【実施例】
【0022】
図1及び
図2は、本発明の実施例にかかる、エレベータ巻上機の非常救出装置を示す。両図に示すエレベータの巻上機100は、電動機110とブレーキ120と綱車130を主要部材として構成されている。また、手巻ハンドル150等により、非常救出装置が構成されている。
なお、
図1は手巻ハンドル150を巻上機100に取り付けた状態を示しており、
図2は手巻ハンドル150を巻上機100から取り外した状態を示している。
【0023】
電動機110の外部ケーシング111は、円筒状のフレーム112と、フレーム112の一端面側を塞ぐブラケット113aと、フレーム112の他端面側を塞ぐブラケット113bにより構成されている。
回転軸114は、ブラケット113aに固定された軸受115aと、ブラケット113bに固定された軸受115bにより回転自在に支持されている。
回転子116は回転軸114に固定されており、固定子117はフレーム112の内周面に備えられている。
【0024】
回転軸114のうち、外部ケーシング111内で且つブラケット113a側の位置には、歯車(大歯車)118が固定されており、回転軸114の軸心と歯車118の回転中心が一致している。
更に、ブラケット113aには、軸心から外れた位置(回転軸114から外れた位置)に、軸受孔119が貫通・形成されている。
【0025】
ブレーキ120は、ブレーキ本体121とブレーキディスク122により構成されている。ブレーキディスク122は、綱車130と共に一体的に形成されている。
【0026】
綱車130は、電動機110の回転軸114のうちブラケット113b側の軸端に固定されており、回転軸114と共に回転する。綱車130の外周面には、主索を巻き掛けるため、巻き掛け溝131が形成されている。
【0027】
手巻ハンドル150は、円柱状のハンドル軸151と、ハンドル軸151の基端側(
図1、
図2では左側)に固定されたハンドル部152と、ハンドル軸151の先端側(
図1、
図2では右側)に備えられた歯車(小歯車)153により構成されている。
【0028】
手巻ハンドル150のハンドル軸151の外径は、軸受孔119に緊密に挿入することができる寸法となっており、小歯車153の外径は、軸受孔119の内径よりも小さくなっている。
【0029】
このため、手巻ハンドル150のハンドル軸151を、軸受孔119に緊密に挿入することができる。ハンドル軸151が軸受孔119に緊密に挿入されて、ハンドル軸151の先端側の歯車153が電動機110の内部に位置したときには、軸受孔119がハンドル軸151を回転自在に支持する軸受機能を果たす。しかも、手巻ハンドル150の小歯車153が、電動機110の回転軸114に固定された大歯車118に噛合する。
【0030】
つまり、小歯車153と大歯車118が噛合するため、手巻ハンドル150を保持する構造(ハンドル支持構造)が必要となるが、本例では、「手巻ハンドル150のハンドル軸151が軸受孔119に緊密に挿入されて、軸受孔119がハンドル軸151を回転自在に支持する軸受機能を果たすというハンドル支持構造」により、手巻ハンドル150を支持するようにしている。
【0031】
停電等が発生していない通常時には、
図2に示すように、手巻ハンドル150を巻上機100から取り外しておく。このとき、軸受孔119には蓋(図示省略)をして、電動機110の内部に、ゴミが浸入したり人体等が巻き込まれたりすると事態を防止する。
【0032】
停電や機器の故障などにより、エレベータのかごが階間で停止し、乗員がかご内に閉じ込められた場合には、かごを最寄り階まで動かすため、ブレーキ120を開放する。
もし、かごとカウンターウエイトのバランスの不平衡が大きければ、かごは重たい方へ自然に下がるので、最寄り階まで動かすことができる。
【0033】
しかし、かごとカウンターウエイトのバランスが取れていた場合は、手動でかごを動かす必要がある。
このときには、ブラケット113aの軸受孔119に取り付けていた蓋を取り外し、手巻ハンドル150のハンドル軸151を軸受孔119に挿入して、手巻ハンドル150の小歯車153を、電動機110の回転軸114に固定された大歯車118に噛合する。
このとき、軸受孔119がハンドル軸151を回転自在に支持する軸受機能を果たすため、歯車153,118の噛合状態を確保した状態でハンドル部152を回転させることができ、この回転力は、ハンドル軸151,小歯車153,大歯車118,回転軸114を介して綱車113に伝達されて綱車113が回転する。この結果、かごを移動させて最寄階まで動かすことができ、乗員の救出ができる。
【0034】
この場合、歯車153は歯車118に比べて小さいため、手巻ハンドル150を回転させる力(人力)が小さくても、容易に綱車130を回転させて、かごの移動ができる。
また、軸受孔119がハンドル軸151を回転自在に支持する軸受機能を果たすため、手巻ハンドル150を支持する構造が全体的に簡単になる。
さらに、回転軸114の軸端に手巻ハンドル150を連結するわけではないので、回転軸114の軸端にエンコーダなどを取り付けることができる。