(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)と(B)との質量比が、(A)/(B)=1.5/1〜2.7/1であって、かつ(A)と(B)との合計量が、組成物の全量を基準にして70〜95質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の土壌改良剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(A) 式(1)で示される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル
式(1)中、R
1は、炭素数13〜21の鎖式炭化水素基である。炭素数15〜19の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。炭素数15〜19の直鎖アルキル基又はアルケニル基がより好ましい。炭素数17又は19の直鎖アルキル基又はアルケニル基がさらに好ましい。炭素数17の直鎖アルケニル基が最も好ましい。
後述するとおり、式(1)の化合物は脂肪酸を原料にして製造される。従って、前記式(1)のR
1は、脂肪酸残基R
1COの一部である。R
1COの具体例としては、ミリスチン酸、5−メチルテトラデカン酸、2,2−ジメチルテトラデカン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ソーマリン酸(9−ヘキサデセン酸)、マーガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸(11−オクタデセン酸)、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ガドレイン酸、エイコサジエン酸、リシノール酸(ひまし油)、エルカ酸、ブラシジン酸、アラキドン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸(ひまし油)、エライジン酸、イソステアリン酸、パーム由来C18混合脂肪酸、ナタネ由来C18混合脂肪酸、パーム核由来C14〜C18混合脂肪酸等の脂肪酸に基づく脂肪酸残基が挙げられる。原料となる脂肪酸は、単独で用いても良いし、組み合わせて用いることもできる。
R
2は、炭素数1〜3の鎖式炭化水素基である。具体的には、R
2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピルである。メチル又はエチルが好ましい。メチルが特に好ましい。原料となる一価アルコールは単独で用いても良いし、組み合わせて用いることもできる。
【0008】
エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数mは2〜10、好ましくは3〜7、より好ましくは4〜7、さらに好ましくは5である。EOの平均付加モル数が2未満の場合も、10を超えた場合も、薬害の発生を抑制できない場合があるため、好ましくない。
プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数nは1〜4、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。POの平均付加モル数が1未満の場合も、4を超えた場合も、薬害の発生を抑制できない場合があるため、好ましくない。
(A)としては、C
17H
33CO(EO)
5(PO)
3OCH
3又はC
19H
35CO(EO)
4(PO)
3OC
2H
5が特に好ましい。とりわけ、C
17H
33CO(EO)
5(PO)
3OCH
3が好ましい。
前記式(1)で示される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、市販品を使用することもできるし、公知の方法により製造することもできる。製造方法は特に限定されず、例えば国際公開2009/142304号に記載の各種製造方法が適用できる。
前記式(1)で示される脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの配合量は、本発明の土壌改良剤組成物全体に対して10〜80質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましく、50〜80質量%がさらにより好ましい。
【0009】
(B) 式(2)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル
式(2)中、R
3は、炭素数8〜14の直鎖又は分岐鎖の鎖式炭化水素基である。炭素数10〜13の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。炭素数10〜13の分岐鎖アルキル基がより好ましい。炭素数10又は13の分岐鎖アルキル基が最も好ましい。
R
3は、具体的には天然脂肪酸から誘導されるアルコール由来の鎖式炭化水素基であるラウリル基、ミリスチル基及び/又は、オキソ反応によって得られる分岐一級アルコール、ガーベット反応によって得られる分岐一級アルコール、ソフタノール(登録商標)等の分岐または直鎖状の二級アルコール、などの合成アルコール由来の鎖式炭化水素基であるオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基などが挙げられる。これらは単独で用いても良いし、組み合わせることもできる。
エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数xは7〜12、好ましくは7〜10、より好ましくは8である。7未満でも、12を超えても土壌への水の浸透性が低下するため好ましくない。
プロピレンオキシド(PO)の平均付加モル数yは0〜3、好ましくは0〜2、より好ましくは0である。平均付加モル数yが3を超えると土壌への水の浸透性が低下するため好ましくない。
【0010】
(B)としては、アルキル基が分岐鎖のC
10H
21O(EO)
8H又はC
13H
27O(EO)
9Hが特に好ましい。とりわけ、アルキル基が分岐鎖のC
10H
21O(EO)
8Hが好ましい。
【0011】
前記式(2)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、市販品を使用することもできるし、公知の方法により製造することもできる。
前記式(2)で示されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルの配合量は、本発明の土壌改良剤組成物全体に対して10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
【0012】
(A)が、C
17H
33CO(EO)
5(PO)
3OCH
3なる式で表される化合物(直鎖アルケニル、脂肪酸残基はオレイン酸由来である)であり、(B)が、C
10H
21O(EO)
8H なる式で表される化合物(分岐アルキル)であるのがなかでも特に好ましい。
(A)と(B)との質量比は、1.2/1〜3.6/1であることが好ましく、1.5/1〜2.7/1であることがより好ましい。1.2未満では、薬害が発生する場合がある。3.6を超えると土壌への水の浸透性の向上の程度が小さい。
(A)と(B)との合計量は、組成物の全量を基準にして、50〜95質量%であるのが好ましく、60〜95質量%であるのがより好ましく、70〜95質量%であるのがさらに好ましく、90質量%であるのが最も好ましい。
【0013】
特に、(A)と(B)との質量比が、(A)/(B)=1.5/1〜2.7/1であって、かつ(A)と(B)との合計量が、組成物の全量を基準にして70〜95質量%であるのが好ましい。(A)と(B)との質量比が、(A)/(B)=2.0/1であって、かつ(A)と(B)との合計量が、組成物の全量を基準にして90質量%であるのがさらに特に好ましい。
【0014】
更に、組成物の全量を基準にして、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは5〜15質量%の水を含有するのが好ましい。このような割合の水を含有すると、組成物の保存安定性が向上するので好ましい。
【0015】
本発明の土壌改良剤組成物は、上記必須成分に加えて、任意成分として本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、上記式(1)及び(2)以外の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、塩類、増粘剤、減粘剤、殺菌剤、溶剤、香料、着色料等を配合することができる。
溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等の親水性有機溶媒があげられる。本発明の組成物は、溶剤を含んでも含まなくてもよいが、含まないのが好ましい。
本発明の土壌改良剤組成物は、通常の方法により、例えば各成分を混合攪拌等することにより製造することができ、水溶液剤型、水性分散液剤型などの各種の剤型とすることができる。
【0016】
本発明の土壌改良剤組成物は、通常、AとBとの合計濃度が、0.04〜0.4質量%になるよう水等で希釈して、噴霧器、好ましくは電動噴霧器により散布して使用される。散布量は、当業者であれば、芝草の状態等に応じて適宜変更することができる。本発明の土壌改良剤組成物の適用対象としては、例えば、ゴルフ場のグリーン、フェアーウェイ及びラフ、公園等の芝草が挙げられ、中でもゴルフ場のグリーンに対して有効である。
以下に、実施例及び比較例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
〔実施例1-1、1-2及び比較例1-1及び1-2〕
(A)及び(B)成分として、下記の化合物を、表1に記載した割合で使用し、撹拌混合することにより土壌改良剤組成物を調製した。尚、表中の質量%は、組成物の全量を基準とし、配合された成分の純分換算した質量%を示す。
調製した土壌改良剤組成物の浸透性、常温での薬害発生、高温及び低温での保存安定性を、下記の方法により測定した。結果を表1に示す。
(A)成分
A-1:C
15H
31CO(EO)
8(PO)
2OCH
3(ラボ合成品、直鎖アルキル、脂肪酸残基はパルミチン酸由来である)
A-2:C
17H
33CO(EO)
6(PO)
3OCH
3(ラボ合成品、直鎖アルケニル、脂肪酸残基はオレイン酸由来である)
(B)成分
B-1:C
14H
29O(EO)
12H(ラボ合成品、直鎖アルキル)
B-2:C
12H
25O(EO)
9H(ラボ合成品、直鎖アルキル)
【0018】
〔実施例2-1〜2-13及び比較例2-1〜2-4〕
(A)及び(B)成分として、下記の化合物を、表2及び表3に記載した割合で使用し、撹拌混合することにより土壌改良剤組成物を調製した。尚、表中の質量%は、組成物の全量を基準とし、配合された成分の純分換算した質量%を示す。
調製した土壌改良剤組成物の浸透性、常温及び高温での薬害発生、高温及び低温での保存安定性を、下記の方法により測定した。結果を表2及び表3に示す。
(A)成分
a-1:C
17H
33CO(EO)
5(PO)
3OCH
3(レオファットOC-0503M(ライオン(株)製)、直鎖アルケニル、脂肪酸残基はオレイン酸由来である)
a-2:C
19H
35CO(EO)
4(PO)
3OC
2H
5(ラボ合成品、直鎖アルケニル、脂肪酸残基はエイコサジエン酸由来である)
a-3:C
15H
31CO(EO)
8(PO)
2OCH
3(ラボ合成品、直鎖アルキル、脂肪酸残基はパルミチン酸由来である)
a-4:C
17H
33CO(EO)
11OCH
3(ラボ合成品、直鎖アルケニル、脂肪酸残基はオレイン酸由来である)
(B)成分
b-1:C
10H
21O(EO)
8H(ノイゲンXL-80(第一工業製薬(株)製)、分岐アルキル)
b-2:C
13H
27O(EO)
9H(レオコールTD-90(ライオン(株)製)、分岐アルキル)
b-3:C
13H
27O(EO)
7(PO)
3H(ライオノールTD-730(ライオン(株)製)、分岐アルキル)
b-4:C
13H
27O(EO)
15H(レオコールTD-150(ライオン(株)製)、分岐アルキル)
【0019】
[浸透性]
ドレーブス(Draves)法(皆川基ら編、「洗剤・洗浄百科事典」、朝倉書店、191-192頁、2003年)を、本発明に即して変更した方法を用いて評価した。具体的には以下の通りである:
試験布として、縦20cm×横3cmのウールフェルト片を用意する。
試験液として、土壌改良剤組成物の0.1質量%水溶液(%はAとBとの合計)を用意する。
約0.1gの虫ピンの一端をかぎ型に曲げ、試験布を引っ掛ける。虫ピンの他端に約3cmのナイロン糸を結びつけ、錘に括りつける。
試験液を1000mLメスシリンダーに注ぎ、そこへ、錘を先にして試験布を沈め、試験布が液中で浮遊した状態とする。試験布全体が試験液に浸った時から虫ピンフックが沈みはじめる瞬間(かぎと錘との間のナイロン糸がゆるんだ瞬間)までの時間(浸透時間)を計る。浸透時間が短いほど、浸透性は良好であることを意味する。
以下の基準で評価した。
A:浸透時間15秒未満
B:浸透時間15秒以上、20秒以下
C:浸透時間20秒超
【0020】
[常温での薬害発生]
250倍に希釈した土壌改良剤組成物2Lを、気温20〜29℃の昼間に、ゴルフ場グリーンに1L/m
2の散布量で、手動噴霧器を用いて散布した。散布4日後の芝の状態を目視にて観察し、黄色く変色した芝部分の割合を黄色く変色した芝部分の大きさに合わせて切り取った厚紙の重量で測定した。
すなわち、
黄色く変色した芝部分の割合(質量%)=(黄色く変色した芝部分の大きさに合わせて切り取った厚さが一様の厚紙の重量/2m
2の厚さが一様の厚紙の重量)×100
A:黄色く変色した芝部分の割合が1質量%未満
B:黄色く変色した芝部分の割合が1〜5質量%
C:黄色く変色した芝部分の割合が5質量%を超える
【0021】
[高温での薬害発生]
250倍に希釈した土壌改良剤組成物2Lを、気温30℃以上の昼間に、ナーセリー(ゴルフ場の予備芝育成場)に1L/m
2の散布量で、手動噴霧器を用いて散布した。散布4日後の芝の状態を目視にて観察し、黄色く変色した芝部分の割合を黄色く変色した芝部分の大きさに合わせて切り取った厚紙の重量で測定した。
すなわち、
黄色く変色した芝部分の割合(質量%)=(黄色く変色した芝部分の大きさに合わせて切り取った厚さが一様の厚紙の重量/2m
2の厚さが一様の厚紙の重量)×100
A:黄色く変色した芝部分の割合が1質量%未満
B:黄色く変色した芝部分の割合が1〜5質量%
C:黄色く変色した芝部分の割合が5質量%を超える
【0022】
[高温保存安定性]
土壌改良剤組成物50mLを、直径40mm、高さ75mmの円筒ガラス瓶に収容し、フタを閉めて密封した。この状態で、40℃の恒温槽内で1ヶ月間保存した。保存後の土壌改良剤組成物の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:均一透明。
B:僅かに白濁又は析出が見られるが室温に戻すと均一。
C:一部に白濁又は析出が見られる。
【0023】
[低温保存安定性]
土壌改良剤組成物50mLを、直径40mm、高さ75mmの円筒ガラス瓶に収容し、フタを閉めて密封した。この状態で、−5℃の恒温槽内で1ヶ月間保存した。保存後の土壌改良剤組成物の外観を目視にて観察し、以下の基準で評価した。
A:均一透明。
B:僅かに白濁又は析出が見られるが室温に戻すと均一。
C:一部に白濁又は析出が見られる。
【0024】
【表1】
【0025】
表1からわかるように、実施例1-1及び1-2の土壌改良剤組成物は、浸透性に優れ、常温での薬害発生を抑制することができる。
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
表2及び表3からわかるように、実施例2-1〜2-13の土壌改良剤組成物は、浸透性に優れ、常温及び高温での薬害発生を抑制し、高温及び低温での保存安定性に優れる。