ベッセル120の下端に置かれる下部フランジ141が形成されてもよい。
【0067】
そして、下部キャップ140には、圧力ベッセル120に下部キャップ140を結合した状態で圧力ベッセル120に注入された流体を外部に排出する排出口143が形成されてもよく、この排出口143には、排出口143を開放または閉鎖し、圧力ベッセル120に注入された流体を外部に排出する排出バルブ145が設置されてもよい。
【0068】
このとき、排出バルブ145は、空圧または油圧によって排出口143を開放または閉鎖する公知の排出バルブ145であってもよく、排出口143、排出バルブ145及び排出管147は、流体を排出する役割を行えるだけでなく、流体を注入する役割も並行することができる。
【0069】
一方、排出口143には、排出口143に排出される流体を外部に排出する排出管147が備えられてもよく、この排出管147は、圧力ベッセル120がシリンダー移動ガイド115に沿って移動するので、複数の管が関節のように連結される形態の管、または柔軟に曲がる管に構成されてもよい。
【0070】
併せて、下部キャップ140は、圧力ベッセル120の底板125に備えられる第2の駆動機構126と連結され、第2の駆動機構126の作動によって圧力ベッセル120の下部で上下に移動し、圧力ベッセル120を開放または閉鎖することができる。
【0071】
そして、圧力ベッセル120の内部に挿入される下部キャップ140の部分には、流体の流出を防止するシール部材142が設置されてもよい。
【0072】
本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、プレス部150を含んでもよい。
【0073】
このプレス部150は、上部キャップ130とメインフレーム110、より具体的には、メインフレーム110の上部に位置するヨーク111との間に位置し、圧力ベッセル120で上下に移動する上部キャップ130の加圧力によってプレス成形を行うことができる。
【0074】
一方、プレス部150は、上部ボルスター151及び下部ボルスター152を含んでもよい。上部ボルスター151は、任意の厚さを有する板状に形成され、メインフレーム110の貫通した部分の上部に結合されてもよい。
【0075】
このとき、上部ボルスター151には、成形される被加工物の形状が形成されたり、成形される被加工物の形状が形成された金型が上部ボルスター151に設置される形態に構成されてもよい。
【0076】
ここで、上部ボルスター151に金型が設置されるように構成された場合は、金型、より具体的には、上下に両分された形態の金型のうち上部金型が上部ボルスター151に設置されることは当然である。
【0077】
下部ボルスター152は、任意の厚さを有する板状に形成され、上部キャップ130の上部に結合され、上部キャップ130が圧力ベッセル120の流体の圧力によって上下に移動するとき、上部キャップ130と共に上下に移動することができる。
【0078】
一方、下部ボルスター152には、上部ボルスター151と同様に、被加工物の形状が形成されてもよく、被加工物の形状が形成された金型が下部ボルスター152に設置される形態に構成されてもよい。
【0079】
ここで、下部ボルスター152に金型が設置されるように構成された場合は、金型、より具体的には、上下に両分された形態の金型のうち下部金型が下部ボルスター152に設置されることは当然である。
【0080】
プレス部150は、第1の駆動機構159を含んでもよい。この第1の駆動機構159は、上部ボルスター151に設置され、上部ボルスター151の下部に位置する下部金型を上下に移動させる形態で下部金型に結合された上部キャップ130を上下に移動させ、上部キャップ130によって密閉された圧力ベッセル120の上部を開放または閉鎖することができる。
【0081】
一方、第1の駆動機構159は、公知の油圧シリンダーまたは空圧シリンダーに具現されてもよく、第1の駆動機構159は、上部ボルスター151に複数設置されてもよい。
【0082】
このとき、上部ボルスター151と下部ボルスター152は四角形状に形成され、第1の駆動機構159は、上部ボルスター151の各コーナー部分に設置され、下部ボルスター152を上下に移動させることができる。
【0083】
プレス部150は、離隔シリンダー部153を含んでもよい。この離隔シリンダー部153は、下部ボルスター152に結合された上部キャップ130と下部ボルスター152とを離隔させたり、互いに接触させるように下部ボルスター152と上部キャップ130を駆動することができる。
【0084】
一方、離隔シリンダー部153は、上部ボルスター151にシリンダー溝153bを形成し、下部ボルスター152にはピストン153aを設置することによって、シリンダー溝153bに挿入されたピストン153aがシリンダー溝153bに提供される空圧または油圧によって上下に移動するように構成されてもよい。
【0085】
プレス部150は、離脱防止ブロック155を含んでもよい。この離脱防止ブロック155は、下部ボルスター152と上部キャップ130との間に挿入され、上部キャップ130が圧力ベッセル120から離脱することを防止することができる。
【0086】
すなわち、離脱防止ブロック155が下部ボルスター152と上部キャップ130との間から除去される場合、離脱防止ブロック155の厚さ分だけ、上部キャップ130が下部ボルスター152の方向にさらに移動し得るので、圧力ベッセル120から上部キャップ130が離脱し得る。
【0087】
その一方、離脱防止ブロック155が下部ボルスター152と上部キャップ130との間に位置する場合、離脱防止ブロック155の厚さ分だけ上部キャップ130が上部に移動することが制限され、圧力ベッセル120から上部キャップ130が離脱することを防止することができる。
【0088】
一方、離脱防止ブロック155は、四角のブロック形状に形成され、一対が上部キャップ130の両側に位置してもよい。
【0089】
プレス部150は、ブロック移動ガイド156を含んでもよい。このブロック移動ガイド156は、離脱防止ブロック155が上部キャップ130と下部ボルスター152との間に移動したり、上部キャップ130と下部ボルスター152との間から外側に離脱するように離脱防止ブロック155の移動をガイドすることができる。
【0090】
一方、ブロック移動ガイド156は、下部ボルスター152の底面から下部ボルスター152の両側に突出するように備えられ、離脱防止ブロック155がブロック移動ガイド156の両側にそれぞれぶら下げられる形態に備えられるので、離脱防止ブロック155は、ブロック移動ガイド156の中央に集まるように移動したときは下部ボルスター152と上部キャップ130との間に位置し、ブロック移動ガイド156の両側にそれぞれ移動したときは下部ボルスター152と上部キャップ130との間から離脱するように構成されてもよい。
【0091】
このとき、下部ボルスター152には第3の駆動機構157が設置され、第3の駆動機構157によって離脱防止ブロック155がブロック移動ガイド156に沿って移動するように構成されてもよい。
【0092】
ここで、第3の駆動機構157は、公知の空圧シリンダーまたは油圧シリンダーに具現されてもよい。
【0093】
以下では、以上説明した各構成間の作用と効果を説明する。
【0094】
まず、
図4及び
図5に示したように、本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、圧力ベッセル120から上部キャップ130が開放された状態でメインフレーム110の貫通した部分から離脱し、シリンダー移動ガイド115の外側に突出した部分に位置する。
【0095】
そして、上部ボルスター151と下部ボルスター152は、第1の駆動機構159によって互いに密着した状態になり、上部キャップ130と下部ボルスター152との間に位置する離脱防止ブロック155は、上部キャップ130と下部ボルスター152との間から離脱してブロック移動ガイド156の両側に位置するようになり、上部キャップ130は、下部ボルスター152の下面に密着した状態になる。
【0096】
このとき、下部キャップ140は、第2の駆動機構126によって圧力ベッセル120の下端を密閉するように上部に移動した状態になる。
【0097】
このような初期状態で、圧力ベッセル120の開放された上部を介して圧力ベッセル120の内部に冷間等方圧成形を行う被加工物を投入する。
【0098】
被加工物が圧力ベッセル120に投入されると、
図6に示したように、底板125に備えられた走行機構127を作動させ、圧力ベッセル120がシリンダー移動ガイド115に沿ってメインフレーム110の貫通した部分、すなわち、上部キャップ130の下部に位置するように移動させる。
【0099】
このとき、圧力ベッセル120がメインフレーム110の貫通した部分の付近に位置すると、底板125に備えられたピニオン128がシリンダー移動ガイド115に備えられたラックギア部116と噛み合わせられ、ピニオン128の駆動によって正確な位置、より具体的には、上部キャップ130が圧力ベッセル120の内部に挿入される位置をセンサーによって調節する(
図2参照)。
【0100】
このように圧力ベッセル120が上部キャップ130の下部に位置すると、上部キャップ130が圧力ベッセル120を密閉するように第1の駆動機構159が作動し、上部ボルスター151から下部ボルスター152を下方に向かせ、離隔した上部ボルスター151と下部ボルスター152との間にプレス成形を行う被加工物を位置させる。
【0101】
このとき、上部ボルスター151と下部ボルスター152にそれぞれ上部金型及び下部金型を設置し、この上部金型と下部金型との間に被加工物が位置するように構成されてもよいことは当然である。
【0102】
そして、
図7に示したように、上部キャップ130と下部ボルスター152との間に備えられた離隔シリンダー部153を作動させることによって、上部キャップ130から下部ボルスター152を上部に離隔させ、第3の駆動機構157を作動させることによって、離隔した上部キャップ130と下部ボルスター152との間に離脱防止ブロック155が位置するようにブロック移動ガイド156の両側に位置した離脱防止ブロック155を移動させる。
【0103】
前記のように、被加工物の成形が準備されると、上部キャップ130の注入口133を介して圧力ベッセル120の内部に冷間等方圧成形を行う流体を注入する。
【0104】
このとき、流体は、高圧ポンプを通じて圧力ベッセル120の内部に注入され、圧力ベッセル120の圧力を上昇させることができる。
【0105】
一方、
図8に示したように、圧力ベッセル120に供給される流体によって圧力ベッセル120の圧力が高くなると、圧力ベッセル120の内部では被加工物の冷間等方圧成形を行うと同時に、圧力ベッセル120の上部キャップ130が上部に移動し、上部ボルスター151と下部ボルスター152との間に位置する被加工物を加圧する形態で一般プレス成形を行う。
【0106】
このとき、プレス部150が被加工物を加圧する圧力は、類似するサイズを有する通常の公知の油圧プレス装置の場合において圧力シリンダーに加えられる圧力が350bar未満の圧力であるのに比べると、1000bar〜7000barに至る遥かに大きい圧力であるので、プレス部150は、通常のプレス装置に比べると、より緻密な組織を有する被加工物を成形することができる。
【0107】
ここで、本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、冷間等方圧成形及びプレス成形を同時に行わず、冷間等方圧成形及びプレス成形のうちいずれか一つの成形のみを行えることは当然である。
【0108】
併せて、成形を終了した後は、圧力ベッセル120を加圧する流体の加圧力を解除するために排出バルブ145を開放し、排出管147を介して圧力ベッセル120に注入された流体を外部に排出し、成形を行うために作動していた各構成の作動順序とは逆順に各構成が動作し、初期状態に復帰する。
【0109】
そして、初期状態で第2の駆動機構126が作動して下部キャップ140を開放し、圧力ベッセル120に残留した流体を完壁に外部に排出することもできる。
【0110】
一方、
図9に示したように、本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100には、圧力ベッセル120の上端部分を中心にデッキプレート210が設置される。
【0111】
このデッキプレート210は、作業者が作業を行う作業レベルを区画するが、デッキプレート210の下部は、圧力発生ユニット、モールド洗浄槽、貯水槽、フィルターユニット、及び油圧構成品などが収容されて整備が行われるピットレベルに区画され、デッキプレート210の上部は、作業者が作業を行うグランドレベルに区画される。(未説明の図面符号250は、グランドレベルからピットレベルに進入するための点検用階段である。)
【0112】
ここで、本発明に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、特別な整備以外は、冷間等方圧プレスと一般プレスに必要な全ての作業、例えば、被加工物の装入及び装出などの作業を全てグランドレベルで行えるので、作業者の動線を最小化し、製品の生産性を向上させることができる。
【0113】
したがって、本発明の実施例に係る冷間等方圧プレスと一般プレス複合装備100は、冷間等方圧成形と一般プレス成形を同時に行うことによって、成形に要される時間を短縮させることができ、比較的簡単な構造によって製作費用を節減させることができる。
【0114】
また、従来のプレス成形時の圧力(概して350bar未満)より高い圧力(1000bar〜7000bar)でプレス成形を行うことによって、より緻密な組織を有する被加工物を成形することができる。
【0115】
また、冷間等方圧成形時に使用される流体でプレス成形を行うことによって、流体の消耗量を最小化することができる。
【0116】
また、冷間等方圧成形と一般プレス成形に必要な全ての作業をグランドレベルで行えるので、作業者の動線を最小化し、製品の生産性を向上させることができる。
【0117】
以上では、本発明の実施例を説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものでなく、本発明の実施例から本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって容易に変更され、均等なものと認められる範囲の全ての変更及び修正を含む。