特許第5861206号(P5861206)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861206
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】炭素質複合体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20160202BHJP
   C01G 49/06 20060101ALI20160202BHJP
   C01G 49/08 20060101ALI20160202BHJP
   B01J 23/745 20060101ALI20160202BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20160202BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C01B31/02 101B
   C01G49/06 B
   C01G49/08 A
   B01J23/745 M
   B01J20/20 A
   B01J20/30
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-214331(P2012-214331)
(22)【出願日】2012年9月27日
(65)【公開番号】特開2014-69973(P2014-69973A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100113181
【弁理士】
【氏名又は名称】中務 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180600
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 俊一郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 大造
(72)【発明者】
【氏名】古川 和己
【審査官】 山口 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−265510(JP,A)
【文献】 特開2014−019625(JP,A)
【文献】 特開2007−290949(JP,A)
【文献】 特開2013−035743(JP,A)
【文献】 特開昭58−167413(JP,A)
【文献】 特開平03−106442(JP,A)
【文献】 特開2004−083337(JP,A)
【文献】 特開2006−179558(JP,A)
【文献】 特開2009−270838(JP,A)
【文献】 Shu-Lei Chou et al.,High-surface-area α-Fe2O3/carbon nanocomposite: one-step synthesis and its highly reversible and enhanced high-rate lithium storage properties,Journal of Materials Chemistry,2010年,Vol.20,p.2092-2098
【文献】 A.-H. LU et al.,Spatially and Size Selective Synthesis of Fe-Based Nanoparticles on Ordered Mesoporous Supports as Highly Active and Stable Catalysts for Ammonia Decomposition,J. Am. Chem. Soc.,2010年,132,14152-14162.
【文献】 X. DONG et al.,Synthesis and Magnetic Properties of Mesostructured γ-Fe2O3/Carbon Composites by a Co-casting Method,Chem. Mater.,2007年,19,3484-3490.
【文献】 Ying Xiong et al.,Synthesis and magnetic properties of iron oxide nanoparticles/C and α-Fe/iron oxide nanoparticles/C composites,Journal of Magnetism and Magnetic Materials,2008年,Vol.320,p.107-112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B31/00−31/36
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素質複合体の製造方法であって、
鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程と、
前記第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程とを備え、
前記炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散し、前記酸化鉄の粒子の平均粒径が2〜100nmであり、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5であり、かつBET比表面積が200m/g以上であることを特徴とする炭素質複合体の製造方法。
【請求項2】
前記無定形炭素がグラフェンシートを含む請求項1記載の炭素質複合体の製造方法。
【請求項3】
保磁力が500Oe以下であり、飽和磁化が2〜50emu/gである請求項1又は2記載の炭素質複合体の製造方法。
【請求項4】
BJH法により求められる細孔容積が0.02〜0.5cm/gであり、平均細孔直径が1〜20nmである請求項1〜3のいずれか記載の炭素質複合体の製造方法。
【請求項5】
炭素原子に対する水素原子の比(H/C)が1未満である請求項1〜4のいずれか記載の炭素質複合体の製造方法。
【請求項6】
前記無定形炭素が水溶性の多糖を炭化させて得られたものである請求項1〜5のいずれか記載の炭素質複合体の製造方法。
【請求項7】
前記第2工程において、前記第1工程で得られた混合物を不活性ガス雰囲気下で80℃以上の温度で加熱する請求項1記載の炭素質複合体の製造方法。
【請求項8】
炭素質複合体からなる触媒前駆体の製造方法であって、
鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程と、
前記第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程とを備え、
前記炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散し、前記酸化鉄の粒子の平均粒径が2〜100nmであり、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5であり、かつBET比表面積が200m/g以上であることを特徴とする触媒前駆体の製造方法。
【請求項9】
炭素質複合体からなる吸着材の製造方法であって、
鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程と、
前記第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程とを備え、
前炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散し、前記酸化鉄の粒子の平均粒径が2〜100nmであり、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5であり、かつBET比表面積が200m/g以上であることを特徴とする吸着材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無定形炭素と酸化鉄を含む炭素質複合体の製造方法に関する。また、本発明は、当該炭素質複合体からなる触媒前駆体及び吸着材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無定形炭素は、熱的、化学的安定性に優れ、低コストで製造できることから様々な分野において炭素質材料として利用されている。無定形炭素とは、一般的に、ダイヤモンドやグラファイト(黒鉛)のような明確な結晶構造を持たないものをいう。無定形炭素は、比較的穏和な条件で有機物を炭化処理する方法などによって得ることができる。例えば、特許文献1には、有機物としてセルロースを用い、当該セルロースを450℃、5時間炭化処理することによって無定形炭素が得られることが記載されている。
【0003】
ところで、近年、無定形炭素などの炭素質材料に化学的な処理を施したり、炭素質材料と金属化合物とを複合化したりすることにより、炭素質材料に新たな機能を付加する手法が知られている。
【0004】
特許文献1には、セルロースを炭化して得られた、グラフェンシートを含む無定形炭素を、濃硫酸または発煙硫酸中で加熱処理(スルホン化処理)することが記載されている。これにより、当該無定形炭素にスルホ基が導入されて、固体酸が得られ、それを金属塩と反応させることによって金属触媒が得られることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、炭素質物質と金属含有物質を混合して、当該混合物を不活性ガス雰囲気中で1600℃〜2800℃に加熱することで得られるグラファイト被覆金属粒子が開示されている。そこには、上記金属含有物質の一例として、マグネタイト(Fe)やヘマタイト(Fe)などの酸化鉄磁性体も記載されている。しかしながら、特許文献2に開示されている複合材料は、酸化鉄の粒子をグラファイト(黒鉛)で覆ったものであり、その主成分は酸化鉄である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−268960号公報
【特許文献2】特開平9−143502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、炭素質材料が主成分でありながら外部磁場によって、その動きを制御することのでき、かつ比表面積の大きい炭素質複合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、炭素質複合体の製造方法であって、鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、前記第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程と、前記第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程とを備え、前記炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散し、前記酸化鉄の粒子の平均粒径が2〜100nmであり、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5であり、かつBET比表面積が200m/g以上であることを特徴とする炭素質複合体の製造方法を提供することによって解決される。
【0009】
このとき、前記無定形炭素がグラフェンシートを含むことが好ましい。保磁力が500Oe以下であり、飽和磁化が2〜50emu/gであることも好ましい。BJH法により求められる細孔容積が0.02〜0.5cm/gであり、平均細孔直径が1〜20nmであることも好ましい。炭素原子に対する水素原子の比(H/C)が1未満であることも好ましい。前記無定形炭素が水溶性の多糖を炭化させて得られたものであることも好ましい。
【0010】
上記課題は、炭素質複合体からなる触媒前駆体の製造方法であって、鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、前記第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程と、前記第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程とを備え、前記炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散し、前記酸化鉄の粒子の平均粒径が2〜100nmであり、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5であり、かつBET比表面積が200m/g以上であることを特徴とする触媒前駆体の製造方法を提供することによっても解決される。また、上記課題は、炭素質複合体からなる吸着材の製造方法であって、鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、前記第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程と、前記第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程とを備え、前記炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散し、前記酸化鉄の粒子の平均粒径が2〜100nmであり、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5であり、かつBET比表面積が200m/g以上であることを特徴とする吸着材の製造方法を提供することによっても解決される。
【0011】
前記第2工程において、前記第1工程で得られた混合物を不活性ガス雰囲気下で80℃以上の温度で加熱することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によって得られる炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散しているので、炭素質材料が主成分でありながら磁性を有し、外部磁場によってその動きを制御することができ、さらに比表面積も大きい。また、本発明の製造方法によれば、比表面積の大きな炭素質複合体を簡便に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】合成例1で得られた炭素質複合体の示差走査熱分析の結果を示した図である。
図2】合成例1で得られた炭素質複合体の走査型電子顕微鏡写真(SEM像)を示した図である。
図3】合成例1で得られた炭素質複合体の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)を示した図である。
図4】合成例1で得られた炭素質複合体の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)を示した図である。
図5】合成例2で得られた炭素質複合体の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)を示した図である。
図6】合成例1で得られた炭素質複合体のBJH法により解析した細孔分布曲線を示した図である。
図7】合成例1で得られた炭素質複合体のHK法により解析した細孔分布曲線を示した図である。
図8】合成例1で得られた炭素質複合体の粉末X線回折法による定性分析結果を示した図である。
図9】合成例1で得られた炭素質複合体のX線光電子分光法ワイドスキャン測定の結果を示した図である。
図10】合成例1及び2で得られた炭素質複合体のX線光電子分光法ナロースキャン測定(O1s)の結果を示した図である。
図11】合成例1及び2で得られた炭素質複合体のX線光電子分光法ナロースキャン測定(C1s)の結果を示した図である。
図12】合成例1及び2で得られた炭素質複合体のX線光電子分光法ナロースキャン測定(Fe2p)の結果を示した図である。
図13】合成例1で得られた炭素質複合体のメスバウアー分光法による分析結果を示した図である。
図14】合成例1で得られた炭素質複合体の赤外分光測定結果を示した図である。
図15】合成例1で得られた炭素質複合体のラマン分光測定の結果を示した図である。
図16】合成例1及び2で得られた炭素質複合体の磁気曲線を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の炭素質複合体は、無定形炭素のマトリックス中に平均粒径が2〜100nmの酸化鉄の粒子が分散したものである。このとき、微細な酸化鉄の粒子が、無定形炭素のマトリックス中に分散していることが重要であり、極めて微細な酸化鉄の粒子が無定形炭素のマトリックス中に分散していることにより、炭素質材料を主成分としながらも外部磁場によって、その動きを制御することができる炭素質複合体を提供することができる。
【0015】
ここで、無定形炭素とは、一般的に、ダイヤモンドやグラファイト(黒鉛)のような明確な結晶構造を持たない炭素材料をいう。本発明の炭素質複合体が無定形炭素を含むことは、X線回折法による測定で確認することができる。無定形炭素はX線回折において、シャープなピークが検出されないか、あるいはピークが検出されても、そのピークの形はブロードである。例えば、本願合成例で得られた炭素質複合体の場合、炭素質複合体の粉末X線回折パターンにおいて、半値幅(2θ)10〜30°付近にブロードなピークが観測され、炭素質複合体が無定形炭素を含み、結晶性の炭素材料を含まないことがわかる。
【0016】
本発明の炭素質複合体はBET比表面積が150m/gを超えることが重要である。このように本発明の炭素質複合体は比表面積が大きいので、当該炭素質複合体を触媒前駆体や吸着材などに用いる場合に特にメリットが大きい。比表面積は200m/g以上であることが好適である。一方、比表面積が大きすぎると炭素質複合体の機械的強度が低下するおそれがあるため、通常、2000m/g以下である。
【0017】
本発明の炭素質複合体において、無定形炭素がグラフェンシートを含むことが好適である。ここで、グラフェンシートとは、芳香族環が2次元の平面上に縮合して連なった構造を有するものである。炭素質複合体がグラフェンシートを含む場合、ラマンスペクトルにおいて、ダングリングボンドを持つ炭素原子に起因するDバンドとよばれるピークが1350cm−1付近に検出される。
【0018】
グラフェンシートの平均的なサイズは、ラマンスペクトルによるGバンドのピーク強度に対するDバンドの比(D/G)を根拠に算出することができる。例えば、本願合成例で得られた炭素質複合体では、比(D/G)が約0.8であり、そこに含まれるグラフェンシートの平均的なサイズが約1nmであった。一般的に、比(D/G)が小さいと、グラフェンシートのサイズが大きいこと示し、得られる無定形炭素は均質な安定した構造となる。一方、比(D/G)が大きいと、得られる無定形炭素は化学的に活性である。比(D/G)は、0.1〜2.25であることが好適であり、0.5〜2.0であることがより好適である。
【0019】
本発明の炭素質複合体は、炭素原子に対する水素原子の比(H/C)が1未満であることが好適であり、0.8以下であることがより好適である。比(H/C)が1以上である場合、炭化が不十分となり、無定形炭素が得られないおそれがある。一方、比(H/C)は0.1以上であることが好適であり、0.2以上であることがより好適である。比(H/C)が0.1未満である場合、炭素質複合体中のグラフェンシートが成長しすぎて化学的に安定化し、当該炭素質複合体に官能基を導入することが難しくなるおそれがある。
【0020】
本発明の炭素質複合体がカルボキシル基及び水酸基を有することが好ましい。これによって、炭素質複合体に種々の官能基を導入することができる。ここで、カルボキシルの含有量は、0.1〜10mmol/gであることが好適であり、0.2〜5mmol/gであることがより好適である。また、水酸基の含有量は、0.1〜10mmol/gであることが好適であり、0.2〜5mmol/gであることがより好適である。
【0021】
本発明の炭素質複合体に含まれる酸化鉄の種類は特に限定されず、マグネタイト(Fe)、ヘマタイト(Fe)より好適にはマグヘマイト(γ−Fe)などが例示される。そして、その平均粒径は、2〜100nmであり、好適には、5〜50nmである。ここで、酸化鉄の粒子の平均粒径は、炭素質複合体の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)の撮影を行い、得られた写真中の粒子の直径を計測することによって得られる。粒子が円形でない場合には、円相当径を直径とする。このような微細な酸化鉄の粒子を含むことによって、炭素質材料を主成分としつつ、外部磁場によって、その動きを制御することができる炭素質複合体となる。
【0022】
本発明の炭素質複合体は、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001〜0.5である。炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.001未満である場合、炭素質複合体の磁性が不十分となり、外部磁場によって、その動きを制御し難くなるおそれがある。炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)は0.005以上であることが好適であり、0.01以上であることがより好適である。一方、炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)が0.5を超えると、例えば、本発明の炭素質複合体をスルホン化処理して固体酸とする場合、スルホ基が導入され難くなるおそれがある。炭素原子に対する鉄原子の比(Fe/C)は0.25以下であることが好適であり、0.1以下であることがより好適である。
【0023】
本発明の炭素質複合体は、その保磁力が小さいこと、すなわち軟磁性であることが好ましい。具体的には、保磁力が500Oe以下であることが好適であり、200Oe以下であることがより好適であり、100Oe以下であることがさらに好適である。保磁力が500Oeを超えると残留磁化が大きくなり、炭素質複合体同士が磁気的に凝集してしまうおそれがある。したがって、本発明の炭素質複合体の磁化曲線は、ヒステリシスがほとんど見られないことが好ましい。
【0024】
本発明の炭素質複合体の飽和磁化は2〜50emu/gであることが好適であり、4〜20emu/gであることがより好適である。飽和磁化が2emu/g未満である場合、外部磁場に対する炭素質複合体の応答性が低下するため好ましくない。一方、飽和磁化が50emu/gを超える場合、炭素質材料を主成分とする炭素質複合体を作製し難くなるため好ましくない。
【0025】
本発明の炭素質複合体のBJH法により求められる細孔容積は0.02〜0.5cm/gであることが好適である。細孔容積が0.02cm/g未満である場合、炭素質複合体に官能基を導入することが難しくなるおそれがある。一方、細孔容積が0.5cm/gを超える場合、炭素質複合体の機械的強度が低下するおそれがある。
【0026】
本発明の炭素質複合体のBJH法により求められる平均細孔直径は1〜20nmであることも好適である。平均細孔直径が1nm未満である場合、炭素質複合体に官能基を導入することが難しくなるおそれがある。一方、平均細孔直径が20nmを超える場合、炭素質複合体の機械的強度が低下するおそれがある。より好適には10nm以下である。
【0027】
本発明の炭素質複合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、その好適な製造方法は、鉄塩と水溶性の多糖とを水の存在下で混合する第1工程と、当該第1工程で得られた混合物を炭化させる第2工程とを備えるものである。
【0028】
第1工程で用いられる鉄塩は、水の存在下で多糖と混合、加熱することにより酸化物となるものであれば特に限定されるものではない。鉄塩としては、例えば、硝酸鉄、塩化鉄、硫酸鉄、酢酸鉄などが例示される。その中でも分解温度が低くて、分解後にアニオン成分が揮発して残らない点から鉄塩が硝酸鉄であることが好ましい。また、第1工程で用いられる多糖は、水溶性の多糖であれば特に限定されるものではない。例えば、水溶性の多糖として、セルロース誘導体及びその塩、デンプン、デキストリンなどが挙げられる。これらの中でも、セルロース誘導体及びその塩が好適であり、水溶性の観点からセルロース誘導体の塩がより好適である。セルロース誘導体としてはカルボキシメチルセルロース、塩としてはアルカリ金属塩などが好適なものとして例示される。
【0029】
第1工程における混合操作は特に限定されない。金属塩の水溶液に多糖の粉体を加えて混合してもよいし、多糖の水溶液に鉄塩の粉体を加えて混合してもよい。鉄塩の粉体と多糖の粉体とを水に加えて混合してもよい。また、鉄塩の水溶液と多糖の水溶液とを混合してもよい。第1工程において用いられる水の種類は限定されず、イオン交換水、蒸留水など十分精製した水だけでなく水道水も使用可能である。
【0030】
次に、第2工程において、炭化処理することで炭素質複合体を得る。当該炭化処理は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で加熱することにより行うことが好適である。第2工程で炭化処理する前に、第1工程で得られた混合物を予め乾燥させて水分を取り除いておくことが好ましい。乾燥方法は特に限定されず、加熱乾燥や減圧乾燥などを採用することができる。加熱乾燥する際の乾燥温度は、混合物中の水分を取り除くことのできる温度であれば特に限定されないが、40℃以上であることが好適である。乾燥温度が40℃未満である場合、混合物中の水分を十分に取り除くことができないおそれがある。乾燥温度は60℃以上がより好適である。また、エネルギー消費の面やコストの面から、乾燥温度は通常100℃以下である。このときの乾燥温度とは、混合物の乾燥に用いられる乾燥装置内の設定温度のことである。乾燥時間は乾燥温度との関係で設定されるが、混合物中の水分を十分に取り除くことができるように適宜設定すればよい。
【0031】
第2工程における加熱温度は、上記混合物の炭化が進行するのであれば特に限定されないが、80℃以上であることが好適である。加熱温度が80℃未満である場合、多糖の炭化が不十分となったり、鉄塩が酸化されなかったりして、無定形炭素のマトリックス中に酸化鉄の粒子が分散した炭素質複合体を得ることができなくなるおそれがある。このときの加熱温度とは、混合物の炭化に用いられる加熱装置内の設定温度のことである。第1工程で得られた混合物は、乾燥状態にもよるが、80℃以上に加熱すると自己燃焼が始まり当該混合物自体の温度が400℃以上に達して炭化を進行させることができる。加熱温度は100℃以上がより好適であり、150℃以上がさらに好適である。一方、加熱温度が1000℃以下であることも好適である。加熱温度が1000℃を超える場合、炭化が進行した結果、炭素質複合体中のグラフェンシートが成長しすぎて、官能基の導入が困難になるおそれがある。エネルギー消費の面やコストの面から、加熱温度は800℃以下がより好適であり、600℃以下がさらに好適である。加熱時間は加熱温度との関係で設定されるが、多糖の炭化が十分に進行するように適宜設定すればよい。
【0032】
また、加熱装置は特に限定されず、電熱式、熱風式、直火式のいずれの加熱装置も使用することができる。また、混合物の炭化により発生するガスと当該ガスに含まれる固体粒子とを分別するために、加熱装置に集塵装置が接続されていることが好ましい。集塵装置は特に限定されず、サイクロン式の集塵装置やフィルタ式の集塵装置が採用される。炭化処理の均一性や炭化物の連続生産性の観点から工業的にはロータリーキルンを使用して混合物を炭化することが好ましい。さらに、発生したガスは予め水などで洗浄してから排出することが好ましい。
【0033】
本発明の炭素質複合体の製造方法は、第2工程で得られた炭化物を水洗する第3工程を、さらに備えることが好ましい。第2工程で得られた炭化物に金属塩が残留している場合、炭化物を水洗することで金属塩が除去され比表面積の大きな炭素質複合体を得ることができる。洗浄方法は特に限定はされず、水と炭化物とを接触させ当該炭化物に含まれる金属塩を抽出する方法や、水と炭化物とを混合してから濾材を用いて濾別する方法などが挙げられる。抽出にはソックスレー抽出器などを用いることができ、濾過には桐山ロート、ブフナロートなどを用いることができる。洗浄に使用する水は特に限定されないが、蒸留水やイオン交換水などが好ましい。また、効率的に金属塩を除去するために塩酸や酢酸などの酸が少量含まれた水溶液を用いてもよい。
【0034】
このようにして得られた本発明の炭素質複合体の粒径は通常数μm〜数百μm程度であるが、粉砕することにより、より細かい粒径とすることもできる。
【0035】
本発明の炭素質複合体の好適な実施態様は触媒前駆体である。本発明の炭素質複合体は、多孔質であって比表面積が大きいので、官能基を導入したり、遷移金属や酵素などを担持させたりして触媒とすることができる。したがって、本発明の炭素質複合体は、このような触媒前駆体として好適である。
【0036】
本発明の炭素質複合体の好適な実施態様は吸着材である。本発明の炭素質複合体は、比表面積の大きい多孔質体であるため吸着材として用いることもできる。吸着させる物質は特に限定されないが、セシウムイオンなどのアルカリ金属イオン、ストロンチウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン、メチレンブルーなどの塩基性分子、ヨウ素などを例示することができる。本発明の炭素質複合体は表面にカルボキシル基などの酸性の官能基を有する場合が多いので、吸着させる物質としてはアルカリ性の物質が好適である
【実施例】
【0037】
以下、合成例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【0038】
合成例1
硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO)0.5gを100mLの蒸留水に溶かして硝酸鉄の水溶液を得た。得られた水溶液に粉状のカルボキシメチルセルロースナトリウム(和光純薬工業株式会社製、型番:039−01335、以下CMC・Naと略すことがある)1.0gを投入して撹拌し、ゲル状の沈殿物を得た。そして、得られたゲル状の沈殿物の水分が無くなるまで、恒温乾燥炉を用いて60℃、約5日間乾燥した。その後、乾燥した沈殿物を三口フラスコに移し、当該三口フラスコ中において、窒素雰囲気下で、200℃、1時間加熱して炭化処理し、炭素質複合体を得た。
【0039】
合成例2
容量が20Lの容器に硝酸鉄(III)九水和物(Fe(NO・9HO)120gと水道水16Lとを入れ、ポータブルミキサーを用いて撹拌した。得られた水溶液に粉体計量供給機を用いて粉状のCMC・Na(和光純薬工業株式会社製、型番:039−01335)240gを投入してさらに撹拌し、ゲル状の混合物を得た。得られたゲル状の混合物の水分が無くなるまで、送風式乾燥炉を用いて65℃で3日間乾燥して、300gの乾燥した混合物を得た。そして、乾燥した混合物を粉砕機を用いて微粉砕した後、サイクロン式の集塵装置が接続された加熱容器に入れ、窒素雰囲気下で、250℃、1時間加熱して炭化処理した。得られた炭化物をソックスレー抽出器を用いて蒸留水で6時間洗浄した後、恒温乾燥炉を用いて105℃、約24時間乾燥し、炭素質複合体を得た。以下の測定では、ふるい分けをして得た、粒径が150μm以下の炭素質複合体を用いた。
【0040】
[示差走査熱分析]
合成例1で得られた炭素質複合体3.554mgについて、示差熱・熱重量測定装置(TG/DTA)を用いて、空気雰囲気下で10℃/minの昇温条件で示差走査熱分析を行った。結果を図1に示す。図1に示すように、合成例1で得られた炭素質複合体では、330℃及び420℃付近に酸化分解に起因すると考えられる発熱ピークが確認された。示差熱・熱重量測定装置は、株式会社リガク社製のTG8120を用いた。
【0041】
[SEM観察]
走査型電子顕微鏡装置(SEM)を用いて、合成例1で得られた炭素質複合体について電子顕微鏡写真(SEM像)の撮影を行った。結果を図2に示す。得られた写真から、数nm〜数十nmの孔が多数確認された。走査型電子顕微鏡装置は、株式会社日立ハイテクノロジーズ社製のS−3000Nを用いた。
【0042】
[TEM観察]
透過型電子顕微鏡装置(TEM)を用いて、合成例1及び2で得られた炭素質複合体それぞれについて電子顕微鏡写真(TEM像)の撮影を行った。合成例1で得られた炭素質複合体のTEM像を図3及び4に、合成例2で得られた炭素質複合体のTEM像を図5に示す。得られた写真から、いずれも炭素質複合体中に5〜50nm程度の粒子が存在することがわかった。ここで、粒子が円形でない場合には、円相当径を直径とした。透過型電子顕微鏡装置は、株式会社トプコンテクノハウス社製のEM002BFを用いた。
【0043】
[比表面積、細孔容積、細孔直径の測定]
比表面積・細孔分布測定装置を用いて、窒素吸着法(BET法)により、合成例1及び2で得られた炭素質複合体それぞれの吸着等温線を測定した。その結果、合成例1及び2で得られた炭素質複合体のBET比表面積は、それぞれ100.6m/g及び244.6m/gであった。また、合成例1及び2で得られた炭素質複合体について、BJH(Barrett,Joyner,and Halenda)法による解析を行い、炭素質複合体の平均細孔直径及び全細孔容積をそれぞれ算出した。その結果、合成例1で得られた炭素質複合体の平均細孔直径は4.98nm、全細孔容積は0.125cm/gであった。合成例2で得られた炭素質複合体の平均細孔直径は3.57nm、全細孔容積は0.218cm/gであった。合成例1で得られた炭素質複合体についてBJH法により解析した細孔分布曲線を図6に示す。
【0044】
合成例1で得られた炭素質複合体について、HK(Horvath−Kawazoe Method)法による解析から、炭素質複合体の孔幅を算出したところ、孔幅が約0.8nmであった。合成例1で得られた炭素質複合体についてHK法により解析した細孔分布曲線を図7に示す。比表面積・細孔分布測定装置は、Quantachrome Instruments社製のNOVE 4200eを用いた。
【0045】
[粉末X線回折法による分析]
X線回折装置を用いて、Cu−Kα線による粉末X線回折法により、合成例1で得られた炭素質複合体について定性分析を行った。その結果を図8に示す。図8に示すように、半値幅(2θ)が10〜30°付近にブロードなピークが確認され、炭素質複合体はグラフェンシートが乱雑に集合した無定形炭素を含むことがわかった。図8において、半値幅(2θ)が45〜50°付近のピークは炭酸ナトリウム(NaCO)由来であることがわかり、合成例1の炭素質複合体は炭酸ナトリウム(NaCO)を含むことがわかった。また、合成例1で得られた炭素質複合体において、半値幅(2θ)が30°、35°、43°、53°、57°、63°付近にそれぞれピークが確認され、炭素質複合体はマグネタイト(Fe)を含むこともわかった。半値幅(2θ)が33°、35°、40°、63°付近にそれぞれピークが確認され、炭素質複合体はマグヘマイト(γ−Fe)を含むこともわかった。
【0046】
X線光電子分光装置を用いて、X線光電子分光法により、合成例1で得られた炭素質複合体についてワイドスキャン測定を行った。合成例1で得られた炭素質複合体についての結果を図9に示す。得られた結果より、ワイドスキャン測定により検出される元素が、C1s(炭素)、N1s(窒素)、O1s(酸素)、Fe2p(鉄)、及びNa1s(ナトリウム)であった。
【0047】
また、ナロースキャンによる測定を行ったところ、図10に示すように、O1sスペクトルより、マグヘマイト(γ−Fe)に由来するピークと、有機化合物に由来するピークがそれぞれ確認された。また、合成例1で得られた炭素質複合体についてはNaCOに由来するピークが確認されたが、合成例2で得られた炭素質複合体については確認されなかった。
【0048】
図11に示すように、C1sスペクトルより、C−C(H)に由来するピークがそれぞれ確認された。また、合成例1で得られた炭素質複合体についてはNaCOの−COに由来するピークが確認されたが、合成例2で得られた炭素質複合体については確認されなかった。
【0049】
図12に示すように、Fe2pスペクトルのメインピークの結合エネルギーの値から、合成例1及び2で得られた炭素質複合体について、マグヘマイト(γ−Fe)の存在が確認できた。X線光電子分光装置は、アルバック・ファイ株式会社製のQuantera SXMを用いた。
【0050】
[メスバウアー分光法による分析]
メスバウアー分光装置を用いて、メスバウアー分光法により、合成例1で得られた炭素質複合体についてメスバウアースペクトルを測定した。結果を図13に示す。図13に示すように、室温(293K)で測定を行った結果、スペクトル中央付近に主要なピークとしてブロードな見かけ上のシングレットピークが観測された。また、ブロードな磁気分裂ピークも観測された。合成例1で得られた炭素質複合体において、粉末X線回折法による測定結果から含有が予想される成分(γ−Fe又はFe)から大きく異なっており、常磁性成分が多くを占めていることがわかった。透過型電子顕微鏡写真から考察すると、超常磁性体(粒径10nm以下)がいずれの炭素質複合体にも存在していることがわかった。また、磁気分裂ピークを観察するため、液体窒素温度(78K)で測定を行った。その結果、合成例1で得られた炭素質複合体においては、磁気分裂ピークが主要成分となった。
【0051】
また、合成例1で得られた炭素質複合体についてのピークの裾が全て磁気分裂によるものと仮定して解析を行った。その結果、合成例1で得られた炭素質複合体のスペクトルは、ほぼ単一の磁性成分(γ−Fe)と解釈できた。
【0052】
[元素分析]
合成例1及び2でそれぞれ得られた炭素質複合体について、燃焼法による元素分析を行った(分析A)。また、合成例1で得られた炭素質複合体については、上記X線光電子分光装置を用いて、ナロースキャン測定による定量分析も行った(分析B)。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
[赤外分光法による分析]
フーリエ変換赤外分光装置(FT−IR)を用いて、KBr法により、合成例1で得られた炭素質複合体について赤外分光測定を行った。結果を図14に示す。図14に示すように、1595〜1603cm−1にOHのベンディングによるピークが確認された。また、1448および880cm−1に炭酸ナトリウムに起因するピークが確認された。フーリエ変換赤外分光装置は、サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製のNicolet 6700 FT−IRを用いた。
【0055】
[ラマン分光法による分析]
ラマン分光測定装置を用いて、合成例1で得られた炭素質複合体についてラマン測定を行った。結果を図15に示す。図15に示すように、1580cm−1付近にGバンドと呼ばれるピークが、1350cm−1付近にDバンドと呼ばれるピークがそれぞれ確認された。Gバンドは炭素原子の六角格子内振動に起因するピークであり、Dバンドは無定形炭素等のダングリングボンドを持つ炭素原子に起因するピークである。そのため、Dバンド/Gバンドの強度比が大きければ大きいほど炭素質複合体に含まれるグラフェンシートのサイズが大きくなる。Gバンドのピーク強度に対するDバンドの比が約0.8であり、これを根拠に、合成例1で得られた炭素質複合体に含まれるグラフィンシートの平均的なサイズがいずれも約1nmであることがわかった。ラマン分光測定装置は、Jobin Yvon社製のT−64000を用いた。
【0056】
[磁気特性の測定]
試料振動式磁力計を用いて、合成例1得られた炭素質複合体11.00mg及び合成例2で得られた炭素質複合体27.22mgをそれぞれアクリル製ホルダーに詰めて磁気特性を測定した。その結果を図16に示す。合成例1で得られた炭素質複合体の保磁力は約100Oeであった。合成例2で得られた炭素質複合体の保磁力は約50Oeであった。そして、いずれの磁気曲線にもヒステリシスがほとんど見られず、軟磁性であることがわかった。合成例1で得られた炭素質複合体の飽和磁化は約12emu/gであり、合成例2で得られた炭素質複合体についての飽和磁化は約15emu/gであった。振動試料型磁力計は、東英工業株式会社製のVSM−15を用いた。
【0057】
【表2】
図1
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図2
図3
図4
図5