特許第5861245号(P5861245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5861245二量化脂肪酸のモノマー単位を含むポリマーを含有するポリマー組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861245
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】二量化脂肪酸のモノマー単位を含むポリマーを含有するポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/02 20060101AFI20160202BHJP
   C08L 77/12 20060101ALI20160202BHJP
   C08L 69/00 20060101ALI20160202BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C08L67/02
   C08L77/12
   C08L69/00
   C08L63/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-542572(P2013-542572)
(86)(22)【出願日】2011年12月12日
(65)【公表番号】特表2013-544943(P2013-544943A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】EP2011072437
(87)【国際公開番号】WO2012080163
(87)【国際公開日】20120621
【審査請求日】2014年10月22日
(31)【優先権主張番号】10194768.7
(32)【優先日】2010年12月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(72)【発明者】
【氏名】オジュレック, ゼイネップ
(72)【発明者】
【氏名】ナイエンハイス, アテゼ, ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヘーヴェル, ファン デン, ポール, ウィレム, ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ブイシュ オプ デン, フランソア, アントワーヌ, マリー
【審査官】 内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許第01251377(GB,B)
【文献】 特開平06−145477(JP,A)
【文献】 特開昭60−153867(JP,A)
【文献】 特開平07−060811(JP,A)
【文献】 特表平09−511267(JP,A)
【文献】 特開2007−002128(JP,A)
【文献】 特開2001−279067(JP,A)
【文献】 特開平08−073714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/16
C08G 59/00− 59/72
C08G 69/00− 69/50
C08G 63/00− 63/91
C08G 64/00− 64/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーを含有するポリマー組成物の射出成形品、ブロー成形品又は押し出し成形品である造形品において、前記ポリマー組成物がエポキシ化可塑剤を含み、前記ポリマーがポリエステルのハードセグメントを含む熱可塑性エラストマーであることを特徴とする、造形品
【請求項2】
前記エポキシ化可塑剤がエポキシ化植物油である、請求項1に記載の造形品
【請求項3】
エポキシ化植物油が、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油又はエポキシ化トール油である、請求項2に記載の造形品
【請求項4】
エポキシ化植物油がエポキシ化大豆油である、請求項2に記載の造形品
【請求項5】
エポキシ化植物油の量が、二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基の総量の10〜200重量%である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の造形品
【請求項6】
エポキシ化可塑剤が、0.1〜15重量%のオキシラン酸素を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の造形品
【請求項7】
前記ポリマーが、ナイロン又はポリカーボネートのハードセグメントをさらに含む熱可塑性エラストマーである、請求項1〜のいずれか一項に記載の造形品
【請求項8】
前記ポリエステルのハードセグメントが、1,4−ブチレンジオールとテレフタル酸との反復単位を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の造形品
【請求項9】
前記ポリマーが二量化脂肪酸の残基及び二量化脂肪アミンの残基を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の造形品
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーを含有するポリマー組成物に関する。
【0002】
再生可能資源から得ることのできる残基をポリマーに使用することは、ますます重要になっている。化石炭素から製造する必要のない、再生可能な資源から得ることのできるモノマー単位を使用することは、ポリマーの製造によって放出される温室効果ガス(greenhouse gasses)を減少させる望ましい方法である。
【0003】
好例として、ポリマーにおける二量化脂肪酸残基の使用がある。二量化脂肪酸残基は、柔軟性をポリマーに付与するために使用される。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0235190号明細書からは、二量化脂肪酸の残基を含む、半晶質で溶融加工可能な部分芳香族コポリアミドが知られている。
【0005】
二量化脂肪酸は、二量化脂肪酸を共重合させるのに使用できる2個のカルボン酸基を含む。二量化脂肪酸を共重合させてポリアミドにするために、脂肪族ジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン)を使用する。同じ原理が、例えば、ポリエステルハードセグメントを含む熱可塑性エラストマーについて知られている。その場合、2個のカルボン酸基の修飾を行わずに二量化脂肪酸を使用できる。
【0006】
二量化脂肪酸の残基を含むポリマーの柔軟性は、残基を含んでいない同じポリマーから比べて、向上する。またガラス転移温度も低いレベルに減少する。
【0007】
多数のポリマー用途において、低い温度で柔軟性を付与するために、ガラス温度が低いことが求められる。好例として、非常な低温において変形及び衝撃に耐えることができる必要のある自動車部品がある。
【0008】
ガラス転移温度の更なる減少は、二量化脂肪酸の残基の量を増大させることによって達成されるであろう。しかし、それによって、望ましくないポリマー溶融温度の低下及び機械的性質の低下(例えば、剛性の低下及びポリマーのクリープの増大)がもたらされる。さらにガラス転移温度の減少は、それほどではない。
【0009】
これは、非常に望ましくないことである。なぜなら、その同じ部品は、(例えば、車の塗装工程の間の)非常な高温にも耐えることができなければならないが、それは、部品がボンネットの下で使用されるか、あるいは部品が太陽にさらされるからである。
【0010】
したがって本発明の目的は、二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーを含有するポリマー組成物であって、知られているポリマー組成物よりもその溶融温度を高いレベルに維持しつつ、ガラス転移温度が低いポリマー組成物を提供することである。
【0011】
意外にも、この目的は、エポキシ化可塑剤を含有するポリマー組成物の提供によって達成される。
【0012】
本発明によるポリマー組成物は、溶融温度又は軟化温度が高く保たれるが、ガラス転移温度が低くなる。
【0013】
更なる利点は、ポリマー組成物の機械的性質(特に剛性)が室温(23℃)で高いレベルに保たれることである。
【0014】
エポキシ化可塑剤の例としては、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエンブロックコポリマー、エポキシ化植物油及びエポキシ化変性ベジラブル油(例えば、エポキシ化されたエステル化脂肪酸の油など)がある。
【0015】
原則として、知られているすべてのエポキシ化されたエステル化脂肪酸を使用してよく、それには例えば、エタノール、2−エチルヘキサノールの脂肪酸エステル、ジオール(例えば、エチレングリコール及びブチレングリコールなど)の脂肪酸エステルのエステルあるいは多官能性アルコール(例えば、トリメチロールプロパン及びペンタエリトリトールなど)のエステルがある。
【0016】
好ましくはエポキシ化植物油が使用され、より好ましくはエポキシ化された亜麻仁油又はトール油が使用され、もっとも好ましくはエポキシ化大豆油が使用される。
【0017】
良好な結果が得られるのは、エポキシ化可塑剤が、0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは2〜8重量%のオキシラン酸素を含む場合である。
【0018】
エポキシ化された植物油及び変性油は、過酸化物酸(peroxide acids)で植物油及び変性植物油を酸化することによって得ることができる。
【0019】
二量化脂肪酸は、オリゴマー形成反応によって不飽和脂肪酸の単量体から得ることができる。オリゴマー混合物を、例えば蒸溜によってさらに処理して、二量化脂肪酸の含有量が多い混合物を生じさせる。二量化脂肪酸中の二重結合は、接触水素化で飽和させることができる。二量化脂肪酸という用語は、本明細書で使用されている場合、飽和と不飽和の両方のタイプの二量化脂肪酸に関して使われる。二量化脂肪酸は飽和であるのが好ましい。
【0020】
二量化脂肪酸の誘導体を製造することも可能である。例えば、二量化脂肪酸のカルボン酸基又はそれから作られるエステル基を水素化することによって、二量化脂肪ジオールを二量化脂肪酸の誘導体として得ることができる。更なる誘導体は、カルボン酸基又はそれから作られるエステル基を、アミド基、ニトリル基、アミン基又はイソシアネート基に変換することによって得ることができる。
【0021】
二量化脂肪酸は、32個から44個までの炭素原子を含むことができる。好ましくは、二量化脂肪酸は36個の炭素原子を含む。炭素原子の量は通常は平均値である。なぜなら、二量化脂肪酸は通常、混合物として市販されているからである。
【0022】
二量化脂肪酸の構造及び性質に関する更なる詳細は、対応するUNICHEMA社(ドイツ、エメリッヒ(Emmerich))のリーフレット「Pripol C36−Dimer acid」又はCOGNIS社(ドイツ、デュッセルドルフ(Duesseldorf))のパンフレット「Empol Dimer and Poly−basic Acids;Technical Bulletin 114C(1997)」に見いだすことができる。
【0023】
二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーの製造において、二量化脂肪酸及びその誘導体は、モノマーとして、又は前駆体オリゴマー若しくはポリマーとして使用できる。1つの例では、前駆体オリゴマー又はポリマーは、二量化脂肪酸及び/又は二量化脂肪ジオール(ジオール又はジカルボン酸の組合せは任意である)から形成されたポリエステルである。別の例では、前駆体オリゴマー又はポリマーは、二量化脂肪酸及び/又は二量化脂肪ジアミン(ポリアミドを形成するジアミン又はジカルボン酸の組合せは任意である)から形成されたポリアミドである。
【0024】
好ましい実施形態では、前駆体は、二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの前駆体オリゴマー又はポリマーである。二量化脂肪酸と二量化脂肪アミンとの比率ならびに脂肪酸及び脂肪アミンの重合度によっては、前駆体のエンドグープが酸基又はアミン基に変わる。最終ポリマーを製造するのに用いられる更なるモノマー及び/又はプレポリマーによっては、酸末端基又はアミン末端基があったほうが望ましいことがある。
【0025】
前駆体オリゴマー又はポリマーは、好ましくは少なくとも600kg/kmol、より好ましくは少なくとも1000kg/kmol、さらにより好ましくは少なくとも2000kg/kmolの数平均分子量(Mn)を有する。Mnは、好ましくは最大5000kg/kmol、より好ましくは最大2500kg.kmolである。
【0026】
二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーの例には、ポリエステル、ナイロン及びポリカーボネートのハードセグメントを有する熱可塑性エラストマーがあり、そのソフトセグメントが二量化脂肪酸及び/又は誘導体の残基を含む。
【0027】
好ましくは、熱可塑性エラストマーは、ポリエステルのハードセグメントと二量化脂肪酸及び/又は誘導体の残基を含むソフトセグメントとを含むポリマーである。
【0028】
そのような熱可塑性エラストマーは、好適には、少なくとも1種のアルキレンジオールと少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとから誘導される反復単位から構成されるハードセグメントを含む。線状又は脂環式のアルキレンジオールは、一般には2〜8個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を含む。その例としては、エチレングリコール、プロピレンジオール及びブチレンジオールがある。好ましくは、プロピレンジオール又はブチレンジオールが使用され、より好ましくは1,4−ブチレンジオールが使用される。好適な芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸又はこれらの組合せがある。その利点は、得られるポリエステルが一般に、融点が150℃超、好ましくは175℃超、より好ましくは190℃超である半結晶質であることである。ハードセグメントは、任意選択で、ポリエステルの融点を一般には下げる他のジカルボン酸(例えば、イソフタル酸)から誘導される少量の単位をさらに含んでもよい。他のジカルボン酸の量は、好ましくは、ジカルボン酸の総量に対して10モル%以下、より好ましくは5モル%以下に抑える。これは、とりわけ、コポリエーテルエステル(copolyether ester)の結晶化挙動が悪影響を受けないようにするためである。ハードセグメントは、好ましくは、反復単位としてのエチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレートから、特にブチレンテレフタレートから構成される。これらの容易に得られる単位の利点としては、好ましい結晶化挙動及び高融点があり、それゆえに、加工特性が良好であり、熱耐性及び耐薬品性が優れ、しかも耐破壊性の良好な本発明による熱可塑性エラストマーがもたらされる。
【0029】
良好な結果は、エポキシ化植物油の量が、二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基の量の10から200重量%の間である場合に得られる。好ましくは、組成物中のエポキシ化植物油の量は、二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基の量の少なくとも30重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%である。好ましくは、エポキシ化植物油の量は、二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基の量の最大150重量%、より好ましくは最大100重量%、さらにより好ましくは最大80重量%である。
【0030】
本発明による組成物は、エポキシ化油と二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーを含有する粒状体とをタンブルミキサー内で混合し、エポキシ化植物油が粒状体に浸透するまでそれを高温に維持することにより、製造することができる。その後、そのようにして得られた本発明による組成物の粒状体を、例えば、射出成形、ブロー成形又は押し出し成形によって造形品に加工することが可能である。
【0031】
好ましくは、本発明による組成物は、例えば、二軸スクリュー押出機内で組成物を溶融混合することによって製造する。二量化脂肪酸及び/又はその誘導体の残基を含むポリマーを押出機の第1供給開口部から添加し、エポキシ化植物油を1つ又は複数の箇所で押出機に注入することが可能である。
【0032】
本発明による組成物は、靴底、管、ケーブル外被、ソフトタッチの用途、CVJブーツ(CVJ boots)などの製造に使用できる。
【0033】
本発明を以下に実施例によって説明するが、実施例に限定されることはない。
【0034】
[用いた物質]
ポリマー1: 36個の炭素原子を有する二量化脂肪酸の残基を15重量%含み、残りが1,4−ブチレンジオールとテルフタル酸とのハードセグメントであるポリマー。
【0035】
ポリマー2: ポリマー1と同様であるが、二量化脂肪酸の残基を30重量%含む。
【0036】
ポリマー3: 二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの残基(どちらも36個の炭素原子を有する)を35重量%含み、残りが1,4−ブチレンジオールとテルフタル酸とのハードセグメントであるポリマー。
【0037】
ポリマー4: ポリマー3と同様であるが、二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの残基を50重量%含む。
【0038】
ポリマー5: ポリマー3と同様であるが、二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの残基を42重量%含む。
【0039】
ポリマー6: ポリマー3と同様であるが、二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの残基を55重量%含む。
【0040】
ESO: Drapex(商標)39(Chemtura corp.(米国)提供のエポキシ化大豆油)。
【0041】
ELO: Drapex(商標)10.4(Drapex corp.(米国)提供のエポキシ化亜麻仁油)。
【0042】
[試験手順]
融点(Tm)は、Mettler DSC 828Dを用いてDSCによって求めた。少量のポリマーの粒状体から約8mgの物質を試料ホルダーに入れた。物質及び試料ホルダーをDSC装置に入れ、250℃に加熱し、再び室温まで冷却した。どちらも、10℃/分の速度で行った。その後、温度を10℃/分で上昇させた。融点は、結晶化熱のピークの最大値から求めた。
【0043】
E−モジュラス(E−Modulus)は、幅が約2.0mm、厚さが0.09mm、クランプ間長さ(length between clamps)が約21.8mmである試料に対して、1Hzの周波数及び5℃/分の加熱速度でRheometrics RSA−II DMSを用いて様々な温度で求めた。この方法は、ASTM D5026に従ったものである。23℃でのE−モジュラスを報告する。ポリマーの粒状体を真空下で110℃において16時間乾燥させ、粒状体を250℃でフィルムに圧縮成形して製造して得たフィルムから、試料を切り取った。
【0044】
[実施例1の組成物の調製及び比較実験C]
それぞれ15重量%の二量化脂肪酸の残基を含むポリマー1及び2を、スクリュー直径が30mmであるWerner and Pfleiderer(商標)共回転二軸スクリュー押出機に供給した。大豆油および及びエポキシ化土豆油を、二軸スクリュー押出機の溶融ゾーンと混合ゾーンの間において、注入点10Dで押出機の出口から注入した。出口の溶融温度は240℃であり、生産量は20kg.hであった。
【0045】
[実施例I]
ポリマー1とエポキシ化大豆油との組成物。組成物は、85重量%のポリマー及び15重量%のエポキシ化大豆油を含む。全組成物は、12.7重量%の二量化脂肪酸の残基を含み、その結果、次のようになる:二量化脂肪酸の量+エポキシ化大豆油の量=27.7重量%。23℃でのTm、Tg及びE−モジュラス(23℃)を求めた。結果を表1に示す。
【0046】
[比較実験A]
二量化脂肪酸残基を15重量%含むポリマー1からなる組成物。結果を表1に示す。
【0047】
[比較実験B]
二量化脂肪酸残基を30重量%含むポリマー2からなる組成物。結果を表1に示す。
【0048】
[比較実験C]
実施例1と同様であるが、用いられた大豆油はエポキシ化されていない。結果を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
比較実験A及びBを比較すると、ポリマー中の二量化脂肪酸の残基の量が増えると、モジュラスが非常に小さくなり、溶融温度が低くなることが明らかである。大豆油を加えても(比較実験A対Cを参照)、ガラス転移温度に対する影響はほとんどない。
【0051】
これに対してエポキシ化大豆油を加えると(比較実験A対実施例Iを参照)、ガラス転移温度が著しく低くなり、Eモジュラスの低下が小さいことが分かる。
【0052】
[実施例II及びIIIの組成物の調製]
それぞれ90重量%のポリマー2及び3と10重量%のエポキシ化亜麻仁油(ELO)との混合物を、丸底フラスコ中で150℃において120分間加熱して、亜麻仁油が窒素下でポリマー中に拡散するようにさせた。
【0053】
[実施例II]
ポリマー3とエポキシ化亜麻仁油との組成物。組成物は、90重量%のポリマー及び10重量%とエポキシ化大豆油とを含む。全組成物は、31.5重量%の二量化脂肪酸及び二量化脂肪ジアミンの残基を含み、その結果、次のようになる:二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの量+エポキシ化亜麻仁油の量=41.5重量%。Tm、Tg及びE−モジュラス(23℃)を求めた。結果を表2に示す。
【0054】
[実施例III]
ポリマー4とエポキシ化亜麻仁油との組成物。組成物は、90重量%のポリマーと10重量%のエポキシ化大豆油とを含む。全組成物は、45重量%の二量化脂肪酸及び二量化脂肪ジアミンの残基を含み、その結果、次のようになる: 二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの量 + エポキシ化亜麻仁油の量 = 55重量%。Tm、Tg及びE−モジュラス(23℃)を求めた。結果を表2に示す。
【0055】
[比較実験D]
42重量%の二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの残基を含むポリマー5からなる組成物。結果を表1に示す。
【0056】
[比較実験E]
55重量%の二量化脂肪酸及び二量化脂肪アミンの残基を含むポリマー6からなる組成物。結果を表1に示す。
【0057】
【表2】

【0058】
実施例IIと比較実験Dを比較すると、二量化脂肪酸及び二量化脂肪ジアミンの残基の一部をELOで交換することにより、Tgは低くなり、融点は上昇することが明らかである。同じことは、実施例IIIと比較実験Eを比較した場合にも言える。