(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5861906
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】酸化ケイ素除去を増大させるように適合した研磨組成物で基体を化学機械研磨する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20160202BHJP
B24B 37/00 20120101ALI20160202BHJP
B24B 37/24 20120101ALI20160202BHJP
C09K 3/14 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
H01L21/304 622D
H01L21/304 621D
B24B37/00 H
B24B37/00 L
H01L21/304 622X
C09K3/14 550Z
C09K3/14 550C
C09K3/14 550D
【請求項の数】4
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-52896(P2011-52896)
(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公開番号】特開2011-216873(P2011-216873A)
(43)【公開日】2011年10月27日
【審査請求日】2014年2月27日
(31)【優先権主張番号】12/750799
(32)【優先日】2010年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(72)【発明者】
【氏名】イ・クオ
(72)【発明者】
【氏名】チェンドン・リュー
(72)【発明者】
【氏名】カンチャーラ−アルン・クマー・レディ
(72)【発明者】
【氏名】コワンユ・チャン
【審査官】
竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−266155(JP,A)
【文献】
特開2009−278061(JP,A)
【文献】
特開2001−162515(JP,A)
【文献】
特開2005−101545(JP,A)
【文献】
特表2003−510828(JP,A)
【文献】
特開2000−311874(JP,A)
【文献】
特開2000−136375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K3/14
H01L21/304、21/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化ケイ素を含む基体を提供し;
当初成分として、水、10〜200nmの平均粒子サイズを有するコロイダルシリカである研磨剤の5〜25重量%、無機酸および無機塩基からなる群から選ばれるpH調整剤、並びに式I
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立してC
1−4アルキル基から選択される)
の物質の0.001〜1重量%からなり、pHが10〜11である化学機械研磨組成物を提供し;
ポリマー中空コア微小粒子およびウレタン含浸不織サブパッドを含むポリウレタン研磨層を含む化学機械研磨パッドに研磨面を提供し;
基体に対して研磨面を動かして、酸化ケイ素の少なくとも幾分かが基体から除去され;
化学機械研磨組成物を研磨面上に分配し;そして
基体の少なくとも一部分を摩耗させて、基体を研磨する;
ことを含み;
化学機械研磨組成物に含まれる式Iの物質は増大した酸化ケイ素除去速度および改善した研磨ディフェクト性能を提供し、ここで
、200mm研磨装置において、93回転/分のプラテン速度、87回転/分のキャリア速度、200ml/分の化学機械研磨組成物流速、20.7kPaの名目ダウンフォースで、化学機械研磨組成物は2,000Å/分以上の酸化ケイ素除去速度を示し、改善した研磨ディフェクト性能
は以下の式:
X<X
0
(Xは、化学機械研磨後フッ化水素洗浄後の研磨された基体上のスクラッチディフェクト数であり、X
0は、式Iの物質が化学研磨組成物に存在しないことを除いて同じ条件下で得られるスクラッチディフェクト数である)を満足させる
ように決定される;
基体の化学機械研磨方法。
【請求項2】
下記式の少なくとも一方
(i)(((A−A0)/A0)×100)≧5;
(ii)(((A−A0)/A0)×100)≧10、
(ここで、Aは前記化学機械研磨組成物を使用してÅ/分で測定した酸化ケイ素の除去速度であり、A0は式Iの物質が存在しないことを除いて同じ条件下でÅ/分で測定した酸化ケイ素の除去速度である)
を満足させる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式Iの物質のカチオンがベンジルトリメチルアンモニウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
式Iの物質が、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドおよびハロゲン化ベンジルトリメチルアンモニウムから選択される、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学機械研磨組成物およびこれを用いる方法に関する。より具体的には、本発明は、酸化ケイ素を含む基体を研磨し、酸化ケイ素の少なくとも幾分かが基体から除去されるための化学機械研磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路および他の電子デバイスの製造において、導電体材料、半導体材料および誘電体材料の複数の層が半導体ウェハの表面上に堆積されるか、または半導体ウェハの表面から除かれる。導電体材料、半導体材料および誘電体材料の薄層は多くの堆積技術によって堆積されうる。最新の処理における一般的な堆積技術には、スパッタリングとしても知られている物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、プラズマエンハンスト(plasma−enhanced)化学蒸着(PECVD)、および電気化学めっき(ECP)が挙げられる。
【0003】
材料の層が逐次的に堆積されそして除去されるにつれて、ウェハの最も上の表面は非平面となる。後続の半導体処理(例えば、金属化)は、ウェハが平坦な表面を有することを必要とするので、このウェハは平坦化されることを必要とする。平坦化は望まれない表面形状並びに表面欠陥、例えば、粗い表面、凝集した材料、結晶格子損傷、スクラッチ、および汚染された層もしくは材料を除去するのに有用である。
【0004】
化学機械平坦化もしくは化学機械研磨(CMP)は、半導体ウェハのような基体を平坦化するのに使用される一般的な技術である。従来のCMPにおいては、ウェハはキャリアアセンブリ上に取り付けられ、CMP装置の研磨パッドと接触するように位置決めされる。キャリアアセンブリは制御可能な圧力をウェハに加え、研磨パッドにウェハを押し付ける。外部駆動力によってこのパッドはウェハに対して動かされ(例えば、回転させられ)る。これと同時に、研磨組成物(スラリー)もしくは他の研磨液がウェハと研磨パッドとの間に提供される。よって、ウェハ表面は、パッド表面およびスラリーの化学的および機械的作用によって研磨されそして平坦にされる。
【0005】
化学機械平坦化は、半導体デバイスの製造におけるシャロートレンチ分離(STI)層上および層間絶縁膜(inter−layer dielectric;ILD)または(inter−metal dielectric;IMD)層上に一般的に使用される。これら誘電層は隣り合う半導体および導電径路の間の電気絶縁層として機能する。堆積された誘電体材料は、多くの場合、半導体デバイスにおけるシャロートレンチ分離構造または層間絶縁体と称される。これらの構造の形成においては、欠陥(例えば、スクラッチ(scratch))の発生なしに素早く好適な平坦さまでの誘電体材料(例えば、酸化ケイ素)の研磨に関する問題が存在する。半導体デバイス上の構造体のサイズが小さくなり続けるにつれて、誘電体材料の研磨のディフェクトおよび平坦化についてかつて許容可能であった性能基準はますます受け入れられなくなってきている。かつて許容可能であるとみなされたスクラッチは、今日では収率を制限することとなっている。
【0006】
誘電層研磨についての確信的に改善したディフェクトを平坦化組成物に提供する、化学機械研磨プロセスに使用するためのある研磨配合物が米国特許第6,322,600号(ブリュワー(Brewer)ら)に開示されている。ブリュワーらは、粒子の少なくとも90重量%が重量平均直径との差が20%以下である直径を有する球状単分散アルキルシリケート粒子、並びに0〜9重量%の範囲のアルコール、塩基および残部の水を含む液体キャリアを含むアルコゾルを含み、9〜11.5のpHを有する平坦化組成物を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,322,600号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
にもかかわらず、半導体システムの製造における使用のためのデバイス設計の動的な分野をサポートするために、設計ニーズの変更に適合する研磨特性の望まれるバランスを提供するように配合される化学機械研磨組成物についての継続した必要性が存在している。例えば、低ディフェクトの誘電体研磨性能、適合した酸化ケイ素除去速度、並びに窒化ケイ素と酸化ケイ素との間の適合した除去速度選択性を示す化学機械研磨組成物についての必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、酸化ケイ素を含む基体を提供し;水、研磨剤および式I
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立してC
1−4アルキル基から選択される)
の物質を当初成分として含む化学機械研磨組成物を提供し;化学機械研磨パッドに研磨面を提供し;基体に対して研磨面を動かし;化学機械研磨組成物を研磨面上に分配し;基体の少なくとも一部分を摩耗させて、基体を研磨し;化学機械研磨組成物に含まれる式Iの物質は増大した酸化ケイ素除去速度および改善した研磨ディフェクト性能を提供し;並びに、酸化ケイ素の少なくとも幾分かが基体から除去される;ことを含む、基体の化学機械研磨方法を提供する。
本発明は、酸化ケイ素および窒化ケイ素を含む基体を提供し;水、研磨剤、式I
【化2】
(式中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立してC
1−4アルキル基から選択される)
の物質、および式II
【化3】
(式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10のそれぞれは、式−(CH
2)
n−を有する架橋基であり、nは1〜10から選択される整数である)の物質を当初成分として含む化学機械研磨組成物を提供し;化学機械研磨パッドに研磨面を提供し;基体に対して研磨面を動かし;化学機械研磨組成物を研磨面上に分配し;基体の少なくとも一部分を摩耗させて、基体を研磨し;化学機械研磨組成物に含まれる式Iの物質は増大した酸化ケイ素除去速度および改善した研磨ディフェクト性能を提供し;並びに、酸化ケイ素の少なくとも幾分かが基体から除去される;ことを含む、基体の化学機械研磨方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化学機械研磨方法は酸化ケイ素を含む基体を研磨するのに有用である。本発明の方法に使用される化学機械研磨組成物は、二酸化ケイ素速度増大量の式I
【化4】
(式中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立してC
1−4アルキル基から選択され;アニオンはあらゆる好適なアニオンであり得る)
の物質を含む。
【0011】
化学機械研磨組成物に式Iの物質を添加することによりもたらされる酸化ケイ素の除去速度(Å/分で測定された除去速度について)を記載するための、本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「増大した酸化ケイ素除去速度」は、以下の表現を満足させることを意味する:
A>A
0
ここで、Aは、実施例において説明される研磨条件下で測定して、本発明の方法に使用される式Iの物質を含む化学機械研磨組成物についての、Å/分単位での酸化ケイ素除去速度であり;A
0は式Iの物質が化学機械研磨組成物に存在しないことを除いて同じ条件下で得られたÅ/分単位での酸化ケイ素除去速度である。
【0012】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物に式Iの物質を添加することを通じて得られるディフェクト性能を記載するための、本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「改善した研磨ディフェクト性能(improved polishing defectivity performance)」は、以下の表現を満足させることを意味する:
X<X
0
ここで、Xは、実施例において説明される研磨条件下で測定して、本発明の方法に使用される式Iの物質を含む化学機械研磨組成物についてのディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)であり;並びに、X
0は式Iの物質が化学機械研磨組成物に存在しないことを除いて同じ条件下で得られるディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)である。
【0013】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物に含まれる水は、付随的な不純物を制限するために好ましくは脱イオンおよび蒸留の少なくとも一方がなされる。
【0014】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は0.1〜40重量%の研磨剤、好ましくは5〜25重量%の研磨剤を含む。使用される研磨剤は好ましくは200nm以下;より好ましくは75〜150nm;最も好ましくは100〜150nmの平均粒子サイズを有する。
【0015】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物における使用に好適な研磨剤には、例えば、無機酸化物、無機水酸化物、無機水酸化酸化物、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、ポリマー粒子および前記の少なくとも1種を含む混合物が挙げられる。好適な無機酸化物には、例えば、シリカ(SiO
2)、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、セリア(CeO
2)、酸化マンガン(MnO
2)、酸化チタン(TiO
2)もしくは前記酸化物の少なくとも1種を含む組み合わせ物が挙げられる。所望の場合には、これら無機酸化物の修飾された形態、例えば、有機ポリマーコーティングした無機酸化物粒子、および無機コーティングした粒子も利用されうる。好適な金属炭化物、ホウ化物および窒化物には、例えば、炭化ケイ素、窒化ケイ素、シリコンカルボニトリド(SiCN)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン、または前記金属炭化物、ホウ化物および窒化物の少なくとも1種を含む組み合わせ物が挙げられる。
【0016】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物における使用に好ましい研磨剤はコロイダルシリカである。好ましくは、使用されるコロイダルシリカは沈降シリカおよび凝集シリカの少なくとも1種を含む。好ましくは、使用されるコロイダルシリカは200nm以下、より好ましくは75〜150nm、最も好ましくは100〜150nmの平均粒子サイズを有し、化学機械研磨組成物の0.1〜40重量%、好ましくは5〜25重量%の割合を占める。
【0017】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は、好ましくは、当初成分として、0.001〜5重量%の式I
【化5】
(式中、R
1、R
2およびR
3はそれぞれ独立してC
1−4アルキル基、好ましくはC
1−2アルキル基、最も好ましくはメチル基から選択され;並びに、アニオンはあらゆる好適なアニオン、好ましくはヒドロキシドおよびハロゲンから選択されるアニオン、より好ましくはヒドロキシドであることができる)の物質を含む。ある好ましい用途においては、化学機械研磨組成物は場合によっては、当初成分として、0.001〜1重量%、より好ましくは0.1〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.3重量%の式Iの物質を含む。最も好ましくは、式Iの物質はベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドである。
【0018】
場合によっては、本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は、当初成分として、式II
【化6】
(式中、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10のそれぞれは、式−(CH
2)
n−を有する架橋基であり、nは1〜10から選択される整数である)の物質をさらに含む。好ましくは、nはR
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10のそれぞれについて1〜4から独立に選択される整数である。より好ましくは、nはR
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9およびR
10のそれぞれについて2〜4から独立に選択される整数である。最も好ましくは式IIの物質は、下記式:
【化7】
を有するジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)、および下記式:
【化8】
を有するビス(ヘキサメチレン)トリアミン−ペンタキス(メチルホスホン酸)から選択される。場合によっては、式IIの物質における窒素の1以上は第四級形態で提供されることができ、第四級形態においては窒素は正電荷を有する。
【0019】
場合によっては、本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は当初成分として0.001〜5重量%の式IIの物質を含む。場合によっては、化学機械研磨組成物は当初成分として0.001〜1重量%、より好ましくは0.1〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.3重量%の式IIの物質を含む。
【0020】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物への式IIの任意物質の組み込みは、基体が酸化ケイ素と共に窒化ケイ素をさらに含む用途における使用のための、酸化ケイ素と窒化ケイ素との間の除去速度選択性の調節を容易にする。
【0021】
場合によっては、本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は、分散剤、界面活性剤、緩衝剤、消泡剤および殺生物剤から選択される追加の添加剤をさらに含む。
【0022】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は7以上、好ましくは7〜12、より好ましくは10〜11のpHを有する。使用される化学機械研磨組成物は無機および有機pH調節剤を含むことができる。場合によっては、pH調節剤は無機酸または塩基(例えば、硝酸、硫酸、塩酸、リン酸、硫酸カリウム、および水酸化カリウム)から選択される。
【0023】
本発明の化学機械研磨方法で研磨される基体は酸化ケイ素を含む。基体中の酸化ケイ素は、当該技術分野において知られているあらゆる好適な酸化ケイ素材料;例えば、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、プラズマエッチ(plasma−etched)テトラエチルオルトシリケート(PETEOS)、熱酸化物、未ドープシリケートガラス、高密度プラズマ(HDP)オキシドであることができる。
【0024】
場合によっては、本発明の化学機械研磨方法において研磨される基体は窒化ケイ素をさらに含む。基体における窒化ケイ素は、存在する場合には、当該技術分野において知られているあらゆる好適な窒化ケイ素材料;例えば、Si
3N
4であることができる。
【0025】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨パッドは当該技術分野において知られているあらゆる好適な研磨パッドであることができる。化学機械研磨パッドは、場合によっては、織物研磨パッドおよび不織研磨パッドから選択されうる。化学機械研磨パッドは、様々な密度、硬さ、厚み、圧縮性、および弾性率のあらゆる好適なポリマーから製造されうる。化学機械研磨パッドは、望まれる場合には、溝を付けられ、穴あけされうる。
【0026】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物に含まれる式Iの物質(最も好ましくは、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)は酸化ケイ素の除去速度(オングストローム/分(Å/分)で測定して)を増大させる。酸化ケイ素の除去速度の相対的増大(ΔA)をΔA=(A−A
0)/A
0として定義する場合には、AおよびA
0は、化学機械研磨組成物中への式Iの物質の添加を伴う(A)および伴わない(A
0)研磨組成物を使用してÅ/分で測定した酸化ケイ素の除去速度を表す。本発明の方法に使用される化学機械研磨組成物における式Iの物質(最も好ましくは、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)の組み込みは、酸化ケイ素除去速度の好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上の増大をもたらす。すなわち、下記式(全て、実施例において説明される研磨条件下で測定して)の少なくとも一方を好ましくは満足させる:
(i)(((A−A
0)/A
0)×100)≧5;および
(ii)(((A−A
0)/A
0)×100)≧10。
【0027】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物に含まれる式Iの物質(最も好ましくはベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)は、改善した研磨ディフェクト性能をもたらす。好ましくは、化学機械研磨組成物への当初成分としての式Iの物質の組み込みは、実施例において説明される研磨条件下で測定して、研磨ディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)について50%以上;より好ましくは60%以上;最も好ましくは70%以上の低減をもたらす。すなわち、下記式の少なくとも1つを好ましくは満足させる:
(i)((X
0−X)/X)×100≧50;
(ii)((X
0−X)/X)×100≧60;および
(iii)((X
0−X)/X)×100≧70;
ここで、Xは、実施例において説明される研磨条件下で測定した、本発明の方法に使用される式Iの物質を含む化学機械研磨組成物についての研磨ディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)であり;および、X
0は式Iの物質が化学機械研磨組成物に存在しないことを除いて同じ条件下で得られた研磨ディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)である。
【0028】
望ましくは、本発明の化学機械研磨方法においては、式Iの物質(最も好ましくはベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)を含む化学機械研磨組成物は、実施例において説明される研磨条件下で測定して、5%以上;より好ましくは10%以上の酸化ケイ素の除去速度の相対的増大(ΔA)を示す。さらにより好ましくは、本発明の化学機械研磨方法においては、式Iの物質(最も好ましくはベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)を含む化学機械研磨組成物は、実施例において説明される研磨条件下で測定して、5%以上;より好ましくは10%以上の酸化ケイ素の除去速度の相対的増大(ΔA)を示し;同時に、研磨ディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)について50%以上、より好ましくは60%以上、最も好ましくは70%以上の低減を示す。最も好ましくは、本発明の化学機械研磨方法においては、式Iの物質(最も好ましくはベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド)を含む化学機械研磨組成物は実施例において説明される研磨条件下で測定して、酸化ケイ素の除去速度について10%以上の相対的増大(ΔA)、および研磨ディフェクト(すなわち、CMP/フッ化水素後のスクラッチ)について70%以上の低減を示す。
【0029】
本発明の化学機械研磨方法に使用される化学機械研磨組成物は、低い名目研磨パッド圧力、例えば、3〜35kPaでの操作を可能にする。この低い名目研磨パッド圧力はスクラッチおよび他の望まれない研磨ディフェクトを低減させることにより研磨性能を改善させ、かつ脆い材料に対する損傷を最小限にする。
【0030】
ここで、以下の実施例において、本発明のいくつかの実施形態が詳細に説明される。
【実施例】
【0031】
実施例1
化学機械研磨組成物
試験された化学機械研磨組成物(CMPC)が表1に記載される。化学機械研磨組成物A〜Dは比較配合物であり、これらは請求項に特定される発明の範囲内にはない。
【0032】
【表1】
【0033】
ξ:アルドリッチから入手可能なジエチレントリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)
Ψ:アルドリッチから入手可能なビス(ヘキサメチレン)トリアミンペンタキス(メチルホスホン酸)
£:ザダウケミカルカンパニーから入手可能でAZエレクトロニックマテリアルズにより製造されているクレボソール(Klebosol
登録商標)1630コロイダルシリカ
χ:ザダウケミカルカンパニーから入手可能でAZエレクトロニックマテリアルズにより製造されているクレボソール(Klebosol
登録商標)1630Nコロイダルシリカ
¥:HNO
3またはKOHを用いて、必要に応じて組成物のpHは調節された。
【0034】
実施例2
研磨試験
200mmブランケットTEOS誘電体ウェハを用いて表1に記載された化学機械研磨組成物が試験された。ポリウレタン含浸不織サブパッドおよびポリマー中空コア微小粒子を含むポリウレタン研磨層を含む研磨パッド(すなわち、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズCMPインコーポレイテッドから市販されているIC1010
商標研磨パッド)を使用して、実施例における全てのブランケットウェハを研磨するために、アプライドマテリアルズミラ(Applied Materials Mirra
登録商標)CMP研磨プラットフォームが使用された。全ての実施例において使用された研磨条件は、93rpmのプラテン速度;87rpmのキャリア速度;200ml/分の研磨媒体流速;および20.7kPaのダウンフォースであった。それぞれの研磨実験についての除去速度は表2に提供される。この除去速度は研磨前膜厚および研磨後膜厚から計算されたことに留意されたい。具体的には、除去速度はKLA−Tencorから入手可能なSpectraFX200光学薄膜計測システムを用いて決定された。表2に報告されるディフェクト性能は研磨後(Pst−CMP)または研磨後フッ化水素洗浄後(Pst−HF)のいずれかで走査型電子顕微鏡を用いて決定された。Pst−HF洗浄後の全てのTEOSウェハはKLA−Tencorから入手可能なサーフスキャン(Surfscan
登録商標)SP1ディフェクト検査システムを用いて検査された。ウェハ上のディフェクトの座標を含むこのディフェクトの情報はKLARF(KLA結果ファイル)に記録され、次いでこの記録は、KLA−Tencorから入手可能なeDR−5200ディフェクト評価システム伝達された。100個のディフェクト像のランダムサンプルが選択され、eDR−5200システムで評価された。これら100個の像は様々なディフェクトの種類、例えば、チャターマーク(chatter marks)(スクラッチ)、粒子およびパッドデブリに分類された。これら100個の像からの分類結果に基づいて、ウェハ上のスクラッチの総数が決定された。
【0035】
【表2】