(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アノード及びカソードを有する燃料電池と、前記燃料電池の前記カソードにカソードガスを供給するカソードガス通路と、燃料ガスのガス源と前記燃料電池の前記アノードとの間に設けられ前記ガス源の前記燃料ガスを前記燃料電池の前記アノードに向けて供給する燃料ガス通路と、前記燃料ガス通路に設けられ前記燃料ガスを前記燃料電池側に搬送するガス搬送源と、前記燃料ガス通路において前記ガス搬送源よりも前記ガス源側に設けられ前記燃料ガス通路を開閉する遮断弁と、前記燃料ガス通路において前記遮断弁と前記ガス搬送源との間の検知通路部分のガス圧力に関する物理量を検知する圧力検知要素と、前記圧力検知要素からの検知信号が入力され前記ガス搬送源及び前記遮断弁を制御する制御部とを具備する燃料電池システムであって、
前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態で前記ガス搬送源を駆動させるか又は前記遮断弁を閉鎖させた状態から開放させ、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力の変動に基づいて前記圧力検知要素及び前記ガス源の少なくとも一方が異常であるか否かを判定する、判定処理を行い、且つ、
前記圧力検知要素により検知された前記検知通路部分内の圧力が第1の閾値圧よりも高いときには、前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態で前記ガス搬送源を駆動させ、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力が第1の所定時間以内に規定圧力Pa未満になるか否かを確認して、前記圧力検知要素の故障の有無を判定する、第1の前記判定処理を行い、
前記圧力検知要素により検知された前記検知通路部分内の圧力が第2の閾値圧以下であるときには、前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態から開放させて、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力が第2の所定時間内に規定圧力Pb以上になるか否かを確認して、前記圧力検知要素及び前記ガス源の少なくとも一方が異常であるか否かを判定する、第2の前記判定処理を行う燃料電池システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1,2ともに、原燃料ガス供給管(12)の流量調整弁(5)と脱硫器(6)との間が負圧になったことを検知するために、流量調整弁(5)と脱硫器(6)との間に圧力計を設置している。しかし、圧力計に故障が生じると、原燃料ガス供給管(12)の負圧を検知できず、負圧を解消させるための熱源やブロアーを作動させることができない。更に、圧力計による検知圧力が予定される圧力値を示さないときは、圧力計が故障している可能性があるほか、ガス源に異常がある可能性も考えられる。
【0006】
また、原燃料ガス供給管(12)の圧力を検知するための圧力計として、比較的安価な圧力スイッチを用いることが検討されている。圧力スイッチを圧力計として用いる場合、負圧とされる所定の圧力P(例えば0.3kPa)以上の正常圧の場合は電気導通(ON)、所定の圧力P未満の負圧時に電気導通遮断(OFF)となるように設定する。燃料ガスとして例えば都市ガスを用いる場合、燃料ガスの元圧は1.0〜2.5kPaと比較的高く、原燃料ガス供給管(12)は通常では負圧にならない。このため、圧力スイッチが正常に機能しているか否かを確認することができない。圧力スイッチの故障としては、特にON/OFFが切り替わらないスイッチ固着モードが多い。スイッチが固着した場合には、負圧を検知できなくなる。このため、圧力スイッチの正常機能を確認する必要がある。また、一般の圧力センサを燃料電池装置に取付けた場合にも、圧力センサの信頼性を高めるために、圧力センサが正常であるか否かを確認することが必要である。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料ガス通路に設けられている圧力検知要素の故障又は/及びガス源の異常の有無を容易に判定できる燃料電池システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の様相1に係る燃料電池システムは、アノード及びカソードを有する燃料電池と、燃料電池のカソードにカソードガスを供給するカソードガス通路と、燃料ガスのガス源と燃料電池の前記アノードとの間に設けられガス源の燃料ガスを燃料電池のアノードに向けて供給する燃料ガス通路と、燃料ガス通路に設けられ燃料ガスを燃料電池側に搬送するガス搬送源と、燃料ガス通路においてガス搬送源よりもガス源側に設けられ燃料ガス通路を開閉する遮断弁と、燃料ガス通路において遮断弁とガス搬送源との間の検知通路部分のガス圧力に関する物理量を検知する圧力検知要素と、圧力検知要素からの検知信号が入力されガス搬送源及び遮断弁を制御する制御部とを具備する燃料電池システムであって、
前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態で前記ガス搬送源を駆動させるか又は前記遮断弁を閉鎖させた状態から開放させ、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力の変動に基づいて前記圧力検知要素及び前記ガス源の少なくとも一方が異常であるか否かを判定する、判定処理を行
い、且つ、
前記圧力検知要素により検知された前記検知通路部分内の圧力が第1の閾値圧よりも高いときには、前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態で前記ガス搬送源を駆動させ、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力が第1の所定時間以内に規定圧力Pa未満になるか否かを確認して、前記圧力検知要素の故障の有無を判定する、第1の前記判定処理を行い、
前記圧力検知要素により検知された前記検知通路部分内の圧力が第2の閾値圧以下であるときには、前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態から開放させて、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力が第2の所定時間内に規定圧力Pb以上になるか否かを確認して、前記圧力検知要素及び前記ガス源の少なくとも一方が異常であるか否かを判定する、第2の前記判定処理を行うことを特徴とする。
【0009】
本様相において、燃料ガス通路における遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させるか又は遮断弁を閉鎖させた状態から開放させている。これにより、検知通路部分のガス圧力を変化させ、このガス圧力の変動を圧力検知要素により検知している。このため、圧力検知要素の作動を燃料電池システム上で簡素に検知することができる。
【0010】
燃料ガス通路における遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させるか又は遮断弁を閉鎖させた状態から開放させると、ガス源が正常な場合には、検知通路部分のガス圧力が変化する。即ち、遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させると、検知通路部分の燃料ガスがガス搬送源よりも燃料電池側の下流通路部分に向けて搬送され、検知通路部分のガス圧力が減少する。または、遮断弁を閉鎖させた状態から開放させると、ガス源から燃料ガスが検知通路部分に流入して、検知通路部分のガス圧力が増加する。このように検知通路部分のガス圧力を変化させる。
【0011】
圧力検知要素は、燃料ガス通路の検知通路部分のガス圧力を検知し、検知された圧力は制御部に検知信号として入力される。制御部は、圧力検知要素により検知される圧力の変動に基づいて、圧力検知要素に故障があるか否かを判定する。制御部は、ガス搬送源の駆動に関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素により検知される圧力の変動とに基づいて、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方に異常があるか否かを判定するとよい。
【0012】
圧力検知要素により検知される圧力の動向としては、経過時間に応じて検知される圧力が減少する場合、圧力が変化しない場合、圧力が増加する場合がある。圧力検知要素が正常である場合には、(i)の過程において検知通路部分の実際の圧力が変化しているので、経過時間に応じて検知される圧力も変化する。しかし、圧力検知要素が故障している場合には、検知通路部分の圧力が変化していても、検知される圧力は変化しないか、または、変化していても、検知通路部分での実際の圧力低下量に応じた圧力の変化を示さない。
【0013】
また、ガス源に燃料ガスがなくなったとき等のようにガス源に異常がある場合には、遮断弁を閉鎖させた状態から開放させたときに、検知通路部分には燃料ガスが流入せず、検知通路部分のガス圧力が変化しない。このことから、遮断弁を閉鎖状態から開放させたときに、圧力検知要素により検知されたガス圧力が変動しない場合には、圧力検知要素の故障以外にガス源の異常も懸念される。そこで、遮断弁を閉鎖させた状態から開放させたときに、圧力検知要素により検知されたガス圧力が変化しないか、または低いガス圧力に留まっている時には、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方に異常があると判定される。
【0014】
そこで、制御部は、(ii)において、ガス搬送源の駆動に関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素により検知される圧力の変動とに基づいて、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方の異常の有無を判定するとよい。例えば、遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させることで、検知通路部分の燃料ガスを検知通路部分よりも燃料電池側の下流通路部分に搬送させて検知通路部分を減圧させたとする。この場合、圧力検知要素により検知される圧力が、基準時刻から経過する経過時間が所定の範囲内で、所定の圧力低下量を示した場合には、圧力検知要素は正常であると判定する。圧力検知要素により検知される圧力が、基準時刻から経過する経過時間が所定の範囲内で所定の圧力低下量を示さない場合には、圧力検知要素は故障と判定される。
【0015】
遮断弁を閉鎖させた状態から開放させて、ガス源から燃料ガスを検知通路部分に供給したときに、圧力検知要素により検知された圧力が、基準時刻から経過する経過時間が所定の範囲内で、所定の圧力増加量を示した場合には、圧力検知要素及びガス源の双方が正常であると判定され、経過時間が所定の範囲を超えて経過しても所定の圧力増加量を示さない場合には、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方に異常があると判定される。
【0016】
本発明によれば、圧力検知要素により検知される圧力の変動に基づいて、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方の異常の有無を判定することができる。
【0017】
圧力検知要素は、燃料ガス通路のうち遮断弁とガス搬送源との間の検知通路部分のガス圧力に関する物理量を検知するものであればよく、圧力スイッチ、圧力センサなどを例示できる。
【0018】
システム待機状態のとき又は発電運転開始直前のときには、遮断弁は閉鎖状態にある。(i)の行程を行うときに、遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させるときには、遮断弁は、システム待機状態又は発電運転開始直前での閉鎖状態を、引き続き維持させる。遮断弁を閉鎖させた状態から開放させるときには、システム待機状態又は発電運転開始直前での閉鎖状態から開放させる。
【0019】
遮断弁は、制御部からの命令に従って燃料ガス通路を開閉するものであればよいが、全閉したときには燃料ガス通路を遮断して燃料ガスの流通を停止させ得るものであるとよい。遮断弁としては、電磁開閉弁などが挙げられる。遮断弁は、制御部の指令に基づいて、弁の開度が適宜調整できるものでもよく、また全閉か又は全開のみを選択できるものでもよい。
【0020】
判定処理において圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方に異常があると判定されたときには、制御部は警報を出力することが好ましい。警報は、ユーザなどへの警報でもよいし、管理会社への通報でもよい。また、システムの発電運転開始の直前である場合には、システムの発電運転開始を停止させてもよい。ガス搬送源は、燃料ガスを搬送できるものであればよく、ポンプ、ファン、コンプレッサを問わない。燃料電池は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)に限定されず、場合によっては固体高分子形燃料電池(PEFC)でもよいし、リン酸形燃料電池でもよく、溶融炭酸塩形燃料電池でもよく、他のタイプの燃料電池でもよい。
【0021】
判定処理は、燃料電池システムの発電運転モード、発電運転のための発電準備モード、発電運転を停止させる停止モード、停止後の待機モード、発電準備前の待機モードのいずれにおいて実行してもよい。発電運転に影響を与えないためには、待機モード、又は発電準備モードの際に実行するとよい。
【0022】
様相1において、前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態で前記ガス搬送源を駆動させ、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力が第1の所定時間以内に規定圧力Pa未満になるか否かを確認して、前記圧力検知要素の故障の有無を判定する、第1の前記判定処理を行う。
【0023】
遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させると、検知通路部分内の燃料ガスが、ガス搬送源よりも燃料電池側の下流通路部分に搬送されて、検知通路部分のガス圧力が減少する。このように検知通路部分のガス圧力を減少させたときに、圧力検知要素により検知通路部分のガス圧力を検知し、この検知圧力から圧力検知要素の故障の有無を検知する処理を、第1の判定処理という。
【0024】
(i)の過程において、遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源を駆動させると、検知通路部分の燃料ガスが検知通路部分よりも燃料電池側、即ち燃料ガス通路の検知通路部分よりも下流側の下流通路部分に搬送される。この場合、(ii)の過程においては、ガス搬送源は、駆動を停止させてもよいが、(i)の過程に引き続いて駆動を継続させるとよい。圧力検知要素で検知される圧力の変動を、検知通路部分の減圧と並行させて観察できるからである。(i)の過程と(ii)の過程とは、同時に実行してもよいし、(i)の後に(ii)を実行してもよい。
【0025】
制御部は、第1の判定処理を行うに当たり、圧力検知要素で検知される圧力が、第1の所定時間以内に規定圧力Pa未満になるか否かを確認する。第1の所定時間は、遮断弁を閉鎖させた状態でガス搬送源の駆動を開始したときを基準とする基準時刻からの規定時間TM1とするとよい。検知圧力が、規定時間TM1以内に規定圧力Pa未満とならないとき、制御部は、圧力検知要素は故障であると判定するとよい。
【0026】
規定圧力Pa及び規定時間TM1は、圧力検知要素が故障しておらず、且つ、遮断弁の閉鎖機能及びガス搬送源に異常がないことを考慮して、システムに応じて設定される。規定時間TM1は規定圧力Paが低い程長く設定されるとよい。規定圧力Paは、ガス源の元圧よりも低い範囲で任意に設定される。規定時間TM1は、ガス搬送源の駆動を開始させたときから、検知通路部分のガス圧力が規定圧力Paよりも低いと予想されるときまでの間の時間としてもよいし、また、ガス搬送源の駆動を開始させたときから、検知通路部分のガス圧力が規定圧力Paと同定度と予想されるときまでの間の時間としてもよい。
【0027】
このように圧力検知要素で検知される圧力が、規定時間TM1以内に規定圧力Pa未満とならないことで異常と判定する手法は、簡便であり、圧力スイッチ及び圧力センサのいずれにも対応することができる。
【0028】
様相1において、前記制御部は、(i)前記遮断弁を閉鎖させた状態から開放させて、(ii)前記圧力検知要素により検知される圧力が第2の所定時間内に規定圧力Pb以上になるか否かを確認して、前記圧力検知要素及び前記ガス源の少なくとも一方が異常であるか否かを判定する、第2の前記判定処理を行う。
【0029】
遮断弁を閉鎖させた状態から開放させると、検知通路部分内の燃料ガスが、ガス源から燃料ガスが検知通路部分に流入して、検知通路部分のガス圧力が増加する。このように検知通路部分のガス圧力を増加させたときに、圧力検知要素により検知通路部分のガス圧力を検知し、この検知圧力から圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方の異常の有無を検知する処理を、第2の判定処理という。
【0030】
第2の判定処理の(i)において、開閉弁を閉鎖しガス搬送源を停止した状態で、遮断弁を開放させると、ガス源から燃料ガスが供給されて検知通路部分の圧力が上昇する。(ii)において、制御部は、ガス搬送源の駆動に関する基準時刻から経過する経過時間と、圧力検知要素により検知される圧力の変動とに基づいて、前記圧力検知要素の故障の有無を判定するとよい。
【0031】
第2の判定処理において、(i)と(ii)とは、同時に実行してもよいし、(i)の後に(ii)を実行してもよい。
【0032】
(i)の過程において、遮断弁を閉鎖させた状態から開放させたとき、ガス搬送源は駆動を停止しているとよい。遮断弁を経て検知通路部分に流入してきた燃料ガスを検知通路部分に留めて、検知通路部分でのガス圧力を増加させるためである。
【0033】
制御部は、第2の判定処理を行うに当たり、圧力検知要素で検知される圧力が、第2の所定時間以内に規定圧力Pb以上になるか否かを確認する。第2の所定時間は、遮断弁を開放させたときを基準とする基準時刻からの規定時間TM2とするとよい。検知圧力が、規定時間TM2以内に規定圧力Pb以上とならないとき、制御部は、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方は異常であると判定するとよい。
【0034】
規定圧力Pb及び規定時間TM2は、圧力検知要素及び燃料ガス供給源が異常ではないこと、並びに遮断弁の閉鎖機能及びガス搬送源が故障しないことを考慮して、燃料電池システムに応じて設定される。TM2はPbが高い程長く設定されるとよい。Pbは、第1の判定処理時の規定圧力Paと同じか又はPaよりも大きく且つガス源の元圧以下の範囲で任意に設定されるとよい。TM2は、遮断弁を開放させたときから、検知通路部分のガス圧力が規定圧力Pbよりも高いと予想されるときまでの間の時間としてもよいし、また、遮断弁を開放させたときから、検知通路部分のガス圧力が規定圧力Pbと同程度と予想されるときまでの間の時間としてもよい。
【0035】
このように圧力検知要素で検知された圧力が規定時間TM2以内に規定圧力Pb以上とならないことで圧力検知要素及びガス供給源の少なくとも一方に異常有りと判定する手法は、判定手法が簡便であり、圧力スイッチ及び圧力センサのいずれにも対応することができる。
【0036】
システム待機状態の場合には、遮断弁と開閉弁とが閉止状態にある。発電運転稼働後に発電運転を停止させると、密閉された遮断弁と開閉弁との間の通路部分の燃料ガスが冷却されて、負圧化される。通路部分が負圧化されると、遮断弁や開閉弁の弁張り付きや差圧による遮断弁の作動不良が生じる。そこで、本様相のように、圧力検知要素により圧力が閾値未満であることを検知されたとき、遮断弁を開放させて通路部分に燃料ガスを供給して閾値以上とする。これにより、通路部分が閾値未満になることが防止され、ガス供給通路の負圧化を抑制できる。遮断弁及び開閉弁の作動不良も抑制することができる。閾値は、ガス源の元圧よりも低い値に設定するとよい。遮断弁を開放させる場合の圧力の前記閾値は、例えば、−0.5kPa以上 0.3kPa以下とするとよい。
【0037】
また、制御部は、燃料電池の待機状態において、ガス搬送源を駆動させず且つ遮断弁及び開閉弁は閉鎖することで遮断弁と開閉弁との間の通路部分が密閉状態にあるとき、圧力検知要素により検知される圧力が閾値未満であることを検知された場合には、遮断弁を開放させて通路部分に燃料ガスを供給して通路部分の圧力を閾値以上とする負圧解消処理を行うとよい。
【0038】
様相1において、前記圧力検知要素により検知された前記検知通路部分内の圧力が第1の閾値圧よりも高いときには、前記制御部は第1の前記判定処理を行い、前記圧力検知要素により検知された前記検知通路部分内の圧力が第2の閾値圧以下であるときには、前記制御部は、第2の前記判定処理を行う。
【0039】
例えばシステム待機状態のように、遮断弁及び開閉弁が閉鎖状態にある場合、検知通路部分がほぼ密閉状態となり、この状態で検知通路部分の温度が低下した場合には、減圧状態になる場合がある。この場合、第1の判定処理を行う前に、既に検知通路部分が減圧状態にあり、圧力検知要素の故障の判定ができない。そこで、制御部は、圧力検知要素により検知される圧力が閾値圧以上である場合のみ第1の判定処理を行い、閾値圧未満である場合には、第1の判定処理を行わずに、第2の判定処理を行う。
【0040】
圧力検知要素に故障があり、検知通路部分の圧力が閾値圧以上か否かを正確に判定できない場合がある。誤った検知圧力に基づいて検知通路部分の圧力が閾値圧以上であると判断されたとき、第1の判定処理において、圧力検知要素が故障していると判定される。誤った検知圧力に基づいて検知通路部分の圧力が閾値圧未満であると判断されたとき、第2の判定処理において、圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方に異常があるか否かが判定される。
【0041】
(2)本発明の
様相2に係る燃料電池システムによれば、様相
1において、前記制御部は、前記燃料電池システムの発電運転開始の直前に、前記判定処理を行う。
【0042】
燃料電池システムの発電運転開始の直前に行う判定処理は、上記の第1の判定処理及び第2の判定処理のいずれでもよい。発電運転開始の直前に判定処理を行うことで、発電運転開始毎に圧力検知要素の作動を確認できる。このため、圧力検知要素の高い信頼性を確保できる。また、燃料電池の発電運転に影響を与えることなく、圧力検知要素の故障の有無を容易に判定することができる。
【0043】
(3)本発明の様相
3に係る燃料電池システムによれば、さらに、前記燃料ガス通路において前記ガス搬送源よりも前記燃料電池側に前記燃料ガス通路を開閉する開閉弁を具備しており、前記判定処理において前記開閉弁は閉鎖している。
【0044】
この判定処理は、第1,第2の判定処理を含む意味である。第1、第2の判定処理において開閉弁を閉鎖させることで、検知通路部分の燃料ガスが、検知通路部分よりも燃料電池側の下流通路部分に搬送されたときでも、燃料ガスは燃料電池に供給されず、燃料電池に影響を及ぼすことはない。
【0045】
(4)本発明の様相
4に係る燃料電池システムによれば、前記圧力検知要素は圧力スイッチである。
【0046】
圧力スイッチは、流体の圧力に応じて可動体が所定の圧力以上のときに可動して、可動体に連動する接点が固定接点に対して接触又は離間してON/OFFと切り替わることで、圧力を検知する。圧力スイッチは、例えば、ダイアフラム式、ピストン式などが挙げられる。圧力スイッチは、ON/OFF切替え時の接点の固着による故障が生じることがある。そのため、上記様相3のように、規定時間TM1以内に規定圧力Pa未満となるか否かで圧力スイッチに故障があるか否かを判定することができる。
【0047】
圧力センサは、高価であり、温度、固体差、劣化、圧力に圧力精度のばらつきも大きく、燃料ガス通路の負圧の検出精度が低い。これに対して、圧力スイッチは、安価で、精度がよい。このため、圧力スイッチを用いて燃料ガス通路の圧力を検知することで、負圧の検出精度が高くなる。また、システム構成が簡素で安価となる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、燃料ガス通路に設けられている圧力検知要素及びガス源の少なくとも一方の異常の有無を容易に判定できる燃料電池システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0050】
(実施形態1)
図1は燃料電池システムを示す。本システムは、アノード10及びカソード11を有する燃料電池1と、燃料電池1のカソード11にカソードガス(一般的には空気)を供給するカソードガス通路70と、燃料電池1のアノード10に燃料ガスを供給する燃料ガス通路6と、燃料ガス通路6に設けられたガス搬送源としてのガスポンプ60、燃料ガス通路6においてガスポンプ60よりも上流つまり燃料ガス通路6の入り口側に設けられた遮断弁69と、燃料ガス通路6のガスポンプ60と遮断弁69との間の検知通路部分6mのガス圧力を検知する圧力検知要素としての圧力スイッチ61と、圧力スイッチ61の検知信号が入力され且つガスポンプ60及び遮断弁69を制御する制御部100と、これらを収容する筐体5とを備えている。
【0051】
燃料ガス通路6は、改質前の燃料ガス(例えば都市ガス)を改質器2Aに供給させる通路である。
図1に示すように、燃料ガス通路6は、入り口側から順に、遮断弁69、圧力スイッチ61、燃料ガスを脱硫させる脱硫器62、流量計64、バッファタンク65、ガスポンプ60、開閉弁66(逆止弁)、発電モジュール18を直列に配置させている。配置順は、これに限定されるものではない。
【0052】
ガスポンプ60が駆動しているときには、燃料ガス通路6におけるガスポンプ60と開閉弁66との間の下流通路部分6nのガス圧力が高まり、開閉弁66に作用する圧力が開閉弁66のリリーフ圧を超えるため、開閉弁66は開放される。ガスポンプ60を駆動から停止に移行すると、開閉弁66に作用する下流通路部分6nの圧力は開閉弁66のリリーフ圧よりも低下するため、開閉弁66は内蔵バネにより自動的に閉鎖される。遮断弁69の上流には、ガス源63に繋がるガス配管6xと、ガス源63に繋がる元圧弁6yとが設けられている。ガス源63及び元圧弁6yは筐体5の外部に配置されている。
【0053】
図1に示すように、発電モジュール18は、燃料ガス通路6に繋がる改質器2Aと、改質器2Aの下流に設けられた燃料電池1と、これらを包囲する遮熱壁19とを有する。改質器2Aは給水路8にも繋がる。改質器2Aは、改質水搬送源としての水ポンプ80で搬送された液相状の改質水を加熱させて水蒸気とさせる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気で燃料ガスを改質反応させ、水素含有のアノードガスとして改質させる改質部3とを有する。
【0054】
開閉弁66は、ガスポンプ60から発電モジュール18の改質器2Aに燃料ガスを矢印A1方向に流入させるものの、その反対方向(矢印A2方向)のガス流れを阻止する。
【0055】
圧力スイッチ61は燃料ガス通路6において遮断弁69とガスポンプ60との間の検知通路部分6mに設けられている。燃料ガス通路6のうちなるべく上流側の圧力(負圧)を検知し、判定処理を速やかに済ませるためである。ただし、圧力スイッチ61の位置は、遮断弁69とガスポンプ60との間の検知通路部分6mの間であれば、どの位置に配置されてもよい。
【0056】
カソードガス通路70には、カソードガスを燃料電池1のカソード11に向けて搬送させる第2のガス搬送源としての第2のガスポンプ71が設けられている。圧力スイッチ61から出力された検知信号、流量計64から出力された検知信号は、制御部100に入力される。制御部100は遮断弁69、燃料ガス通路6におけるガスポンプ60、カソードガス通路70における第2のガスポンプ71及び水ポンプ80などの機器を制御させる。
【0057】
燃料電池1の発電運転においては、元圧弁6yが開放されており、更に、遮断弁69が開放状態で且つガスポンプ60が駆動してガス源63の燃料ガスをガスポンプ60よりも下流の発電モジュール18の改質器2Aに向けて矢印A1方向に搬送させる。改質器2Aに供給された燃料ガスは、改質反応により改質され、水素を含有するアノードガスとされる。アノードガスは燃料電池1のアノード10に供給される。発電運転において第2のガスポンプ71が駆動してカソードガス(空気)を発電モジュール18の燃料電池1のカソード11に向けて搬送させる。これにより、燃料電池1は発電運転して電力を生成させる。
【0058】
上記したように遮断弁69が開放された状態でガスポンプ60が駆動して燃料ガスをガスポンプ60よりも下流の発電モジュール18に向けて供給させて発電運転させる。ガスポンプ60が駆動するときには、下流通路部分6nの圧力が開閉弁66のリリーフ圧に勝つため、開閉弁66が自動的に開放される。
【0059】
本実施形態の燃料電池システムにおいては、発電運転直前において、圧力スイッチ61の故障の有無を検知する判定処理が行われる。
図2は、第1の判定処理のフローチャートを示す。なお、本判定処理は、遮断弁69、ガスポンプ60及び開閉弁66が正常に作動することを前提とする。
【0060】
まず、判定処理は、発電運転直前の発電準備モードt2で行われる。制御部100は、ユーザのスイッチ操作により又はシステム環境に応じて発電運転を開始するために、発電準備命令を出力する。この発電準備命令が出力されると、発電待機モードt1から発電準備モードt2に移行する。発電準備モードt2では、制御部100はStep.1Aに移行し、
図2に示すフローチャートを開始させる。遮断弁69は閉鎖、ガスポンプ60は停止、開閉弁66は閉鎖している。Step.2Aでは、制御部100は、圧力スイッチ61が検知した圧力P1が規定圧力Pa以上であるか否かを判定する(P1≧Pa)。
【0061】
圧力スイッチ61は、例えば、ケースと、流体の圧力に応じて変位するダイアフラムと、ダイアフラムの変位に応じて移動する移動接点と、ケースに固定された固定接点とをもつ。流体圧力がゼロである場合の位置を基準位置とし、流体圧力が規定圧力Pa以上である場合に、ダイアフラムが基準位置から変位して移動接点と固定接点とが接触して電気導通する。流体圧力が規定圧力Pa未満である場合には、ダイアフラムの基準位置からの変位量が小さく、移動接点が固定接点から離れて電気導通が遮断される。
【0062】
このようにして、圧力スイッチ61は、規定圧力Pa以上か否かでON/OFFが切り替わり、ONかOFFかの信号を制御部100に出力する。圧力スイッチ61は、燃料ガス通路が負圧化しているか否かを検知するものであるため、規定圧力Paは、燃料ガスの元圧よりも低い圧力とされるとよい。例えば、燃料ガスの元圧が1.0kPa〜2.5kPaであるとき、規定圧力Paは元圧よりも小さく且つ負圧に近い圧力とするとよく、例えば、0.3kPaとする。ただし、Paはこれに限定されるものではない。
【0063】
本実施形態は、発電運転開始の直前である発電準備モードt2において第1の判定処理を行っている。
図2には、第1の判定処理のフローチャートを示す。
【0064】
制御部100は、Step.1Aにおいて第1の判定処理を開始する。このとき、ガスポンプ60は停止、開閉弁66及び遮断弁69は閉鎖とされている。第1の判定処理が開始されると、Step.2Aにおいて、圧力スイッチ61での検知圧力P1が規定圧力Pa以上か否かの判定を行う。
【0065】
制御部100は、圧力スイッチ61から出力された信号がONの場合には検知された圧力P1が規定圧力Pa以上であり、OFFである場合にはP1がPa未満であると認識する。以下、各Step.で圧力スイッチ61が圧力P1を検知するが、すべて規定圧力Pa以上か否かを検知するものとする。
【0066】
圧力スイッチ61の検知圧力P1が規定圧力Pa以上である場合(YES)には、Step.3Aにおいて、ガスポンプ60を起動させる。ガスポンプ60よりも上流側の検知通路部分6mの燃料ガスは、ガスポンプ60よりも下流の下流通路部分6nに搬送される。検知通路部分6mの圧力は減圧され、圧力スイッチ61の規定圧力Pa(0.3kPa)以下とする。
【0067】
Step.4Aにおいて、経過時間が規定時間TM1以下か否かを判定する。規定時間TM1は、ガスポンプ60,遮断弁69及び圧力スイッチ61が正常である場合に、検知通路部分6mが規定圧力Pa未満となるに十分な時間とする。例えば、TM1は、1〜300秒の範囲内の任意値とすることができる。本実施形態では、TM1は10秒とする。本実施形態において、このTM1の値は、ガス搬送源60の駆動を開始したときから、検知通路部分6mの圧力が規定圧力Pa以下ではあるが比較的近い程度の圧力(0.1〜0.3kPa程度)になるまでの間の時間である。
【0068】
経過時間が規定時間TM1以下であるときには、Step.6Aにおいて、検知圧力P1が規定圧力Pa未満か否かを判定する。この判定で検知圧力P1が規定圧力Pa未満である場合(YES)には、Step.7Aにおいてガスポンプ60を停止させ、更に、Step.8Aにおいて、遮断弁69を開放させる。Step.6Aの判定で、検知圧力P1が規定圧力Pa以上である場合(NO)には、経過時間がTM1を超えて長くなったとき(Step.4A)、圧力スイッチ故障と判定する(Step.5A)。
【0069】
Step.2Aにおいて判定がNOの場合には、Step.8Aに移行して遮断弁69を開放させる。すると、ガス源63から燃料ガスが供給されて、検知通路部分6mの圧力が上昇し、ガス源63の元圧と同定度の正常圧力(例えば、1.0〜2.5kPa)の程度まで戻す。以上により、第1の判定処理を終了する(Step.9A)。
【0070】
本実施形態においては、発電運転を開始する毎に、圧力スイッチ61の故障の有無を判定し、異常の場合には警報を出力している。このため、圧力スイッチ61の信頼性を高めることができる。判定処理において、Step.5Aで圧力スイッチ61の故障であると判定された場合には、警報が出力される。警報は、警報器、ユーザ、メンテナンス会社などへの警報でもよいし、システムの発電停止でもよい。
【0071】
判定処理が終了した時には遮断弁69は開放される。次の発電運転モードt3に移行したときには、ガスポンプ60を作動させる。やがて、下流通路部分6nの圧力が開閉弁66のリリーフ圧に達し、開閉弁66が開放し、発電モジュール18の改質器2Aに燃料ガスが供給される。開閉弁66のリリーフ圧は、待機モードt1又はt5の際の燃料ガス通路の圧力よりも高く設定されている。
【0072】
また、水ポンプ80の作動が開始され改質水が蒸発部2に供給されて、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気と、燃料ガス通路6より供給された燃料ガスとでアノードガス(水素)が生成される。アノードガスは燃料電池1のアノード10に搬送され、カソードガス(空気)が燃料電池1のカソード11に搬送されて、発電運転が開始される。
【0073】
発電運転モードt3において、遮断弁69を開放させた状態でガスポンプ60を駆動させる。やがて、燃料ガス通路6におけるガス搬送源60と開閉弁66との間の下流通路部分6nの圧力が開閉弁66のリリーフ圧に達し、開閉弁66が開放される。改質器2Aに燃料ガスが供給され、水素が生成されて、空気とともに燃料電池1に搬送され、燃料電池で発電反応が開始される。
【0074】
発電運転を終了させる指令が出力されたとき、制御部100は、発電運転を停止させる停止モードt4を実行する。停止モードt4では、制御部100は、発電モジュール18内を還元性雰囲気にさせつつ冷却させる。そのために、発電運転時よりも少量の改質水を水ポンプ80により改質器2Aに供給させると共にガスポンプ60により発電運転時よりも少量の燃料ガスを改質器2Aの蒸発部2に供給させて、改質反応により水素含有ガスを少量生成させる。水素は還元性雰囲気を形成するため、発電モジュール18の冷却時において、発電モジュール18内の過剰酸化が抑制され、耐久性を高め得る。更に停止モードt4では、第2のガスポンプ71の駆動によりカソードガスを燃料電池1のカソード11に供給させることにより、発電モジュール18の内部を冷却する。発電モジュール18が規定温度以下まで冷却されたら、酸化のおそれが解消されるため、停止モードt4が終了される。終了に伴い、制御部100は、水ポンプ80、ガスポンプ60及び第2のガスポンプ71を停止させた状態に維持させる待機モードt5(非発電状態)を、次回の起動まで実行する。このように待機モードt5では、アノードガス、カソードガス、改質水は発電モジュール18に供給されない。
【0075】
本実施形態においては、発電運転開始直前に圧力スイッチの故障の有無が検知される。このため、発電運転を開始する毎に圧力スイッチの作動を確認することができ、圧力スイッチの高い信頼性を確保できる。
【0076】
本実施形態においては、遮断弁69は、1つの電磁弁により構成していたが、2つの電磁弁(2連弁)により構成されていてもよい。2つの電磁弁は、同時に作動させるとよい。
【0077】
本実施形態においては、第1の判定処理において、燃料ガス通路のガス圧力を低下させることで圧力スイッチの作動を確認している。このため、圧力スイッチの作動を簡素に確認できる。また、発電運転開始毎に圧力スイッチの作動を確認できるため、圧力スイッチの高い信頼性を確保できる。また、燃料電池の発電運転に影響を与えることなく、容易に実行される。
【0078】
また、圧力スイッチは、安価で、精度がよい。このため、圧力スイッチを用いて燃料ガス通路の圧力を検知することで、負圧の検出精度が高くなる。また、システム構成が簡素で安価となる。
【0079】
また、第1の判定処理においては、遮断弁69と開閉弁66とを閉鎖して遮断弁69と開閉弁66との間を密閉した状態で、圧力スイッチ61の故障の有無を検知している。このため、検知通路部分6mの燃料ガスが、ガスポンプ60により下流通路部分6nに搬送されたとき、下流通路部分6nと燃料電池1との間は開閉弁66により閉鎖されているため、燃料電池1の待機状態に影響を及ぼすことはない。
【0080】
(実施形態2)
本実施形態は、第2の判定処理を行っている点が、実施形態1と相違する。
図3は、本実施形態の第2の判定処理のフローチャートを示す。
【0081】
第2の判定処理は、発電運転開始直前の発電準備モードt2の際に実行される。Step.1Bにおいて本判定処理が開始される。遮断弁69及び開閉弁66は閉鎖、ガスポンプ60は停止している。本判定処理が開始されると、閉鎖状態の遮断弁69を開放し(Step.2B)、経過時間がTM2以下か否かを判定する(Step.3B)。規定時間TM2は、1〜300秒の範囲内の任意値とすることができる。TM2は、実施形態1のStep.4Aにおける規定時間TM1と同程度かそれ以上の時間とするとよい。本実施形態では、TM2は20秒とする。本実施形態においてTM2は、遮断弁69を開放したときから、検知通路部分6mの圧力がガス源63の元圧程度になるまでの時間である。
【0082】
経過時間がTM2以下である場合(YES)には、Step.5Bにおいて、圧力スイッチ61の検知圧力P1が規定圧力Pa以上か否かを判定する。
【0083】
ここで、圧力P1が規定圧力Pa未満となる要因として、ガス源63の異常がある。従って、制御部100は、経過時間が規定時間TM2よりも長くなっても(Step.3BのNO)、検知された圧力P1が規定圧力Pa以上でない場合(Step.5BのNO)には、Step.4Bにおいて、異常フラグを立てて、圧力スイッチ61の故障又は/及びガス源63の異常の警報を出力する。
【0084】
Step.5Bにおける判定の結果、圧力スイッチ61で検知された圧力P1が規定圧力Pa以上とされている場合には(P1≧Pa)、圧力スイッチ61及びガス源63はいずれも正常であると判定され、正常フラグを立てて、Step.6Bで判定処理を終了する。本判定処理が終了した後には、発電運転モードt3に移行し、ガスポンプ60を駆動させる。
【0085】
本実施形態においても、発電準備モードt2で、圧力スイッチ及びガス源の異常の有無が検知される。このため、圧力スイッチ及びガス源の異常の早期発見をすることができる。
【0086】
また、遮断弁69を開放して、圧力スイッチ61で検知通路部分のガス圧力を検知している。このため、燃料ガス通路6が負圧化されることを防止でき、遮断弁69及び開閉弁66の弁張り付きによる作動不良を防止できる。
【0087】
(実施形態3)
本実施形態は、発電運転前の待機モードt1及び発電運転後の待機モードt5において、第2の判定処理を行っている。
図4は、本実施形態の第2の判定処理のフローチャートを示す。
【0088】
発電運転前の待機モードt1、及び発電運転後の待機モードt5では、以下に説明する第2の判定処理が実行される。発電運転前の待機モードt1は、燃料電池装置の主スイッチがONとされたときから、制御部100が発電準備命令を出力するまでの間である。発電運転停止後の待機モードt5は、発電運転を停止させる停止モードt4の終了した後から、主スイッチがOFFとされるか、または次の発電準備命令が出力されるまでの間である。したがって、発電運転後の待機モードt5は、発電運転前の待機モードt1と重なる場合がある。
【0089】
待機モードt1又はt5が開始されると、制御部100は、Step.11Bに移行し、
図4に示す第2の判定処理が開始される。待機モードt1、t5ではいずれも、遮断弁69は閉鎖、ガスポンプ60は停止、開閉弁66は閉鎖している。Step.12Bでは、制御部100は、圧力スイッチ61が検知した圧力P1が規定圧力Pa未満であるか否かを判定する(P1<Pa)。
【0090】
本実施形態においては、第2の判定処理の規定圧力Paは、
図2に示す判定処理における規定圧力Paと同じとし、本実施形態では0.3kPaとする。圧力P1が規定圧力Pa以上である場合には、Step.18Bに移行し、第2の判定処理を繰り返す。
【0091】
Step.12Bの判定結果において、圧力P1が低下して規定圧力Pa未満であれば、圧力スイッチ61が設置されている遮断弁69とガスポンプ60との間の密閉状態の検知通路部分6mにおいて、燃料ガスが低温などにより熱収縮して圧力低下が生じている。更に、検知通路部分6mには、大容積の脱硫器62が設置されており、低温による燃料ガスの熱収縮の影響が大きく、また、閉じ込められている燃料ガスのCH基が脱硫器62内の脱硫剤により吸着される。この意味においても、検知通路部分6mは密閉状態で維持されると減圧されやすい。その場合には、制御部100は、Step.13Bにおいて、遮断弁69を開放させて、ガス源63の元圧を検知通路部分6mに作用させる。この場合、ガスポンプ60が停止しており、開閉弁66が閉鎖されているため、検知通路部分6m及び下流通路部分6nには燃料ガスが装填されて、正常圧化するはずである。
【0092】
そこで、Step.14Bにおいて、制御部100は、遮断弁69を開放した時刻から圧力スイッチ61により圧力を検知した時刻までの経過時間が規定時間TM3以下か否かを判定する。経過時間が規定時間TM3以下である場合には、Step.16Bに移行する。制御部100は、Step.16Bにおいて、圧力スイッチ61により検知された圧力P1が、規定圧力Pa以上であるか否かを判定する。本実施形態においては、Step.16Bでの規定圧力Paは、Step.12Bでの判定基準である規定圧力Paと同じとする。また、規定時間TM3は、1〜300秒の範囲内の任意値とすることができる。TM3は、実施形態2のStep.3Bにおける規定時間TM2と同程度かそれ以上の時間とするとよい。本実施形態では、TM3は20秒とする。本実施形態においてTM3は、遮断弁69を開放したときから、検知通路部分6mの圧力がガス源63と同定度の正常圧(1.0kPa〜2.5kPa)に戻るに十分な時間とするとよい。
【0093】
Step.16Bにおける判定の結果、圧力スイッチ61により検知された圧力P1が規定圧力Pa以上とならない場合、即ちPa未満の場合には、Step.14Bに戻り、経過時間が規定時間TM3よりも長くなるまで、Step.14B、16Bを繰り返す。制御部100は、検知された圧力P1が規定圧力Pa以上とならず(Step.16BのNO)且つ経過時間が規定時間TM3よりも長くなった場合には(Step.14BのNO)、Step.15Bにおいて圧力スイッチ61及びガス源63の少なくとも一方に異常があると判定される。
【0094】
Step.16Bにおいて、圧力P1が規定圧力Pa以上であると判定されたときには、Step.17Bにおいて遮断弁69を閉鎖させ、Step.18Bにおいて第2の判定処理を終了する。その後、再度Step.11Bに戻り、第2の判定処理を繰り返す。
【0095】
第2の判定処理は、燃料ガス通路の負圧化を完全に防止するために待機モードt1及びt5の間に連続して行うことが好ましいが、所定の経過時間毎、又はt1またはt5の間に1回又は複数回ずつ行うようにしても良い。
【0096】
このような第2の判定処理を繰り返すことにより、待機モードt1、t5において、圧力スイッチ61及び/又はガス源63の異常の有無を検知できる。このため、圧力スイッチ61及びガス源63の信頼性が更に高い。また、燃料ガス通路6が負圧化されることを防止できる。したがって、遮断弁69及び開閉弁66の弁張り付きによる作動不良を防止できる。
【0097】
(実施形態4)
図5は、実施形態4の判定処理のフローチャートを示す。実施形態4では、第1の判定処理及び第2の判定処理の双方を行っている。
図5に示すStep.1〜7は、実施形態1のStep.1A〜7A(
図2)に対応し、
図5に示すStep.8〜12は、Step.2B〜6B(
図3)に対応する。
【0098】
本実施形態の第、第2の判定処理は、発電運転開始直前の発電準備モードt2の際に実行される。Step.1において本判定処理が開始される。Step.2において圧力P1が規定圧力Pa以上である場合には、Step.3〜7に示す第1の判定処理を行う。一方、圧力P1が低下しており、規定圧力Pa未満であれば(Step.2のNO)、圧力スイッチ61が設置されている遮断弁69とガスポンプ60との間の検知通路部分6mにおいて、燃料ガスが低温などにより圧力が低下していると予想される。その場合には、制御部100は、Step.8〜12に示す第2の判定処理を行う。
【0099】
まず、圧力P1が規定圧力Pa以上であると判定された場合には、制御部100は、Step.3に移行し、ここで、遮断弁69及び開閉弁66を閉鎖した状態を維持しつつ、ガスポンプ60を起動させる。ガスポンプ60よりも上流側の検知通路部分6mの燃料ガスは、ガスポンプ60よりも下流の下流通路部分6nに搬送される。検知通路部分6mの圧力は減圧され、圧力スイッチ61の規定圧力Pa(0.3kPa)以下となる。
【0100】
次に、Step.4において、制御部100は、ガスポンプ60の作動開始時刻から圧力スイッチ61による圧力検知時刻までの経過時間が規定時間TM1以下か否かを判定する。経過時間が規定時間TM1以下である場合には、Step.6に移行する。制御部100は、Step.6において、圧力スイッチ61により検知された圧力P1が、規定圧力Pa未満であるか否かを判定する。
【0101】
本実施形態においては、規定圧力Paは、Step.2での判定基準である規定圧力Paと同じ(例えば、0.3kPa)とする。規定時間TM1は、ガスポンプ60,遮断弁69及び圧力スイッチ61が正常である場合に、検知通路部分6mが規定圧力Pa未満となるに十分な時間とする。例えば、TM1は、1〜300秒の範囲内の任意値とすることができる。本実施形態では、TM1は10秒とする。本実施形態において、このTM1の値は、ガス搬送源60の駆動を開始したときから、検知通路部分6mの圧力が規定圧力Pa以下ではあるが比較的近い程度の圧力(−0.5kPa以上 0.3kPa以下))になるまでの間の時間である。
【0102】
Step.6における判定の結果、圧力スイッチ61により検知される圧力P1が規定圧力Pa未満とならない場合には、Step.4に戻り、経過時間が規定時間TM1よりも長くなるまで、Step.4、6を繰り返す。制御部100は、検知された圧力P1が規定圧力Pa未満とならない、即ちPa以上であって(Step.6のNO)且つ経過時間が規定時間TM1よりも長くなった場合には(Step.4のNO)、圧力スイッチ61が故障であると判定し、異常フラグを立てて、警報を出力する(Step.5)。
【0103】
Step.6における判定の結果、圧力スイッチ61で検知される圧力P1が減圧化されて規定圧力Pa未満とされている場合には(P1<Pa)、圧力スイッチ61は正常に作動したものとされる。そこで、制御部100は、次のStep.7に移行し、ガスポンプ60の駆動を停止させ、更にStep.8において遮断弁69を開放させる。すると、ガス源63から燃料ガスが供給されて、検知通路部分6mの圧力が上昇し、ガス源63の元圧と同程度の正常圧力(例えば、1.0〜2.5kPa)の程度まで戻す。
【0104】
次に、Step.9において、制御部100は、遮断弁69を開放した時刻から圧力スイッチ61で圧力を検知した時刻までの経過時間が規定時間TM2以下か否かを判定する。経過時間が規定時間TM2以下である場合には、Step.11に移行する。制御部100は、Step.11において、圧力スイッチ61により検知された圧力P1が、規定圧力Pa以上であるか否かを判定する。
【0105】
本実施形態においては、Step.11での規定圧力Paは、Step.2での判定基準である規定圧力Paと同じとする。また、規定時間TM2は、1〜300秒の範囲内の任意値とすることができる。TM2は、Step.6における規定時間TM1と同程度かそれ以上の時間とするとよい。本実施形態においてTM2は、遮断弁69を開放したときから、検知通路部分6mの圧力がガス源63の元圧程度になるまでの時間である。
【0106】
Step.11における判定の結果、圧力スイッチ61により検知された圧力P1が規定圧力Pa以上とならない場合、即ちPa未満の場合には、Step.9に戻り、経過時間が規定時間TM2よりも長くなるまで、Step.9、11を繰り返す。制御部100は、検知された圧力P1が規定圧力Pa以上とならず(Step.11のNO)且つ経過時間が規定時間TM2よりも長くなった場合には(Step.9のNO)、Step.10に移行する。
【0107】
ここで、例えば、圧力スイッチが減圧時にONからOFFにスイッチ切替えが成功したとしても、増圧時にOFFからONに切り替わらない場合がある。また、Step.11において、圧力P1が規定圧力Pa未満となる要因として、ガス源63の異常がある。従って、制御部100は、経過時間が規定時間TM2よりも長くなっても(Step.9のNO)、検知された圧力P1が規定圧力Pa以上でない場合には、Step.10において、異常フラグを立てて、圧力スイッチ61の故障又は/及びガス源63の異常の警報を出力する。
【0108】
Step.11における判定の結果、圧力スイッチ61で検知された圧力P1が規定圧力Pa以上とされている場合には(P1≧Pa)、圧力スイッチ61及びガス源63はいずれも正常であると判定され、Step.12で判定処理を終了する。
【0109】
(参考形態)
図6は、本参考形態の負圧解消処理のフローチャートを示す。まず、Step.21Bにおいて、待機モードt1又はt5において、負圧解消処理を開始させる。Step.22Bにおいて、圧力スイッチ61で検知通路部分6mのガス圧力を検知する。検知圧力P1が規定圧力Pa未満であるか否かを判断する。規定圧力Paは、0.3kPa程度である。
【0110】
検知圧力P1が規定圧力Pa未満である場合には、Step.23Bで遮断弁69を規定時間TM3開放させ、その後Step.24Bにおいて遮断弁69を閉鎖させる。その後、Step.25Bにおいて、負圧解消処理が終了し、その後、負圧解消処理を繰り返す。
【0111】
本参考形態においては、実施形態2の第3の判定処理(
図4)とは異なって、圧力スイッチ61及びガス源63の異常の有無を判定していない。しかし、実施形態3と同様に、待機モードでの燃料ガス通路の負圧化を防止でき、遮断弁69及び開閉弁66の張り付きなどの作動不良を防止できる。
【0112】
本参考形態の負圧解消処理は待機モードt1又はt5のときに行われるが、発電準備モードt2のときに行うことも可能である。また、負圧解消処理を待機モードt1又はt5に行い、且つ、発電準備モードt2のときに実施形態1〜4の第1の判定処理及び/又は第2の判定処理を行うこともできる。
【0113】
(実施形態5)
図7および
図8は実施形態5の概念を示す。本実施形態は上記実施形態と基本的には同様の作用および効果を有する。以下、相違する部分を中心として説明する。
図7に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1と、液相状の水を蒸発させて水蒸気を生成させる蒸発部2と、蒸発部2で生成された水蒸気を用いて燃料ガスを改質させてアノードガスを形成する改質部3と、蒸発部2に供給される液相状の水を溜める水タンク4と、これらを収容する筐体5とを有する。燃料電池1は、イオン伝導体を挟むアノード10とカソード11とをもち、例えば、SOFCとも呼ばれる固体酸化物形燃料電池(運転温度:例えば400℃以上)に適用できる。
【0114】
改質部3は、セラミックス担体3kに改質触媒を担持させて形成されており、蒸発部2に隣設されている。蒸発部2はセラミックス担体2kをもつ。担体2k,3kは粒状、ハニカム状等にできる。改質部3および蒸発部2は改質器2Aを構成しており、燃料電池1と共に断熱壁19で包囲され、発電モジュール18を形成している。発電電運転時には、改質器2Aは改質反応に適するように断熱壁19内において加熱される。発電運転時には、蒸発部2は水を加熱させて水蒸気とさせ得るように加熱される。燃焼部105は改質部3および蒸発部2を加熱させる。燃料ガス通路6は、ガス源63からの燃料を改質器2Aに供給させるものであり、遮断弁69、脱硫器62、ガスポンプ60および流量計64をもつ。配置順は特に限定されない。燃料電池1のカソード11には、カソードガス(空気)をカソード11に供給させるためのカソードガス通路70が繋がれている。カソードガス通路70には、カソードガス搬送用のガス搬送源として機能するカソードポンプ71、流量計72が設けられている。
【0115】
図7に示すように、筐体5は、外気に連通する吸気口50と排気口51と吸気口50付近(外気)の温度を検知する温度センサ57とをもつ。温度センサ57は必要に応じて設ければ良い。筐体5には、改質部3で改質される液相状の改質水を溜める水タンク4が収容されている。水タンク4には、排水バルブ40mが設けられており、更に、電気ヒータ等の加熱機能をもつ加熱部40が必要に応じて設けられている。加熱部40は、水タンク4に貯留されている改質水を加熱させるものであり、電気ヒータ等で形成できる。外気温度等の環境温度が低いとき等には、制御部100からの指令に基づいて、水タンク4の水は加熱部40により加熱され、凍結が抑制される。なお、水タンク4内の水位は基本的にはほぼ同一となるようにされていることが好ましい。
【0116】
図7に示すように、水タンク4の出口ポート4pと蒸発部2の入口ポート2iとを連通させる給水路8が、配管として筐体5内に設けられている。
図7に示すように、筐体5内において、水タンク4は蒸発部2の下側に配置されているため、給水路8は上下方向に沿って延びる。給水路8は、水タンク4内に溜められている水を水タンク4の出口ポート4pから蒸発部2に供給させる通路である。給水路8には、水タンク4内の水を蒸発部2まで搬送させる水ポンプ80が設けられている。なお、給水路8は蒸発部2,改質部3、燃料電池1等を介して大気に連通するようにされている。水ポンプ80を水タンク4の出口ポート4p側に設けても良い。
【0117】
給水路8において、水ポンプ80の下流で且つ蒸発部2の上流において水センサ87が設けられている。水センサ87は、給水路8において蒸発部2の入口ポート2iの直前に配置されていることが好ましい。なお、給水路8には、改質水の流量を測定する流量計は設けられていない。場合によっては、演算結果のチェック等のため、給水路8に流量計を設けることにしても良い。
【0118】
図8に示すように、制御部100は、入力処理回路100a、出力処理回路100A、タイマー計測機能をもつCPU100c、記憶部として機能するメモリ100mとを有する。制御部100には、圧力スイッチ61,流量計64,水センサ87,温度センサ57の検知信号がそれぞれ入力される。制御部100は、第1遮断弁69f及び第2遮断弁69sからなる遮断弁69(二連弁)、ガスポンプ60、及び警報器102を制御する。更に、制御部100は、第2のガスポンプ71,水ポンプ80を制御することができる。なお、第1遮断弁69f及び第2遮断弁69sは、いずれも電磁開閉弁であり、制御部100により同時に同じ作動をするように制御されている。
【0119】
(システムの運転)
システムの発電運転を実施するとき、制御部100は、発電運転モードt3が開始されると、暖機運転を実行する。暖機運転では、制御部100は、遮断弁69を開放させた状態で、ガスポンプ60を駆動させて燃料ガスを燃料ガス通路6に介して発電モジュール18の燃料電池1を介して燃焼部105に供給させる。制御部100はカソードポンプ71も駆動させてカソードガス通路70を介して空気を発電モジュール18のカソード11を介して燃焼部105に供給させる。図略の着火部が着火するため、燃焼部105において燃料ガス(例えば都市ガス)が空気により燃焼する。燃焼が継続するため、燃焼部105における燃焼熱により、改質部3、蒸発部2および燃料電池1が加熱されて暖機される。このような暖機運転では、水ポンプ80は停止しており、水タンク4の改質水は蒸発部2に供給されないので、改質部3における改質処理は実施されない。改質部3、蒸発部2および燃料電池1が所定の温度域に加熱されると、制御部100は暖機運転を終了させ、発電運転に移行させる。
【0120】
発電運転では、制御部100は、水ポンプ80を駆動させると、水タンク4内の液相状の改質水は、水タンク4の出口ポート4pから給水路8を搬送され入口ポート2iから蒸発部2に供給される。改質水は、蒸発部2で加熱されて水蒸気とされる。水蒸気は、燃料ガス通路6から供給される燃料と共に改質部3に移動する。改質部3において燃料ガスは、水蒸気で改質されてアノードガス(水素含有ガス)となる。アノードガスはアノードガス通路73を介して燃料電池1のアノード10に供給される。更にカソードポンプ71が駆動してカソードガス(酸素含有ガス、筐体5内の空気)がカソードガス通路70を介して燃料電池1のカソード11に供給される。これにより燃料電池1が発電する。カソード11から吐出されたカソードオフガスは、発電反応に消費されなった酸素を含む。アノード10から吐出されたアノードオフガスは、発電反応に消費されなった水素を含む。従って、発電運転においても燃焼部105においてアノードオフガスがカソードオフガスにより燃焼され、改質部3および蒸発部2が改質反応に適するように加熱される。
【0121】
暖機運転および発電運転において、発電モジュール18で発生した高温の排ガスは、排ガス通路75を介して筐体5の外方に排気される。排ガス通路75には、凝縮機能をもつ熱交換器76が設けられている。貯湯槽77に繋がる貯湯通路78および貯湯ポンプ79が設けられている。貯湯通路78は往路78aおよび復路78cをもつ。貯湯槽77の低温の水は、貯湯ポンプ79の駆動により、貯湯槽77の出口ポート77pから吐出されて往路78aを通過し、熱交換器76に至り、熱交換器76で排ガスにより加熱される。熱交換器76で加熱された水は、復路78cを介して帰還ポート77iから貯湯槽77に帰還する。このようにして貯湯槽77の水は温水となる。前記した排ガスに含まれていた水蒸気は、熱交換器76で凝縮されて凝縮水となる。凝縮水は、熱交換器76から延設された凝縮水通路42を介して重力等により浄水部43に流下される。従って、浄水部43および水タンク4は発電モジュール18の下側に位置する。
【0122】
浄水部43はイオン交換樹脂等の水浄化剤43aを有するため、凝縮水の不純物は除去される。不純物が除去された水は水タンク4に移動し、水タンク4に改質水として溜められる。水ポンプ80が正運転で駆動すると、水タンク4内の改質水は給水路8を介して高温の蒸発部2に供給され、蒸発部2で水蒸気とされて改質部3に供給され、改質部3において燃料ガスを改質させる改質反応として消費される。水蒸気改質の一般式は(1)と考えられている。
(1)…C
nH
m+2nH
2O→nCO
2+[(m/2)+2n]H
2
n,mは特定の整数を示す。n=1,m=4の場合には、メタン(CH
4)が水蒸気改質される。
【0123】
本実施形態においても、発電準備モードt2で判定処理を行い、大気モードt1,t5で負圧解消処理を行う。
【0124】
制御部100は、判定処理を実行するとき、判定処理を実行した直後、判定処理を実行する直前のうちの少なくともいずれかにおいて、万一、燃料ガスが発電モジュール18側に移行するときには、第2ガスポンプ70の駆動により筐体5内の空気をカソードガス通路70に供給させ、燃料ガスを空気で希釈させることが好ましい。なお、発電運転されていないときに、判定処理において正常でないと判定された場合には、システムの次回の起動までに、遮断弁69および燃料ガス通路6の不具合をメンテナンスできる。
【0125】
(その他)
本発明は上記し且つ図面に示した各実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実行できる。
図1および
図2において、燃料ガス通路6において流量計64、バッファタンク65が搭載されていないシステムでも良い。
【0126】
判定処理は、発電準備モードt2に行うだけでなく、待機モードt1,t5で行っても良い。また、発電準備モードt2に代えて、待機モードt1、t5で行っても良い。待機モードで行う場合には、t1及びt5で行っても良いし、t1又はt5で行っても良い。t1、t2、t5では、ガスポンプ60が停止されており、開閉弁66が閉鎖されており、燃料電池1の発電運転中ではない。このため、発電運転に影響を与えることなく、圧力スイッチ61の故障の有無を判定することができ、圧力スイッチ61の高い信頼性を実現できる。
【0127】
燃料電池1は固体酸化物形燃料電池(SOFC)に限定されず、場合によっては、PEFCとも呼ばれる固体高分子形燃料電池でも良いし、リン酸形燃料電池でも良く、溶融炭酸塩形燃料電池でも良く、他のタイプの燃料電池でも良い。加熱部40は水タンク4に設けられているが、廃止されていても良い。第1ガス搬送源は燃料ガス等の燃料ガスを搬送できれば良く、ガスポンプ60に限らず、ファン、コンプレッサでも良い。第2ガス搬送源はカソードガスを搬送できれば良く、第2ガスポンプ71に限らず、ファン、コンプレッサでも良い。遮断弁69は2連弁でも1連弁でも良い。圧力スイッチ61の位置は上記に限定されず、脱硫器62と流量計64との間でも良いし、ガスポンプ60と脱硫器62との間でも良い。圧力スイッチ61に代えて、圧力センサでもよい。上記した実施形態は定置形の燃料電池システムに適用しているが、これに限らず、脱硫器を有しない燃料電池システムに適用しても良いし、水素ガスであるアノードガスを充填した燃料タンクをガス源として有する車両搭載型の燃料電池システムに適用しても良い。上記した記載から次の技術的思想が把握される。