(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アノードガスが供給されるアノードおよびカソードガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、原料ガスを改質させて前記アノードガスを生成させる改質器と、前記原料ガスを前記改質器に供給させる原料ガス通路と、前記原料ガス通路において前記改質器の上流に設けられ前記原料ガスを脱硫させる脱硫器と、前記原料ガスを前記原料ガス通路に流しているときにおいて前記脱硫器の温度を検知する温度センサと、前記脱硫器における発熱を検知することにより前記原料ガスが低露点から高露点に変化したことを検知し、且つ、前記脱硫器における吸熱を検知することにより前記原料ガスが高露点から低露点に変化したことを検知し、前記温度センサが検知した脱硫器の温度変化に関する物理量に基づいて前記脱硫器の劣化情報の判定を行う制御部とを具備することを特徴とする燃料電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献は、脱硫器の性能低下を検出してシステム停止させることで、下流の改質器の触媒等の劣化や故障を抑止する。しかし、上記した両文献とも下記の課題がある。すなわち、硫黄センサとして、紫外蛍光法,酢酸鉛紙試験法、電量滴定法、赤外線分析機等による測定装置が挙げられており、特許文献1においては0.2ppm(200ppb)程度の硫黄を検知する旨が記載されている。しかしいずれの方式に関しても、上記した硫黄センサが用いられるシステムは、コストおよび実際の操業面を含めて課題が大きい。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、原料ガスに含まれる硫黄濃度を検出するのではなく、原料ガスを脱硫させる脱硫器の温度変化に関する物理量を検知することにより、脱硫器の劣化情報(例えば、原料ガスによる脱硫器の早期破過等)の判定を行う燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の様相1に係る燃料電池システム
によれば、アノードガスが供給されるアノードおよびカソードガスが供給されるカソードを有する燃料電池と、原料ガスを改質させてアノードガスを生成させる改質器と、原料ガスを改質器に供給させる原料ガス通路と、原料ガス通路において改質器の上流に設けられ原料ガスを脱硫させる脱硫器と、原料ガスを原料ガス通路に流しているときにおいて脱硫器の温度を検知する温度センサと、
脱硫器における発熱を検知することにより原料ガスが低露点から高露点に変化したことを検知し、且つ、脱硫器における吸熱を検知することにより原料ガスが高露点から低露点に変化したことを検知し、温度センサが検知した脱硫器の温度変化に関する物理量に基づいて脱硫器の劣化情報の判定を行う制御部とを具備することを特徴とする。
【0008】
原料ガス通路を流れる原料ガスは脱硫器を通過するとき、原料ガスに含まれる硫黄成分は脱硫器に吸着除去され、脱硫される。温度センサは脱硫器の温度を検知する。制御部は、温度センサが検知した脱硫器の
温度変化に関する物理量に基づいて脱硫器の劣化情報の判定を行う。脱硫器の劣化情報の判定とは、脱硫器の劣化に起因する警報出力、脱硫器の残寿命時間、脱硫器の劣化による交換の有無等をいう。原料ガスでは、年間を通じて、1日の気温変化があっても原料ガスの温度は大きく変化しない。殊に、都市ガスは地中配管を通ってくるため、年間を通じて、1日の気温変化があっても都市ガスの温度は大きく変化しない。
【0009】
これに対して、露点の高い原料ガスが脱硫器に流入した場合、原料ガスに含まれる水蒸気が脱硫剤に吸着することで脱硫器において発熱反応が発生し、一般的には数十度レベル、脱硫剤の温度が上昇する。
脱硫器の温度変化に関する物理量(例えば、脱硫器の発熱による温度変化量
、温度変化率
)を
検知することで、単位体積あたりの水蒸気量が多い高露点の原料ガスが脱硫器に流入したことを検出する。なお、脱硫剤における吸着が飽和し、水蒸気の吸着反応がなくなると、反応による発熱が抑えられ、脱硫剤の温度上昇も抑えられる。温度変化に関する物理量としては、既定時間における温度変化
率を検出すること、つまり、温度の微分値が好ましいが、温度変化量でも良い。
【0010】
原料ガスの露点が上昇する要因として、ガス配管工事や震災後等に起因して、地中のガス配管に水が入り込んだような場合が挙げられる。更に、地域によっては、雪溶け時期や雨期等においてガス配管へ浸水するおそれがある。この場合、原料ガスに含まれる水蒸気量が上昇し、原料ガスの露点が高くなる。このように原料ガスの露点が高くなると、原料ガスに含まれる水蒸気量が増加し、脱硫器の寿命が短くなる。
【0011】
制御部は、脱硫器における発熱を検知することにより原料ガスが低露点から高露点に変化したことを検知する。すなわち、制御部は、高露点の原料ガスが原料ガス通路に供給された時期を認識できる。
【0012】
また、制御部は、脱硫器における吸熱を検知することにより原料ガスが高露点から低露点に変化したことを検知する。すなわち、制御部は、原料ガス通路に供給される原料ガスが高露点から低露点に変化した時期を認識できる。これにより制御部は、高露点の原料ガスが原料ガス通路に流れる累積時間Tpを検知できる。原料ガス通路に流量計が設けられていれば、制御部は、単位時間あたりの原料ガスの流量Vを認識できる。ひいては、制御部は、VおよびTpの積に基づいて、原料ガス通路に流れた高露点の原料ガスの累積流量を認識できる。
【0013】
(
2)本発明の様相
2に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、脱硫器は、脱硫器からの放熱を抑制させるように断熱材で覆われていることを特徴とする。この場合、脱硫器からの放熱が抑制されるため、脱硫器における温度に関する物理量の変化は大きくなる。従って、脱硫器の温度に関する物理量の変化を検知し易く、判定精度が向上する。
【0014】
(
3)本発明の様相
3に係る燃料電池システムによれば、上記様相において、脱硫器は、上流脱硫器と、上流脱硫器よりも下流に設けられた下流脱硫器とを備えており、温度センサは上流脱硫器に設けられていることを特徴とする。この場合、原料ガスは上流脱硫器および下流脱硫器の順に流れる。原料ガスに含まれる水蒸気は下流脱硫器よりも上流脱硫器に優先的に吸着されるため、上流脱硫器における温度に関する物理量の変化は大きくなる。従って、温度に関する物理量の変化を検知し易く、判定精度が向上する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、原料ガスに含まれる硫黄濃度を検出するのではなく、原料ガスを脱硫させる脱硫器の温度変化に関する物理量を検知することにより、脱硫器の劣化情報の判定を行う燃料電池システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
燃料電池は、アノードガスが供給されるアノードおよびカソードガスが供給されるカソードを有する。改質器は、原料ガスを改質させてアノードガスを生成させる。原料ガス通路は、原料ガスを改質器に供給させる。原料ガス通路にはガス搬送源が設けられていることが好ましい。ガス搬送源は、原料ガス通路を介して原料ガスを改質器に供給させるものであり、ポンプ、コンプレッサ、ファン等を例示できる。脱硫器は原料ガス通路に設けられており、原料ガスを脱硫させる。温度センサは、脱硫器の温度に関する物理量を検知するものであり、温度および湿度を検知する露点センサとしても良い。
【0018】
脱硫器に収容される脱硫剤の基材として、ゼオライト、遷移金属等の金属を担持したゼオライト、活性炭等の多孔性物質が挙げられる。脱硫剤は、遷移金属等の金属を含むことが多い。この場合、物理的吸着の他に化学的吸着も併有する形態でも良い。上記した金属としては、銀、銅、金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、鉄、クロム、モリブデンのうちの少なくとも1種が例示され、更に、これらを2種以上含む合金が例示される。ゼオライトは、アルミノケイ酸塩のなかで結晶構造中に空隙を持つものの総称であり、天然ゼオライトでも人工ゼオライトでも良い。脱硫剤は、原料ガスに含まれる硫黄化合物(例えばメチルメルカプタン、ジメチルサルファイド、ジメチルジサルフィド)を除去させる。
【0019】
脱硫器は、システムの筐体内の温度の影響を受けにくくするため、原料ガス通路のうち入口側に設けることができる。また、脱硫器において、水蒸気吸着による発熱現象、水蒸気脱離による吸熱現象を精度よく検知するためには、燃料電池や改質器の熱が脱硫器に伝達されることを抑制することが好ましい。この場合、脱硫器を燃料電池や改質器から離間させることが好ましい。かかる意味において、脱硫器は断熱材で覆われていることが好ましい。
【0020】
(実施形態1)
図1は実施形態1を示す。燃料電池システムは、アノードガスが供給されるアノードおよびカソードガスが供給されるカソードを有する燃料電池1と、原料ガスを改質させてアノードガスを生成させる改質器2Aと、原料ガスを改質器2Aに供給させる原料ガス通路6と、原料ガス通路6において改質器2Aの上流に設けられ原料ガスを脱硫させる脱硫器100と、脱硫器100の温度を検知する温度センサ600と、温度センサ600が検知した脱硫器100の温度変化に関する物理量
(例えば、温度変化量、温度変化率)に基づいて脱硫器100の劣化情報の判定を行う制御部100Xと、警報器102とを有する。なお、燃料電池1は、固体酸化物形燃料電池、固体高分子電解質形燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池のいずれでも良い。温度センサ600の検知信号は制御部100Xに入力される。
【0021】
原料ガス通路6を流れる原料ガス(例えば都市ガス)が脱硫器100を通過するとき、原料ガスに付臭剤として含まれる硫黄成分は脱硫器100に吸着除去され、脱硫される。原料ガスでは、年間を通じて、1日の気温変化があっても原料ガスの温度は大きく変化しない。殊に、都市ガスは地中配管を通ってくるため、年間を通じて、1日の気温変化があっても都市ガスの温度は大きく変化しない。従って、都市ガス等の原料ガスの温度については、特に1日の中の短時間でみるとほとんど温度変化はない。
【0022】
これに対して、露点の高い原料ガスが脱硫器100に流入した場合、原料ガスに含まれる水蒸気が脱硫剤に吸着することで発熱反応を起こし、一般的には数十度レベル、脱硫剤の温度が上昇する。温度センサ600の検知信号Eは制御部100Xに入力される。ここで、規定時間Δtにおける温度変化量ΔTを温度センサ600が検知することで、単位体積あたりの水蒸気量が多い高露点の原料ガスが脱硫器100に流入したこと、すなわち、脱硫器100の脱硫剤の寿命が短くなったことを、制御部100Xは認識する。
なお、
脱硫剤に吸着される水蒸気が飽和すれば、脱硫剤への水蒸気の吸着が抑えられ、ひいては脱硫剤における発熱現象も抑制され、脱硫器100の温度は元の温度(原料ガスの温度)に戻る。原料ガスが高露点から正規の露点(低露点)に戻った場合には、逆に、脱硫剤からの水蒸気の脱離に伴い吸熱が発生するため、脱硫器100の温度が低下する。この場合、温度センサ600により脱硫器100の吸熱現象が検知される。これにより制御部100Xは、原料ガスが高露点(例えば+20℃)から正規の露点(低露点,−60℃)に戻ったことを検知する。この場合、脱硫剤における水蒸気の吸着の場合と同様に、脱硫剤からの水蒸気の脱離が飽和すると、吸熱現象もなくなり、脱硫器100の温度も元の温度(原料ガスの温度)に戻る。
こ
れらの様な脱硫剤の温度変化に基づいて脱硫器100の劣化情報(例えば脱硫器100の破過)の判定を行う。脱硫器100の劣化が進行しているときには、脱硫器100を交換する。従って、露点センサを廃止させることもできる。勿論、ダブルチェックのために露点センサが装備されていても良い。
【0023】
温度センサ600は基本的には、脱硫剤の温度を検知できる限り、脱硫器100においてどこに設けられていても良い。脱硫器100の入口100iから出口100pまでの距離をLAとするとき、温度センサ600は脱硫器100の距離LAの中点よりも上流に配置されていても良い。発熱した熱が脱硫器100において下流に伝達されることを考慮すると、温度センサ600は脱硫器100の距離LAの中点よりも下流に配置されていても良い。
【0024】
(実施形態2)
図2は実施形態2を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。脱硫器100は、上流脱硫器100uと、上流脱硫器100uよりも下流に設けられた下流脱硫器100dとを備えている。温度センサ600は上流脱硫器100uに設けられている。この場合、原料ガスは上流脱硫器100uおよび下流脱硫器100dの順に流れる。原料ガスに含まれる水蒸気は、下流脱硫器100dよりも上流側に位置する上流脱硫器100uにおいて優先的に吸着されるため、上流脱硫器100uにおける温度に関する物理量の変化は大きくなる。従って、上流脱硫器100uにおける温度の変化を検知し易くなり、判定精度が向上する。更に、水蒸気が上流脱硫器100uに吸着され、上流脱硫器100uから脱離した硫黄分が上流脱硫器100uの下流に流出したとしても、下流脱硫器100dで硫黄分を吸着除去でき、改質器2A,燃料電池1の劣化を抑制することができる。殊に、上流脱硫器100uは、脱硫器100からの放熱を抑制させるように断熱材150で覆われている。この場合、上流脱硫器100uが発熱するときにおいても、上流脱硫器100uからの放熱が抑制されるため、上流脱硫器100uにおける温度の変化は大きくなる。従って、脱硫器100の温度の変化を検知し易く、判定精度が向上する。更に上流脱硫器100uは下流脱硫器100dに対して空間距離Lを形成している。なお、上流脱硫器100uの脱硫剤の重量をWuとし、下流脱硫器100dの脱硫剤の重量をWdとすると、脱硫剤の材質が同一または同系であるとき、Wu<Wd,Wu>Wd,Wu=Wdにできる。特にWu<Wdの場合には、上流脱硫器100uの体格を小型化することでこれの放熱を抑えることができ、判定精度の向上を図れると共に、下流脱硫器100dの容量が大きいことで、原料ガスが高露点であることを検知するまでに硫黄分が上流脱硫器100uの下流に流出した場合であっても、改質器2A,燃料電池1の硫黄による劣化を、より安全率高く抑制することができる。
【0025】
(実施形態3)
図3は実施形態3を示す。本実施形態は前記した実施形態1と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。この場合、改質器2Aおよび燃料電池1は断熱材19で包囲され、発電モジュール18を形成している。
図3に示すように、脱硫器100は、脱硫器100からの放熱を抑制させるように断熱材150で覆われている。この場合、原料ガスに含まれる水蒸気の吸着に起因して脱硫器100が発熱するときにおいて、脱硫器100からの放熱が断熱材150により抑制されるため、脱硫器100における温度の変化は大きくなる。従って、脱硫器100の温度の変化を検知し易く、判定精度が向上する。
【0026】
(実施形態4)
図4は実施形態4を示す。本実施形態は前記した実施形態2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有する。この場合、改質器2Aおよび燃料電池1は断熱材150で包囲され、発電モジュール18を形成している。脱硫器100は、上流脱硫器100uと、上流脱硫器100uよりも下流に設けられた下流脱硫器100dとを備えている。下流脱硫器100dは、原料ガスの硫黄成分に対する脱硫を主眼としており、温度センサを搭載していない。上流脱硫器100uは、原料ガスに含まれる水蒸気に起因する発熱検知を主眼としている。このため上流脱硫器100uの温度変化を検知するための温度センサ600が上流脱硫器100uに設けられている。この場合、原料ガスは上流脱硫器100uおよび下流脱硫器100dの順に流れる。原料ガスに含まれる水蒸気は下流脱硫器100dよりも上流脱硫器100uに優先的に吸着されるため、上流脱硫器100uにおける温度に関する物理量の変化は大きくなる。従って、上流脱硫器100uにおける温度の変化を検知し易くなり、判定精度が向上する。殊に、上流脱硫器100uは、脱硫器100からの放熱を抑制させるように断熱材150で覆われている。この場合、上流脱硫器100uが発熱するときにおいても、上流脱硫器100uの熱が外部へ放出される放熱が抑制されるため、上流脱硫器100uにおける温度の変化量が正確に検知される。従って、脱硫器100の温度の変化を検知し易く、脱硫器100に対する判定精度が向上する。
【0027】
(実施形態5)
図5は実施形態5を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、
図1〜
図4を準用する。
図5の(a)は原料ガスのガス露点の変化を示す。
図5の(b)は脱硫器100の温度の変化を示す。
図5は、原料ガス通路6を流れる原料ガスが時刻tm1において低露点(例えば−60℃)から高露点(例えば+20℃)に変化し、その後、時刻tm2において高露点から低露点に変化する場合を模式的に示す。時刻tm1以降において、温度センサ600により脱硫器100の発熱現象が検知される。これにより制御部100Xは、原料ガスが低露点から高露点に変化したことを検知する。
【0028】
基本的には、脱硫器100の単位時間あたり昇温幅は、原料ガスに含まれる水蒸気量に相当し、ひいては原料ガスの露点上昇幅に相当すると考えられる。制御部100Xのメモリ100mのエリアには、脱硫器100の単位時間あたり昇温幅と、原料ガスの露点上昇幅との関係が格納されている。このため脱硫器100の単位時間あたり昇温幅が温度センサ600により検知されると、制御部100Xは、原料ガスの露点の上昇幅を推定することができる。
【0029】
原料ガスの温度は一日の気温変化の影響を受けにくく、ほとんど変わらない。殊に、原料ガスが都市ガスの場合には、地中に埋設されているガス配管を流通してきており、季節にかかわりなく、一日の気温変化の影響を受けにくく、都市ガスの温度はほとんど変わらない。特に1日といった短時間の温度変化量はほとんどない。
【0030】
これに対し、原料ガスに含まれる水蒸気が脱硫器100に吸着したときにおける温度上昇は数十℃のレベルであるため、制御部100Xは誤検知なく精度良く、原料ガスの高露点化を検知可能である。このように制御部100Xは脱硫器100の温度上昇に基づいて、原料ガスが低露点から高露点に変化したと判断する。この場合、脱硫器100が短期間で破過し、硫黄成分が改質器2Aひいては燃料電池1に流入する可能性が高いとして、制御部100Xは、警報器102に警報を出力したり、システムへの原料ガスの供給を停止させたり、システムの発電運転を停止させることができる。なお、脱硫剤に吸着される水蒸気が飽和すれば、脱硫剤への水蒸気の吸着が抑えられ、ひいては脱硫剤における発熱現象も抑制され、脱硫器100の温度は元の温度(原料ガスの温度)に戻る。
【0031】
図5の時刻tm2以降において、原料ガスが高露点から正規の露点(低露点)に戻った場合には、逆に、脱硫剤からの水蒸気の脱離に伴い吸熱が発生するため、脱硫器100の温度が低下する。この場合、温度センサ600により脱硫器100の吸熱現象が検知される。これにより制御部100Xは、原料ガスが高露点(例えば+20℃)から正規の露点(低露点,−60℃)に戻ったことを検知する。この場合、脱硫剤における水蒸気の吸着の場合と同様に、脱硫剤からの水蒸気の脱離が飽和すると、吸熱現象もなくなり、脱硫器100の温度も元の温度(原料ガスの温度)に戻る。
【0032】
このように制御部100Xは脱硫器100の発熱現象および吸熱現象を検知できるため、制御部100Xは、原料ガス通路6に供給される原料ガスが低露点から高露点に変化した時刻tm1と、原料ガスが高露点から低露点に変化した時刻tm2とを認識できる。これにより制御部100Xは、高露点の原料ガスが原料ガス通路6に流れた累積時間Tαを検知できる。原料ガス通路6に流量計が設けられていれば、単位時間あたりの流量Vが既知となるため、流量Vおよび時間Tαに基づいて、制御部100Xは、時刻tm1から時刻tm2にかけて原料ガス通路6に流れた高露点の原料ガスの累積流量が認識できる。
【0033】
(実施形態6)
図6は実施形態6を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、
図1〜
図4を準用する。
図6は制御部100Xが実行する制御則の一例を示す。
図6に示すように、時刻taにおける脱硫器100の温度Taを読み込む(ステップS102)。時刻taから時間Δt経過した時刻tbにおける脱硫器100の温度Tbを読み込む(ステップS104)。Δtにおける温度変化量ΔTを求める(ステップS106)。ΔTとしきい値ΔTxとを比較する(ステップS108)。ΔTがΔTx未満であれば、脱硫器100の発熱は少なく、ひいては原料ガスの露点は低めであり、原料ガスに含まれる水蒸気量が少ないため、原料ガスは低露点であり、正常と判定し(ステップS110)、メインルーチンにリターンする。ΔTがΔTx以上であれば、脱硫器100の発熱は多めであり、ひいては原料ガスの露点は高めである。よって、制御部100Xは警報を警報器102に出力し(ステップS112)、燃料電池システムの累積運転時間が、しきい値時間に対して短いか長いか等の判定基準に基づき、燃料電池システムを停止させる必要があるか判定し(ステップS114)、必要がなければ、メインルーチンにリターンする。必要が有れば、システムを停止させる(ステップS116)。
【0034】
(実施形態7)
図7は実施形態7を示す。本実施形態は前記した各実施形態と基本的には同様の構成および同様の作用効果を有するため、
図1〜
図4を準用する。
図7は制御部100Xが実行する制御則の一例を示す。
図7に示すように、時刻taにおける脱硫器100の温度Taを読み込む(ステップS202)。時刻taから時間Δt経過した時刻tbにおける脱硫器100の温度Tbを読み込む(ステップS204)。Δtにおける温度変化量ΔTを求める(ステップS206)。ΔTとしきい値ΔTyとを比較する(ステップS208)。ΔTがΔTy未満であれば、脱硫器100の発熱は少なく、ひいては原料ガスの露点は低めであり、原料ガスに含まれる水蒸気量が少ないため、原料ガスは低露点であり、正常と判定し、脱硫器100の残寿命をTM1と長くする(ステップS210)。ここで、残寿命は、脱硫器100を新品に交換したり再生させたりする残りの寿命を意味する。
【0035】
これに対して、ΔTがΔTy以上の高温であれば、次に、ΔTがΔTz(ΔTz>ΔTy)以上の高温であるか否か判定する(ステップS212)。ΔTがΔTz未満であれば、脱硫器100の発熱量はやや多く、ひいては原料ガスの露点はやや高めであり、原料ガスに含まれる水蒸気量がやや多いため、脱硫器100の劣化の進行がやや早く、脱硫器100の残寿命をTM2(TM2<TM1)と短くする。
【0036】
ΔTがΔTz以上の高温であれば、脱硫器100の発熱量は多く、ひいては原料ガスの露点は高めであり、原料ガスに含まれる水蒸気量が多いため、脱硫器100の劣化の進行が早く、制御部100Xは、脱硫器100の残寿命をTM3(TM3<TM2<TM1)と短くする。このように本実施形態によれば、システムの発電運転において、脱硫器100の発熱量が大きければ、脱硫器100の残寿命を短くし、脱硫器100の発熱量が小さければ、脱硫器100の残寿命を長くする。本実施形態においても、脱硫器100は、脱硫器100からの放熱を抑制させるように断熱材150で覆われていても良い。この場合、脱硫器100からの放熱が抑制されるため、脱硫器100における温度に関する物理量の変化は大きくなる。従って、脱硫器100の温度に関する物理量の変化を検知し易く、判定精度が向上する。
【0037】
(実施形態8)
図8は実施形態8を示す。
図8に示すように、燃料電池システムは、アノード10およびカソード11を有する燃料電池1と、燃料電池1のカソード11にカソードガス(空気等の酸素含有ガス)を供給するカソードガス通路70と、原料ガスを改質させてアノードガス(水素含有ガスまたは水素ガス)を生成させる改質器2Aと、原料ガスを脱硫させた状態で改質器2Aに供給させるガス搬送源として機能するポンプ60を有する原料ガス通路6と、改質器2Aで生成されたアノードガスを燃料電池1のアノード10に供給させるアノードガス通路73と、アノードガス通路73、改質器2Aおよび燃料電池1を収容する断熱材19とを有する。発電モジュール18は、改質器2A、燃料電池1、断熱材19で形成されている。改質用の水または水蒸気が供給させる給水通路8が改質器2Aに接続されている。改質器2Aは、水蒸気を生成させる蒸発部と、水蒸気を用いて燃料を改質させる改質部とを含む。制御部100Xはメモリ100mをもつ。
【0038】
図8に示すように、原料ガス通路6は、上流から下流にかけて、遮断弁69、脱硫剤を収容する脱硫器100と、脱硫器100を経た原料ガスの流量を計測する流量計300とをこの順に直列に有する。脱硫剤としては、ゼオライトが挙げられるが、銀や銅等の金属を担持したゼオライト、活性炭等の多孔質材料でも良い。一般的には、原料ガス(例えば都市ガス(13A))は低露点(例えば−20℃以下)であり、原料ガスに含有されている水蒸気は微小量である。しかしガス配管の老朽化、工事、配管等の事情により、原料ガスに含まれる水蒸気量が増加し、高露点(例えば+20℃露点以上)の原料ガスが供給される可能性が少なからずある。この場合、脱硫剤は短期間で劣化し、原料ガスに腐臭剤として含まれる硫黄化合物が改質器2A等に流入し、改質器2A等の耐久性を低下させる可能性がある。
【0039】
図8に示すように、原料ガス通路6には、バッファ室をもつバッファ400が設けられている。従って、原料ガス通路6は、上流から下流にかけて、遮断弁69、脱硫器100、流量計300、バッファ400と、ポンプ60(ガス搬送源)とをこの順に直列に配置している。バッファ400は中空室であるバッファ室を有する。ポンプ60は、原料ガス通路6において原料ガスを発電モジュール18の改質器2Aに向けて搬送させるものであるが、原料ガスの圧力の脈動を発生させるおそれがある。そこで
図8に示すように、原料ガス通路6において、脱硫器100、流量計300、バッファ400、ポンプ60をこの順に直列に配置している。この場合、
図8に示すように、バッファ400は、流量計300の下流、且つ、ポンプ60の上流に配置されている。すなわち、脈動原因となるポンプ60と、脈動を受けたくない流量計300との間には、バッファ400が介在する。このため流量計300はポンプ60の脈動の影響を受けにくくなる。この場合、システムの安定運転に有利である。このため流量計300の流量脈動を抑止することができる。これにより流量計300の出力値が安定し、制御上の安定性が確保されるとともに、脈動による流量計300の出力値が真値から外れる挙動も抑えることが可能となる。なお、チャッキ弁500は作動により原料ガスの圧力の脈動を発生させるおそれがある。そこで
図8に示すように、流量計300とチャッキ弁500(ポンプ60)との間にバッファ400が介在するため、流量計300は、ポンプ60およびチャッキ弁500に起因する脈動の影響を受けにくくなる。この場合、流量計300が原料ガスの流量を計測させる精度が確保され、システムの安定運転に有利である。
【0040】
システムの発電運転の累積運転時間が長くなると、原料ガス通路6を流れる原料ガスの累積流量が増加するにつれて、脱硫器100の劣化が進行する。更に、原料ガスの露点が高いと、原料ガスに含まれる水蒸気量や水分が多いため、脱硫器100の残寿命が短い。脱硫器100がメンテナンスにより交換されると、リセットスイッチ106がオンされ、その信号が制御部100Xに入力される。本実施形態においても、
図8に示すように、脱硫器100は放熱を抑制させるように断熱材150で覆われている。脱硫器100からの放熱が抑制されるため、脱硫器100に水蒸気が吸着するとき、脱硫器100における温度の変化は大きくなる。従って、脱硫器100の温度の変化を検知し易く、判定精度が向上する。更に脱硫器100および流量計300が隣設されているときであっても、脱硫器100の発熱がその下流の流量計300に伝達されることが抑制され、流量計300の精度が確保される。
【0041】
(適用形態)
図9は上記した実施形態を適用する適用形態の一例を示す。
図9に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1と、液相状の水を蒸発させて水蒸気を生成させる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気を用いて燃料を改質させてアノードガスを形成する改質部3と、蒸発部2に供給される液相状の水を溜めるタンク4と、これらを収容する筐体5とを有する。燃料電池1は、イオン伝導体を挟むアノード10とカソード11とをもち、例えば、SOFCとも呼ばれる固体酸化物タイプ(運転温度:例えば400℃以上)とされている。改質部3は、セラミックス等の担体に改質触媒を担持させて形成されており、蒸発部2に隣設されている。改質部3および蒸発部2は改質器2Aを構成しており、燃料電池1と共に断熱材19で包囲され、発電モジュール18を形成している。発電モジュール18内には、改質部3,蒸発部2を加熱する燃焼部105が設けられている。アノード10側から排出されたアノード排ガスは、流路103を介して燃焼部105に供給される。カソード11側から排出されたカソード排ガスは、流路104を介して燃焼部105に供給される。起動時には、燃焼部105は、アノード10から供給された燃料を、カソード11から供給されたカソードガスで燃焼させ、蒸発部2および改質部3を加熱させる。発電運転時には、燃焼部105はアノード10から排出されたアノード排ガスを、カソード11から排出されたカソード排ガスで燃焼させ、蒸発部2および改質部3を加熱させる。燃焼部105には燃焼排ガス路75が設けられ、燃焼部105における燃焼後のガス、未燃焼のガスを含む燃焼排ガスが燃焼排ガス路75を介して大気中に放出される。改質部3の温度を検知する温度センサ33が設けられている。着火させるヒータである着火部35が燃焼部105に設けられている。着火部35は燃料に着火できるものであれば何でも良い。外気の温度を検知する外気温度センサ57が設けられている。温度センサ33,57の信号は制御部100Xに入力される。脱硫器100が劣化すると、制御部100Xは警報器102に警報を出力し、脱硫剤の交換、再生等を警報する。
【0042】
システムの発電運転時には、改質器2Aは改質反応に適するように断熱材19内において加熱される。発電運転時には、蒸発部2は水を加熱させて水蒸気とさせ得るように加熱される。燃料電池1がSOFCタイプの場合には、アノード10側から排出されたアノード排ガスとカソード11側から排出されたカソード排ガスが燃焼部105で燃焼するため、改質部3および蒸発部2は、発電モジュール18の内部において同時に加熱される。
図9に示すように、原料ガス通路6は、ガス源63から原料ガスを改質器2Aに供給させるものであり、ポンプ60、高温設置型の第1脱硫器100、流量計300、逆止弁であるチャッキ弁500をもつ。
【0043】
第1脱硫器100は、銀等の金属を有するゼオライト系の多孔質物質を基材とする第1脱硫剤を収容する。第2脱硫器200は、ゼオライト系の多孔質物質を基材とする第2脱硫剤を収容する。燃料電池1のカソード11には、カソードガス(空気)をカソード11に供給させるためのカソードガス通路70が繋がれている。カソードガス通路70には、カソードガス搬送用の搬送源として機能するカソードポンプ71が設けられている。
【0044】
図9に示すように、筐体5は外気に連通する吸気口50と排気口51とをもち、更に、第1室である上室空間52と、第2室である下室空間53とをもつ。燃料電池1は、改質部3および蒸発部2と共に、筐体5の上側つまり上室空間52に収容されている。筐体5の下室空間53には、改質部3で改質される液相状の水を溜めるタンク4が収容されている。タンク4には、電気ヒータ等の加熱機能をもつ加熱部40が設けられている。加熱部40は、タンク4に貯留されている水を加熱させるものであり、電気ヒータ等で形成できる。外気温度等の環境温度が低いとき等には、制御部100Xからの指令に基づいて、タンク4の水は加熱部40により所定温度(例えば5℃、10℃、20℃)以上に加熱され、凍結が抑制される。
図9に示すように、下室空間53側のタンク4の出口ポート4pと上室空間52側の蒸発部2の入口ポート2iとを連通させる給水通路8が、配管として筐体5内に設けられている。
図9に示すように、筐体5内において、タンク4は蒸発部2の下側に配置されているため、給水通路8は基本的には縦方向に沿って延びる。給水通路8は、タンク4内に溜められている水をタンク4から蒸発部2に供給させる通路である。給水通路8には、タンク4内の水を蒸発部2まで搬送させる水搬送源として機能するポンプ80が設けられている。ポンプ80を制御するための制御部100Xが設けられている。更に、制御部100Xはポンプ80,71,79,60を制御する。
【0045】
システムの起動時において、ポンプ60が駆動すると、燃料通路6から燃料が蒸発部2,改質部3,アノードガス通路73,燃料電池1のアノード10,流路103を介して燃焼部105に流れる。カソードポンプ71によりカソード流体(空気)がカソードガス通路70、カソード11,流路104を介して燃焼部105に流れる。この状態で着火部35が着火すると、燃焼部105において燃焼が発生し、改質部3および蒸発部2が加熱される。このように改質部3および蒸発部2が加熱された状態で、ポンプ80が正モードで駆動すると、タンク4内の水はタンク4の出口ポート4pから蒸発部2の入口ポート2iに向けて給水通路8内を搬送され、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気は、燃料通路6から供給される燃料(ガス状が好ましいが、場合によっては液相状としても良い)と共に改質部3に移動する。改質部3において燃料は水蒸気で改質されてアノード流体(水素含有ガス)となる。アノード流体はアノードガス通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソード流体(酸素含有ガス、ケース5内の空気)がカソードガス通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。アノード10から排出されたアノード流体のオフガス、カソード11から排出されたカソード流体のオフガスは、流路103,104を通過し、燃焼部105に至り、燃焼部105で燃焼される。高温の排ガスは、排ガス通路75を介してケース5の外方に排出される。
【0046】
システムの発電運転時において、ポンプ80が駆動すると、タンク4内の水は、タンク4の出口ポート4pから蒸発部2の入口ポート2iに向けて給水通路8内を搬送され、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気は原料ガス通路6から供給される原料ガスと共に改質部3に移動する。改質部3において燃料は、水蒸気で改質されてアノードガス(水素含有ガス)となる。なお燃料がメタン系である場合には、水蒸気改質によるアノードガスの生成は、次の(1)式に基づくと考えられている。但し燃料はメタン系に限定されるものではない。
(1)…CH
4+2H
2O→4H
2+CO
2
CH
4+H
2O→3H
2+CO
生成されたアノードガスはアノードガス通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソードガス(酸素含有ガス、筐体5内の空気)がカソードガス通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。燃料電池1で排出された高温の排ガスは、排ガス通路75を介して筐体5の外方に排出される。
【0047】
排ガス通路75には、凝縮機能をもつ熱交換器76が設けられている。貯湯槽77に繋がる貯湯通路78および貯湯ポンプ79が設けられている。貯湯通路78は往路78aおよび復路78cをもつ。貯湯槽77の低温の水は、貯湯ポンプ79の駆動により、貯湯槽77の吐出ポート77pから吐出されて往路78aを通過し、熱交換器76に至り、熱交換器76の熱交換作用により加熱される。熱交換器76で加熱された温水は、復路78cを介して帰還ポート77iから貯湯槽77に帰還する。このようにして貯湯槽77の水は温水となる。前記した排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器76で凝縮されて凝縮水となる。凝縮水は、熱交換器76から延設された凝縮水通路42を介して重力等により水精製器43に供給される。水精製器43はイオン交換樹脂等の水精製器43aを有するため、凝縮水の不純物は除去される。不純物が除去された水は水タンク4に移動し、水タンク4に溜められる。ポンプ80が駆動すると、水タンク4内の水は給水通路8を介して高温の蒸発部2に供給され、蒸発部2で水蒸気とされて改質部3に供給され、改質部3において燃料を改質させる改質反応として消費される。制御部100Xは、高露点の原料ガスにより脱硫器100の劣化が進行すると、脱硫器100の交換に関するメンテナンス情報を警報器102に報知する。脱硫器100が交換されると、リセットスイッチ106がオンされ、その信号が制御部100Xに入力され、脱硫器100の寿命がリセットされる。
【0048】
図9に示すように、脱硫器100は、上流脱硫器100uと、上流脱硫器100uよりも下流に設けられた下流脱硫器100dとを備えている。温度センサ600は上流脱硫器100uに設けられている。この場合、原料ガスは上流脱硫器100uおよび下流脱硫器100dの順に流れる。原料ガスに含まれる水蒸気は、下流脱硫器100dよりも上流側に位置する上流脱硫器100uにおいて優先的に吸着されるため、上流脱硫器100uにおける温度に関する物理量の変化は大きくなる。従って、上流脱硫器100uにおける温度の変化が検知され易くなり、脱硫器100の劣化情報の判定の精度が向上する。殊に上流脱硫器100uは放熱を抑制させるように断熱材150で覆われている。この場合、上流脱硫器100uからの放熱が抑制されるため、上流脱硫器100uにおける温度の変化は大きくなる。従って、脱硫器100の温度の変化を検知し易く、判定精度が向上する。
【0049】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態および適用形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。燃料電池は、固体酸化物形燃料電池に限定されず、場合によっては、固体高分子電解質形燃料電池でも良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良い。要するに、原料ガスを脱硫させる脱硫器を有する燃料電池システムであれば良い。原料ガスも特に制限されず、硫黄化合物を含むガスが挙げられ、都市ガス、プロパンガス、バイオガス、LPGガス、CNGガス等を例示できる。場合によっては、
図1においてバッファ400、チャッキ弁500を廃止することもできる。