(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
放熱器(22)および蒸発器(24)を有して冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、上記放熱器(22)へ庫外空気を供給するための庫外ファン(25)と、上記蒸発器(24)へ庫内空気を供給するための庫内ファン(26)と、外気よりも窒素濃度の高い窒素濃縮空気を生成して庫内へ供給するガス供給装置(30)とを備えたコンテナ用冷凍装置(10)であって、
上記ガス供給装置(30)は、
コンテナ(11)の庫外に設けられて冷却空気流入口(79a)および冷却空気流出口(79b)が形成されたユニットケース(70)と、
上記ユニットケース(70)に収納されて外気を吸入して圧縮するポンプ機構部(31P)と、
上記ポンプ機構部(31P)が吐出した圧縮空気から窒素濃縮空気を生成する生成部(34,35)とを有し、
上記冷却空気流出口(79b)に入口端が接続されかつ上記庫外ファン(25)の負圧側に出口端が開口し、上記庫外ファン(25)によって上記ユニットケース(70)内の空気が上記冷却空気流出口(79b)から吸い出されるように上記ユニットケース(70)と上記庫外ファン(25)の負圧側を接続する排気チューブ(85)を備えている
ことを特徴とするコンテナ用冷凍装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ガス供給装置の構成部品を、密閉構造のユニットケース内に収納してユニット化することが考えられる。これにより、ガス供給装置の組み付けを容易化することができる。
【0007】
しかしながら、ガス供給装置が有するポンプ機構部では、空気を圧縮する際に熱が発生する。この発熱によってポンプ機構部が故障したり、あるいは周囲の機器等に悪影響が及んだりするのを防ぐために、ポンプ機構部で発生する熱をユニットケース外へ逃がすことが必要となる。一方、かかる排熱のためだけにファン等の機器を設けることはコストの増加および装置の大型化を招くので好ましくない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポンプ機構部を有するガス供給装置の熱対策を低コストに実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、放熱器(22)および蒸発器(24)を有して冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、上記放熱器(22)へ庫外空気を供給するための庫外ファン(25)と、上記蒸発器(24)へ庫内空気を供給するための庫内ファン(26)と、外気よりも窒素濃度の高い窒素濃縮空気を生成して庫内へ供給するガス供給装置(30)とを備えたコンテナ用冷凍装置(10)を対象とする。上記ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫外に設けられて冷却空気流入口(79a)および冷却空気流出口(79b)が形成されたユニットケース(70)と、上記ユニットケース(70)に収納されて外気を吸入して圧縮するポンプ機構部(31P)と、上記ポンプ機構部(31P)が吐出した圧縮空気から窒素濃縮空気を生成する生成部(34,35)とを有している。そして、上記コンテナ用冷凍装置(10)は、
上記冷却空気流出口(79b)に入口端が接続されかつ上記庫外ファン(25)の負圧側に出口端が開口し、上記庫外ファン(25)によって上記ユニットケース(70)内の空気が上記冷却空気流出口(79b)から吸い出されるように上記ユニットケース(70)と上記庫外ファン(25)の負圧側を接続する
排気チューブ(85)を備えている。
【0010】
第1の発明では、コンテナ(11)の庫内空気は蒸発器(24)で冷却され、蒸発器(24)で庫内空気から冷媒に移動した熱は放熱器(22)において庫外空気へ放出される。また、ガス供給装置(30)では、ポンプ機構部(31P)が外気を吸入して圧縮した後、生成部(34,35)がこの圧縮空気から窒素濃縮空気を生成する。生成された窒素濃縮空気は、コンテナ(11)の庫内へ供給される。
【0011】
ここで、ポンプ機構部(31P)が外気を圧縮するときには熱が発生し、この熱によりポンプ機構部(31P)が故障したり、あるいは周囲の機器等に悪影響が及んだりするおそれがある。しかし、本発明のコンテナ用冷凍装置(10)では、庫外ファン(25)により、ユニットケース(70)内の空気が
、冷却空気流出口(79b)に入口端が接続されかつ庫外ファン(25)の負圧側に出口端が開口する排気チューブ(85)を介して冷却空気流出口(79b)から吸い出される。このため、冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内を流れて冷却空気流出口(79b)へ向かう空気の流れが作り出される。そして、ポンプ機構部(31P)で発生した熱は、当該空気流れに乗って、冷却空気流出口(79b)からユニットケース(70)外へ排出される。
【0012】
第
2の発明は、上記第
1の発明において、上記排気チューブ(85)の少なくとも一部は、入口側から出口側に向かうにつれて下降するように延びる下降部(85a)に形成されていることを特徴とする。
【0013】
第
2の発明では、排気チューブ(85)の出口端から海水等が当該排気チューブ(85)内に入ることがあったとしても、その海水等は、重力に逆らって下降部(85a)内を排気チューブ(85)の入口側へ向かって移動することはできない。つまり、下降部(85a)よりも排気チューブ(85)の入口側へ海水等が流れ込むことがなく、排気チューブ(85)を介して冷却空気流出口(79b)からユニットケース(70)内へ海水等が侵入するのが防止される。
【0014】
第
3の発明は、上記第
1または第
2の発明において、上記ユニットケース(70)は、箱状に形成されかつ天板(72b)の一部が1つの側板(72a)へ向かって低くなる傾斜部(72c)となり、上記傾斜部(72c)には、上記排気チューブ(85)を接続するための接続部(72e)が設けられていることを特徴とする。
【0015】
第
3の発明では、排気チューブ(85)の入口端は、傾斜部(72c)に設けられた接続部(72e)に接続されている。傾斜部(72c)の近くには、箱状のユニットケース(70)の一部を切り欠いたようなスペースが存在しており、接続部(72e)を設けるために当該スペースを活用できる。
【0016】
第
4の発明は、上記第
3の発明において、上記傾斜部(72c)の下方に、上記ガス供給装置(30)を構成する電気部品(32,33,36,82)が配置されていることを特徴とする。
【0017】
第
4の発明では、傾斜部(72c)の下方に電気部品(32,33,36,82)が配置されている。ところで、外気温が低いときには、ユニットケース(70)の内壁で結露が発生することがある。そして、天板(72b)の傾斜部(72c)で生じた結露水は、この傾斜部(72c)の傾斜に沿ってその下端まで流れる。したがって、傾斜部(72c)の下方に配置された、ガス供給装置(30)を構成する電気部品(32,33,36,82)に結露水が垂れない。
【0018】
第
5の発明は、上記第1〜第
4の発明のいずれか1つにおいて、上記ユニットケース(70)に収容されて上記ポンプ機構部(31P)に送風する冷却ファン(79)をさらに備えていることを特徴とする。
【0019】
第
5の発明では、冷却ファン(79)によってポンプ機構部(31P)が冷却される。
【0020】
第
6の発明は、上記第
5の発明において、上記冷却空気流入口(79a)は、上記冷却ファン(79)の負圧側に位置していることを特徴とする。
【0021】
第
6の発明では、冷却ファン(79)により、冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内に向かう空気流れが作り出される。このため、冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内を流れて冷却空気流出口(79b)へ向かう空気の流れがより強くなり、ポンプ機構部(31P)からユニットケース(70)を流れる空気への伝熱が促進される。
【0022】
第
7の発明は、上記第
5または第
6の発明において、上記冷却ファン(79)が吹き出した空気の一部を、上記ガス供給装置(30)を構成する電気部品(32,33,36,82)に導く分流部材(84)をさらに備えていることを特徴とする。
【0023】
第
7の発明では、冷却ファン(79)が吹き出した空気の一部が、ガス供給装置(30)を構成する電気部品(32,33,36,82)に導かれる。このため、冷却ファン(79)によって、ポンプ機構部(31P)に加えて電気部品(32,33,36,82)も冷却される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ポンプ機構部(31P)で発生した熱は、空気流れに乗って、冷却空気流出口(79b)からユニットケース(70)外へ排出される。かかる空気流れは、放熱器(22)へ庫外空気を供給するための庫外ファン(25)によって作り出されるので、熱対策のために
排気チューブ(85)を設ける必要はあるものの、ファン等の機器を新たに設けなくてもよい。このため、ガス供給装置(30)の熱対策を低コストに実現することができる。
【0025】
また、上記第
2の発明によれば、排気チューブ(85)の少なくとも一部が下降部(85a)に形成されているので、当該排気チューブ(85)を介して冷却空気流出口(79b)からユニットケース(70)内へ海水等が侵入するのを防止することができる。
【0026】
また、上記第
3の発明によれば、傾斜部(72c)の近傍に存在するスペースを活用して、排気チューブ(85)を接続するための接続部(72e)を設けることができるので、ガス供給装置(30)の省スペース化を図ることができる。
【0027】
また、上記第
4の発明によれば、傾斜部(72c)の下方に配置された、ガス供給装置(30)を構成する電気部品(32,33,36,82)に結露水が垂れないので、結露水による電気部品(32,33,36,82)の故障を防止することができる。
【0028】
また、上記第
5の発明によれば、冷却ファン(79)によってポンプ機構部(31P)を冷却できるので、より効果的な熱対策を実現することができる。
【0029】
また、上記第
6の発明によれば、冷却ファン(79)により、冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内を流れて冷却空気流出口(79b)へ向かう空気の流れをより強めて、ポンプ機構部(31P)からユニットケース(70)を流れる空気への伝熱を促進できる。このため、より効果的な熱対策を実現することができる。
【0030】
また、上記第
7の発明によれば、冷却ファン(79)が吹き出した空気を利用して、ガス供給装置(30)を構成する電気部品(32,33,36,82)を冷却することができる。このため、当該電気部品(32,33,36,82)の熱対策を低コストに行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0033】
図1および
図2に示すように、コンテナ用冷凍装置(10)は、海上輸送等に用いられるコンテナ(11)に設けられ、該コンテナ(11)の庫内空気を冷却するものである。コンテナ(11)の庫内には、植物(15)が箱詰めされた状態で収納されている。植物(15)は、空気中の酸素(O
2)を取り込んで二酸化炭素(CO
2)を放出する呼吸を行うものであり、例えば、バナナやアボカド等の青果物、野菜、穀物、球根、生花等である。
【0034】
コンテナ(11)は、一方の端面が開口する細長い箱状に形成されている。コンテナ用冷凍装置(10)は、ケーシング(12)と、冷媒回路(20)と、CA装置(Controlled Atmosphere System)(60)とを備え、コンテナ(11)の開口端を塞ぐように取り付けられている。
【0035】
〈ケーシング〉
図2に示すように、ケーシング(12)は、コンテナ(11)の庫外側に位置する庫外壁(12a)と、コンテナ(11)の庫内側に位置する庫内壁(12b)とを備えている。庫外壁(12a)および庫内壁(12b)は、例えば、アルミニウム合金によって構成されている。
【0036】
庫外壁(12a)は、コンテナ(11)の開口端を塞ぐようにコンテナ(11)の開口の周縁部に取り付けられている。庫外壁(12a)は、下部がコンテナ(11)の庫内側へ膨出するように形成されている。
【0037】
庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)と対向して配置されている。庫内壁(12b)は、庫外壁(12a)の下部に対応して庫内側へ膨出している。庫内壁(12b)と庫外壁(12a)との間の空間には、断熱材(12c)が設けられている。
【0038】
このように、ケーシング(12)の下部は、コンテナ(11)の庫内側に向かって膨出するように形成されている。これにより、ケーシング(12)下部におけるコンテナ(11)の庫外側には庫外収納空間(S1)が形成され、ケーシング(12)上部におけるコンテナ(11)の庫内側には庫内収納空間(S2)が形成されている。
【0039】
図1に示すように、ケーシング(12)には、メンテナンス用の2つのサービス用開口が幅方向に並んで形成されている。2つのサービス用開口は、それぞれ開閉自在な第1および第2サービス扉(16A,16B)によって閉塞されている。第1および第2サービス扉(16A,16B)は、いずれもケーシング(12)と同様に、庫外壁と庫内壁と断熱材とによって構成されている。詳細は後述するが、
図1において右側のサービス開口を閉塞する第1サービス扉(16A)は、後述する排気部(46)および吸気部(47)と共にサービス扉ユニット(40)を構成している。
【0040】
図2に示すように、コンテナ(11)の庫内には、仕切板(18)が配置されている。この仕切板(18)は、略矩形状の板部材に構成され、ケーシング(12)のコンテナ(11)の庫内側の面と対向する姿勢で立設されている。この仕切板(18)によって、コンテナ(11)の庫内と庫内収納空間(S2)とが区画されている。
【0041】
仕切板(18)の上端とコンテナ(11)内の天井面との間には吸込口(18a)が形成されている。コンテナ(11)の庫内の空気(庫内空気)は、吸込口(18a)を介して庫内収納空間(S2)に取り込まれる。
【0042】
また、庫内収納空間(S2)には、水平方向に延びる区画壁(13)が設けられている。区画壁(13)は、仕切板(18)の上端部に取り付けられ、後述する庫内ファン(26)が設置される開口が形成されている。区画壁(13)は、庫内収納空間(S2)を、庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)と、庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)とに区画する。
【0043】
コンテナ(11)内には、コンテナ(11)の底面との間に隙間を存して床板(19)が設けられている。床板(19)上には、箱詰めされた植物(15)が載置されている。コンテナ(11)内の底面と床板(19)との間には、床下流路(19a)が形成されている。仕切板(18)の下端とコンテナ(11)内の底面との間には隙間が設けられ、床下流路(19a)に連通している。
【0044】
床板(19)におけるコンテナ(11)の奥側(
図2で右側)には、コンテナ用冷凍装置(10)によって冷却された空気をコンテナ(11)の庫内へ吹き出す吹出口(18b)が形成されている。
【0045】
〈冷媒回路〉
図3に示すように、冷媒回路(20)は、圧縮機(21)と、放熱器(22)と、膨張弁(23)と、蒸発器(24)とを、冷媒配管(20a)によって順に接続することによって構成された閉回路である。
【0046】
放熱器(22)の近傍には、庫外ファンモータ(25a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫外の空気(庫外空気)を庫外収納空間(S1)内へ誘引して放熱器(22)へ送る庫外ファン(25)が設けられている。放熱器(22)では、圧縮機(21)で圧縮されて放熱器(22)の内部を流れる冷媒と庫外ファン(25)によって放熱器(22)に送られた庫外空気との間で熱交換が行われる。
【0047】
蒸発器(24)の近傍には、庫内ファンモータ(26a)によって回転駆動され、コンテナ(11)の庫内空気を吸込口(18a)から誘引して蒸発器(24)へ吹き出す庫内ファン(26)が設けられている。蒸発器(24)では、膨張弁(23)によって減圧されて蒸発器(24)の内部を流れる冷媒と庫内ファン(26)によって蒸発器(24)に送られた庫内空気との間で熱交換が行われる。
【0048】
図1に示すように、圧縮機(21)および放熱器(22)は、庫外収納空間(S1)に収納されている。放熱器(22)の上方位置には、庫外ファン(25)が設けられている。庫外収納空間(S1)において、庫外ファン(25)と隣接する位置には、電装品ボックス(17)が設けられ、該電装品ボックス(17)の下方には、圧縮機(21)を可変速で駆動するための駆動回路が収納されたインバータボックス(29)が設けられている。
【0049】
一方、
図2に示すように、蒸発器(24)は、庫内収納空間(S2)に収納されている。庫内収納空間(S2)における蒸発器(24)の上方位置には、ケーシング(12)の幅方向に並んで2つの庫内ファン(26)が設けられている。
【0050】
〈CA装置〉
図4に示すように、CA装置(60)は、ガス供給装置(30)と、サービス扉ユニット(40)と、センサユニット(50)と、測定ユニット(80)と、濃度制御部(55)と、排気チューブ(85)とを備え、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とを調節するものである。なお、以下の説明で用いる「濃度」は、全て「体積濃度」を指す。
【0051】
[ガス供給装置]
ガス供給装置(30)は、コンテナ(11)の庫内に供給するための低酸素濃度の窒素濃縮空気を生成する装置である。本実施形態では、ガス供給装置(30)は、VPSA(VacuumPressure Swing Adsorption)によって構成されている。また、ガス供給装置(30)は、
図1に示すように、庫外収納空間(S1)の左下のコーナー部に配置されている。
【0052】
図4に示すように、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)と、第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)と、空気中の窒素を吸着するための吸着剤が設けられた第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)と、パージ弁(36)と、第1逆止弁(37)および第2逆止弁(38)と、酸素タンク(39)と、これらの構成部品が収納されたユニットケース(70)とを有している。このようにガス供給装置(30)は、構成部品がユニットケース(70)の内部に収納されることによって1つのユニットとして構成され、コンテナ用冷凍装置(10)に後付けすることができるように構成されている。
【0053】
エアポンプ(31)は、ユニットケース(70)内に設けられ、該ユニットケース(70)に形成された空気流入口(75)を介してユニットケース(70)の外から中へ流入した外気を吸い込んで圧縮する。エアポンプ(31)は、流出通路(42)を介して第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)に圧縮した空気を供給して加圧することで、空気中の窒素を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部(31a)を構成している。ユニットケース(70)の空気流入口(75)には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。
【0054】
さらに、エアポンプ(31)は、吸引通路(43)を介して第1吸着筒(34)または第2吸着筒(35)から空気を吸引して減圧することで、吸着剤に吸着された窒素を脱着させる脱着動作を行う減圧部(31b)を構成している。
【0055】
エアポンプ(31)の加圧部(31a)および減圧部(31b)は、潤滑用のオイルを使用しないオイルレスのポンプで構成されている。
【0056】
エアポンプ(31)の側方には、エアポンプ(31)に向かって送風することでエアポンプ(31)を冷却するための冷却ファン(79)が2つ設けられている。
【0057】
第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)は、吸着動作および脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)を交互に切り換えるためのものである。
【0058】
第1方向制御弁(32)は、加圧部(31a)の吐出口と、減圧部(31b)の吸込口と、第1吸着筒(34)の頂部とに接続される。この第1方向制御弁(32)は、第1吸着筒(34)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態(
図4に示す状態)と、第1吸着筒(34)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態とに切り換わる。
【0059】
第2方向制御弁(33)は、加圧部(31a)の吐出口と、減圧部(31b)の吸込口と、第2吸着筒(35)の頂部とに接続される。この第2方向制御弁(33)は、第2吸着筒(35)を加圧部(31a)に連通させて減圧部(31b)から遮断する状態と、第2吸着筒(35)を減圧部(31b)に連通させて加圧部(31a)から遮断する状態(
図4に示す状態)とに切り換わる。
【0060】
図4に示す状態では、加圧部(31a)が第1吸着筒(34)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第2吸着筒(35)を対象とする脱着動作を行う。また、図示は省略するが、第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)の切換位置が
図4と反対側の場合には、加圧部(31a)が第2吸着筒(35)を対象とする吸着動作を行い、減圧部(31b)が第1吸着筒(34)を対象とする脱着動作を行う。そして、吸着動作および脱着動作の対象となる第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)を交互に切り換えながら上述した工程を繰り返すことにより、連続して安定した窒素濃縮空気の生成を行う。この切り換え動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0061】
第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)は、内部に吸着剤が充填された円筒状の部材であり、起立した姿勢(即ち、それぞれの軸方向が上下方向となる姿勢)で設置されている。第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)から供給された圧縮空気中の窒素を吸着して酸素濃縮空気を生成する。第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、加圧下で窒素を吸着して、減圧下で吸着した窒素を脱着させる性質を有している。
【0062】
第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)に充填された吸着剤は、例えば、窒素分子の分子径(3.0オングストローム)よりも小さく且つ酸素分子の分子径(2.8オングストローム)よりも大きな孔径の細孔を有する多孔体のゼオライトで構成されている。このような孔径のゼオライトで吸着剤を構成すれば、空気中の窒素を吸着することができる。
【0063】
また、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)は、エアポンプ(31)によって減圧されると、吸着剤に吸着されていた窒素が脱着する。その結果、外気よりも窒素を多く含むことで酸素濃度が低くなった窒素濃縮空気が生成される。本実施形態では、例えば、窒素濃度90%、酸素濃度10%の成分比率の窒素濃縮空気が生成される。
【0064】
また、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の下端部(加圧時の流出口、減圧時の流入口)は、パージ弁(36)を介して互いに連通している。第1吸着筒(34)の下端部とパージ弁(36)との間の配管、および第2吸着筒(35)の下端部とパージ弁(36)との間の配管には、オリフィス(62)がそれぞれ取り付けられている。
【0065】
パージ弁(36)は、加圧側の吸着筒(
図4では、第1吸着筒(34))から減圧側の吸着筒(
図4では、第2吸着筒(35))に所定量の酸素濃縮空気を導いて、減圧側の吸着筒(35,34)の吸着剤から窒素を放出させるのを補助するために用いられる。パージ弁(36)の開閉動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0066】
酸素タンク(39)は、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気を一時的に貯留するものである。酸素タンク(39)の流入口は、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の下端部に配管を介して接続されている。第1吸着筒(34)と酸素タンク(39)とを接続する配管には、酸素タンク(39)から第1吸着筒(34)への空気の逆流を防止するための第1逆止弁(37)が設けられている。第2吸着筒(35)と酸素タンク(39)とを接続する配管には、酸素タンク(39)から第2吸着筒(35)への空気の逆流を防止するための第2逆止弁(38)が設けられている。第1逆止弁(37)および第2逆止弁(38)と酸素タンク(39)との間には、オリフィス(61)が設けられている。第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)で生成された酸素濃縮空気は、オリフィス(61)で減圧された後、酸素タンク(39)に一時的に貯留される。
【0067】
また、ガス供給装置(30)は、エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された窒素濃縮空気をコンテナ(11)の庫内に供給するための供給通路(44)と、酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮空気をコンテナ(11)の庫外に排出するための酸素排出通路(45)とを有している。
【0068】
供給通路(44)は、一端がエアポンプ(31)の減圧部(31b)に接続され、他端は、コンテナ(11)の庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吸込側の1次空間(S21)において開口している。供給通路(44)には、逆流防止用の電磁弁(44a)が設けられている。エアポンプ(31)の減圧部(31b)に吸引された窒素濃縮空気は、供給通路(44)を通ってコンテナ(11)の庫内に供給される。
【0069】
酸素排出通路(45)は、一端が酸素タンク(39)の流出口に接続され、他端が庫外空間において開口している。酸素タンク(39)に貯留された酸素濃縮空気は、酸素排出通路(45)を通ってコンテナ(11)の庫外空間に排出される。
【0070】
次に、ガス供給装置(30)の機械的な構造について具体的に説明する。
図5〜
図10はガス供給装置(30)を表す図であり、
図5はその外観形状を示す斜視図、
図6はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す正面図、
図7はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す平面図、
図8はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す左側面図、
図9はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す正面斜視図、
図10はユニットケース(70)の内部の機器配置を実線で示す背面斜視図である。
【0071】
図5および
図6に示すように、ユニットケース(70)は、全体として中空の直方体状に形成されていて、ベース(71)とカバー(72)とを備えている。ベース(71)は、
図5および
図6に示すように、ガス供給装置(30)の内部の機器を支持する有底角筒状の支持台部(71h)と、この支持台部(71h)の左右両端に取り付けられて下方へのびる脚部プレート(71b)と、各脚部プレート(71b)の下端から右方へのびる取付プレート(71c)とを備えている。
【0072】
上記カバー(72)は、4面の側板(72a)と、各側板(72a)の上端を閉塞する天板(72b)とを有している。天板(72b)の一端部(
図6で左側端部)は、外方へ向かうにつれて低くなるように傾斜した傾斜部(72c)となっている。カバー(72)は、その下端部がベース(71)の上端部に取り付けられている。ユニットケース(70)は、支持台部(71h)とカバー(72)とで囲まれた空間が、気密防水構造になった機器収納スペースになっている。
【0073】
傾斜部(72c)の前後方向中央の上端部には、この傾斜部(72c)を厚さ方向に貫通する円形孔である冷却空気流出口(79b)が形成されている。この冷却空気流出口(79b)には、円筒状の接続部(72e)が差し込まれて固定されている。つまり、接続部(72e)は傾斜部(72c)に設けられている。また、接続部(72e)は、天板(72b)を含む平面と左側の側板(72a)を含む平面と傾斜部(72c)とに囲まれたスペース(前後方向に延びる三角柱状のスペース)内に設けられている。
【0074】
図5および
図10に示すように、支持台部(71h)における正面側および背面側の側面には、通気性と防水性を有するメンブレンフィルタ(76)が設けられている。ユニットケース(70)には、エアポンプ(31)が空気を吸い込むための空気流入口(75)が
図4に示すように形成されている。また、ユニットケース(70)には、冷却ファン(79)がユニットケース(70)内に空気を吸い込むための冷却空気流入口(79a)が形成されている。空気流入口(75)は、支持台部(71h)の正面の左端部に形成され、冷却空気流入口(79a)は、支持台部(71h)の正面の中央部および背面の中央部に形成されている(
図9,10等を参照)。上記メンブレンフィルタ(76)は、これらの空気流入口(75)および冷却空気流入口(79a)に装着されている。
【0075】
メンブレンフィルタ(76)は、上述したように通気性を有するため、エアポンプ(31)を起動すると、メンブレンフィルタ(76)を介して空気を吸い込むことが可能である。また、冷却ファン(79)を起動すると、メンブレンフィルタ(76)を介してユニットケース(70)内に空気を吸い込むことが可能である。一方で、メンブレンフィルタ(76)は防水性を有していて水分が通過しないので、ユニットケース(70)内へ水分は侵入しない。なお、上記メンブレンフィルタ(76)には、例えば、日本ゴア株式会社のベントフィルター等を用いることができる。
【0076】
一方、上記ユニットケース(70)の側面には、
図5および
図8に示すように、正面側の2つのメンブレンフィルタ(76)の上方部分を覆うフィルタカバー(72d)が設けられている。これにより、当該メンブレンフィルタ(76)に上方から海水がかかったり、塵が溜まったりするのを防止することができるようになっている。フィルタカバー(72d)は、カバー(72)の正面側の側板(72a)の下端に、外方へ傾斜して下方にのびる形状に形成されている。
【0077】
上述したように、上記ベース(71)とカバー(72)とを互いに組み付けて構成したユニットケース(70)の内部には、ガス供給装置(30)の構成部品を収納する機器収納スペースが形成されている。そして、
図6〜
図10に示すように、ユニットケース(70)内には、エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)と、2つの冷却ファン(79)と、上記第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)と、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)と、上記パージ弁(36)と、上記第1逆止弁(37)および第2逆止弁(38)と、上記酸素タンク(39)等の部品が設けられている。なお、図示は省略するが、ユニットケース(70)内の各部品は、
図4の配管系統図に従って配管接続されている。また、ユニットケース(70)のカバー(72)には、窒素濃縮空気の流出口と酸素ガスの流出口が形成されている。第1および第2吸着筒(34,35)は、生成部を構成している。
【0078】
上記エアポンプ(31)は、
図6,7,9において、ユニットケース(70)内のスペースの左側端部寄りの位置に配置されている。また、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)は、
図6,7,9において、ユニットケース(70)内のスペースの右側端部寄りの位置に配置されていて、縦方向に延びる姿勢で1つの収容ケース(77)に収容されている。エアポンプ(31)は、空気を吸入口から吸い込んで流出口から吐出するポンプ機構部(31P)と、該ポンプ機構部(31P)に連結されて該ポンプ機構部(31P)を駆動するモータ(31M)とから構成されている。上記ポンプ機構部(31P)は、上記傾斜部(72c)の下方に配置されている。上記エアポンプ(31)のモータ(31M)は、支持台部(71h)の下面から下方へ突出する状態でユニットケース(70)に装着されている。上記モータ(31M)は、少なくとも一部が上記ユニットケース(70)の外側に位置するように設ければよい。
【0079】
冷却ファン(79)は、正面側および背面側の2つの冷却空気流入口(79a)の近くに1つずつ設けられている。ここで、各冷却空気流入口(79a)は、対応する冷却ファン(79)の負圧側に位置している。そして、各冷却ファン(79)は、対応する冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内へ流入した空気を、エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)に送風するように構成されている。
【0080】
また、冷却ファン(79)が吹き出した空気の一部は、ユニットケース(70)内に設けられた分流ダクト(84)(
図9および
図10を参照)を通って、ポンプ機構部(31P)の上方の空間に導かれる。この分流ダクト(84)は、扁平な筒状に形成されていて、その一端が冷却ファン(79)の下流側に開口し、その他端がポンプ機構部(31P)の上方の空間に開口している。ポンプ機構部(31P)の上方の空間(すなわち、上記傾斜部(72c)の下方の空間)には、第1および第2方向制御弁(32,33)、パージ弁(36)、測定用開閉弁(82)等の電気部品が配置されており、分流ダクト(84)から流れ出た空気によりこれらの電気部品が冷却される。ここで、傾斜部(72c)の下端(
図6で左側端)の下方には、電気部品は配置されていない。なお、各冷却ファン(79)が吹き出した空気のうち約3分の1を分流ダクト(84)に流入させるのが好ましい。分流ダクト(84)は、分流部材を構成している。
【0081】
エアポンプ(31)のポンプ機構部(31P)は、吸入口が空気流入口(75)に吸入管(41)を介して接続されるとともに、流出口が上記第1方向制御弁(32)および第2方向制御弁(33)を介して第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)に接続されている。そして、エアポンプ(31)は、上述したように、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の一方に空気を供給して加圧することで空気中の窒素成分を吸着剤に吸着させる吸着動作を行う加圧部(31a)と、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の他方から空気を吸引して減圧することで吸着剤に吸着された窒素成分を脱着させる脱着動作を行う減圧部(31b)とを備えている。
【0082】
上記ユニットケース(70)には、エアポンプ(31)に空気を供給するための空気流入口(75)に加えて、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)から窒素濃縮空気を送り出す流出口(図示せず)が設けられている。そして、上記ユニットケース(70)内には、上記第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)を、上記吸着動作の対象と脱着動作の対象に交互に切り換える第1および第2方向制御弁(32,33)が切換部として設けられている。また、ユニットケース(70)内における第1および第2吸着筒(34,35)の右方には、制御基板(78a)を有する電装品モジュール(78)が配置されている。
【0083】
本実施形態のガス供給装置(30)は、以上のように構成しているので、コンテナ用冷凍装置(10)の庫外収納空間(S1)に後付けで装着することができ、その場合には、コンテナ(11)の庫内へ窒素濃縮空気を供給するための配管をガス供給装置(30)とコンテナ(11)との間に接続すればよい。
【0084】
[サービス扉ユニット]
上述したように、サービス扉ユニット(40)は、第1サービス扉(16A)と、コンテナ(11)の庫内空気を外部に排気するための排気部(46)と、外気をコンテナ(11)の庫内に導入するための吸気部(47)とを備えている。排気部(46)は、コンテナ(11)の庫内と庫外とを繋ぐ排気ダクト(46a)と、排気ダクト(46a)に接続された排気弁(46b)とを有している。吸気部(47)は、コンテナ(11)の庫内と庫外とを繋ぐ吸気ダクト(47a)と、吸気ダクト(47a)に接続された吸気弁(47b)とを有している。排気ダクト(46a)および吸気ダクト(47a)は、いずれも庫外壁と庫内壁と断熱材とによって構成された第1サービス扉(16A)の内部に形成されている。
【0085】
[センサユニット]
センサユニット(50)は、庫内収納空間(S2)における庫内ファン(26)の吹出側の2次空間(S22)に設けられている。センサユニット(50)は、酸素センサ(51)と、二酸化炭素センサ(52)と、固定プレート(53)と、メンブレンフィルタ(54)と、連絡管(56)と、排気管(57)とを有している。
【0086】
酸素センサ(51)は、酸素センサボックス(51a)を有していて、この酸素センサボックス(51a)内の気体中の酸素濃度を測定する。酸素センサボックス(51a)は、固定プレート(53)に固定されている。酸素センサボックス(51a)の外面には、開口が形成されており、この開口には、メンブレンフィルタ(54)が取り付けられている。また、酸素センサボックス(51a)には、後述する測定ユニット(80)の分岐管(81)および連絡管(56)が連結されている。
【0087】
二酸化炭素センサ(52)は、二酸化炭素センサボックス(52a)を有していて、この二酸化炭素センサボックス(52a)内の気体中の二酸化炭素濃度を測定する。二酸化炭素センサボックス(52a)には、連絡管(56)および排気管(57)が連結されている。
【0088】
メンブレンフィルタ(54)は、通気性と防水性を有するフィルタであり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる一方、2次空間(S22)から酸素センサボックス(51a)の内部空間へ気体が通過する際に、該気体中の水分の内部空間への侵入を阻止する。
【0089】
連絡管(56)は、上述のように、酸素センサボックス(51a)と二酸化炭素センサボックス(52a)とに連結され、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とを連通させている。
【0090】
排気管(57)は、上述のように、一端が、二酸化炭素センサボックス(52a)に連結され、他端が、庫内ファン(26)の吸込口の近傍において開口している。つまり、排気管(57)は、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間と庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)とを連通させている。
【0091】
このように、酸素センサボックス(51a)の内部空間と二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間とが連絡管(56)を介して連通し、酸素センサボックス(51a)の内部空間は、メンブレンフィルタ(54)を介して庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と連通し、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間は、排気管(57)を介して庫内収納空間(S2)の1次空間(S21)と連通している。つまり、庫内収納空間(S2)の2次空間(S22)と1次空間(S21)とは、メンブレンフィルタ(54)、酸素センサボックス(51a)の内部空間、連絡管(56)、二酸化炭素センサボックス(52a)の内部空間、および排気管(57)を介して連通している。そして、庫内ファン(26)を運転すると、1次空間(S21)の圧力が2次空間(S22)の圧力よりも低くなるので、2次空間(S22)の庫内空気が、酸素センサ(51)と二酸化炭素センサ(52)をこの順に通過する。
【0092】
[測定ユニット]
測定ユニット(80)は、分岐管(81)と測定用開閉弁(82)とを備え、ガス供給装置(30)において生成されて供給通路(44)を流れる窒素濃縮空気の一部を分岐させて酸素センサ(51)に導くように構成されている。
【0093】
具体的には、分岐管(81)は、一端が供給通路(44)に接続され、他端が酸素センサ(51)の酸素センサボックス(51a)に連結されている。このような構成により、分岐管(81)は、供給通路(44)と酸素センサボックス(51a)の内部空間とを連通させる。なお、本実施形態では、分岐管(81)は、ユニットケース(70)内において供給通路(44)から分岐し、ユニットケース(70)の内外に亘るように設けられている。
【0094】
測定用開閉弁(82)は、分岐管(81)のユニットケース(70)内の部分に設けられ、分岐管(81)を開閉する。測定用開閉弁(82)の開閉動作は、濃度制御部(55)によって制御される。
【0095】
[濃度制御部]
濃度制御部(55)は、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度を所望の濃度にする濃度調節運転を実行するように構成されている。具体的には、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)および二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度が所望の目標濃度(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)になるように、ガス供給装置(30)、吸気部(47)および排気部(46)の動作を制御する。
【0096】
[排気チューブ]
排気チューブ(85)は、ユニットケース(70)と庫外ファン(25)の負圧側を接続するものである。
図11に示すように、排気チューブ(85)は、細長い可撓性の管であって、入口端が接続部(72e)に外嵌されて接続されている。つまり、排気チューブ(85)の入口端は、冷却空気流出口(79b)に接続されている。そして、排気チューブ(85)は、ユニットケース(70)の上方に延びた後、右方へ向かって(すなわち、入口側から出口側に向かうにつれて)徐々に下降するように延びている。つまり、排気チューブ(85)は、その中間位置から出口端に亘る部分が、当該出口端に向かって下降している。排気チューブ(85)の出口端は、庫外ファン(25)の負圧側(本実施形態では、庫外ファン(25)の背面側)に下方に向かって開口している。排気チューブ(85)は、排気通路を構成している。また、排気チューブ(85)のうち、上記の右方へ向かって徐々に下降するように延びる部分は、海水等が排気チューブ(85)を通ってユニットケース(70)へ侵入するのを防止するための下降部(85a)を構成している。
【0097】
ところで、
図11に示すように、ガス供給装置(30)のユニットケース(70)は、庫外収納空間(S1)において庫外ファン(25)から離れて配置されている。このため、庫外ファン(25)の稼働中には、庫外ファン(25)の負圧側の圧力が、ユニットケース(70)が配置された場所の圧力よりも低くなる。つまり、排気チューブ(85)の出口端が開口している場所の圧力が、冷却空気流入口(79a)がある場所の圧力よりも低くなる。このため、庫外ファン(25)の稼働中には、かかる圧力差によって、庫外空気が、冷却空気流入口(79a)を介してユニットケース(70)内に流入し、エアポンプ(31)等の周囲を流れた後に冷却空気流出口(79b)を通って排気チューブ(85)の出口端から庫外ファン(25)の負圧側へ流出する。つまり、ユニットケース(70)内の空気は、庫外ファン(25)により冷却空気流出口(79b)から吸い出される。
【0098】
−運転動作−
〈冷却運転〉
本実施形態では、
図3に示す温度制御部(100)によって、コンテナ(11)の庫内空気を冷却する冷却運転が実行される。
【0099】
冷却運転では、温度制御部(100)によって、圧縮機(21)、膨張弁(23)、庫外ファン(25)および庫内ファン(26)の動作が、図示しない温度センサの測定結果に基づいて庫内空気の温度が所望の目標温度になるように制御される。このとき、冷媒回路(20)では、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。そして、庫内ファン(26)によって蒸発器(24)へ導かれたコンテナ(11)の庫内空気が、蒸発器(24)の内部を流れる冷媒によって冷却される。蒸発器(24)において冷却された庫内空気は、床下流路(19a)を通って吹出口(18b)から再びコンテナ(11)の庫内へ吹き出される。これにより、コンテナ(11)の庫内空気が冷却される。
【0100】
〈濃度調節運転〉
また、本実施形態では、
図4に示す濃度制御部(55)によって、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度を、所定の目標濃度(例えば、酸素濃度5%、二酸化炭素濃度5%)に調節する濃度調節運転が実行される。濃度調節運転では、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)および二酸化炭素センサ(52)の測定結果に基づいて、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度および二酸化炭素濃度が所望の目標濃度になるように、ガス供給装置(30)、吸気部(47)、排気部(46)の動作を制御する。また、濃度制御部(55)は、測定用開閉弁(82)を閉状態に制御する。これにより、酸素センサ(51)および二酸化炭素センサ(52)には、庫内ファン(26)によって庫内空気が供給され、庫内空気の酸素濃度と二酸化炭素濃度とが測定される。以下、酸素濃度の調節動作と二酸化炭素濃度の調節動作とについて詳述する。
【0101】
《酸素濃度の調節動作》
まず、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度(酸素濃度10%)よりも高いか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度よりも高いと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を開始する。これにより、ガス供給装置(30)において、窒素濃縮空気(窒素濃度90%、酸素濃度10%)が生成され、生成された窒素濃縮空気がコンテナ(11)の庫内に供給される。つまり、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を下げる操作が行われる。
【0102】
その後、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度(酸素濃度10%)以下に下がったか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が窒素濃縮空気の酸素濃度以下に下がったと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を停止する。つまり、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を停止する。
【0103】
なお、コンテナ(11)の庫内に収納された植物(15)の呼吸作用により、コンテナ(11)の庫内では、常時、植物(15)によって酸素が取り込まれて二酸化炭素が放出される。そのため、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を停止しても、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度は低下し続ける。
【0104】
次に、濃度制御部(55)は、酸素センサ(51)で測定された庫内空気の酸素濃度が目標濃度(酸素濃度5%)よりも低くなったか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の酸素濃度が目標濃度よりも低くなったと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を再開するか、吸気部(47)の吸気弁(47b)を開いて吸気ダクト(47a)を介して窒素濃縮空気よりも酸素濃度の高い外気をコンテナ(11)の庫内に取り込む。つまり、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を再開する、または外気をコンテナ(11)の庫内に取り込む吸気動作を行うことにより、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度を上昇させる操作を行う。なお、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作と吸気動作とを同時に行うようにしてもよい。また、窒素濃縮空気の供給動作または吸気動作と共に、排気部(46)の排気弁(46b)を開いて排気ダクト(46a)を介して庫内空気を庫外へ排出する排気動作を行うようにしてもよい。
【0105】
その後、上述した動作を最初から繰り返す。このような動作により、コンテナ(11)の庫内空気の酸素濃度が目標濃度の5%とガス供給装置(30)によって生成される窒素濃縮空気の酸素濃度である10%との間の濃度に調節される。
【0106】
なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合について説明するために酸素濃度の目標濃度を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標濃度を3%とするのが好ましい。
【0107】
《二酸化炭素濃度の調節動作》
まず、濃度制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が所定の目標濃度(二酸化炭素濃度5%)よりも高いか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度よりも高いと判定すると、ガス供給装置(30)の運転を開始して窒素濃縮空気(窒素濃度90%、酸素濃度10%)をコンテナ(11)の庫内に供給する、または排気部(46)の排気弁(46b)を開いて排気ダクト(46a)を介して庫内空気を庫外へ排出する。つまり、コンテナ(11)の庫内への窒素濃縮空気の供給動作を開始する、または庫内空気をコンテナ(11)の庫外へ排出する排気動作を行うことにより、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度を下げる操作を行う。このとき、窒素濃縮空気の供給動作と排気動作とを同時に行うようにしてもよい。また、窒素濃縮空気の供給動作または排気動作と共に、吸気部(47)の吸気弁(47b)を開いて吸気ダクト(47a)を介して庫内空気よりも二酸化炭素濃度の低い外気(二酸化炭素濃度0.03%)を庫内へ取り込む吸気動作を行うようにしてもよい。
【0108】
次に、濃度制御部(55)は、二酸化炭素センサ(52)で測定された庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度以下に下がったか否かを判定する。そして、濃度制御部(55)は、庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度以下に下がったと判定すると、行っていたガス供給装置(30)の運転または排気動作を停止する。
【0109】
その後、上述した動作を最初から繰り返す。このような動作により、コンテナ(11)の庫内空気の二酸化炭素濃度が目標濃度の5%に調節される。
【0110】
なお、本実施形態では、植物(15)がバナナである場合について説明するために二酸化炭素濃度の目標濃度を5%としているが、植物(15)がアボカドである場合には、目標濃度を10%とするのが好ましい。
【0111】
−実施形態の効果−
本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)では、冷却空気流出口(79b)に接続された排気チューブ(85)の出口端が庫外ファン(25)の負圧側に開口している。このため、ユニットケース(70)内の空気が排気チューブ(85)を介して冷却空気流出口(79b)から吸い出される。このため、冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内を流れて冷却空気流出口(79b)へ向かう空気の流れが作り出される。そして、ポンプ機構部(31P)で発生した熱は、当該空気流れに乗って、冷却空気流出口(79b)からユニットケース(70)外へ排出される。かかる空気流れは、放熱器(22)へ庫外空気を供給するための庫外ファン(25)によって作り出されるので、熱対策のために排気チューブ(85)を設ける必要はあるものの、ファン等の機器を新たに設けなくてもよい。このため、ガス供給装置(30)の熱対策を低コストに実現することができる。
【0112】
また、接続部(72e)は、天板(72b)を含む平面と左側の側板(72a)を含む平面と傾斜部(72c)とに囲まれたスペース内に設けられている。このように、傾斜部(72c)の近傍に存在するスペースを活用して、排気チューブ(85)を接続するための接続部(72e)を設けることができるので、ガス供給装置(30)の省スペース化を図ることができる。
【0113】
この点について詳しく説明する。
図11に示すように、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)では、ガス供給装置(30)が、庫外収納空間(S1)の左下の隅角部に設置される。このため、ユニットケース(70)の左側の側板(72a)に接続部(72e)を設けると、接続部(72e)に排気チューブ(85)を接続できない。また、天板(72b)のうち水平な部分に接続部(72e)を設けると、接続部(72e)が天板(72b)から突出することとなり、ユニットケース(70)の高さが高くなってしまう。これに対し、本実施形態のガス供給装置(30)では、ユニットケース(70)の傾斜部(72c)に接続部(72e)を設けている。このため、ユニットケース(70)の高さを高くせずに接続部(72e)を設置することができ、また、傾斜部(72c)の上側に形成されたスペースを利用して排気チューブ(85)を接続部(72e)に接続することができる。したがって、本実施形態によれば、ガス供給装置(30)の高さを抑えつつ、このガス供給装置(30)を庫外収納空間(S1)の左側面のすぐ近くに配置することができ、比較的狭い庫外収納空間(S1)にガス供給装置(30)を確実に設置することができる。
【0114】
また、冷却ファン(79)によってポンプ機構部(31P)を冷却できるので、より効果的な熱対策を実現することができる。
【0115】
また、冷却空気流入口(79a)が冷却ファン(79)の負圧側に位置しているので、冷却ファン(79)により、冷却空気流入口(79a)からユニットケース(70)内を流れて冷却空気流出口(79b)へ向かう空気の流れをより強めて、ポンプ機構部(31P)からユニットケース(70)を流れる空気への伝熱を促進できる。このため、より効果的な熱対策を実現することができる。
【0116】
また、傾斜部(72c)から突出した接続部(72e)に排気チューブ(85)の入口端が外嵌されている。このため、傾斜部(72c)の外面に沿って海水等が流れることがあっても、その海水等は、排気チューブ(85)と接続部(72e)との間の隙間からユニットケース(70)内に侵入するおそれがなく、ユニットケース(70)内の電気機器等に悪影響が及ぶのを防止することができる。
【0117】
また、排気チューブ(85)は、その出口端へ向かって徐々に下降するように延びる下降部(85a)を有している。また、排気チューブ(85)の出口端は下方に向かって開口している。このため、排気チューブ(85)の出口端から海水等が当該排気チューブ(85)内に入ったとしても、その海水等は、重力に従って下降部(85a)内を流れて排気チューブ(85)の出口端から排出される。したがって、排気チューブ(85)を介してユニットケース(70)内に海水等が侵入し、ユニットケース(70)内の電気機器等に悪影響が及ぶのを防止することができる。
【0118】
また、外気温が低いときには、ユニットケース(70)の内面で結露が発生することがある。ここで、傾斜部(72c)の内面で結露が発生した場合には、その結露水は傾斜部(72c)に沿ってその下端まで流れる。また、傾斜部(72c)の下端の下方には電気部品は配置されていない。このため、傾斜部(72c)の下方に配置された第1および第2方向制御弁(32,33)等の電気部品に結露水が垂れることがなく、結露水による電気部品の故障を防止することができる。
【0119】
また、傾斜部(72c)の下端は、カバー(72)の側板(72a)に連続している。このため、傾斜部(72c)の内面で生じた結露水は、当該傾斜部(72c)に沿って流れた後、当該側板(72a)に沿って流れ落ちる。このため、傾斜部(72c)から結露水が垂れてユニットケース(70)の底面等で跳ねるおそれがなく、結露水による電気部品の故障をより確実に防止することができる。
【0120】
また、空気を圧縮する際に発熱するポンプ機構部(31P)を傾斜部(72c)の下方に配置しているので、ポンプ機構部(31P)の発熱により傾斜部(72c)付近の空気が温められ、傾斜部(72c)において結露が発生しにくくなる。このため、傾斜部(72c)の下方にある電気部品が結露水によって故障するのをより確実に防止することができる。
【0121】
また、冷却ファン(79)が吹き出した空気の一部は、分流ダクト(84)を通って、第1および第2方向制御弁(32,33)等の電気部品が配置された空間に導かれる。つまり、冷却ファン(79)が吹き出した空気を利用して、ポンプ機構部(31P)に加えて当該電気部品を冷却することができる。このため、当該電気部品の熱対策を低コストに行うことができる。
【0122】
−実施形態の変形例1−
実施形態の変形例1について説明する。本変形例のコンテナ用冷凍装置(10)では、ガス供給装置(30)のユニットケース(70)内に、電装品モジュール(78)に高温の空気が到達するのを防止するための防熱パッキン(83)が設けられている。防熱パッキン(83)は、防熱部を構成している。
【0123】
図12、
図13および
図14に示すように、防熱パッキン(83)は、弾性材料を細長い直方体状に形成したものであって、各冷却ファン(79)と電装品モジュール(78)との間に1つずつ設けられている。防熱パッキン(83)は、冷却空気流入口(79a)から冷却ファン(79)に向かう空気の流れを妨げない一方、ポンプ機構部(31P)側から電装品モジュール(78)側へ向かう空気の流れを妨げる位置に設けられている。具体的に、防熱パッキン(83)は、第1および第2吸着筒(34,35)を収容する収容ケース(77)の側面と支持台部(71h)の内面との間に、縦方向に延びる姿勢で固定されている。また、防熱パッキン(83)は、下端面が支持台部(71h)の底面に当接し、上端面が支持台部(71h)の上端と略同じ高さに位置している。つまり、防熱パッキン(83)は、収容ケース(77)の正面側と支持台部(71h)との間の空間、および収容ケース(77)の背面側と支持台部(71h)との間の空間をそれぞれ塞いでいる。
【0124】
ここで、冷却ファン(79)からポンプ機構部(31P)に送られた空気は、大部分が、ポンプ機構部(31P)を冷却した後そのまま冷却空気流出口(79b)からユニットケース(70)外へ流出する一方、一部が、ポンプ機構部(31P)を冷却した後に冷却ファン(79)側へ逆流するおそれがある。この逆流した空気は、ポンプ機構部(31P)から生じた熱を吸収しているので比較的高温になっている。このため、逆流した空気が電装品モジュール(78)まで到達すると、制御基板(78a)等が加熱されて動作不良や故障が生じるおそれがある。
【0125】
これに対し、本変形例では、上述のとおり、ポンプ機構部(31P)側から電装品モジュール(78)側へ向かう空気の流れが防熱パッキン(83)により妨げられる。このため、ポンプ機構部(31P)の熱を吸収した後に電装品モジュール(78)へ向かう空気の流れを、防熱パッキン(83)によって妨げることができる。したがって、防熱パッキン(83)を設けることにより、ポンプ機構部(31P)の発熱に起因する制御基板(78a)等の動作不良や故障を防止することができる。
【0126】
なお、本変形例の防熱パッキン(83)は、上端面が支持台部(71h)の上端と略同じ高さに位置しているが、これに限られるものではない。例えば、防熱パッキン(83)は、下端面が支持台部(71h)の底面に当接する一方、上端面がカバー(72)の天板(72b)に当接していてもよい。この場合、ユニットケース(70)の内部空間の高さ方向全体に亘って防熱パッキン(83)が設けられるので、ポンプ機構部(31P)側から電装品モジュール(78)側に空気が流れるのをより一層抑制することができる。
【0127】
−実施形態の変形例2−
実施形態の変形例2について説明する。本変形例のコンテナ用冷凍装置(10)では、ガス供給装置(30)のユニットケース(70)の傾斜部(72c)の形状が上記実施形態のものと異なっている。
【0128】
図15に示すように、天板(72b)の一端部(同図で左側端部)は、外方(同図で左方)へ向かって丸みを帯びて低くなるように傾斜した傾斜部(72c)となっている。この傾斜部(72c)の下方の空間には、第1および第2方向制御弁(32,33)、パージ弁(36)、測定用開閉弁(82)等の電気部品が配置されている。
【0129】
本変形例のコンテナ用冷凍装置(10)においても、傾斜部(72c)で生じた結露水は、下方へ垂れることなく傾斜部(72c)の内面に沿って流れた後、傾斜部(72c)の下端に連続する側板(72a)に沿って流れ落ちる。
【0130】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、排気チューブ(85)の出口端は、庫外ファン(25)の背面側に開口している。しかし、これに限らず、ユニットケース(70)内の空気が庫外ファン(25)によって吸い出される限り、庫外ファン(25)からある程度離れた位置に排気チューブ(85)の出口端が開口していてもよい。例えば、本実施形態のコンテナ用冷凍装置(10)では、庫外収納空間(S1)における放熱器(22)の下流に庫外ファン(25)が配置されているため、排気チューブ(85)の出口端は、放熱器(22)と庫外ファン(25)との間の空間に開口していればよい。
【0131】
また、上記実施形態では、分流ダクト(84)が分流部材を構成しているが、これに限らず、分流部材は、冷却ファン(79)が吹き出した空気の一部を、第1および第2方向制御弁(32,33)等の電気部品が設けられた空間に導くものであればよい。例えば、板状の部材が分流部材を構成していてもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、直方体状の弾性材料からなる防熱パッキン(83)が防熱部を構成しているが、これに限らず、防熱部は、ポンプ機構部(31P)を冷却して温まった空気が電装品モジュール(78)側へ流れ込むのを防止するものであれば、その他の任意の形状および材質のものであってもよい。また、防熱部は、ユニットケース(70)内に設けられた構成部品のいずれかに一体的に形成されたものであってもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、エアポンプ(31)が加圧部(31a)と減圧部(31b)とを有する構成とし、エアポンプ(31)の減圧部(31b)によって窒素濃縮空気を吸引しているが、例えば、窒素濃縮空気を吸い込むための吸引ポンプを別途設けるようにしてもよい。
【0134】
また、上記実施形態では、第1吸着筒(34)および第2吸着筒(35)の1本の吸着筒を用いて窒素の吸着および脱着を行うようにしたが、吸着筒の本数は特に限定するものではない。例えば、6本の吸着筒を用いた構成であってもよい。
【解決手段】コンテナ用冷凍装置(10)は、放熱器(22)へ庫外空気を供給するための庫外ファン(25)と、外気よりも窒素濃度の高い窒素濃縮空気を生成して庫内へ供給するガス供給装置(30)とを備えている。ガス供給装置(30)は、冷却空気流入口(79a)および冷却空気流出口(79b)が形成されたユニットケース(70)と、ユニットケース(70)に収納されて外気を吸入して圧縮するポンプ機構部(31P)とを有している。そして、コンテナ用冷凍装置(10)は、庫外ファン(25)によってユニットケース(70)内の空気が冷却空気流出口(79b)から吸い出されるようにユニットケース(70)と庫外ファン(25)の負圧側を接続する排気通路(85)を備えている。