(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記前進制御手段は、前記車両が前進する状態にシフトポジションを切り替えるシフトポジション制御手段と、前記シフトポジション制御手段により前記車両が前進する状態にシフトポジションを切り替えられた状態で前記車両を停止させた状態に保持する制動制御手段とを備えたことを特徴とする請求項3記載の運転支援装置。
前記車両が前記駐車箇所から出庫するときの後退軌跡を記憶する後退軌跡記憶部を有し、前記前進制御手段は、前記解除手段により前記車両の停止した状態が解除されると、前記車両を前記後退軌跡に沿って前進させる走行軌跡制御手段を備えていることを特徴とする請求項5記載の運転支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態の運転支援装置の構成を示すブロック図である。
この運転支援装置は、車両に搭載されており、車両の左後方の障害物を探査する機能を備えた左後方探査レーダ装置1、車両の右後方の障害物を探査する機能を備えた右後方探査レーダ装置2を利用し、前記車両が駐車場所へ前進駐車した状態から出庫するときの後退走行時に前記車両に接近する他車両があると、前記車両のドライバーに対し接近する他車両との間の安全を確保するための運転支援を行う。
具体的には、前進して駐車場所に前向きで駐車した状態で、駐車場所からバックで出庫するときの後退走行が開始されると、自車両後方から自車両に接近する他車両を左後方探査レーダ装置1あるいは右後方探査レーダ装置2により探知し、自車両後方に接近する他車両が検知されると、自車両後方に接近している他車両に対する状況判断を行い、駐車場所から出庫する後退走行時、自車両に対し接近する他車両との間の安全性を高める確実な運転支援を実現する。
【0016】
この運転支援装置は、左後方探査レーダ装置1、右後方探査レーダ装置2、前方障害物検出センサ3、運転支援装置の中核をなす運転支援コントローラ15を備えている。
左後方探査レーダ装置1および右後方探査レーダ装置2は、自車両の後方から自車両に接近する他車両を検知して、例えば自車両が進路変更を行うときの自車両後方を走行する他車両の存在をドライバーに報知するなどの運転支援のためのレーダ装置を利用することが出来る。
左後方探査レーダ装置1は、自車両左後方へ例えばミリ波を照射したときの方向と反射波から自車両左後方へ接近する他車両の有無、自車両左後方へ接近する他車両の速度、速度変化を検出することが可能である。また、自車両左後端部から自車両後方の障害物までの距離Lを計測可能である。
右後方探査レーダ装置2は、自車両右後方へ例えばミリ波を照射したときの方向と反射波から自車両右後方へ接近する他車両の有無、自車両右後方へ接近する他車両の速度、速度変化を検出することが可能である。また、自車両右後端部から自車両後方の障害物までの距離Lを計測可能である。
前方障害物検出センサ3は、自車両の前方の障害物を検知して、自車両前方の障害物の存在をドライバーに報知するなどの運転支援のためのレーダ装置、撮像カメラを利用することが出来る。前方障害物検出センサ3は、自車両前方の障害物へ例えばミリ波を照射したときの方向と反射波から自車両前方の障害物の有無を検出することが可能である。
【0017】
図3は、自車両101の後部バンパー内に取り付けられた左後方探査レーダ装置1および右後方探査レーダ装置2と、前方障害物検出センサ3と、左後方探査レーダ装置1による左後方探査エリア201、右後方探査レーダ装置2による右後方探査エリア202および前方障害物検出センサ3による前方探査エリア203を示す説明図である。
【0018】
図1に戻り、運転支援コントローラ15は、電動パワーステアリングECU4、メータECU6、トランスミッションECU9、ブレーキECU11およびエンジンECU13とバスラインを介して通信を行う。
電動パワーステアリングECU4は、ステアリング5の駆動モータを制御し、ステアリング5を駆動するマイクロコンピュータにより構成されている。
メータECU6は、運転席に設置されている各種計器類とその表示を制御するものであり、外気温センサを含む各種センサによる検出結果、前記各種計器類による表示結果をスピーカ7により音声出力したり、あるいは運転席の液晶ディスプレイ装置8へ画像として出力するマイクロコンピュータにより構成されている。
トランスミッションECU9は、シフトレバーのシフトポジションを検出し、シフトアクチュエータ10を制御し、シフトレバーの位置を指定されたシフトポジションに自動的にシフトさせるマイクロコンピュータにより構成されている。
ブレーキECU11は、ブレーキの状態を検出し、ブレーキアクチュエータ12を制御し、ブレーキの操作を自動的に行うマイクロコンピュータにより構成されている。
エンジンECU13は、エンジンの状態を検出し、またアクセルペダル14の状態を検出し、エンジンを制御するマイクロコンピュータにより構成されている。
【0019】
運転支援コントローラ15は電動パワーステアリングECU4を介してステアリング5の操作状態の検出を行い、運転支援に伴うステアリング5の自動操舵を行う。
さらに運転支援コントローラ15はメータECU6を介してスピーカ7から運転支援に伴う各種音声アナウンスを出力し、また液晶ディスプレイ装置8へ運転支援に伴う各種情報を表示出力する。
また、運転支援コントローラ15は、トランスミッションECU9を介してシフトレバーの位置を検出し、シフトアクチュエータ10を制御して運転支援に伴うトランスミッションの自動切替制御を行う。
また、運転支援コントローラ15はブレーキECU11を介してブレーキの操作状態を検出し、またブレーキアクチュエータ10を制御し、運転支援に伴うブレーキ装置の自動制御を行う。
また、運転支援コントローラ15はエンジンECU13を介してアクセルペダル14の操作状態を検出する。
【0020】
運転支援コントローラ15は、後側方車両検出部21、通過可能性判定部22、後退軌跡記憶部23、前方障害物接触判定部24、警報指示部25および自動前進制御部26を備えている。
【0021】
後側方車両検出部21は、左後方探査レーダ装置1または右後方探査レーダ装置2からミリ波を照射したときの反射波から、自車両101の左後方あるいは右後方から自車両に接近する他車両を検出する。
【0022】
通過可能性判定部22は、自車両後方へ接近する他車両の速度と、その速度変化から、自車両後方へ接近する他車両が自車両後方を通過しようとしているのか、あるいは自車両後方の通過を躊躇しているのかの通過可能性を判定し、自車両後方へ接近する他車両に対する状況判断を行う。
この通過可能性は、例えば自車両後方へ接近する他車両の速度とその速度変化についての2つの条件、すなわち自車両後方へ接近する他車両の速度が予め設定された一定速度Vr以上であって、かつ、その速度変化が予め設定された基準値を下回る場合に“他車両は自車両後方を通過しようとしている”、つまり“他車両のドライバーに通過意思がある”と判定する。
また、前記2つの条件のうち1つでも満足しない状況に対しては、他車両の速度が予め設定された一定速度Vr以下の低速走行している状況、あるいはその速度変化が予め設定された基準値を上回る急ブレーキを掛けた状況であるとして“自車両後方の通過を躊躇している” 、つまり“他車両のドライバーに通過意思がない”と判定する。
【0023】
後退軌跡記憶部23は、前進駐車した状態から後退走行で駐車位置から出庫するときの走行軌跡を記憶する。この走行軌跡は、例えば駐車位置と、車速、ステアリングの操作角度、前輪舵角の時系列的な値を検出し、駐車位置からバックで出庫したときの走行軌跡を演算し、メモリに記憶する。
【0024】
前方障害物接触判定部24は、前方障害物検出センサ3により自車両前方の障害物へミリ波を照射したときの方向と反射波から自車両前方の障害物の有無を検出する。また検出した自車両前方の障害物と自車両との距離から障害物と自車両との接触可能性の有無を判定することが可能である。
【0025】
警報指示部25は、メータECU6との間で通信を行い、警報指示をバスラインを経由してメータECU6へ送信し、スピーカ7から音声アナウンスによる警報を出力させ、あるいは液晶ディスプレイ装置8へ警報を表示出力させる。
【0026】
自動前進制御部26は、シフトポジション指示部31、ブレーキ指示部32、クリープ走行指示部33およびステアリング操作指示部34を備えている。
【0027】
シフトポジション指示部31は、トランスミッションECU9を介してシフトレバーの位置を検出し、シフトレバーの位置を指示するシフトポジション指示信号をバスラインを経由してトランスミッションECU9へ送信し、シフトアクチュエータ10を制御し、シフトレバーの位置を自動的に切り替える。
【0028】
ブレーキ指示部32はブレーキECU11を介してブレーキアクチュエータ12を制御し、駐車位置から後退走行で出庫するとき自車両後方から自車両に接近し自車両後方を通過する他車両が検出されると自車両を停止させる。
【0029】
クリープ走行指示部33は、トランスミッションECU9を介して自車両の走行速度を検出し、自車両のクリープ走行を指示するクリープ走行指示信号をバスラインを経由してエンジンECU13へ送信し、クリープ走行を指示する。
【0030】
ステアリング操作指示部34は、電動パワーステアリングECU4を介してステアリング5の状態を検出し、ステアリングの操作量を指示するステアリング操作指示信号をバスラインを経由して電動パワーステアリングECU4へ送信し、ステアリングの操作を自動的に行う。
なお、左後方探査レーダ装置1、右後方探査レーダ装置2と運転支援コントローラ15は一体的に構成することも可能である。
【0031】
次に動作について説明する。
図2は、この実施の形態の運転支援装置の動作を示すフローチャートである。以下、このフローチャートを参照して運転支援装置の動作を説明する。
図2のフローチャートに示される運転支援装置の動作を示す運転支援プログラムは、運転支援コントローラ15を構成するマイクロコンピュータのメモリに格納されており、アクセサリ電源が投入されて車両が走行可能な状態で繰り返し実行される。
この運転支援プログラムでは、先ず自車両が後退走行を開始したか否かを判定する(ステップS1)。この後退走行を開始したか否かの判定は、シフトレバー(セレクターレバー)の位置から判定する。すなわちシフトレバーの位置がリバースの位置にあることを検出することで行う。
あるいはシフトレバーの位置と、ブレーキペダルが非操作状態、アクセルペダルが操作状態であることを判定条件に後退走行の開始を判定する。この結果、後退走行が開始されていないと判定した場合にはこの運転支援プログラムをぬける。
一方、後退走行が開始されたと判定した場合には、続いて後退走行時の車速とステアリングによる操舵角を検出し、後退走行時の自車両の後退軌跡を演算し、後退軌跡記憶部23に記憶する(ステップS2)。
【0032】
次に自車両101の後右側方、後左側方から自車両に接近する他車両の有無を判定する(ステップS3)。この後右側方、後左側方からの自車両に接近する他車両の有無についての判定は、左後方探査レーダ装置1および右後方探査レーダ装置2によりミリ波を照射したときの反射波から自車両に接近する他車両を検出することで自車両の左後方、右後方から自車両へ接近する他車両の有無を判定する。
【0033】
図4は、駐車場所から出庫するときの後退走行時の状況の一例を示す説明図である。
図4に示す例では、自車両101が前進駐車した駐車場所から出庫しようとして後退走行を開始するときに、自車両101の左後方から他車両102が接近している状況を示している。
図4に示す状況では、自車両101は後退走行しながらドライバーのステアリング操作により自車両後部を左方向あるいは右方向へ振ることになるが、自車両101の左後方探査レーダ装置1により左後方から自車両101に接近する他車両102を検知する。
自車両の左後方あるいは右後方へ接近する他車両を検知すると、続いて左後方あるいは右後方から自車両に接近する他車両がある旨を、
図4に示す例では“左後方から自車両に接近する他車両があります”という音声アナウンスの出力指示を運転支援コントローラ15の警報指示部25がメータECU6へ送信し、スピーカ7から出力させ、自車両のドライバーに報知する(ステップS4)。
【0034】
また、左後方探査レーダ装置1あるいは右後方探査レーダ装置2により自車両101の左後方あるいは右後方へ接近する他車両を検知すると、接近する他車両の速度と速度変化を検出する(ステップS5)。
そして、接近する他車両の速度と速度変化とから、接近する他車両102が自車両101の後方を通過する可能性の有無、あるいは他車両102の自車両後方を通過する意思の強弱を判定し、他車両102に対する状況判断を行う(ステップS6)。
この他車両102の後方通過可能性の有無、自車両後方を通過しようとする意思の強弱などの他車両102に対する状況判断は次のようにして行う。
【0035】
図4に示すように自車両101の左後方から自車両後方のスペースを通過しようとしている他車両102の動きは、自車両101の挙動によっても影響を受ける。つまり、他車両102の速度が予め設定された所定速度Vrを超えており、かつその速度変化率ΔVrが予め設定された基準値を下回る場合、他車両102は速度Vr以上の走行速度で速度を落とす気配なく自車両101に近づいている状況であり、この場合の状況判断として、他車両102は自車両101の後方スペースを自車両101の左後方から通過しようとしている、すなわち“通過しようとする意思が強い”、“通過意思アリ”と判定する。
また一方、他車両102の速度が予め設定された所定速度Vrを下回る低速で自車両101に接近している状況、あるいは他車両102の速度変化率が予め設定された基準値以上である場合、つまり他車両102がブレーキ操作により走行速度を一定の割り合いを超えて低下させた状況では、この場合の状況判断として、他車両102は自車両101の左後方から接近している状況であるが自車両101の後方通過を躊躇している、“通過しようとする意思が弱い”、すなわち“通過意思ナシ”と判定する。
【0036】
ステップS6で“通過意思ナシ”と判定された場合、この運転支援プログラムをぬけ、次にプログラムサイクルで自車両101の後退軌跡を後退軌跡記憶部23へ記憶しながら、自車両101の後方から自車両に接近する他車両102を左後方探査レーダ装置1、右後方探査レーダ装置2により検出しながらステップS1からステップS6までの処理を、ステップS3で自車両に接近する他車両102が検出されなくなるまで繰り返す。
図4に示す例では自車両101の左後方から自車両に接近する他車両102を左後方探査レーダ装置1により検出すると、“左後方から自車両に接近する他車両があります”という音声アナウンスが自車両101のドライバーに報知されることになり(ステップS4)、続くステップS5では接近する他車両102の速度と速度変化を検出し、次のステップS6で後方通過可能性を判定し、他車両に対する状況判断を行う。自車両101の左後方から自車両に接近する他車両102が停止し、“通過意思ナシ”と判定するとこの運転支援プログラムをぬけ、ステップS1からの処理が繰り返される。
【0037】
一方、ステップS6で“通過意思アリ” と判定された場合、警報指示部25はメータECU6と通信を行い、警報指示をメータECU6へ送信し、スピーカ7から“前進してください”などの自車両101の前進走行を促す音声案内が自車両101のドライバーに報知される(ステップS7)。
【0038】
続いて自動前進制御部26のシフトポジション指示部31からトランスミッションECU9へ送信される指示によりシフトアクチュエータ10がシフトレバーの位置をリバースR位置からDレンジ位置へシフトさせ、さらにブレーキ指示部32からブレーキECU11へ送信される指示によりブレーキアクチュエータ12がブレーキを制御して制動が掛けられた状態、ブレーキ保持の状態に移行する(ステップS8)。
この状態では、自車両101はシフトレバーの位置がDレンジであって、ブレーキが保持されて停止している。
【0039】
図4に示す例では、自車両101のドライバーは、“左後方から自車両に接近する他車両があります”という音声アナウンス、さらに前進走行を促す音声案内を聞くことで、自車両101の後方を通過する可能性の高い、自車両後方から自車両に接近する他車両102の存在を知り、停止している位置から最初の駐車位置まで自車両101を再度前進させるためにアクセルペダルの操作を行う。
このアクセルペダルの操作は、例えばドライバーによる短期間のアクセル踏込み操作で足りるものである。このとき運転支援コントローラ15のCPUは、アクセルペダルのオン操作が行われたか否かをアクセルペダルの操作量を検出するアクセル操作量センサの出力から判定している(ステップS9)。
この結果、アクセル操作量センサの出力からアクセルペダルのオン操作が行われたと判定されると、後退軌跡記憶部23に記憶している最初の駐車位置からステップS8で停止するまでの後退軌跡を自動前進制御部26が後退軌跡記憶部23から読み出し、前記後退軌跡をトレースするようにテアリング操作指示部34から電動パワーステアリングECU4へステアリング操作指示を送信し、またクリープ走行指示部33からエンジンECU13へクリープ走行の指示を送信し、さらにステップS8のブレーキ保持の状態を解除して自車両101を自動前進走行させる(ステップS12)。
【0040】
次に、運転支援コントローラ15のCPUは、検出された自車両101の走行距離から自動前進走行距離が予め設定された一定距離Lcに達したか否かを判定しながら(ステップS13)、自動前進制御部26のクリープ走行指示部33、ステアリング操作指示部34によりエンジンECU13、電動パワーステアリングECU4と通信を行いつつ、自車両101を一定距離Lcだけ、後退軌跡記憶部23に記憶している後退軌跡をトレースするように自動前進走行させる。
そして、自車両101の自動前進走行距離が一定距離Lcを超えると、運転支援コントローラ15の自動前進制御部26のブレーキ指示部32はブレーキECU11へブレーキを作動させる指示を送信し、前進走行している自車両101に制動をかけ、ブレーキ保持を行う(ステップS14)。
【0041】
次に、運転支援コントローラ15の自動前進制御部26のシフトポジション指示部31は、トランスミッションECU9と通信を行い、シフトアクチュエータ10を作動させてシフトレバーの位置をDレンジの位置からパーキングレンジP(あるいはニュートラルレンジN)位置へ自動的に切り替える(ステップS15)。
【0042】
ステップS9のアクセルペダルのオン操作が行われたか否かの判定は予め設定された一定期間行われる。
このためステップS9において前記アクセル操作量センサがアクセルペダルの操作量を検出しておらず、アクセルペダルのオン操作が行われていないと判定されるとソフトウェアタイマが起動されそのタイマカウント値Cが“1”インクリメントされる(ステップS10)。
続いて前記タイマカウント値Cが規定値以下、すなわち前記一定期間を規定するカウント値以下である否かを判定し(ステップS11)、前記タイマカウント値Cが規定値を超えるまでアクセルペダルのオン操作が行われたか否かの判定を繰り返す。
前記タイマカウント値が規定値を超えると、自車両101が前進走行しない状況であることから、ステップS15へ進み、運転支援コントローラ15の自動前進制御部26がトランスミッションECU9と通信を行い、シフトポジション指示部31からの指示によりシフトアクチュエータ10を作動させてシフトレバーの位置をDレンジの位置からパーキングレンジP(あるいはニュートラルレンジN)位置へ自動的に切り替える。
【0043】
この実施の形態によれば、自車両101の左後方あるいは右後方から自車両101に接近する他車両102の存在を自車両101のドライバーに報知し、安全の確保を自車両101のドライバーに促すだけでなく、さらにこのときの他車両102の挙動から自車両101が駐車場所から出庫するときの後退走行時の状況判断を行う。
すなわち前向きで駐車した自車両101が駐車場所から出庫するときの後退走行時、自車両101に接近する他車両102の走行速度、その速度変化などの挙動から、他車両102が自車両後方を通過する可能性の有無、他車両102の通過意思の強弱、有無を判定し、自車両101が駐車場所から出庫するときの後退走行時の状況判断を行う。
そして、前記状況判断結果に応じて、自車両101のドライバーの意思を介在させながら、自車両101と、自車両101に接近する他車両102との間の安全が確保されるように自車両101の運転操作を支援するように構成した。
従って、前向きで駐車した車両が駐車場所から出庫するときの後退走行時、自車両101の左後方あるいは右後方から自車両101に他車両が接近するときの状況に応じて適切な運転操作を支援できる効果がある。
【0044】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図5は、この実施の形態の運転支援装置の動作を示すフローチャートである。
なお、この実施の形態の運転支援装置の構成は
図1に示した構成と同一であり、
図1に示したブロック図を引用して説明する。なお、
図5において
図1と同一または相当の処理ステップについては同一の符号を付し説明を省略し、
図2と異なる処理について重点的に説明する。
この運転支援装置でも、前向きで駐車した自車両101が駐車場所から出庫するときの後退走行時、自車両101に接近する他車両102の挙動から、他車両102に対する状況判断を行う。
このときの状況判断として、他車両102は自車両101の後方スペースを自車両101の左後方から通過しようとしている、すなわち“通過しようとする意思が強い”、“通過意思アリ”と判定される場合に自車両101のドライバーによるアクセルペダルのオン操作が検出されて自動前進走行が行われると、この自動前進走行が行われる期間、前方障害物検出センサ3により自車両前方の障害物を検出する(ステップS21)。
そして、この自動前進走行が行われている間に自車両前方に障害物が検出されるとステップS8へ戻り、シフトレバーの位置をリバースR位置からDレンジ位置へシフトさせ(この場合、シフトレバーの位置はDレンジにシフトされている)、さらにブレーキ指示部32からブレーキECU11へ送信される指示によりブレーキアクチュエータ12がブレーキを駆動して制動が掛けられた状態、ブレーキ保持の状態に移行する。
この状態では、自車両101はシフトレバーの位置がDレンジ、ブレーキが保持されている状態であり停止する。
【0045】
以上説明したようにこの実施の形態では、自車両101が駐車場所から出庫するとき、自車両101に他車両102が接近すると、走行速度とその速度変化などによる他車両102の挙動から、後退走行時に自車両101へ接近する他車両102に対する状況判断を行う。
そして、前記状況判断結果に応じて自車両101が最初の駐車位置へ戻る自動前進走行するときに前方障害物が前方障害物検出センサ3により検出されると、ブレーキが保持されている状態になり自車両101は停止する。
従って、後退走行時の状況判断の結果に応じて自車両101が最初の駐車位置へ戻る自動前進走行するとき自車両101の前方に出現した前方障害物にドライバーが気付くのが遅れても、前記前方障害物との間の安全が確保されることになり、自車両101の運転操作を適切に支援できる。
【0046】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図6は、この実施の形態の運転支援装置の構成を示すブロック図である。
図6において
図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
この実施の形態の運転支援装置では、
図1に示した運転支援装置の構成に加えて、さらにスペース計算部41と通過可否判定部42を備えている。
この実施の形態の運転支援装置では、前向きで駐車した自車両101が駐車場所から出庫するときの後退走行時、他車両102が自車両101に自車両後側方から接近すると、自車両101の後方の障害物、
図8に示す例では駐車場内走行路を隔てた後方駐車区画に駐車している他車両103までの距離、すなわち自車両101の後方スペース幅Lを検出する。
そして、自車両101の後方スペース幅Lに対し、自車両101に接近する他車両102が通過可能であるか否かを判定し、自車両101の後方スペース幅を他車両102が通過可能と判定すると、このときドライバーが行う自車両101の運転操作を適切に支援する。
すなわち、他車両102が自車両101に接近する方向、すなわち自車両101の左後方あるいは右後方に応じて、例えば“自車両左後方から接近する他車両は自車両後方スペースを通過できます”あるいは“自車両右後方から接近する他車両は自車両後方スペースを通過できます”という音声アナウンスを自車両101のドライバーに報知する。
【0047】
スペース計算部41は、自車両101の後方の障害物までの距離、すなわち自車両101の後方スペース幅Lを算出する。
この自車両101から自車両101の後方の障害物までの距離、すなわち自車両101の後方スペース幅Lは、左後方探査レーダ装置1から自車両後方へ電波を照射してから、後方の障害物で反射された反射波を検出するまでに要した時間と、電波の照射する方向、あるいは右後方探査レーダ装置2から自車両後方へ電波を照射してから、後方の障害物で反射された反射波を検出するまでに要した時間と、電波の照射する方向から算出する。
【0048】
通過可否判定部42は、スペース計算部41により算出された後方スペース幅Lに対し、自車両101に接近する他車両102が通過可能であるか否かを判定する。
自車両101の後方スペース幅Lを他車両102が通過可能であるか否かを判定は、自車両101に接近する他車両の車両幅として設定されている基準値“1.7メートル”に対し、自車両101の後方スペース幅Lが余裕距離αを有した幅であるか、つまり自車両101の後方スペース幅Lが1.7+αメートルを超えているか否かを判定する。自車両101の後方スペース幅Lが1.7+αメートルを超えていれば他車両102は通過可能であるということになる。
【0049】
次にこの実施の形態の運転支援装置の動作について説明する。
図7は、この実施の形態の運転支援装置の動作を示すフローチャートである。なお、
図7において
図5と同一または相当の処理ステップについては同一の符号を付し説明を省略する。
図8、
図9は、駐車場所から出庫するときの後退走行時の状況の一例を示す説明図である。
この実施の形態の運転支援装置では、ステップS3において自車両101の後側方から自車両101に接近する他車両が検出されると、自車両101に他車両が接近している旨が自車両101のドライバーに報知される。
さらに自車両101の後方の障害物、
図8、
図9に示す例では駐車場内走行路を隔てた後方駐車区画に駐車している他車両103,104までの距離、すなわち自車両101の後方スペース幅Lをスペース計算部41が算出する(ステップS25)。
【0050】
そして、ステップS25で算出した自車両101から自車両101の後方の障害物までの距離、自車両101の後方スペース幅Lに対し、自車両101に接近する他車両102が通過可能であるか否かを通過可否判定部42が判定する(ステップS26)。
【0051】
この結果、自車両101から自車両101の後方の障害物までの距離、自車両101の後方スペース幅を他車両102が通過可能と判定すると、他車両102が自車両101に接近する方向、すなわち自車両101の左後方あるいは右後方に応じて、例えば“自車両左後方から接近する他車両は自車両後方スペースを通過できます”あるいは“自車両右後方から接近する他車両は自車両後方スペースを通過できます”という音声アナウンスの出力指示を運転支援コントローラ15の警報指示部25がメータECU6へ送信し、スピーカ7から出力させ、自車両のドライバーに報知する(ステップS27)。
【0052】
一方、自車両101から自車両101の後方の障害物までの距離、自車両101の後方スペース幅を他車両102が通過不可能と判定すると、他車両102が自車両101に接近する方向、すなわち自車両101の左後方あるいは右後方に応じて、例えば“自車両左後方から接近する他車両は自車両後方スペースを通過できません”あるいは“自車両右後方から接近する他車両は自車両後方スペースを通過できません”という音声アナウンスの出力指示を運転支援コントローラ15の警報指示部25がメータECU6へ送信し、スピーカ7から出力させ、自車両のドライバーに報知する(ステップS28)。
【0053】
図8、
図9に示す例では、駐車場所から出庫のため後退走行するときに自車両の右後方から他車両が接近した状況を示している。
図8に示す自車両101が駐車場所に前進駐車している状態では、自車両101の後方スペース幅Lは、駐車している自車両101と、自車両101の真後ろに位置する駐車区画の他車両103との距離であり、実際の後方スペース幅との誤差は小さいが、
図9に示すように自車両101のドライバーがステアリングを操作して自車両101の後部を左方向へ振り、
図9の実線で示す位置まで後退走行により出庫した状態になると、このときの後方スペース幅Lは、自車両101と、自車両101の左後方に位置する駐車区画の他車両104との距離であり、実際の後方スペース幅との誤差が大きくなる。
従って、この誤差を抑制し、正確な後方スペース幅を算出するため、前進駐車した状態からのステアリングの操作による車両角度θ、つまり自車両101の後退走行に伴う転回角度と、このとき算出された後方スペース幅L’とからL’・cosθにより誤差が抑制された正確な後方スペース幅を算出できる。
【0054】
以上、説明したように、この実施の形態によれば、自車両101が駐車場の駐車区画へ駐車している状態から出庫する後退走行時、自車両101に接近する他車両102を検出すると、自車両101と自車両後方の障害物との間の後方スペース幅を算出し、接近する他車両102が前記後方スペースを通過可能であるか否かを判定し、通過可能であれば、接近する他車両102が自車両101の後方スペースを通過できる旨を音声アナウンスにより自車両101のドライバーへ報知し、自車両101のドライバーに対し安全確保を促す。
また通過不可能であれば、自車両101の後方スペースを接近する他車両102が通過できない旨を音声アナウンスにより自車両101のドライバーへ報知し、自車両101のドライバーに対し安全確保を促す。
このように、駐車している状態から出庫するときの後退走行時、自車両101に接近する他車両102を検出すると、自車両101と自車両後方の障害物との間の後方スペース幅について状況判断を行い、接近する他車両との間の安全確保のための運転支援を行う。
従って、駐車場所から出庫するときの後退走行時、自車両101の後方スペースについて他車両との間の安全確保のための確実な運転支援を実現できる。