【実施例】
【0030】
本発明を、以下の実施例でさらに例示する。しかしこれらの例は単に例示目的であり、いかなる方法でも本発明の範囲を制限するために使用されるべきでないことを理解されたい。
【0031】
実施例1:ファージディスプレイによるクラステリン結合性ペプチドの同定
【0032】
ヒトクラステリンに結合するペプチドを、ファージディスプレイ技術によって同定した。
【0033】
ファージパニング、SPR、NMRに使用する精製組換えヒトクラステリン(rh−クラステリン)調製物を、HEK−293細胞(Durocherら、2002年に記載の一般的な発現系)において生成した。
【0034】
無作為の12アミノ酸ペプチドをディスプレイする市販のPh.D.−12ファージディスプレイライブラリーキットを、New England BioLabs(マサチューセッツ州べバリー)から購入した。マキシソープ(MaxiSorp)(商標)ウェル(デンマーク、Nunc Brand)を、pH7.4のPBS100μL中rh−クラステリン10μgを用いて終夜4℃で被覆し、0.5%BSAで1時間ブロックした。
【0035】
パニング手順を、他書に記載の通り(Suら、2004年)本質的に室温で実施した。各パニングラウンドの後、20のファージクローンを無作為に選択し、配列した。
【0036】
精製したrh−クラステリンに対してファージライブラリーを2ラウンド、パニングすることによって、P3378と指定されるアミノ酸配列HPLSKHPYWSQP(配列番号1)を有する独特のペプチドを含有する単一ファージクローンがかなり濃縮した(分析したプラークの最大35%)。
【0037】
3ラウンド目のパニングによって、ほぼ例外なくP3378をディスプレイするファージ粒子が回復した。したがって、rh−クラステリンに対して親和性を有するもう1つのペプチド配列ファミリーの同定は困難であった。rh−クラステリンと相互作用する他のペプチドリガンドを同定するために、1ラウンド目の選択後に得られたPhD−12ファージのサブライブラリーを、競合するP3378の存在下(1mM)で、2回の連続パニングサイクルにかけた。これらのパニングラウンドによって、rh−クラステリンと結合する可能性があるより多くのペプチド配列が得られた。さらなる分析のために、発生頻度を基にして2つの追加の配列NTYWSQLLHFQT(P3375)(配列番号2)及びSHALPLTWSTAA(P3376)(配列番号3)を選択した。P3375及びP3378の両方が配列YWSQ(配列番号4)を含有することは、注目に値する。
【0038】
実施例2:ペプチドP3375、3376及び3378の合成
【0039】
実施例1で同定した3つのペプチド配列を、COOH末端における伸長を伴う標準のFmoc化学を使用して合成し、すなわちこれらのペプチド配列をSGSGC配列(配列番号5)によって伸長して、安定なチオエーテル結合を介してSPRバイオセンサー表面又はNIR色素に結合するためのリンカーを提供した。
【0040】
非標識の合成ペプチドを、標準のFmoc化学を使用して合成した。ペプチドを、HPLCを使用することによって、0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を添加した水−アセトニトリル直線勾配0〜60%(1.0%/分、流速5.0ml/分)を使用して10×250mmのVydac(商標)−C18逆相カラムで精製した。最終生成物を凍結乾燥し、すべてのペプチドについて、分析HPLCによって、0.1%TFA中勾配0〜60%(1%/分、流速1.0ml/分)のアセトニトリルを使用して4.6×250mmのVydac−C18逆相カラムで純度≧98%になったことを確認した。溶出プロファイルは、278nmにおける吸光度によってモニターした。精製したすべてのペプチドの識別を、エレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)によって検証した。ペプチド濃度を、予測吸光係数を使用して分光光度的に決定した。
【0041】
実施例3:STD−NMRを使用するペプチドとクラステリンとの相互作用の特徴付け
【0042】
実施例1のペプチドとクラステリンとの直接結合を確認するために、実施例2の合成ペプチドとクラステリンとの相互作用を、核磁気共鳴飽和移動差(STD−NMR;Mayer&Meyer、2001年)を使用して試験した。
【0043】
0.15mMペプチドを50mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.2mMのEDTA、pH6.5に溶解することによって、NMRサンプルを調製した。5mMリン酸ナトリウム緩衝液、0.02mMのEDTA、pH7.4中rh−クラステリン(約1mg/ml)を、約1:30の比のタンパク質:ペプチドに添加した。
【0044】
すべてのNMR実験を、298Kにおいて、3つの軸勾配の5mmの三重共鳴プローブを備えたブルカーアドバンス(Bruker Avance)800(商標)NMR分光計で実施した。飽和移動差(STD)スペクトルを、WATERGATE版のSTDパルスシーケンス(35)を使用して、緩和遅延に適用した3秒の選択的飽和パルス及び20ミリ秒のスピンロックパルスで、電界強度12.25kHzを用いて記録した。飽和パルスは、49ミリ秒のガウス形選択的パルス及び1ミリ秒のインターパルス遅延のパルス列を使用して実施した。各ガウス形パルスは、1%切り捨てで1000ポイントを有し、電界強度75.9Hzで印加された。STDスペクトルは、スペクトル幅16025.64Hz及びデータ点32Kで記録した。タイムドメインシグナルを、遊離サンプル及び複合サンプルについてそれぞれ1024及び4096のスキャンで積算した。NMRデータを、Bruker Xwinnmr 2.6を使用して処理した。フーリエ変換及び多項式ベースライン補正の前に、指数重み関数(exponential weighting function)7Hzを適用した。
【0045】
ペプチドP3378及びrh−クラステリンのNMRシグナルが大幅に重複し、したがってペプチドの共鳴を妨げずに先の飽和パルスをrh−クラステリン共鳴に排他的に適用することは不可能であった。P3378−rh−クラステリン複合体における結合相互作用を同定するために、メチル共鳴(0.912ppm)におけるオン共鳴飽和パルス及び−7.799ppm(参照したH
2Oを4.700ppmとする)におけるオフ共鳴照射を適用することによって、新しい実験スキームを実施した。このスキームでは、オン共鳴飽和パルスによってメチル共鳴周辺のNMRシグナルがクエンチされたが、オフ共鳴照射は、任意の共鳴なしにスペクトル領域に適用されたので、全NMRスペクトルに対して作用しなかった。オフ共鳴照射されたスペクトルからオン共鳴照射されたスペクトルを減算することによって、STDスペクトルを得た。差スペクトルの結果として、ペプチドとタンパク質の間に結合相互作用がなかったにもかかわらず、オン共鳴の周波数周辺の強い「残りの」ピークが、複合体のSTDスペクトルにおいて観測された。メチル周波数におけるオン共鳴照射は、タンパク質シグナルだけでなく、オン共鳴に近いペプチドシグナルも飽和する。これは、ペプチド内の飽和移動作用に由来する追加のSTDシグナルをもたらし得る。このペプチド内作用を評価するために、遊離ペプチドサンプルについても同じ実験準備を行った。結合の情報は、複合体のSTDスペクトルを、遊離ペプチドのSTDスペクトルと比較することによって抽出することができる。
【0046】
図2(下のパネル)は、準化学量論的な量のクラステリンの存在下及びそれなしのP3378のSTD−NMRスペクトルを示す(タンパク質:ペプチド約1:30)。rh−クラステリンの存在下における芳香族側鎖領域の鋭いNMRピークの出現(約7ppm)は、タンパク質からペプチドへの飽和移動を示し、タンパク質とペプチドの間の直接的な相互作用を示すものであった。P3378と同様に、合成P3375及びP3376の結合をSTD−NMRによって確認した(
図2、上及び中間のパネル)。rhCLUとのP3378の特異的な結合を実証するP3378−クラステリン複合体(実線の矢印)及びP3378単独(破線の矢印)のNMR−STDスペクトルを、やはり
図3A〜Cに示す。
【0047】
実施例4−SPRバイオセンサー分析を使用するペプチドとクラステリンとの相互作用の特徴付け
【0048】
実施例1のペプチドとクラステリンとの結合を、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用してさらに研究した。
【0049】
ペプチドを、マレイミドの結合方法によって研究用CM5センサーチップ上に固定化した。CM5センサーチップ(研究用)及びEDCは、Biosensor AB(スウェーデン、ウプサラ)から購入した。このチオールの結合によって、センサーチップ表面上の反応性マレイミド基とペプチドのチオール基との安定なチオエーテル結合が得られる。ヘテロ二官能性試薬であるSMCC−ヒドラジド(4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1カルボキシルヒドラジド;純度99.5%;Molecular Biosciences Inc.(Boulder、CO)から購入した)を使用して、反応性マレイミド基をセンサー表面に導入した。流速5μL/分において25℃で固定化を実施した。HBS−EP緩衝液(20mMのHEPES、150mMのNaCl、3.4mMのEDTA及び0.05%ツイーン(Tween)(商標)−20、pH7.4)の連続フローを、センサー表面上に維持した。センサー表面上のカルボキシル化デキストランマトリックスを、100mMのMES緩衝液、pH5.00中1.2mMのN−エチル−N’−(3−ジエチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)172μL及び40%DMF中17.8mMのSMCC−ヒドラジド28μLを含有する新しく混合した溶液50μLを注入することによって活性化した。SMCC:EDCの比は2.5:1であった。100mMのMES緩衝液(pH5.0)にペプチド(30〜100μg/ml)を注入することによって、ペプチド結合表面を生成した。活性化表面上に固定化するペプチドの量を、ペプチド溶液との接触時間を変えることによって調節し、約400〜500RU又はペプチド400〜500pg/mm
2とした。固定化手順は、1M塩化ナトリウム及び0.1M酢酸ナトリウム(pH4)中50mMシステイン50μLを注入して、過剰の活性なマレイミド基をクエンチすることによって完了した。
【0050】
タンパク質とペプチドとの相互作用を、BIAcore 3000機器(スウェーデン、ウプサラ、Biosensor AB)を使用して追跡した。センサー表面全体にわたる流速20μL/分のHBS−EP緩衝液(20mMのHEPES、150mMのNaCl、3.4mMのEDTA及び0.05%ツイーン−200)pH7.4の連続フローの下、25℃ですべての結合実験を実施した。HBS−EP緩衝液中異なる濃度のrh−クラステリンを、ペプチド誘導体化センサーチップ上に注入した。注入後最大300秒間、解離をモニターした。5mMのNaOHを含有するHBS−EP緩衝溶液を15秒間注入することによって、表面を完全に再生させた。各相互作用の動態は、流速(20〜100μL/分)を変えることによってごくわずかに影響を受けたが、このことは質量輸送の寄与が最小限であったことを示す(データは示さず)。各分析物の注入について、BiaEvaluationソフトウェアバージョン3.0(スウェーデン、ウプサラ、Biacore AB)を使用して、ペプチドを含有するフローセルから非修飾デキストラン表面を含有する対照フローセルからの参照応答を減算した。
【0051】
得られたセンサーグラムを、単純1:1ラングミュア結合モデルに対する実験データのグローバルフィッティングによる運動速度の決定に使用した。センサーグラムの解離相と会合相の両方に関するフィットの統計的分析は、低い
X2値(<2)を示した。結合研究からの親和性データ(K
D)を、定常状態におけるRUとしての応答(Req)対クラステリンの濃度(C)をプロットし、これらの曲線を単一部位結合モデル(one−site binding model)、Req=C
*×Rmax/(C+KD)(式中、Rmaxは飽和におけるRUの値であり、Reqは、所与の各Cにおいて観測されたRUの光学的変化である)にフィットさせることによって得た。
【0052】
図4は、rhCLU(11nM〜14μM)と固定化無作為化配列P3378R(3378RU)との相互作用を評価した対照実験からの、SPRバイオセンサーのセンサーグラムのオーバーレイプロットである。この対照ペプチドは、P3378と同じアミノ酸含量を有するが、無作為化配列(PYLHQSPHWKPSSGSGC−配列番号6)を有する。rhCLUとこの対照ペプチドとの結合の欠如は、スキャッチャードプロット(挿入図;rhCLUの濃度に対してプロットした平衡における応答)の線形性質によって明らかである。これは、無作為化ペプチドがrhCLUに特異的に結合せず、結果的に親P3378ペプチドとクラステリンとの相互作用がペプチド配列依存性であることを実証するものである。
【0053】
図5は、rhCLU(5.5nM〜1.4μM)と固定化ペプチドP3378(500RU)との結合を示すSPRバイオセンサーのセンサーグラムのオーバーレイプロットを示す。データのグローバルフィット(実線)は、その結合が、k
on=(1.72±0.03)×10
4M
−1s
−1、k
off=0.0052±0.0002s
−1及びK
d=0.30μMの単純1対1ラングミュア結合モデルによって説明し得ることを示している。平衡における応答を、rhCLUの濃度に対してプロットし、実験データを、Kdが0.30±0.06μMの1対1結合モデルを用いてフィットさせた。結合は、スキャッチャードプロット(挿入図)の曲線の性質によって明らかである。
【0054】
図6は、rhCLU(2nM〜1.1μM)と固定化ペプチドP3375(1200RU)との結合を示すSPRバイオセンサーのセンサーグラムのオーバーレイプロットを示す。データのグローバルフィット(実線)は、その結合が、k
on=(1.12±0.03)×10
4M
−1s
−1、k
off=0.006±0.0002s
−1及びK
d=0.54μMの単純1対1ラングミュア結合モデルによって説明し得ることを示している。結合は、スキャッチャードプロット(挿入図)の曲線の性質によって明らかである。
【0055】
図7は、rhCLU(0nM〜1.4μM)と固定化ペプチドP3376(150RU)との結合を示すSPRバイオセンサーのセンサーグラムのオーバーレイプロットを示す。平衡における応答を、rhCLUの濃度に対してプロットし、曲線は、K
dが0.34±0.10μMの1対1結合モデルに対するデータ点のフィットを表す。結合は、スキャッチャードプロット(挿入図)の曲線の性質によって明らかである。
【0056】
つまり、
図5、6及び7は、ファージディスプレイスクリーニングによって同定した3つすべてのクラステリン結合性ペプチドが、rh−クラステリンに対してマイクロモル以下の見掛けの親和性を示すことを実証している。
【0057】
実施例5−SPRバイオセンサー分析及びクラステリンに無関係のタンパク質を使用するクラステリンとペプチドとの相互作用の特異性の研究の特徴付け
【0058】
クラステリンとペプチドとの相互作用の特異性を、SPRバイオセンサー分析及びクラステリンに無関係のタンパク質を使用して研究した。センサーチップ上のペプチド及び他のタンパク質の固定化、並びにSPR実験を、実施例4に記載の通り実施した。
【0059】
図8は、II型TGF−β受容体の細胞外ドメイン(38nM〜4.5μM)と、固定化P3378(500RU)(
図8A)又はP3375(1200RU)(
図8B)との相互作用を示すSPRバイオセンサーのセンサーグラムを表す。どちらの場合も著しいシグナルは観測されなかったが、このことはII型TGF−β受容体がこれらのペプチドと相互作用しないことを示す。
【0060】
図9は、上皮増殖因子外部ドメイン(EGFR−ED)(70nM〜5.63μM)と、固定化P3375(1200RU;
図9A)又はP3378(500RU;
図9B)との結合を示すオーバーレイプロットを示す。スキャッチャードプロットの線形性質(右パネル)は、これらのペプチドがEGFR−EDに特異的に結合しないことを示す。
【0061】
つまり、
図8及び9の結果は、P3378及びP3375が、クラステリンとは無関係なタンパク質とは特異的に相互作用しないことを示しており、このことは、rh−クラステリンとのそれらの結合が特異的であることを示す。
【0062】
実施例6−クラステリンとペプチドとの相互作用の配列依存の特徴付け
【0063】
クラステリンとペプチドとの相互作用の配列依存を、SPRバイオセンサー分析及びスクランブル配列を有するペプチドを使用して研究した。センサーチップ上のペプチドの固定化及びSPR実験を、実施例4に記載の通り実施した。
【0064】
図10は、rh−クラステリン(11nM〜1.4μM)と、本発明のクラステリン結合性ペプチドの固定化無作為化型であるP3378R(PYLHQSPHWKPSSGSGC−配列番号6)、P3375R(LSLYHTNTQFWQSGSGC−配列番号7)及びP3376R(AWHTLASTSLAPSGSGC−配列番号8)との相互作用を示すSPRバイオセンサーのセンサーグラムを表す。曲線のスキャッチャードプロット(右パネル)によって明らかになる通り、クラステリンがP3375R(13850RU)及びP3376R(3300RU)と結合したことは(それぞれ
図10b及びc)、P3375及びP3376とクラステリンとの結合が、ペプチド配列に特異的でないことを実証するものである。P3378R(3378RU)のスキャッチャードプロット(
図10a、右パネル)の線形性質によって、P3378とクラステリンとの相互作用の配列依存性の性質が確認される(
図4も参照)。
【0065】
実施例7−mAb16B5との比較におけるP3378クラステリンのエピトープの特徴付け
【0066】
EMTを遮断する抗クラステリンモノクローナル抗体(mAb)16B5及びP3378が、クラステリン上に重複又は独立の結合部位を有するかどうかという問題を、SPRバイオセンサー分析を使用して研究した。クラステリンと相互作用するいくつかのmAbが単離されており、16B5を含むこれらのmAbのうち5つが、クラステリンのEMT促進作用にとって重要なクラステリン上のエピトープと相互作用する。したがって、これらの抗クラステリンmAbは、細胞培養におけるEMT及び動物モデルにおける腫瘍転移を阻害する(O’Connor−McCourtら、国際公開第2007/030930号パンフレット)。クラステリン結合性ペプチドは、インビボでクラステリン発現腫瘍(原発腫瘍及び転移)を非侵襲的にイメージングするために使用できるので、抗クラステリンmAbによる処理が、クラステリン標的とのペプチド結合を遮断し、したがって腫瘍をイメージングするペプチドの能力を損なうおそれがあるかどうかを決定することが重要である。センサーチップ上のペプチドの固定化及びSPR実験を、本質的に実施例4に記載の通り実施した。
【0067】
図11は、16B5mAbなし、及び16B5mAbの存在下でのrh−クラステリンと固定化P3378ペプチドとの結合を示すセンサーグラムのオーバーレイプロットを示す。固定化P3378ペプチドよりも高い濃度のrh−クラステリン(0〜1.2μM)の注入によって、0.52μMのK
Dが得られた(
図11a)。rh−クラステリンを、mAb16B5を用いてプレインキュベートし(比1:1.7)、次いで同じペプチド表面上にフローさせると、1.1μMのK
Dが測定された(
図11b)。これらの結果は、mAb16B5の存在が、固定化P3378とのrh−クラステリンの結合親和性に著しく影響を及ぼさなかったことを示すが、このことはmAb16B5及びP3378ペプチドが、rh−クラステリン上の非重複部位に結合することを示すものである。したがってP3378は、16B5mAbによって処理した腫瘍との相互作用及びそのイメージングを遮断されないはずである。
【0068】
実施例8−マウス4T1乳房腫瘍細胞におけるクラステリン分泌
【0069】
動物モデルにおける腫瘍のイメージングを実証するためには、標的、この場合クラステリンを発現する腫瘍細胞株(動物に埋め込まれることになる)を選択することが必須である。したがって、マウス4T1乳房腫瘍細胞がクラステリンを分泌し、分泌されたクラステリンのレベルが間葉系の表現型と相関することを実証した。
【0070】
マウス4T1腫瘍細胞は、クラステリンの分泌型を生成することが示されており、この分泌は、TGF−βによる処理によって増大する(
図12)。マウス乳房4T1腫瘍細胞をATCCから得、ATCCの推奨に従って培養した。4T1マウス乳房腫瘍細胞は、TGF−βの存在下で24時間増殖させると、未処理細胞(CTL)と比較して非常にわずかな間葉系様の形態変化を受ける(
図12A)。TGF−βなし(CTL)又はTGF−βの存在下で24時間増殖した細胞から得た馴化培地50μLのウエスタンブロット分析は、細胞によるクラステリン分泌がTGF−βによって増大することを示す(
図12B)。培地対照(Med)におけるクラステリンの欠如は、未処理4T1細胞の馴化培地で検出されたクラステリンが、成長培地自体(DMEM+10%ウシ胎児血清(FBS))に由来しないことを示す。これらの結果は、クラステリンが4T1細胞によって分泌され、分泌されたクラステリンの量がTGF−βによって増大すること、すなわちクラステリンの発現レベルがより間葉系の表現型と相関することを示すものである。4T1細胞の運動性は、創傷治癒アッセイにおいて示される通り、TGF−βの存在によって増大するが(
図12C)、このことは、増大したクラステリンと間葉系の表現型との相関を確認するものである。Leitz Labovert倒立顕微鏡に搭載したNikon CoolPix 995デジタルカメラで写真を撮った。
【0071】
実施例9−標識化クラステリン結合性ペプチド(P3378)を使用する4T1腫瘍担持動物のイメージング
【0072】
分子イメージングの準備では、ペプチドP3378(及びその無作為化対照ペプチド、P3378R)を様々なプローブで標識化した。アレクサフルオル(Alexa Fluor)680のC2−マレイミドを、Invitrogen Canada Inc.(オンタリオ州バーリントン)から購入した。アレクサフルオル680、ディライト680又はディライト800によるP3378及びP3378Rペプチドの標識化を、製造者の指示(Molecular Probes)に従って実施した。3:1(色素:ペプチド)のモル比の7.0mMのアレクサフルオル680のC2マレイミド(DMSOに溶解)を、50mMリン酸緩衝液(pH7.2)中0.3mMのペプチドを用いて4℃で24時間にわたって暗室でインキュベートすることによって、アレクサフルオル680−ペプチドコンジュゲートを生成した。粗コンジュゲートを、分析的HPLCを使用することによって、Vydac−C18逆相カラム、4.6×250mmで0.1%TFA中勾配0〜60%(1%/分、流速1.0ml/分)のアセトニトリルを使用して精製した。溶出プロファイルを278nmにおける吸光度によってモニターした。精製したすべての標識化ペプチドの識別を、エレクトロスプレー質量分析(ESI−MS)によって検証した。ピークを含有するペプチド−アレクサ680コンジュゲートを収集し、凍結乾燥させ、濃度250μM(予測吸光係数を使用して分光光度的に決定した)で滅菌生理食塩水に再溶解し、使用まで暗室において−80℃で保存した。
【0073】
モデル系として、4T1マウス乳癌細胞株の細胞を使用して、同系BALB/cマウスにおいて腫瘍を発生させた。4T1細胞は、著しい量のクラステリンを発現及び分泌し(
図16及びLenferink 2009年)、雌性BLAB/c動物に注入した場合に同系インビボモデル系を提供することが示されている。すべての動物における手順は、機関の指針と共に、Animal Care Committee in the Biotechnology Research Institute of the National Research Council of Canada(ケベック州モントリオール)によって承認のプロトコル08−MAR−I−12に従って服薬遵守で実施した。6〜8週齢の雌性BALB/cマウスを、Charles Riverから得た。乳酸デヒドロゲナーゼ上昇ウイルスを含まない高濃度フェノールレッドフリーマトリゲルを、Becton Dickinson(ニュージャージー州フランクリンレイクス)から購入した。無菌マトリゲルと生理食塩水の1:1溶液50μl、又は4T1マウス乳房腫瘍細胞(5×10
6個の細胞)を含有する同じ溶液を、動物の右後大腿部に皮下注入した。Clippers及びNairを使用して、マトリゲル及び腫瘍細胞注入の前に、動物の注入部位並びに腰背部及び左大腿部から毛髪を除去した。腫瘍を測定して直径約0.5〜0.8cmになったら(6〜8日)、腫瘍担持マウスをインビボでイメージングした。
【0074】
免疫蛍光顕微鏡のために、OCTで包埋した4T1腫瘍を、Leica CM1900クリオスタット(Leica、カナダ、オンタリオ州リッチモンドヒル)を使用して厚さ8μmの切片にし、Superfrost Plus顕微鏡スライド(Fisher Scientific、カナダ、オンタリオ州オタワ)上に置き、使用まで−80℃で維持した。凍結切片を風乾させ、10%緩衝ホルマリン中で5分間固定し、Ultra V Block(Thermo Fisher Scientific、カナダ、オンタリオ州Nepean)を用いて、室温で5分間にわたって非特異的にブロックした。次いでスライドを、クラステリン抗体M−18(1:100;Santa Cruz Biotechnology、米国カリフォルニア州サンタクルス)を用いて終夜4℃でインキュベートし、次いで二次アレクサフルオル555標識化ロバ抗ヤギIgG(1:200;Invitrogen、カナダ、オンタリオ州バーリントン)で室温において30分間インキュベートした。核を、PBS中0.1μg/mlの4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール(DAPI)を用いて室温で1分間対比染色した。水を使用した最後のステップを除き、すべての洗浄ステップでPBSを使用した。最後に、プロロングゴールドアンチフェード(ProLong Gold Antifade)(商標)(Invitrogen、カナダ、オンタリオ州バーリントン)を使用してスライドをマウントした。QImaging(商標)Retiga−2000R CCDカメラ(QImaging、カナダ、ブリティッシュコロンビア州サリー)に接続したライツアリストプラン(Leitz Aristoplan)(商標)顕微鏡(Thermo Fisher Scientific、カナダ、オンタリオ州Nepean)を用いて蛍光を検出し、QCapture(商標)ソフトウェア(Meyer Instruments、米国テキサス州ヒューストン)を使用して分析し、その後Photoshop(Adobe Systems、カナダ、オンタリオ州トロント)を用いて擬似色を付けた。
【0075】
近赤外線の蛍光顕微鏡のために、インビボでの腫瘍標的化実験の完了後、動物にヘパリン処置した生理食塩水をかん流し、動物の脳を切開し、次いでドライアイスで凍結させた。マウスの脳組織を、Tissue−Tek(商標)凍結保存培地に包埋し、クリオスタット上で厚さ10μmの切片にし、次いでスーパーフロスト(Superfrost)(商標)Plus顕微鏡スライド(Fisher Scientific、カナダ、オンタリオ州Nepean)上にマウントした。凍結した組織切片を、メタノール中、室温で10分間固定した。スライドを0.2MのPBS(pH7.3)ですすぎ、その後PBS中5%ロバ血清を用いて0.1%トリトン(Triton)(商標)−X100と共に室温で1時間インキュベートした。ブロッキング後、ヤギ抗マウスクラステリン一次抗体(1:100)を用いてスライドを室温で1時間インキュベートし、その後アレクサ568標識化ロバ抗ヤギ二次抗体(1:500;Molecular Probes)を用いて室温で1時間インキュベートした。スライドを再度PBSで5回洗浄し、次いで過剰の液体を乾燥させ、Hoechstを含有するDAKO蛍光マウンティング培地(1:1000)を使用してカバースリップをのせた。Olympus IX81倒立電動顕微鏡(Markham、カナダ、オンタリオ州)を使用して画像を取り込み、イメージプロ(ImagePro)(商標)6.2(Markham、カナダ、オンタリオ州)を使用して分析した。
【0076】
動物を、以下の手順を使用してイメージングした。動物を、イソフルラン(O
2中3%、2L/分)を使用して麻酔した。標識化ペプチドの注入の前に、動物を全身スキャンにかけて、バックグラウンド蛍光画像を得た。P3378−アレクサ680又はP3378R−アレクサ680を、27ゲージの固定針を備えた0.5mlインスリンシリンジを使用して、尾静脈を介して投与した(滅菌生理食塩水100μL中25nmol)。直後に、動物をART eXplore Optix MX2イメージング系(Advanced Research Technologies、カナダ、モントリオール)の加熱した動物用プレート(39℃)上に置いた。画素数当たりのレーザー出力及び計数時間を、それぞれ9.6μW及び0.5秒で最適化した。これらの値を、すべての実験中、一定に維持した。ラスタースキャン間隔を1.5mmに設定し、各画像の取得中、一定に保持した。データを、時間的点広がり関数(TPSF)として記録し、蛍光強度及び蛍光寿命マップを作成した。すべての画像を、ARTオプティクスオプティビュー(Optix OptiView)(商標)ソフトウェアを使用して分析した。体積データ及び3D画像を、ARTオプティビュー(OptiView)(商標)3D再構成ソフトウェアモジュールを使用して再構成した。すべての動物を、イメージング実験後に安楽死させた。
【0077】
動物を、以下の3つの手法を使用してART Optix MX2小動物撮像装置でイメージングした。
a.マウスに、アレクサ680で標識化したP3378ペプチド5ナノモル又はアレクサ680で標識化したP3378Rペプチド5ナノモルのいずれかを、尾静脈を介して静脈内(i.v.)注入した。
b.マウスに、アレクサ680で標識化したP3378ペプチド25ナノモル又はアレクサ680で標識化したP3378Rペプチド25ナノモルのいずれかを、尾静脈を介して静脈内(i.v.)注入した。
c.マウスに、ディライト680で標識化したP3378ペプチド25ナノモル及びディライト800色素で標識化したP3378Rペプチド25ナノモルの混合物を、i.v.(尾静脈)同時注入した。
【0078】
最初の2つの手法(a、b)では、クラステリン結合性ペプチド及び対照ペプチドを同じフルオロフォアで標識化したので、各ペプチドのホーミング能力を個々に、すなわち異なる時間及び/又は異なる動物においてモニターしなければならなかった。第3の手法(c)におけるクラステリン結合性ペプチド及び対照ペプチドの差動的な標識化によって、同時注入が可能になり、同じマウスにおける同じ4T1腫瘍にホーミングするこれら2つのペプチドの能力をほぼ同時にモニターすることができた。最初の2つの手法で使用したアレクサ標識から、第3の手法で使用したディライト(商標)標識への切替えは、2つの異なるフルオロフォアを使用できるようにするために行われ、また、多くの適用においてディライト(商標)色素がアレクサフルオロフォアよりも高い蛍光強度及び光安定性を提示することが示されていることから行われた。
【0079】
最初の実験(a、b)では、ある日動物1匹にP3378−アレクサ680を注入した後、イメージングデータを注入の3時間後に収集した。ペプチド注入の24時間後、この動物を再スキャンして(前日と同じパラメータを使用する)、P3378−アレクサ680がマウスから除去されたことを確認した。次いで、P3378R−アレクサ680スクランブルペプチドを注入し、前日と同じ測定を実施した。この設定を使用して、2つのペプチドの挙動を、異なる日の同じ動物における同じ腫瘍で比較した。
【0080】
生理食塩水100μL中標識化ペプチド5ナノモル又は25ナノモルのいずれかを注入した。これは、それぞれ約3μM及び約15μMの最初の循環ペプチド濃度に相当するものであった。クラステリンは、血中に中程度豊富に存在する循環タンパク質である(100μg/ml=約1μM)。ペプチド5ナノモル又は25ナノモルのいずれかを注入した場合、注入したペプチドの最初の濃度は循環クラステリンの濃度よりも高かったので、遊離循環ペプチド(クラステリン結合していない)は、どちらの場合も腫瘍にホーミングするのに利用可能なはずである。ART Optix MX2小動物撮像装置を使用して、両方のペプチド濃度における腫瘍内(並びに腎臓及び膀胱内)のP3378−アレクサ680及びP3378R−アレクサ680の両方の蓄積を観測した。
【0081】
重要なことに、P3378−アレクサ680ペプチドは、P3378R−アレクサ680ペプチドよりも腫瘍部位からゆっくり除去されたが、このことは、P3378ペプチドがクラステリン結合に起因して、腫瘍部位に選択的に保持されたことを示している(
図13A)。この作用は、「腫瘍抗原シンク(tumor antigen sink)」作用を反映し得る腎臓におけるP3378Rスクランブルペプチドのより早い蓄積と相関し、すなわち腫瘍に保持されるP3378Rスクランブルペプチドが少ないので、多くのペプチドが循環に保持され、腎臓におけるクリアランスに利用可能となる(
図13B)。これらの結果は、P3378が4T1腫瘍細胞によって分泌されたクラステリンに対して特異性を有することを示している。
【0082】
P3378ペプチドの腫瘍標的化能力の特異性に関するさらなる最終的なデータを得るために、第3の手法(c)を使用して、P3378ペプチドをディライト680で標識化し、P3378Rペプチドをディライト800フルオロフォアで標識化した。次いで、両方のペプチドの1:1混合物(各25ナノモル)を、4T1腫瘍担持BALB/cマウスにi.v.注入した(前述の通り)。さらに、これらの同じ動物に対して、4T1細胞を注入したビヒクル(マトリゲル/生理食塩水50μL、1:1(v/v))も、左大腿部(s.c.)に注入した。これによって、同じマウスの腫瘍部位(右大腿部)及びビヒクル対照部位(左大腿部)において、両方のペプチドのホーミング挙動の実質的に同じ時間におけるモニターが可能となった。
【0083】
6匹の動物を使用したこれらの実験結果から、先の実験(先のa及びb)において得られた結果を確認した。
図14は、P3378ペプチドが、P3378Rペプチドと比較して腫瘍部位にかなり長く存在することを示すものであり、それによって腫瘍標的化に対するP3378ペプチドの特異性を確認する。この観測を、両方のペプチドについて経時的な腫瘍シグナル対バックグラウンド比を決定することによってさらに確認した(
図17)。そのために、同じ動物の腫瘍(AU
T)及び非腫瘍を含有する反対側(AU
N)の周りに描いた関心領域(ROI)について平均蛍光強度(AU)を決定した。時間関数としてAU
T/AU
N比をプロットすることによって、両方のペプチドが、最初は注入の約60分後まで腫瘍部位において同じ速度で蓄積し、その後P3378Rペプチドは腫瘍から除去され、P3378ペプチドは腫瘍部位に保持されることが示される。
【0084】
これらの実験過程中、P3378/P3378Rペプチド混合物を注入した3匹の動物の腫瘍は、経時的に増殖速度の低減を示す傾向があったが(
図15)、このことは、これらのペプチドが抗腫瘍作用を有し得ることを示すものであることにも気付いた。腫瘍細胞の注入の7日後まで、腫瘍の大きさを2次元で測定したことに留意されたい(長さ及び幅、実験を通して同じ式を使用できるように高さは1mmに設定した)。
【0085】
P3378−DL680プローブのインビボ標的化能力の特異性をさらに評価するために、過剰の非標識P3378ペプチドを使用してブロッキング実験を実施した。マウスに、25nモルのP3378−DL680を単独で(n=1)、又は滅菌生理食塩水100μL中、非標識P3378若しくはP3378Rペプチド5μモル(共にn=2)と組み合せて投与した。対照群の動物には、25nモルのP3378−DL680を、5μモルの非標識スクランブルP3378Rペプチドと共に、又はそれなしに投与し、実験動物には、25nモルのP3378−DL680を、5μモルの非標識P3378ペプチドと組み合わせて注入した。
図18A(注入の15分後)に示す通り、非標識P3378ペプチドは、腫瘍へのP3378−DL680の取込みの遮断に成功したが、非標識スクランブルP3378Rは遮断しなかった。さらに、ゲート(gated)NIRF寿命及びオプティビュー3D再構成モジュールを使用して、各マウスにおいて最高濃度のP3378−DL680を含有するZ軸に沿った切片を選択し、その相対濃度を決定した。
図18Bは、P3378−DL680プローブの相対濃度(
図18B、中間のパネル)が、P3378−DL680を注入した動物(
図18B、左パネル)と比較して、過剰の非標識P3378ペプチドの存在下では約3〜4分の1となり、この濃度値が、過剰のスクランブルP3378Rペプチドの存在のみによってわずかに影響を受ける(
図18B、右パネル)ことを示す。
【0086】
共焦点顕微鏡を使用して、注入の15分間後に収集した4T1腫瘍及び様々な器官(肝臓、脾臓、膵臓、腎臓、心臓、肺)におけるP3378−DL680プローブの分布を評価した。P3378−DL680(25nモル)の注入の15分後に動物から収集した4T1腫瘍及び器官の凍結切片(厚さ10μm)は、4T1腫瘍における蛍光プローブの特異的な取込み及び蓄積を示すものであり、蛍光プローブはその標的CLUと共に局在している。P3378ペプチドは、sCLUが存在したにもかかわらず他の器官では検出できなかったが、これによってP3378−DL680ペプチドが腫瘍によって選択的に取り込まれることが、顕微鏡的なレベルで確認される。核のDAPI染色を使用して、組織形態を可視化した。
【0087】
本明細書に記載の実施形態及び実施例は例示的なものであり、特許請求される本発明の範囲を制限することを企図しない。本発明者らは、代替、改変及び等価物を含む先の実施形態の変形形態が特許請求の範囲に包含されることを企図する。さらに、論じた組合せの特徴が本発明の解決に必要ないこともあり得る。
【0088】
関連出願の相互参照
本願は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれている2009年4月17日出願の米国特許仮出願第61/202,910号の利益を主張するものである。
【0089】
参考文献
本明細書に記載のすべての特許、特許出願及び出版物は、参照によって本明細書に組み込まれている。
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