(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0038】
<第1実施形態>
(1)空気清浄機10の全体構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る空気清浄機10を斜め前方から視たときの当該空気清浄機10の斜視図である。なお、
図1は内部構造が見えるように鉛直4側面を外した態様で記載している。
【0039】
また、
図2は、空気清浄機10の断面図である。
図1及び
図2において、空気清浄機10は、四角柱状の本体ケーシング31を備えている。空気清浄機10は加湿機能と空気清浄機能とを有し、ユーザーは、空気清浄機能だけを選択することができるが、加湿機能を選択したときは空気清浄機能が伴う。
【0040】
(2)詳細構成
(2−1)本体ケーシング31
本体ケーシング31は、送風室31a、空気清浄室31b、加湿室31cを有しており、それらは下方から上方に向かって送風室31a、空気清浄室31b、加湿室31cの順に並んでいる。つまり、本体ケーシング31は縦に延びる形状となるので、設置面積が小さくなる。
【0041】
送風室31aには、送風装置28が配置されている。空気清浄室31bには、空気清浄フィルタ22が配置されている。加湿室31cには、加湿エレメント24、トレイ34及びタンク40が配置されている。つまり、メンテナンスを要する加湿エレメント24が上に位置するので、メンテナンス作業が容易になる。なお、タンク40は、図示しない側方扉から着脱可能となっている。
【0042】
また、送風室31aと空気清浄室31bとの間には第1開口311が設けられている。第1開口311は、送風室31aから空気清浄室31bへ空気を通す。さらに、空気清浄室31bと加湿室31cとの間には第2開口312が設けられている。第2開口312は、空気清浄室31bから加湿室31cへ空気を通す。
【0043】
図3は、空気清浄機10における第1開口311及び第2開口312の水平投影図である。また、
図4は、
図3の空気清浄機10よりも小型の空気清浄機の第1開口311及び第2開口312の水平投影図である。
【0044】
図3及び
図4において、外側に描かれている正方形は空気清浄室31bの輪郭を示している。また、空気清浄室31bの輪郭内で上面視左側に位置する長方形は第2開口312を示している。さらに、第2開口312の隣に位置する四角形は第1開口311を示している。
【0045】
第2開口312の面積は、空気清浄室31bの水平投影面積の40%〜50%の範囲に設定されている。第1開口311の面積は、空気清浄室31bの水平投影面積の20%〜30%の範囲に設定されている。
【0046】
図3及び
図4において、第1開口311と第2開口312とは上面視において互いに離れる方向にずれており、上面視における第1開口311と第2開口312との重複面積が縮小するように又はゼロとなるように意識的に設定されている。
【0047】
(2−2)送風装置28
送風装置28は、ファンロータ25、ファンモータ26、及びスクロール27を含んでいる。ファンロータ25は、風量が安定するシロッコファンであって、
図2に示すように、ハブ部251と、ハブ部251の周縁に円筒状に配列される複数の羽根253とを有する。ハブ部251と羽根253とが回転することによって、空気が回転軸方向に沿って吸い込まれ、羽根253から遠心方向に吹き出される。
【0048】
スクロール27は、羽根253から吹き出された空気をファンロータ25の上方に位置するファン吹出口27bへ導くための風路を形成している。ファン吹出口27bは送風室31aと空気清浄室31bとの間の第1開口311に嵌合しているので、ファン吹出口27bから吹き出た空気は空気清浄室31bに入る。
【0049】
(2−3)空気清浄フィルタ22
図1に示すように、空気清浄フィルタ22は、プレフィルタ224、フィルタ226、及び脱臭エレメント228で構成されている。空気清浄室31b内では、空気流れの上流側からプレフィルタ224、フィルタ226及び脱臭エレメント228の順でそれらが保持されている。
【0050】
プレフィルタ224は、薄くて柔らかい樹脂製のネットであり、空気に含まれる粒子の大きな埃などを除去する。また、フィルタ226は、プレフィルタ224では除去できない微細な埃などを除去する。脱臭エレメント228は、空気に含まれる不快な臭いの成分を吸収する。
【0051】
なお、本実施形態では、空気清浄フィルタ22のメンテナンス作業をする際の空気清浄フィルタ22の取り出しを容易にするため、空気清浄室31bの4側面の1つにヒンジ式の開閉扉315が設けられている。
【0052】
(2−4)加湿エレメント24
加湿エレメント24は、トレイ34の上方に配置されている。加湿エレメント24は、ループ状に成形されており、鉛直方向に離れた2つのローラーによって所定の張力が作用するように内側を支持されている。
【0053】
説明の便宜上、2つのローラーのうちの下側のローラーを第1ローラー241とし、上側のローラーを第2ローラー242とする。第1ローラー241は、加湿エレメント24の下部とともにトレイ34の水中に浸漬している。
【0054】
第2ローラー242の回転軸の延長線上には被駆動ギア245が固定されている。被駆動ギア245は、駆動ギア243と噛み合っている。駆動ギア243は、図示しない駆動モータの回転軸に固定されている。この位置関係によって、タンク40側からトレイ34を引き出す際に駆動ギア243と被駆動ギア245との噛みあいが解消される。また逆に、タンク40側からトレイ34を差し入れた際に駆動ギア243と被駆動ギア245との噛みあいが成立する。
【0055】
駆動モータが回転することによって、その回転力が駆動ギア243、被駆動ギア245、第2ローラー242に順次伝達され、加湿エレメント24が周回する。
【0056】
(2−5)トレイ34
トレイ34は、タンク受け34a、及び水受け34bを有している。タンク受け34aには、支持部341と押し込みピン343とが設けられている。支持部341は、給水弁を下方にして装着されてきたタンク40の所定のコーナーを支持する。押し込みピン343は、タンク40が自重で降下したときに給水弁にあたって、給水弁を押し開ける。
【0057】
水受け34bには、加湿エレメント24を浸漬させるための水が溜められる。水受け34bはとタンク受け34aとは隔壁345で仕切られているが、その隔壁345には切り欠きが設けられおり、タンク40からタンク受け34aに流れ出た水は、切り欠きを通って水受け34bに流れ、水受け34bの所定水位まで水を満たす。
【0058】
(2−6)タンク40
タンク40の注水口401には給水弁403が取り付けられる。給水弁403の構造は、弁体をバネによって弁口に押し付ける一般的な構造であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
通常の使用状態では、タンク40は、トレイ34のタンク受け34a上に載っており、給水弁403が鉛直下方に向けられた状態でトレイ34の押し込みピン343に押し当てられているので、タンク40自身の重みによって押し込みピン343が給水弁403を開状態にする。
【0060】
(2−7)その他
図2において、重量物であるファンモータ26は、送風室31aの
図2正面視左側に配置されている。また、同じく重量物であるタンク40は加湿室31cの
図2正面視右側に配置されている。つまり、重いファンモータ26とタンク40とが上面視において同一側に偏っておらず、互いに反対方向(左右に若しくは前後)に離れているので、重量バランスがよい。
【0061】
(3)空気清浄機10の動作
(3−1)空気清浄動作
以上のように構成された空気清浄機10について、以下その動作を説明する。空気清浄機10の電源がオンされることによって、送風装置28のファンモータ26がファンロータ25を回転させる。回転するファンロータ25は空気を遠心方向に吹き出すので回転軸周りの圧力が低下し、空気はファンロータ25の中心に位置するファン吸込口27aに吸い込まれる。その結果、吸込口10aからファン吸込口27aに向かう空気の流れが発生する。
【0062】
ファンロータ25から遠心方向に吹き出された空気は、スクロール27に沿って偏向されながらファン吹出口27bに向かう。ファン吹出口27bは第1開口311に嵌合しているので、ファン吹出口27bから吹き出た空気は、空気清浄室31bに入る。
【0063】
空気清浄フィルタ22を通過する空気は、先ず、上流側のプレフィルタ224で空気に含まれる比較的粒子の大きな埃などが除去され、次に、下流側のフィルタ226で粒子の小さい埃が除去される。フィルタ226を通過した空気は、さらに下流側の脱臭エレメント228を通過する際に、その空気に含まれる不快な臭い成分が脱臭エレメント228に吸着される。空気清浄フィルタ22を通過した空気は、第2開口312を通過して加湿室31cに入る。
【0064】
ここで、空気清浄室31bでは、送風室31aから押し寄せる空気によって空気清浄フィルタ22全面に静圧が作用し、空気は空気清浄フィルタ22を通過する。この際、空気清浄フィルタ22のうち第1開口311と対向する部分における空気の速度が速まる。
【0065】
図5Aは、
図3に示すような第1開口311と第2開口312とが上面視でずれている場合の空気清浄フィルタ22通過後の空気の速度分布図である。また、
図5Bは、上面視において第2開口312が第1開口311側に完全に重なっている場合の空気清浄フィルタ22通過後の空気の速度分布図である。
【0066】
仮に、第1開口311と第2開口312とが上面視において完全に重なっている場合は、
図5Bに示すように、その重なり部分における空気清浄フィルタ22を通過する速度が速まり、速度分布としてはその重なり部分だけが突出し、重なり部分から遠い位置では空気が通過しない若しくは速度が極端に小さくなる傾向を示す。
【0067】
しかしながら、この空気清浄機10では、
図3及び
図4で示したように、第1開口311と第2開口312とが上面視においてずれることによって、重なり部分を縮小する又はゼロにするので、
図5Aに示すように、空気が空気清浄フィルタ22を通過する際の速度分布は、より裾野の広い分布となり、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が減少することになる。
【0068】
(3−2)加湿動作
空気清浄機10の電源がオンした状態で加湿機能がオンされると、加湿エレメント24が周回する。加湿エレメント24の下部はトレイ34の水中に浸漬しているので、加湿エレメント24が周回することによって、トレイ34の水を吸い上げる。
【0069】
空気清浄室31bから加湿室31cに入った空気は、加湿エレメント24に吸い上げられた水の気化を促進させ、加湿空気となる。この加湿空気が吹出口10bから吹き出される。
【0070】
(4)特徴
(4−1)
この空気清浄機10では、下方の送風室31aからファンロータ25によって吸い込まれた空気が、上方の空気清浄室31bの空気清浄フィルタ22を通過した後、さらに上方の加湿室31cの加湿エレメント24を通過して吹き出される。音源である送風装置28が最下方に位置するので、ファンモータ26の出力が大きいときには、ファンモータ26及びファンロータ25から発せられる音が空気清浄フィルタ22および加湿エレメント24によって減衰させられるので、騒音が抑制される。
【0071】
(4−2)
この空気清浄機10では、空気清浄室31bに入った空気によって空気清浄フィルタ22全面に静圧が作用し、空気は空気清浄フィルタ22を通過する。送風室31aと空気清浄室31bとの間の第1開口311と、空気清浄室31bと加湿室31cとの間の第2開口312とが上面視においてずれているので、ずれていないものに比べて、空気が空気清浄フィルタ22を通過する際の速度分布がより裾野の広い分布となり、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が減少する。
【0072】
(4−3)
重量のあるファンモータ26とタンク40とが上面視において同一側に偏っておらず、互いに反対方向(左右に若しくは前後)に離れているので、本体ケーシング31の直立安定性がよい。
【0073】
(4−4)
第1開口311はファン吹出口27bからの吹き出し空気が通過するので、空気清浄フィルタ22における第1開口311の対向部分は空気の通過速度が速くなり易く、一部分が突出した速度分布になる傾向にある。しかし、第1開口311に比べて第2開口312を大きく設定することによって、且つ、それらが上面視においてずれることによって、重なり部分はゼロになり又は縮小するので、空気が空気清浄フィルタ22を通過する際の速度分布は、より裾野の広い分布となり、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が減少する。
【0074】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る空気清浄機510について以下に説明する。
【0075】
(1)空気清浄機の全体構成
図6は、本発明の第2実施形態に係る空気清浄機510の外観斜視図である。以下の説明では、方向や配置等を説明するために「前(正面)」、「後(背面)」、「右」、「左」、「上」、「下」等の表現を用いる場合があるが、特記しない場合には、
図6に示した矢印に従い方向や配置等を表す。なお、
図7〜
図9、
図17〜
図19にも「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、「下」を表す矢印を示しているが、
図7〜
図9、
図17〜
図19に矢印で示された方向と、
図6に矢印で示した方向とは一致している。
【0076】
図7は、
図6に示す空気清浄機510のVII-VII矢視の断面図である。つまり、
図7は、
図6の空気清浄機510の内部を右方から見た図である。
図8は、
図6に示す空気清浄機510のVIII-VIII矢視の断面図である。つまり、
図8は、
図6の空気清浄機510の内部を前側から見た図である。
【0077】
本実施形態に係る空気清浄機510は、空気清浄機能および加湿機能(湿度調整機能)を有する。空気清浄機510では、加湿機能を選択的に実行可能な構成(加湿機能をオン/オフ可能な構成)になっている。具体的には、ユーザーが加湿機能を選択した場合(加湿機能をオンにした場合)に、空気清浄機510の空気清浄機能と加湿機能とが共に有効に機能する。一方、ユーザーが加湿機能を選択しない場合(加湿機能をオフにした場合)には、空気清浄機510の空気清浄機能のみが有効に機能する。ただし、これに限定されるものではなく、空気清浄機510は、常に空気清浄機能および加湿機能を有効に機能させてもよい。ただし、加湿機能を選択的に実行可能な構成とした方が、ユーザーの快適性を確保することが容易である。
【0078】
空気清浄機510は、主にケーシング511(
図6参照)、送風装置512(
図7参照)、空気清浄フィルタ520(
図7参照)、フィルタケース523(
図8参照)、フィルタ検知センサ525(
図8参照)、および、加湿ユニット530(
図8参照)を備える。ケーシング511には、送風装置512、空気清浄フィルタ520、フィルタケース523、フィルタ検知センサ525、および加湿ユニット530が収容される。送風装置512は、ケーシング511の外部から空気を取り込み、空気清浄フィルタ520および加湿ユニット530に空気を送る。空気清浄フィルタ520は、空気に含まれる塵埃を除去するとともに、空気に含まれる臭いの成分を除去する。フィルタケース523は、後述する空気清浄フィルタ520の脱臭フィルタ522を収容する。フィルタ検知センサ525は、空気清浄フィルタ520の脱臭フィルタ522がケーシング511に取り付けられているか否かを検知する。加湿ユニット530は、供給された水を気化させて空気を加湿する。
【0079】
(2)詳細構成
以下に、空気清浄機510の主な構成である、ケーシング511、送風装置512、空気清浄フィルタ520、フィルタケース523、フィルタ検知センサ525、および加湿ユニット530について詳細を説明する。
【0080】
(2−1)ケーシング
ケーシング511は、空気清浄機510の、送風装置512、空気清浄フィルタ520、フィルタケース523、フィルタ検知センサ525、および加湿ユニット530等の構成機器や構成部品を収容する。ケーシング511は、外観が縦長の四角柱状、言い換えれば上下方向に長く延びる四角柱状に形成される。ケーシング511の内部には、構成機器や構成部品を収容する空間が形成されている。ケーシング511の側面上方(前面上方)には、
図6に示すように、制御パネル513が設けられている。制御パネル513には、空気清浄機510を操作するための各種スイッチ(例えば、電源スイッチや機能選択スイッチ)が設けられている。制御パネル513は、ケーシング511に内蔵されている制御装置(図示せず)に接続されている。制御パネル513が受け付けた各種指令は、制御装置に信号として伝送される。制御装置は、制御パネル513が受け付けた指令や、フィルタ検知センサ525を含む各種センサの検知結果に基づいて、空気清浄機510の動作を制御する。
【0081】
ケーシング511は、その内部が主に3つの空間に分割され、送風室S1、空気清浄室S2、および加湿室S3が形成されている(
図7および
図8参照)。
【0082】
送風室S1には、送風装置512が配置される(
図7および
図8参照)。空気清浄室S2には、空気清浄フィルタ520が配置される(
図7および
図8参照)。加湿室S3には、加湿ユニット530が配置される(
図7および
図8参照)。送風室S1、空気清浄室S2、および加湿室S3は、下方から上方に向かって順番に並ぶ(
図7および
図8参照)。言い換えれば、空気清浄機510のケーシング511内には、下方から順に、送風装置512、空気清浄フィルタ520、および後述する加湿ユニット530の加湿エレメント533(
図7参照)が配置されている。ここでは、作業のしやすい上方に、メンテナンスを要する加湿ユニット530が配置され、ケーシング511の左面上部に設けられた後述する開口515を介して加湿ユニット530にアクセス可能であるため、メンテナンス作業が容易である。
【0083】
送風室S1と空気清浄室S2との間には第1開口K1が設けられている(
図8参照)。第1開口K1は、送風室S1から空気清浄室S2へ空気を通す。また、空気清浄室S2と加湿室S3との間には第2開口K2が設けられている(
図8参照)。第2開口K2は、空気清浄室S2から加湿室S3へ空気を通す。
【0084】
第1開口K1および第2開口K2の面積や配置は、第1実施形態の空気清浄機10における第1開口311および第2開口312の面積や配置と同様である。
【0085】
つまり、第1開口K1を水平面に投影した時の、第1開口K1の投影面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の20%〜30%の範囲に設定されている。また、第2開口K2を水平面に投影した時の、第2開口K2の投影面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の40%〜50%の範囲に設定されている。
【0086】
また、第1開口K1と第2開口K2とは、上面視において互いに離れる方向にずれている(
図3および
図4の第1開口311および第2開口312の配置と同様であるので、図面は省略する)。具体的には、第1開口K1は主に左方側に配置されているのに対し、第2開口K2は右方側に配置されている。言い換えれば、第1開口K1は、後述する空気清浄フィルタ520の中心に対して左方にずれている。一方、第2開口K2は、後述する空気清浄フィルタ520の中心に対して右方に(第1開口K1とは反対側に)ずれている。上面視において第1開口K1および第2開口K2の配置は、上面視において第1開口K1と第2開口K2との重複面積が小さくなるように、又は、重複面積がゼロとなるように設計されている。
【0087】
ケーシング511には、
図6に示すように、吸込口511aおよび吹出口511bが設けられている。吸込口511aおよび吹出口511bは矩形状に形成された開口である。
【0088】
吸込口511aは、ケーシング511外の空気をケーシング511内部に吸い込むための開口である。吸込口511aは、ケーシング511の左面下部および右面下部にそれぞれ設けられている(
図8参照)。吸込口511aには、使用者の指および異物の侵入を防止するための内格子511aaおよび吸込グリル511abが設けられている(
図8参照)。内格子511aaは、ケーシング511の外面側に設けられた吸込グリル511abの内側に配置されている(
図8参照)。また、吸込グリル511abの内側には、ケーシング511内に取り込まれる空気から大きな塵埃を除去するためのプレフィルタ511acが設けられている(
図8参照)。
【0089】
吹出口511bは、ケーシング511の内部を通過した空気を吹き出すための開口である。すなわち、吹出口511bは、ケーシング511の空気の出口である。吹出口511bからは、空気清浄フィルタ520による空気清浄後の空気、又は、空気清浄フィルタ520による空気清浄後、加湿ユニット530により加湿された空気が吹き出される。吹出口511bは、
図6に示すように、ケーシング511の上面(天井部分)に設けられている。吹出口511bには、使用者の指および異物の侵入を防止するための金網511baおよび吹出グリル511bbが設けられている(
図8参照)。金網511baは、ケーシング511の外面側に設けられた吹出グリル511bbの内側(下方)に配置されている(
図8参照)。
【0090】
ケーシング511の上部左面には、開口515が形成される(
図8および
図20(d)参照)。開口515は、第1側板511cおよび第2側板511dの取り付け/取り外しをすることで、開閉可能に構成されている(
図6参照)。第1側板511cは、後述する加湿ユニット530の加湿タンク531と一体に形成されている(
図8参照)。第2側板511dは、後述する加湿ユニット530の加湿トレイ532の一部(左方側の側壁)を構成する(
図8参照)。第1側板511cには、第1側板511cの着脱時(加湿タンク531の着脱時)に用いられる取っ手511caが形成されている(
図6参照)。第2側板511dには、第2側板511dの着脱時(加湿トレイ532の着脱時)に用いられる取っ手511daが形成されている(
図6参照)。
【0091】
開口515は、ケーシング511に収容された構成を着脱するための開口である。具体的には、開口515は、ケーシング511内の加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の着脱(取り付け/取り外し)のために用いられる開口である。ここでは、加湿ユニット530のメンテナンス専用の作業用開口と、空気清浄フィルタ520のメンテナンス専用の作業用開口とを別々に設けるのではなく、1つの開口515から、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の両方にアクセス可能に構成されている。そのため、ケーシング511の密閉性を向上させ、メンテナンス用の開口に生じる隙間から空気が流出することを防止することが容易である。開口515からの加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り付け/取り外しについては後述する。
【0092】
ケーシング511の内部には、後述する空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521を戴置するためのフランジ部511eが設けられる(
図7および
図8参照)。フランジ部511eは、空気清浄室S2において、ケーシング511の内壁に設けられる。フランジ部511eは、集塵フィルタ521を下方から支持する水平な支持面である。フランジ部511eは、空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521よりも下方、言い換えれば空気の流れ方向の上流側に配置される(
図7および
図8参照)。
【0093】
フランジ部511eは、ケーシング511の内壁の全周にわたって設けられる。フランジ部511eは、空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521の周縁部521b(
図11参照)の下面521ba(
図7参照)と密着し、集塵フィルタ521とケーシング511との隙間をシールするためのシール手段として機能する。なお、フランジ部511eと空気清浄フィルタ520との間には、集塵フィルタ521とケーシング511との隙間のシール性をより高めるため、例えば樹脂製のシール部材(図示せず)が配置されてもよい。
【0094】
ケーシング511の内部には、後述する空気清浄フィルタ520の脱臭フィルタ522が収容されたフィルタケース523を戴置するための支持部511fが設けられる(
図8参照)。支持部511fは、空気清浄室S2において、ケーシング511の左方側の内壁に設けられる(
図8参照)。支持部511fは、フランジ部511eより上方に設けられる(
図8参照)。支持部511fは、脱臭フィルタ522が収容されたフィルタケース523を下方から支持する水平な支持面である(
図8参照)。
【0095】
また、ケーシング511の内壁には、後述するフィルタケース523に設けられた凸部523aと係合する凹部511gが設けられる(
図8参照)。凹部511gは、ケーシング511の右方側の内壁に2箇所設けられる。各凹部511gは、フィルタケース523に設けられた2箇所の凸部523a(
図14参照)の一方が、それぞれ嵌合するように形成されている。凹部511gは、フランジ部511eより上方に設けられている(
図8参照)。また、凹部511gは、フィルタケース523の右方側に設けられた凸部523aを凹部511gに係合させ、フィルタケース523の左方側を支持部511fに戴置した状態で、フィルタケース523がほぼ水平になる位置に設けられている。なお、フィルタケース523がケーシング511に取り付けられた状態(凸部523aが凹部511gに係合し、フィルタケース523の左方側が支持部511fに戴置された状態)では、フィルタケース523の下面は、後述する集塵フィルタ521の周縁部521b(
図11参照)の上面521bb(
図7参照)に接触する。フィルタケース523のケーシング511への取り付けについては後述する。
【0096】
ケーシング511の内部には、整流板511hが設けられている(
図8参照)。
図8に示すように、整流板511hは、加湿室S3に設けられる。整流板511hは、第2開口K2の上方に設けられる。整流板511hは、加湿室S3において、後述する加湿エレメント533の右方に、加湿エレメント533と隣接して配置される。整流板511hは、右方側から左方側に向かって次第に高くなるように形成された平面を有する。整流板511hは、第2開口K2から加湿室S3に流れ込んだ空気の流れを、加湿エレメント533に誘導する。
【0097】
一方で、整流板511hには、バイパス開口511haが形成されている(
図18参照)。バイパス開口511haは、第2開口K2の上方に配置されている(
図18参照)。バイパス開口511haは、
図18に一点鎖線の矢印で示すように、空気清浄フィルタ520を通過した空気の一部を、加湿室S3から加湿エレメント533を通過させずにケーシング511外に導く。このようにバイパス開口511haを設けることで、全ての空気を圧力損失の比較的大きな加湿エレメント533へと導く場合に比べ、空気清浄フィルタ520を通過する空気の流量を増加させることができる。なお、整流板511hの加湿室S3とは反対側の面には、イオン発生器540が設けられている(
図8参照)。制御パネル513を通じてイオン発生器540の運転が指示されると、イオン発生器540はプラズマイオンを発生させる。プラズマイオンは、バイパス開口511haを通過してケーシング511外に吹き出す空気により、ケーシング511外へと導かれる。
【0098】
(2−2)送風装置
送風装置512は、送風室S1に配置されている(
図8参照)。送風装置512は、ケーシング511の外側の空気を送風室S1に取り入れ、空気清浄室S2および加湿室S3に送風する装置である。すなわち、送風装置512は、空気清浄フィルタ520および加湿ユニット530(加湿エレメント533)に送風する装置である。
【0099】
送風装置512は、ファン512a、ファンモータ512b、およびスクロールケーシング512cを主に有する(
図8参照)。ファン512aは、送風室S1の左方側に配置され、ファンモータ512bは、送風室S1の右方側に配置される(
図8参照)。スクロールケーシング512cは、ファン512aが吹き出した空気を、ファン512aの上方に位置する第1開口K1へ導くための風路を形成している。
【0100】
ファン512aは、風量が安定するシロッコファンである。ファン512aは、ハブ部512aaと、複数の羽根512abとを有する(
図10参照)。複数の羽根512abは、ハブ部512aaの周縁に円筒状に配列される。ファン512aがファンモータ512bによって駆動され、ハブ部512aaおよび複数の羽根512abが回転することによって、回転軸方向に沿ってファン512aに空気が吸い込まれる。この時、ケーシング511外から送風室S1内に、吸込口511aを介して空気が取り込まれる。ファン512aにおいては、複数の羽根512abから遠心方向に空気が吹き出される。複数の羽根512abから遠心方向に吹き出された空気は、スクロールケーシング512c内を第1開口K1へと導かれ、空気清浄室S2へと送られる。
【0101】
なお、空気は、上記のように複数の羽根512abから遠心方向に吹き出されるため、
図10の一点鎖線の矢印が示すように、空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521には、上向きではなく、斜め上方向きに空気が流入する。
【0102】
(2−3)空気清浄フィルタ
空気清浄フィルタ520は、空気清浄機510に吸い込まれた空気を清浄化する。具体的に、空気清浄フィルタ520は、空気に含まれる塵埃を除去する。また、空気清浄フィルタ520は、臭いの原因となる成分を除去する。
【0103】
空気清浄フィルタ520は、空気清浄室S2に配置される(
図8参照)。空気清浄フィルタ520は、送風装置512の上方に配置され、加湿ユニット530の下方に配置される(
図8参照)。また、空気清浄フィルタ520は、空気の流れ方向において、送風装置512の下流側に配置され、加湿ユニット530の上流側に配置される。
【0104】
空気清浄フィルタ520は、主に集塵フィルタ521および脱臭フィルタ522を含む(
図7参照)。集塵フィルタ521は、空気に含まれる塵埃を除去する。脱臭フィルタ522は、空気に含まれる、臭いの原因となる成分を除去する。
【0105】
脱臭フィルタ522は、集塵フィルタ521の上方に配置される。言い換えれば、脱臭フィルタ522は、集塵フィルタ521に対し、空気の流れ方向の下流側に配置される。
【0106】
集塵フィルタ521および脱臭フィルタ522の厚み方向は、上下方向である。つまり、空気清浄フィルタ520は、上下方向を厚み方向とする。空気清浄フィルタ520には、主に厚み方向に空気が通過する。言い換えれば、空気清浄フィルタ520は、空気の通過方向に直交する方向に空気清浄フィルタ520(集塵フィルタ521および脱臭フィルタ522)が広がるように配置される。
【0107】
(2−3−1)集塵フィルタ
集塵フィルタ521は、吸込口511aに設けられたプレフィルタ511acによって除去されなかった細かな塵埃を除去するためのフィルタである。集塵フィルタ521は、矩形状に形成されている。集塵フィルタ521のフィルタ部分(空気の通過する部分)の水平投影面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の80%以上になるように設計されている。
【0108】
集塵フィルタ521には、複数の折り目521aで折り返され、複数の“ひだ”が形成されたプリーツフィルタが用いられる(
図11参照)。集塵フィルタ521を折り目521aと直交する断面で切断すると、その断面は、
図12(a)のように連続する複数の山と谷とを有する形状に形成されている。プリーツフィルタを用いることで、“ひだ”が形成されない平板上のフィルタを用いる場合に比べ、同じ設置面積で集塵フィルタ521の表面積(通風面積)を大きく確保することができる。
【0109】
なお、集塵フィルタ521は、プリーツフィルタの折り目521aが延びる方向と、送風装置512のスクロールケーシング512cの舌部512caの延びる方向、言い換えれば送風装置512のファン512aの回転軸方向、とが、直交するように、フランジ部511e上に戴置されている。そのため、集塵フィルタ521の折り目521aが延びる方向と、送風装置512のスクロールケーシング512cから吹き出す空気の水平方向成分と、の向きが概ね平行になる。図を用いて説明すれば、
図10のように、スクロールケーシング512cからベクトルAの向き(斜め上方)に空気が吹き出す際に、集塵フィルタ521の折り目521aが延びる方向と、ベクトルAの水平方向成分Ahの方向とが概ね平行になる。なお、集塵フィルタ521の厚み方向は、ベクトルAの鉛直方向成分Avの方向と一致する。
【0110】
このような向きに集塵フィルタ521を設置する理由は以下のとおりである。
【0111】
仮に、集塵フィルタ521が、プリーツフィルタの折り目521aが延びる方向と、送風装置512のスクロールケーシング512cの舌部512caの延びる方向とが平行となるように、フランジ部511e上に戴置されたとする。この場合、折り目521aが延びる方向と、スクロールケーシング512cから吹き出す空気の水平方向成分と、の向きは概ね直交する。そのため、
図12(b)に一点鎖線の矢印で示すように、斜め上方に吹き出す空気は、集塵フィルタ521を偏って通過しやすくなる。例えば、
図12(b)を用いて説明すれば、
図12(b)中の左から右に向かって高くなる斜面だけを空気が通過しやすくなる。それゆえ、集塵フィルタ521の全面を集塵に用いることができない。
【0112】
これに対し、本実施形態の空気清浄機510では、折り目521aが延びる方向と、スクロールケーシング512cから吹き出す空気の水平方向成分と、の向きは概ね平行であるため、
図12(a)に一点鎖線の矢印で示すように、集塵フィルタ521の全面に偏りなく空気を流すことが容易で、構造圧損を抑制することができる。
【0113】
なお、ファン512aから集塵フィルタ521までの距離を十分に確保した場合には、上記のような問題は緩和され、ファン512aとして、シロッコファンのように遠心方向に風が吹き出すタイプのファンが用いられたとしても、集塵フィルタ521には上向きに空気が流入しやすくなる。そのため、集塵フィルタ521の向きによらず、集塵フィルタ521の全面に偏りなく空気を流すことが容易になる。ただし、空気清浄機510を小型化するためには、ファン512aと集塵フィルタ521との距離は短いことが好ましく、ファン512aと集塵フィルタ521との距離を短くする場合には、上記のような向きに集塵フィルタ521を配置することが好ましい。
【0114】
空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521は、上述したように、ケーシング511の内部に形成されたフランジ部511eに載置されている。言い換えると、空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521は、ケーシング511にフランジ部511eで保持される。フランジ部511eは、集塵フィルタ521の空気が通過しない周縁部521b(
図11参照)の下面521baと接触することで(
図7参照)、空気清浄フィルタ520とケーシング511の内壁との間の隙間をシールするシール手段として機能する。シール手段は、送風室S1から空気清浄室S2に空気が送られる際に、空気清浄フィルタ520とケーシング511とのシール性を確保する。フランジ部511eは、空気の流れ方向において、空気清浄フィルタ520の上流側に配置される。言い換えると、シール手段は、空気清浄フィルタ520の取り外し方向において、空気清浄フィルタ520の上流側に配置される。ケーシング511への集塵フィルタ521の取り付け/取り外しについては後述する。
【0115】
(2−3−2)脱臭フィルタ
脱臭フィルタ522は、空気に含まれる、臭いの原因となる成分を除去するフィルタである。脱臭フィルタ522は、矩形状に形成されたフィルタである。脱臭フィルタ522のフィルタ部分(空気の通過する部分)の水平投影面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の80%以上になるように設計されている。
【0116】
脱臭フィルタ522は、
図13および
図14に示すように、後述するフィルタケース523内に収容されている。脱臭フィルタ522は、フィルタケース523に着脱可能に構成されている。フィルタケース523のケーシング511への取り付け状態や、ケーシング511への脱臭フィルタ522(フィルタケース523)の取り付け/取り外しについては後述する。また、脱臭フィルタ522の有無を確認するためのフィルタ検知センサ525についても後述する。
【0117】
(2−4)フィルタケース
フィルタケース523は、空気清浄フィルタ520を収容する。具体的には、フィルタケース523は、空気清浄フィルタ520の一部である、脱臭フィルタ522を収容する(
図13参照)。
【0118】
フィルタケース523は、矩形状のリング状部材であり、内部に脱臭フィルタ522を収容する。フィルタケース523は、収容された脱臭フィルタ522の周縁部を上下および側方(外周側)から囲い保持する、略C字形状断面の側壁部523bを有する(
図7および
図8参照)。つまり、側壁部523bは、内周側が開口している。脱臭フィルタ522は、側壁部523bにより全周が囲まれる。フィルタケース523の上下の面は大きく開口しており、集塵フィルタ521を通過した空気は、フィルタケース523に収容された脱臭フィルタ522を下方から通過し、脱臭フィルタ522の上方へと吹き出す。
【0119】
フィルタケース523の側壁部523bの右面には、ケーシング511の内壁に設けられた凹部511gと係合する凸部523aが設けられる。凸部523aは、側壁部523bの右面の2箇所に設けられる。なお、凸部523aの個数は例示であり、これに限定されるものではなく適宜決定されればよい。ケーシング511の内壁に設けられる凹部511gの数も、凸部523aの個数に合わせて適宜決定されればよい。各凸部523aは、ケーシング511に設けられた2箇所の凹部511g(
図11参照)の一方に、それぞれ嵌合するように形成されている。
【0120】
フィルタケース523がケーシング511に取り付けられた状態では、凸部523aは凹部511gと係合し、フィルタケース523の左面側は、ケーシング511の内部に設けられた支持部511fに載置される。言い換えると、フィルタケース523がケーシング511に取り付けられた状態では、フィルタケース523は、凸部523aが嵌合する凹部511gと、支持部511fとにより下方から支持される。フィルタケース523がケーシング511に取り付けられた状態では、脱臭フィルタ522は、水平な状態で、言い換えれば脱臭フィルタ522の厚さ方向と上下方向が一致する状態で、ケーシング511に取り付けられる。ケーシング511へのフィルタケース523の取り付け/取り外しについては後述する。
【0121】
フィルタケース523の側壁部523bの左方側中央部には、切り欠き部523baが形成されている(
図13参照)。切り欠き部523baでは、上部側(上面および側面の上部側)を残して、側壁部523bが切り欠かれている(
図13参照)。フィルタケース523に脱臭フィルタ522が収容された状態では、切り欠き部523baにおいて、脱臭フィルタ522が露出した状態になる。
【0122】
なお、フィルタケース523は、空気清浄フィルタの上方に配置される気流ガイド524を含む。気流ガイド524は、フィルタケース523と一体に形成されている。
【0123】
気流ガイド524は、フィルタケース523の左方側上方に設けられる(
図8参照)。気流ガイド524は、ケーシング511に形成された第1開口K1の上方に設けられる。気流ガイド524は、前後の側壁部523bの左方部から上方に延びる鉛直面524aと、左側の側壁部523bから上斜め右方に延びる第1ガイド面524bと、を有する(
図14参照)。第1ガイド面524bは、空気清浄フィルタ520の脱臭フィルタ522を通過した空気を後述する加湿ユニット530の加湿エレメント533に導くための湾曲面である。第1ガイド面524bを滑らかな曲面で形成することで、圧損の上昇を抑制しつつ、脱臭フィルタ522を通過した空気を、第2開口K2へと、更に加湿エレメント533へと導くことができる。気流ガイド524の鉛直面524aは、脱臭フィルタ522を通過した空気が、気流ガイド524の第1ガイド面524bの前後の隙間を通過して上方に向かい、ケーシング511と後述する加湿トレイ532との隙間を通過して、ケーシング511外へと流出することを防止する。鉛直面524aおよび第1ガイド面524bは、主に脱臭フィルタ522の左方側を通過した空気を、加湿エレメント533へと導く。
【0124】
気流ガイド524の上部には、下方に凹むように形成された凹部524dが設けられている(
図14参照)。凹部524dは、下方だけではなく、気流ガイド524の左方側の上面524cの下方にも凹むように形成されている(
図14参照)。凹部524dは、フィルタケース523の取り付け/取り外し時にユーザーが把持する取っ手として機能する。
【0125】
ケーシング511に空気清浄フィルタ520および加湿ユニット530を取り付けた状態では、気流ガイド524の上面524c(
図13および
図14参照)は、後述する加湿ユニット530の加湿トレイ532の下面532bと接触する(
図8参照)。このため、送風装置512から空気が送風され、空気清浄フィルタ520を浮き上がらせる(上方に動かす)力が作用しても、加湿トレイ532が空気清浄フィルタ520の上方への移動を規制する。つまり、加湿トレイ532の下面532bは、空気清浄フィルタ520の上方への移動を規制する移動規制部として機能する。
【0126】
(2−5)フィルタ検知センサ
フィルタ検知センサ525(
図8参照)は、空気清浄フィルタ520がケーシング511に取り付けられているか否かを検知するセンサである。具体的には、フィルタ検知センサ525は、空気清浄フィルタ520の脱臭フィルタ522がケーシング511に取り付けられているか否かを検知するセンサである。
【0127】
フィルタ検知センサ525は、主に、検知レバー525aと検知スイッチ525bとを有する(
図15(a),(b)参照)。検知レバー525aは、回転軸525c(
図15(a),(b)参照)回りに回転可能に構成されている。検知レバー525aの一方側の端部には、検知レバー525aの延びる方向と交差する方向に延び、脱臭フィルタ522と接触する接触アーム525dを有する。検知レバー525aの他方側の端部(接触アーム525dが設けられた側の端部とは、回転軸525cを挟んで反対側に配置される端部)には、検知スイッチ525bと接触する検知スイッチ接触部525aaが設けられている。なお、ここでは、接触アーム525dは、検知レバー525aから円弧状に延びるが、これに限定されるものではなく、接触アーム525dは、検知レバー525aの延びる方向と垂直に延びるように形成されてもよい。
【0128】
検知レバー525aは、図示しないネジリばねにより回転軸525c回りに一方向に(検知スイッチ接触部525aaが検知スイッチ525bから離れるように)力が作用するように構成されている。接触アーム525dが脱臭フィルタ522に接触していない状態(フィルタケース523に脱臭フィルタ522が収容されていない状態)では、
図15(a)のように、フィルタケース523の切り欠き部523baを通過して、接触アーム525dがフィルタケース523内に突出した状態となる。この状態では、検知レバー525aの検知スイッチ接触部525aaは、検知スイッチ525bとは非接触の状態にある。そのため、フィルタケース523に脱臭フィルタ522が収容されていない状態では、フィルタ検知センサ525から、空気清浄機510の制御装置(図示せず)に、脱臭フィルタ522の存在時に送信される信号が送信されない。このような状態では、制御装置は、空気清浄機510に脱臭フィルタ522が取り付けられていないと判断し、空気清浄機510の運転停止、脱臭フィルタ522が取り付けられていない旨の警告の発報等、必要な制御を実行する。なお、ここでは図示および説明は省略するが、脱臭フィルタ522だけではなく、フィルタケース523がケーシング511に取り付けられていない場合にも、検知スイッチ接触部525aaは、検知スイッチ525bとは非接触の状態になり、制御装置に、脱臭フィルタ522の存在時に送信される信号が送信されない。
【0129】
一方、フィルタケース523に脱臭フィルタ522が収容されている状態では、フィルタケース523の側壁部523bの切り欠き部523baにおいて、接触アーム525dが脱臭フィルタ522に接触する。そして、検知レバー525aは、図示しないネジリばねの力に打ち勝ち、検知レバー525aの検知スイッチ接触部525aaが検知スイッチ525bに接触する方向に回転する。検知スイッチ接触部525aaが検知スイッチ525bと接触すると、検知スイッチ525bがオンになり、フィルタ検知センサ525から、空気清浄機510の制御装置に、脱臭フィルタ522の存在時に送信される信号が送信される。制御装置は、空気清浄機510に脱臭フィルタ522が取り付けられていると判断すると、他の異常がなければ、空気清浄機510の運転を許可する。
【0130】
なお、本空気清浄機510は、フィルタの有無を検知するためのセンサとして、脱臭フィルタ522の有無を検知するフィルタ検知センサ525しか設けられていないが、これに限定されるものではない。例えば、フィルタ検知センサ525と同様の原理、又は、他の検出原理を用いたセンサが、集塵フィルタ521の有無を検知するために設けられてもよい。ただし、後述するように、本空気清浄機510では、集塵フィルタ521が存在しない場合には、脱臭フィルタ522を収容したフィルタケース523を取り付けることが困難となることから、脱臭フィルタ522の有無を検知するだけで、集塵フィルタ521が取り付けられていない状態も検知することが可能である。
【0131】
(2−6)加湿ユニット
加湿ユニット530は、供給された水を気化させて空気を加湿する。具体的には、特に加湿ユニット530の加湿エレメント533が、供給された水を気化させて空気を加湿する。加湿ユニット530は、空気の流れ方向において、送風装置512および空気清浄フィルタ520の下流側に配置される。すなわち、加湿ユニット530は、空気清浄フィルタ520によって清浄化された空気を加湿する。加湿ユニット530は、回転式の加湿ユニットである。加湿ユニット530では、加湿エレメント533の周縁部が後述する加湿トレイ532内に貯留された水の中を通過するように回転させられ、水を含んだ加湿エレメント533から水を気化させることで空気を加湿する。
【0132】
加湿ユニット530は、ケーシング511内の加湿室S3に配置される(
図8参照)。つまり、加湿ユニット530は、ケーシング511内の上部位置に配置される(
図8参照)。加湿ユニット530の後述する加湿タンク531、加湿トレイ532、および加湿エレメント533は、ケーシング511から着脱可能に構成されている。加湿タンク531、加湿トレイ532、および加湿エレメント533がケーシング511の開口515(
図8参照)から取り外されると、ケーシング511内の上方位置に大きな空間ができる。具体的に、加湿ユニット530がケーシング511から取り外されると、加湿室S3において、空気清浄フィルタ520が移動可能な空間が形成される。言い換えると、加湿ユニット530がケーシング511から取り外されると、空気清浄室S2の上方に、空気清浄フィルタ520を取り外す際の、空気清浄フィルタ520の移動経路となる空間が形成される。なお、空気清浄フィルタ520の取り付け/取り外しについては後述する。
【0133】
加湿ユニット530は、
図8および
図9に示すように、主として、加湿タンク531、加湿トレイ532、および加湿エレメント533、を有する。また、加湿ユニット530は、加湿エレメント533を回転駆動するための加湿用モータ534を有する(
図8参照)。加湿用モータ534は、ケーシング511内に設置されている。一方、加湿タンク531、加湿トレイ532、および加湿エレメント533は、ケーシング511から取り外し可能に構成されている。
【0134】
(2−6−1)加湿タンク
加湿タンク531は、加湿エレメント533に供給するための水を貯留する。加湿タンク531は、ケーシング511の第1側板511cと一体に形成されている。そのため、ケーシング511から第1側板511cを取り外すことで、加湿タンク531が加湿ユニット530(加湿トレイ532)から着脱されるように構成されている(
図19(b)参照)。
【0135】
加湿タンク531は、加湿トレイ532の左方側に配置される。加湿トレイ532はケーシング511の左方側に配置されることから、加湿タンク531は、ケーシング511の左方側に配置される。
【0136】
本空気清浄機510では、前述のように重量物である送風装置512のファンモータ512bは、ケーシング511の右方側に配置される(
図8参照)。一方で、重量物である加湿タンク531は、ケーシング511の左方側に配置されている(
図8参照)。つまり、ファンモータ512bは、空気清浄フィルタ520の中心に対して一側方(右方)にずれており、加湿タンク531は、空気清浄フィルタ520の中心に対して前述の一側方とは反対側(左方)にずれている。このように、大きな重量のファンモータ512bと加湿タンク531とが上面視において同一側に偏っておらず、互いに反対方向に離れているため、本空気清浄機510は重量バランスがよい。
【0137】
加湿タンク531は、注水口531aを有する。注水口531aには、図示しない給水弁が取り付けられる。給水弁は、弁体をバネによって弁口に押し付ける一般的な構造であるので、ここでは給水弁の詳細な説明を省略する。
【0138】
加湿タンク531は、使用時には、加湿トレイ532の左方側の、後述するタンク受け部532cに配置される。具体的に、加湿タンク531は、注水口531aを下方にした状態で、加湿トレイ532のタンク受け部532cに装着される。加湿タンク531がタンク受け部532cに装着されると、下方を向いた注水口531aの給水弁に、加湿トレイ532に設けられた押し込みピン(図示せず)が押し当てられる。そして、加湿タンク531の重みにより、給水弁が押し込みピンにより押されて弁口が押し開けられ、注水口531aが開いた状態になる。その結果、後述する加湿トレイ532に水が供給され、加湿エレメント533を浸漬させるための水が加湿トレイ532の所定の高さまで溜められる。
【0139】
加湿タンク531は、右方側から見ると概ね矩形状に形成されている(
図7参照)。また、加湿タンク531は、前方側から見ると、左方側は概ね鉛直方向に延びる平面状に形成されている(
図8参照)。また、加湿タンク531は、前方側から見ると、右方側は曲面状に形成されている(
図8参照)。加湿タンク531の曲面状に形成された右側面531b(
図8参照)は、加湿エレメント533を通過した空気を、吹出口511bへと導くガイド面として機能する。具体的には、右側面531bの下部(右側面下部531ba)は、左下方側に凹む湾曲面である。右側面下部531baは、左方側ほど高くなるように形成された曲面である(
図8参照)。右側面下部531baは、左方側ほど傾斜が鉛直に近づくように傾きが変化する曲面である(
図8参照)。右側面531bの上部(右側面上部531bb)は、右側面下部531baと滑らかに接続された鉛直面である(
図8参照)。右側面531bが、このような形状に形成されることで、加湿エレメント533を上斜め左向きに通過した空気が、大きな圧力損失を生じることなくケーシング511の上部の吹出口511bへと導かれる。
【0140】
(2−6−2)加湿トレイ
加湿トレイ532は、加湿タンク531から供給された水を受け取り、一時的に貯留する。加湿トレイ532には、具体的には、後述する加湿エレメント533に供給される水が貯留される。ケーシング511の第2側板511dは、加湿トレイ532の左方側の側壁を兼ねる。
【0141】
加湿トレイ532は、加湿エレメント533の下方に配置されている(
図8参照)。加湿トレイ532は、
図8に示すように、側方(
図8では前方)から見た時に、概ねU字状に形成されている。加湿トレイ532は、ケーシング511の左方側に配置される(
図8参照)。加湿トレイ532の右方側の側壁と、ケーシング511の内壁との間に第2開口K2が形成される(
図8参照)。
【0142】
加湿トレイ532は、加湿トレイ532の右方側の下部の角部に、空気清浄フィルタ520を通過した空気を、加湿エレメント533へと導く湾曲した第2ガイド面532aを有する(
図8参照)。言い換えれば、加湿トレイ532は、第2開口K2と隣接する加湿トレイ532の下部側の角部に、空気清浄フィルタ520を通過した空気を、加湿エレメント533へと導く湾曲した第2ガイド面532aを有する(
図8参照)。具体的には、加湿トレイ532の右方側の下部の角部に曲面加工が施されている。
【0143】
前述した気流ガイド524の第1ガイド面524bと、第2ガイド面532aとは、気流ガイド524と加湿トレイ532との間に生じる僅かな隙間Gを挟んで連続したカーブを描く。なお、加湿トレイ532の下面532bは、ケーシング511内に加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520が取り付けられた状態で、空気清浄フィルタ520の上方への移動を規制する移動規制部として機能する。言い換えれば、移動規制部としての加湿トレイ532の下面532bは、気流ガイド524の上面524cと接触して、空気清浄フィルタ520の上方への移動を規制する。そのため、気流ガイド524と加湿トレイ532との間に生じる隙間はごく狭い。そのため、脱臭フィルタ522を通過し、第1ガイド面524bにガイドされた空気の大半は、第2開口K2に案内され加湿エレメント533へと導かれる。言い換えれば、第1ガイド面524bにガイドされた空気のほとんどは、気流ガイド524と加湿トレイ532との隙間を流れ、第1側板511cや第2側板511dと、ケーシング511との隙間等からケーシング511外に流出することがない。
【0144】
加湿トレイ532は、左方側に加湿タンク531を受け入れるタンク受け部532cを有する(
図9参照)。タンク受け部532cには、注水口531aを下に向けた状態の加湿タンク531が配置される(
図8参照)。タンク受け部532cに装着される加湿タンク531の注水口531aの給水弁は、タンク受け部532cに設けられた押し込みピン(図示せず)に押し当てられる。そして、加湿タンク531の重みによって、給水弁が押し込みピンにより押されて弁口が押し開けられ、注水口531aが開状態になり、加湿トレイ532に水が供給される。
【0145】
加湿タンク531から供給された水は、加湿トレイ532の右方側の水供給部532dに供給される(
図9参照)。水供給部532dは、加湿エレメント533の下方に配置される(
図8参照)。水供給部532dは、タンク受け部532cにおいて加湿タンク531から供給された水を、加湿エレメント533に供給する部分である。
【0146】
水供給部532dと、タンク受け部532cとは、図示しない隔壁によって仕切られている。隔壁には切り欠きが形成されており、加湿タンク531からタンク受け部532cに供給された水は、切り欠きを介して水供給部532dに送られる。すなわち、ケーシング511の左面側に配置されたタンク受け部532cに供給された水は、その後、ケーシング511の右方側の水供給部532dへと送られる。水供給部532dには、加湿エレメント533を浸漬させるために、所定水位まで水が溜められる。水供給部532dの水位は、加湿タンク531内に水がある場合には、所定水位で維持されるように自動的に調節される。
【0147】
加湿トレイ532は、軸受部532eを有する(
図16参照)。軸受部532eは、後述する加湿エレメント533のロータ回転軸533c(
図16参照)を回転自在に軸支する。なお、軸受部532eは、メンテナンス時等に加湿エレメント533を取り外すことができるように、ロータ回転軸533cを着脱自在に構成されている。具体的には、軸受部532eは、上方に開口するU字形状に形成されており、U字形状の開口部からからロータ回転軸533cの取り付け/取り外しが可能に構成されている(
図16参照)。
【0148】
加湿トレイ532の水供給部532dの前後の側面には、ガイドピン532fが各1本設けられている(
図16参照)。加湿トレイ532をケーシング511に取り付ける際には、ケーシング511の前後の内壁に設けられたC字形状のガイド511i(
図16参照)に、C字形状の開口部からガイドピン532fがはめ込まれるように、加湿トレイ532がケーシング511の内部に押し込まれることで、加湿トレイ532が容易に所定の位置にセットされる。
【0149】
(2−6−3)加湿エレメント
加湿エレメント533は、供給された水を気化させて空気を加湿する。具体的には、加湿エレメント533は、加湿トレイ532に溜められた水の供給を受け、供給された水を気化させて空気を加湿する。
【0150】
加湿エレメント533は、加湿トレイ532の右方側に配置される。具体的には、加湿エレメント533は、加湿トレイ532の右方側に設けられた水供給部532dの上方に配置される。
【0151】
加湿エレメント533は、円形状に形成されている。加湿エレメント533は、主として、加湿フィルタ533a、加湿ロータ533b、およびロータ回転軸533cを有する(
図16参照)。
【0152】
加湿フィルタ533aは、不織布で形成された気化材である。加湿フィルタ533aは、円形状に形成されている。加湿フィルタ533aは、加湿トレイ532から供給される水を含み、水を気化させることにより空気を加湿する。
【0153】
加湿ロータ533bは、加湿フィルタ533aの外周縁を囲んで、加湿フィルタ533aを保持するフレームである。加湿ロータ533bは、加湿ロータ533bの中心に配置されるロータ回転軸533cと連結されている。
【0154】
ロータ回転軸533cは、一方側(左方側)は加湿トレイ532に設けられた軸受部532eにより回転自在に支持されている。他方側(右方側)には、六角形形状の連結部533dが形成されている。また、右方側の端部には、連結部533dと連続し、端部ほど細くなるように形成された先端部533eが形成されている。
【0155】
加湿トレイ532のケーシング511への取り付け時には、ロータ回転軸533cが、先端部533e側から後述する加湿用モータ534の連結受部534bの穴534baに挿入される(
図16参照)。そして、ロータ回転軸533cが、連結部533dが連結受部534bに到達するまで穴534baに挿入されることで、連結部533dと連結受部534bとは連結される。具体的には、連結受部534bの穴534baは、連結部533dの外形とほぼ同じ六角形形状の穴であり、連結部533dを連結受部534bに形成された穴534baに挿入することで、連結受部534bに連結部533dが嵌合し、両者が連結される。連結受部534bと連結部533dとが連結されることで、ロータ回転軸533cと、後述する加湿用モータ534の駆動軸534aとが連結される。そして、加湿用モータ534が駆動され、駆動軸534aが回転すると、ロータ回転軸533cも回転する。なお、ここでは連結部533dと連結受部534bの穴534baとが、六角形形状に形成されていることから、駆動軸534aが回転した時に、連結受部534bは連結部533dに対して空回りすることなく回転する。
【0156】
なお、ここでは、ロータ回転軸533cが端部ほど細くなるように形成された先端部533eを有しているため、先端部533eがガイドとして機能し、ロータ回転軸533cを連結受部534bの穴534baに挿入することが容易である。
【0157】
後述する加湿用モータ534からロータ回転軸533cに回転駆動力が伝達され、加湿エレメント533が回転すると、加湿エレメント533の加湿フィルタ533aの周縁部が、加湿トレイ532の水供給部532dに溜まった水の中を通過する。加湿フィルタ533aの周縁部が、加湿トレイ532の水供給部532dに溜まった水の中を通過する時、加湿フィルタ533aは水供給部532dから水の供給を受ける。加湿エレメント533が回転することで、水供給部532dの上方に移動した加湿フィルタ533a部分には、送風装置512により送風された空気(空気清浄フィルタ520を通過した空気)が供給される。空気が加湿フィルタ533aを通過する際、加湿フィルタ533aに含まれていた水が気化し、これにより空気の加湿が行われる。
【0158】
(2−6−4)加湿用モータ
加湿用モータ534は、加湿エレメント533を回転駆動するためのモータである。
【0159】
加湿用モータ534は、ケーシング511内に設置されている。具体的には、加湿用モータ534は、加湿ユニット530の右方側において、ケーシング511に固定されている。
【0160】
加湿用モータ534は、駆動軸534aに駆動力を伝達するように構成されている(
図8参照)。加湿用モータ534が回転すると、駆動軸534aが回転する。
【0161】
駆動軸534aは、左方側に連結受部534bを有する(
図8参照)。連結受部534bには、六角形形状の穴534baが形成されている(
図16参照)。穴534baの形状は、ロータ回転軸533cの断面形状とほぼ同一の形状である。なお、穴534baは、ロータ回転軸533cの連結部533dが挿入できるように、連結部533dの断面形状よりは若干大きな六角形形状に形成されている。前述のように、ロータ回転軸533cの連結部533dが穴534baに挿入されることで、駆動軸534aとロータ回転軸533cとが連結される。
【0162】
(3)空気清浄機の動作および空気の流れ
以下、
図17および
図18を用いて、空気清浄機510の動作および空気清浄機510の動作に伴う空気の流れについて説明する。
図17および
図18中では、空気の流れを一点鎖線の矢印で示している。
【0163】
空気清浄機510の電源がオンに設定されると、送風装置512のファンモータ512bがファン512aを回転させる。回転するファン512aは空気を遠心方向に吹き出すため、ファン512aの回転軸周りの圧力が低下し、ファン512aの中心に位置するファン吸込口に空気が吸い込まれる。その結果、吸込口511aからファン512aの中心に位置するファン吸込口に向かう空気の流れが発生する。つまり、ファン512aが回転することで、左面下部および右面下部に形成された吸込口511aから、送風室S1内に空気が吸い込まれる。なお、この時、比較的大きな塵埃については、吸込口511aに配置されたプレフィルタ511acにより除去される。
【0164】
送風装置512のファン512aの複数の羽根512ab(
図10参照)から遠心方向に吹き出され、遠心方向に吹き出す空気は、スクロールケーシング512cにより第1開口K1へと導かれ、第1開口K1から空気清浄室S2内に送られる(
図17参照)。
【0165】
空気清浄室S2に送られた空気は、先ず、空気清浄フィルタ520の内、空気の流れ方向の上流側に配置された集塵フィルタ521を通過する。集塵フィルタ521は、空気に含まれる塵埃を除去する。
【0166】
なお、集塵フィルタ521に通過する空気の流れには、鉛直上向き方向の成分だけではなく、水平方向成分も含む。しかし、ここではプリーツ式の集塵フィルタ521の折り目521aが延びる方向と、スクロールケーシング512cの舌部512caの延びる方向(ファン512aの回転軸方向)とが直交するため、集塵フィルタ521の全面に偏りなく空気を流すことが可能である。
【0167】
集塵フィルタ521を通過した空気は、更に空気の流れ方向の下流側の脱臭フィルタ522を通過する。脱臭フィルタ522によって、臭いの原因となる成分が脱臭フィルタ522に除去される。
【0168】
なお、空気が空気清浄フィルタ520(集塵フィルタ521および脱臭フィルタ522)を通過する際には、空気清浄フィルタ520の全面に静圧が作用し、空気は空気清浄フィルタ520を通過する。この際、空気清浄フィルタ520のうち第1開口K1と対向する部分における空気の速度が速まる。しかし、ここでは、第1開口K1と第2開口K2とが上面視でずれており、その重なり部分が十分に小さいので、第1実施形態においても説明したように、空気は空気清浄フィルタ520の全面を偏りなく通過しやすく、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が発生することを抑制することができる。
【0169】
空気清浄フィルタ520を通過した空気は、その後、第2開口K2を通過して加湿室S3に送られる。この時、特に、脱臭フィルタ522の左方側を通過した空気は、気流ガイド524の第1ガイド面524bおよび加湿トレイ532の下部に形成された第2ガイド面532aにより滑らかに第2開口K2へと導かれる(
図17参照)。なお、上述のように、気流ガイド524の上面524cと、加湿トレイ532の下面532bとは接触する関係にあるため、気流ガイド524と加湿トレイ532との間に隙間はほとんど形成されず、この隙間を通り、空気がケーシング511の開口と、第1側板511cや第2側板511dとの隙間を通ってケーシング511外に空気が逃げることはほとんどない。第1ガイド面524bおよび第2ガイド面532aは、僅かな隙間Gを挟んで連続したカーブを描き、このカーブに沿って空気が滑らかに第2開口K2へと導かれる(
図17参照)。
【0170】
加湿室S3に送られた空気は、上方に向かって流れ、ケーシング511の上方に設けられた整流板511hによって、加湿エレメント533へと誘導される。なお、整流板511hにはバイパス開口511haが2箇所に形成されているため(
図18参照)、空気の一部(例えば加湿室S3に流入した空気の20%)は、バイパス開口511haを通過して、加湿エレメント533は通過することなく、ケーシング511外へ導かれる(
図18参照)。整流板511hの加湿室S3とは反対側の面にはイオン発生器540が配置されており、イオン発生器540が発生したプラズマイオンは、バイパス開口511haを通過した空気と共にケーシング511外に運ばれる。
【0171】
空気清浄機510の加湿機能が機能している場合、加湿用モータ534により加湿エレメント533が回転する。加湿エレメント533は、加湿トレイ532の水供給部532dにおいて、加湿エレメント533の下部が水中に浸漬するように配置されているので、加湿エレメント533が回転することによって、加湿フィルタ533aの新たに水中に浸漬される部分が、加湿トレイ532の水を吸い上げる。加湿エレメント533を通過する空気は、加湿フィルタ533aに浸み込んだ水の気化を促進させる。これにより、空気は加湿空気となる。
【0172】
加湿エレメント533を通過した加湿された空気は、加湿タンク531の右側面531bが空気のガイド面として機能することで、上斜め左方向の空気の流れは、垂直上向きの空気の流れとなって、吹出口511bから吹き出される(
図17参照)。
【0173】
なお、以上では、加湿機能がオンに設定される場合について説明したが、加湿機能がオフに設定される場合には、加湿エレメント533は回転せず、加湿エレメント533を通過する空気は、ほとんど加湿されることなく吹出口511bから吹き出される。
【0174】
(4)加湿ユニットおよび空気清浄フィルタの取り外し
次に、主に
図19および
図20を参照して、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り外しについて説明する。
図19は、ケーシング511から加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520を取り外す、取り外し作業を描画している。
図19では、ケーシング511の内部を前方向から見た断面図を用いて、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り外し作業を描画している。
図20は、ケーシング511から加湿ユニット530を取り外す、取り外し作業を描画している。
図20では、ケーシング511を左前方から見た斜視図を用いて、加湿ユニット530の取り外し作業を描画している。
【0175】
図19(a)および
図20(a)は、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り外し作業開始前の空気清浄機510を示す。
【0176】
加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520を取り外す際には、まず、ユーザーは第1側板511cの取っ手511caを把持し、
図19(b)および
図20(b)に示すように、第1側板511cを、第1側板511cの上部が左方に傾くように開く。そして、第1側板511cと一体に形成された加湿タンク531を上斜め左方に抜き出すことで、加湿タンク531がケーシング511から取り外される(
図19(b),
図20(c)参照)。
【0177】
次に、
図19(c)および
図20(d)に示すように、加湿トレイ532がケーシング511から取り外される。具体的には、ユーザーは、加湿トレイ532の一部を構成する第2側板511dに設けられた取っ手511daを把持し、加湿トレイ532を手前側(左側)に引き出す。この時、加湿エレメント533のロータ回転軸533cの連結部533dは、加湿用モータ534と連結された駆動軸534aに設けられた連結受部534bから取り外される。ここでは、連結部533dは連結受部534bの穴534baに挿入されているだけで、特に固定部材(例えばネジなど)により固定されていないため、連結部533dを穴534baから容易に引きぬくことができる(
図16参照)。また、ここでは、加湿トレイ532の側面に設けられたガイドピン532fが、ケーシング511の内面に形成されたガイド511iに沿って移動するため、ユーザーはスムーズに加湿トレイ532を左方側に水平に引き出すことができる(
図16参照)。
【0178】
このようにして加湿エレメント533が軸受部532eに装着された加湿トレイ532をケーシング511から取り外すことで、ケーシング511の左方の開口515が大きく開いた状態になる(
図19(d)および
図20(d)参照)。また、加湿トレイ532が取り外されたケーシング511内の上部には、広い空間が形成される。言い換えると、ケーシング511から加湿トレイ532および加湿エレメント533が取り外されたことにより、加湿室S3に、空気清浄フィルタ520を移動させることが可能な空間が確保される。
【0179】
その後、
図19(d)に示すように、まず空気清浄フィルタ520の脱臭フィルタ522がケーシング511から取り外される。具体的には、ユーザーは、フィルタケース523と一体に形成された気流ガイド524の上面の凹部524dを把持して、フィルタケース523をケーシング511の支持部511fから上方に持ちあげるとともに、フィルタケース523の右面に設けられた凸部523aをケーシング511の凹部511gから抜き出す。次に、ユーザーは、凹部524dを把持して、フィルタケース523を脱臭フィルタ522の厚み方向(上方向)に移動させた後、加湿室S3内を移動させてケーシング511内部から取り外す。言い換えると、脱臭フィルタ522は、空気の流れ方向下流側に向けて引き上げられ、その後、開口515からケーシング511の外に取り出される。
【0180】
最後に、
図19(e)に示すように、空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521がケーシング511から取り外される。具体的には、ユーザーは、集塵フィルタ521を、ケーシング511のフランジ部511eから持ちあげ、集塵フィルタ521の厚み方向(上方向)に移動させた後、加湿室S3内を移動させてケーシング511から取り外す。言い換えると、集塵フィルタ521は、空気の流れ方向下流側に向けて引き上げられ、その後、開口515を介してケーシング511の外に取り出される。
【0181】
(5)加湿ユニットおよび空気清浄フィルタの取り付け
次に、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り付けについて説明する。なお、
図19および
図20内の図を逆の順序で見れば、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り付け作業を描画することとなるので、ここでは加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り付け作業の状態を描画した図面は省略する。
【0182】
空気清浄フィルタ520および加湿ユニット530が全て取り外された状態を基準に、加湿ユニット530および空気清浄フィルタ520の取り付けを説明する。
【0183】
まず、初めに、空気清浄フィルタ520の集塵フィルタ521がケーシング511内に取り付けられる。具体的には、ユーザーは、集塵フィルタ521を、開口515から加湿室S3内に挿入した後、下方に移動させて、ケーシング511のフランジ部511eに戴置する(
図19(d),(e)参照)。
【0184】
次に、ユーザーは、集塵フィルタ521の上方において、フィルタケース523に収容された脱臭フィルタ522をケーシング511に取り付ける。
【0185】
具体的には、ユーザーは、フィルタケース523と一体に形成された気流ガイド524の凹部524dを把持し、右方側を下げた状態で、フィルタケース523を、開口515から加湿室S3内に挿入する。その後、ユーザーは、フィルタケース523の下面の右方側を、集塵フィルタ521の周縁部521b(
図11参照)の上面521bb(
図19(d)参照)に摺動させながら、フィルタケース523を左方側から右方側に向かって移動させる。また、この時、ユーザーは、フィルタケース523の左方側を次第に下方に下ろしながら、フィルタケース523を左方側から右方側に向かって移動させる。フィルタケース523は、集塵フィルタ521上を、フィルタケース523に形成された凸部523aが、ケーシング511に設けられた凹部511gに嵌合するまで右方に動かされる。凸部523aが凹部511gに嵌合した状態では、フィルタケース523の左方側を下降させ、支持部511fに戴置することができる。一方、凸部523aが凹部511gに嵌合していない状態では、フィルタケース523の左方側がケーシング511の内面と干渉し、フィルタケース523をケーシング511内に収容できない。
【0186】
なお、仮に、集塵フィルタ521を取り付けられていない状態で、フィルタケース523を取り付けようとする場合には、下方側でフィルタケース523を支持する構造が存在せず、フィルタケース523の凸部523aを凹部511gへとガイドする構造が存在しない。そのため、集塵フィルタ521を取り付けないままにフィルタケース523を取り付けようとすると、
図21のようにフィルタケース523の右方側が容易に下方に落ち込んでしまい、フィルタケース523を正しい位置に取り付けることが困難である。
【0187】
フィルタケース523に収容された脱臭フィルタ522が、ケーシング511に取り付けられた状態、すなわち、フィルタケース523の凸部523aがケーシング511の凹部511gに嵌合し、フィルタケース523の左方側が支持部511fに支持された状態では、フィルタケース523は、集塵フィルタ521の周縁部521b(
図11参照)の上面521bb(
図7参照)と接触した状態にある。さらに後述するように、加湿トレイ532および加湿タンク531がケーシング511に取り付けられた状態では、加湿トレイ532の下面532bは、フィルタケース523と一体に形成された気流ガイド524の上面524cと接触した状態にある。フィルタケース523の上方への移動が、加湿トレイ532および加湿タンク531により規制され、更にフィルタケース523と集塵フィルタ521の周縁部521bの上面521bbとが接触した状態にあることで、空気の流れにより集塵フィルタ521に浮き上がるような力が作用しても、集塵フィルタ521の上方への移動が妨げられる。
【0188】
空気清浄フィルタ520の取り付けが終了すると、加湿トレイ532がケーシング511に取り付けられる(
図19(c)、
図20(d)参照)。具体的には、ユーザーは、加湿トレイ532の一部を構成する第2側板511dに設けられた取っ手511daを把持し、加湿トレイ532に設けられたガイドピン532fが、ケーシング511の前後の内壁に設けられたガイド511iに嵌り込み、加湿エレメント533のロータ回転軸533cの先端部533eが、加湿用モータ534と連結された駆動軸534aの連結受部534bの穴534baに挿入されるように(
図16参照)、加湿トレイ532を右方に向かって水平に動かす。ここでは、ガイド511iおよび連結受部534bがガイドとして機能し、加湿トレイ532を水平方向に移動させることが容易である。なお、連結部533dが穴534baに挿入される際に、連結部533dの六角形形状の向きと、六角形形状の穴534baの向きとが一致していない場合には、加湿エレメント533が、連結部533dの六角形形状の向きと六角形形状の穴534baの向きとが一致するように回転し、これにより連結部533dと連結受部534bとが連結される。
【0189】
加湿トレイ532がケーシング511に取り付けられた状態では、加湿トレイ532の下面532bは、フィルタケース523と一体に形成された気流ガイド524の上面524cと接触した状態にある。加湿トレイ532と気流ガイド524の上面524cとが接触した状態にあることで、空気の流れにより空気清浄フィルタ520に浮き上がるような力が作用しても、空気清浄フィルタ520の上方への移動が妨げられる。つまりここでは、加湿トレイ532の下面532bが、空気清浄フィルタ520の上方への移動を規制する移動規制部として機能する。
【0190】
最後に、ユーザーは第1側板511cの取っ手511caを把持し、加湿タンク531と一体に形成された第1側板511cの下部側を、第1側板511cの上部が左方に傾くような状態で第2側板511dの上部側に係合させる(
図19(b)、
図20(b)参照)。次に、第1側板511cが鉛直になるように立てることで、ケーシング511の開口515が閉じられる(
図19(a)、
図20(a)参照)。
【0191】
(6)特徴
(6−1)
上記実施形態に係る空気清浄機510は、湿度調節機能を有する空気清浄機であって、空気清浄フィルタ520と、加湿エレメント533と、ファン512aとを備えている。空気清浄フィルタ520は、空気に含まれる塵埃を除去する。加湿エレメント533は、供給された水を気化させて加湿する。ファン512aは、空気清浄フィルタ520および加湿エレメント533に送風する。空気清浄機510では、下方からファン512a、空気清浄フィルタ520および加湿エレメント533の順に、これらが配置されている。
【0192】
この空気清浄機510では、下方の送風室S1からファン512aによって吸い込まれた空気が、上方の空気清浄室S2の空気清浄フィルタ520を通過した後、さらに上方の加湿室S3の加湿エレメント533を通過して吹き出される。音源である送風装置512が最下方に位置するので、ファンモータ512b及びファン512aから発せられる音が空気清浄フィルタ520および加湿エレメント533によって減衰させられ、騒音が抑制される。
【0193】
(6−2)
上記実施形態に係る空気清浄機510は、本体ケーシングの一例としてのケーシング511を備えている。ケーシング511は、空気清浄フィルタ520、加湿エレメント533およびファン512aを収納する。また、ケーシング511は、送風室S1と、空気清浄室S2と、加湿室S3と、第1開口K1と、第2開口K2とを有している。送風室S1には、ファン512aが配置される。空気清浄室S2には、空気清浄フィルタ520が配置される。加湿室S3には、加湿エレメント533が配置される。第1開口K1は、送風室S1から空気清浄室S2へ空気を通す。第2開口K2は、空気清浄室S2から加湿室S3へ空気を通す。第1開口K1と第2開口K2とが上面視においてずれている。
【0194】
上記実施形態に係る空気清浄機510では、空気清浄室S2に入った空気によって空気清浄フィルタ520の全面に静圧が作用し、空気は空気清浄フィルタ520を通過する。送風室S1と空気清浄室S2との間の第1開口K1と、空気清浄室S2と加湿室S3との間の第2開口K2とが上面視においてずれているので、ずれていないものに比べて、空気が空気清浄フィルタ520を通過する際の速度分布がより裾野の広い分布となり、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が減少する。
【0195】
(6−3)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、第1開口K1は空気清浄フィルタ520の中心に対して一側方(左方)にずれており、第2開口K2は空気清浄フィルタ520の中心に対してその一側方とは反対側(右方)にずれている。
【0196】
ここでは、第1開口K1と第2開口K2とが、空気清浄フィルタ520の中心に対して互いに反対側にずれているので、ずれていないものに比べて、空気が空気清浄フィルタ520を通過する際の速度分布がより裾野の広い分布となり、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が減少する。
【0197】
(6−4)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、送風室S1には、ファン512aを駆動するファンモータ512bがさらに配置されている。加湿室S3には、加湿エレメント533に水を供給する貯水タンクの一例としての加湿タンク531がさらに配置されている。ファンモータ512bは空気清浄フィルタ520の中心に対して一側方にずれており、加湿タンク531は空気清浄フィルタ520の中心に対してその一側方とは反対側にずれている。
【0198】
この空気清浄機510では、重量のあるファンモータ512bと加湿タンク531とが上面視において同一側に偏っておらず、互いに反対方向に離れているので、ケーシング511の直立安定性がよい。
【0199】
(6−5)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、空気清浄フィルタ520の水平投影面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の80%以上である。第1開口K1の面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の20%〜30%の範囲に設定されている。第2開口K2の面積は、空気清浄室S2の水平投影面積の40%〜50%の範囲に設定されている。
【0200】
ここでは、第1開口K1に比べて第2開口K2を大きく設定することによって、且つ、それらが上面視においてずれることによって、重なり部分がゼロになり又は縮小するので、空気が空気清浄フィルタ520を通過する際の速度分布は、より裾野の広い分布となり、空気が通過しない又は速度が極端に小さくなる部分が減少し、空気清浄フィルタ520の全面を偏りなく空気を流すことができる。
【0201】
(6−6)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、ファン512aがシロッコファンである。そのため、風量が安定する。
【0202】
(6−7)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、空気清浄フィルタ520の上方に配置される気流ガイド524を更に備える。気流ガイド524は、空気清浄フィルタ520を通過した空気を加湿エレメント533へと導く湾曲した第1ガイド面524bを有する。
【0203】
ここでは、気流ガイド524を設けることで、空気清浄フィルタ520を通過した空気を加湿エレメント533へと滑らかに導くことが容易で、圧力損失を抑制しながら加湿エレメント533へと空気を導くことができる。
【0204】
(6−8)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、気流ガイド524は、空気清浄フィルタ520の一部、ここでは具体的には脱臭フィルタ522を収容するフィルタケース523と一体に形成される。
【0205】
ここでは、空気清浄フィルタ520を収容するフィルタケース523と気流ガイド524とが一体に形成されるため、空気清浄フィルタ520を通過した空気を他の経路に逃すことなく加湿エレメント533へと導くことが容易である。
【0206】
(6−9)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、加湿エレメント533の下方に配置され、加湿エレメント533に供給される水を貯留する水貯留トレイの一例としての加湿トレイ532を更に備える。加湿トレイ532は、加湿トレイ532の下部に、空気清浄フィルタ520を通過した空気を加湿エレメント533へと導く湾曲した第2ガイド面532aを有する。
【0207】
ここでは、加湿トレイ532の下部に第2ガイド面532aを設けることで、空気清浄フィルタ520を通過した空気を加湿エレメント533へと滑らかに導くことが容易で、圧力損失を抑制しながら加湿エレメント533へと空気を導くことができる。
【0208】
特に、上記実施形態に係る空気清浄機510では、気流ガイド524の第1ガイド面524bおよび加湿トレイ532の第2ガイド面532aは、隙間G(気流ガイド524と加湿トレイ532との隙間)を挟んで連続したカーブを描く。
【0209】
この空気清浄機510では、第1ガイド面524bおよび第2ガイド面532aが連続したカーブを描くことで、空気清浄フィルタ520を通過した空気を加湿エレメント533へと滑らかに導くことが容易で、圧力損失を抑制しながら加湿エレメントへと空気を導くことができる。
【0210】
(6−10)
上記実施形態に係る空気清浄機510では、ケーシング511には、第2開口K2の上方に、加湿室S3から加湿エレメント533を通過させずにケーシング511外に空気を導く、バイパス開口511haが形成される。
【0211】
ここでは、バイパス開口511haが第2開口K2の上方に設けられるため、圧力損失をほとんど生じさせることなく、空気の一部をバイパス開口511haからケーシング511外に導くことができる。そのため、空気清浄フィルタ520に大きな風量の空気を通過させることが容易である。
【0212】
さらに、ここでは、上面視において第1開口K1と第2開口K2とをずらして配置していることから、空気清浄フィルタ520の全面に偏りなく大きな風量の空気を通過させ、効率よく空気からの塵埃の除去処理を行うことができる。
【0213】
(7)変形例
以下に、第2実施形態の空気清浄機510の変形例を示す。なお、変形例は、矛盾のない範囲で第1実施形態の空気清浄機10に適用されてもよい。
【0214】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、気流ガイド524はフィルタケース523と一体に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、気流ガイド524は、加湿トレイ532の下面532bに設けられてもよい。また、例えば、気流ガイド524は、フィルタケース523や加湿トレイ532とは別部材であってもよい。
【0215】
ただし、気流ガイド524を加湿トレイ532の下面に設ける場合には、ケーシング511の開口515を大きく形成する必要となるため、気流ガイド524はフィルタケース523と一体に形成されることが好ましい。
【0216】
また、部品点数の削減や、メンテナンス性の観点からは、気流ガイド524は別部材ではなく、フィルタケース523等と一体に形成されることが好ましい。また、気流ガイド524を別部材とすると、空気が通過する隙間が形成されやすくなり、最終的にケーシングの隙間等から外部に空気が流出しやすくなるため、気流ガイド524は別部材ではなく、フィルタケース523等と一体に形成されることがより好ましい。
【0217】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、空気清浄機510は、第1ガイド面524bおよび第2ガイド面532aを有するが、これに限定されるものではない。空気清浄機510は、第1ガイド面524bおよび第2ガイド面532aのいずれか一方のみを有してもよい。ただし、空気清浄フィルタ520を通過した空気を、加湿エレメント533へと圧力損失を抑制しつつ導くためには、第1ガイド面524bおよび第2ガイド面532aの両方が設けられることが好ましい。
【0218】
(7−3)変形例C
上記実施形態では、ケーシング511の整流板511hにバイパス開口511haが形成されているが、これに限定されるものではなく、バイパス開口511haは形成されなくてもよい。ただし、空気清浄フィルタ520を通過する空気の量を増やし、効率よく空気の清浄化を行うためには、バイパス開口511haが設けられることが好ましい。
【0219】
(7−4)変形例D
上記実施形態では、空気清浄フィルタ520には脱臭フィルタ522も含まれるが、これに限定されるものではなく、空気清浄フィルタ520は集塵フィルタ521のみを有するものであってもよい。この場合には、集塵フィルタ521がフィルタケース523に収容されるように構成されてもよい。
【0220】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、フィルタケース523に凸部523aが、ケーシング511に凹部511gが、それぞれ設けられ、凹部511gに凸部523aが嵌合するが、これに限定されるものではない。例えば、フィルタケース523に凹部が、ケーシング511に凸部がそれぞれ設けられ、フィルタケース523の凹部に、ケーシング511の凸部が嵌合するように構成されてよい。
【0221】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、加湿ユニット530に、加湿トレイ532の水供給部532dにおいて、加湿エレメント533の加湿フィルタ533aを水に浸漬させる方式が用いられているが、これに限定されるものではない。
【0222】
例えば、加湿ユニット530には、加湿ロータヒシャク方式が採用されてもよい。
【0223】
具体的に、加湿ロータヒシャク方式の加湿ユニット530では、加湿エレメント533の加湿ロータ533bに複数のヒシャク533baが設けられる(
図22参照)。加湿ロータヒシャク方式においては、加湿フィルタ533aが直接水に浸漬されるのではなく、加湿ロータ533bが回転した時に、ヒシャク533baが加湿トレイ532の水供給部532dにおいて水をすくい上げる。そして、加湿ロータ533bが更に回転し、ヒシャク533baが最上位置付近に移動した時に、ヒシャク533baが加湿フィルタ533aに水をかけることで、加湿フィルタ533aに水が供給される。
【0224】
(7−7)変形例G
上記実施形態の気流ガイド524の形状は、例示であってこれに限定されるものではない。例えば、気流ガイド524は、加湿トレイ532の第2開口K2側の下部、より具体的には、加湿トレイ532の、第2開口K2と隣接する側の下部側の角部、を覆うように形成された延長部524eを有してもよい(
図23および
図24参照)。延長部524eの左側面は、加湿トレイ532の、第2開口K2と隣接する側の下部側の角部および右側面下部と対向する。延長部524eの右側面は、空気清浄フィルタ520を通過した空気を加湿エレメント533へと導く湾曲した延長ガイド面524eaとして機能する(
図24参照)。延長ガイド面524eaは、第1ガイド面524bと連続したカーブを描く(
図24参照)。
【0225】
このように構成されることで、空気清浄フィルタ520を通過した空気を、気流ガイド524と加湿トレイ532との間に生じる隙間Gへと流すことを防止することが容易である。また、第1ガイド面524bと、空気の流れ方向における第1ガイド面524bの下流側に、第1ガイド面524bと連続したカーブを描くように形成される延長ガイド面524eaと、により、圧力損失を抑制しながら加湿エレメント533へと空気を導くことができる。