特許第5861656号(P5861656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861656
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】レンズ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20160202BHJP
   G02B 7/08 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   G02B7/04 E
   G02B7/04 D
   G02B7/08 B
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-71912(P2013-71912)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2014-197067(P2014-197067A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年4月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(72)【発明者】
【氏名】宇野 勝
(72)【発明者】
【氏名】伊美 和朋
【審査官】 森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−250074(JP,A)
【文献】 特開2010−256814(JP,A)
【文献】 特開2010−139980(JP,A)
【文献】 特開2008−185749(JP,A)
【文献】 特開2009−204714(JP,A)
【文献】 特開2012−113236(JP,A)
【文献】 特開2008−40188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 − 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するための筒部と、前記筒部の外周面とは離間して前記筒部の外周面よりも外方に位置するように前記筒部と接続された第1及び第2の磁石部とを有するレンズホルダと、
略正方形状を呈する底壁部と、前記底壁部上に立設され板状を呈する第1及び第2の内側磁性体部とを有するベースと、
前記レンズホルダをレンズの光軸方向に沿って案内する第1及び第2のガイド部と、
前記磁石部の外周面とは離間して前記磁石部の外周面よりも外方に位置する電流経路部とを備え、
前記第1及び第2の磁石部はそれぞれ、前記光軸方向に並ぶ第1及び第2の磁石領域を有し、
前記第1の磁石領域のうち前記電流経路部に向かう側がN極とされ、前記第1の磁石領域のうち前記第1及び第2の内側磁性体部に向かう側がS極とされており、
前記第2の磁石領域のうち前記電流経路部に向かう側がS極とされ、前記第2の磁石領域のうち前記第1及び第2の内側磁性体部に向かう側がN極とされており、
前記電流経路部は、
前記第1の磁石領域と対向すると共に、前記光軸方向に交差し且つ前記第1の磁石領域の表面に沿う第1の方向に電流が流れるように構成された第1の電流領域と、
前記第2の磁石領域と対向すると共に、前記光軸方向に交差し、前記第2の磁石領域の表面に沿い、且つ、前記第1の方向とは反対向きの第2の方向に電流が流れるように構成された第2の電流領域とを有し、
前記光軸方向に直交する第3の方向において、前記第1の磁石部と、前記第1の内側磁性体部が含む第1の部分であって前記第1の磁石部と対向し且つ前記第1の磁石部に沿って延びる第1の部分と、前記筒部と、前記第1のガイド部とがこの順に並び、
前記光軸方向に直交し且つ前記第3の方向に交差する第4の方向において、前記第2の磁石部と、前記第2の内側磁性体部が含む第1の部分であって前記第2の磁石部と対向し且つ前記第2の磁石部に沿って延びる第1の部分と、前記筒部と、前記第2のガイド部とがこの順に並び、
前記第1の内側磁性体部のうち前記第1の部分の主面は前記第3の方向と略直交し、
前記第2の内側磁性体部のうち前記第1の部分の主面は前記第4の方向と略直交している、レンズ駆動装置。
【請求項2】
前記ベースは、前記電流経路部よりも外側に位置し略正方形状を呈する四角筒部材である外側磁性体部を更に有し、
前記第1及び第2の磁石部と、前記第1及び第2の内側磁性体部と、前記第1及び第2のガイド部と、電流経路部とは、前記外側磁性体部と前記底壁部とで囲まれる空間内に収容されている、請求項1に記載のレンズ駆動装置。
【請求項3】
前記第3の方向において、前記第1の内側磁性体部と前記第1の磁石部との直線距離が、前記外側磁性体部と前記第1の磁石部との直線距離よりも小さく、
前記第4の方向において、前記第2の内側磁性体部と前記第2の磁石部との直線距離が、前記外側磁性体部と前記第2の磁石部との直線距離よりも小さい、請求項2に記載のレンズ駆動装置。
【請求項4】
前記第1の磁石部及び前記第1の内側磁性体部は、前記外側磁性体部における第1の角部の近傍に位置し、
前記第2の磁石部及び前記第2の内側磁性体部は、前記外側磁性体部における前記第1の角部と隣り合う第2の角部の近傍に位置し、
前記第1のガイド部は、前記第1の角部と対角の関係にある第3の角部の近傍に位置し、
前記第2のガイド部は、前記第3の角部と対角の関係にある第4の角部の近傍に位置する、請求項2又は3に記載のレンズ駆動装置。
【請求項5】
前記レンズホルダは、前記筒部の外周面とは離間して前記筒部の外周面よりも外方に位置するように前記筒部と接続され、前記第1及び第2の角部が並ぶ第5の方向に沿って延びる第3の磁石部をさらに有し、
前記第3の磁石部は、前記光軸方向に並ぶ前記第1及び第2の磁石領域を有し
前記第の内側磁性体部がさらに含む第2の部分は、前記第3の磁石部と対向し且つ前記5の方向に沿って延び、前記第1の内側磁性体部のうち前記第1の部分における前記第2の角部寄りの端部に接続され、
前記第の内側磁性体部がさらに含む第2の部分は、前記第3の磁石部と対向し且つ前記第5の方向に沿って延び、前記第2の内側磁性体部のうち前記第1の部分における前記第1の角部寄りの端部に接続され、
前記第1の内側磁性体部のうち前記第2の部分及び第の内側磁性体部のうち前記第2の部分それぞれ、前記第3の磁石部と前記筒部の外周面との間に位置し、
前記第1の内側磁性体部のうち前記第2の部分の主面及び第の内側磁性体部のうち前記第2の部分の主面はそれぞれ、前記第1及び第4の角部が並ぶ方向と略直交している、請求項4に記載のレンズ駆動装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の磁石部はプラスチックマグネットにより構成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項7】
前記第1〜3の磁石部はプラスチックマグネットにより構成されている、請求項5に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
前記電流経路部は、前記第1及び第2の磁石部の外周面を囲むように配置されている、請求項1〜4,6のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
前記電流経路部は、前記第1〜3の磁石部の外周面を囲むように配置されている、請求項5又は7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
前記第1のガイド部は、
前記光軸方向に沿って延びる第1のガイド溝部が設けられ、前記底壁部に立設された第1の支柱と、
前記第1のガイド溝部に面するように前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に沿って延びる第2のガイド溝部と、
前記第1及び第2のガイド溝部によって形成される空間内において回転可能に保持された少なくとも一つの第1のボール部材とを有し、
前記第2のガイド部は、
前記光軸方向に沿って延びる第3のガイド溝部が設けられ、前記底壁部に立設された第2の支柱と、
前記第3のガイド溝部に面するように前記レンズホルダに設けられ、前記光軸方向に沿って延びる第4のガイド溝部と、
前記第3及び第4のガイド溝部によって形成される空間内において回転可能に保持された少なくとも一つの第2のボール部材とを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【請求項11】
前記電流経路部は、導線が巻き回されたコイルによって構成されており、
前記第1の電流領域は、前記コイルのうち前記第1及び第2の方向に沿って延びる一対の部分の一方により構成されており、
前記第2の電流領域は、前記コイルのうち前記第1及び第2の方向に沿って延びる一対の部分の他方により構成されている、請求項1〜10のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等に搭載されるカメラのカメラ用レンズを駆動するレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2は、レンズ駆動装置を開示している。レンズ駆動装置は、レンズを保持するためのレンズホルダと、レンズホルダの外側面に配置されたN極及びS極を有する磁石と、磁石と対向するヨークと、磁石及びヨークの間に配置されたコイルと、これらを収容する筐体とを備える。レンズホルダは、レンズの光軸方向に移動可能となるよう筐体内に配置されている。具体的には、筐体の側面とレンズホルダの側面とにはそれぞれ、光軸に沿って延びるガイド溝が設けられており、ガイドボールがこれらのガイド溝に挟持されている。ガイド溝及びガイドボールが、レンズホルダをレンズの光軸方向に沿って案内するためのガイド部として機能している。ヨーク及びコイルは、筐体に固定されている。
【0003】
磁石及びヨークの間に生ずる磁場中に位置するコイルに電流が流れることで、磁石とコイルとの間に電磁気力が作用する。コイルが筐体に固定されており、筐体に対して移動可能なレンズホルダに磁石が配置されているため、発生した電磁気力により、レンズホルダが光軸の延在方向に沿って駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0180202号明細書
【特許文献2】特開2011−197626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2に係るレンズ駆動装置においては、レンズホルダが傾くことなく正確に光軸方向に沿って移動するために、レンズホルダがガイドボールを介して筐体側に付勢されている必要がある。しかしながら、特許文献1,2には、レンズホルダをどのように付勢するのかについて具体的な開示がなく、レンズホルダの予期しない傾きが発生する虞があった。
【0006】
そのため、本発明の目的は、レンズホルダを光軸方向に正確に駆動させることが可能なレンズ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点に係るレンズ駆動装置は、レンズを保持するための筒部と、筒部の外周面とは離間して筒部の外周面よりも外方に位置する磁石部とを有するレンズホルダと、筒部と磁石部との間に位置する内側磁性体部と、レンズホルダをレンズの光軸方向に沿って案内するガイド部と、磁石部の外周面とは離間して磁石部の外周面よりも外方に位置する電流経路部とを備え、磁石部は、光軸方向に並ぶ第1及び第2の磁石領域を有し、第1の磁石領域のうち電流経路部に向かう側がN極とされ、第1の磁石領域のうち内側磁性体部に向かう側がS極とされており、第2の磁石領域のうち電流経路部に向かう側がS極とされ、第2の磁石領域のうち内側磁性体部に向かう側がN極とされており、電流経路部は、第1の磁石領域と対向すると共に、光軸方向に交差し且つ第1の磁石領域の表面に沿う第1の方向に電流が流れるように構成された第1の電流領域と、第2の磁石領域と対向すると共に、光軸方向に交差し、第2の磁石領域の表面に沿い、且つ、第1の方向とは反対向きの第2の方向に電流が流れるように構成された第2の電流領域とを有し、ガイド部は、磁石部とで内側磁性体部を間に挟む位置にある。
【0008】
本発明の一つの観点に係るレンズ駆動装置では、筒部と磁石部との間に内側磁性体部が位置している。そのため、磁石部と内側磁性体部との間に引力が生ずる。当該引力によって、磁石部が内側磁性体部に近づくようにレンズホルダが移動する。ここで、レンズホルダをレンズの光軸方向に沿って案内するガイド部は、磁石部とで内側磁性体部を挟む位置にある。従って、磁石部が内側磁性体部に近づくようにレンズホルダが移動すると、レンズホルダがガイド部に付勢される。その結果、レンズホルダとガイド部とが接する関係が保たれるので、レンズホルダを光軸方向に正確に駆動させることが可能となる。加えて、本発明の一つの観点に係るレンズ駆動装置では、電流経路部に流れる電流によって生ずる電磁気力を磁石部が受けることで、レンズホルダがレンズの光軸方向に駆動される。すなわち、磁石部は、レンズホルダをガイド部に付勢する機能を発揮するのみならず、電流経路部と協働してレンズホルダをレンズの光軸方向に駆動させる機能も発揮する。従って、磁石部が複数の機能を発揮するので、レンズ駆動装置の構成の簡易化及びコストの削減を図ることができる。
【0009】
電流経路部よりも外側に位置する外側磁性体部を更に備え、電流経路部及び磁石部は、内側磁性体部と外側磁性体部との間に位置していてもよい。この場合、外部磁性体部がヨークとして機能して、磁石部から生ずる磁束が外側磁性体部に誘導される。従って、磁石部の磁場がレンズ駆動装置内に留められる。その結果、磁石部の磁場が外部の機器に影響を与える虞を極めて小さくすることが可能となる。
【0010】
内側磁性体部と磁石部との直線距離が、外側磁性体部と磁石部との直線距離よりも小さくてもよい。磁石部は、内側磁性体部及び外側磁性体部に共に引きつけられるが、この場合、磁石部が内側磁性体部により強く引きつけられる。従って、外側磁性体部が存在する場合であっても、磁石部に、レンズホルダをガイド部に付勢する機能を発揮させることが可能となる。
【0011】
磁石部はプラスチックマグネットにより構成されていてもよい。この場合、磁石部の軽量化を図ることが可能となる。また、磁石部と筒部とを一体的に形成できるので、部品点数の削減に寄与し、レンズ駆動装置の構成の簡易化を図ることが可能となる。
【0012】
磁石部は、筒部の外周面を囲むように少なくとも一つ配置されており、電流経路部は、磁石部の外周面を囲むように配置されていてもよい。この場合、電流経路部と磁石部との間に生ずる電磁気力が大きくなる。従って、レンズホルダをより効果的に駆動させることが可能となる。また、この場合、磁石部が筒部の外周面を囲むように配置されていると共に、電流経路部が磁石部の外周面を囲むように配置されているので、レンズホルダに対してバランスよく電磁気力(駆動力)を作用させることが可能となる。
【0013】
ガイド部は、光軸方向とは交差する方向において離間して配置されると共に光軸方向に沿って延びる一対の第1及び第2のガイド溝部と、第1のガイド溝部内において回転可能に保持された少なくとも一つの第1のボール部材と、第2のガイド溝部内において回転可能に保持された少なくとも一つの第2のボール部材とを有してもよい。この場合、ボール部材を用いることにより、ボール部材とガイド溝部との間に生ずる摩擦力が小さくなる。従って、レンズホルダがレンズの光軸方向に沿って移動する際に、レンズホルダに作用する電磁気力がより効率よく駆動力として利用される。
【0014】
電流経路部は、導線が巻き回されたコイルによって構成されており、第1の電流領域は、コイルのうち第1及び第2の方向に沿って延びる一対の部分の一方により構成されており、第の電流領域は、コイルのうち第1及び第2の方向に沿って延びる一対の部分の他方により構成されていてもよい。この場合、1つのコイルにより、相対する方向に流れる電流を生み出すことができる。そのため、レンズ駆動装置の構成をより簡易化することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、レンズホルダを光軸方向に正確に駆動させることが可能なレンズ駆動装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態に係るレンズ駆動装置を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係るレンズ駆動装置を示す分解斜視図である。
図3図3は、本実施形態に係るレンズ駆動装置を、カバーを透過した状態で示す上面図である。
図4図4は、図3のIV−IV線断面図である。
図5図5は、図3のV−V線断面図である。
図6図6は、ベースを示す斜視図である。
図7図7は、レンズホルダを示す斜視図である。
図8図8は、レンズホルダを示す斜視図である。
図9図9は、コイル部材を示す斜視図である。
図10図10は、レンズホルダが駆動される様子を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0018】
レンズ駆動装置1は、図1図5に示されるように、筐体100と、レンズホルダ200と、ボールユニット300A,300Bと、コイル部材400と、位置センサ500とを備える。レンズ駆動装置1は、例えば携帯電話などに搭載されるカメラ用レンズを駆動する装置である。上方(Z方向)から見たときのレンズ駆動装置1の大きさは、例えば8.5mm×8.5mm程度に設定できる。
【0019】
筐体100は、本実施形態において、レンズホルダ200、ボールユニット300A,300B、コイル部材400、及び位置センサ500を収容するハウジングとして機能する。筐体100は、図2に示されるように、ベース102と、カバー104とを備える。
【0020】
ベース102は、図2及び図6に示されるように、底壁部106と、一対の支柱108A,108Bと、一対の支柱110A,110Bと、一対の内側磁性体部112A,112Bと、外側磁性体部114とを有する。底壁部106は、略正方形状を呈しており、中央部に真円形状の開口106aが形成されている。底壁部106は、4つの角部C1〜C4を有する。レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、角部C1は角部C2,C3と隣り合い、角部C2は角部C1,C4と隣り合い、角部C3は角部C1,C4と隣り合い、角部C4は角部C2,C4と隣り合う。
【0021】
支柱108A,108B,110A,110Bはそれぞれ、底壁部106上に立設されている。すなわち、支柱108A,108B,110A,110Bは、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って延びている。支柱108A,108B,110A,110Bは、底壁部106と一体的に形成されている。支柱108Aは、角部C1の近傍に配置されている。支柱108Bは、角部C2の近傍に配置されている。支柱110Aは、角部C3の近傍に配置されている。支柱110Bは、角部C4の近傍に配置されている。ベース102を構成する底壁部106及び支柱108A,108B,110A,110Bは、例えば、ガラスファイバや無機質などのフィラーを含んだ液晶ポリマーにより形成される。
【0022】
レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、支柱108A,108Bは、略直角三角形状を呈している。支柱108A,108Bの斜辺はそれぞれ、底壁部106の中央部(開口106a)に面している。支柱108A,108Bの直角部はそれぞれ、各角部C1,C2側に位置している。
【0023】
レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、支柱110A,110Bはそれぞれ、各角部C3,C4に沿って屈曲した略V字形状を呈している。すなわち、支柱110Aは、底壁部106の中央部(開口106a)に面すると共に、底壁部106の中央部(開口106a)から角部C3に向けて窪む溝部116Aを有している。支柱110Bは、底壁部106の中央部(開口106a)に面すると共に、底壁部106の中央部(開口106a)から角部C4に向けて窪む溝部116Bを有している。溝部116A,116Bは、レンズの光軸方向OAに沿って延びている。
【0024】
内側磁性体部112A,112Bはそれぞれ、底壁部106に立設された板状部材である。すなわち、内側磁性体部112A,112Bは、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って延びている。内側磁性体部112Aは、支柱108Aと開口106aとの間に配置されている。
【0025】
内側磁性体部112Aは、支柱108Aの斜辺に対向し且つ当該斜辺に沿って延びる第1の部分と、外側磁性体部114の壁部114a(後述する)に対向し且つ当該壁部114aに沿って延びる第2の部分とを有する。すなわち、レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、内側磁性体部112Aは、第1及び第2の部分により鈍角をなすように屈曲されている。
【0026】
内側磁性体部112Bは、支柱108Bと開口106aとの間に配置されている。内側磁性体部112Bは、支柱108Bの斜辺に対向し且つ当該斜辺に沿って延びる部分と、外側磁性体部114の壁部114aに対向し且つ当該壁部114aに沿って延びる部分とを有する。すなわち、レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、内側磁性体部112Bは、第1及び第2の部分により鈍角をなすように屈曲されている。
【0027】
外側磁性体部114は、略正方形状を呈する四角筒部材である。外側磁性体部114の大きさは、底壁部106の外形と同程度に設定されている。外側磁性体部114の下端部は、底壁部106に取り付けられている。外側磁性体部114は、角部C1と角部C2との間に延びる壁部114aと、角部C2と角部C4との間に延びる壁部114bと、角部C1と角部C3との間に延びる壁部114cと、角部C2と角部C4との間に延びる壁部114dとを有する。壁部114a,114bは、互いに対向しており、略平行に延びている。壁部114c,114dは、互いに対向しており、略平行に延びている。
【0028】
内側磁性体部112A,112B及び外側磁性体部114は、磁性体で構成されている。当該磁性体としては、例えば、亜鉛メッキ銅板を挙げることができる。本実施形態では、内側磁性体部112Aと、内側磁性体部112Bと、外側磁性体部114とは、いずれも磁気的に接続されていない。しかしながら、これらが磁気的に接続されていてもよい。
【0029】
カバー104は、略正方形状を呈しており、中央部に真円形状の開口104aが形成されている。レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、開口104aは、底壁部106の開口106aと重なり合っている。カバー104は、支柱108A,108B,110A,110Bの上端に取り付けられる。カバー104は、たとえばSPCC(冷間圧延鋼)により形成される。
【0030】
レンズホルダ200は、筐体100内に配置されている。レンズホルダ200は、図2図7及び図8に示されるように、円筒状の筒部202と、外周部204とを有する。筒部202の内周面は、真円形状を呈している。筒部202の内側には、レンズが収納されたレンズバレル(図示せず)が取り付けられる。筒部202にレンズバレルが取り付けられることにより、レンズホルダ200はレンズを保持する。レンズバレルに保持されたレンズは、底壁部106の開口106aと、カバー104の開口104aとを通じて露出する。
【0031】
外周部204は、筒部202よりも大きな外形を有する筒状部材である。外周部204は、筒部202の周囲を取り囲むように筒部202の外側に配置されている。すなわち、外周部204と筒部202とは離間している。
【0032】
外周部204と筒部202とは、外周部204の内周面と筒部202の外周面との間に延びる接続部材206により接続されている。筒部202、外周部204及び接続部材206により構成されるレンズホルダ200は、プラスチックマグネット(磁性体粉含有樹脂)により一体的に成型されている。当該プラスチックマグネットとしては、例えば、異方性ネオジム系プラスチックマグネットを挙げることができる。
【0033】
レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、外周部204は、外側磁性体部114の内周面及び支柱108A,108Bの斜辺に対応する六角形状を呈する。すなわち、外周部204は、レンズ駆動装置1の完成状態において、壁部114cと対向する磁石部208と、支柱108Aの斜辺と対向する磁石部210と、壁部114aと対向する磁石部212と、支柱108Bの斜辺と対向する磁石部214と、壁部114dと対向する磁石部216と、壁部114bと対向する磁石部218とを有する。磁石部208〜218は、プラスチックマグネットが着磁されることで磁石として機能する。
【0034】
磁石部208は、カバー104側に位置する第1の磁石領域208Aと、底壁部106側に位置する第2の磁石領域208Bとを有する。第1の磁石領域208Aのうち壁部114c(コイル部材400)に面する側の部分はN極に着磁されており、第1の磁石領域208Aのうち筒部202に面する側の部分はS極に着磁されている。第2の磁石領域208Bのうち壁部114c(コイル部材400)に面する側の部分はS極に着磁されており、第2の磁石領域208Bのうち筒部202に面する側の部分はN極に着磁されている。
【0035】
第1の磁石領域208AのN極から放射される磁力線の多くは、壁部114cに至り、壁部114c内を底壁部106側に向けて通過した後、第2の磁石領域208BのS極に向かう。第2の磁石領域208BのN極から放射される磁力線の多くは、第1の磁石領域208AのS極に直接向かう。従って、磁石部208と壁部114cとの間には、引力が生じている。
【0036】
磁石部210は、カバー104側に位置する第1の磁石領域210Aと、底壁部106側に位置する第2の磁石領域210Bとを有する。第1の磁石領域210Aのうち支柱108Aの斜辺(コイル部材400)に面する側の部分はN極に着磁されており、第1の磁石領域210Aのうち筒部202に面する側の部分はS極に着磁されている。第2の磁石領域210Bのうち支柱108Aの斜辺(コイル部材400)に面する側の部分はS極に着磁されており、第2の磁石領域210Bのうち筒部202に面する側の部分はN極に着磁されている。
【0037】
第1の磁石領域210AのN極から放射される磁力線の多くは、壁部114c,114aに至り、壁部114c,114a内を底壁部106側に向けて通過した後、第2の磁石領域210BのS極に向かう。第2の磁石領域210BのN極から放射される磁力線の多くは、内側磁性体部112Aに至り、内側磁性体部112A内を底壁部106側に向けて通過した後、第1の磁石領域210AのS極に向かう。従って、磁石部210と壁部114c,114aとの間、及び、磁石部210と内側磁性体部112Aとの間には、引力が生じている。
【0038】
磁石部212は、カバー104側に位置する第1の磁石領域212Aと、底壁部106側に位置する第2の磁石領域212Bとを有する。第1の磁石領域212Aのうち壁部114a(コイル部材400)に面する側の部分はN極に着磁されており、第1の磁石領域212Aのうち筒部202に面する側の部分はS極に着磁されている。第2の磁石領域212Bのうち壁部114a(コイル部材400)に面する側の部分はS極に着磁されており、第2の磁石領域212Bのうち筒部202に面する側の部分はN極に着磁されている。
【0039】
第1の磁石領域212AのN極から放射される磁力線の多くは、壁部114aに至り、壁部114a内を底壁部106側に向けて通過した後、第2の磁石領域212BのS極に向かう。第2の磁石領域212BのN極から放射される磁力線の一部は、内側磁性体部112A,112Bに至り、内側磁性体部112A,112B内を底壁部106側に向けて通過した後、第1の磁石領域212AのS極に向かう。第2の磁石領域212BのN極から放射される磁力線の残部は、第1の磁石領域212AのS極に直接向かう。従って、磁石部212と壁部114aとの間、及び、磁石部212と内側磁性体部112A,112Bとの間には、引力が生じている。
【0040】
磁石部214は、カバー104側に位置する第1の磁石領域214Aと、底壁部106側に位置する第2の磁石領域214Bとを有する。第1の磁石領域214Aのうち支柱108Bの斜辺(コイル部材400)に面する側の部分はN極に着磁されており、第1の磁石領域214Aのうち筒部202に面する側の部分はS極に着磁されている。第2の磁石領域214Bのうち支柱108Bの斜辺(コイル部材400)に面する側の部分はS極に着磁されており、第2の磁石領域214Bのうち筒部202に面する側の部分はN極に着磁されている。
【0041】
第1の磁石領域214AのN極から放射される磁力線の多くは、壁部114a,114dに至り、壁部114a,114d内を底壁部106側に向けて通過した後、第2の磁石領域214BのS極に向かう。第2の磁石領域214BのN極から放射される磁力線の多くは、内側磁性体部112Bに至り、内側磁性体部112B内を底壁部106側に向けて通過した後、第1の磁石領域214AのS極に向かう。従って、磁石部214と壁部114a,114dとの間、及び、磁石部214と内側磁性体部112Bとの間には、引力が生じている。
【0042】
磁石部216は、カバー104側に位置する第1の磁石領域216Aと、底壁部106側に位置する第2の磁石領域216Bとを有する。第1の磁石領域216Aのうち壁部114d(コイル部材400)に面する側の部分はN極に着磁されており、第1の磁石領域216Aのうち筒部202に面する側の部分はS極に着磁されている。第2の磁石領域216Bのうち壁部114d(コイル部材400)に面する側の部分はS極に着磁されており、第2の磁石領域216Bのうち筒部202に面する側の部分はN極に着磁されている。
【0043】
第1の磁石領域216AのN極から放射される磁力線の多くは、壁部114dに至り、壁部114d内を底壁部106側に向けて通過した後、第2の磁石領域216BのS極に向かう。第2の磁石領域216BのN極から放射される磁力線の多くは、第1の磁石領域216AのS極に直接向かう。従って、磁石部216と壁部114dとの間には、引力が生じている。
【0044】
磁石部218は、カバー104側に位置する第1の磁石領域218Aと、底壁部106側に位置する第2の磁石領域218Bとを有する。第1の磁石領域218Aのうち壁部114b(コイル部材400)に面する側の部分はN極に着磁されており、第1の磁石領域218Aのうち筒部202に面する側の部分はS極に着磁されている。第2の磁石領域218Bのうち壁部114b(コイル部材400)に面する側の部分はS極に着磁されており、第2の磁石領域218Bのうち筒部202に面する側の部分はN極に着磁されている。
【0045】
第1の磁石領域218AのN極から放射される磁力線の多くは、壁部114bに至り、壁部114b内を底壁部106側に向けて通過した後、第2の磁石領域218BのS極に向かう。第2の磁石領域218BのN極から放射される磁力線の多くは、第1の磁石領域218AのS極に直接向かう。従って、磁石部218と壁部114bとの間には、引力が生じている。
【0046】
上記のとおり、磁石部208〜218と外側磁性体部114との間、及び、磁石部210〜214と内側磁性体部112A,112Bとの間には、引力が生じている。しかしながら、磁石部210〜214は、外側磁性体部114よりも内側磁性体部112A,112Bの近くに位置している。そのため、磁石部208〜218(レンズホルダ200)には全体として、図3に示される矢印Fのように、壁部114aから壁部114bに向かう力が作用する。従って、レンズホルダ200は、ボールユニット300A,300Bを介して支柱110A,110Bに付勢される(押しつけられる)。
【0047】
外周部204のうち底壁部106の角部C3,C4にそれぞれ対応する部分には、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って延びる溝部220A,220Bが形成されている。具体的には、溝部220Aは、外周部204のうち磁石部208と磁石部218との間に位置している。溝部220Aは、支柱110Aの溝部116Aに面しており、レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て底壁部106の中央部(開口106a)側に向けて窪んでいる。溝部220Bは、外周部204のうち磁石部216と磁石部218との間に位置している。溝部220Bは、支柱110Bの溝部116Bに面しており、レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て底壁部106の中央部(開口106a)側に向けて窪んでいる。
【0048】
筒部202と磁石部210,212との間の領域で、且つ、磁石部212の中央よりも磁石部208側の領域には、筒部202と外周部204とを接続する接続部材206が存在していない。すなわち、当該領域は、筒部202と、磁石部210,212と、接続部材206とによって囲まれた開口HAとして機能する。開口HAは、内側磁性体部112Aの外形よりも大きな形状を有する。そのため、レンズ駆動装置1の完成状態において、内側磁性体部112Aは、筒部202、磁石部210,212、及び接続部材206とは離間した状態で開口HA内に挿通される(図3参照)。
【0049】
筒部202と磁石部212,214との間の領域で、且つ、磁石部212の中央よりも磁石部216側の領域には、筒部202と外周部204とを接続する接続部材206が存在していない。すなわち、当該領域は、筒部202と、磁石部212,214と、接続部材206とによって囲まれた開口HBとして機能する。開口HBは、内側磁性体部112Bの外形よりも大きな形状を有する。そのため、レンズ駆動装置1の完成状態において、内側磁性体部112Bは、筒部202、磁石部212,214、及び接続部材206とは離間した状態で開口HB内に挿通される(図3参照)。
【0050】
ボールユニット300Aは、溝部116A,220Aによって形成される空間内に配置されている。ボールユニット300Aと溝部116A,220Aとの組み合わせは、レンズホルダ200をガイドするガイド部として機能する。
【0051】
ボールユニット300Aは、図2及び図4に示されるように、ボール部材302A〜306Aを有する。ボール部材302A,304Aの直径は、溝部116A,220Aによって形成される空間の幅と同等か、当該幅よりも若干小さく設定されている。ボール部材306Aの直径は、ボール部材302A,304Aの直径よりも小さく設定されている。ボール部材302A,306A,304Aは、カバー104側から底壁部106に向けてレンズの光軸方向OA(Z方向)にこの順で並んでいる。
【0052】
ボールユニット300Bは、溝部116B,220Bによって形成される空間内に配置されている。ボールユニット300Bと溝部116B,220Bとの組み合わせは、レンズホルダ200をガイドするガイド部として機能する。
【0053】
ボールユニット300Bは、図2及び図4に示されるように、ボール部材302B〜306Bを有する。ボール部材302B,304Bの直径は、溝部116B,220Bによって形成される空間の幅と同等か、当該幅よりも若干小さく設定されている。ボール部材306Bの直径は、ボール部材302B,304Bの直径よりも小さく設定されている。ボール部材302B,306B,304Bは、カバー104側から底壁部106に向けてレンズの光軸方向OA(Z方向)にこの順で並んでいる。
【0054】
コイル部材400は、図2及び図9に示されるように、樹脂製の基板402と、当該基板402に配置されたコイル状の金属配線404とを有する。基板402は、外側磁性体部114とレンズホルダ200及び支柱110A,110Bとの間において、外側磁性体部114の内周面及び支柱108A,108Bの斜辺に沿って延びている。すなわち、基板402は、レンズの光軸方向OA(Z方向)から見て、外側磁性体部114の内周面及び支柱108A,108Bの斜辺に対応する六角形状を呈している。
【0055】
基板402は、第1の部分402A〜第7の部分402Gを有する。カバー104側から見て、第1の部分402A〜第6の部分402Fは、この順に時計回りに並んでいる。第1の部分402Aは、支柱110Bから支柱110Aにかけて壁部114bに沿って延びている。第1の部分402Aは、支柱110A,110B及びレンズホルダ200の外側で且つ壁部114bの内側に位置している。第2の部分402Bは、支柱110Aから支柱108Aにかけて壁部114cに沿って延びている。第2の部分402Bは、支柱110A及びレンズホルダ200の外側で且つ壁部114cの内側に位置している。
【0056】
第3の部分402Cは、壁部114cから壁部114aにかけて支柱108Aの斜辺に沿って延びている。第3の部分402Cは、レンズホルダ200の外側で且つ支柱108Aの内側に位置している。第4の部分402Dは、支柱108Aから支柱108Bにかけて壁部114aに沿って延びている。第4の部分402Dは、レンズホルダ200の外側で且つ壁部114aの内側に位置している。
【0057】
第5の部分402Eは、壁部114aから壁部114dにかけて支柱108Bの斜辺に沿って延びている。第5の部分402Eは、レンズホルダ200の外側で且つ支柱108Bの内側に位置している。第6の部分402Fは、支柱108Bから支柱110Bにかけて壁部114dに沿って延びている。第6の部分402Fは、支柱110B及びレンズホルダ200の外側で且つ壁部114dの内側に位置している。本実施形態において、第1の部分402Aと第6の部分402Fとは離間しているが、両者が接続されていてもよい。
【0058】
第7の部分402Gは、第6の部分402Fのうち底壁部106側の縁から、底壁部106側に向けてレンズの光軸方向OA(Z方向)に延びている。第7の部分402Gには、複数の端子電極406が配置されており、コイル状の金属配線404の各端部が異なる端子電極406に電気的に接続されている。
【0059】
コイル状の金属配線404は、第1〜第6の部分402A〜402Fにわたってループを形成するように巻き回されている。金属配線404は、一対の対向する第1及び第2の部分404a,404bと、一対の対向する第3及び第4の部分404c,404dとを有する。第1の部分404aは、第6の部分402Fのうち支柱110B寄りの領域において、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って延びている。第2の部分404bは、第1の部分402Aのうち支柱110B寄りの領域において、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って延びている。第3の部分404cは、第1〜第6の部分402A〜402Fのうちカバー104寄りの領域において、第1〜第6の部分402A〜402Fにわたって延びている。第4の部分404dは、第1〜第6の部分402A〜402Fのうち底壁部106寄りの領域において、第1〜第6の部分402A〜402Fにわたって延びている。
【0060】
位置センサ500は、レンズの光軸方向OA(Z方向)におけるレンズホルダ200の位置を検出するためのセンサである。位置センサ500は、図2図4に示されるように、基板402の第5の部分402Eの内周面に配置されている。位置センサ500は、基板402に配置されたコイル状の金属配線404とは異なる金属配線(図示せず)を介して、端子電極406に電気的に接続されている。
【0061】
続いて、図10を参照して、レンズホルダの駆動原理について説明する。図10では、磁石部212と、磁石部212に対向する外側磁性体部114の壁部114aとの間に作用する力を例にとって説明するが、他の磁石部と外側磁性体部114との間にも同様の力が作用する。
【0062】
コイル状の金属配線404が電源に接続されて、金属配線404の両端に電位差が生ずると、電流は、第1〜第6の部分402A〜402Fにわたってスパイラル状に流れる。まず、第3の部分404cに、カバー104側から見て、第1〜第6の部分402A〜402Fをこの順に時計回りに電流が流れると共に、第4の部分404dに、カバー104側から見て、第6〜第1の部分402F〜402Aをこの順に反時計回りに電流が流れる場合について説明する(図10(a)参照)。この場合、フレミング左手の法則に従い、磁石部212(レンズホルダ200)に対してカバー104側に向かう電磁気力(図10(a)の矢印A参照)が作用する。従って、レンズホルダ200は、ボールユニット300A,300Bを介して支柱110A,110B(溝部116A,116B,220A,220B)によって案内され、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿ってカバー104側に移動する。
【0063】
一方、第3の部分404cに、カバー104側から見て、第6〜第1の部分402F〜402Aをこの順に反時計回りに電流が流れると共に、第4の部分404dに、カバー104側から見て、第1〜第6の部分402A〜402Fをこの順に時計回りに電流が流れる場合について説明する(図10(b)参照)。この場合、フレミング左手の法則に従い、磁石部212(レンズホルダ200)に対して底壁部106側に向かう電磁気力(図10(b)の矢印B参照)が作用する。従って、レンズホルダ200は、ボールユニット300A,300Bを介して支柱110A,110B(溝部116A,116B,220A,220B)によって案内され、レンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って底壁部106側に移動する。
【0064】
以上のような本実施形態では、筒部202と磁石部210〜214との間に内側磁性体部112A,112Bが位置している。そのため、磁石部210〜214と内側磁性体部112A,112Bとの間に引力が生ずる。磁石部210〜214は筒部202と一体的に構成されているため、当該引力によって、磁石部210〜214が内側磁性体部112A,112Bに近づくようにレンズホルダ200が移動する。ここで、レンズホルダ200をレンズの光軸方向OA(Z方向)に沿って案内するガイド部が、内側磁性体部112A,112Bよりも磁石部210〜214とは反対側に位置している。すなわち、ガイド部は、磁石部210〜214とで内側磁性体部112A,112Bを間に挟む位置にある。従って、磁石部210〜214が内側磁性体部112A,112Bに近づくようにレンズホルダ200が移動すると、レンズホルダ200がガイド部に付勢される。その結果、レンズホルダ200とガイド部とが接する関係が保たれるので、レンズホルダ200を光軸方向OAに正確に駆動させることが可能となる。加えて、本実施形態では、コイル部材400(金属配線404)に流れる電流によって生ずる電磁気力を磁石部208〜218が受けることで、レンズホルダ200がレンズの光軸方向OAに駆動される。すなわち、磁石部208〜218は、レンズホルダ200をガイド部に付勢する機能を発揮するのみならず、コイル部材400(金属配線404)と協働してレンズホルダ200をレンズの光軸方向OAに駆動させる機能も発揮する。従って、磁石部208〜218が複数の機能を発揮するので、レンズ駆動装置1の構成の簡易化及びコストの削減を図ることができる。
【0065】
本実施形態では、外側磁性体部114は、コイル部材400(金属配線404)よりも外側に位置しており、コイル部材400(金属配線404)及び磁石部208〜218は、内側磁性体部112A,112Bと外側磁性体部114との間に位置していてもよい。この場合、外部磁性体部114がヨークとして機能して、磁石部208〜218から生ずる磁束が外側磁性体部114に誘導される。従って、磁石部208〜218の磁場がレンズ駆動装置1内に留められる。その結果、磁石部208〜218の磁場が外部の機器に影響を与える虞を極めて小さくすることが可能となる。
【0066】
本実施形態では、内側磁性体部112A,112Bと磁石部208〜218との直線距離が、外側磁性体部114と磁石部208〜218との直線距離よりも小さくなるように設定されている。磁石部208〜218は、内側磁性体部112A,112B及び外側磁性体部114に共に引きつけられるが、そのため、磁石部208〜218が内側磁性体部112A,112Bにより強く引きつけられる。従って、外側磁性体部114が存在する場合であっても、磁石部208〜218に、レンズホルダ200をガイド部に付勢する機能を発揮させることが可能となる。
【0067】
本実施形態では、磁石部208〜218はプラスチックマグネットにより構成されている。そのため、磁石部208〜218の軽量化を図ることが可能となる。また、磁石部208〜218と筒部202とを一体的に形成できるので、部品点数の削減に寄与し、レンズ駆動装置1の構成の簡易化を図ることが可能となる。
【0068】
本実施形態では、磁石部208〜218は、筒部202の外周面を囲むように配置されており、コイル部材400(金属配線404)は、磁石部208〜218の外周面を囲むように配置されている。そのため、コイル部材400(金属配線404)と磁石部208〜218との間に生ずる電磁気力が大きくなる。従って、レンズホルダ200をより効果的に駆動させることが可能となる。また、磁石部208〜218が筒部202の外周面を囲むように配置されていると共に、コイル部材400(金属配線404)が磁石部208〜218の外周面を囲むように配置されているので、レンズホルダ200に対してバランスよく電磁気力(駆動力)を作用させることが可能となる。
【0069】
本実施形態では、ボールユニット300Aと溝部116A,220Aとの組み合わせ、及び、ボールユニット300Bと溝部116B,220Bとの組み合わせが、レンズホルダ200をガイドするガイド部として機能している。ガイド部材を構成する部材としてボールユニット300Aが用いられているので、ボール部材302A〜306Aと溝部116A,220Aとの間に生ずる摩擦力が小さくなる。ガイド部材を構成する部材としてボールユニット300Bが用いられているので、ボール部材302B〜306Bと溝部116B,220Bとの間に生ずる摩擦力が小さくなる。従って、レンズホルダ200がレンズの光軸方向OAに沿って移動する際に、レンズホルダ200に作用する電磁気力がより効率よく駆動力として利用される。
【0070】
本実施形態では、コイル部材400は、金属配線404が巻き回されたコイルを有している。そのため、1つのコイルにより、相対する方向に流れる電流を生み出すことができる。従って、レンズ駆動装置1の構成をより簡易化することが可能となる。
【0071】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、レンズ駆動装置1が外側磁性体部114を備えていなくてもよい。
【0072】
磁石部208〜218は、プラスチックマグネットではなく、強磁性又はフェリ磁性を示す材料を磁化したものであってもよい。
【0073】
本実施形態では、ガイド部がボールユニット300A,300Bを含んでいたが、レンズの光軸方向OA(Z方向)に延びるシャフトを用いてガイド部を構成してもよい。
【0074】
本実施形態では、筒部202の外周面を囲むように磁石部208〜218が配置されていたが、磁石部は、内側磁性体部112A,112Bよりも筒部202とは反対側に少なくとも配置されていればよい。
【0075】
本実施形態では、金属配線404が巻き回されたコイルを電流経路として用いたが、電流経路は、レンズの光軸方向OAに交差し且つ磁石部の表面に沿う方向であって、互いに逆方向に電流を流すことができる一対の電流領域を少なくとも有していればよい。
【符号の説明】
【0076】
1…レンズ駆動装置、100…筐体、102…ベース、106…底壁部、110A,110B…支柱、112A,112B…内側磁性体部、114…外側磁性体部、114a〜114d…壁部、200…レンズホルダ、202…筒部、204…外周部、208〜218…磁石部、208A,208B,210A,210B,212A,212B,214A,214B,216A,216B,218A,218B…磁石領域、300A,300B…ボールユニット、302A〜306A,302B〜306B…ボール部材、400…コイル部材、404…金属配線、404a〜404d…第1〜第4の部分、OA…レンズの光軸方向。
図1
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図10