特許第5861515号(P5861515)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861515
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】回転霧化頭
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/04 20060101AFI20160202BHJP
   B05B 3/10 20060101ALI20160202BHJP
   B05B 5/08 20060101ALN20160202BHJP
【FI】
   B05B5/04 A
   B05B3/10 B
   !B05B5/08 G
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-59606(P2012-59606)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-192979(P2013-192979A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 憲一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正人
(72)【発明者】
【氏名】小島 直樹
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−224593(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3048835(JP,U)
【文献】 特開昭59−228960(JP,A)
【文献】 特開2000−210596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 5/04
B05B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転霧化式塗装装置において塗料供給手段から供給された塗料を回転霧化して噴出させる回転霧化頭であって、
該回転霧化頭の回転中心線上に形成され先端側に開口すると共に塗料供給手段から塗料を供給される中央窪み部と、該中央窪み部の開口端部から先端側に向けて拡径するよう延設された塗料拡散面とを有するベルカップ本体と、
上記中央窪み部の開口端部を覆うように装着され、上記中央窪み部の内側に供給された塗料を上記塗料拡散面へと送るための塗料流通孔を形成するベルハブと、
上記中央窪み部の内周面と上記ベルハブとの間に形成された空隙部内において自由移動可能に配された固形体とを有し、
該固形体が球状をなしていると共に、上記ベルカップ本体の回転及び上記空隙部内に流入する洗浄液の圧力によって上記空隙部内を移動可能であり、
かつ、上記中央窪み部における基端側に形成された底部には、上記回転中心線の周囲を囲むように環状の凹溝部を形成してあり、該凹溝部は、上記ベルカップ本体の軸線方向における断面形状が略円弧状の曲面からなり、球状をなす上記固形体の半径が、上記凹溝部をなす曲面の半径よりも小さく設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
【請求項2】
請求項1に記載の回転霧化頭において、上記塗料供給手段は、上記中央窪み部の底部に貫通形成された挿通穴に挿通されたフィードチューブを有し、上記挿通穴と上記フィードチューブとの間隔よりも上記固形体の大きさが大きく設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の回転霧化頭において、上記ベルハブはその中央部に上記塗料供給手段に向かって突出する突起部を備えており、上記塗料供給手段の先端と上記突起部との間隔よりも上記固形体の大きさが大きく設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転霧化式塗装装置において塗料を回転霧化するための回転霧化頭に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のボディ等の被塗装物の塗装に用いられる塗装装置としては、回転霧化式塗装装置が知られている(特許文献1)。この回転霧化式塗装装置は、流通する空気のエネルギーによって駆動するエアモータと、エアモータに連結された回転霧化頭とを備えている。
【0003】
回転霧化頭は、塗料供給部を備えた中央窪み部と、中央窪み部の開口端部から延設された塗料拡散面と、中央窪み部の開口端部を覆うベルハブとを備えており、中央窪み部の内面とベルハブとの間には空隙部が形成されている。回転霧化頭をエアモータによって回転させ、塗料供給部から空隙部の内側に塗料を供給すると、塗料が遠心力によって塗料拡散面へと流動し、塗料拡散面の外周端において霧化され回転霧化式塗装装置の先端から噴出されるよう構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−94488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の回転霧化式塗装装置に用いられる回転霧化頭には以下の問題点がある。
上記回転霧化頭においては、ベルカップ本体の中央窪み部の内面に付着した塗料が洗浄によって除去されず、中央窪み部の内面に残存する場合がある。この中央窪み部の内面に残存した塗料が、色替え後の塗料と共に噴出されることで、塗装品質を低下させるおそれがある。
【0006】
すなわち、上記回転霧化頭を用いた回転霧化式塗装装置は、自動車等の生産ラインにおける塗装工程に配される。この塗装工程においては、複数の色の塗装を行うため、塗料の色を変更する色替えが行われる。このとき、回転霧化頭の内側及び外側に残存する塗料を除去するために洗浄が行われる。
【0007】
回転霧化頭の洗浄は、その外側面及び内側面に有機溶剤等の洗浄液を吹き付けて行うが、空隙部内には洗浄液が流入しにくく、中央窪み部の内面に固着塗料が残る場合がある。この中央窪み部の内面に残った塗料が色替え後の塗料と共に噴出されると塗装面に不良が生じることとなる。
【0008】
また、空隙部内に供給された塗料の大半は、ベルハブの裏面に衝突した後、塗料流通孔を通じて遠心力によって塗料拡散面へと流動する。このとき、塗料は連続して供給されているため、ベルハブの裏面においては、塗料が乾燥することなく塗料拡散面へと送られる。
【0009】
一方、空隙部内に供給された塗料の一部は、空隙部内において飛散して中央窪み部の内面へと付着する。この中央窪み部の内面に付着する塗料の量はわずかであり、空隙部内の空気に触れるため、塗料が乾燥し固着した固着塗料が形成されやすい。この固着塗料は、液状の塗料に比べて洗浄液に溶けにくく、中央窪み部の内側に残りやすい。そのため、色替えの後に、中央窪み部の内側に残った固着塗料が剥離し、塗料と共に噴出した場合にも、塗装面に不良が生じることとなる。
【0010】
本発明は、上述した背景に鑑みてなされたものであり、空隙部の内側を効率良く洗浄することができる回転霧化頭を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
回転霧化式塗装装置において塗料供給手段から供給された塗料を回転霧化して噴出させる回転霧化頭であって、
該回転霧化頭の回転中心線上に形成され先端側に開口すると共に塗料供給手段から塗料を供給される中央窪み部と、該中央窪み部の開口端部から先端側に向けて拡径するよう延設された塗料拡散面とを有するベルカップ本体と、
上記中央窪み部の開口端部を覆うように装着され、上記中央窪み部の内側に供給された塗料を上記塗料拡散面へと送るための塗料流通孔を形成するベルハブと、
上記中央窪み部の内周面と上記ベルハブとの間に形成された空隙部内において自由移動可能に配された固形体とを有し、
該固形体が球状をなしていると共に、上記ベルカップ本体の回転及び上記空隙部内に流入する洗浄液の圧力によって上記空隙部内を移動可能であり、
かつ、上記中央窪み部における基端側に形成された底部には、上記回転中心線の周囲を囲むように環状の凹溝部を形成してあり、該凹溝部は、上記ベルカップ本体の軸線方向における断面形状が略円弧状の曲面からなり、球状をなす上記固形体の半径が、上記凹溝部をなす曲面の半径よりも小さく設定されていることを特徴とする回転霧化頭。
にある(請求項1)。
【発明の効果】
【0012】
上記回転霧化頭は、上記空隙部内において自由移動可能に配された上記固形体を備えている。この固形体は、上記回転霧化頭を洗浄する際に、上記回転霧化頭の回転及び上記空隙部に流入する洗浄液の圧力によって上記空隙部内を移動する。これにより、上記空隙部内の洗浄液の攪拌性が高まり、洗浄性を高めることができる。それゆえ、上記中央窪み部の内面に付着した塗料を確実に除去することができる。さらに、上記中央窪み部の内面に万一固着塗料が付着していた場合でも、これに上記固形体を衝突させ、固着塗料を効率良く洗浄除去することができる。
【0013】
以上のごとく、上記回転霧化頭によれば、空隙部の内側を効率良く洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1における、回転霧化頭を示す断面図。
図2図1における、部分拡大図。
図3】実施例1における、回転霧化式塗装装置の先端部分を示す部分断面図。
図4】実施例1における、回転霧化頭の洗浄装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記回転霧化頭において、上記固形体が球状をなしている。この場合には、上記空隙部の内側で上記固形体がその内面上をスムーズに転がりながら移動しやすい。したがって、上記固形体によって上記空隙部の内側に残る塗料をより効率良く除去することができる。
【0016】
また、上記中央窪み部における基端側に形成された底部には、上記回転中心線の周囲を囲むように環状の凹溝部を形成してあり、該凹溝部は、上記ベルカップ本体の軸線方向における断面形状が略円弧状の曲面からなり、球状をなす上記固形体の半径が、上記凹溝部をなす曲面の半径よりも小さく設定されてい。この場合には、上記固形体を上記凹溝部の内面全面に接触し得る状態で配することができる。したがって、上記凹溝部の内側に付着した塗料を、上記固形体によって効率良く除去することができる。
【0017】
また、上記塗料供給手段は、上記中央窪み部の底部に貫通形成された挿通穴に挿通されたフィードチューブを有し、上記挿通穴と上記フィードチューブとの間隔よりも上記固形体の大きさが大きく設定されていてもよい(請求項2)。この場合には、上記挿通穴と上記フィードチューブとの間に形成される隙間に、上記固形体が入り込むことを防止することができる。
【0018】
また、上記ベルハブはその中央部に上記塗料供給手段に向かって突出する突起部を備えており、上記塗料供給手段の先端と上記突起部との間隔よりも上記固形体の大きさが大きく設定されていてもよい(請求項3)。この場合には、上記固形体における、上記塗料供給手段が有する塗料供給孔への入りこみ、及び詰まりを防止することができる。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
回転霧化頭にかかる実施例について、図1図4を参照して説明する。
図1に示すごとく、回転霧化頭1は、回転霧化式塗装装置100において塗料供給手段から供給される塗料を回転霧化して噴出させるものである。回転霧化頭1は、その回転中心線L上に形成され先端側に開口すると共に塗料供給手段から塗料を供給される中央窪み部21と、中央窪み部21の開口端部211から先端側に向けて拡径するよう延設された塗料拡散面22とを有するベルカップ本体20を備えている。また、回転霧化頭1は、中央窪み部21の開口端211部を覆うように装着され、中央窪み部21の内側に供給された塗料を塗料拡散面22へと送るための塗料流通孔31を形成する円板状のベルハブ23を備えている。中央窪み部21の内周面とベルハブ23との間に形成された空隙部内には、自由移動可能に配された固形体4を配してある。
【0020】
以下、さらに詳細に説明する。
本例に示す回転霧化頭1は、図3に示す回転霧化式塗装装置100に用いられるものである。
回転霧化式塗装装置100は、塗装ロボット(図示略)のアーム先端に配されており、上述の回転霧化頭1と、回転霧化頭1を回転させるエアモータ(図示略)と、シェーピングエアを噴出するエアノズル61とを備えている。回転霧化頭1とエアモータとは、回転軸5によって連結されており、エアモータによって回転霧化頭1を回転可能に構成されている。
【0021】
また、回転軸5の外周側に配された外筒部6の内部には、エア流路62を備えており、このエア流路62を流通する圧縮エアを、外筒部の先端側に配されたエアノズル61からシェーピングエアとして噴出可能に構成されている。
【0022】
上記のごとく構成された回転霧化式塗装装置100は、エアモータによって回転霧化頭1を回転させることで供給される塗料を霧化させて噴霧すると共に、エアノズル61からシェーピングエアを噴出させることにより、霧化された塗料の飛散を防止し、塗着率を向上することができる。
【0023】
上述の回転霧化頭1は、図3に示すごとく、回転霧化式塗装装置100の先端に配されたベルカップ本体20と、ベルカップ本体20の中央窪み部21に配されたベルハブ23とを備えている。
ベルカップ本体20は、アルミニウム合金材料からなり、円筒状の連結部201と、連結部201の先端から延設されると共に先端側に向かって拡径する略ベル形状をなす拡散部202とを備えている。尚、連結部201の中心軸及び拡散部202の中心軸は、回転霧化頭1の回転中心線L上に配されている。
【0024】
連結部201の内周には、内側に塗料供給手段の先端に配されたフィードチューブ51を備えると共に、エアモータの回転運動を伝達する回転軸5を挿通固定可能に構成されている。尚、回転軸5の内側に配されたフィードチューブ51は、先端に塗料を供給するための塗料供給孔を有しており、フィードチューブ51の先端は、回転軸5の先端から突出するように配してある。また、回転軸5とフィードチューブ51とは、互いに固定されておらず、回転軸5を回転させた際に、フィードチューブ51は停止している。
【0025】
連結部201の先端側に配された拡散部202は、図1及び図2に示すごとく、その先端よりも後退した位置に形成された中央窪み部21と、中央窪み部21の開口端部211から延設されると共に先端側に向かって拡径するテーパ形状をなす塗料拡散面22とを有している。
【0026】
中央窪み部21は、先端側から見たとき円形をなしており、その中心線は回転霧化頭1の回転中心線L上に配される。また、中央窪み部は、先端側に開口した開口端部211と、基端側に形成された底部212とを備えている。底部212における中心には、挿通穴213が形成してあり、上述した連結部201の内周と連通している。したがって、回転軸5を連結部201に挿通固定した際に、塗料供給手段の先端に配されたフィードチューブ51が挿通穴213に挿通され、その先端が中央窪み部21の内側に配されるよう構成されている。
【0027】
また、底部212には、挿通穴213の周囲を囲むように環状の凹溝部214が形成してある。凹溝部214は、ベルカップ本体20の軸線方向における断面形状が略円弧状の曲面からなる
【0028】
図2に示すごとく、中央窪み部21の開口端部211を覆うように配されたベルハブ23は、略円板状に形成された樹脂材料からなる。
ベルハブ23において先端側と反対側に配された裏面232には、その中央に形成された略円錐状の突起部233と、外周に沿って等間隔に立設した複数の櫛歯部234とを備えている。
【0029】
図2に示すごとく、ベルハブ23は、複数の櫛歯部234の先端を中央窪み部21の側壁面215に嵌合させることでベルカップ本体20に固定されており、中央窪み部21の側壁面215とベルハブ23の外周側面との間には、塗料流通孔31をなす隙間が形成されている。この塗料流通孔31は、隣り合う櫛歯部234の間に形成された隙間を通じて中央窪み部21の内側と連通しており、フィードチューブ51から中央窪み部21の内側に供給された塗料を、塗料流通孔31を通じて塗料拡散面22へと供給することができる。
【0030】
図2に示すごとく、ベルハブ23は、先端面231と裏面232とを繋ぐように貫通形成された3つの洗浄穴235を有している。3つの洗浄穴235における先端側の開口部は、先端面231の中心近傍の位置において、ベルハブ23と同心の円周上に等間隔でそれぞれ配されている。
【0031】
また、3つの洗浄穴235における裏面側の開口部は、先端側の開口部よりも径方向外側の位置に配されている。尚、裏面側の開口部においても、ベルハブ23と同心の円周上に等間隔でそれぞれ配されている。
また、各洗浄穴235における先端側の開口部と裏面側の開口部とは、先端側から見たとき、互いに周方向にずれた位置に配されている。
【0032】
上記のごとく、形成された洗浄穴235における先端側の開口部から流入した洗浄液は、裏面側の開口部から傾斜して噴出される。本例においては、裏面側の開口部から噴出された洗浄液が凹溝部214に衝突するように設定した。
【0033】
図1及び図2に示すごとく、中央窪み部21の内周面とベルハブ23との間に形成された空隙部30には、1つの固形体4が自由移動可能に配されている。固形体4は、アルミニウム合金材料からなり、中央窪み部21の底部212に形成された凹溝部214の断面における曲率半径よりも小さい半径の球状に形成されている。また、固形体4の大きさは、中央窪み部21の底部212に形成された挿通穴213とフィードチューブ51との間隔、及びフィードチューブ51の先端と突起部233との間隔よりも大きく設定してある。本例においては空隙部30の内側に1つの固形体4を設けたが、複数設けることもできる。
【0034】
上記のごとく構成された回転霧化頭1を用いた回転霧化式塗装装置100は、自動車等の生産ラインにおける塗装工程に配される。この塗装工程において、回転霧化式塗装装置100を用いて塗装を行う際には、エアモータによって回転霧化頭1を回転させると共に、塗装を行う面に応じて、回転霧化式塗装装置100の姿勢を変化させながら塗装を行う。
【0035】
また、上記の塗装工程においては、複数の色の塗装を行うため、塗料の色を変更する色替えが行われる。このとき、回転霧化頭1の内側及び外側に残存する塗料を除去するために洗浄が行われる。
この回転霧化頭1の洗浄は、回転霧化式塗装装置100を備えた塗装ロボットの移動範囲内に配された洗浄装置101によって行われる。
【0036】
図4に示すごとく、洗浄装置101は、上端が開放された箱状の洗浄枠体102と、洗浄枠体102の内側に配された外側洗浄ノズル103と内側洗浄ノズル104とを備えている。外側洗浄ノズル103は、回転霧化頭1の外周側から回転霧化頭1の外周面に向かって有機溶剤からなる洗浄液を噴出するように構成されている。また、内側洗浄ノズル104は、回転霧化頭1の先端側からベルカップ本体20の中心近傍に向かって洗浄液を噴出するように構成されている。
【0037】
このとき、回転霧化頭1の空隙部30内に配された固形体4は、回転及び空隙部30に流入する洗浄液の圧力によって空隙部30内を移動する。これにより、空隙部30内の洗浄液の攪拌性が高まり、洗浄性を高めることができる。それゆえ、中央窪み部21の内面に付着した塗料を確実に除去することができる。さらに、中央窪み部21の内面に万一固着塗料が付着していた場合でも、これに固形体4を衝突させ、固着塗料を効率良く洗浄除去することができる。
【0038】
また、回転霧化頭1が有する固形体4は球状をなしている。そのため、空隙部30の内側で固形体4がその内面上をスムーズに移動しやすい。したがって、固形体4によって中央窪み部の内側に付着した塗料をより効率良く除去することができる。
【0039】
また、中央窪み部21における基端側に形成された底部212には、回転中心線Lの周囲を囲むように環状の凹溝部214を形成してあり、凹溝部214は、ベルカップ本体20の軸線方向における断面形状が略円弧状の曲面からなり、球状をなす固形体4の半径が、凹溝部214をなす曲面の半径よりも小さく設定されている。そのため、固形体4を凹溝部214の内面全面に接触し得る状態で配することができる。したがって、固着塗料が凹溝部214の内側に付着した塗料を、固形体4によって効率良く除去することができる。
【0040】
また、塗料供給手段は、中央窪み部21の底部212に貫通形成された挿通穴213に挿通されたフィードチューブ51からなり、挿通穴213とフィードチューブ51との間隔よりも固形体4の大きさを大きく設定されている。そのため、挿通穴213とフィードチューブ51との間に形成される隙間に、固形体4が入り込むことを防止することができる。
【0041】
また、ベルハブ23は、塗料供給手段の先端に配されたフィードチューブ51に向かって突出する突起部233を備えており、フィードチューブ51の先端と突起部233との間隔よりも固形体4の大きさを大きく設定されている。そのため、固形体4における、フィードチューブ51が有する塗料供給孔への入り込み、及び詰まり防止することができる。
【0042】
以上のごとく、本例の回転霧化頭1によれば、空隙部30の内側を効率良く洗浄することができる。
【0043】
尚、上述した回転霧化頭に用いる固形体の形状及び材質は一例であり、種々の形状及び材質によって形成することができる。固形体の形状としては、例えば、角部にフィレットを施した多面体や、楕円球体等がある。また、固形体の材質としては、例えば、樹脂材料や種々の金属材料によって形成することができるが、耐摩耗性及び耐衝撃性に優れ、適度な比重を有する材料であることが好ましい。
【符号の説明】
【0044】
1 回転霧化頭
100 回転霧化式塗装装置
2 ベルカップ本体
21 中央窪み部
212 底部
213 挿通穴
214 凹溝部
22 塗料拡散面
23 ベルハブ
233 突起部
30 空隙部
31 塗料流通孔
4 固形体
51 フィードチューブ
図1
図2
図3
図4