特許第5862010号(P5862010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5862010エンジン用マフラ及びそれを備えたエンジン作業機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862010
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】エンジン用マフラ及びそれを備えたエンジン作業機
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/08 20060101AFI20160202BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20160202BHJP
   F01N 3/06 20060101ALI20160202BHJP
   F01N 13/08 20100101ALI20160202BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20160202BHJP
【FI】
   F01N1/08 K
   F01N3/24 J
   F01N3/06 Z
   F01N13/08 Z
   F01N13/14
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2010-288775(P2010-288775)
(22)【出願日】2010年12月24日
(65)【公開番号】特開2012-136981(P2012-136981A)
(43)【公開日】2012年7月19日
【審査請求日】2013年9月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】大塚 和弘
(72)【発明者】
【氏名】石田 茂敏
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−008942(JP,A)
【文献】 特表2004−513284(JP,A)
【文献】 特開平01−110824(JP,A)
【文献】 特開2009−156158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−3/38
F01N 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンからの排気ガスが流入する第1膨張室と、
前記第1膨張室に仕切壁に隔てられて隣接し、触媒が取付けられた前記仕切壁に形成された連通路を介して前記第1膨張室と連通する第2膨張室とを備え、
前記第2膨張室には、前記仕切壁と対向する側面の周縁部が前記側面の中央部に対して前記仕切壁に近づくよう段差を形成し、前記周縁部に前記第2膨張室に流入した排気ガスを外部に流出させる複数の排気口が設けられ、
前記複数の排気口から流出した排気ガスは、前記周縁部と前記中央部を外周側に拡大した面との間の空間で外気と接触する、
ことを特徴とするエンジン用マフラ。
【請求項2】
前記複数の排気口は、前記周縁部に所定の間隔を開けて設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン用マフラ。
【請求項3】
前記触媒は、前記仕切壁の略中央部に設けられる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン用マフラ。
【請求項4】
前記連通路は、前記仕切壁と対向する前記側面を向いて設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエンジン用マフラ。
【請求項5】
前記連通路は、前記エンジンからの排気ガスが第1膨張室に流入する方向と略平行に設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載のエンジン用マフラ。
【請求項6】
前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面を覆うように断熱板が設けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエンジン用マフラ。
【請求項7】
前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面と前記断熱板との間に、スパークアレスターが設けられる、
ことを特徴とする請求項6に記載のエンジン用マフラ。
【請求項8】
前記断熱板、前記スパークアレスター、前記第1膨張室、および前記第2膨張室が、マフラ取付け用ボルトにより前記エンジンに共締めされる、
ことを特徴とする請求項7に記載のエンジン用マフラ。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のエンジン用マフラを備える、
ことを特徴とするエンジン作業機。
【請求項10】
前記エンジン用マフラは、前記仕切壁と対向する前記側面に隣接する側面がカバーにより覆われる、
ことを特徴とする請求項9に記載のエンジン作業機。
【請求項11】
エンジンからの排気ガスが流入する第1膨張室と、
前記第1膨張室に仕切壁に隔てられて隣接し、触媒が取付けられた前記仕切壁に形成された連通路を介して前記第1膨張室と連通する第2膨張室とを備え、
前記第2膨張室には、前記仕切壁と対向する側面の周縁部が前記側面の中央部に対して前記仕切壁に近づくよう段差を形成し、前記周縁部に前記第2膨張室に流入した排気ガスを外部に流出させる複数の排気口が設けられ、
前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面を覆うように断熱板が設けられ、
前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面と前記断熱板との間に、スパークアレスターが設けられる、
ことを特徴とするエンジン用マフラ。
【請求項12】
前記断熱板、前記スパークアレスター、前記第1膨張室、および前記第2膨張室が、マフラ取付け用ボルトにより前記エンジンに共締めされる、
ことを特徴とする請求項11に記載のエンジン用マフラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェンソー等の携帯型のエンジン作業機に好適なエンジン用マフラ及びそれを備えたエンジン作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、チェンソー等の携帯型のエンジン作業機に対しても、排気ガスの規制が厳しくなっている。このため、例えば特許文献1に示すように、マフラの内部に触媒を設けることで、排気ガスを浄化する技術が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−242666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、マフラ内部に触媒を設ける場合、触媒の発熱により、マフラの排気口から排気ガスが高温になる。このため、マフラから排出される排気ガスの温度を下げるために、触媒付近にカバーを装着することや、触媒から排気口までの距離を長くすることなどの対策を行っている。しかし、この場合に、マフラの寸法が増大するうえ、重量が増大する。特に携帯エンジン作業機においては、寸法や重量の制約があるうえ、寸法や重量の増大は作業性を悪化させるため、効率良く排気温度を低下させることが難しいという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、マフラの寸法を増大させることなく単純な構造で排気温度を低下させることのできるエンジン用マフラ及びそれを備えたエンジン作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点にかかるエンジン用マフラは、
エンジンからの排気ガスが流入する第1膨張室と、
前記第1膨張室に仕切壁に隔てられて隣接し、触媒が取付けられた前記仕切壁に形成された連通路を介して前記第1膨張室と連通する第2膨張室とを備え、
前記第2膨張室には、前記仕切壁と対向する側面の周縁部が中央部に対して前記仕切壁に近づくよう形成された段差を形成し、前記周縁部に前記第2膨張室に流入した排気ガスを外部に流出させる複数の排気口が設けられ、
前記複数の排気口から流出した排気ガスは、前記周縁部と前記中央部を外周側に拡大した面との間の空間で外気と接触する、
ことを特徴とする。
【0007】
また、前記複数の排気口は、前記周縁部に所定の間隔を開けて設けられてもよい。
【0008】
さらに、前記触媒は、前記仕切壁の略中央部に設けられてもよい。
【0009】
また、前記連通路は、前記仕切壁と対向する前記側面を向いて設けられてもよい。
【0010】
さらに、前記連通路は、前記エンジンからの排気ガスが第1膨張室に流入する方向と略平行に設けられてもよい。
【0011】
また、前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面を覆うように断熱板が設けられてもよい。
【0012】
さらに、前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面と前記断熱板との間に、スパークアレスターが設けられてもよい。
【0013】
また、前記断熱板、前記スパークアレスター、前記第1膨張室、および前記第2膨張室が、マフラ取付け用ボルトにより前記エンジンに共締めされることが好ましい。
【0014】
本発明の第2の観点にかかるエンジン作業機は、上述のエンジン用マフラを備える、
ことを特徴とする。
【0015】
また、前記エンジン用マフラは、前記仕切壁と対向する前記側面に隣接する側面がカバーにより覆われてもよい。
本発明の第3の観点にかかるエンジン用マフラは、
エンジンからの排気ガスが流入する第1膨張室と、
前記第1膨張室に仕切壁に隔てられて隣接し、触媒が取付けられた前記仕切壁に形成された連通路を介して前記第1膨張室と連通する第2膨張室とを備え、
前記第2膨張室には、前記仕切壁と対向する側面の周縁部が前記側面の中央部に対して前記仕切壁に近づくよう段差を形成し、前記周縁部に前記第2膨張室に流入した排気ガスを外部に流出させる複数の排気口が設けられ、
前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面を覆うように断熱板が設けられ、
前記第2膨張室の前記仕切壁と対向する前記側面と前記断熱板との間に、スパークアレスターが設けられる、
ことを特徴とする。
また、前記断熱板、前記スパークアレスター、前記第1膨張室、および前記第2膨張室が、マフラ取付け用ボルトにより前記エンジンに共締めされることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第2膨張室は、触媒が取付けられた仕切壁と対向する側面の周縁部に中央部に対して前記仕切壁に近づくよう形成された段差を有し、前記周縁部に前記第2膨張室に流入した排気ガスを外部に流出させる複数の排気口が設けられるので、第2膨張室全体に排気ガスを拡散させて室内全体を使って排気ガスを冷却させたうえ、周縁の複数の排気口から排気ガスを流出させることで外気と排気ガスとを効率よく接触させて冷却することが可能となり、マフラの寸法を増大させることなく単純な構造で排気温度を低下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るマフラを搭載したチェンソーの一部を断面で示した側面図。
図2図1のマフラの断面図。
図3図1のマフラの正面図。
図4】本発明の変形例を示す図2に対応する図。
図5図4の要部を拡大した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を添付の図1乃至図5に沿って説明する。図1に示すように、エンジンチェンソー(エンジン作業機)1は、エンジンカバー2内部に2サイクルエンジン等のエンジン3を収容する。エンジンカバー2からは、エンジンチェンソー1の前方(図の右方)に向かって突出するソーチェン4を案内する平板状のガイドバー5が取付けられる。また、エンジンカバー2には、エンジンチェンソー1の上方(図の上方)に向かって延びるハンドガード6とエンジンカバー2の上方で作業者が把持するフロントハンドル7と、エンジンの出力を調整するトリガ8を備えたリヤハンドル9が設けられる。さらに、エンジンカバー2の内部のエンジン3の後方(図の右側、リヤハンドル側)には、エンジン3に混合気を供給するキャブレター10が設けられる。また、エンジン3の前方にはマフラ(エンジン用マフラ)11が設けられる。マフラ11はエンジン3から離れた側の側面(前面)がエンジンカバー2の外側突出するように配置され、前記側面と隣接する面がエンジンカバー2によって覆われている。また、マフラ11の下方にはオイルタンク室33が設けられている。
【0019】
図2に示すように、エンジン3のシリンダブロック12に形成された排気通路13には、箱状に形成されたマフラ11が接続される。マフラ11は、内部が仕切壁14により排気通路13に接続して排気ガスが流入する排気流入口15が設けられる第1膨張室16と、排気ガスをマフラ11の外部に排出させる複数の排気口17が設けられる第2膨張室18とに隔てられる。第1膨張室16と第2膨張室18とは、仕切壁14に設けられた触媒19が固定された連通路20を通じて連通する。
【0020】
第1膨張室16のエンジン3に対向する側面21と仕切壁14とは略平行に配置される。また、第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22は、周縁部23が中央部24に対して仕切壁14に近づく、つまり、中央部24が周縁部23に対して外側に突出するよう段差を形成する。そして、周縁部23と中央部24はそれぞれ仕切壁14および第1膨張室16の側面21と略平行に配置される。第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22の外側には、金網状のスパークアレスター25と断熱板26が側面22を覆うように取付けられる。なお、断熱板26には、複数の排気口17それぞれに対応する位置に、排気口17より小さい断面積を有する排気孔27が設けられる。また、第2膨張室18の第1膨張室16側の端部にはフランジ部28が形成され、第1膨張室16の第2膨張室18側の端部にはかしめ部29が形成される。そして、第1膨張室16と第2膨張室18とは、第2膨張室18のフランジ部28と仕切壁14の周縁を第1膨張室16のかしめ部29によりかしめにより一体に結合されてマフラ11が構成される。第1膨張室16および第2膨張室18内にはそれぞれ一対の中空の支持柱30が同軸となるよう設けられるとともに仕切壁14には支持柱30に対応する位置に貫通孔(図示せず)が形成される。そして、マフラ11は、支持柱30および仕切壁14の貫通孔を挿通するボルト31をシリンダブロック12に形成された雌ねじ部32に締結することでエンジン3に固定される。なお、スパークアレスター25および断熱板26はボルト31によりマフラ11に共締めして固定される。
【0021】
図3に示すように、マフラ11の第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22の周縁部23には、周縁にそって等間隔に複数の略円形の排気口17(一部のみ点線で図示)が設けられる。そして、第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22を覆う断熱板26には、排気口17と略同心に排気口17を覆うように、排気口17より小径の略円形の排気孔27が設けられる。なお、排気口17および排気孔27の形状は略円形に限られるものでは無く、矩形状、スリット状であってもよい。また、仕切壁14の触媒19が設けられた連通路20は仕切壁14の略中央に配置され、第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22の周縁部23から離れて配置される。言い換えれば、触媒19から第2膨張室18の一辺とその対向する辺との距離及び前記一辺に隣接する辺とその対向する辺との距離は、略等しくなるよう配置される。さらに、一対のボルト31が連通路20を挟んで図の左右に設けられてマフラ11を断熱板26およびスパークアレスター25とともにエンジン3に固定する。
【0022】
このように構成されたマフラ11によれば、エンジン3が始動すると、図2に点線矢印で示すように、シリンダブロック12の排気通路13からマフラ11の第1膨張室16に排気流入口15を通って排気ガスが流入する。第1膨張室16に流入した排気ガスは、仕切壁14の連通路20を通って、第2膨張室18に流入する。この時、連通路20通過する排気ガスは連通路19に設けられた触媒19を通過するため、排気ガスは触媒19で酸化反応を起こし、高温となって第2膨張室18に流入する。第2膨張室18に流入した高温の排気ガスは、第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22の中央部24に衝突した後、周縁部23に拡散する。そして、周縁部23に導かれた排気ガスは排気口17からスパークアレスター25、断熱板26の排気孔27を通って外部に排出される。
【0023】
触媒19が設けられた連通路20が仕切壁14の中央に配置され、連通路20は第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22の中央部24と対向する。このため、第2膨張室18に流入した排気ガスを中央部24に衝突させて第2膨張室18内に均一に拡散させることが可能となり、第2膨張室18内全体を使って効率良く排気ガスの冷却を行うことが可能となる。そして、第2膨張室18内に拡散した排気ガスは、周縁部23の排気口17からスパークアレスター25を通過し、排気口17より小径の断熱板26の排気孔27を通って外部に排出される。このため、排気ガスは排気孔27から少量ずつ排出することが可能となり、マフラ11の外部に排出された際に外気との接触面積が増加し、排気ガスを外気によりさらに効率良く冷却することが可能となる。したがって、単純な構造でコストの増大を抑制し、マフラ11の寸法や重量の増大を招くこと無く排気ガスの温度を効率良く低下させることが可能となる。また、排気口17および排気孔27が設けられたマフラ11の第2膨張室18の周縁部23は中央部24に対して仕切壁14に近づく段差を形成し、中央部24が周縁部23に対して外側に突出、あるいは周縁部23が中央部24に対して引っ込んでいる。このため、チェンソー1での切断作業時に、マフラ11の第2膨張室18の仕切壁14と対向する側面22を木材等の被切断部材に押付けた場合に、第2膨張室18の側面22の中央部24が被切断部材に接触する。したがって、被切断部材と周縁部23との間に空間を確保することが可能となり、周縁部23に配置された排気口17および排気孔27が塞がれることを防止することができ、効率よく排気ができる。また、被切断部材がマフラ11に押付けられた状態であっても、被切断部材と周縁部23との間に空間を確保することが可能となり、この空間を利用して排気の冷却を行うことができるうえ、被切断部材の過熱を抑制することも可能となる。また、エンジン3からマフラ11への排気ガスの流入方向と連通路の方向が略平行に設けられていることから、マフラ11の大きさを小型に保ったまま第2膨張室の側面の面積を大きくすることができ、触媒19から排出口17までの距離を大きくすることができ、排気ガスの冷却を効率よく行うことが可能となる。また、マフラ11はエンジン3から離れた側の側面と隣接する面が、エンジンカバー2によって覆われているため、マフラ11とエンジンカバー2との間に冷却風路を形成することができ、冷却風によってマフラ11を効率良く冷却することができる。
【0024】
なお、上述の実施形態では、断熱板26に略円形の排気孔27を複数形成している。しかし、排気孔27はこの構成に限られるものでは無く、例えば、図4図5に示すように、断熱板126に形成する排気孔127を蓋128付きのスリット状に形成してもよい。この場合、蓋128は排気孔127に対して傾斜して配置され、蓋128は、図5に矢印で示すように、排気ガスが排気孔127から蓋128の傾斜に沿って斜めに流出することを可能にする。この場合、蓋128の傾斜方向を図4の周縁部23の上下に配置された複数の排気孔127に対して同方向、例えば排気ガスが作業者から離れる方向に流出する方向となるよう傾斜させることが好ましい。また、図4の周縁部23の左右に配置された複数の排気孔127に対して同方向、例えば、上方に排気ガスが流出する方向となるよう傾斜させることが好ましい。そして、このように構成した場合には、上述の場合と同様、マフラ11から排出される排気ガスを効率良く冷却することが可能となる。また、流出する排気ガスの方向を蓋128により被切断物や作業者に向かない広い空間に向かうように制御することが可能となり、排気ガスを広い空間に排出してより効率良く排気ガスの冷却が行えるうえ、被切断物の過熱をより効果的に防ぐことが可能となる。作業者に排気が向かないことにより作業性を向上させることも可能となる。
【0025】
なお、上述の実施形態では本発明のマフラ11をチェンソー1に適用しているが、このマフラ11はチェンソー1への搭載に限られるものでは無く、コンクリートカッタ、ヘッジトリマ等の他のエンジン作業機に搭載されてもよい。また、マフラ11の形状は略直方体の箱状のものに限られるものではなく、円筒状であってもよい。さらに、マフラ11にスパークアレスター25または断熱材26、あるいは両方を取付けない構成であってもよい。また、排気口17はマフラ11の周縁部23の四辺に配置される構成としたが、一部に排気口17を設けない構成であっても良い。例えば、上述の実施形態におけるエンジンチェンソー1においては、マフラ11の下側にオイルタンク33を設ける構成となっていることから、下側において排気口17を設けない構成とすることができ、このようにすることでエンジン作業機の構成要素への影響を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1 エンジンチェンソー
2 エンジンカバー
3 エンジン
11 マフラ
12 シリンダブロック
13 排気通路
14 仕切壁
15 排気流入口
16 第1膨張室
17 排気口
18 第2膨張室
19 触媒
20 連通路
21 第1膨張室のエンジン側の側面
22 第2膨張室の仕切壁と対向する側面
23 周縁部
24 中央部
25 スパークアレスター
26 断熱板
27 排気孔
28 フランジ部
29 かしめ部
30 支持柱
31 ボルト
32 雌ねじ部
図1
図2
図3
図4
図5