特許第5862287号(P5862287)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862287
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】秤装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 3/14 20060101AFI20160202BHJP
   G01L 1/22 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   G01G3/14
   G01L1/22 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-286408(P2011-286408)
(22)【出願日】2011年12月27日
(65)【公開番号】特開2013-134215(P2013-134215A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2014年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 哲夫
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特公平6−52204(JP,B2)
【文献】 特許第4947981(JP,B2)
【文献】 特許第2638459(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G3
G01L1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量検出手段の支点側が基台にボルトで固定され、該重量検出手段の重点側に支持部材を介して計量皿が載置された秤装置において、
前記重量検出手段の支点側基台固定するボルトの挿通孔の軸芯方向に形成した凹部にカラーを挿入し、その凹部内面と前記カラー外周面との間に絶縁・防水コーキング材が充填されていることを特徴とする秤装置。
【請求項2】
前記重量検出手段の支点側と基台との間に絶縁シートが挿入されてボルト止めされていることを特徴とする請求項1記載の秤装置。
【請求項3】
前記重量検出手段の重点側と支持部材との間にカラーを挿入してボルト止めしたことを特徴とする請求項1又は2記載の秤装置。
【請求項4】
前記重量検出手段がロードセルであって、前記カラーは、絶縁性を有したコート材を被着し、前記挿通孔におけるボルト頭部と起歪体との間、又は起歪体と基台との間に挿着、或いは前記挿通孔におけるボルト頭部と起歪体との間及び起歪体と基台との間に挿着されていることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項記載の秤装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロードセル等の重量検出手段を用いた秤装置に係り、更に詳しくは重量検出手段(ロードセル等)の電食防止構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、秤装置で荷重(力)を電気信号に変換する荷重変換器(重量検出手段)として用いられる例えばロードセル等は、アルミ合金製またはアルミ製の起歪体にひずみゲージを貼付したひずみゲージ式ロードセル等が用いられ、該ロードセルの支点側がステンレス製または鉄製の基台又は底板に固定された取付部材にボルトで固定され、該ロードセルの重点側にはステンレス製又は鉄製の支持部材が固着され、その支持部材に計量皿が載置されて構成されている。
そして、前記ひずみゲージ式ロードセルの基台または底板に取り付けられた取付部材に対する固定はボルトによって行われ、また、該ロードセルの重点側における支持部材の固着もボルトによって行われている。
その為、前記ひずみゲージ式ロードセルを基台に固定するボルト止め周辺に電解質(塩水)等が被る(付着する)と、前記アルミ合金製またはアルミ製の起歪体のボルト止め周辺部が腐食するという問題が生じる。
【0003】
上記問題を解決する方法として、例えば、ひずみゲージ式ロードセルの起歪体の表面を、絶縁性を有するコーティング塗膜で覆う技術(例えば、特許文献1参照)、或いはフレーム全体を重防食塗装する技術が存在する。
しかし、上記した何れの場合も形成できる塗膜厚に限界があり、また起歪体表面の凹凸、または角部等に塗膜の薄い部分が生じる可能性が高く、その薄い塗膜部分が経年変化による萎縮等によって破れ、その部分から腐食或いは電食が発生する為、前記電食及び腐食の発生を完全に防止することはできなかった。
また、前記起歪体の表面を絶縁性を有するコーティング塗膜で覆った場合、該起歪体と接触して取り付けられる基台または底板に取り付けられた取付部材、及び支持部材との間には前記絶縁性のコーティング塗膜が介在して電食の発生を防止するが、前記起歪体を前記基台や取付部材、支持部材に固定するためのボルトは、前記ボルトが挿通された起歪体のボルト取付孔の内面と接触する。それにより、前記基台に固定するボルトを止めた周辺部において異種金属接触により電食が生じ、前記塗膜部分を破損させ電解質(塩水)等が流入し易くなるため更なる電食及び腐食を生じさせてしまうという問題が残されている。
また、重防食塗装はコストが非常に高く、経済的に採用し得ないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−343294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたもので、重量検出手段(例えば、ロードセル等)の電食及び腐食を発生させず、電解質(海水)等が被っても長期にわたって安定した検出精度を維持できる秤装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の秤装置は、重量検出手段の支点側が基台にボルトで固定され、該重量検出手段の重点側に支持部材を介して計量皿が載置された秤装置において、前記重量検出手段の支点側基台固定するボルトの挿通孔の軸芯方向に形成した凹部にカラーを挿入し、その凹部内面と前記カラー外周面との間に絶縁・防水コーキング材が充填されていることを特徴とする。
前記重量検出手段の支点側と基台との固定は、重量検出手段の支点側を基台に直接固定する形態、或いは重量検出手段の支点側を基台に固定された部材(例えば、L型金具等)に固定する形態の両方を含むものである
記重量検出手段としては、ロードセル式、電磁式、音叉または振動式等が挙げられる。
【0007】
上記手段によれば、重量検出手段、例えば、ロードセルを構成する起歪体(例えば、アルミ合金製、アルミ製等)と、基台(例えば、ステンレス製、鉄製)を連結固定する異種金属のボルトは絶縁性を有したコート材を塗布したカラーで離間され、異種金属の起歪体とボルトは直接接触しないようになる。それにより、異種金属接触による電食を防止し、腐食の誘発を防止することができる。
【0008】
前記重量検出手段として、例えば式ロードセルを用いた場合、そのロードセルの支点側を基台に直接固定する形態の場合、前記カラーは前記ロードセルの支点側を基台に固定するボルトの挿通孔におけるボルト頭部と起歪体との間、又は起歪体と基台との間に挿着、或いは前記重量検出手段の支点側を基台に固定するボルトの挿通孔におけるボルト頭部と起歪体との間及び起歪体と基台との間に挿着する。
また、前記ロードセルの支点側を基台又は底板に固定された部材(例えば、L字形金具、コ字形金具等)に固定する形態の場合、前記カラーは前記ロードセルの支点側と基台又は底板に固定された部材(L字形金具、コ字形金具等)との間、ボルトの頭部と起歪体との間に装着する。
【0009】
また、前記カラーは、起歪体に形成したボルトが挿通される挿通孔が前記起歪体を貫通して形成される場合はその挿通孔の軸芯方向の両側又は片側に形成した凹部に挿入し、前記挿通孔が前記起歪体の内部で閉塞する場合はその挿通孔の開口端側に形成した凹部に挿入される。そして、その凹部内面と前記カラー外周面との間には絶縁・防水コーキング材を充填することで、前記固定部分への電解質(塩水)等の侵入を防止でき、電食及び腐食の発生を防止できる。
【0010】
また、前記ロードセルの支点側における起歪体と基台との間、或いは起歪体と基台に固定された部材(例えば、L字形金具等)との間には、絶縁シートを挿入してボルト止めしてもよい。その場合、前記絶縁シートはボルトを挿通締着する時、前記部材間に挟みいれてもよいが、予め一方の部材、例えば基台又は基台に固定されたL型金具に貼り付け固定しておいてもよい。
【0011】
また、上記した電食防止構造は重量検出手段(例えば、ロードセル)の支点側と基台側との固定部だけでなく、該重量検出手段(例えば、ロードセル)の重点側における支持部材の固定部に採用してもよい。それにより、該部からの電食及び腐食が発生するのを防止できる。
また、前記カラーの表面に被着される絶縁性を有したコート材としては、例えばフッ素樹脂コート、或いはフッ素樹脂と略同等の機能を有した樹脂材の何れでもよく、またコート材の被着形態は被膜のコーティング、樹脂チューブの被覆等、何れでもよい。
また、前記コート材の厚さは、0.3mm程度であればよく、コート材の種類により前記厚みは適宜変更することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の秤装置は、重量検出手段(例えば、ロードセル等)の取り付け部において、異種金属の基台或いはボルト等を、絶縁性を有したコート材(被膜)で離間し、直接接触しないようにしたので、異種金属同士の接触による電食の発生を防止することができ、仮に前記部分に電解質(海水等)が被った場合であっても電食及び腐食を防止できる。従って、海水が付着した海産物などを取り扱う環境においても、長期にわたり安定して精度を維持することができる秤装置を提供することができる。
また、前記効果は絶縁性及を有したコート材を被着したカラー、及び絶縁シート等、比較的安価に入手可能な部材により達成できるため、前記秤装置を安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る秤装置の実施の形態の一例を示す縦断面図。
図2】他の実施の形態を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る秤装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は秤装置Aの全体を示す概略図で、秤装置Aは、底板1上に載置固定した基台2上にロードセル3の支点側3aが固定支持され、そのロードセル3の重点側3bには支持部材4が固定され、その支持部材4上に計量皿5が載置されて構成されている。
【0016】
ロードセル3は、アルミ合金製の四角柱体の略中央部に略H形状の孔6aが貫通形成され、その孔6aの四隅部に形成された薄肉部分を起歪部とする起歪体6における前記起歪部の上下面にひずみゲージ7a〜7dが貼付され、且つ配線(図示省略)が取り付けられて構成されている。
また、前記ロードセル3を構成する起歪体6の表面には、前記ひずみゲージ7a〜7dを貼着するエリアを除いて防錆コートが施され、前記ひずみゲージ7a〜7dが貼着されたエリアは防湿コートが施されている。尚、図示実施例では重量検出手段としてひずみゲージ式ロードセルを用いた例を示しているがこれに限らず、例えば、磁歪式ロードセル、静電容量型ロードセル、ジャイロ式ロードセル、等を用いてもよい。
【0017】
そして、前記ロードセル3の長手方向の一方側、即ち、支点側3aに該ロードセル3を基台2に固定するボルト9を通すための挿通孔8が起歪体6の上下面を貫通して形成され、且つ前記挿通孔8の両側開口端には前記ボルト9とロードセル3との間、及びロードセル3と前記基台2との間に介在するカラー10を装着するための凹部11が凹設されている。
前記挿通孔8の内径はボルト9の軸径よりやや大径に形成され、ボルト9の軸部が起歪体6に接触しないようにしてある。また、前記凹部11の内径は、前記ボルト9に装着するカラー10の外径よりやや大径で、該凹部11の深さは前記カラー10の高さより高い(深い)、或いはカラー10の高さより低く(浅く)てもよい。
【0018】
前記カラー10は、ロードセル3を構成する起歪体6と異種の金属材、例えば剛性を備えたステンレス材で構成され、そのカラー10の外表面には絶縁性のコート材12が塗布形成されている。
前記絶縁性のコート材12は、例えば、フッ素樹脂コーティング剤(FEP系塗料、PFA系塗料など)、或いはフッ素樹脂コーティング剤と同等の機能を有するものであればよい。
【0019】
前記絶縁性のコート材12の塗膜の厚さは、0.3mm程度であればよく、フッ素樹脂コーティング剤の種類により適宜厚みを変更する。また、前記絶縁性のコート材12の形成方法は、スプレーコーティングが一般的であるが、他の手法によって形成してもよい。
【0020】
また、前記ロードセル3の長手方向の他方側(反対側)、即ち、重点側3bには計量皿5を載承支持するための支持部材4を固定するボルト13の挿通孔14が、前記支点側3aに形成した挿通孔8と同様に起歪体6の上下面を貫通して形成されている。
そして、前記挿通孔14の前記支持部材4と対向する面の開口端には、ロードセル3と前記支持部材4との間に介在する、絶縁性のコート材12が塗布形成されたカラー16を装着するための凹部15が凹設されている。
前記挿通孔14の内径は、前記挿通孔8と同様、ボルト13の軸径よりやや大径に形成され、ボルト13の軸部が起歪体6に接触しないようにしてある。また、前記凹部15の内径は、前記ボルト13に装着するカラー16の外径よりやや大径で、該凹部15の深さは前記カラー16の高さより高い(深い)、或いはカラー16の高さより低く(浅く)てもよい。
【0021】
前記ロードセル3の支点側3aを固定支持する基台2には前記ボルト9が螺合締着される雌ネジ孔9’が形成され、前記ロードセル3の重点側3bに形成した前記挿通孔14には前記支持部材4を固定するボルト13が螺合締着される雌ネジ孔が形成されている。
また、前記ロードセル3の支点側3aを基台2にボルト9で締着固定する際、前記挿通孔8両側の凹部11に絶縁性のコート材12を塗布形成したカラー10を装着し、更に、前記凹部11の内面と前記カラー10の外周面との間の隙間に防水コーキング材またはゴム・ブッシュ17が充填されている。同様に、前記ロードセル3の重点側3bに支持部材4をボルト13で締着固定する際、前記凹部15に絶縁性のコート材12が塗布形成されたカラー16を装着し、更に、前記凹部15の内面と前記カラー16の外周面との間の隙間に防水コーキング材またはゴム・ブッシュ18が充填されている。
前記防水コーキング材17,18としては、例えばシリコン系ゴム、ブチル系ゴムを使用することができる。
【0022】
また、前記ロードセル3の支点側3aを基台2に固定するボルト9の頭部が位置する側、及び前記ロードセル3の重点側3bに支持部材4を固定するボルト13の頭部が位置する側には、防水を施した薄膜蓋(ゴム蓋)19が被着固定され、これにより前記挿通孔8,14に電解質(海水等)などが浸入しないように構成されている。
さらに、前記ロードセル3の支点側3aと基台2との間、及び前記ロードセル3の重点側3bと支持部材4との間には絶縁シート20が挟み込まれてボルト止めされている。
前記絶縁シート20は、前記ロードセル3に固定される基台2、支持部材4との間を絶縁し、異種金属の接触を防止するものであるから、該絶縁シートは少なくとも基台2、支持部材4の接触面と略同じ大きさに形成されている。尚、前記絶縁シートは、予め基台2におけるロードセル3と対向する面、支持部材4におけるロードセル3と対向する面にそれぞれ貼着形成してあってもよい。
図中、21は底板1の外周縁に沿って起立取り付けたケース外壁で、該ケース外壁は底板と一体に形成されていてもよい。
【0023】
上記構造により、起歪体6にひずみゲージ7a〜7dが貼着されたロードセル3は、基台2及び支持部材4との異種金属接触部が絶縁部材で離間され、電食の発生が防止される。
具体的には、ロードセル3の支点側3aでは、該ロードセル3の支点側3aが基台2にボルト9で締着固定されるが、そのボルト9が挿通される挿通孔8の内径は該ボルト9の軸径より大径であるため、ボルト9の軸部と起歪体6とは接触しないように離間保持される。そして、前記挿通孔8両側の凹部11には、表面に絶縁性を有するコート材12が塗布形成されたカラー10が装着されるため、前記ボルト9の頭部が起歪体6に接触するのが防止されると共に、カラー10表面の絶縁性を有するコート材12によって絶縁離間される。また、ロードセル3と基台2との接合面は、絶縁性を有するコート材12が塗布形成されたカラー10、防水を施した薄膜蓋(ゴム蓋)19、及び絶縁シート20によって完全に絶縁離間される。従って、ロードセル3の支点側3aが、基台2と異種金属接触による電食を生じるのを防止できる。さらに、前記凹部11の内面と前記カラー10外周面との間の隙間には防水コーキング材またはゴム・ブッシュ17が充填され、ボルト9の頭部表面は防水を施した薄膜蓋(ゴム蓋)19で被覆されるため、該凹部11に電解質(海水等)などが浸入するのを防止できる。よって、電解質を媒体として異種金属が接触するのを完全に封じることができ、電食の発生を確実に防止することができる。
【0024】
また、前記ロードセル3の重点側3bには計量皿5を載承支持する支持部材4がボルト13で固定されるが、その支持部材4の固定部においても前記支点側3aと同様、ボルト13が挿通される挿通孔14の凹部15には、表面に絶縁性を有するコート材12を塗布形成したカラー16が装着され、更にロードセル3と支持部材4との接合面は、絶縁シート20によって完全に絶縁離間される。従って、ロードセル3の重点側3bが、支持部材4と異種金属接触による電食を生じるのを防止できる。さらに、前記凹部15の内面と前記カラー16外周面との間の隙間には防水コーキング材またはゴム・ブッシュ18が充填され、ボルト13の頭部表面は防水を施した薄膜蓋(ゴム蓋)19で被覆されるため、前記挿通孔14及び凹部15に電解質(海水等)などが浸入するのを防止できる。よって、ロードセル3の重点側3bにおいても電解質を媒体として異種金属が接触するのを完全に封じることができ、電食の発生を確実に防止することができる。
【0025】
そして、図示実施例に示したロードセルの取付構造を施した秤装置Aを、魚市場、水産工場などの過酷環境下で市場テスト(秘密実験)を行ってみたが、1年以上の市場テストを行ってもロードセル3の支点側3a、重点側3b部分に電食は発生しなかった。一方、従来の電食防止(ロードセルの表面を絶縁性のコーティング材で覆う)を施したロードセルを取り付けた秤装置を前記と同様の環境下で市場テストをしたところ、数か月(6か月前後)の使用で確実に電食の発生が認められた。
【実施例2】
【0026】
前記実施例1は、ロードセル3の支点側3aを基台2に固定する場合、ボルト9の頭部とロードセル3との間、及びロードセル3と基台2との間の両方に絶縁性のコート材12を塗布したカラー10を介在して固定する例を示したが、片方にのみ前記カラーを介在して固定してもよい。
例えば、図2に示すように、ロードセル3と基台2との間に前記カラー10を介在して、ロードセル3と基台2との異種金属の接触を無くし、少なくとも当該箇所における電食の発生を防止する。
そして、もう一方のロードセル3の凹部11の底部とボルト9の頭部との接触箇所には絶縁シートを挟み、且つ前記実施例1と同様、ボルト9の頭部が位置する側には、防水を施した薄膜蓋(ゴム蓋)19を被着固定して、前記挿通孔8に電解質(海水等)などが浸入しないようにする。
尚、ロードセル3の重点側3b側は、前記実施例1と同様、ロードセル3と支持部材4との間に前記カラー16を介在した構成としたが、前記実施例1におけるロードセル3の支点側3aの構造のようにロードセル3に形成する挿通孔14の両側開口端に凹部を形成し、その両方の凹部に前記カラー16を装着してボルト止めしてもよいものである。図2において、前記実施例1で示した部材と同じ部材は同一に符号を付し説明は省略する。
【0027】
本発明に係る秤装置は図示した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変更可能である。
(1)実施の形態では、ロードセルの支点側と基台との固定を、該ロードセルの上下方向に貫通する挿通孔にボルトを通して基台に螺合締着する構造を示したが、これに限定されず、例えば、底板に略L字形、コ字形等の取付金具を取り付け、その取付金具にロードセルの支点側を接合して固定する形態等でもよい。
(2)実施の形態では、ひずみゲージ式ロードセルとしてロバーバル型の起歪体を用いた例を示したが、これに限定されず、秤装置の形態に応じて起歪体の形状はダイヤフラム型、円柱型等、適宜選択し得るものである。
(3)実施の形態では、カラー外周面における絶縁性を有したコート材の被着形態としてコーティング形態を示したが、これに限らず、例えば、絶縁性部材からなるチューブをカラーに被着した形態としてもよい。
【符号の説明】
【0028】
A…秤装置 2…基台
3…ひずみゲージ式ロードセル(重量検出手段)
3a…ロードセルの支点側
3b…ロードセルの重点側 4…支持部材
5…計量皿 6…起歪体
7a〜7d…ひずみゲージ 8,14…挿通孔
9、13…ボルト 10,16…カラー
11,15…凹部 12…絶縁性を有するコート材
17,18…防水コーキング材 19…防水を施した薄膜蓋
20…絶縁シート
図1
図2