特許 5862378 感熱転写記録媒体

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】5862378

(24)【登録日】2016年1月8日

(45)【発行日】2016年2月16日

(54)【発明の名称】感熱転写記録媒体

(51)【国際特許分類】

   B41M 5/382 20060101AFI20160202BHJP

   B41M 5/42 20060101ALI20160202BHJP

   B41M 5/395 20060101ALI20160202BHJP

   B41M 5/392 20060101ALI20160202BHJP

【ＦＩ】

   B41M5/26 101F

   B41M5/26 101L

   B41M5/26 101J

【請求項の数】5

【全頁数】16

(21)【出願番号】特願2012-52942(P2012-52942)

(22)【出願日】2012年3月9日

(65)【公開番号】特開2012-206510(P2012-206510A)

(43)【公開日】2012年10月25日

【審査請求日】2015年2月19日

(31)【優先権主張番号】特願2011-58643(P2011-58643)

(32)【優先日】2011年3月17日

(33)【優先権主張国】JP

(73)【特許権者】

【識別番号】000003193

【氏名又は名称】凸版印刷株式会社

(72)【発明者】

【氏名】鴛海 健

(72)【発明者】

【氏名】伊藤 晶彦

(72)【発明者】

【氏名】杉下 康雄

【審査官】 野田 定文

(56)【参考文献】

【文献】 特許第５６４０７９９（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】 特許第５６８６００８（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】 特許第５６５９６５４（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】 国際公開第２００７／０６６７７０（ＷＯ，Ａ１）

【文献】 特表平８−５１０２７８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特表２００８−５１６０１０（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｂ４１Ｍ ５／３８２ − ５／５２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

基材と、
前記基材の一方の面に設けた耐熱滑性層と、
前記基材の他方の面に設けた下引き層と、
前記下引き層の前記基材と接する面と反対の面に設けた染料層と
を備える感熱転写記録媒体であって、
前記下引き層が、少なくともポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体とを含み、前記下引き層中の前記ポリビニルアルコールの比率が質量比で５０％以上であり、
前記染料層が、少なくとも、熱移行性染料と、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂を含むバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする感熱転写記録媒体。

【請求項2】

前記ポリビニルアルコールと前記ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体との配合比率が、質量基準で、（ポリビニルアルコール）／（ピリビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体）＝７／３〜５／５であることを特徴とする請求項１記載の感熱転写記録媒体。

【請求項3】

前記硬化剤が、イソシアネート化合物であることを特徴とする請求項１または２記載の感熱転写記録媒体。

【請求項4】

前記下引き層の乾燥後の塗布量が、０．０５ｇ／ｍ^２以上０．３０ｇ／ｍ^２以下の範囲内であることを特徴とする請求項１乃至３いずれか１項記載の感熱転写記録媒体。

【請求項5】

前記染料層が、少なくとも２種類の変性シリコーンオイルからなる離型剤を含み、
一方が、分子量８０００以上の側鎖型ポリエーテル変性された非反応性シリコーンオイルであり、
他方が、分子量３０００以下の側鎖型ジアミン変性された反応性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項１乃至４いずれか１項記載の感熱転写記録媒体。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、感熱転写方式のプリンタに使用される感熱転写記録媒体に関するものであり、基材の一方の面に耐熱滑性層を設け、該基材の他方の面に下引き層、染料層を順次形成した感熱転写記録媒体に関する。さらに詳しくは、高速印画時における転写感度が高く、即ち、染料層に使用する染料を低減でき、また、低温・低湿下に保存後においても、印画における異常転写を防止できる感熱転写記録媒体に関するものである。

【背景技術】

【0002】

一般に、感熱転写記録媒体は、サーマルリボンと呼ばれ、感熱転写方式のプリンタに使用されるインクリボンのことであり、基材の一方の面に感熱転写層、その基材の他方の面に耐熱滑性層（バックコート層）を設けたものである。ここで、感熱転写層は、インクの層であって、プリンタのサーマルヘッドに発生する熱によって、そのインクを昇華（昇華転写方式）あるいは溶融（溶融転写方式）させ、被転写体側に転写するものである。

【0003】

現在、感熱転写方式の中でも昇華転写方式は、プリンタの高機能化と併せて各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等、広く利用されている。このような用途の多様化と共に、小型化、高速化、低コスト化、また、得られる印画物への耐久性を求める声も大きくなり、近年では、基材シートの同じ側に印画物への耐久性を付与する保護層等を重ならないように設けられた複数の感熱転写層をもつ感熱転写記録媒体が多く普及してきている。

【0004】

そのような中、用途の多様化と普及拡大に伴い、よりプリンタの印画速度の高速化が進むに従って、従来の感熱転写記録媒体では十分な印画濃度が得られないという問題が生じてきた。そこで、転写感度を上げるべく、感熱転写記録媒体の薄膜化により印画における転写感度の向上を試みることが行われてきたが、感熱転写記録媒体の製造時や印画の際に熱や圧力等によりシワが発生したり、場合によっては破断が発生したりするという問題を抱えている。

【0005】

また、感熱転写記録媒体の染料層における染料／樹脂（Ｄｙｅ／Ｂｉｎｄｅｒ）の比率を大きくして、印画濃度や印画における転写感度の向上を試みることが行われているが、染料を増やすことでコストアップとなるばかりではなく、製造工程における巻き取り状態時に感熱転写記録媒体の耐熱滑性層へ染料の一部が移行し（裏移り）、その後の巻き返し時に、その移行した染料が他の色の染料層、あるいは保護層に再転移し（裏裏移り）、この汚染された層を被転写体へ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。

【0006】

また、感熱転写記録媒体側ではなく、プリンタ側で画像形成時のエネルギーをアップする試みも行われているが、消費電力が増えるばかりではなく、プリンタのサーマルヘッドの寿命を短くする他、染料層と被転写体とが融着し、いわゆる異常転写が生じやすくなる。それに対して、異常転写を防止するために、染料層あるいは被転写体に多量の離型剤を添加すると、画像のにじみや地汚れが生じたりする。

【0007】

このような問題を解決するために、いくつかの方法が提案されている。例えば、特許文献１では、基材と染料層との間にポリビニルアルコール樹脂とポリビニルピロリドン樹脂からなる接着層を有する熱転写シートが提案されている。

【0008】

また、特許文献２には、基材と染料層との間にポリビニルピロリドン樹脂と変性ポリビニルピロリドン樹脂を含有する接着層を有する熱転写シートが提案されている。

【0009】

また、特許文献３には、基材と染料層の間にポリビニルピロリドン樹脂またはポリビニルアルコール樹脂の熱可塑性樹脂とコロイド状無機顔料超微粒子からなる接着層を有する熱転写シートが提案されている。

【0010】

また、特許文献４には、基材と染料層の間にビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体とコロイド状無機顔料超微粒子からなる下地層を有する熱転写シートが提案されている。

【0011】

また、特許文献５並びに特許文献６には、染料層の樹脂にイソシアネートを添加し、固化反応させることにより染料層の耐熱性を増加させた熱転写シートが提案されている。

【0012】

また、特許文献７並びに特許文献８には、染料層の樹脂に酸変性ポリビニルアセタール樹脂を用いる熱転写シートが提案されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0013】

【特許文献1】特開平５−１３１７６０号公報

【特許文献2】特開２００５−２３１３５４号公報

【特許文献3】特開２００６−１５０９５６号公報

【特許文献4】特開２００８−１５５６１２号公報

【特許文献5】特開昭６１−１０６２９６号公報

【特許文献6】特開２０１０−２６０９２８号公報

【特許文献7】特開２００６−６９１９６号公報

【特許文献8】特開２０１０−２２８４１５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0014】

しかしながら、特許文献１、特許文献２、特許文献３、特許文献４に提案されている感熱転写記録媒体にて昇華転写体方式の高速プリンタにて印画を行った場合、印画濃度を満足させる染料／樹脂（Ｄｙｅ／Ｂｉｎｄｅｒ）の比率まで上昇させた場合には、全てにおいて低温かつ低湿の環境下において異常転写が確認されている。また、特許文献５、特許文献６に提案されている感熱転写記録媒体にて同じく印画を行った場合、下引き層を設置しない場合には、印画における転写感度が低く、充分なレベルに至っていなかった。また、特許文献７、特許文献８に提案されている感熱転写記録媒体にて同じく印画を行った場合、下引き層を設置しない場合には、印画における転写体感度は上昇するものの充分なレベルに至っておらず、硬化剤を添加しない場合には異常転写も確認されている。このように、従来技術では、印画における転写体感度が高く、低温かつ低湿の環境下においても異常転写を発生させない高速プリンタに対応できる感熱転写記録媒体が見出されていないのが現状である。

【0015】

そこで、本発明は、上記の問題点に鑑み、高速印画時における転写感度が高く、即ち、染料層に使用する染料を低減でき、また、低温かつ低湿の環境下においても、印画における異常転写を防止できる感熱転写記録媒体を提供することを目的とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0016】

本発明に係る感熱転写記録媒体は、基材と、前記基材の一方の面に設けた耐熱滑性層と、前記基材の他方の面に設けた下引き層と、前記下引き層の前記基材と接する面と反対の面に設けた染料層とを備える感熱転写記録媒体であって、前記下引き層が、少なくともポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体とを含み、前記下引き層中の前記ポリビニルアルコールの比率が質量比で５０％以上であり、前記染料層が、少なくとも、熱移行性染料と、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂を含むバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂と反応する硬化剤とを含むことを特徴とする。

【0017】

また、本発明に係る感熱転写記録媒体においては、前記ポリビニルアルコールと前記ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体との配合比率が、質量基準で、（ポリビニルアルコール）／（ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体）＝７／３〜５／５であることが好ましい。

【0018】

また、本発明に係る感熱転写記録媒体においては、前記硬化剤がイソシアネート化合物であることが好ましい。

【0019】

また、本発明に係る感熱転写記録媒体においては、下引き層の乾燥後の塗布量が、０．０５ｇ／ｍ^２以上０．３０ｇ／ｍ^２以下の範囲内であることが好ましい。

【0020】

また、本発明に係る感熱転写記録媒体においては、前記染料層が、少なくとも２種類の変性シリコーンオイルからなる離型剤を含み、一方が、分子量８０００以上の側鎖型ポリエーテル変性された非反応性シリコーンオイルであり、他方が、分子量３０００以下の側鎖型ジアミン変性された反応性シリコーンオイルであることが好ましい。

【発明の効果】

【0021】

本発明の感熱転写記録媒体によれば、高速印画時における転写感度が高く、染料層に使用する染料を低減でき、また、低温・低湿の環境下においても、印画における異常転写を防止でき、十分に満足できる印画物を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【0022】

【図1】本発明の感熱転写記録媒体の一実施形態の側断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0023】

本発明の一実施例の感熱転写記録媒体は、図１に示すように、基材（１０）の一方の面にサーマルヘッドとの滑り性を付与する耐熱滑性層（４０）を設け、基材（１０）の他方の面に、下引き層（２０）、染料層（３０）を順次形成した構成である。

【0024】

以下、各部について説明する。基材（１０）としては熱転写における圧力により変形しない耐熱性と強度が要求されるので、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、セロファン、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール等からなる合成樹脂フィルムや、コンデンサーペーパー、パラフィン紙等の紙類を単独で又は組み合わされた複合体として使用可能である。特に、加工性やコスト面などを考慮するとポリエチレンテレフタレートからなるフィルムが好ましい。基材（１０）の厚みは、操作性、加工性を考慮し、２μｍ以上５０μｍ以下の範囲のものが使用可能であるが、転写適正や加工性等を考慮すると、２μｍ以上９μｍ以下の範囲のものであればより好ましい。

【0025】

また、基材（１０）においては、耐熱滑性層（４０）および下引き層（２０）を形成する面に接着処理を施すことも可能である。接着処理としては、コロナ処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、プラズマ処理、プライマー処理等の公知の技術を適用することができ、また、それらの処理を組合わされた処理を施すことも可能である。本発明では、基材と下引き層との接着性を高めることが有効であり、かつ、コスト面からもプライマー処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いることが好ましい。

【0026】

また、このような基材（１０）のサーマルヘッドからの熱による熱収縮や、サーマルヘッドとの摩擦による破断を防止するために、基材（１０）におけるサーマルヘッドと接する面に耐熱滑性層（４０）を設ける。

【0027】

耐熱滑性層（４０）の構成材料としては公知の技術を適用することができ、例えば、バインダーとなる樹脂、離型性や滑り性を付与する機能性添加剤、充填剤、硬化剤、溶剤などを配合して作成した塗布液を調整し、塗布、乾燥して形成することができる。この耐熱滑性層（４０）の乾燥後の塗布量は、０．１ｇ／ｍ^２以上２．０ｇ／ｍ^２以下程度が適当である。ここで、耐熱滑性層（４０）の乾燥後の塗布量とは、耐熱滑性層形成用の塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことをいい、後述する下引き層（２０）の乾燥後の塗布量および染料層（３０）の乾燥後の塗布量も、同様に、塗布液を塗布、乾燥した後に残った固形分量のことを指す。

【0028】

耐熱滑性層の一例を挙げると、バインダー樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
機能性添加剤としては、動物系ワックス、植物系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム等の高級脂肪酸金属塩、長鎖アルキルリン酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテルリン酸エステル又は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル等のリン酸エステル等の界面活性剤等を挙げることができる。
充填剤としては、タルク、シリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、シリコーン粒子、ポリエチレン樹脂粒子、ポリプロピレン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
硬化剤としては、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、およびその誘導体を挙げることができるが、特に限定されるものではない。

【0029】

次に、下引き層（２０）は、少なくともポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体とを含み、これらを配合して下引き層形成用の塗布液を調製し、塗布、乾燥することで形成される。下引き層（２０）において、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体は必須成分であり、特にこれらが下引き層（２０）の主成分であることが好ましい。
ここで、主成分とは、本発明の効果を損なわない限り、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体の他に、さらに他の成分が添加されていても良い旨を表し、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体の合計が、下引き層形成時の全体からみて５０質量％超で含まれる意味であるが、好ましくは８０質量％以上である。

【0030】

ここで、ポリビニルアルコールは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十％残存しているいわゆる部分けん化ポリビニルアルコールから、酢酸基が数％しか残存していないいわゆる完全けん化ポリビニルアルコールまでを含み、特に限定されるものではない。
また、本発明では下引き層中のポリビニルアルコールの比率が質量比で５０％以上であることが必要である。ポリビニルアルコールの比率が質量比で５０％未満であると、低温・低湿の環境下での印画における異常転写を防止できなくなる。

【0031】

ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体は、Ｎ−ビニルピロリドン系モノマーとビニル重合性モノマーであるビニルイミダゾールとの共重合体である。なお、共重合形態は、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合いずれに限定されるものではない。ここで、Ｎ−ビニルピロリドン系モノマーとは、Ｎ−ビニルピロリドン（Ｎ−ビニル−２−ピロリドン、Ｎ−ビニル−４−ピロリドン等）およびその誘導体をいうものであって、誘導体としては、Ｎ−ビニル−３−メチルピロリドン、Ｎ−ビニル−５−メチルピロリドン、Ｎ−ビニル−３−ベンジルピロリドン、Ｎ−ビニル−３，３，５−トリメチルピロリドン等のピロリドン環に置換基を有するものを挙げることができるが、特に限定されるものではない。

【0032】

ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体は、ポリビニルアルコール成分とビニルピロリドン成分の耐熱性、耐湿性が劣る点をビニルイミダゾール成分が補ったものと考えられ、低温・低湿下に保存後の基材と染料層との接着性が高く、印画における異常転写を防止する機能を発揮できる。ここで、ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体は、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールの重合割合が、モル比で、（ビニルピロリドン）／（ビニルイミダゾール）＝７／３〜３／７が好ましく、この範囲である場合、前記の機能を十分発揮できる。

【0033】

ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体との配合比率は、質量基準で、（ポリビニルアルコール）／（ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体）＝７／３〜５／５であることが好ましい。この範囲を満たすことで、高速印画時における転写感度がより高く、低温・低湿環境下においても印画における異常転写がなく、より十分に満足できる印画物を得ることができる。

【0034】

また、下引き層（２０）には、前記性能を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。

【0035】

下引き層（２０）の乾燥後の塗布量は、一概に限定されるものではないが、０．０５ｇ／ｍ^２以上０．３０ｇ／ｍ^２以下の範囲内であることが好ましい。０．０５ｇ／ｍ^２未満では、染料層積層時の劣化により、高速印画時における転写感度が不足し、基材あるいは染料層との密着性に問題を抱える不安がある。一方、０．３０ｇ／ｍ^２超では、感熱転写記録媒体自体の感度低下に影響し、高速印画時における転写感度が不足する不安がある。

【0036】

次に、染料層（３０）は、従来公知のもので対応でき、例えば、熱移行性染料、バインダー樹脂、硬化剤、溶剤などを配合して染料層形成用の塗布液を調整し、塗布、乾燥することで形成される。染料層（３０）の乾燥後の塗布量は、１．０ｇ／ｍ^２程度が適当である。なお、染料層は、１色の単一層で構成したり、色相の異なる熱移行性染料を含む複数の染料層を、同一基材の同一面に面順次に、繰り返し形成したりすることもできる。

【0037】

前記染料層の熱移行性染料は、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であれば、特に限定されるわけではなく、例えば、イエロー成分としては、ソルベントイエロー５６、１６、３０、９３、３３、ディスパースイエロー２０１、２３１、３３等を挙げることができる。マゼンタ成分としては、Ｃ．Ｉ．ディスパースレッド６０、Ｃ．Ｉ．ディスパースバイオレット２６、Ｃ．Ｉ．ソルベントレッド２７、あるいはＣ．Ｉ．ソルベントレッド１９等を挙げることができる。シアン成分としては、Ｃ．Ｉ．ディスパースブルー３５４、Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー６３、Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー３６、あるいはＣ．Ｉ．ディスパースブルー２４等を挙げることができる。墨の染料としては、前記の各染料を組み合わせて調色するのが一般的である。

【0038】

染料層（３０）に含まれるバインダー樹脂には、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂を含むことが必須となる。
染料層（３０）に含まれるバインダー樹脂において、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂は必須成分であり、特に、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂が、染料層（３０）に含まれるバインダー樹脂の主成分であることが好ましい。
ここで、主成分とは、本発明の効果を損なわない限り、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂の他に、さらに他の成分が添加されていても良い旨を表し、酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂が、染料層（３０）に含まれるバインダー樹脂の全体からみて５０質量％超で含まれる意味であるが、好ましくは８０質量％以上である。染料層（３０）に含まれるバインダー樹脂として他に添加される樹脂としては、従来公知の樹脂がいずれも使用でき、特に限定されるものではないが、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂やポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂やポリエステル樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合樹脂、フェノキシ樹脂等を挙げることができる。

【0039】

染料層（３０）に含まれる硬化剤としては、前記の耐熱滑性層の欄で説明したイソシアネート化合物が好適なものとして挙げられる。また、イソシアネート化合物以外の硬化剤としては、ジアルデヒド類やフェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などが挙げられるが、トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等のイソシアネート類、およびその誘導体が酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂との反応性において特に好ましい。

【0040】

ここで、染料層（３０）の熱移行性染料とバインダー樹脂＋硬化剤との配合比率は、質量基準で、（熱移行性染料）／（バインダー樹脂＋硬化剤）＝１０／１００〜３００／１００が好ましい。これは、（熱移行性染料）／（バインダー樹脂＋硬化剤）の比率が、１０／１００を下回ると、熱移行性染料が少な過ぎて発色感度が不十分となり良好な熱転写画像が得られず、また、この比率が３００／１００を超えると、バインダー樹脂に対する熱移行性染料の溶解性が極端に低下するために、感熱転写記録媒体となった際に、保存安定性が悪くなって、熱移行性染料が析出し易くなってしまうためである。また、染料層には、性能を損なわない範囲で、シランカップリング剤、分散剤、粘度調整剤、安定化剤等の公知の添加剤が含まれていてもよい。

【0041】

また、本発明においては、染料層に少なくとも２種類の変性シリコーンオイルからなる離型剤を添加し、２種類の変性シリコーンオイルのうち、一方の変性シリコーンオイルが、分子量８０００以上の側鎖型ポリエーテル変性された非反応性シリコーンオイルであり、もう一方の変性シリコーンオイルが、分子量３０００以下の側鎖型ジアミン変性された反応性シリコーンオイルであることが好ましい。このような２種類の離型剤を添加することにより、本発明の上記効果が向上することに加え、低温・低湿環境下での印画時の印画音を抑制することができ、好ましい。

【0042】

なお、耐熱滑性層（４０）、下引き層（２０）、染料層（３０）は、いずれも従来公知の塗布方法にて塗布し、乾燥することで形成可能である。塗布方法の一例を挙げると、グラビアコーティング法、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法、リバースロールコート法を挙げることができる。

【実施例】

【0043】

以下に、本発明の各実施例および各比較例に用いた材料を示す。なお、文中で「部」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。

【0044】

＜耐熱滑性層付き基材の作製＞
基材として、４．５μｍの片面易接着処理付きポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その非易接着処理面に、下記組成の耐熱滑性層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が１．０ｇ／ｍ^２になるように塗布し、１００℃、１分乾燥した後に、４０℃環境下で１週間エージングすることで、耐熱滑性層付き基材を得た。

【0045】

＜耐熱滑性層塗布液＞
・アクリルポリオール樹脂 １２．５部
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・リン酸エステル ２．５部
・タルク ６．０部
・２，６−トリレンジイソシアネートプレポリマー ４．０部
・トルエン ５０．０部
・メチルエチルケトン ２０．０部
・酢酸エチル ５．０部

【0046】

（実施例１）
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下記組成の下引き層塗布液−１を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が０．２０ｇ／ｍ^２になるように塗布し、１００℃、２分乾燥することで、下引き層を形成した。引き続き、その下引き層の上に、下記組成の染料層塗布液−１を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が０．７０ｇ／ｍ２になるように塗布し、９０℃、１分乾燥することで、染料層を形成し、実施例１の感熱転写記録媒体を得た。

【0047】

＜下引き層塗布液−１＞
・ポリビニルアルコール ３．５部
・ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 １．５部
｛共重合比（モル比）：１／１｝
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0048】

＜染料層塗布液−１＞
・Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー６３ ５．０部
・酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂 ４．０部
・２，６−トリレンジイソシアネートプレポリマー １．０部
・トルエン ４４．９部
・メチルエチルケトン ４４．９部
・側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル ０．１部
（分子量１５００）
・側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル ０．１部
（分子量１００００）

【0049】

（実施例２）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−２にした以外は、実施例１と同様にして、実施例２の感熱転写記録媒体を得た。

【0050】

＜下引き層塗布液−２＞
・ポリビニルアルコール ２．５部
・ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 ２．５部
｛共重合比（モル比）：１／１｝
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0051】

（実施例３）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層塗布液−２にした以外は、実施例１と同様にして、実施例３の感熱転写記録媒体を得た。

【0052】

＜染料層塗布液−２＞
・Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー６３ ５．０部
・酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂 ４．０部
・２，６−トリレンジイソシアネートプレポリマー １．０部
・トルエン ４４．９部
・メチルエチルケトン ４４．９部
・側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル ０．２部

【0053】

（実施例４）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−３にした以外は、実施例１と同様にして、実施例４の感熱転写記録媒体を得た。

【0054】

＜下引き層塗布液−３＞
・ポリビニルアルコール ４．０部
・ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 １．０部
｛共重合比（モル比）：１／１｝
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0055】

（実施例５）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を乾燥後の塗布量が０．０３ｇ／ｍ^２になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例１と同様にして、実施例５の感熱転写記録媒体を得た。

【0056】

（実施例６）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を乾燥後の塗布量が０．３５ｇ／ｍ^２になるように塗布、乾燥すること以外は、実施例１と同様にして、実施例６の感熱転写記録媒体を得た。

【0057】

（比較例１）
耐熱滑性層付き基材の易接着処理面に、下引き層を形成することなく、易接着処理面の上に、実施例１と同様の染料層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が０．７０ｇ／ｍ^２になるように塗布し、９０℃、１分乾燥することで、染料層を形成し、比較例１の感熱転写記録媒体を得た。

【0058】

（比較例２）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−４にした以外は、実施例１と同様にして、比較例２の感熱転写記録媒体を得た。

【0059】

＜下引き層塗布液−４＞
・ポリビニルピロリドン ５．０部
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0060】

（比較例３）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−５にした以外は、実施例１と同様にして、比較例３の感熱転写記録媒体を得た。

【0061】

＜下引き層塗布液−５＞
・ポリビニルアルコール ２．５部
・ポリビニルイミダゾール ２．５部
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0062】

（比較例４）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層塗布液−３にした以外は、実施例１と同様にして、比較例４の感熱転写記録媒体を得た。

【0063】

＜染料層塗布液−３＞
・Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー６３ ５．０部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂 ４．０部
・２，６−トリレンジイソシアネートプレポリマー １．０部
・トルエン ４４．９部
・メチルエチルケトン ４４．９部
・側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル ０．１部
（分子量１５００）
・側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル ０．１部
（分子量１００００）

【0064】

（比較例５）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、染料層を下記組成の染料層塗布液−４にした以外は、実施例１と同様にして、比較例５の感熱転写記録媒体を得た。

【0065】

＜染料層塗布液−４＞
・Ｃ．Ｉ．ソルベントブルー６３ ５．０部
・酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂 ４．０部
・トルエン ４４．９部
・メチルエチルケトン ４４．９部
・側鎖型ジアミン変性シリコーンオイル ０．１部
（分子量１５００）
・側鎖型ポリエーテル変性シリコーンオイル ０．１部
（分子量１００００）

【0066】

（比較例６）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−６にした以外は、実施例１と同様にして、比較例６の感熱転写記録媒体を得た。

【0067】

＜下引き層塗布液−６＞
・ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 ５．０部
｛共重合比（モル比）：１／１｝
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0068】

（比較例７）
実施例１で作製した感熱転写記録媒体において、下引き層を下記組成の下引き層塗布液−７にした以外は、実施例１と同様にして、比較例７の感熱転写記録媒体を得た。

【0069】

＜下引き層塗布液−７＞
・ポリビニルアルコール ２．０部
・ビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体 ３．０部
｛共重合比（モル比）：１／１｝
・純水 ７６．０部
・イソプロピルアルコール １９．０部

【0070】

＜被転写体の作製＞
基材として、１８８μｍの白色発泡ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その一方の面に下記組成の受像層塗布液を、グラビアコーティング法により、乾燥後の塗布量が５．０ｇ／ｍ^２になるように塗布、乾燥することで、感熱転写用の被転写体を作製した。

【0071】

＜受像層塗布液＞
・塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体 １９．５部
・アミノ変性シリコーンオイル ０．５部
・トルエン ４０．０部
・メチルエチルケトン ４０．０部

【0072】

＜常温における染料層の密着性評価＞
実施例１〜６、比較例１〜７の感熱転写記録媒体に関して、常温にて保存された感熱転写記録媒体の染料層の上に、幅１８ｍｍ、長さ１５０ｍｍのセロハンテープを貼り、その後すぐに剥がしたときの、セロハンテープ側への染料層の付着の有無を調べることにより評価した結果を、表１に示す。
なお、評価は１０回行い、以下の基準にて行った。
○：染料層の付着が、認められない
△：染料層の付着が、ごく僅かに認められる
×：染料層の付着が、全面で認められる

【0073】

＜低温・低湿環境下における染料層の印画評価＞
実施例１〜６、比較例１〜７の感熱転写記録媒体に関して、１５℃、２０％ＲＨ環境下にてさらに２４時間保存された感熱転写記録媒体と被転写体を使用し、サーマルシミュレーターにてベタ印画を行い、最高反射濃度、異常転写の有無、印画音を評価した結果を、表１に示す。なお、最高反射濃度はＸ−Ｒｉｔｅ５２８にて測定した値である。
印画環境：２３℃、５０％ＲＨ
印加電圧：２９Ｖ
ライン周期：０．７ｍｓｅｃ
印画密度：主走査３００ｄｐｉ 副走査３００ｄｐｉ

【0074】

＜異常転写評価＞
異常転写の評価は、以下の基準にて行った。
○：被転写体への異常転写が、認められない
△：被転写体への異常転写が、ごく僅かに認められる
×：被転写体への異常転写が、全面で認められる

【0075】

【表1】

【0076】

表１に示すように、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体を主成分として含む塗布液を塗布、乾燥して形成された下引き層が設けられた実施例１〜６の感熱転写記録媒体は、下引き層が設けられていない比較例１の感熱転写記録媒体と比較して、明らかに高速印画時における転写感度が高いことがわかった。また、常温保存および低温・低湿環境下での印画における異常転写も実用上問題ないことがわかった。その中で、実施例１、２および４の感熱転写記録媒体は、低温・低湿環境印画の異常転写から、下引き層中のポリビニルアルコールが５０％以上であることが好ましいことがわかった。また、実施例１、２および４の感熱転写記録媒体は、低温・低湿環境印画の最高反射濃度から、ポリビニルアルコールとビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体との配合比率が、質量基準で、７／３〜５／５であることが好ましいことがわかった。また、実施例３の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較すると、離型剤が２種類の変性シリコーンオイルの組み合わせではないため、低温・低湿環境印画時の印画音が大きいことがわかった。また、実施例５の感熱転写記録媒体は、実施例４の感熱転写記録媒体と比較すると、下引き層の塗布量が０．０５ｇ／ｍ^２未満であるため、常温の密着性が低下していることがわかった。また、実施例６の感熱転写記録媒体は、同じく実施例４の感熱転写記録媒体と比較すると、下引き層の塗布量が０．３０ｇ／ｍ^２超であるため、転写感度が低下していることがわかった。

【0077】

これに対して、比較例２の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較して、下引き層をポリビニルピロリドンのみで設けた結果、常温での染料層の密着性並びに低温・低湿環境下における異常転写に問題を抱えることがわかった。また、比較例３の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較して、比較例２の感熱転写記録媒体と同様の問題を抱えることがわかった。また、比較例４の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較して、染料層のバインダー樹脂を酸変性ポリビニルアセトアセタール樹脂からポリビニルアセトアセタール樹脂に変更した結果、比較例２および３の感熱転写記録媒体と同様の問題を抱えることがわかった。また、比較例５の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較して、染料層から硬化剤を除いた結果、比較例２、３、および４で確認される常温での染料層の密着性並びに低温・低湿環境下における異常転写に関して同様の問題を抱えることがわかった。また、比較例６の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較して、下引き層をビニルピロリドン−ビニルイミダゾール共重合体のみで設けた結果、比較例２、３、４、および５で確認される現象と同様の問題を抱えることがわかった。また、比較例７の感熱転写記録媒体は、実施例１の感熱転写記録媒体と比較して、下引き層中のポリビニルアルコールを４０％とした結果、比較例２、３、４、５、および６で確認される現象と同様の問題を抱えることがわかった。

【産業上の利用可能性】

【0078】

本発明により得られる感熱転写記録媒体は、昇華転写方式のプリンタに使用することができ、プリンタの高速・高機能化と併せて、各種画像を簡便にフルカラー形成できるため、デジタルカメラのセルフプリント、身分証明書などのカード類、アミューズメント用出力物等に広く利用できる。

【符号の説明】

【0079】

１０…基材
２０…下引き層
３０…染料層
４０…耐熱滑性層

【図1】