(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パターンが形成された面光源から光を平板状の測定対象物に照射し、前記測定対象物で入射角度と等しい角度で反射した光をカメラに入射させて撮影することで、前記面光源に形成されたパターンに相当するパターン画像を取得し、前記パターン画像から前記測定対象物の面形状を計算する面形状測定装置において、
前記面光源に形成されたパターンのそれぞれの位置における、前記測定対象物の面近傍に設定した基準平面からの高さと、前記面光源に形成されたパターンのそれぞれの位置における、前記カメラの受光器の位置ごとの、前記カメラに入射する反射光の光軸が前記基準平面に交差する箇所までの距離と、前記カメラの受光器の位置ごとの、前記カメラに入射する反射光の光軸が前記基準平面と交差する角度とが予め前記面形状測定装置には記憶されており、
前記面光源を、前記測定対象物と前記カメラに対し相対的に、前記測定対象物の面近傍に設定した基準平面に前記カメラの結像レンズの光軸を投影させた方向に設定距離だけ移動する前と後で、前記カメラによる撮影により第1のパターン画像と第2のパターン画像を取得し、前記取得した第1のパターン画像と第2のパターン画像のパターンを前記面光源に形成されたパターンに対応付けるとともに、前記記憶されている高さ、距離及び角度と、前記設定距離とを用いて、前記測定対象物の光が照射された面の各点における位置及び傾きを計算することを特徴とする面形状測定装置。
パターンが形成された面光源から光を平板状の測定対象物に照射し、前記測定対象物で入射角度と等しい角度で反射した光をカメラに入射させて撮影することで、前記面光源に形成されたパターンに相当するパターン画像を取得し、前記パターン画像から前記測定対象物の面形状を計算する面形状測定装置において、
前記面光源を、前記測定対象物と前記カメラに対し相対的に既知の方向に既知の距離だけ移動する前と後で、前記カメラによる撮影により第1のパターン画像と第2のパターン画像を取得し、前記取得した第1のパターン画像と第2のパターン画像とから、前記測定対象物の光が照射された面の各点における位置及び傾きを計算する面形状測定装置であって、
前記面光源から出射される光を偏光にする手段と、
前記測定対象物で反射した光がカメラに入射する前に配置した偏光板と、
前記偏光板の透過軸方向を変化させる透過軸方向変化手段とを備え、
前記カメラによる撮影は、前記偏光板の透過軸方向を変化させた少なくとも2つの場合で行うことにより、前記測定対象物の表面での反射光によるパターン画像と前記測定対象物の境界面での反射光によるパターン画像とを取得することを特徴とする面形状測定装置。
パターンが形成された面光源から光を平板状の測定対象物に照射し、前記測定対象物で入射角度と等しい角度で反射した光をカメラに入射させて撮影することで、前記面光源に形成されたパターンに相当するパターン画像を取得し、前記パターン画像から前記測定対象物の面形状を計算する面形状測定方法において、
前記面光源に形成されたパターンのそれぞれの位置における、前記測定対象物の面近傍に設定した基準平面からの高さと、前記面光源に形成されたパターンのそれぞれの位置における、前記カメラの受光器の位置ごとの、前記カメラに入射する反射光の光軸が前記基準平面に交差する箇所までの距離と、前記カメラの受光器の位置ごとの、前記カメラに入射する反射光の光軸が前記基準平面と交差する角度とを予め記憶しておき、
前記面光源を、前記測定対象物と前記カメラに対し相対的に、前記測定対象物の面近傍に設定した基準平面に前記カメラの結像レンズの光軸を投影させた方向に設定距離だけ移動する前と後で、前記カメラによる撮影により第1のパターン画像と第2のパターン画像を取得し、前記取得した第1のパターン画像と第2のパターン画像のパターンを前記面光源に形成されたパターンに対応付けるとともに、前記記憶しておいた高さ、距離及び角度と、前記設定距離とを用いて、前記測定対象物の光が照射された面の各点における位置及び傾きを計算することを特徴とする面形状測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態における面形状測定装置の構成について
図1乃至
図3を用いて説明する。この面形状測定装置は、タッチパネル機器における透明基板の表面形状、及び透明基板とLCD(液晶ディスプレイ)の境界面形状を測定するものであり、カメラ10、面光源20、面光源駆動機構30、偏光板回転機構40、コンピュータ装置50、ステージSt、及び各種回路から成る。
【0015】
面光源20は、大型のLCD(液晶ディスプレイ)であり、通常のLCDのようにバックライト、液晶パネル等からなる。面光源20に後述する面光源用電源装置22から通電がされ、後述するパターンデータ出力回路24からデータが入力すると、画面にストライプ状の縞が
図1の紙面垂直方向に形成される。これは、面光源20のバックライトから出射された光がストライプ状に透過率が高い箇所と低い箇所が形成された液晶パネルを介して外部に出射され、これを目視するとストライプ状の縞パターンとして見えるものである。以下、このストライプ状の縞を照明パターンという。面光源20の断面構造は通常のLCDと同じであり、
図3に示すように、バックライトからの光は偏光フィルタを通って外部に出射する。よって、面光源20から出射された光は偏光方向が1方向の光になっている。
【0016】
面光源用電源装置22は後述するコントローラ51から作動開始の指令が入力すると、面光源20のバックライト、液晶パネル等に通電を行う。パターンデータ出力回路24は、後述するコントローラ51から作動開始の指令が入力すると、面光源20の液晶パネルに透過率が高い箇所と低い箇所をストライプ状に形成するためのデータ、すなわちストライプ状の縞を形成するためのデータを出力する。そして、コントローラ51から作動停止の指令が入力すると、面光源用電源装置22及びパターンデータ出力回路24は、通電およびデータ出力を停止する。
【0017】
カメラ10はデジタルカメラであり、後述するコントローラ51から作動開始の指令が入力すると、撮影画像のデジタルデータを設定された時間間隔でコントローラ51に出力する。カメラ10は、測定対象物OBで入射角度と等しい角度で反射した反射光を結像レンズから入射し、CCD又はCMOSからなる受光器で受光して、面光源20に形成される照明パターンに対応するパターン画像をデジタルデータで出力する。面光源20からの光は平行光ではないため、結像レンズに入射する光は面光源20から出射される光の一部であり、結像レンズに入射する光の光軸が測定対象物OBの表面と交差する点の法線に対し、入射光の成す角度と反射光の成す角度が等しい光のみが結像レンズに入射する。これは、カメラ10はミラーを介して対象物を撮影するように、測定対象物OBの表面を介して面光源20の照明パターンを撮影すると見ることができる。すなわち、カメラ10の受光器の位置ごと(パターン画像の位置ごと)に、像を形成するための測定対象物OBへの入射光の光軸、および測定対象物OBからの反射光の光軸が存在すると見なすことができる。なお、後述するように偏光板41の透過軸方向を変化させることにより、測定対象物OBの表面の他に、測定対象物OBの境界面を介して照明パターンを撮影することができる。
【0018】
コンピュータ装置50は、コントローラ51、入力装置52及び表示装置53からなる。コントローラ51は、CPU、ROM、RAM、大容量記憶装置などを備えたマイクロコンピュータを主要部とした電子制御装置であり、大容量記憶装置に記憶されたプログラムを実行してカメラ10及び各種回路の作動を制御する。また、カメラ10から入力した画像データを基に表示用の画像データを作成すると共に、予めインストールされている演算プログラムによりカメラ10から入力した画像データを用いて測定対象物OBの表面および境界面の形状を計算する。入力装置52は、コントローラ51に接続されて、作業者により、各種パラメータ、測定指示などの入力のために利用される。表示装置53は、表示画面上にカメラ10による撮影画像、測定における各種の設定状況、装置の作動状況、及び面形状の測定結果などを表示する。
【0019】
カメラ10の結像レンズの手前には偏光板41が配置されており、カメラ10の結像レンズに入射する光は偏光板41の透過軸方向の偏光のみが入射する。偏光板41は外周部が金属性のリングになっており、枠体42に回転可能に係合している。そして、偏光板41の外周部の縁は連続する凹凸(歯)が作成されており、モータ44の回転部の歯と噛み合うようになっている。よって、モータ44が回転すると偏光板41も回転し、偏光板41の透過軸方向が変化する。なお、枠体42には、偏光板41の回転を停止させるためのストッパが設けられている。
【0020】
モータ44は、後述するモータ制御回路48から入力する駆動信号により正回転又は逆回転し、偏光板41の回転位置を変化させる。モータ44内にはエンコーダ44aが組み込まれており、エンコーダ44aは、モータ44が所定の微小回転角度だけ回転するたびに、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を後述する回転角度検出回路46に出力する。このパルス列信号は位相の異なった2つがあり、2つのパルス列信号の位相関係により、モータ44が正回転か逆回転かを判別することができる。
【0021】
モータ制御回路48は、コントローラ51から回転位置(回転角度)を表す値を入力すると、後述する回転角度検出回路46から入力する回転位置が、コントローラ51から入力した回転位置に合うまで、モータ44を正回転又は逆回転させる駆動信号を出力する。これにより、偏光板41はコントローラ51から指令された回転位置になる。回転角度検出回路46は、エンコーダ44aから入力するパルス列信号のパルス数をカウントすると共に、2つのパルス列信号から回転方向を判別し、正回転又は逆回転に応じて、カウントしたパルス数をそれまでの積算カウント値に加算または減算して新たな積算カウント値とする。積算カウント値は回転位置を表す値であり、この値がコントローラ51及びモータ制御回路48に出力される。積算カウント値の初期の値は、面形状測定装置に電源が投入されたとき、コントローラ51からモータ制御回路48と回転角度検出回路46に駆動限界位置への駆動指令が入力されることで設定される。この指令が入力すると、モータ制御回路48はモータ44を逆回転させる駆動信号を出力し、回転角度検出回路46は入力するパルス信号のパルス数をカウントし、カウントしなくなった時点でモータ制御回路48に停止指令を出力して積算カウント値を0にする。すなわち、枠体42に設けられたストッパで回転が停止する位置が回転位置(回転角度)0となる。また、モータ制御回路48は、予め回転速度が設定されており、モータ44に駆動信号を出力する際、エンコーダ44aから入力するパルス信号の単位時間当たりのパルス数が、設定された回転速度に相当するパルス数になるよう、駆動信号の強度を制御する。これにより、偏光板41が回転するときの回転速度は設定された速度になる。
【0022】
上述したように、面光源20から出射される光も偏光方向が1方向の光であり、カメラ10に入射する光も偏光方向が1方向の光である。そして、発明者が確認したところ、タブレットPCやスマートフォン等のタッチパネル機器に偏光方向が1方向の光を照射すると、透明基板の表面での反射光及び透明基板とLCDの境界面での反射光が発生するが、これら2つの反射光の偏光方向は異なっていることがわかった。よって、予め偏光板41の透過軸方向が2つの反射光の偏光方向に合うための、偏光板41の回転位置をそれぞれ求めてコントローラ51に記憶しておき、その回転位置を表す値をコントローラ51からモータ制御回路48に出力すれば、測定対象物OBの表面からの反射光による撮影画像と境界面からの反射光による撮影画像をそれぞれ得ることができる。
【0023】
面光源20は面光源駆動機構30の移動体32に固定されており、面光源駆動機構30の駆動により
図1の横方向に移動する。
図1の横方向は、カメラ10の結像レンズの光軸を後述するステージStの表面に投影した方向であり、言い方を変えるとステージStの表面に平行であり、結像レンズの光軸を含みステージStの表面の法線に平行な平面に平行な方向である。
【0024】
面光源駆動機構30は、支持部材31、移動体32、フィードモータ36、スクリューロッド34等から構成される。フィードモータ36は、面光源駆動機構30内に固定されており、スクリューロッド34は、
図1の横方向に延設されていて、その一端部がフィードモータ36の出力軸に連結されている。スクリューロッド34の他端部は、支持部材31内に設けた軸受部33に回転可能に支持されている。また、移動体32は、支持部材31の対向する1対の板状のガイドにより挟まれていて、スクリューロッド34の軸線方向に沿って移動可能となっている。よって、フィードモータ36を正回転又は逆回転駆動させると、フィードモータ36の回転運動が移動体32の直線運動に変換される。フィードモータ36内には、エンコーダ36aが組み込まれており、エンコーダ36aは、フィードモータ36が所定の微小回転角度だけ回転するたびに、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を位置検出回路38及びフィードモータ制御回路37へ出力する。
【0025】
フィードモータ制御回路37及び位置検出回路38には、面形状測定装置に電源が投入されたとき、コントローラ51から駆動限界位置への駆動指令が入力し、フィードモータ制御回路37は、フィードモータ36を駆動して移動体32をステージSt側へ移動させる。位置検出回路38は、エンコーダ22aから出力されるパルス列信号が入力されなくなると、移動体32が
図1右方向の移動限界位置に達したことを表す信号をフィードモータ制御回路37に出力し、カウント値を「0」に設定する。フィードモータ制御回路37は、位置検出回路38から移動限界位置を表す信号が入力すると、フィードモータ36への駆動信号の出力を停止する。この移動限界位置が移動体32の原点位置となり、位置検出回路38は、原点位置を積算カウント値0とする。そして、移動体32が移動すると、エンコーダ36aから入力するパルス列信号のパルス数をカウントすると共に、回転方向(移動方向)を判別し、それまでの積算カウント値に加算または減算して新たな積算カウント値としてフィードモータ制御回路37及びコントローラ51に出力する。この積算カウント値が移動体32の移動位置である。なお、積算カウント値を長さの単位に換算して出力してもよい。
【0026】
フィードモータ制御回路37は、コントローラ51から移動体32の移動位置を表す値が入力すると、その移動位置に応じてフィードモータ36を正回転又は逆回転させる駆動信号を出力し、位置検出回路38から入力する移動位置がコントローラ51から入力した移動位置に等しくなると駆動信号を停止する。これにより、コントローラ51から指令された移動位置に面光源20を位置させることができる。また、フィードモータ制御回路37は、予め移動体32の移動速度が設定されており、フィードモータ36に駆動信号を出力する際、エンコーダ36aから入力するパルス信号の単位時間当たりのパルス数が、設定された移動速度に相当するパルス数になるよう、駆動信号の強度を制御する。これにより、移動体32の移動速度は設定された速度になる。
【0027】
ステージStは、測定対象物OBであるタブレットPCやスマートフォン等のタッチパネル機器を載置する平板状のものである。ステージStの表面には、カメラの結像レンズの光軸が測定対象物OBの中心付近と交差する位置に測定対象物OBが載置されるように、測定対象物OBの側面を押し当てる突起Tがある。また、この突起Tは底面に固定されたピンによりステージStの表面に抜き差しが可能であり、ステージStの表面にはそれぞれの測定対象物OBの形状と大きさに合わせた位置に抜き差し用の穴が形成されている。作業者は、測定対象物OBに合った位置に突起Tをセットして測定対象物OBを載置する。
【0028】
このように構成した面形状測定装置により測定対象物OBの面形状を測定する際の、作業者の操作及び装置の作動について説明する。及び、取得されたパターン画像から面形状を計算する際の演算方法についても説明する。
【0029】
まず、作業者は面形状測定装置の電源を投入し、ステージStの測定対象物OBの形状と大きさに合う位置に突起Tをセットして、測定対象物OBを突起Tに押し付けるようにしてステージStに載置する。次に、入力装置52から測定開始を入力する。この指令に応答してコントローラ51は
図4に示すフローの制御プログラムの実行を開始する。
【0030】
コントローラ51はステップS11でカメラ10と各回路に作動開始の指令を出力する。これにより面光源用電源装置22は面光源20に通電を行い、パターンデータ出力回路24は面光源20にストライプ状の縞を表示させるデータを出力する。これにより、面光源20には照明パターンが表示される。また、カメラ10は撮影画像データのコントローラ51への出力を開始し、表示装置53にはカメラ10による撮影画像が表示される。
【0031】
次にステップS12にて、コントローラ51はフィードモータ制御回路37に予め記憶されている第1の移動位置を出力することで、面光源20を第1位置に移動させる。コントローラ51は位置検出回路38から入力する移動位置が第1位置になるまで待ち、次のステップS13へ行く。コントローラ51はステップS13にてモータ制御回路48に回転位置Sを出力することで偏光板41を回転させ、偏光板41の透過軸方向が測定対象物OBの表面からの反射光の偏光方向と合うようにする。回転位置Sの値は予め測定対象物OBと同じ仕様の物体に対して偏光板41を回転させながらカメラ10による撮影画像を見ることで得られ、コントローラ51に記憶されている。コントローラ51は回転角度検出回路46から入力する回転位置が回転位置Sになるまで待ち、次のステップS14へ行く。
【0032】
コントローラ51はステップS14にて、カメラ10から入力している撮影画像データをメモリ内に記憶する。記憶されるデータはカメラ10の画素位置と明度値とを組にしたデータである。次にコントローラ51はステップS15にて、モータ制御回路48に回転位置Bを出力することで偏光板41を回転させ、偏光板41の透過軸方向が測定対象物OBの境界面からの反射光の偏光方向と合うようにする。回転位置Bの値も、予め測定対象物OBと同じ仕様の物体に対して偏光板41を回転させながらカメラ10による撮影画像を見ることで得られ、コントローラ51に記憶されている。コントローラ51は回転角度検出回路46から入力する回転位置が回転位置Bになるまで待ち、次のステップS16へ行く。
【0033】
コントローラ51はステップS16にて、カメラ10から入力している撮影画像データをメモリ内に記憶する。次にコントローラ51はステップS17にて、フィードモータ制御回路37に予め記憶されている第2の移動位置を出力することで、面光源20を第2位置に移動させる。コントローラ51は位置検出回路38から入力する移動位置が第2位置になるまで待ち、次のステップS18へ行く。コントローラ51はステップS18にて、カメラ10から入力している撮影画像データをメモリ内に記憶する。次にコントローラ51はステップS19にて、モータ制御回路48に回転位置Sを出力することで偏光板41を回転させ、偏光板41の透過軸方向が測定対象物OBの表面からの反射光の偏光方向と合うようにする。コントローラ51は回転角度検出回路46から入力する回転位置が回転位置Sになるまで待ち、次のステップS20へ行く。
【0034】
コントローラ51はステップS20にて、カメラ10から入力している撮影画像データをメモリ内に記憶する。これで必要な画像データはすべて記憶されるので、コントローラ51は次のステップS21にて、ステップS11で作動開始したカメラ10と各回路に作動停止の指令を出力し、次のステップS22にて記憶した画像データから面形状を計算する処理を行う。
【0035】
ステップS21の時点でコントローラ51のメモリには、次の4つのパターン画像が記憶されている。
・面光源20の第1位置における測定対象物OBの表面のパターン画像P1
・面光源20の第2位置における測定対象物OBの表面のパターン画像P2
・面光源20の第1位置における測定対象物OBの境界面のパターン画像P3
・面光源20の第2位置における測定対象物OBの境界面のパターン画像P4
コントローラ51はステップS22にてP1とP2のパターン画像を用いた演算により測定対象物OBの表面の形状を算出し、P3とP4のパターン画像を用いた演算により測定対象物OBの境界面の形状を算出する。この計算方法について
図5を用いて説明する。
【0036】
カメラ10に入射する測定対象物OBからの反射光の光軸Rは、カメラ10の結像レンズの中心を通るものであるので、カメラ10の受光器の位置(画素位置、パターン画像の位置)ごとに定まっている。よって、
図5に示すように、測定対象物OBの表面及び境界面の近傍に点線で示す基準平面SSを考えると、反射光の光軸Rが基準平面SSと交差する点SPは、カメラ10の受光器の位置ごとに定まっており、この交差する点SPからカメラ10の結像レンズ中心までの高さHcと横方向距離Lcは受光器の位置ごとに定まっている。ここで横方向とは、基準平面SSに投影した反射光の光軸Rの方向であり、カメラ10の受光器の位置ごとに定まっているものである。また、高さ方向は基準平面SSの法線方向である。そして、面光源20の第1位置と第2位置を設定値とすれば、基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向における移動距離Mも設定値であり、基準平面SSに反射光の光軸Rを投影した方向(横方向)における移動距離M’は、基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向と横方向とが成す角度をαとすれば、M/cosαである。基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向は定まっており、横方向はカメラ10の受光器の位置ごとに定まっているので、角度αもカメラ10の受光器の位置ごとに定まっている。よって、移動距離M’もカメラ10の受光器の位置ごとに定まっている。
【0037】
また、面光源20の第1位置と第2位置が設定値であり、面光源20に表示される照明パターンが一定であれば、面光源20の第1位置と第2位置における基準平面SSから照明パターンの縞のそれぞれの位置までの高さも定まっている。よって、カメラ10で得られるパターン画像の縞が面光源20に形成される縞のどの部分かが分かれば、反射光の光軸Rが測定対象物OBで反射して、面光源20と交差する位置における、基準平面SSからの高さHm,Hm’がわかる。カメラ10で得られるパターン画像の縞が、面光源20に形成される照明パターンのどの部分かを判別するには、縞の濃淡を変化させる、縞ごとに長さの異なる輝線を入れる等の方法がある。また、測定対象物OBの表面や境界面が基準平面SSの近傍であり、ゆがみが大きくなければ、基準平面SSの位置にオプチカルフラットのような高精度の平面の反射体を置き、カメラ10によるパターン画像の縞と照明パターンの縞との対応関係を求めて記憶しておいてもよい。
【0038】
また、上述のように、面光源20の第1位置は設定値であり、交点SPはカメラ10の受光器の位置ごとに定まっているので、照明パターンのそれぞれの位置から交点SPまでの横方向距離も,カメラ10の受光器の位置ごとに定まっており、カメラ10で得られるパターン画像の縞が照明パターンの縞のどの部分かが分かれば、反射光の光軸Rが測定対象物OBで反射して面光源20と交差する位置から交点SPまでの横方向距離Lmがわかる。すなわち
図5において、カメラ10の受光器の位置ごとに高さHcと横方向距離Lcと移動距離M’は定まっており、得られたパターン画像からカメラ10の受光器の位置ごとに基準平面SSからの高さHm,Hm’と横方向距離Lmがわかる。
【0039】
次にカメラ10の受光器の位置ごとに定まる反射光の光軸Rが測定対象物OBと交差する点MPから、交点SPまでの横方向距離をX、高さ方向距離をZとし、交点MP周りの微小平面が、基準平面SSと成す角度をΘとする。この角度Θは反射光の光軸Rを含み基準平面SSに垂直な平面において、交点MP周りの微小平面が基準平面SSと成す角度である。このX,Z,Θは未知数であり、この値をカメラ10の受光器の位置ごとに算出し、交点SPから横方向にX、高さ方向にZ移動させた点を求める。この点が、測定対象物OBの面における点であり、Θがこの点における横方向からの傾きである。
【0040】
X,Z,Θは以下の計算で求めることができる。
図5を見ると分かるように、高さHc、横方向距離Lc、高さHm、高さHm’、距離Lm、移動距離M’およびX,Z,Θには次の数1の連立方程式が成り立つ。
【数1】
【0041】
数1の連立方程式の1番目の式と2番目の式から、次の数2の式が成立する。
【数2】
数1の連立方程式の3番目の式と数2の式において未知数はXとZの2つであるので、これからXとZを求めることができる。また、連立方程式の2番目の式において未知数はΘのみであるので、これからΘを求めることができる。また、求めたXとZを(1)式に代入してΘを求め、(2)式から求めたΘと平均してもよい。
【0042】
これにより、カメラ10の受光器の位置(パターン画像の位置)ごとにX,Z,Θが得られ、受光器の位置に対応する基準平面SS上の座標から、横方向にX、高さ方向にZだけ移動させた座標を計算すれば、測定対象物OBの面における各点の座標が得られる。コントローラ51は、得られた測定対象物OBの各点の座標と傾きΘから測定対象物OBの表面と境界面の形状の画像を作成し、表示装置53に表示する。また、面形状のうねりの程度を示す値として、変化範囲(最大高さ−最小高さ)、算術平均粗さ(Ra値)及び二乗平均粗さ(RMS値)等の値を計算して表示する。そして、ステップS23にて、プログラムの実行を終了する。作業者は次の測定対象物OBの面形状を測定するときは、ステージStに載置されている測定対象物OBを取り除いて次の測定対象物OBを載置し、上述した操作と同様の操作を行う。
【0043】
上述した計算方法について、先行技術文献であげた特許文献1に示されている計算方法との違いを説明すると、特許文献1では面光源20は移動せず、取得するパターン画像は1つであるため、数1の連立方程式の2番目の式を得ることができず、未知数3つに対して式が2つであり、X,Z,Θを求めることはできない。このため、特許文献1における計算ではX、Zを0(測定対象物OBの基準平面SSからのずれなし)として、数1の連立方程式の1番目の式からΘを求め、Θのみから表面形状を求めている。これに対し、本願では面光源20を移動させて2つのパターン画像を得ることでX,Z,Θを求めている。これにより、測定対象物OBの面が基準平面SSからずれが大きい場合でも、うねりが大きい場合でも面形状を精度よく求めることができる。
【0044】
上述した計算を行うには、受光器の位置ごとの高さHc、横方向距離Lc、移動距離M’、受光器の位置に対応する基準平面SSの座標(受光器の位置ごとの交点SPの座標)、および受光器の位置ごとの横方向(基準平面SSに投影した反射光の光軸Rの方向)、を予め得てコントローラ51に記憶しておく必要がある。また、得られたパターン画像から受光器の位置(パターン画像の位置)ごとに、高さHm,Hm’と距離Lmを求めるため、照明パターンの縞のそれぞれの位置から基準平面SSまでの高さと、縞のそれぞれの位置から受光器の位置ごとの交点SPまでの横方向距離も予め得てコントローラ51に記憶しておく必要がある。以下に、その求め方を説明する。
【0045】
図6に示すようにステージStを除去し、ステージStの厚さと測定対象物OBの厚さを加算した値に厚さがほぼ等しい高精度の平面を有する透光性物体OPを置く。透光性物体OPはオプチカルフラットのようなものでよく、この透光性物体OPの面が基準平面SSになる。この透光性物体OPの上に90度で交差するL字状物体JをL字を成す辺の方向が、基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向とこの方向の基準平面SSにおける垂直方向に一致するよう置く。そして、このL字状物体JのL字に側面を押し付けるように十字状に目盛りが刻まれた標準ガラススケールGを透光性物体OPの面に目盛がくるように、また横軸の目盛りがカメラの撮影画像の横方向(以下、X軸方向という)に合うよう置く。L字状物体Jが正確に置かれたときは、標準ガラススケールGをL字状物体Jに押し当ててカメラの撮影画像の縦方向(以下、Y軸方向という)に移動させても、カメラ10による撮影画像において標準ガラススケールGのY軸方向の目盛りの位置が変化しないので、この状態になるまでL字状物体Jの位置を調整する。
【0046】
次に標準ガラススケールGのX軸方向の目盛りの値を画像位置に対応させて読み、記憶する。具体的には、(目盛の値,0)と画像位置の(x,y)座標を記憶する。次に、標準ガラススケールGをL字状物体JのL字に側面を押し付けながらY軸方向に設定距離aだけ移動させる。この設定距離aは先に記憶した画像位置のラインに交差する、標準ガラススケールGのY軸方向の目盛りが−aになる位置である。そして、同様に標準ガラススケールGのX軸方向の目盛りの値を画像位置に対応させて読み、記憶する。具体的には、(目盛の値,a)と画像位置の(x,y)座標を記憶する。これを繰り返し、(目盛の値,2a),(目盛の値,3a)・・・を画像位置の(x,y)座標に対応させて記憶させる。これによりカメラ10の受光器の位置(画像位置のx,y座標)に対応させて基準平面SSにおける座標(受光器の位置ごとの交点SPの座標)を得ることができる。なお、X軸方向の座標が不足しているときは、L字状物体JをX軸方向に移動させ、上述したように標準ガラススケールGとカメラの撮影画像のX軸方向とY軸方向が一致するよう調整した後、同様の方法で受光器の位置(画像位置のx,y座標)に対応させて基準平面SSにおける座標を得る。このとき、先に得た受光器の位置(画像位置のx,y座標)と重なるようにし、L字状物体JをX軸方向に移動させた距離を求め、得られた基準平面SSにおける座標のx座標値に加算する。カメラ10の視野範囲に比べて標準ガラススケールGの大きさが小さい場合でも、この操作を繰り返すことにより、カメラ10の受光器の位置(画像位置のx,y座標)に対応させて基準平面SSにおける座標を得ることができる。
【0047】
次に
図6に点線で示すように,透光性物体OPの上にもう1つの高精度平面で表面が正方形の透光性物体OP’をL字状物体Jに側面を押し当てるように置き、上述した操作と同様に標準ガラススケールGを置いて上述した操作と同様の操作を行い、カメラ10の受光器の位置(画像位置のx,y座標)に対応させて基準平面SSに平行な平面の座標を得る。これにより、基準平面SSと基準平面SSに平行な平面において、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの座標値が得られる。同じ受光器の位置(画像位置のx,y座標)における2つの座標値から、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの横方向(基準平面SSに投影した反射光の光軸Rの方向)を求めることができる。このとき、2つの座標値においてx座標が変化しない座標群があり、この座標群の横方向が基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向である。よって、横方向と基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向が成す角度αも、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとに得ることができる。この角度αは後述するように移動距離M’を受光器の位置ごとに求める際に用いられる。
【0048】
また、2つの座標値から
図6に示す距離Lnがわかり、透光性物体OP’の厚さHnは既知の値であるので、Hn/Ln がわかる。Hn/Lnは、Hc/Lcと等しく、数1の連立方程式を見ると分かるように、Hc、LcはHc/Lcでしか使用されていないので、これでカメラ10の受光器の位置ごとの高さHc、横方向距離Lcが得られるとみなすことができる。
【0049】
次に
図7に示すように透光性物体OPを置いた状態で、面光源20に照明パターン(ストライプ状の縞)を表示させる。そして、
図7に示すように標準ブロックB1,B2を透光性物体OPの上に置いて画面に接触させ、標準ブロックB1,B2と接触する縞の位置を求める。面光源20の画面の仕様と画像データから、接触する縞の位置の間隔Wpがわかり、標準ブロックB1,B2の厚さHs1,Hs2は既知であるので、次の数3で面光源2の傾きΘdを求めることができる。
(数3)
Θd=cos
−1{(Hs2 − Hs1)/Wp}
そして、面光源20の画面の仕様と画像データからわかる、照明パターン上における標準ブロックB1と接触する縞の位置から他の縞の位置までの距離をWeとすると、他の縞の位置の基準平面SSからの高さHは、次の数4で求めることができる。
(数4)
H=We・cosΘd + Hs1
これにより、縞のそれぞれの位置(面光源20の画面のそれぞれの位置)から基準平面SSまでの高さHが得られる。
【0050】
次にカメラ10にて照明パターンの画像を撮影する。透光性物体OPの面は高精度の平面であり、これを基準平面SSとしているので、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの反射光の光軸は、入射角度と反射角度が等しくなる。すなわち、入射角度Θnは先に得られたtan
−1(Hn/Ln)〔=tan
−1(Hc/Lc)〕である。そして、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの基準平面SSの座標(交点SPの座標値)は得られており、照明パターンのそれぞれの位置から基準平面SSまでの高さも得られているので、照明パターンにおける縞と撮影したパターン画像における縞とを対応づければ、照明パターンにおける対応づけられた縞の位置から受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの基準平面SSの座標(交点SPの座標)までの横方向距離Ltを求めることができる。そして、照明パターン上における対応づけられた縞の位置からそれぞれの縞の位置まで距離をWfとすると、照明パターンにおける対応づけられた縞の位置からそれぞれの縞の位置までの横方向の距離Lfは、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとに次の数5で求めることができる。角度αは上述したように、受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの横方向と基準平面SSにカメラ10の結像レンズの光軸を投影した方向とが成す角度である。
(数5)
Lf=Wf・cosΘd/cosα
得られた距離Lfを横方向距離Ltに加算することで、照明パターンにおける縞のそれぞれの位置から受光器の位置(画像上の位置)ごとの基準平面SSの座標(交点SPの座標)までの距離が得られる。
【0051】
移動距離M’は、面光源20(移動体32)の移動方向が、カメラ10の結像レンズの光軸を基準平面SSに投影させた方向に調整されていれば、上述したようにM/cosαである。移動距離Mは設定値である第1位置と第2位置との差であるので、既知の値であり、カメラ10の受光器の位置(画像位置のx,y座標)ごとの角度αをM/cosαに代入すれば、カメラ10の受光器の位置ごとの移動距離M’を得ることができる。これにより、測定時の計算に必要なすべての値を得ることができる。
【0052】
上記説明からも理解できるように、上記実施形態においては、照明パターンが形成された面光源20から光を、タブレットPCやスマートフォン等のタッチパネル機器である測定対象物OBに照射し、測定対象物OBで入射角度と等しい角度で反射した光をカメラ10に入射させて撮影することで、面光源20に形成された照明パターンに相当するパターン画像を取得し、パターン画像から測定対象物OBの面形状を計算する面形状測定装置において、面光源20を測定対象物OBとカメラ10に対し相対的に既知の方向に既知の距離だけ移動する前と後で、カメラ10による撮影により第1位置のパターン画像と第2位置のパターン画像を取得し、取得した第1位置のパターン画像と第2位置のパターン画像とから、測定対象物OBの光が照射された面の各点における位置又は傾きを計算している。
【0053】
これによれば、照明パターンの照射位置が異なる2つパターン画像が得られ、得られた2つパターン画像を用いて計算を行うことで、測定対象物OBの各点の傾きに加え、各点の位置も求めることができる。よって、測定対象物OBごとに厚さが異なっている場合や、面のうねりが大きい場合でも精度よく測定対象物OBの面形状を得ることができる。
【0054】
また、上記実施形態においては、面光源20内に面光源20から出射される光を偏光にする偏光フィルタと、測定対象物OBで反射した光がカメラ10に入射する前に配置した偏光板41と、偏光板41の透過軸方向を変化させる枠体42、モータ44からなる機構とを備え、カメラ10による撮影は、偏光板41の透過軸方向を変化させた少なくとも2つの場合で行うことにより、測定対象物OBの表面での反射光によるパターン画像と測定対象物OBの境界面での反射光によるパターン画像とを取得している。
【0055】
これによれば、タブレットPCやスマートフォン等のタッチパネル機器のように測定対象物OBからの反射光が表面と境界面で発生する場合でも、表面と境界面の面形状を精度よく得ることができる。よって、本発明は、タッチパネル機器のように、透光性板状物体と液晶モジュールとを貼り合わせて形成された測定対象物OBの面形状測定に特に有効である。
【0056】
なお、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0057】
上記実施形態では、面光源20に表示させる照明パターンをストライプ状の縞を横方向にしたものにし、照明パターンの縞と撮影により得られるパターン画像の縞との対応づけは、縞の縦方向のみを考え、横方向は対応関係は変化しないとした。別の表現をすると、測定対象物OBから面光源20に向かう反射光の光軸Rは、反射光の光軸Rを含み基準平面SSに垂直な平面内においてのみ変化するとした。すなわち、測定対象物OBが基準平面SSと成す角度Θは、反射光の光軸Rを含み基準平面SSに垂直な平面における角度Θのみと考えた。これは、カメラ10の撮影を斜めから行っているので、撮影画像は上記実施形態での角度Θ(以下、Θxという)が大きく影響するが、横方向周りの角度(傾き)Θyの影響は小さく、面形状の算出に重要な値である交点SPからの横方向距離X,高さ方向距離Zには角度Θyは大きく影響しないためである。しかし、角度Θxに加えて角度Θyを得た方が面形状をより精度よく求めることができるので、面形状をより高精度で得たい場合は、上記実施形態の様にパターン画像を得ることに加えて、面光源20に表示させる照明パターンの縞を縦方向にしたパターン画像を得て、X,Z,Θxを求めたパターン画像上の位置において、縦方向の縞の本来の位置よりのずれDeから角度Θyを求めて、測定対象物の面における各点の座標とその座標における横方向における傾きΘx、と、横方向周りの傾きΘyとから面形状を計算するようにしてもよい。この場合、横方向周りの傾きΘyは、次の数6で計算することができる。
(数6)
Θy=tan
−1{De/(Hm+Z)}
【0058】
また、上記実施形態においては、面光源20に表示させる照明パターンを横方向のストライプ状の縞にしたが、照明パターンと撮影により得られるパターン画像とを対応づけることができれば、面光源20に表示させるパターンはどのようなものでもよい。例えば、ドットパターンでもよい。
【0059】
また、上記実施形態では面光源20としてLCD(液晶ディスプレイ)を用い、LCDに画像データを入力させてストライプ状の縞を形成したが、照明パターンが得られれば、どのような構成にしてもよい。例えば、長方形状にLEDを並べた照明にストライプ状の縞が形成された透明の枠をはめて、上記実施形態と同様な照明パターンを得るようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では面光源20のLCDが偏光フィルタを有することから出射する光を偏光にしたが、測定対象物OBに照射される光が偏光であれば、どのような手段で偏光にしてもよい。例えば、上記変形例のように面光源20にLEDを並べた照明を使用する場合は、偏光板を面光源20と測定対象物OBの間に配置してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では偏光板41をモータ44により回転させることで、偏光板41の透過軸方向を変化させたが、透過軸方向を変化させることができればどのような構造にしてもよい。例えば、透過軸方向が異なる2枚の偏光板を備え、カメラ10の結像レンズの手前に来る偏光板が切り替わる構造にしてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では面光源20がカメラ10の結像レンズの光軸を基準平面SSに投影した方向に移動するようにしたが、移動方向とカメラ10の結像レンズの光軸を基準平面SSに投影した方向との関係を精度よく得ることができれば、移動方向はずれていてもよい。この場合は、移動方向の関係から高さHm’と移動距離Mを補正して正確な値にすればよい。
【0063】
また、上記実施形態では面光源20を移動させたが、面光源20の位置は測定対象物OBとカメラ10に対して相対的に移動できればよいので、これに替えて、面光源20を固定してステージStとカメラ10を一体にして移動させる構造にしてもよい
【0064】
また、上記実施形態では測定対象物OBを、タブレットPCやスマートフォン等のタッチパネル機器としたが、反射率の大きい平板状の測定対象物OBであれば、本発明はどのような測定対象物OBにも適用可能である。
【0065】
また、上記実施形態は本発明を面形状測定装置に適用した形態であるが、本発明は、カメラ10で撮影されたパターン画像を、他のコンピュータ装置で演算させる等の面形状測定方法に適用することもできる。