(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862275
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】電気調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20160202BHJP
A47J 37/06 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
A47J27/00 104A
A47J37/06 321
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-277810(P2011-277810)
(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公開番号】特開2013-128500(P2013-128500A)
(43)【公開日】2013年7月4日
【審査請求日】2014年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(72)【発明者】
【氏名】中野 崇文
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
実開平04−135242(JP,U)
【文献】
特開平08−056848(JP,A)
【文献】
実開昭64−043839(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、前記本体ケース内に収納される遮熱板と、前記本体ケースに載置される調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱手段と、温度調節手段と、を備える電気調理器であって、
前記調理容器の内容物収納部の内径d1は、前記遮熱板の外径d2より大きく、
前記遮熱板の外径d2と前記本体ケース内部との水平距離Tは、前記調理容器の内容物収納部の内径d1と前記遮熱板の外径d2との半径差tより大きくし、前記本体ケース内の熱の流れを良好にし、且つ前記調理容器に対する熱の再利用を図ることを特徴とする電気調理器。
【請求項2】
本体ケースと、前記本体ケース内に収納される遮熱板と、前記本体ケースに載置される調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱手段と、温度調節手段と、を備える電気調理器であって、
前記調理容器の内容物収納部の内径d1は、前記遮熱板の外径d2より大きく、
前記遮熱板の外径d2と前記本体ケース内部との水平距離Tは、前記調理容器の内容物収納部の内径d1と前記遮熱板の外径d2との半径差tより大きく、
前記本体ケースは、内ケース及び外ケースを有し、前記遮熱板の外径d2は、前記内ケース底部の開口部の径d3より小さいことを特徴とする電気調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電気調理器用の容器、たとえば、グリル鍋の本体ケース及び遮熱板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気調理器の一種であるグリル鍋は、例えば、
図8に示すように、外郭を構成し底部に脚を有する本体ケース1と、本体ケース1の内側に収納され、ヒーター2からの熱が本体ケース1に伝わるのを防止するためのほぼ皿形状の遮熱板3と、その遮熱板3の内側に配置されるヒーター2と、そのヒーター2の上方にセットされる調理物を調理するための深容器等の調理容器4と、図示しない温度調節手段等を有し、該温度調節手段で温度を設定しヒーター2に通電することにより、調理容器4内の調理物を加熱調理するものである。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記グリル鍋は、図にも示すように、主として専用の調理容器4が用いられ、本体ケース1及び遮熱板3の大きさも調理容器4に合わせて作られる。例えば図に示すものでは、調理容器4の底部及び側部を遮熱板3で覆うようにされ、更に遮熱板3と本体ケース1との間隔が小さくされている。
【0004】
そのため、このようなグリル鍋は、ヒーター2から下面に伝導し、本体ケース1内に留まる熱が遮熱板3と本体ケース1との間にこもるようになり、温度調節手段の誤検知に相当するヒーター2の早切れが生じたり、或いは、温度ヒューズの選定で使用環境温度の高いものを使うことになり、必然的にコストが高騰するという問題を生じる。
【0005】
更に従来のグリル鍋は、調理容器4の側部も含めて遮熱板3で覆うようにされているため、上述した本体ケース1内に留まる熱が遮熱板3と本体ケース1との間から上昇して外部へ放出される際に、調理容器4に対する再利用がされないまま放出されることになり、省エネに資することができなかった。
【0006】
ところで上記グリル鍋は、本体ケース1は1部材で作られているが、数年前から意匠性を持たせた内ケース及び外ケースの2部材からなるものが出てきた。この2部材からなるものは、内ケース底部の開口部の径が、遮熱板の外径より小さいと、まず内ケース及び外ケースを組み立てて本体ケースを形成し、その本体ケースに遮熱板を組み付けることになる。
【0007】
ところが遮熱板には、予めヒーター、温度調節用レバー及び摘み(
図1参照)を組付けユニット化している。そのため、そのユニット化した遮熱板を本体ケースに取り付けるためには、内ケースに温度調節用レバー及び摘みを通すための切欠を設けておく必要があるとともに、取付時にユニット化した遮熱板の一部が内ケースに当たり、内ケースに傷を付け、外観不良品にする恐れが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−216023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明の目的は、遮熱板の外径の外側に調理容器を配設し、遮熱板の外径と本体ケースとの間をできるだけ広げることにより、本体ケース内の熱の流れを良好にし、且つ調理容器に対する熱の再利用を図ること。また、遮熱板の外径を内ケース底部の開口部の径より小さくすることにより、遮熱板の組付けを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を採用する。
【0011】
請求項1に係る発明では、本体ケースと、前記本体ケース内に収納される遮熱板と、前記本体ケースに載置される調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱手段と、温度調節手段と、を備える電気調理器であって、前記調理容器の内容物収納部の内径d1は、前記遮熱板の外径d2より大きく、前記遮熱板の外径d2と前記本体ケース内部との水平距離Tは、前記調理容器の内容物収納部の内径d1と前記遮熱板の外径d2との半径差tより大き
くし、前記本体ケース内の熱の流れを良好にし、且つ前記調理容器に対する熱の再利用を図る構成。
【0012】
請求項2に係る発明では、
本体ケースと、前記本体ケース内に収納される遮熱板と、前記本体ケースに載置される調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱手段と、温度調節手段と、を備える電気調理器であって、前記調理容器の内容物収納部の内径d1は、前記遮熱板の外径d2より大きく、前記遮熱板の外径d2と前記本体ケース内部との水平距離Tは、前記調理容器の内容物収納部の内径d1と前記遮熱板の外径d2との半径差tより大きく、前記本体ケースは、内ケース及び外ケースを有し、前記遮熱板の外径d2は、前記内ケース底部の開口部の径d3より小さい構成。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、調理容器の内容物収納部の内径d1を、遮熱板の外径d2より大きくし、遮熱板の外径d2と本体ケース内部との水平距離Tを、調理容器の内容物収納部の内径d1と遮熱板の外径d2との半径差tより大きくすることにより、本体ケース内に留まる熱をより多く且つ早急に排出することができる。その結果、本体ケースの温度上昇を低減し、且つコストの高騰を低減することができる。また、放熱する熱を調理容器に与え、調理容器を加熱することができるため、それだけ熱効率を向上することができる。
【0014】
請求項2に係る発明では、本体ケースを、内ケース及び外ケースから形成し、遮熱板の外径d2を、内ケース底部の開口部の径d3より小さくすることにより、内ケースに温度調節用レバー及び摘みを通すための切欠が不用になり、意匠性を向上させることができるとともに、コストの高騰を低減することができる。また、取付時にユニット化した遮熱板の一部が内ケースに当たり、内ケースを外観不良品にする弊害をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】
図1の調理容器の蓋がない状態の一部拡大断面図
【実施例】
【0016】
以下、添付の図面を参照して、本願発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1に本願発明の電気調理器の一種であるグリル鍋の全体斜視図を示し、
図2にその一部拡大断面図を示し、
図3〜
図7に調理容器、ヒーター、内ケース、外ケース及び遮熱板の斜視図を示す。
【0018】
以下においては電気調理器の一種であるグリル鍋を用いて説明する。グリル鍋Sは、外郭を構成する本体ケース10と、遮熱板20と、遮熱板20の内側に配置される加熱手段としてのヒーター25と、該ヒーター25への通電を制御するための温度調節器18と、遮熱板20の上方に載置される調理容器30等を有する。
【0019】
本体ケース10は、内ケース11及び外ケース12からなる樹脂製の部材である。内ケース11は、
図5に示すように、上下開口ですり鉢状の筒状部材であり、その上方に上部開口部13及び下部開口部14を有する。
【0020】
前記上部開口部13は、先端が外方に円弧状に折れ曲がった上端円弧部13aを有しており、外方に折れ曲がった先端を外ケース12の上端部に無理ばめすることにより外ケース12に取付けられる。また、前記下部開口部14は、上部開口部13より小径で、その一部に外ケース12のプラグ受収納部16をよけるための切欠14aが形成され、その下面には外ケース12の内底面に載置される複数個、例えば5個の脚15が設けられる。
【0021】
前記外ケース12は、
図6に示すように、上方が開口した容器状の部材であり、その一部の下方側面には、プラグ受けを収納するためのプラグ受収納部16と、温度調節手段である温度調節器18の一部材であり、温度調節用レバー18aの先端に取付けられる摘み18b(
図1参照)を外部に突き出すための摘み用開口部17が設けられる。そして、この外ケース12の上端部には、内ケース11の上端円弧部13aの先端が無理ばめされ、本体ケース10が形成される。
【0022】
本体ケース10が形成されると、本体ケース10の上方には、
図2に示すように、内ケース11と外ケース12との間に上方閉鎖の内部空間19が形成される。そして、この内部空間19内には、黒塗りの矢印で示すように、ヒーター25から下面に伝導し本体ケース10内に留まった熱が進入し、空気断熱部を形成する。そのため、調理時や保温時に保温性が高まり、省エネ効果となる。
【0023】
なお、温度調節器18は、温度設定部及び感熱部材を有するユニット化された一体部材である。上記したように、温度調節用レバー18aの先端に取付けられる摘み18bによって温度が設定される。また、図示しない感熱部材は、調理容器30の温度を検知する部分であり、調理容器30の底部に当接される。
【0024】
遮熱板20は、金属性の薄板をプレス加工により一体形成され、
図7に示すように全体はほぼ皿状で且つ平面視円形の部材であり、熱の下方への放散を防止する。そして、遮熱板20の底壁部21には、ヒーター25が取付けられる。
【0025】
加熱手段であるヒーター25は、
図4に示すようにアルミ合金等の熱良導体からなる円盤状の伝熱盤にシーズヒーター25a(
図2参照)を鋳込んで形成されており、遮熱板20の底壁部21に取付けられる。その後、
図1に示すように、遮熱板20の外底面側からビス26を螺合することにより、温度調節器18の一部材であり、先端に摘み18bが取付けられる温度調節用レバー18aが固定され、遮熱板ユニットが形成される。そして、この遮熱板ユニットを外ケース12に取付けることになる。
【0026】
ヒーター25の上面は円弧状であり、その円弧状の上面に調理容器30が載置される。また、円弧状の上面の外周端25bには、調理容器30の位置決め用リブ33が嵌合される。
【0027】
調理容器30は、皿状の金属製容器であり、表面にフッ素加工が施され、内部で煮物焼き物等の調理が行われる。そして、側壁部の対向する箇所にはそれぞれ取手31が設けられ、調理容器30の持ち運びを容易にする。調理時には、
図1で示すように、蓋32を閉蓋する。
【0028】
調理容器30の外周端は、外方へ円弧状に折り曲げられてなるフランジ30aが形成されている。そのため、ヒーター25から下面に伝導し本体ケース10内に留まる熱は、遮熱板20と本体ケース10との間を通って
図2で白抜きの矢印で示すように上昇する。その際、調理容器30の外側面に沿って上昇し、フランジ30a内に入り込むため、調理容器30の熱の回収率が向上し、省エネに資する。
【0029】
また、調理容器30の底部には、
図3に示すように、同心円状であって等間隔に3個の位置決め用リブ33が設けられる。この位置決め用リブ33はリング状であってもよいが、位置決め用リブ33がリング状であると、特に調理容器30が深鍋の場合には、この位置決め用リブ33がヒーター25の外周端25bに完全に嵌合しなくても調理容器30は位置決め用リブ33の広い面に載ることになりその状態で安定する。そのため、ユーザーは調理容器30が完全にセットされたと勘違いし、その結果誤使用する恐れが生じる。
【0030】
位置決め用リブ33をこのように等間隔で3個にする、即ち、位置決め用リブ33同士が対面にこない配置にすると、調理容器30がヒーター25上に完全にセットされない場合、ヒーター25の上面に載るのは1個の位置決め用リブ33と、それに対向する位置決め用リブ33がない調理容器30の底面となる。そのため、調理容器30は傾斜状態で不安定になり、ユーザーは調理容器30が完全にセットされていないことを容易に知ることができるようになり、誤使用が防止される。
【0031】
ところで、
図2に示すように、調理容器30の内容物収納部の内径d1(その外端b)は、遮熱板20の外径d2(その外端a)より大きくされている。そのため、調理容器30の外側面は、遮熱板20の外端aより外側に位置することになり、
図2で白抜きの矢印で示すように上昇する熱は、調理容器30の外側面に沿うようになり、調理容器30の外側面に沿って上昇する熱はフランジ30a内に入り込み、調理容器30に対してより多くの熱を与える。
【0032】
また、
図2に示すように、遮熱板20の外径d2(その外端a)と本体ケース10内部(その内端c)との水平距離Tは、調理容器30の内容物収納部の内径d1(その外端b)と遮熱板20の外径d2(その外端a)との半径差tより大きくされている。そのため、調理容器30の外側面と本体ケース10との間に確実に空間が形成されることになる。なお、調理容器30の外側面と本体ケース10との間の空間をできるだけ広くするため、tはTの半分以下、できれば1/3以下にすることが好ましい。
【0033】
このような構成により、調理容器30の外側面と本体ケース10との間の空間をできるだけ広くすることができるようになり、ヒーター25から下面に伝導し本体ケース10内に留まる熱の多くを迅速に排出することができるようになる。
【0034】
また、
図2に示すように、遮熱板20の外径d2(その外端a)は、内ケース11の底部の開口部14の径d3(その外端d)より小さくされている。そのため、まず、外ケース12に、予め組み立てた上記した遮熱板ユニットを組み立てることができる。その組立は、先端に摘み18bを取付けた温度調節用レバー18aを、外ケース12の摘み用開口部17内に挿入して取り付ける。その後、内ケース11を遮熱板20の上方から挿入する。
【0035】
その場合、遮熱板20の外径d2(その外端a)は、内ケース11の底部の開口部14の径d3(その外端d)より小さくされて隙間mを有しているため、容易に挿入することができる。挿入後、内ケース11を外ケース12に無理ばめする。
【0036】
このような構成により、内ケース11に温度調節用レバー18a及び摘み18bを通すための切欠が不用になり、意匠性を向上させコストを低減する。また、取付時にユニット化した遮熱板20の一部が内ケース11に当たり、内ケース11に傷が付く等の弊害がなくなる。
【0037】
また、従来のものは、本体ケース10と遮熱板20とヒーター25とがフラットに近い形態であったため、熱の道筋がなかった。
図2に示すように、遮熱板20とヒーター25をフラットに近い形態にし、本体ケース10を高くすることにより、調理容器30の外側面と本体ケース10との間に道筋を形成した。
【0038】
即ち、
図2に示すように、遮熱板20の上端fをヒーター25の上端gより若干高いnにする。そして、本体ケース10の上端eをヒーター25の上端gよりかなり高いNにするとともに、高さの差Nを高さの差nの10倍以上にする。このように構成することにより、調理容器30の外側面と本体ケース10との間により上下に長い道筋を形成することができるため、ヒーター25から下面に伝導し本体ケース10内に留まる熱の多くをより確実に調理容器30の外側面に沿って流すことができ、熱効率がより高まる。
【0039】
なお、本願発明は、請求項1と請求項2を逆にした発明、即ち、「[請求項1]本体ケースと、前記本体ケース内に収納される遮熱板と、前記本体ケースに載置される調理容器と、前記調理容器を加熱する加熱手段と、温度調節手段と、を備える電気調理器であって、前記本体ケースは、内ケース及び外ケースを有し、前記遮熱板の外径d2は、前記内ケース底部の開口部の径d3より小さいことを特徴とする電気調理器。[請求項2]前記調理容器の内容物収納部の内径d1は、前記遮熱板の外径d2より大きく、前記遮熱板の外径d2と前記本体ケース内部との水平距離Tは、前記調理容器の内容物収納部の内径d1と前記遮熱板の外径d2との半径差tより大きいことを特徴とする請求項1に記載の電気調理器。」であってもよい。
【0040】
本願発明は、上記実施例の構成に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
S…グリル鍋 10…本体ケース
11…内ケース 12…外ケース
13…上部開口部 13a…上端円弧部
14…下部開口部 14a…切欠
15…脚 16…プラグ受収納部
17…摘み用開口部 18…温度調節器
18a…温度調節用レバー 19…内部空間
20…遮熱板 21…底壁部
25…ヒーター 25a…シーズヒーター
25b…外周端 26…ビス
30…調理容器 30a…フランジ
31…取手 32…蓋
33…位置決め用リブ