特許第5861238号(P5861238)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861238
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】通信制御装置及び通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/70 20130101AFI20160202BHJP
【FI】
   H04L12/70 F
   H04L12/70 D
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-73137(P2012-73137)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-207473(P2013-207473A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】土屋 英雄
【審査官】 衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−046175(JP,A)
【文献】 特開2008−079175(JP,A)
【文献】 特開2003−032287(JP,A)
【文献】 渡邊 貴則 他,動的な配信方式選択による帯域効率化の提案,電子情報通信学会2011年通信ソサイエティ大会講演論文集2,2011年 8月30日,p.45
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00〜12/955
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一仮想LAN及び第二仮想LANを含むネットワークを構成する中継装置と通信可能な通信制御装置であって、
共通仮想LANに接続された通信装置として動作することを指示する端末指示情報を、前記第一仮想LANに接続されマルチキャストアドレス宛のデータを要求する第一通信装置と、前記第二仮想LANに接続され前記マルチキャストアドレス宛のデータを要求する第二通信装置と、に対して送信し、前記中継装置に対して前記第一通信装置及び前記第二通信装置を前記共通仮想LANに接続された通信装置として取り扱うことを指示する中継指示情報を送信する指示部と、
前記第一通信装置及び前記第二通信装置に所定のフレームを送信することによって、前記ネットワークの構成を把握するネットワーク構成把握部と、
を備え、
前記指示部は、前記ネットワーク構成把握部により把握された前記ネットワークの構成に基づいて、前記端末指示情報及び前記中継指示情報を生成する、
通信制御装置。
【請求項2】
前記ネットワークにおける前記マルチキャストアドレス宛のデータの通信に要する帯域が所定の条件を満たすか否か判定する判定部をさらに備え、
前記指示部は、前記判定部が前記所定の条件を満たすと判定した場合に前記端末指示情報及び前記中継指示情報を送信する、請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
第一仮想LAN及び第二仮想LANを含むネットワークを構成する中継装置と通信可能な通信制御装置が行う通信制御方法であって、
共通仮想LANに接続された通信装置として動作することを指示する端末指示情報を、前記第一仮想LANに接続されマルチキャストアドレス宛のデータを要求する第一通信装置と、前記第二仮想LANに接続され前記マルチキャストアドレス宛のデータを要求する第二通信装置と、に対して送信するステップと、前記中継装置に対して前記第一通信装置及び前記第二通信装置を前記共通仮想LANに接続された通信装置として取り扱うことを指示する中継指示情報を送信する指示ステップと、
前記第一通信装置及び前記第二通信装置に所定のフレームを送信することによって、前記ネットワークの構成を把握するネットワーク構成把握ステップと、
を有し、
前記指示ステップでは、前記ネットワーク構成把握ステップにおいて把握された前記ネットワークの構成に基づいて、前記端末指示情報及び前記中継指示情報を生成する、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチキャスト配信の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像配信サービスにおけるコンテンツの充実や品質の向上に伴い、ネットワーク上に流れるマルチキャストトラヒックの量は増大している。そのため、ネットワークの帯域の更なる消費が懸念されている。ネットワークにおけるマルチキャスト配信の技術として、スヌーピングによる効率化が図られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−153766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たしかに、スヌーピングを用いることによって、同一のVLAN(Virtual Local Area Network)内におけるマルチキャスト配信の効率化を実現することができる。しかしながら、複数のVLANからマルチキャスト配信が要求されると、スヌーピングでは効率化を実現することができなかった。すなわち、複数のVLANからマルチキャスト配信が要求されると、VLANの数だけマルチキャスト配信のデータ(パケット、フレーム)をコピーして配信する必要があった。そのため、中継装置間の帯域が圧迫されてしまうという問題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、複数のVLANを含むネットワークにおいて、マルチキャスト通信に要する帯域を削減する技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第一仮想LAN及び第二仮想LANを含むネットワークを構成する中継装置と通信可能な通信制御装置であって、共通仮想LANに接続された通信装置として動作することを指示する端末指示情報を、前記第一仮想LANに接続されマルチキャストアドレス宛のデータを要求する第一通信装置と、前記第二仮想LANに接続され前記マルチキャストアドレス宛のデータを要求する第二通信装置と、に対して送信し、前記中継装置に対して前記第一通信装置及び前記第二通信装置を前記共通仮想LANに接続された通信装置として取り扱うことを指示する中継指示情報を送信する指示部を備える通信制御装置である。
【0007】
本発明の一態様は、前記ネットワークにおける前記マルチキャストアドレス宛のデータの通信に要する帯域が所定の条件を満たすか否か判定する判定部をさらに備え、前記指示部は、前記判定部が前記所定の条件を満たすと判定した場合に前記端末指示情報及び前記中継指示情報を送信する。
【0008】
本発明の一態様は、第一仮想LAN及び第二仮想LANを含むネットワークを構成する中継装置と通信可能な通信制御装置が行う通信制御方法であって、共通仮想LANに接続された通信装置として動作することを指示する端末指示情報を、前記第一仮想LANに接続されマルチキャストアドレス宛のデータを要求する第一通信装置と、前記第二仮想LANに接続され前記マルチキャストアドレス宛のデータを要求する第二通信装置と、に対して送信するステップと、前記中継装置に対して前記第一通信装置及び前記第二通信装置を前記共通仮想LANに接続された通信装置として取り扱うことを指示する中継指示情報を送信するステップと、を有する通信制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、複数のVLANを含むネットワークにおいて、マルチキャスト通信に要する帯域を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態の概略を示す図である。
図2】本発明の一実施形態における処理の流れの一部を示す図である。
図3図2に示される処理において用いられるフレームの概略を示す図である。
図4】NW構成把握フレームによってルータ12が把握したNW構成情報を示す図である。
図5】本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図2の処理の続き)を示す図である。
図6図5に示される処理におけるNW構成情報を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図5の処理の続き)を示す図である。
図8図7に示される処理におけるNW構成情報を示す図である。
図9】共通VLAN利用フレームの概略を示す図である。
図10】本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図7の処理の続き)を示す図である。
図11図10に示される処理において用いられるフレームの概略を示す図である。
図12】本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図10の処理の続き)を示す図である。
図13図12に示される処理において用いられるフレームの概略を示す図である。
図14図12に示される処理におけるNW構成情報を示す図である。
図15】本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図12の処理の続き)を示す図である。
図16】本発明の一実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
図17】本発明の一実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
図18】本発明の一実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。
図19】映像サーバ11の機能構成を表す概略ブロック図である。
図20】ルータ12の機能構成を表す概略ブロック図である。ルータ12は中継装置である。
図21】本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図22】本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図23】本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図24】本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図25】本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図26】本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。
図27】本発明の一実施形態において用いられるテーブルの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[概略]
図1は、本発明の一実施形態の概略を示す図である。図1(A)は、従来のマルチキャストシステムの問題点を示す図である。図1(B)は、本発明の一実施形態の概略を示す図である。
まず、図1(A)を用いて、従来のマルチキャストシステムの問題点について説明する。グループA〜Dは、それぞれ異なるVLANを示す。映像受信装置94−1はグループAに属し、映像受信装置94−2はグループBに属し、映像受信装置94−3はグループCに属し、映像受信装置94−4はグループDに属している。映像受信装置94(94−1〜94−4)は、映像サーバ91から映像データのマルチキャスト配信を受ける。
【0012】
映像サーバ91と映像受信装置94との間には、ルータ92及びスイッチ93がある。映像サーバ91から送信されたマルチキャストパケットは、ルータ92においてVLANの数に応じてコピーされる。そのため、ルータ92より下流(映像受信装置側)では、VLANの数に応じたマルチキャストフレームが重複して送信される。例えば、ルータ92とスイッチ93との間は、映像サーバ91から送信された1つのマルチキャストパケットに対し、4つのマルチキャストフレームが伝達される。このように、複数のVLANを含むネットワークでは、マルチキャスト通信に要する帯域が圧迫されていた。
【0013】
次に、図1(B)を用いて、本発明の一実施形態の概略について説明する。本発明の一実施形態のマルチキャストシステムは、映像サーバ11、ルータ12(本発明の通信制御装置に相当)、スイッチ13、映像受信装置14−1〜14−4(本発明の第一通信装置、第二通信装置に相当)を備える。上述したように、グループA〜Dはそれぞれ異なるVLAN(本発明の第一仮想LAN、第二仮想LANに相当)を示す。映像受信装置14−1はグループAに属し、映像受信装置14−2はグループBに属し、映像受信装置14−3はグループCに属し、映像受信装置14−4はグループDに属している。映像受信装置14(14−1〜14−4)は、映像サーバ11から映像データのマルチキャスト配信(本発明のマルチキャストアドレス宛のデータに相当)を受ける。
【0014】
映像サーバ11と映像受信装置14との間には、ルータ12及びスイッチ13がある。ルータ12は、複数のグループA〜Dを擬似的に同一のVLAN(共通VLAN:本発明の共通仮想LANに相当)として取り扱う。すなわち、ルータ12は、映像受信装置14−1〜14−4を擬似的に一つのVLAN(共通VLAN)に属した装置として取り扱う。そのため、ルータ12ではマルチキャストパケットがコピーされない。映像サーバ11から送信されたマルチキャスト通信のデータは、ルータ12ではなくスイッチ13において映像受信装置14の数に応じてコピーされる。そのため、ルータ12とスイッチ13との間は、映像サーバ11から送信された1つのマルチキャストパケットに対し、1つのマルチキャストフレームが伝達される。そのため、複数のVLANを含むネットワークにおいて、マルチキャスト通信に要する帯域を削減することが可能となる。
【0015】
[詳細]
以下、本発明の一実施形態の詳細について説明する。図2は、本発明の一実施形態における処理の流れの一部を示す図である。図3は、図2に示される処理において用いられるフレームの概略を示す図である。
以下の説明におけるマルチキャストシステムは、スイッチ13の具体例として2台のスイッチ(13−1、13−2)を備える。また、VLANのグループの具体例として、グループA〜Jが設定されている。上述したように、グループ毎に異なるVLANが設定されている。各グループのVLANには、少なくとも1台の映像受信装置(STB)14が接続されている。グループAのVLANには映像受信装置14−aが接続されており、グループFのVLANには映像受信装置14−fが接続されており、グループJのVLANには映像受信装置14−jが接続されている。他のグループにおいても同様である。
【0016】
映像受信装置14は、マルチキャスト配信のデータとして映像サーバ11から送信される映像信号を受信し、映像受像器(テレビ)に映像信号を出力する。スイッチ13は、ルータ12と映像受信装置14との間に設置される中継装置である。以下の説明の例では2台のスイッチ13が設置されているが、1台でも良いし3台以上であっても良い。ルータ12は、映像受信装置14から送信される視聴要求を処理し、映像サーバ11へ転送する。また、映像サーバ11から送信される映像信号のマルチキャスト配信のデータ(以下、「マルチキャスト配信データ」という。)を下流へ中継する。映像サーバ11は、視聴要求に応じて映像信号をマルチキャストにて配信する。映像サーバ11とルータ12とは通信網によって接続されている。
以下、本発明の一実施形態における処理の流れの具体例について説明する。なお、ルータ12、スイッチ13−1、スイッチ13−2を、図面においてそれぞれRouter、SW1、SW2と記載することもある。
【0017】
まず、ルータ12、スイッチ13−1、スイッチ13−2、各映像受信装置14において、Indexテーブルの設定を行う。Indexテーブルでは、ネットワークのインターフェースと帯域とが対応づけられる。ルータ12は、映像サーバ11と情報交換を行うことにより、マルチキャストトラヒックのアドレス及び必要帯域情報(映像情報)を取得する。そして、ルータ12は、マルチキャスト情報として、取得した映像情報と通信帯域のしきい値(本発明の所定の条件に相当)とを対応づけて記憶する。以上が、図2の丸1(数字の“1”が円で囲まれた記載)に対応する処理である。
【0018】
次に、グループAに属する映像受信装置14−aが、映像サーバ11に対してマルチキャストアドレスNNNN:NNNN宛の視聴要求を送信する。映像受信装置14−aから送信された視聴要求は、スイッチ13−2及びスイッチ13−1によって中継され、ルータ12に到達する。以上が、図2の丸2に対応する処理である。
【0019】
次に、ルータ12は、受信した視聴要求に応じて、NW構成把握フレームを作成する。そして、ルータ12は、作成したNW構成把握フレームを、視聴要求の送信元である映像受信装置14−aに対して送信する。図3(A)は、NW構成把握フレームの概略を示す図である。NW構成把握フレームは、ルータ12よりも下流(映像受信装置側)に位置する各装置の情報を格納するためのフィールド(上位SW1情報、上位SW2情報、STB情報)を有する。以上が、図2の丸3に対応する処理である。
【0020】
次に、スイッチ13−1がNW構成把握フレームを受信し、スイッチ13−1の情報をNW構成把握フレームに格納する。図3(B)は、スイッチ13−1の情報が格納されたNW構成把握フレームの具体例を示す図である。スイッチ13−1の情報として、装置種別(L2SW:レイヤ2スイッチ)、MACアドレス(1111)、マルチキャストフレームを送受信する入出力インターフェースのIndex_ID(A,B)、入出力インターフェースの通信帯域(100M)が格納される。以上が、図2の丸4に対応する処理である。
【0021】
次に、スイッチ13−2がNW構成把握フレームを受信し、スイッチ13−2の情報をNW構成把握フレームに格納する。図3(C)は、スイッチ13−2の情報が格納されたNW構成把握フレームの具体例を示す図である。スイッチ13−2の情報として、装置種別(L2SW:レイヤ2スイッチ)、MACアドレス(2222)、マルチキャストフレームを送受信する入出力インターフェースのIndex_ID(A,B)、入出力インターフェースの通信帯域(100M)が格納される。以上が、図2の丸5に対応する処理である。
【0022】
次に、映像受信装置14−aがNW構成把握フレームを受信し、映像受信装置14−aの情報をNW構成把握フレームに格納する。図3(D)は、映像受信装置14−aの情報が格納されたNW構成把握フレームの具体例を示す図である。映像受信装置14−aの情報として、装置種別(STB:Set Top Box)、MACアドレス(AAAA)、マルチキャストフレームを送受信する入出力インターフェース(A)、入出力インターフェースの通信帯域(100M)が格納される。以上が、図2の丸6に対応する処理である。
【0023】
次に、映像受信装置14−aがNW構成把握フレームをルータ12に送信する。ルータ12は、NW構成把握フレームを受信すると、NW構成把握フレームの内容に基づいて、自装置よりも下流のネットワークの構成を把握する。図4は、NW構成把握フレームによってルータ12が把握したNW構成情報を示す図である。NW構成情報は、ルータ12の下流ネットワークの構成の状態を表す情報である。以上が、図2の丸7に対応する処理である。
【0024】
図5は、本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図2の処理の続き)を示す図である。図6は、図5に示される処理におけるNW構成情報を示す図である。図2の丸7の処理の次に、ルータ12は、把握したネットワーク構成と、グループAに属する映像受信装置14−aから受信した視聴要求と、に基づいて通信帯域がしきい値(50%)を超えてしまう通信路が発生しないか確認する。図6(A)は、この時点でのNW構成情報を示す図である。図6(A)に示されるように、各通信路の通信帯域の合計値はいずれも10%でありしきい値を超えていない。以上が、図5の丸8に対応する処理である。
【0025】
次に、ルータ12は、通信帯域がしきい値を超えていない場合にとるべき処理を行う。ルータ12は、映像受信装置14−aに対する映像配信を、共通VLANを用いずに行うこと(すなわちグループAのVLANを用いて映像配信を行うこと)を決定する。そして、ルータ12は、映像受信装置14−aから受信した視聴要求を映像サーバ11へ転送し、映像信号を映像受信装置14−aへ送信する。。以上が、図5の丸9に対応する処理である。
【0026】
次に、グループBに属する映像受信装置14−bと、グループCに属する映像受信装置14−cと、グループDに属する映像受信装置14−dと、グループEに属する映像受信装置14−eとがそれぞれマルチキャストアドレスNNNN:NNNN宛の視聴要求をルータ12に送信し、ルータ12はマルチキャストフレームのコピーを行い、上述した丸2〜丸8に対応する処理が行われ、映像信号が映像受信装置へ送信される。図6(B)は、この時点でのNW構成情報を示す図である。図6(B)に示されるように、この時点でも各通信路の通信帯域はいずれも50%であり、しきい値を超えていない。以上が、図5の丸10に対応する処理である。
【0027】
図7は、本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図5の処理の続き)を示す図である。図8は、図7に示される処理におけるNW構成情報を示す図である。図5の丸10の処理の次に、グループFに属する映像受信装置14−fが、映像サーバ11に対してマルチキャストアドレスNNNN:NNNN宛の視聴要求を送信する。映像受信装置14−fから送信された視聴要求は、スイッチ13−2及びスイッチ13−1によって中継され、ルータ12に到達する。以上が、図7の丸1に対応する処理である。
【0028】
次に、ルータ12は、受信した視聴要求に応じて、NW構成把握フレームを作成する。そして、ルータ12は、作成したNW構成把握フレームを、視聴要求の送信元である映像受信装置14−fに対して送信する。このNW構成把握フレームに関する処理(図2の丸4〜丸7に対応する処理)が実行される。以上が、図7の丸2に対応する処理である。
【0029】
次に、ルータ12は、上記の処理によって把握したネットワーク構成と、グループFに属する映像受信装置14−fから受信した視聴要求と、に基づいて通信帯域がしきい値(50%)を超えてしまう通信路が発生しないか確認する。図8は、この時点でのNW構成情報を示す図である。図8に示されるように、各通信路の通信帯域の合計値はいずれも60%でありしきい値を超えている。以上が、図7の丸3に対応する処理である。
【0030】
次に、ルータ12は、通信帯域がしきい値を超えている場合にとるべき処理を行う。ルータ12は、映像受信装置14−fに対する映像配信を、共通VLANを用いて行うことを決定する。そして、ルータ12は、視聴要求の送信元である映像受信装置14−fに対し、共通VLAN利用フレーム(本発明の端末指示情報及び中継指示情報に相当)を送信する。図9は、共通VLAN利用フレームの概略を示す図である。共通VLAN利用フレームは、共通VLANのタグID(X)と、下流のネットワークにおける各装置が共通VLANで用いるインターフェースのIndex_IDと、が格納される。共通VLANで用いるインターフェースのIndex_IDは、下流の各装置毎にフィールドが設けられ、それぞれのフィールドに格納される。以上が、図7の丸4に対応する処理である。
【0031】
図10は、本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図7の処理の続き)を示す図である。図11は、図10に示される処理において用いられるフレームの概略を示す図である。図7の丸4の処理の次に、スイッチ13−1が共通VLAN利用フレームを受信する。スイッチ13−1は、共通VLAN利用フレーム内の自装置に対応するフィールドに登録されているIndex_IDのインターフェースに共通VLANを設定する。設定が完了すると、スイッチ13−1は、自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納する。図11(A)は、この時点の共通VLAN利用フレームの概略を示す図である。そして、スイッチ13−1は、共通VLAN利用フレームを下流に転送する。以上が、図10の丸5に対応する処理である。
【0032】
次に、スイッチ13−2が共通VLAN利用フレームを受信する。スイッチ13−2は、共通VLAN利用フレーム内の自装置に対応するフィールドに登録されているIndex_IDのインターフェースに共通VLANを設定する。設定が完了すると、スイッチ13−2は、自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納する。図11(B)は、この時点の共通VLAN利用フレームの概略を示す図である。そして、スイッチ13−2は、共通VLAN利用フレームを下流に転送する。以上が、図10の丸6に対応する処理である。
【0033】
次に、映像受信装置14−fが共通VLAN利用フレームを受信する。映像受信装置14−fは、共通VLAN利用フレーム内の自装置に対応するフィールドに登録されているIndex_IDのインターフェースに共通VLANを設定する。設定が完了すると、映像受信装置14−fは、自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納する。図11(C)は、この時点の共通VLAN利用フレームの概略を示す図である。そして、映像受信装置14−fは、共通VLAN利用フレームをルータ12に送信する。以上が、図10の丸7に対応する処理である。
【0034】
次に、ルータ12が共通VLAN利用フレームを映像受信装置14−fから受信する。ルータ12は、視聴要求を共通VLANにて送信することを示す視聴要求再送フレームを映像受信装置14−fに送信する。図11(D)は、視聴要求再送フレームの概略を示す図である。視聴要求再送フレームには、共通VLANのID(X)を示す値が格納されている。以上が、図10の丸8に対応する処理である。
【0035】
図12は、本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図10の処理の続き)を示す図である。図13は、図12に示される処理において用いられるフレームの概略を示す図である。図14は、図12に示される処理におけるNW構成情報を示す図である。
図10の丸8の処理の次に、視聴要求再送フレームを受信した映像受信装置14−fは、視聴要求再送フレームに格納されている共通VLANのID(X)を利用して、マルチキャストアドレスNNNN:NNNN宛の視聴要求を作成する。そして、映像受信装置14−fは、作成した視聴要求をルータ12へ送信する。図13は、映像受信装置14−fが視聴要求再送フレームに応じて送信する視聴要求を示す図である。図示されるように、視聴要求には、映像受信装置14−fがID(X)のVLAN、すなわち共通VLANに所属していることを示す情報が格納されている。以上が、図12の丸9に対応する処理である。
【0036】
次に、ルータ12は視聴要求再送フレームに応じた視聴要求を受信すると、把握しているNW構成情報を更新する。図14は、更新後のNW構成情報を示す図である。具体的には、ルータ12は、図7の丸3の処理の時点で宛先をアドレスFFFFから共通VLANに変更する。以上が、図12の丸10に対応する処理である。
次に、ルータ12は、映像受信装置14−fから受信した視聴要求をもとに映像信号をコピーする。以上が、図12の丸11に対応する処理である。
次に、ルータ12は、視聴要求に応じてコピーした映像信号を映像受信装置14−f宛に送信する。以上が、図12の丸12に対応する処理である。
【0037】
図15は、本発明の一実施形態における処理の流れの一部(図12の処理の続き)を示す図である。図12の丸12の処理の次に、グループA〜Fとは異なるグループGのVLANに所属する映像受信装置14−gがマルチキャストアドレスNNNN:NNNN宛の視聴要求を送信すると、図7の丸1〜丸4、図10の丸5〜丸8、図12の丸9の処理が実行される。以上の処理によって、映像受信装置14−gは、図13に示される視聴要求を送信する。以上が、図15の丸13に対応する処理である。
【0038】
次に、スイッチ13−2は、映像受信装置14−gから受信した視聴要求をプロキシーして、映像信号のマルチキャスト配信データをコピーして映像受信装置14−gに送信する。スイッチ13−2は、受信した視聴要求のVLANIDが映像受信装置14−fから受信した視聴要求のVLANIDと同じX(共通VLANのID)と同じであることに応じて、映像受信装置14−f宛に受けた映像信号のマルチキャスト配信データをコピーして送信する。この後、さらに他のグループ(グループH,I,J)に属する映像受信装置14−h〜jから視聴要求が送信された場合も、同様の処理となる。以上が、図15の丸14に対応する処理である。
【0039】
図16〜18は、本発明の一実施形態における処理の流れを示すシーケンス図である。以下、図16〜18を用いて、本発明の一実施形態における処理のシーケンスについて説明する。まず、ルータ12、スイッチ13−1、スイッチ13−2、映像受信装置14において、Indexテーブルの設定を行う(ステップS101〜S104)。また、ルータ12には、マルチキャストアドレス毎に通信帯域のしきい値が設定される(ステップS105)。その後、ルータ12は、映像情報収集パケットを映像サーバ11に送信し、映像サーバ11から映像情報収集応答を受信することによって情報交換を行う(ステップS106,S107)。この情報交換により、ルータ12は、マルチキャストトラヒックのアドレス及び帯域情報(映像情報)を取得する。そして、ルータ12は、マルチキャスト情報として、取得したアドレス及び帯域情報としきい値とを対応づけて記憶する(ステップS108)。
【0040】
次に、映像受信装置14が、映像サーバ11に対してマルチキャストアドレスNNNN:NNNN宛の視聴要求を送信する(ステップS109)。映像受信装置14から送信された視聴要求は、スイッチ13−2及びスイッチ13−1によって中継され、ルータ12に到達する。
【0041】
次に、ルータ12は、受信した視聴要求に応じてNW構成把握フレームを作成し、視聴要求の送信元である映像受信装置14に対して送信する(ステップS110)。次に、スイッチ13−1がNW構成把握フレームを受信し、スイッチ13−1の情報をNW構成把握フレームに格納する(ステップS111)。例えば、MACアドレス、Index_ID、帯域などの情報が格納される。そして、スイッチ13−1は、更新されたNW構成把握フレームを下流のスイッチ13−2に転送する(ステップS112)。
【0042】
次に、スイッチ13−2がNW構成把握フレームを受信し、スイッチ13−2の情報をNW構成把握フレームに格納する(ステップS113)。スイッチ13−2もスイッチ13−1と同様に、MACアドレス、Index_ID、帯域などの情報を格納する。そして、スイッチ13−2は、更新されたNW構成把握フレームを下流の映像受信装置14に転送する(ステップS114)。
【0043】
次に、映像受信装置14がNW構成把握フレームを受信し、映像受信装置14の情報をNW構成把握フレームに格納する(ステップS115)。そして、映像受信装置14が、更新されたNW構成把握フレームをルータ12に送信する(ステップS116)。
ルータ12は、NW構成把握フレームを受信すると、NW構成把握フレームの内容に基づいて、自装置よりも下流のネットワークの構成を把握する(ステップS117)。次に、ルータ12は、視聴要求のあったマルチキャストアドレスに関する通信帯域を確認する(ステップS118)。そして、ルータ12は、NW構成情報と通信帯域とに基づいて、通信帯域がしきい値を超えてしまう部分の有無を判断する(ステップS119)。
【0044】
図17は、ステップS119の処理において、通信帯域がしきい値を超えてしまう部分が有る場合の処理の流れを示す。この場合、ルータ12は、共通VLANの設定を行うことを決定する(ステップS201)。ルータ12は、下流側ネットワークに設置されている各装置のMACアドレス、Index_ID、共通VLANのID等を格納した共通VLAN利用フレームを作成する(ステップS202)。そして、ルータ12は、作成した共通VLAN利用フレームを下流側ネットワークに送信する(ステップS203)。
【0045】
次に、スイッチ13−1が共通VLAN利用フレームを受信する。スイッチ13−1は、共通VLAN利用フレーム内の自装置に対応するフィールドに登録されているIndex_IDのインターフェースに共通VLANを設定する(ステップS204)。設定が完了すると、スイッチ13−1は、自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納する。そして、スイッチ13−1は、共通VLAN利用フレームを下流に転送する(ステップS205)。
【0046】
次に、スイッチ13−2が共通VLAN利用フレームを受信する。スイッチ13−2は、共通VLAN利用フレーム内の自装置に対応するフィールドに登録されているIndex_IDのインターフェースに共通VLANを設定する(ステップS206)。設定が完了すると、スイッチ13−2は、自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納する。そして、スイッチ13−2は、共通VLAN利用フレームを下流に転送する(ステップS207)。
【0047】
次に、映像受信装置14が共通VLAN利用フレームを受信する。映像受信装置14は、共通VLAN利用フレーム内の自装置に対応するフィールドに登録されているIndex_IDのインターフェースに共通VLANを設定する(ステップS208)。設定が完了すると、映像受信装置14は、自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納する。そして、映像受信装置14は、共通VLAN利用フレームをルータ12に送信する(ステップS209)。
【0048】
次に、ルータ12が共通VLAN利用フレームを映像受信装置14から受信する。ルータ12は、受信された共通VLAN利用フレームの各フィールドを参照することによって、下流側ネットワークの各装置において共通VLANを利用するための設定が完了したか否か確認する(ステップS210)。
【0049】
次に、ルータ12が、視聴要求を共通VLANにて送信することを示す視聴要求再送フレームを作成する(ステップS301)。そして、ルータ12が、作成した視聴要求再送フレームを、映像受信装置14に対して送信する(ステップS302)。
次に、視聴要求再送フレームを受信した映像受信装置14は、視聴要求再送フレームに格納されている共通VLANのIDを付与した視聴要求を作成する(ステップS303)。そして、映像受信装置14は、作成した視聴要求をルータ12へ送信する(ステップS304)。
【0050】
次に、ルータ12は、視聴要求再送フレームに応じた視聴要求を受信すると、把握しているNW構成情報を更新する(ステップS305)。ルータ12は、映像受信装置14から受信した視聴要求に応じて、映像信号をコピーする(ステップS306)。
次に、ルータ12はコピーした映像信号を映像受信装置14宛に送信する(ステップS307)。映像受信装置14は、映像信号を受信すると、受信した映像信号をデコードして受像機に出力する(ステップS308)。
【0051】
図19は、映像サーバ11の機能構成を表す概略ブロック図である。映像サーバ11は、通信可能な情報処理装置である。映像サーバ11は、パケット送受信部111、映像信号蓄積部112、映像信号送信部113、映像情報格納部114、映像情報収集パケット送受信部115を備える。
パケット送受信部111はネットワークインターフェースとしての機能を有し、通信網との間でパケットの送受信を行う。映像信号蓄積部112は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。映像信号蓄積部112は、映像受信装置14に対して配信される映像信号を記憶している。映像信号送信部113は、映像受信装置14から受信される視聴要求に応じて、要求された映像信号を映像信号蓄積部112から読み出す。そして、映像信号送信部113は、読み出した映像信号を要求元の映像受信装置14に対してマルチキャスト配信する。
【0052】
映像情報格納部114は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。映像情報格納部114は、映像情報(マルチキャストトラヒックのアドレス、帯域情報)を記憶する。映像情報収集パケット送受信部115は、ルータ12から映像情報収集パケット送受信部115を受信すると、映像情報格納部114から映像情報を読み出す。そして、映像情報収集パケット送受信部115は、読み出した映像情報を含む映像情報収集応答を作成し、映像情報収集パケットの送信元であるルータ12に対して映像情報収集応答を送信する。
【0053】
図20は、ルータ12の機能構成を表す概略ブロック図である。ルータ12は中継装置である。ルータ12は、フレーム送受信部1201、インターフェース情報格納部1202、インターフェース情報抽出部1203、Index作成部1204、NW構成情報格納部1205、映像情報収集パケット作成部1206、映像情報収集パケット送受信部1207、マルチキャスト情報格納部1208、視聴要求送受信部1209、視聴要求格納部1210、NW構成把握フレーム作成部1211、NW構成把握フレーム送受信部1212、NW構成構築部1213、NW状況解析部1214、共通VLAN利用フレーム作成部1215、共通VLAN情報格納部1216、共通VLAN利用フレーム送受信部1217、視聴要求再送フレーム作成部1218、視聴要求再送フレーム送信部1219を備える。
【0054】
フレーム送受信部1201はネットワークインターフェースとしての機能を有し、通信網及び下流ネットワークとの間で通信データ(パケット、フレーム)の送受信を行う。インターフェース情報格納部1202は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。インターフェース情報格納部1202は、自装置が備えているインターフェースに関する情報(以下、「インターフェース情報」という。)を記憶している。インターフェース情報抽出部1203は、インターフェース情報格納部1202からインターフェース情報を読み出す。Index作成部1204は、インターフェース情報抽出部1203によって読み出されたインターフェース情報に基づいてIndexテーブルを作成する。
【0055】
NW構成情報格納部1205は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。NW構成情報格納部1205は、NW構成情報を記憶する。
映像情報収集パケット作成部1206は、映像情報収集パケットを作成する。映像情報収集パケット送受信部1207は、映像情報収集パケット作成部1206によって作成された映像情報収集パケットを映像サーバ11に対して送信する。また、映像情報収集パケット送受信部1207は、映像サーバ11から映像情報収集応答を受信すると、マルチキャストトラヒックのアドレス及び帯域情報を取得し、通信帯域のしきい値を対応づけることによってマルチキャスト情報を作成する。マルチキャスト情報格納部1208は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。マルチキャスト情報格納部1208は、映像情報収集パケット送受信部1207によって作成されたマルチキャスト情報を記憶する。
【0056】
視聴要求送受信部1209は、映像受信装置14から送信された視聴要求を受信する。視聴要求格納部1210は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。視聴要求格納部1210は、視聴要求送受信部1209によって受信された視聴要求の内容を蓄積する。
NW構成把握フレーム作成部1211は、NW構成把握フレームを作成する。NW構成把握フレーム送受信部1212は、NW構成把握フレーム作成部1211によって作成されたNW構成把握フレームを、下流側のネットワークに送信する。また、NW構成把握フレーム送受信部1212は、下流側のネットワークからNW構成把握フレームを受信すると、受信したNW構成把握フレームの内容をNW構成構築部1213へ出力する。
【0057】
NW構成構築部1213は、NW構成把握フレーム送受信部1212によって受信されたNW構成把握フレームの内容に基づいて、NW構成情報を作成する。そして、NW構成構築部1213は、作成したNW構成情報をNW構成情報格納部1205に書き込む。NW状況解析部1214は、NW構成情報格納部1205に記録されているNW構成情報に基づいて、下流側のネットワークにおいて通信帯域がしきい値を超える部分が存在するか否か判断する。
【0058】
共通VLAN利用フレーム作成部1215は、NW状況解析部1214によって、通信帯域がしきい値を超える部分が存在すると判断された場合に、共通VLAN利用フレームを作成する。共通VLAN利用フレーム作成部1215は、例えば直前に受信された視聴要求の要求元の映像受信装置14に対する共通VLAN利用フレームを作成する。共通VLAN情報格納部1216は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。共通VLAN情報格納部1216は、共通VLANによる通信を行うための情報を記憶する。例えば、共通VLAN情報格納部1216は、共通VLAN利用フレームの送信先となった映像受信装置14に関する情報や、共通VLAN利用フレームの送信先となった映像受信装置14が所属するグループのVLANに関する情報などを記憶する。共通VLAN利用フレーム送信部1217は、共通VLAN利用フレーム作成部1215によって作成された共通VLAN利用フレームを下流側ネットワークに送信する。
視聴要求再送フレーム作成部1218は、視聴要求再送フレームを作成する。視聴要求再送フレーム送信部1219は、視聴要求再送フレーム作成部1218によって作成された視聴要求再送フレームを下流側ネットワークに送信する。
【0059】
図21〜26は、本発明の一実施形態における処理の流れを示すフローチャートである。図21(A)は、Indexテーブルを作成する際の処理の流れを示すフローチャートである。図21に示す処理は、ルータ12、スイッチ13−1、スイッチ13−2、映像受信装置14に共通した処理である。以下、ルータ12が行う処理の流れについて説明する。
まず、ルータ12のインターフェース情報抽出部1203は、インターフェース情報格納部1202から自装置のインターフェース情報を抽出する(ステップS401)。Index作成部1204は、情報が抽出されたインターフェースのうち起動していない(動作可能状態になっていない)ものについては、Index_ID付与の対象外とする(ステップS402−NO、ステップS403)。一方、Index作成部1204は、情報が抽出されたインターフェースのうち起動している(動作可能状態になっている)ものについては、Index_IDを付与することによってIndexテーブルを作成する。そして、Index作成部1204は、作成したIndexテーブルをNW構成情報格納部1205に格納する(ステップS404)。Index作成部1204は、インターフェース情報に含まれる全てのインターフェースについてステップS402〜S404の処理を実行し、処理を終了する(ステップS405)。
【0060】
図21(B)は、しきい値情報登録の処理の流れを示すフローチャートである。システムの管理者などによって、マルチキャストアドレス毎の通信帯域のしきい値が入力される(ステップS501)。映像情報収集パケット送受信部1207は、入力されたしきい値をマルチキャストアドレス毎にマルチキャスト情報格納部1208に記録する(ステップS502)。
【0061】
図22(A)は、マルチキャスト情報を登録する処理の流れを示すフローチャートである。図22(A)に示す処理はルータ12及び映像サーバ11によって実行される。まず、ルータ12の映像情報収集パケット作成部1206が映像情報収集パケットを作成する。そして、映像情報収集パケット送受信部1207が、作成された映像情報収集パケットを映像サーバ11へ送信する(ステップS601)。
【0062】
次に、映像サーバ11の映像情報収集パケット送受信部115が、映像情報収集パケットを受信する。映像情報収集パケット送受信部115は、自装置の映像情報格納部114に記憶されている映像情報を読み出す。映像情報収集パケット送受信部115は、読み出した映像情報を含む映像情報収集応答を作成する。映像情報収集パケット送受信部115は、作成した映像情報収集応答をパケットに格納して、映像情報収集パケットの送信元であるルータ12に送信する(ステップS602)。
【0063】
ルータ12の映像情報収集パケット送受信部1207は、映像情報収集応答を受信すると、受信した映像情報収集応答から映像情報を取り出し、マルチキャスト情報格納部1208に格納する(ステップS603)。映像情報収集パケット送受信部1207は、マルチキャスト情報格納部1208に格納された映像情報のマルチキャストアドレスに対して通信帯域のしきい値が設定されていない場合(ステップS604−NO)、このマルチキャストアドレスの利用可否フラグを“否”に設定する(ステップS605)。一方、映像情報収集パケット送受信部1207は、マルチキャスト情報格納部1208に格納された映像情報のマルチキャストアドレスに対して通信帯域のしきい値が設定されている場合(ステップS604−YES)、このマルチキャストアドレスの利用可否フラグを“可”に設定する(ステップS606)。
【0064】
図22(B)は、視聴要求の送受信に関する処理の流れを示すフローチャートである。図22(B)に示す処理は、映像受信装置14、ルータ12、スイッチ13(13−1,13−2)によって実行される。まず、映像受信装置14が、ルータ12に対して視聴要求を送信する(ステップS701)。ルータ12の視聴要求送受信部1209は、映像受信装置14から送信された視聴要求を受信し、視聴要求に含まれる情報を視聴要求格納部1210に格納する。視聴要求の受信に応じて、NW構成把握フレーム作成部1211はNW構成把握フレームを作成する。NW構成把握フレーム送受信部は、作成されたNW構成把握フレームを、視聴要求の送信元である映像受信装置14に送信する(ステップS702)。
【0065】
次に、サブ処理1が実行される(ステップS703)。図23(A)は、サブ処理1の詳細を示すフローチャートである。サブ処理1は、NW構成把握フレームを受信するスイッチ13(13−1、13−2)によって実行される。
スイッチ13は、ルータ12から送信されたフレームを受信する(ステップS801)。スイッチ13は、受信されたフレームがNW構成把握フレームであるか否か判定する(ステップS802)。受信されたフレームがNW構成把握フレームでない場合(ステップS802−NO)、スイッチ13は下位装置(下流側に接続された装置)に向けてフレームを転送する(ステップS803)。
【0066】
一方、受信されたフレームがNW構成把握フレームである場合(ステップS802−YES)、スイッチ13は、受信されたNW構成把握フレームの自装置に対応するフィールドに対し、自装置の装置種別、MACアドレス、マルチキャストフレームを送受信する入出力インターフェースのIndex_ID、入出力インターフェースの通信帯域を格納する。そして、スイッチ13は、NW構成把握フレームを下位装置(下流側に接続された装置)に向けて転送する(ステップS804)。
【0067】
サブ処理1が各スイッチ13によって実行された後、サブ処理2が実行される(ステップS805)。図23(B)は、サブ処理2の詳細を示すフローチャートである。サブ処理2は、NW構成把握フレームを受信する映像受信装置14によって実行される。
映像受信装置14は、スイッチ13(スイッチ13−2)から送信されたフレームを受信する(ステップS901)。映像受信装置14は、受信されたフレームがNW構成把握フレームであるか否か判定する(ステップS902)。受信されたフレームがNW構成把握フレームでない場合(ステップS902−NO)、映像受信装置14は、受信されたフレームのフレーム種別に沿った動作を実施する(ステップS903)。
【0068】
一方、受信されたフレームがNW構成把握フレームである場合(ステップS902−YES)、映像受信装置14は、受信されたNW構成把握フレームの自装置に対応するフィールドに対し、自装置の装置種別、MACアドレス、マルチキャストフレームを送受信する入出力インターフェースのIndex_ID、入出力インターフェースの通信帯域を格納する。そして、映像受信装置14は、NW構成把握フレームをルータ12に向けて送信する(ステップS904)。
図23(B)の処理が終了すると、図22(B)のステップS703の処理が終了し、ステップS704の処理が実行される。ステップS704の処理では、ルータ12のNW構成把握フレーム送受信部1212は、映像受信装置14から送信されたNW構成把握フレームを受信する。NW構成把握フレーム送受信部1212は、受信したNW構成把握フレームから各装置の情報を取得し、取得した情報をNW構成構築部1213へ出力する。
【0069】
NW構成構築部1213は、NW構成把握フレーム送受信部1212によって取得された情報と、視聴要求格納部1210に蓄積されている視聴要求と、に基づいて、下流側ネットワークの構成を示す情報(NW構成情報)を構築する。NW構成構築部1213は、視聴要求格納部1210に蓄積されている視聴要求を参照することによって、各通信路で発生する通信帯域を取得できる。そして、NW構成構築部1213は、構築したNW構成情報をNW構成情報格納部1205に格納する(ステップS704)。
【0070】
図24(A)は、しきい値判別処理の流れを示すフローチャートである。図24(A)に示す処理はルータ12によって実行される。まず、ルータ12のNW状況解析部1214が、視聴要求の対象となっているマルチキャストアドレスの必要通信帯域と通信帯域のしきい値とをマルチキャスト情報格納部1208から読み出す。また、NW状況解析部1214が、NW構成情報格納部1205から現在のNW構成情報を読み出す。そして、NW状況解析部1214は、下流側ネットワークにおいて、通信帯域がしきい値を超える箇所がないか確認する(ステップS1001)。
【0071】
通信帯域がしきい値を超える箇所がない場合(ステップS1002−NO)、視聴要求送受信部1209は、ステップS702において受信された視聴要求を視聴要求格納部1210から読み出し、ルータ12内の機能で映像信号をコピーし映像信号をマルチキャスト配信することによって、通常のマルチキャスト処理が行われる(ステップS1003)。
一方、通信帯域がしきい値を超える箇所がある場合(ステップS1002−YES)、共通VLAN利用フレーム作成部1215が共通VLAN利用フレームを作成する(ステップS1004)。共通VLAN利用フレームは、共通VLANのID、下流側ネットワークの各装置の情報を格納している。
【0072】
図24(B)は、共通VLAN設定に関する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ルータ12の共通VLAN利用フレーム送受信部1217が、共通VLAN利用フレーム作成部1215によって作成された共通VLAN利用フレームを下流側ネットワークに送信する(ステップS1101)。
【0073】
次に、サブ処理3が実行される(ステップS1102)。図25(A)は、サブ処理3の詳細を示すフローチャートである。
サブ処理3は、共通VLAN利用フレームを受信するスイッチ13(13−1、13−2)によって実行される。
スイッチ13は、ルータ12から送信されたフレームを受信する(ステップS1201)。スイッチ13は、受信されたフレームが共通VLAN利用フレームであるか否か判定する(ステップS1202)。受信されたフレームが共通VLAN利用フレームでない場合(ステップS1202−NO)、スイッチ13は下位装置(下流側に接続された装置)に向けてフレームを転送する(ステップS1203)。
【0074】
一方、受信されたフレームが共通VLAN利用フレームである場合(ステップS1202−YES)、スイッチ13は、受信された共通VLAN利用フレームの自装置に対応するフィールドを参照し、設定が完了したことを表す値が格納されているか否か判定する(ステップS1204)。設定が完了したことを表す値が格納されている場合(ステップS1204−NO)、スイッチ13は、共通VLAN利用フレームを上位装置(上流側に接続された装置)に向けてフレームを転送する(ステップS1205)。なお、上流側とは、下流側と反対側(ルーター側)のネットワークを示す。
【0075】
設定が完了したことを表す値が格納されていない場合(ステップS1204−YES)、スイッチ13は、共通VLAN利用フレームに格納されている装置のMACアドレスを確認し、マルチキャストフレームを送受信するインターフェースのIndex_IDに共通VLANの設定を行う。そして、スイッチ13は、共通VLAN利用フレームの自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納し(設定完了ビットを立てて)、共通VLAN利用フレームを下位装置へ転送する(ステップS1206)。
【0076】
サブ処理3が各スイッチ13によって実行された後、サブ処理4が実行される(ステップS1207)。図25(B)は、サブ処理4の詳細を示すフローチャートである。サブ処理4は、共通VLAN利用フレームを受信する映像受信装置14によって実行される。
映像受信装置14は、スイッチ13(スイッチ13−2)から送信されたフレームを受信する(ステップS1301)。映像受信装置14は、受信されたフレームが共通VLAN利用フレームであるか否か判定する(ステップS1302)。受信されたフレームが共通VLAN利用フレームでない場合(ステップS1302−NO)、映像受信装置14はフレーム種別に沿った動作を実施する(ステップS1303)。
【0077】
一方、受信されたフレームが共通VLAN利用フレームである場合(ステップS1302−YES)、映像受信装置14は、共通VLAN利用フレームに格納されている装置のMACアドレスを確認し、マルチキャストフレームを送受信するインターフェースのIndex_IDに共通VLANの設定を行う。そして、映像受信装置14は、共通VLAN利用フレームの自装置に対応するフィールドに対し、設定が完了したことを表す値を格納し(設定完了ビットを立てて)、共通VLAN利用フレームをルータ12へ向けて送信する(ステップS1304)。
【0078】
図25(B)の処理が終了すると、図24(B)のステップS1102の処理が終了し、ステップS1103の処理が実行される。ステップS1103の処理では、ルータ12の共通VLAN利用フレーム送受信部1217が、映像受信装置14から送信された共通VLAN利用フレームを受信する。共通VLAN利用フレーム作成部1215は、受信された共通VLAN利用フレームの各フィールドを参照することによって、下流側ネットワークの各装置において共通VLANを利用するための設定が完了したことを確認する。そして、共通VLAN利用フレーム作成部1215は、共通VLANによる通信を行うための情報を共通VLAN情報格納部1216に格納する(ステップS1103)。
【0079】
図26(A)は、視聴要求の再送に関する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ルータ12の視聴要求再送フレーム作成部1218が、視聴要求再送フレームを作成する。視聴要求再送フレームには、共通VLANのIDが格納されている。視聴要求再送フレーム送信部1219は、作成された視聴要求再送フレームを下流側ネットワークに送信する(ステップS1401)。
視聴要求再送フレームを受信した映像受信装置14は、自装置が共通VLANに所属していることを示す値を含む視聴要求を作成する。そして、映像受信装置14は、作成した視聴要求をルータ12へ送信する(ステップS1402)。
【0080】
図26(B)は、映像配信に関する処理の流れを示すフローチャートである。まず、ルータ12の視聴要求送受信部1209が視聴要求を受信する(ステップS1501)。視聴要求送受信部1209は、受信した視聴要求の情報を視聴要求格納部1210に書き込む。NW構成構築部1213は、新たに視聴要求格納部1210に書き込まれた視聴要求に基づき、NW構成情報を更新する(ステップS1502)。そして、視聴要求送受信部1209は、受信した視聴要求をもとに映像信号のコピーを行い(ステップS1503)、映像信号をマルチキャスト配信する(ステップS1504)。この配信により、映像受信装置14における映像再生が開始される。
【0081】
図27は、本発明の一実施形態において用いられるテーブルの概略を示す図である。図27(A)は、マルチキャスト情報格納部1208が格納するマルチキャスト情報の概略を示す図である。マルチキャスト情報は、マルチキャストアドレス毎に、必要となる帯域、しきい値、利用可否フラグを対応づけた情報である。しきい値は、図示されるように通信路における通信帯域に対する割合(相対値)で表されても良いし、通信帯域の値(絶対値)として表されても良いし、他の形式で表されても良い。
【0082】
図27(B)は、NW構成情報格納部1205が格納するNW構成情報の概略を示す図である。NW構成情報は、ルータ12よりも下流側に位置する各装置において、マルチキャストアドレス毎に、使用されるインターフェースのIndex_ID、受信に使用されるのか送信に使用されるのかを示す値(受信/送信)、通信帯域を対応づけた情報である。NW構成情報は、各装置を表す情報として、装置の種別を表す情報(装置情報)、装置のMACアドレスを有する。
【0083】
以上のように構成された本発明の一実施形態によれば、複数のVLANを含むネットワークにおいて、マルチキャスト通信に要する帯域を削減することが可能となる。そのため、今後引き続き増加することが予想されるマルチキャストトラヒック量に対して、既存の通信帯域を有効的に利用することができる。したがって、ネットワーク設備に対する投資を抑制することが可能となる。
また、マルチキャストトラヒックのコピー処理の負荷分散が実現できる。結果として、多くのユーザからのトラヒックを同時にコピーする際のパケットロス等の問題発生を軽減できる。
【0084】
<変形例>
ルータ12の処理のうち、中継処理以外の処理をルータ12以外の装置が行っても良い。例えば、ルータ12よりも上流(映像サーバ側)のネットワークに設置された外部サーバ(本発明の通信制御装置に相当)が、上記の処理を行っても良い。
共通VLAN利用フレームは、上述したようにスイッチ13−1、スイッチ13−2、映像受信装置14に対して共通する一つのデータ(フレーム)として構成されても良いし、各送信先への個別のデータとして構成されても良い。
【0085】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0086】
11…映像サーバ, 12…ルータ, 13,13−1,13−2…スイッチ, 14−1〜14−4,14−a〜14−j…映像受信装置, 111…パケット送受信部, 112…映像信号蓄積部, 113…映像信号送信部, 114…映像情報格納部, 115…映像情報収集パケット送受信部, 1201…フレーム送受信部, 1202…インターフェース情報格納部, 1203…インターフェース情報抽出部, 1204…Index作成部, 1205…NW構成情報格納部, 1206…映像情報収集パケット作成部, 1207…映像情報収集パケット送受信部, 1208…マルチキャスト情報格納部, 1209…視聴要求送受信部, 1210…視聴要求格納部, 1211…NW構成把握フレーム作成部, 1212…NW構成把握フレーム送受信部, 1213…NW構成構築部, 1214…NW状況解析部, 1215…共通VLAN利用フレーム作成部, 1216…共通VLAN情報格納部, 1217…共通VLAN利用フレーム送受信部, 1218…視聴要求再送フレーム作成部, 1219…視聴要求再送フレーム送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図26
図27