【実施例】
【0033】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、使用した分析装置は以下の通りである。
分析装置;ICP質量分析装置 ELAN(登録商標) DRC II
(パーキンエルマージャパン社製)
【0034】
なお、ICP質量分析における分析条件は以下の通りである。
(分析条件設定)
設定パラメータ:プラズマ出力1600、ネブライザーガス流量0.9
補助ガス流量1.2(標準)、プラズマガス流量17(標準)
最適化パラメータ:レンズ電圧
試料導入系:マイクロフロータイプ導入系(PFA−20)
【0035】
又、分析精度の指標となる回収率は下記の式で算出した。
【0036】
【0037】
実施例1−1(高純度トリメチルインジウムの分析用処理液の調製)
アルゴン雰囲気にて、高純度トリメチルインジウム(宇部興産株式会社製)5gをm−キシレン10mlに溶解させた溶液と30%塩酸12mlを混合し、60℃で1時間攪拌させた。攪拌終了後、分液して高純度トリメチルインジウムの分析用処理液(水層)を得た。
【0038】
実施例1−2(高純度トリメチルインジウム中の微量不純物の分析)
【0039】
(標準添加法による定量のための検量線の作成)
実施例1−1で得られた分析用処理液400μlと70%硝酸200μlとを混合した。次いで、前記混合液に、各種汎用混合標準液(XSTC−13(SPEX社製))を超純水で希釈し、70%硝酸を加えて1%硝酸溶液となるように調製した希釈混合標準液及びスズ標準液(202−16311(WAKO社製))を各々100μl加えた後、更に超純水を添加して全量を20gとした(0.5質量ppb標準添加試料)。同様な操作により1.0質量ppb標準添加試料も調製した。又、70%硝酸200μlと超純水とを混合して全量を20gとしたものをブランク試料とした。
上記の3試料のICP質量分析により得られた値を用いて標準添加法による定量のための検量線(以下、単に検量線と称することもある)を作成した。ここで、検量線の精度は標準添加試料の数に依存し、多くの標準添加試料を用いることでより高精度の検量線を作成できるが、一般的には3〜5つの標準添加試料を用いることで微量不純物の正確な分析が十分可能な検量線を作成できる。
なお、空試験試料(分解処理物が入っていない)も同様な方法で調製して、空試験用検量線も作成した。
(微量不純物の分析)
実施例1−1で得られた分析用処理液400μlと70%硝酸200μlとを混合した。これに、超純水を添加して全量を20gとして測定用試料を調製した(分析用処理液のインジウム濃度;0.12質量%)。当該試料をICP質量分析した後、検量線を用いて微量不純物の値を算出した(測定値A)。なお、分析用処理液の希釈倍率(C)は12、分析試料の希釈倍率(D)は50とし、これにより前記回収率の算出と微量不純物の定量を行った。
【0040】
その結果、各金属の回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.1質量ppm以下、水銀は0.06質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0041】
実施例2(高純度トリメチルガリウム中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度トリメチルガリウム(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液のガリウム濃度;0.20質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.05質量ppm以下、水銀は0.03質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0042】
実施例3(高純度トリエチルガリウム中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度トリエチルガリウム(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液のガリウム濃度;0.15質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.05質量ppm以下、水銀は0.03質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0043】
実施例4(高純度トリメチルアルミニウム中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度トリメチルアルミニウム(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液のアルミニウム濃度;0.12質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.03質量ppm以下、水銀は0.11質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0044】
実施例5(高純度トリエチルアルミニウム中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度トリエチルアルミニウム(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液のアルミニウム濃度;0.08質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.03質量ppm以下、水銀は0.11質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0045】
実施例6(高純度ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液のマグネシウム濃度;0.02質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.999%以上)。又、スズは0.15質量ppm以下、水銀は0.08質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0046】
実施例7(高純度ジメチル亜鉛中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度ジメチル亜鉛(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液の亜鉛濃度;0.23質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.05質量ppm以下、水銀は0.03質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。
【0047】
実施例8(高純度ジエチル亜鉛中の微量不純物の分析)
実施例1において高純度有機金属化合物を高純度ジエチル亜鉛(宇部興産株式会社製)変えたこと以外は、実施例1と同様に分析用処理液を得、次いで実施例2と同様に微量不純物の分析を行った(分析用処理液の亜鉛濃度;0.18質量%)。
その結果、回収率はほぼ100%と高い値を示し、当該分析は高い精度であることが分かる。又、全微量不純物の合計値は1質量ppm以下であった(純度99.9999%以上)。又、スズは0.05質量ppm以下、水銀は0.03質量ppm以下であり、今まで正確な微量不純物として定量分析が困難であったスズ及び水銀が精度良く定量できた。