【実施例1】
【0019】
基材シート1として、厚み70μmのホモプロピレン樹脂着色シート(「リベスターTPO」リケンテクノス株式会社製)を用い、これにグラビア印刷機にて2液ウレタン樹脂バインダーインキを用いて木目印刷を行い絵柄模様層2を設けた。絵柄模様層上に、透明樹脂層として、透明ランダムポリプロピレン樹脂(押出厚み60μm)とエラストマー樹脂(押出厚み10μm)とを、エラストマー樹脂側が絵柄模様層2と接するようにして共押出ラミネートにより設けた。
【0020】
前記透明樹脂層の表面にコロナ処理を施した後、アンカーコート層3として、メチルメタクリレートモノマー80重量部とシクロヘキシルメタクリレートモノマー20重量部、更に側鎖への水酸基付与のために不飽和アルコールを共重合させたアクリル系樹脂組成物プレポリマーを主成分とし、そこにヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(チバ・ジャパン(株)製「チヌビン400」)を10重量部とベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(チバ・ジャパン(株)製「チヌビン1130」)を5重量部添加した主剤溶液(紫外線吸収剤重量部合計:15部)と、ヘキサメチレンジイソシアネ−ト型硬化剤を10:1の割合で混合した塗工液を厚さ6μmとなるよう塗工した。ガラス転移点は100℃であった。
【0021】
前記アンカーコート層3の上に表面保護層4として、ガラス転移点30℃のアクリルアクリレート系樹脂(ナトコ(株)製「TP−1」)を厚さ15μmとなるよう塗工し、化粧シートを得た。
【0022】
<比較例1>
前記アンカーコート層3に添加した紫外線吸収剤をアンカーコート層3に添加するかわりに表面保護層4に添加した他は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0023】
<比較例2>
実施例1において、紫外線吸収剤の添加量をヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を5重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を2.5重量部とした(紫外線吸収剤重量部合計:7.5部)他は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0024】
<比較例3>
実施例1において、紫外線吸収剤の添加量をヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を30重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を15重量部とした(紫外線吸収剤重量部合計45部)他は、実施例1と同様にして化粧シートを得た。
【0025】
<表面保護層密着性>
このようにして得られた化粧シートについて、表面保護層にクロスカットを入れた後、セロテープ(登録商標)剥離試験を実施。表面保護層の剥離が生じるかどうかを確認した。
【0026】
<耐候剤のブリードの有無の確認>
このようにして得られた化粧シートを、40℃恒温槽内にて48時間養生した後常温(25℃)にて最大1ヶ月静置し、耐候剤のブリード現象が発生するかどうかを観察した。
【0027】
<耐候性>
このようにして得られた化粧シートについて、ダイプラ・メタルウェザー試験機による耐候性試験を行った。耐候性試験の試験条件を以下に示す。
試験機:ダイプラ・メタルウェザー(型式:KU−R5DC1−A ダイプラ・ウィンテス(株)製)
試験条件:1サイクル=Light(照度70mW/cm2、温度53℃、湿度50%RH)20時間
+Dew(温度30℃、湿度95%RH)4時間(前後にシャワー30秒)
+Rest(温度30℃、湿度95%RH)0.01時間
のサイクル試験を繰り返し回数最大21サイクルまで試験実施。
評価方法:(1)意匠性/退色、白濁、或いは著しい脆化が起きているかを確認
(2)表面保護層の耐候密着性/表面保護層にクロスカットを入れた後、セロファンテープ剥離試験を実施。表面保護層の剥離が生じるかどうかを確認。
(1)(2)何れかでNGが発生した時点の繰り返し回数で評価(繰り返し回数が多いほど耐候性能が高い)。
以上の結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
実施例1のようにすることで、ガラス転移点の低く柔軟性の高い樹脂を表面保護層として選んでも、ブリードなど添加剤の移行の心配が無く、外装用途での使用に耐え得る十分な耐候性を得ることが可能になるものである。