特許第5861467号(P5861467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861467
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】音響信号処理システム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20160202BHJP
【FI】
   H04R3/00
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-10827(P2012-10827)
(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公開番号】特開2013-150234(P2013-150234A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(74)【代理人】
【識別番号】100103735
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 隆盛
(72)【発明者】
【氏名】岡林 昌明
【審査官】 千本 潤介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−128598(JP,A)
【文献】 特開2004−318963(JP,A)
【文献】 特開2003−068018(JP,A)
【文献】 特開2010−226322(JP,A)
【文献】 特開2005−244309(JP,A)
【文献】 特開2007−127773(JP,A)
【文献】 特開2007−293312(JP,A)
【文献】 米国特許第06078005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミキサーから出力される1以上のチャンネルの音響信号を、前記ミキサーに接続され録音機能を有している音響信号処理装置でリアルタイムレコーディングする音響信号処理システムであって、
前記ミキサーにおいてスナップショットチェンジがされた時に、前記ミキサーからパラメーターをセットするコマンドを送信し、前記音響信号処理装置は該コマンドを受信した時に、受信したコマンドで指示されたパラメーターを、1以上のチャンネルの音響信号をリアルタイムレコーディングしているプロジェクトにセットするようにしたことを特徴とする音響信号処理システム。
【請求項2】
ミキサーから出力される1以上のチャンネルの音響信号を、前記ミキサーに接続され録音機能を有している音響信号処理装置でリアルタイムレコーディングする音響信号処理システムであって、
前記ミキサーにおいてスナップショットチェンジがされた時に、前記ミキサーの設定情報に基づいて前記ミキサーからマーカーをセットするコマンドおよび/またはマーカー名をセットするコマンドを送信し、前記音響信号処理装置は該コマンドを受信した時に、受信した前記コマンドで指示されたマーカーおよび/またはマーカー名を、1以上のチャンネルの音響信号をリアルタイムレコーディングしているプロジェクトにセットするようにしたことを特徴とする音響信号処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ミキサーから出力される音響信号を音響信号処理装置(DAW)でレコーディングする音響信号処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、施設内や校内の放送などの多数の人に音声情報を伝達する放送設備であるPA(Public Addressing)や、コンサート会場などの大規模会場であっても隅々まで音質を均一にして演奏音やボーカル音などを伝達する放送設備であるSR(Sound Reinforcement)の現場においては、楽器の演奏音やボーカル音をマイクで収音し、ミキシングしてパワーアンプや各種録音機器に送り出したり、エフェクタや演奏しているプレーヤに送り出すミキサーが用いられている。従来のミキサーは、マイクで収音された音響信号やシンセサイザー等からの音響信号が入力される入力ポートと、ディジタルおよびアナログの音響信号を出力する出力ポートとを備えるI/Oユニットと、ディジタルの音響信号のミキシング処理やエフェクト処理を行う音響信号処理ユニットと、各種パネル操作子を操作することにより、演奏を最もふさわしく表現していると思われる状態に調整するコンソールとを備えている。ミキサーのアナログの音響信号が出力される出力ポートにはアンプが接続され、アンプには会場内等に設置された複数のスピーカが接続されており、アンプで増幅された音響信号がスピーカから放音されるようになされている。
【0003】
従来のPA/SRの現場においては、MTR(Multi Trak Recorder)を用いて、ミキサーから出力される各チャンネルの音響信号を別々のトラックにレコーディングしている。これにより、音楽制作時に別々にレコーディングしたドラムやベース、ギター、ピアノなどの各楽器音とボーカルのそれぞれの音量やパンを調節したり、ボーカルにエフェクトをかけたり、楽器毎に異なるエフェクトをかけたりすることができる。このようにして、レコーディング後にそれぞれの音響信号の音質を細かく調節することにより、音楽制作を行うことができる。
ところで、汎用のコンピューターを用いる音響信号処理装置において、ディジタル信号処理により演奏データの録音や編集、ミキシング等の音響処理作業を行うことが知られている。このような音響信号処理装置は、コンピューターに「DAWソフト」と云われるアプリケーションプログラムをインストールすることにより実現されており、デジタルオーディオワークステーション(Digital Audio Workstation:DAW)と呼ばれている。DAWの機能が進歩してリアルタイムレコーディングが可能になったこと、DAWが動作するコンピューターは可搬性に優れていることから、MTRに替えてPA/SRの現場においてDAWを用いてミキサーの各チャンネルの音響信号をリアルタイムレコーディングするようになってきている。
【0004】
ところで、PA/SRシステムとレコーディングシステムは、独立して設計/運用されることが多いことから、それぞれのシステムでセッティングから運用までを個々に行っている。この場合、従来のDAWにおいて、トラックの構成情報をテンプレートとして保存しておき、新規プロジェクトをあらかじめプログラムに含まれるテンプレートからスタートすることで、プロジェクトごとに、トラックの構成を最初から設定する手間を省くことが知られている(非特許文献1参照)。
また、ミキサーとDAWを接続した後においても、それぞれ個別にコントロールしている。例えば、ミキサー側のパラメーター変更と、DAW側のパラメーター変更は基本的に独立して操作されている。ただし、外部コントローラーからDAWソフトのパラメータ値、例えば再生、停止、レベル、Muteなどのチャンネルごとのパラメーターを個別に変更することは可能とされている。
【0005】
なお、従来のDAWにおいては、トラックデータと、使用設定されている外部機器の特定情報と、外部機器のパラメーターとを含むプロジェクトファイルが読み込まれた際に、通信網に接続されている音楽機器を検出し、検出された外部機器を、プロジェクトファイルの保存時に使用設定されていた外部機器に対応付けして、対応付けできた外部機器に対してパラメーター記憶手段の記憶するパラメーターを転送することにより、該外部機器と該パラメーター記憶手段の間でパラメータを同期化することが考えられている。これにより、外部機器と該パラメーター記憶手段の間でパラメーターを同期化することができ、対応付けすることのできた現存する音楽機器について保存時の音楽機能を復元することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Steinberg Media Technologies GmbH CUBASE LE5 オペレーションマニュアル,P.9-12,[online], [平成23年11月 3日検索],インターネット<http://www.zoom.co.jp/archive/Japanese_Manual/CubaseLE5_Operation_Manual_jp.pdf>
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−293312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ミキサーの各チャンネルの音響信号をDAWを用いてリアルタイムレコーディングする場合においては、レコーディング時に連動しないパラメーターについては、それぞれ独自にパラメーターの設定を行っている。特に、マーカー(編集点)と呼ばれるパラメーターは、レコーディングエンジニアが、イベント本番終了後に、すでに録音済みのデータを聞きながら、該当する箇所に手動でマーカーをつけている。このため、イベント時間が長くなればなるほど、マーカーをつける作業は大変かつ面倒になる。このように、パラメーターの設定には多くの手間がかかるという問題点があった。
そこで、本発明はリアルタイムレコーディング時にパラメーターの設定を容易に行える音響信号処理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の音響信号処理システムは、ミキサーから出力される1以上のチャンネルの音響信号を、前記ミキサーに接続され録音機能を有している音響信号処理装置でリアルタイムレコーディングする音響信号処理システムであって、前記ミキサーにおいてスナップショットチェンジがされた時に、前記ミキサーからパラメーターをセットするコマンドを送信し、前記音響信号処理装置は該コマンドを受信した時に、受信したコマンドで指示されたパラメーターを、1以上のチャンネルの音響信号をリアルタイムレコーディングしているプロジェクトにセットすることを最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、前記ミキサーにおいてスナップショットチェンジがされた時に、前記ミキサーからパラメーターをセットするコマンドが送信され、前記音響信号処理装置は該コマンドを受信した時に、受信したコマンドで指示されたパラメーターを、1以上のチャンネルの音響信号をリアルタイムレコーディングしているプロジェクトにセットすることから、リアルタイムレコーディング時にマーカーのパラメーターの設定を容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例の音響信号処理システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の他の実施例の音響信号処理システムの構成を示す図である。
図3】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーの処理アルゴリズムを等価的に示す機能ブロック図である。
図5】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーにおける入力チャンネルと出力チャンネルの構成を示す回路ブロック図である。
図6】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーにおけるスナップショットデータのデータ構造を示す図である。
図7】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーで実行されるスナップショットリコール処理のフローチャートである。
図8】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーにおいてコマンドを送るパラメーターを設定するパラメータ設定ウィンドウを示す図である。
図9】本発明にかかる音響信号処理システムを構成するミキサーにおけるスナップショットテーブルを示す図である。
図10】本発明にかかる音響信号処理システムを構成する音響信号処理装置のプロジェクトウィンドウを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の本発明の実施例にかかる音響信号処理システムの構成を示すブロック図を図1に示す。
図1に示す本発明の音響信号処理システムは、PA/SRシステムと、PA/SRシステムに接続されたレコーディングシステムとから構成されている。PA/SRシステムは、会場等に設置された複数本のマイク3a,・・・,3hからのアナログの音響信号と、シンセサイザー2からのディジタルの音響信号が入力されるミキサー1と、ミキサー1から出力されるミキシングされた音響信号を増幅するアンプ4と、アンプ4から出力される増幅された音響信号を放音する複数のスピーカ5a,・・・,5kとを備えている。また、レコーディングシステムはDAWソフトがインストールされ、DAWが動作して音響信号処理装置とされているパーソナルコンピュータ(PC)6から構成されている。
【0013】
ミキサー1は、入力信号系列である複数の入力チャンネルと、入力チャンネルからの音響信号をミキシングするバスと、ミキシングされた音響信号を出力する出力信号系列である出力チャンネルを備えている。各入力チャンネルはそれぞれ入力される音響信号の周波数特性やミキシングレベル等を制御して各ミキシングバスに出力し、各ミキシングバスは入力された音響信号をミキシングして対応する出力チャンネルに出力する。PC(DAW)6は、ミキサー1から出力された各入力チャンネルの音響信号を、プロジェクトにおけるそれぞれのトラックにアサインしてリアルタイムレコーディングすることができる。リアルタイムレコーディング時にミキサー1からPC(DAW)6に出力される音響信号は、入力チャンネルのフェーダーより前の所定の箇所の音響信号が出力ポートから直接出力されるダイレクトアウト信号や、入力チャンネルのレベルを調整するフェーダーの直後のポストフェーダー信号とされる。ミキサー1から出力される音響信号は、ミキサー1において設定することができる。
【0014】
また、本発明にかかる他の実施例の音響信号処理システムの構成を図2に示す。
図2に示す本発明の他の音響信号処理システムは、イーサネット(登録商標)などのオーディオネットワーク7を備えており、オーディオネットワーク7にAD/DA部1aと信号処理部(DSP部)1bとコンソール部1cとPC(DAW)6とが接続されて構成されている。また、オーディオネットワーク7には音響信号処理装置であるPC(DAW)6が接続されている。AD/DA部1aは、マイクやシンセサイザが接続される入力端子である物理的な入力ポートや、アンプ等が接続される出力端子である物理的な出力ポート、および、オーディオネットワーク7に接続される通信I/O端子を備えている。さらに、アナログ入力ポートに入力された複数のアナログ信号をディジタル信号に変換して入力ポートから出力するAD変換器と、アナログ出力ポート部に供給された複数のディジタル出力信号を、アナログ出力信号に変換してアナログ出力ポートから出力するDA変換器とを備えている。また、DSP部1bは、多数のDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成されており、ミキシング処理やエフェクト処理などを行っており、オーディオネットワーク7に接続される通信I/O端子を備えている。
【0015】
コンソール部1cには、コンソールパネルに入力チャンネルのミキシングバスへの送り出しレベルを調整する複数の電動フェーダー、各種パラメータを操作するための多数の操作子やオーディオネットワーク7に接続される通信I/O端子が設けられている。コンソール部1cを扱うオペレーターは、楽器の演奏音やボーカルの各オーディオ信号の音量や音色を、電動フェーダーや各種操作子を操作することにより、演奏を最もふさわしく表現していると思われる状態に調整している。PC(DAW)6は、DAWソフトがインストールされ、DAWが動作している音響信号処理装置であり、オーディオネットワーク7に接続される通信I/O端子を備え、音響信号の記録や再生、あるいはエフェクト付与やミキシング等の音響信号処理機能が実現されている。
AD/DA部1aとDSP部1bとコンソール部1cとがオーディオネットワーク7により論理的に接続されることにより、図1に示すミキサー1と同等のミキサーが実現される。この実現されたミキサーにおける各チャンネルの音響信号のリアルタイムレコーディングをPC(DAW)6で動作しているDAWで行う際に、当該ミキサーにPC(DAW)6がオーディオネットワーク7により論理的に接続されていることから、DAWはAD/DA部1aとDSP部1bとコンソール部1cとで構成されるミキサーの任意の位置に論理的接続して、任意の位置の信号を取り出すことができるようになる。すなわち、上記した他の音響信号処理システムでは、入力チャンネルのダイレクトアウト信号やポストフェーダー信号などを、PC(DAW)6側で設定してDAWに録音することができるようになる。
【0016】
PC(DAW)6で動作しているDAWは、図1,2に示す音響信号処理システムにおけるミキサーから出力された各チャンネルの音響信号を録音する際に、プロジェクトを作成して作成したプロジェクトの各トラックに録音する。このプロジェクトのトラック数は、ミキサーのチャンネル数と少なくとも同数とされ、各チャンネルを各トラックにアサインする。この場合、各チャンネルのチャンネル名を対応して録音されるトラックのトラック名として設定することが好適とされる。
【0017】
ここで、図1に示すミキサー1のハードウェア構成を示すブロック図を図3に示す。なお、図2に示す他の音響信号処理システムで実現されるミキサーのハードウェア構成も図3に示すハードウェア構成と等価になる。
図3に示すミキサー1は、CPU(Central Processing Unit)10が管理プログラム(OS:Operating System)を実行しており、ミキサー1の全体の動作をOS上で制御している。ミキサー1は、CPU10が実行する制御プログラム等の動作ソフトウェアが格納されている不揮発性のROM(Read Only Member)11と、CPU10のワークエリアや各種データ等が記憶されるRAM(Random Access Memory)12を備えている。CPU10は、制御プログラムを実行することにより、入力された複数の音響信号に音響信号処理をDSP20により施して混合処理を行っている。なお、ROM11をフラッシュメモリ等の書き換え可能なROMとすることで、動作ソフトウェアの書き換えを可能とすることができ、動作ソフトウェアのバージョンアップを容易に行うことができる。DSP20はCPU10の制御の基で、入力された音響信号の音量レベルや周波数特性を設定されたパラメータに基づいて調整してミキシングし、音量、パン、効果などの音響特性をそのパラメータに基づいて制御する音響信号処理を行っている。エフェクタ(EFX)19はCPU10の制御の基で、ミキシングされたオーディオ信号にリバーブ、エコーやコーラス等のエフェクトを付加している。
【0018】
表示IF13は、液晶表示器等の表示部14に音響信号処理に関する種々の画面を表示させる表示インタフェースである。検出IF15は、ミキサー1のコンソールのパネルに設けられているフェーダ、ノブやスイッチ等の操作子16をスキャンして、操作子16に対する操作を検出しており、検出された操作信号に基づいて音響信号処理に用いるパラメータの編集や操作を行うことができる。通信IF17は、通信I/O18を介して外部機器と通信を行うための通信インタフェースであり、イーサネット(登録商標)などのネットワーク用のインタフェースとされる。CPU10、ROM11、RAM12、表示IF13、検出IF15、通信IF17、EFX19、DSP20は通信バス21を介して相互にデータ等の授受を行っている。
【0019】
EFX19およびDSP20は音声バス25を介して入出力部を構成するAD22、DA23、DD24とデータ等の授受を行っている。AD22は、アナログの音響信号が入力される入力端子である物理的な1つ以上の入力ポートを備え、AD22の入力ポートに入力されたアナログの音響信号はディジタルの音響信号に変換されて音声バス25に送出される。DA23は、ミキシングされた混合信号を外部へ出力する出力端子である物理的な1つ以上の出力ポートを備え、DA23において音声バス25を介して受け取ったディジタルの音響信号はアナログの音響信号に変換されて出力ポートから出力され、この出力ポートに接続されている会場やステージに配置されたスピーカから出力される。DD24は、ディジタルの音響信号が入力される入力端子である物理的な1つ以上の入力ポートと、外部にミキシングされたディジタルの音響信号を出力する出力端子である物理的な1つ以上の出力ポートとを備え、DD24において入力ポートに入力されたディジタルの音響信号は音声バス25に送出され、音声バス25を介して受け取ったディジタルの音響信号は出力ポートから出力され、この出力ポートに接続されているレコーディングシステム等に供給される。なお、AD22およびDD24から音声バス25へ送出されたディジタルの音響信号はDSP20が受け取って上記したディジタル信号処理が施される。また、DSP20から音声バス25に送出されたミキシングされたディジタルの音響信号はDA23あるいはDD24が受け取るようになる。
【0020】
次に、ミキサー1の処理アルゴリズムを等価的に示す機能ブロック図を図4に示す。以下の記載においてはチャンネルをchと表す。
図4において、複数の入力ポート30を介して供給されるディジタルの音響信号は入力パッチ(Input Patch)31に入力される。この入力ポート30は、AD22およびDD24が備えている物理的な入力端子である。入力パッチ31では、音響信号の入力元である複数の物理的な入力ポートのそれぞれを、Nch(Nは1以上の整数:例えば96ch)とされる入力ch部32が備える論理的な各入力ch(Input Channel)32−1,32−2,32−3,・・・・,32−Nに選択的にパッチ(結線)している。この場合、入力ポートは複数の入力chにパッチすることができるが、入力chには一つの入力ポートしかパッチすることができない。各入力ch32−1〜32−Nには、入力パッチ31でパッチされた入力ポート30からの音響信号In.1,In.2,In.3,・・・,In.Nがそれぞれ供給される。各入力ch32−1〜32−Nでは、各入力chに入力された音響信号In.1,In.2,In.3,・・・,In.Nの音響特性等が調整される。すなわち、入力ch部32における各入力ch32−1〜32−Nに入力された各入力ch信号は、入力ch毎にイコライザやコンプレッサにより音響信号の特性が調整されると共に送り出しレベルが制御されてM本(Mは1以上の整数)の混合バス(Mix Bus)33およびL,Rのステレオのキューバス(Cue Bus)34へ送出される。この場合、入力ch部32から出力されるN入力ch信号は、M本の混合バス33の1ないし複数に選択的に出力される。
【0021】
混合バス33においては、M本の各バスにおいて、N入力chのうちの任意の入力chから選択的に入力された1ないし複数の入力ch信号が混合されて、合計M通りの混合出力が出力される。M本の混合バス33の各バスからの混合出力は、Mchとされる出力ch部35の各出力ch(Output Channel)35−1,35−2,35−3,・・・・,35−Mにそれぞれ出力される。各出力ch35−1〜35−Mでは、イコライザやコンプレッサにより周波数バランス等の音響信号の特性が調整されて、出力ch信号Mix.1,Mix.2,Mix.3,・・・,Mix.Mとして出力され、このM出力ch信号Mix.1〜Mix.Mは、出力パッチ(Output Patch)37に出力される。また、L,Rのキューバス(Cue Bus)34においてはN入力chから入力された1ないし複数の入力ch信号が混合されているキュー/モニタ用の信号がキュー/モニタ部(Cue/Monitor)36に出力される。キュー/モニタ部36においてイコライザやコンプレッサにより周波数バランス等の音響信号の特性が調整されたキュー/モニタ出力(Cue/monitor)は、出力パッチ37に出力される。
【0022】
出力パッチ37では、出力ch部35からのM出力ch信号Mix.1〜Mix.Mおよびキュー/モニタ部36からのキュー/モニタ出力の何れかを、複数の出力ポート38のいずれかに選択的にパッチ(結線)することができ、各出力ポート38には、出力パッチ37でパッチされた出力ch信号が供給される。出力ポート38において、ディジタルの出力ch信号はアナログ出力信号に変換され、パッチされた出力ポート38に接続されているアンプにより増幅されて会場に配置された複数のスピーカから放音される。さらに、この出力ポート38からのアナログ出力信号はステージ上のミュージシャン等が耳に装着するインイヤーモニタに供給されたり、その近傍に置かれたステージモニタスピーカで再生される。また、出力パッチ37でパッチされた出力ポート38から出力されるディジタルの音響信号は、その出力ポート38に接続されているレコーディングシステムやDAT等に供給されてディジタル録音することができるようになる。また、キュー/モニタ出力はアナログの音響信号に変換され、出力パッチ37でパッチされた出力ポート38を介して、オペレータルームに配置されたモニタ用スピーカやオペレータが装着するヘッドホン等から出力されてオペレータが検聴できるようになる。このように、出力パッチ37では論理的なチャンネルである出力chを、物理的な出力端子である出力ポートに選択的にパッチングしている。
なお、図示していないが入力ch32−1〜32−Nの所定の位置を出力パッチ37で出力ポート38にパッチすることにより、ダイレクトアウトが実現されている。
【0023】
図4に示す入力ch部32における入力ch32−1〜32−Nは、全て同じ構成とされており、その内の入力ch32−iを例に挙げて入力chの構成を図5(a)に示す。
図5(a)に示す入力ch32−iには、入力パッチ31において入力ポートのいずれかがパッチされるにようになる。入力ch32−iは、アッテネータ(Att)41、ヘッドアンプ(H/A)42、ハイパスフィルタ(HPF)43、イコライザ(EQ)44、ノイズゲート(Gate)45、コンプレッサ(Comp)46、ディレイ(Delay)47、フェーダー(Level)48、パン(Pan)49を縦続接続して構成されている。アッテネータ41は、入力されたディジタルの音響信号の減衰量を調整しており、ヘッドアンプ42は、入力されたディジタルの音響信号を増幅しているアンプである。ハイパスフィルタ43は、特定の周波数より低い入力されたディジタルの音響信号の帯域をカットするフィルタであり、イコライザ44は、入力されたディジタルの音響信号の周波数特性を調整するイコライザとされており、例えば、HI,MID HI,LOW MID,LOWの4バンドの各バンド毎の周波数特性を可変できるようにされている。
【0024】
ノイズゲート45は、ノイズを遮断するノイズゲートであり、入力されたディジタルの音響信号のレベルが基準値以下となった際に、入力されたディジタルオーディオ信号のゲインを急激に低下させてノイズを遮断している。コンプレッサ46は、入力されたディジタルの音響信号のダイナミックレンジを狭くして、入力されたディジタルの音響信号が飽和することを防止している。ディレイ47は、音源とパッチされた入力ポートに接続されているマイクとの距離補正を行うように、入力されたディジタルの音響信号の時間遅延を行っている。フェーダー48は、入力チャンネル32−iから混合バス33への送り出しレベルを制御する電動フェーダ等のレベル可変手段であり、パン49は、入力チャンネル32−iからステレオに設定された2系統の混合バス33に送られる信号の左右の定位を調節している。
入力ch32−iから出力されるディジタルの音響信号は、任意の複数本の混合バス33に供給することができると共に、キューバス34にも供給される。
なお、ミキサーから出力されてPC(DAW)6に送ることのできるダイレクトアウトの位置は、アッテネータ41の直前、HPF43の直前、フェーダー48の直前などから選択することができる。
【0025】
また、図4に示す出力ch部35における出力ch35−1〜35−Mは、全て同じ構成とされており、その内の出力ch35−jを例に挙げて出力chの構成を図5(b)に示す。
図5(b)に示す出力ch35−jには混合バス33におけるj本目からの混合出力が入力されている。出力ch35−jは、イコライザ(EQ)51、コンプレッサ(Comp)52、フェーダー(Level)53、バランス(Bal)54、ディレイ(Delay)55、アッテネータ(Att)56を縦続接続して構成されている。イコライザ51は、出力されるディジタルの音響信号の周波数特性を調整するイコライザとされており、例えば、HI,MID HI,MID,LOW MID,LOW,SUB MIDの6バンドの各バンド毎に電気的特性を可変することができる。コンプレッサ52は、出力されるディジタルの音響信号のダイナミックレンジを狭くして、出力されるディジタルの音響信号が飽和することを防止している。フェーダー53は、出力チャンネル35−jから出力パッチ37への出力レベルを制御する電動フェーダ等のレベル可変手段であり、バランス54は、出力チャンネル35−jがステレオに設定されている場合に、左右の音量バランスを調節している。ディレイ55は、スピーカの距離補正や定位の補正等を行うように、出力されるディジタルの音響信号の時間遅延を行っており、アッテネータ56は、出力パッチ37へ出力されるディジタルの音響信号の減衰量を調整している。
【0026】
ミキサー1の入力チャンネル32−iおよび出力チャンネル35−iにおける各信号処理部は、パネルに設けられているフェーダー、ノブやスイッチ等の操作子により設定された信号処理用のパラメーターからなるパラメーターセットに応じた信号処理を行う。すなわち、ミキサー1からの音響出力を放音した際に、パラメーターセットに応じた音響の設定状態が作り出されるようになる。本発明においては、作り出される音響の設定状態をスナップショット(Snapshot)と呼び、スナップショットを実現するパラメーターセットがSnapshotデータとなる。スナップショットは、従来のミキサーにおいて用いられているシーンに相当し、Snapshotデータはミキサー1の信号処理用の設定データでもある。スナップショットチェンジをする場合は、スナップショットを特定してリコール操作することにより、チェンジするスナップショットのSnapshotデータが読み出され、そのSnapshotデータに応じた音響の設定状態がミキサー1で再現されるようになる。これにより、スナップショットチェンジを行うことができる。一度設定した会議室、宴会場、ミニシアターや多目的ホールまでの様々なスナップショットを保存しておき、再現したいスナップショットを読み出すことで、設定したスナップショットを再現することができるようになる。また、オープニングの曲や1曲目の曲、2曲目の曲、・・・に合わせたスナップショットをそれぞれ用意しておき、各曲を演奏する際に各曲に用意されたスナップショットにチェンジすることで各曲に合わせた音響の設定状態に変更することができる。
【0027】
このSnapshotデータのデータ構造を図6に示す。図6に示すようにスナップショットのSnapshotデータは、複数のパラメーターセットからなり、それぞれのパラメーターセットは入力チャンネルのパラメーターと出力チャンネルのパラメーター等から構成されている。入力チャンネルのパラメーターは、チャンネル1(ch.1),チャンネル2(ch.2),・・・の設定された入力チャンネル数分の各入力チャンネルのパラメーターから構成されている。1入力チャンネルのパラメーターは、ダイナミクス系のDynamicsパラメーター、イコライザのEQパラメーター、混合バスへの送り出しレベルのBUS Sendパラメーター、フェーダーのFaderパラメーター、ミュートオンあるいはオフのMuteパラメーター等から構成されている。また、出力チャンネルのパラメーターは、チャンネル1(ch.1),チャンネル2(ch.2),・・・の設定された出力チャンネル数分の各出力チャンネルのパラメーターから構成されている。1出力チャンネルのパラメーターは、ダイナミクス系のDynamicsパラメーター、イコライザのEQパラメーター、フェーダーのFaderパラメーター、ミュートオンあるいはオフのMuteパラメーター等から構成されている。
【0028】
本発明の音響信号処理システムにおける図1,2に示すミキサーにおいてスナップショットチェンジする時に実行されるスナップショットリコール処理のフローチャートを図7に示す。
図7に示すスナップショットリコール処理は、ミキサーにおいてスナップショットチェンジが検出された際に起動される。例えば、オープニングの曲、1曲目の曲、2曲目の曲、・・・が開始されるタイミング毎のスナップショットチェンジがされる時に起動される。スナップショットリコール処理が起動されると、ステップS10にてスナップショットをリコールするイベントで指定されたSnapshotデータが読み出されて、ステップS11にて読み出されたSnapshotのパラメータセットがRAM12上のカレントメモリに設定される。これにより、ミキサーのフェーダー、ノブやスイッチ等の信号処理用のパラメーター値が、読み出されたSnapshotのパラメーター値に設定されて、指定された音響の設定状態となる。次いで、ステップS12にてPC(DAW)6に送信するコマンドの設定情報が取得される。このコマンドの設定を、図8に示すパラメータ設定ウィンドウ60により設定することができる。パラメーター設定ウィンドウ60ではマーカー(Marker)とマーカー名(Marker Name)とのパラメーターをコマンドで送る設定をすることができる。コマンドで送るパラメーターは、パラメーターの横に並んで配列された「Enable」のラジオボタンをオンとすることで設定され、コマンドで送らないパラメーターは横に並んで配列された「Disable」のラジオボタンをオンとすることで設定される。図8に示すパラメーター設定ウィンドウ60では、マーカー(Marker)とマーカ名(Marker Name)とのパラメーターをコマンドで送る設定とされている。ここで、画面下部の「Ok」ボタン60bをクリックするとパラメーター設定ウィンドウ60で示す設定に更新され、画面下部の「Cancel」ボタン60aをクリックすると画面の設定状態はキャンセルされてそれまでの設定が維持される。
【0029】
図8のパラメータ設定ウィンドウ60に示す設定状態とされていた場合、ステップS12ではマーカー(Marker)とマーカ名(Marker Name)とのパラメーターをコマンドで送る設定情報が取得される。そして、取得した設定情報に応じてマーカーセットコマンドを送信するか否かがステップS13にて判断される。コマンドを送信するか否かは、図8に示すパラメーター設定ウィンドウ60で設定されミキサー側が設定情報として持っている。ここで、ミキサーの設定情報において図8に示すようにマーカーセットコマンドを送信する設定とされていた場合は、Yesと判断されてステップS14に分岐し、マーカーセットコマンドがPC(DAW)6に向けて送信される。マーカーセットコマンドを受信したPC(DAW)6は、DAWにおいてリアルタイムレコーディング中のプロジェクトに受信した時間(タイムスタンプ)にポジションマーカーをセットする。また、マーカーセットコマンドを送信しない設定とされていた場合は、ステップS13にてNoと判断されてステップS15に進む。さらに、ステップS14の処理が終了した場合もステップS15に進む。
【0030】
ステップS15では、取得した設定情報に応じてマーカー名セットコマンドを送信するか否かが判断される。ここで、ミキサーの設定情報において図8に示すようにマーカー名セットコマンドを送信する設定とされていた場合は、Yesと判断されてステップS16に分岐し、マーカー名セットコマンドがPC(DAW)6に向けて送信される。マーカー名セットコマンドを受信したPC(DAW)6は、リアルタイムレコーディング中のプロジェクトにセットされたマーカーにマーカー名を設定する。また、マーカー名セットコマンドを送信しない設定とされていた場合は、ステップS15にてNoと判断されてスナップショットリコール処理は終了する。さらに、ステップS16の処理が終了した場合もスナップショットリコール処理は終了する。
なお、マーカーとは編集点のことであり、編集時にマーカーをたどることで、特定のポイントに飛ぶことができる。マーカーの種類には、ポジションマーカーとサイクルマーカー の2種類がある。通常マーカーと呼ぶ場合は特定のポイントを示すポジションマーカーのことを指しており、サイクルマーカーとは特定の範囲を設定して、この間でループ(リピート)させるマーカーを指している。
【0031】
図7に示すスナップショットリコール処理は、オープニングの曲、1曲目の曲、2曲目の曲、・・・が開始されるタイミングで出力されるスナップショットチェンジのイベントにより起動されて実行されるが、スナップショットチェンジのイベントを出力するためのスナップショットテーブルを図9に示す。図9に示すようにスナップショットテーブルは、スナップショットチェンジされる順番を示す番号(No.)とスナップショット名称とからなるスナップショットが登録されている。図9に示す例では、番号1のスナップショット名称はオープニングとされ、番号2のスナップショット名称はMC1とされ、番号3のスナップショット名称は1曲目とされ、番号4のスナップショット名称は2曲目とされている。図9に示すスナップショットテーブルとされている場合は、オープニングの曲、MC1の曲、1曲目の曲、2曲目の曲、・・・の順で開始されるタイミングでそれぞれスナップショットチェンジが出力されて、マーカーセットとマーカー名セットのコマンドがミキサーから送信されて、DAWが受信するようになる。これにより、DAWでリアルタイムレコーディングしているプロジェクトにコマンドを受信した時刻(タイムスタンプ)にポジションマーカーがセットされ、同時にそのマーカーにマーカー名が設定されるようになる。DAWにおいてコマンドを受信した時刻は、ミキサーにおいてスナップショットチェンジされた時刻に相当する。
【0032】
コマンドを受信した時刻(タイムスタンプ)にポジションマーカーがセットされ、同時にそのマーカーにマーカー名が設定されたプロジェクトの画面であるプロジェクトウィンドウ70の例を図10に示す。このプロジェクトウィンドウ70は、PC(DAW)6のディスプレイに表示され、プロジェクトの上部に表示されている曲の進行を示すルーラー77にポジションマーカーであるマーカー75aとマーカー75bとが設定されている。マーカー75aは、オープニングの開始位置に設定されており、表示されるマーカー名は「オープニング」とされている。また、マーカー75bは、MC1の開始位置に設定されており、表示されるマーカー名は「MC1」とされている。
図10に示すようにプロジェクトウィンドウ70には、トラック番号1,2,・・・8の8トラックが表示されており、このプロジェクトは8トラックからなることが示されている。各トラックは横方向に配列された、トラック番号欄71、ミュート/ソロ欄72、トラック名欄73とイベント欄74とから構成されている。トラック番号欄71には1から順番に付けられた当該トラックのトラック番号が示されており、ミュート/ソロ欄72には当該トラックのミュートのオン/オフ状態とソロに設定されているかが示され、トラック名欄73では当該トラックのトラック名が示され、イベント欄74には当該トラックにレコーディングされた波形データや曲データが示されている。イベント欄74の上部には上記したルーラー77が設けられている。さらに上部にはトランスポートコントロール用の5つのボタンが設けられている。ボタン76aは前のマーカーに戻るボタン、ボタン76bは後のマーカーに進むボタン、ボタン76cは再生や録音を停止するボタン、ボタン76dは再生や録音を開始するボタン、ボタン76eは録音ボタンである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上説明した本発明においては、ミキサーとDAWとを接続しているが、リアルタイムレコーディングされるプロジェクトのDAWのトラック数は、ミキサーのチャンネル数と一致していなくてもよい。ただし、少なくともミキサーのチャンネル数と同数のトラック数とされていることが好適とされる。ミキサーを用いてイベントが開始されると、DAW側は対象とする全てのトラックでリアルタイムレコーディングを開始する。この場合、録音開始を手動で行っても良い。そして、ミキサー側のスナップショットチェンジに合わせて、ミキサー側からDAWソフトに「マーカーセットコマンド」が送信され、DAW側はこのコマンドを受信すると、コマンドを受信した時刻(タイムスタンプ)に、ポジションマーカーをセットする。「マーカーセットコマンド」と同時に「マーカー名セットコマンド」も送信された場合は、DAW側においてセットされたマーカーにマーカー名がセットされる。
本発明においては、ミキサー側でスナップショットチェンジするだけで、スナップショットチェンジの時刻でDAW側に自動的にマーカーがセットされるため、後の編集時にマーカーセットの手間が省けるようになる。さらに、セットされたマーカーはイベントの進行と同期しているため、後の編集が楽になる。
なお、ミキサー側ではマーカーセットのコマンドとマーカー名セットのコマンドを、スナップショットがチェンジされる時に送信しているが、マーカーセットのコマンドとマーカー名セットのコマンドは別のコマンドとして用意しても良いし、1つのコマンドでマーカーとマーカー名を同時にセットするコマンドとしても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 ミキサー、1a AD/DA部、1b DSP部、1c コンソール部、2 シンセサイザー、3a〜3h マイク、4 アンプ、5a〜5k スピーカ、6 PC(DAW)、7 オーディオネットワーク、10 CPU、11 ROM、12 RAM、13 表示IF、14 表示部、15 検出IF、16 操作子、17 通信IF、18 通信I/O、19 EFX、20 DSP、21 通信バス、22 AD、23 DA、24 DD、25 音声バス、30 入力ポート、31 入力パッチ、32 入力チャンネル部、32−1〜32−i〜32−N 入力チャンネル、33 混合バス、34 キューバス、35 出力チャンネル部、35−1〜35−M 出力チャンネル 、36 モニタ部、37 出力パッチ、38 出力ポート、41 アッテネータ、42 ヘッドアンプ、43 ハイパスフィルタ、44 イコライザ、45 ノイズゲート、46 コンプレッサ、47 ディレイ、48 レベル調整、49 パン、51 イコライザ、52 コンプレッサ、53 レベル調整、54 バランス、55 ディレイ、56 アッテネータ、60 パラメータ設定ウィンドウ、60a Cancelボタン、60b Okボタン、70 プロジェクトウィンドウ、71 トラック番号欄、72 ミュート/ソロ欄、73 トラック名欄、74 イベント欄、75a,75b マーカー、76a〜76e トランスポートコントロール用のボタン、77 ルーラー
図1
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図7
図8
図9
図10