特許第5861763号(P5861763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5861763
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】電気コネクタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/24 20060101AFI20160202BHJP
   H01R 43/16 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   H01R43/24
   H01R43/16
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-230098(P2014-230098)
(22)【出願日】2014年11月12日
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 隆吉
(72)【発明者】
【氏名】唐野 修治
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−041082(JP,U)
【文献】 特開平04−028180(JP,A)
【文献】 特開2002−373729(JP,A)
【文献】 特開2012−054101(JP,A)
【文献】 特開2007−080781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/24
H01R 43/16−43/18
H01R 24/40−24/56
H01R 13/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合相手の電気コネクタと嵌合するハウジングと、前記嵌合相手の電気コネクタに形成された突起状端子が挿入されて接触する筒状端子とを備え、
前記ハウジングと前記筒状端子とが密着した状態で一体的に形成され
前記筒状端子には、前記突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止機構が形成され
前記樹脂流出防止機構は、前記筒状端子の内部空間に突出した環状凸部である電気コネクタ。
【請求項2】
前記環状凸部が形成された前記筒状端子の外周面には、環状凹部が形成された請求項記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記環状凸部は、前記筒状端子の長手方向に沿って複数形成された請求項または記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記筒状端子の基端部と前記環状凸部との間に、貫通孔が形成された請求項記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記嵌合相手の電気コネクタのアウターハウジングに形成された第1嵌合穴に挿入されるインナーハウジングであり、
前記インナーハウジングには、前記第1嵌合穴に形成された第1軸部が挿入される第2嵌合穴と、前記第2嵌合穴に形成され、前記第1軸部に形成された案内穴に案内される第2軸部とが形成され、
前記筒状端子は、前記第2軸部に形成された請求項1記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記第1軸部の外周面に設けられた第1接触端子に接触する第2接触端子が、前記第2嵌合穴の内周面に設けられた請求項記載の電気コネクタ。
【請求項7】
嵌合相手の電気コネクタに形成された突起状端子が挿入されて接触する筒状端子であって、前記突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止用の環状凸部が内部空間に突出した前記筒状端子に、棒状金型を挿入して、前記環状凸部に、前記棒状金型を接触させる工程と、
前記筒状端子を支持した状態で金型により型締めして、嵌合相手の電気コネクタと嵌合するハウジングと前記筒状端子とをインサート成形により一体成形する工程とを含む電気コネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵌合相手の電気コネクタと嵌合するハウジングと、この嵌合相手の電気コネクタに形成された突起状端子が挿入されて接触する筒状端子とを備えた電気コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
嵌合相手の電気コネクタに形成された突起状端子と、この突起状端子が挿入される筒状端子とが接触することで、電気的に接続する電気コネクタが知られている。
突起状端子を有する電気コネクタが軸線を中心に回転した状態(以下、これを軸回転と称する。)、または筒状端子を有する電気コネクタが軸回転した状態で、電気コネクタ同士が嵌合しても、突起状端子の接触面となる外周面と、筒状端子の内周面とを接触させることができる。
突起状端子を有する電気コネクタと、筒状端子を有する電気コネクタとは、いずれも、軸回転に対する嵌合方向に制限が無いため、目視できない場所における手探りによる作業でも、互いの嵌合が容易である。
【0003】
このような電気コネクタは、エンジンにおける点火栓や予熱栓として機能するグロープラグに用いられる電気コネクタや、燃焼圧センサとワイヤハーネスとを接続するコネクタなどに使用される(例えば、特許文献1参照。)
【0004】
特許文献1に記載のグロープラグ・コネクタは、図18に示すように、センサ接触子1011〜1013がコネクタ・ケーシング1001の内側に設けられ、継手1002の中央に中空管1003を備えたものとして構成し、中空管1003の外側に継手着装時にコネクタ・ケーシング1001の内側に設けられたセンサ接触子1011〜1013に接触する対応接触子1014〜1016が設けられている。特許文献1に記載のグロープラグ・コネクタは、継手1002の中央の中空管1003に、さらに接触子、即ちグロープラグ・コネクタ着装時にコネクタの大電流接触部1005に接触する大電流接触部1006が設けられている。
【0005】
また、一方の電気コネクタが突起状端子を有するものであり、他方の電気コネクタが筒状端子を有するものとして、定められた方向で嵌合する同軸コネクタではあるが、特許文献2に記載されたものが知られている。
【0006】
特許文献2に記載の同軸コネクタは、図19に示すように、メスコネクタ1110と、オスコネクタ1120とを備えている。
メスコネクタ1110は、メスハウジング1110Hと、メスハウジング1110H内に設けられたメスアウター端子1110Toと、メスアウター端子1110To内に設けられたメスインナー端子1110Tiと、メスアウター端子1110Toとメスインナー端子1110Tiとの間に設けられた誘電体1110Dと、を備えている。
オスコネクタ1120は、オスハウジング1120Hと、オスハウジング1120H内に設けられたオスアウター端子1120Toと、オスアウター端子1120To内に設けられたオスインナー端子1120Tiとを備えている。
この特許文献2に記載の同軸コネクタは、メスハウジング1110Hと誘電体1110Dとを一体成形し、メスインナー端子1110Tiとオスインナー端子1120Tiとの接触部位の全周のシールドを、オスアウター端子1120Toの半円筒部とメスアウター端子1110Toの半円筒部で構成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−207730号公報
【特許文献2】特開2012−129103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2に記載の同軸コネクタでは、メスインナー端子1110Ti(筒状端子)が誘電体1110Dにより同軸状に覆われており、誘電体1110Dがメスハウジング1110H(ハウジング)と一体成形されている。そのため、メスインナー端子1110Tiの外周面は、誘電体材料ではあるが、誘電体1110Dによりしっかりと保持されている。
【0009】
筒状端子をハウジングと一体成形する際には、金型のキャビティ内に、筒状端子を配置して、ハウジングを成形するための成形用樹脂をキャビティに注入することで、キャビティの形状に、ハウジングが成形される。このとき、突起状端子を筒状端子に挿入させて、突起状端子が筒状端子の内周面に接触するスペースを、筒状端子の内部空間に確保する必要がある。
【0010】
特許文献1,2には、ハウジングの成形時の手順についての記載が無い。例えば、単に、金型のキャビティ内に筒状端子を配置して、成形用樹脂をキャビティに注入しただけでは、筒状端子の内部空間に成形用樹脂が流入してしまい、突起状端子が筒状端子に接触するスペースが確保できない。
【0011】
そこで本発明は、ハウジングの成形時に、突起状端子が筒状端子に接触するスペースを確保して、インサート成形により、筒状端子とハウジングとを一体成形することができる電気コネクタおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電気コネクタは、嵌合相手の電気コネクタと嵌合するハウジングと、前記嵌合相手の電気コネクタに形成された突起状端子が挿入されて接触する筒状端子とを備え、前記ハウジングと前記筒状端子とが密着した状態で一体的に形成され、前記筒状端子には、前記突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止機構が形成され、前記樹脂流出防止機構は、前記筒状端子の内部空間に突出した環状凸部であることを特徴とする。
【0013】
本発明の電気コネクタによれば、筒状端子に、突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止機構が形成されたことにより、突起状端子との接触部分への成形用樹脂の流出が防止できる。従って、ハウジングの成形時に、突起状端子が筒状端子に接触するスペースを確保することができる。
【0014】
ウジングと筒状端子とをインサート成形により一体成形するときに、棒状金型を、突起状端子が入り込む筒状端子の先端側から挿入して、樹脂流出防止機構とした環状凸部と接触させることで、棒状金型との隙間が閉鎖される。従って、突起状端子との接触部分を閉鎖することができる。
【0015】
前記環状凸部が形成された前記筒状端子の外周面には、環状凹部が形成されていることが望ましい。この環状凹部に、ハウジングを成形するための成形用樹脂を入り込ませることができる。そうすることにより、環状凹部に入り込んだ成形用樹脂を、筒状端子の引き抜きに対する係止とすることができる。また、筒状端子に環状凸部を形成する際に、筒状端子の外周面から押圧することにより、環状凸部が形成された位置に環状凹部を形成することができるため、一度の加工で、内周面に環状凸部を形成することができ、外周面に環状凹部を形成することができる。
【0016】
前記環状凸部が、前記筒状端子の長手方向に沿って複数形成されていることが望ましい。棒状金型と複数箇所で接触させることができる。成形用樹脂が最初の環状凸部を抜けて流出しても、次の環状凸部により成形用樹脂を止めることができる。従って、確実に、成形用樹脂の流出を防止することができ、突起状端子の挿入スペースを確保することができる。
【0017】
前記筒状端子の基端部と前記環状凸部との間に、貫通孔が形成されていることが望ましい。貫通孔の内部に成形用樹脂を入り込ませることができる。
【0020】
前記ハウジングは、前記嵌合相手の電気コネクタのアウターハウジングに形成された第1嵌合穴に挿入されるインナーハウジングであり、前記インナーハウジングには、前記第1嵌合穴に形成された第1軸部が挿入される第2嵌合穴と、前記第2嵌合穴に形成され、前記第1軸部に形成された案内穴に案内される第2軸部とが形成され、前記筒状端子は、前記第2軸部に形成されていることが望ましい。
嵌合相手の電気コネクタのハウジングがアウターハウジングであり、本発明の電気コネクタのハウジングが、このアウターハウジングに形成された第1嵌合穴に挿入されるインナーハウジングである。インナーハウジングには、第2嵌合穴と第2軸部とが形成されている。従って、アウターハウジングとインナーハウジングとを嵌合させると、インナーハウジングはアウターハウジングの第1嵌合穴に挿入され、インナーハウジングの第2嵌合穴に形成された第2軸部は、案内穴に挿入される。第2軸部に形成された筒状端子が案内穴に挿入されると、案内穴に配置された突起状端子と接触させることができる。
【0021】
前記第1軸部の外周面に設けられた第1接触端子に接触する第2接触端子が、前記第2嵌合穴の内周面に設けられていることが望ましい。アウターハウジングとインナーハウジングとを嵌合させると、筒状端子と突起状端子以外に、第1接触端子と第2接触端子とを接触させることができる。
【0022】
本発明の電気コネクタは、嵌合相手の電気コネクタに形成された突起状端子が挿入されて接触する筒状端子であって、前記突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止用の環状凸部が内部空間に突出した前記筒状端子に、棒状金型を挿入して、前記環状凸部に、前記棒状金型を接触させる工程と、前記筒状端子を支持した状態で金型により型締めして、嵌合相手の電気コネクタと嵌合するハウジングと前記筒状端子とをインサート成形により一体成形する工程とを含む電気コネクタの製造方法により製造することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、突起状端子との接触部分への成形用樹脂の流出が防止できるので、ハウジングの成形時に、筒状端子に突起状端子が挿入されるスペースを確保することができる。従って、本発明は、インサート成形により、筒状端子とハウジングとを一体成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の形態1に係る第1電気コネクタの斜視図である。
図2図1に示す第1電気コネクタの正面図である。
図3図2に示す第1電気コネクタのA−A線断面図である。
図4図1に示す第1電気コネクタの突起状端子の斜視図である。
図5図4に示す突起状端子を展開した状態の平面図である。
図6】本発明の実施の形態1に係る第2電気コネクタの斜視図である。
図7図6に示す第2電気コネクタの正面図である。
図8図7に示す第2電気コネクタのB−B線断面図である。
図9図6に示す第2電気コネクタの筒状端子を斜め上方から見た斜視図である。
図10図4に示す筒状端子を展開した状態の平面図である。
図11図1に示す第1電気コネクタと図6に示す第2電気コネクタとの嵌合を説明するための断面図である。
図12図11に続く第1電気コネクタと第2電気コネクタとの嵌合途中を説明するための断面図である。
図13図12に続く第1電気コネクタと第2電気コネクタとの嵌合が完了した状態を説明するための断面図である。
図14図6に示す第2電気コネクタの製造方法を説明するための断面図である。
図15】本発明の実施の形態2に係る電気コネクタの筒状端子を斜め下方から見た斜視図である。
図16図15に示す筒状端子の側面図である。
図17図15に示す筒状端子の背面図である。
図18】特許文献1に記載のグロープラグ・コネクタを説明するための図である。
図19】特許文献2に記載の同軸コネクタを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においての「前後」という表現は、電気コネクタ同士を嵌合させる側を「前」とし、その反対方向を「後」として表現したものである。
図1に示す第1電気コネクタ10と、本発明に係る電気コネクタである図6に示す第2電気コネクタ20とは、例えば、各種のセンサとワイヤハーネスとを接続するために使用することができる。
【0027】
まず、第1電気コネクタ10の構成について、図1から図5に基づいて説明する。
図1から図3に示す第1電気コネクタ10は、図6に示す第2電気コネクタ20に嵌合するアウターハウジング11と、第2電気コネクタ20と電気的に接続するための接触端子12(第1接触端子)および突起状端子13とを備えている。
【0028】
アウターハウジング11は、円筒状に形成されている。アウターハウジング11は、第1部材111と第2部材112とにより形成されている。
第1部材111は、アウターハウジング11の後端部にて、ケーブルCと端子(接触端子12および突起状端子13)との接続部材を保護するカバー部111aを備えている。第1部材111は、突起状端子13が収容される端子収容室R1が形成された第1軸部114を備えている。第1軸部114は、アウターハウジング11の中心となる軸線の位置に形成されている。第1軸部114は、先端から基端に向かって、軸太さが段階的に太くなるように形成されている。本実施の形態1の第1軸部114では、先端部、中央部、後端部の3段階に拡径している。
第1軸部114には、軸線に沿って、端子収容室R1に通じる案内穴114aが形成されている。
【0029】
第1部材111は、第1軸部114との間に接触端子12が収容される端子収容室R2が形成された周壁部111cを備えている。また、第1部材111には、端子収容室R1,R2に収容された接触端子12および突起状端子13の抜けを防止するランス111d,111eが形成されている。更に、第1部材111には、第2部材112と係止するための係止片111fが形成されている。
【0030】
第2部材112は、第1部材111に連結されると、第1軸部114との間が、第2電気コネクタ20(図6参照)が嵌合する第1嵌合穴115となる円筒形状部材である。
第2部材112により形成された第1嵌合穴115の内周面は、奥行き方向F1に沿って切り欠かれた直線状溝111gが、円周方向に沿って形成されている。
第1部材111と第2部材112との係止部分の内側には、円環状のシール部材113が設けられている。
【0031】
接触端子12は、金属片がU字状に形成された板ばね部121と、端子収容室R2に収容される矩形の筒状の端子本体部122と、ケーブルCを圧着固定するための結束部123とを備えている。
接触端子12は、第1軸部114の外周面に設けられている。接触端子12は、第1嵌合穴115を正面から見て、第1軸部114を中心として、等間隔に配置されている。本実施の形態1では、3つの接触端子12が、第1軸部114の軸太さごとに、かつアウターハウジング11の120度ごとに配置されている。
【0032】
突起状端子13は、第1軸部114の基端部の端子収容室R1に収容されて、第2電気コネクタ20の後述する筒状端子と接触する接続端子である。図4に示すように、突起状端子13は、接触部131と、端子本体部132と、結束部133とを備えている。
接触部131は、所定間隔で並ぶ接触片131aの先端側および基端側に設けられた連設部131bが、中軸部131c(図5参照)を囲うようにC字状に折り曲げられて形成されている。接触片131aの先端側の連設部131bには、先細り形状の傾斜部131dが設けられている。
端子本体部132は、天井部132aの一部がランス111e(図3参照)と係止するために開口した矩形の筒状に形成されている。
【0033】
結束部133は、ケーブルCを圧着固定する。結束部133は、インシュレーションバレル133aと、ワイヤバレル133bとを備えている。
インシュレーションバレル133aは、ワイヤ受け部133sに置かれたワイヤを、両側に突出した突出片133t,133tをワイヤ側に折り曲げることで圧着固定するものである。
ワイヤバレル133bは、芯線受け部133vに置かれたワイヤの芯線を、両側に突出した突出片133t,133tを芯線側に折り曲げ、導通接触した状態で圧着固定するものである。
【0034】
この突起状端子13は、一枚の金属板から作製される。まず、突起状端子13を展開した輪郭形状に、一枚の金属板を打ち抜いて、図5に示す形状のものを作製する。
接触部131の作製は、まず、接触片131aを、接触面側が凸となるように湾曲させる。次に、中軸部131cを接触片131aの凹んだ側に重ねるように、中軸部131cの基端部で折り曲げる。次に、中軸部131cを囲むように、連設部131bをC字状に折り曲げる。更に、傾斜部131dとなる台形状の一対の突出片131fの先端部を先細り形状に折り曲げる。これにより、接触部131が作製される。
【0035】
次に、端子本体部132は、床部132bの前端部と後端部との両側部から双方に突出した矩形状の突出片132mを引き起こし、床部132bの両側に位置する側壁部132cとすると共に、更に、双方の突出片132mの先端を折り曲げ、重ね合わせることで、天井部132aを形成する。これにより、端子本体部132が作製される。
【0036】
連設部131bがC字状に折り曲げられ、突出片132mが引き起こされて側壁部132cが立ち上がることで、接触部131と端子本体部132との間に、連設部131bの直径となる幅から、一対の側壁部132cの幅へ拡がる撓み部134が形成される。
【0037】
結束部133では、まず、被覆部分を剥がし、芯線を露出させたケーブルCをワイヤ受け部133sに配置すると共に、露出した芯線を芯線受け部133vに配置する。次に、突出片133t,133tをワイヤ側に折り曲げると共に、突出片133t,133tを芯線側に折り曲げる。これにより、ケーブルCが、結束部133に導通接触した状態で圧着固定される。
【0038】
次に、第2電気コネクタ20の構成について、図6から図10に基づいて説明する。
図6から図8に示す第2電気コネクタ20は、図1に示す第1電気コネクタ10に嵌合するインナーハウジング21(ハウジング)と、第1電気コネクタ10の接触端子12(第1接触端子)と電気的に接続するための接触端子22(第2接触端子)および筒状端子23とを備えている。
【0039】
インナーハウジング21には、第1電気コネクタ10(図1参照)の第1軸部114が挿入される第2嵌合穴211が、インナーハウジング21の前部の周壁部212により形成されている。第2嵌合穴211は、開口部から奥側に向かって、段階的に内径が狭くなるように形成されている。周壁部212部の外周面212aであって、第1電気コネクタ10の第1嵌合穴115に挿入されて、第1嵌合穴115の内周面に接触する外周面212aの前部は、突起状のものが形成されていない円筒状部212bである。外周面212aの後部は、直線状凸部212cが円周方向に沿って並ぶ歯車状部212dである。
【0040】
第2嵌合穴211には、第2軸部213が形成されている。第2軸部213は、円筒形状に形成されている。第2軸部213の内部には、筒状端子23が配置されている。
接触端子22は、インナーハウジング21に3つ設けられている。接触端子22は、円筒形状の接触部221と、直線状の接続部222とを備えている。
接触部221は、接触端子12の板ばね部121に接触するものである。接触部221は、3段階に変わる第2嵌合穴211の内径のそれぞれに配置されている。3つ接触部221は、それぞれの第2嵌合穴211の内径に合わせて、異なる直径で形成されている。
接続部222は、接触部221からインナーハウジング21の後端部へ向かってまっすぐ延びて、先端部がインナーハウジング21から露出してプリント配線基板に接続される。
【0041】
筒状端子23は、第2軸部213の内部に配置されている。筒状端子23は、突起状端子13が挿入される側である先端部を、第2軸部213から露出させ、かつ、第2軸部213と密着した状態で一体的に配置されている。
筒状端子23は、図9に示すように、円筒状に形成された筒部231を備えている。また、筒状端子23は、筒部231の後端部から撓み部232を介してL字状に形成された接続部233を備えている。
【0042】
筒部231は、突起状端子13が挿入される位置より奥側の中央部に、内部空間に突出する環状凸部231a(凸部)が、突起状端子13との接触部分に対する樹脂流出防止機構として形成されている。
本実施の形態1では、環状凸部231aが、筒部231の軸線に沿って2か所に形成されている。この環状凸部231aが形成された位置の外周面には、環状凹部231bが形成されている。また、筒部231の基端部には、細長で矩形状の切り欠き部231cが形成されている。更に、筒部231の基端部には、筒部231の外側と内側とを連通する貫通孔231dが形成されている。本実施の形態1では、貫通孔231dが、筒部231の軸線に沿って3か所に形成されている。
【0043】
接続部233は、筒部231から直角に折れ曲がり、更に、直角に、かつ筒部231と平行に折れ曲がる板状部233aを備えている。また、接続部233は、撓み部232側を基端としたときの板状部233aの先端面から突出した針部233bを備えている。
【0044】
この筒状端子23は、一枚の金属板から作製される。まず、一枚の金属板を、筒状端子23を展開した輪郭形状に打ち抜いて、図10に示す形状のものを作製する。
次に、筒部231の一部となる第1部分231fを押圧する点状の突起部と、筒部231の第1部分231fの残余部分となる第2部分231gを押圧する直線状凸部とが形成されたプレス金型を、筒部231の外周面となる一方の面に押圧する。
このプレス金型の直線状凸部の押圧によるビード加工により、一方の面側の出っ張りが環状凸部231aとなり、他方の面側の凹みが環状凹部231bとなる。また、プレス金型の点状の突起部の押圧により穿孔されて貫通孔231dとなる。
【0045】
次に、第1部分231fと、この第1部分231fより幅が広い第2部分231gとに、丸棒状の金型を配置し、丸棒状の金型を中心にして、第1部分231fおよび第2部分231gを丸めて、第1部分231fおよび第2部分231gのそれぞれの側端部同士を突き合わせる。そうすることで、筒部231が形成される。
【0046】
接続部233は、筒部231から直角に折り曲げ、更に、直角に、かつ筒部231と平行に折り曲げる。そうすることで、接続部233が作製される。
第1部分231fと第2部分231gとが筒状に湾曲することで、筒部231と接続部233との間に、筒部231の円弧部分から接続部233の板状部分まで、板幅が徐々に拡がる撓み部232が形成される。
【0047】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る第1電気コネクタ10および第2電気コネクタ20の使用状態について、図面に基づいて説明する。
図11に示すように、第1電気コネクタ10を第2電気コネクタ20に、または第2電気コネクタ20を第1電気コネクタ10に接近させ、アウターハウジング11の第1嵌合穴115に、インナーハウジング21の周壁部212の先端部を位置合わせすると共に、第1軸部114の案内穴114aに、インナーハウジング21の第2軸部213の先端部を位置合わせする。
【0048】
次に、インナーハウジング21の周壁部212を、第1嵌合穴115の奥行き方向F1に進行させると共に、インナーハウジング21の第2軸部213を、案内穴114aの奥行き方向F1に進行させる。
インナーハウジング21の周壁部212の前部は、突起状のものが無い円筒状部212bである。そのため、周壁部212の前部が、アウターハウジング11の第1嵌合穴115に挿入された状態では、アウターハウジング11の直線状溝111gに、インナーハウジング21の直線状凸部212cが嵌っていない。従って、作業者が第1電気コネクタ10のアウターハウジング11または第2電気コネクタ20のアウターハウジング21のいずれかを軸回転させながら挿入することができる。作業者は、軸回転による嵌合方向を気にせず、インナーハウジング21をアウターハウジング11に対して進行させることができる。
よって、第2電気コネクタ20は、第1電気コネクタ10に対して、軸回転に対する嵌合方向に制限が無い電気コネクタとすることができる。
【0049】
インナーハウジング21の周壁部212の後部まで、アウターハウジング11の第1嵌合穴115に進行した状態では、周壁部212の直線状凸部212cが、アウターハウジング11の直線状溝111gに嵌る。従って、アウターハウジング11とインナーハウジング21が軸回転することが規制される。この状態で、図12に示すように、突起状端子13が、筒状端子23に挿入し始め接触する。また、第2電気コネクタ20に形成された接触端子22が、第1電気コネクタ10に形成された接触端子12の板ばね部121に接触する。
突起状端子13が筒状端子23に接触し、接触端子22が板ばね部121に接触した状態で、アウターハウジング11またはインナーハウジング21の軸回転が規制されるため、それぞれの端子同士が軸回転方向に擦れ合って、傷付いたり、摩耗したりすることを防止することができる。
【0050】
筒状端子23の軸線と、突起状端子13の軸線がずれていると、突起状端子13が筒状端子23に挿入し始めるときに、突起状端子13の接触部131の挿入姿勢が、筒状端子23の内周面に摺動しながら矯正される。
しかし、突起状端子13は、端子収容室R1に隙間がある状態で収容され、ランス111eにより係止された状態である。そのため、突起状端子13の接触部131が筒状端子23により挿入姿勢が矯正されても、端子収容室R1の中で、突起状端子13の端子本体部132が矯正される方向にずれることで、突起状端子13を筒状端子23の軸線の方向に追従させることができる。
【0051】
また、突起状端子13には、接触部131と端子本体部132との間に撓み部134が形成されている。そのため、接触部131が筒状端子23に挿入されて向きが変わると、撓み部134が弾性変形する。従って、接触部131の挿入姿勢が、筒状端子23により矯正されても、端子本体部132に対して、矯正の影響を小さくすることができる。
【0052】
更に、第1電気コネクタ10と第2電気コネクタ20との嵌合が進行することで、図13に示すように、インナーハウジング21の周壁部212が、アウターハウジング11の第1嵌合穴115の奥まで進み、アウターハウジング11の第1軸部114がインナーハウジング21の第2嵌合穴211の奥まで進み、インナーハウジング21の第2軸部213が第1軸部114の案内穴114aの奥まで進む。
この状態で、第1軸部114の外周面に設けられた、それぞれの接触端子12は、インナーハウジング21の内周面に設けられた接触端子22の接触部221のそれぞれに接触する。また、突起状端子13の接触部131は、筒状端子23の筒部231内に挿入されて接触した状態である。
接触部131は全周にわたって接触片131aが接触面を外側に向けて配置されているため、接触部131を筒部231の内周面に安定した状態で接触させることができる。
このようにして、第1電気コネクタ10と第2電気コネクタ20とが嵌合する。
【0053】
次に、第2電気コネクタ20の製造方法について、図14に基づいて説明する。
まず、第2電気コネクタ20のインナーハウジング21を成形するキャビティが形成された金型(図示せず)に、接触端子22および筒状端子23がセットされる。
金型に接触端子22および筒状端子23がセットされることで、接触端子22の接続部222が金型により支持される。また、筒状端子23の筒部231の先端部が、金型により支持される。
【0054】
そして、図14に示すように、棒状金型30が、突起状端子13(図12参照)が挿入される筒状端子23の先端側から挿入される。棒状金型30の直径は、筒部231の開口部より細く、環状凸部231aによる内径に合わせて形成されている。
棒状金型30が筒状端子23の筒部231に挿入されると、棒状金型30は、筒部231の先端部より細いため、何ら抵抗なく筒部231内を進行することができる。しかし、棒状金型30が環状凸部231aの位置まで進むと、棒状金型30の直径が環状凸部231aによる内径に合わせて形成されている。そのため、棒状金型30は環状凸部231aとの摺動による抵抗を受けながらも、強い押し込み力により進む。
本実施の形態1では、環状凸部231aが2か所に形成されているため、筒部231の奥側に位置する環状凸部231aに接触するまで、棒状金型30を挿入する。そうすることで、2つの環状凸部231aが棒状金型30と接触した状態となる。
【0055】
この状態で、棒状金型30が支持されると、キャビティへ溶融した成形用樹脂が注入される。この成形用樹脂の注入によりインナーハウジング21が成形される。
このとき、筒状端子23の筒部231には、筒部231の後端部(筒部231と接続部233の接続部分)の開口から筒状端子23内に成形用樹脂が流入する。しかし、筒部231には、棒状金型30が挿入され、樹脂流出防止機構として機能する環状凸部231aと接触することで、筒状端子23と棒状金型30との隙間を閉鎖している。そのため、成形用樹脂は、環状凸部231aが形成された位置から筒部231の先端側へは流出しない。
【0056】
従って、筒状端子23の突起状端子13との接触部分への成形用樹脂の流出が防止されるので、インナーハウジング21の成形時に、筒状端子23に突起状端子13が挿入されるスペースを確保することができる。このようにインサート成形により成形されたインナーハウジング21は、接触端子22および筒状端子23と、密着した状態で一体的に形成される。
【0057】
環状凸部231aは、筒部231に複数形成されているため、成形用樹脂の注入にて、万が一に最初の環状凸部231aを抜けて流入しても、次の環状凸部231aにより流入を阻止することができるので、確実に、成形用樹脂の流入を防止することができ、突起状端子13の挿入スペースを確保することができる。
【0058】
環状凸部231aが形成された筒部231の外周面に、ビード加工により環状凹部231bが形成されていることで、インナーハウジング21と筒状端子23との接触面積が増え、成形用樹脂が環状凹部231bに入り込むことで、インナーハウジング21の凸部となるため、第1電気コネクタ10を第2電気コネクタ20から引き抜くときに、突起状端子13との摺動により筒状端子23が一緒に第2軸部213から引き抜かれてしまうことを防止することができる。
【0059】
更に、筒状端子23は、環状凸部231aより先端側には、成形用樹脂が流入しないが、環状凸部231aより後端側には成形用樹脂が流入する。この成形用樹脂が流入する筒部231の後端部に、貫通孔231dが形成されている。貫通孔231d内に成形用樹脂が入り込むことで、インナーハウジング21に対する引っ掛かりとなる。そのため、筒状端子23の引き抜きに対する強度を向上させることできる。従って、筒状端子23が引き抜かれてしまうことを確実に防止することができる。
また、貫通孔231dが、筒部231に形成されていることで、成形用樹脂は、筒部231の基端からだけでなく、貫通孔231dからも流入するため、貫通孔231dは、筒部231の基端から環状凸部231aまでの内部空間への成形用樹脂の流入を促進することができる。
【0060】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る電気コネクタについて、図面に基づいて説明する。
本実施の形態2に係る電気コネクタは、筒状端子に、突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止機構として閉鎖部が形成されている。
【0061】
図15から図17に示すように、筒状端子23xは、実施の形態1と同様に、図6に示す第2電気コネクタ20のインナーハウジング21の第2軸部213の内部に配置される。
筒状端子23xは、円筒状に形成された筒部231xを備えている。筒部231xは、突起状端子13が挿入される位置より奥側の中央部に、内部空間に突出する環状凸部231a(凸部)が、突起状端子13との接触部分に対する樹樹脂流出防止機構として形成されている。本実施の形態2では、環状凸部231aが、筒部231の1か所に形成されている。この環状凸部231aが形成された位置の外周面には、環状凹部231bが形成されている。
【0062】
筒部231xより後ろ側には、減厚部234が形成されている。減厚部234は、円筒状の筒部231xから、後述する接続部が延びる方向の厚み(直径)が薄くなるように、第1方向A1の直径はそのままに、第1方向A1と直交する第2方向の直径を徐々に小さくした後に、平坦状にしたものである。
更に、減厚部234より後ろ側であり、筒状端子23xの基端部には、閉鎖部235が形成されている。閉鎖部235は、減厚部234の第1方向A1の幅が拡がって形成されている。
【0063】
また、筒状端子23xは、筒部231xの後端部からL字状に形成された接続部233xを備えている。接続部233xは、閉鎖部235から直角に折れ曲がり、更に、直角に、かつ筒部231xと平行に折れ曲がる板状部233aを備えている。また、接続部233は、閉鎖部235側を基端としたときの板状部233aの先端面から突出した針部233bを備えている。
【0064】
この筒状端子23xは、一枚の金属板から作製される。まず、一枚の金属板を、筒状端子23xを展開した輪郭形状に打ち抜く。
次に、筒部231x、減厚部234および閉鎖部235の外周面となる長方形状の金属板の一方の面に、直線状凸部が形成されたプレス金型を押圧する。このプレス金型の直線状凸部の押圧によるビード加工により、一方の面側の出っ張りが環状凸部231aとなり、他方の面側の凹みが環状凹部231bとなる。
【0065】
次に、ビード加工が施された金属板に丸棒状の金型を配置し、丸棒状の金型を中心にして丸め、側端部同士を突き合わせる。そうすることで、筒状端子23xを展開した輪郭形状の金属板は、筒部231xと、潰れる前の減厚部234および閉鎖部235とが、直径が同じ一体的な金属筒となる。
次に、この金属筒の閉鎖部235に相当する位置を挟むように押圧して潰し加工を施す。潰し加工を施すことで、閉鎖部235は、筒状から扁平状に圧縮されて、押圧方向と直交する方向が拡がり、内部空間の隙間が無くなる。減厚部234は、閉鎖部235が扁平状に押し潰される際に、一緒に、閉鎖部235の押圧方向に直径が徐々に圧縮される。
このようにして、一枚の金属板から、筒状端子23xの筒部231x、減厚部234および閉鎖部235が形成される。
【0066】
接続部233は、筒部231xから直角に折り曲げ、更に、直角に、かつ筒部231xと平行に折り曲げる。そうすることで、接続部233が作製される。
【0067】
以上のようにして形成された筒状端子23xは、インサート成形によりインナーハウジング21と一体成形するときには、実施の形態1と同様に、第2電気コネクタ20のインナーハウジング21を成形するキャビティが形成された金型(図示せず)に、接触端子22および筒状端子23xがセットされる。
金型に接触端子22および筒状端子23xがセットされることで、接触端子22の接続部222が金型により支持される。また、筒状端子23xの筒部231xの先端部が、金型により支持される。
そして、成形用樹脂がキャビティに注入される。突起状端子13(図4参照)が挿入される筒状端子23xの先端とは反対側の基端部に、樹脂流出防止機構として機能する閉鎖部235が形成されていることで、筒状端子23xの基端部は閉じられた状態である。この閉鎖部235により、成形用樹脂が筒状端子23xの基端部から内部空間に流入することを防止することができる。従って、筒状端子23xは、突起状端子13との接触部分への成形用樹脂の流出を防止することができる。
【0068】
また、閉鎖部235はプレス加工により形成されていることで、筒状端子23xの基端部側を容易に閉鎖することができる。
【0069】
なお、本実施の形態1,2では、筒状端子23,23xが円筒状に形成されているが、突起状端子13の接触片131aが筒状端子の内周面に接触できればよいので、筒状端子は多角筒状でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
発明の電気コネクタおよびその製造方法は、グロープラグに用いられるコネクタや、燃焼圧センサとワイヤハーネスとを接続するコネクタなどの電気コネクタや、ケーブル同士を接続する電気コネクタなど、各種電気・電子機器用の電気コネクタ、あるいは車載用の電気コネクタに使用でき、電気・電子産業や自動車産業などの分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 第1電気コネクタ
11 アウターハウジング
111 第1部材
111a カバー部
111c 周壁部
111d,111e ランス
111f 係止片
111g 直線状溝
112 第2部材
113 シール部材
114 第1軸部
114a 案内穴
115 第1嵌合穴
12 接触端子
121 板ばね部
122 端子本体部
123 結束部
13 突起状端子
131 接触部
131a 接触片
131b 連設部
131c 中軸部
131d 傾斜部
131f 突出片
132 端子本体部
132a 天井部
132b 床部
132c 側壁部
132m 突出片
133 結束部
133a インシュレーションバレル部
133b ワイヤバレル部
133s ワイヤ受け部
133t 突出片
133v 芯線受け部
134 撓み部
20 第2電気コネクタ
21 インナーハウジング
211 第2嵌合穴
212 周壁部
212a 外周面
212b 円筒状部
212c 直線状凸部
212d 歯車状部
213 第2軸部
22 接触端子
221 接触部
222 接続部
23,23x 筒状端子
231,231x 筒部
231a 環状凸部(樹脂流出防止機構)
231b 環状凹部
231c 切り欠き部
231d 貫通孔
231f 第1部分
231g 第2部分
232 撓み部
233,233x 接続部
233a 板状部
233b 針部
234 減厚部
235 閉鎖部(樹脂流出防止機構)
30 棒状金型
C ケーブル
R1,R2 端子収容室
F1 奥行き方向
A1 第1方向
A2 第2方向
【要約】
【課題】ハウジングの成形時に、突起状端子が筒状端子に接触するスペースを確保して、インサート成形により、筒状端子とハウジングとを一体成形することができる電気コネクタおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】第2電気コネクタ20は、第1電気コネクタのアウターハウジングと嵌合するインナーハウジング21と、第1電気コネクタの突起状端子が挿入されて接触する筒状端子23と備えている。このインナーハウジング21と筒状端子23とは、インサート成形により一体成形される。筒状端子23には、突起状端子との接触部分に対する樹脂流出防止機構として機能する環状凸部231aが、内部空間に突出している。インサート成形する際には、棒状金型30を筒状端子23の先端から挿入して、環状凸部231aに接触させて、筒状端子23と棒状金型30との隙間を閉鎖する。成形用樹脂は、環状凸部231aが形成された位置から先端側へは流出しない。
【選択図】図14
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19