特許第5862745号(P5862745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862745
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】含フッ素重合体および処理剤
(51)【国際特許分類】
   C08F 220/22 20060101AFI20160202BHJP
   C09K 3/18 20060101ALI20160202BHJP
   C08F 220/38 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C08F220/22
   C09K3/18 102
   C08F220/38
【請求項の数】15
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-215288(P2014-215288)
(22)【出願日】2014年10月22日
(65)【公開番号】特開2015-108131(P2015-108131A)
(43)【公開日】2015年6月11日
【審査請求日】2014年10月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-220384(P2013-220384)
(32)【優先日】2013年10月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100068526
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 恭生
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100156085
【弁理士】
【氏名又は名称】新免 勝利
(72)【発明者】
【氏名】川部 留美
(72)【発明者】
【氏名】原 良輔
(72)【発明者】
【氏名】澤木 恭平
(72)【発明者】
【氏名】山本 育男
【審査官】 井津 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−026614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00−19/44
C08F 6/00−246/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)α位が塩素原子で置換されているアクリレートエステル単量体である、フルオロアルキル基を有する含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位、
(b)アルキル基の炭素数が6〜13であるアルキルアクリレートである非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位、および
(c)環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位
を有してなる含フッ素重合体。
【請求項2】
含フッ素単量体(a)が、式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (I)
[式中、Xは、塩素原子であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、
-CH2CH(OZ1)CH2-(Ph-O)p-基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基、Phはフェニレン基、pは0または1である。)、-(CH2)n-Ph-O-基(但し、Phはフェニレン基、nは0〜10である。)、-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である)、
Rfは、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物である請求項1に記載の含フッ素重合体。
【請求項3】
含フッ素単量体(a)において、フルオロアルキル基(Rf)の炭素数が1〜6である請求項1または2に記載の含フッ素重合体。
【請求項4】
アルキルアクリレート(b)が、式:
CH=CACOOA
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、C2n+1(n=6〜13)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアルキルアクリレートである請求項1〜3のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項5】
アルキルアクリレート単量体(b)が、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレートおよびトリデシル(メタ)アクリレートからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項6】
環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体(c)が、式:
CH=CA−C(=O)−O−Q
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Qは、環状炭化水素基である。]
で示される化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項7】
含フッ素重合体が、さらに、
(d)ハロゲン化オレフィン単量体から誘導された繰り返し単位、および
(e)単量体(b)〜(d)以外の非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位
からなる群から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を有する請求項1〜6のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項8】
ハロゲン化オレフィン単量体(d)が、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンである請求項7に記載の含フッ素重合体。
【請求項9】
含フッ素単量体(a)100重量部に対して、アクリレートエステル単量体(b)の量が5〜300重量部であり、非フッ素アクリレート単量体(c)の量が0.1〜800重量部である請求項1〜8のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項10】
含フッ素単量体(a)100重量部に対して、ハロゲン化オレンフィン(d)の量が300重量部以下であり、非フッ素単量体(e)の量が1000重量部以下である請求項7〜9のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の含フッ素重合体を必須成分とする表面処理剤。
【請求項12】
表面処理剤が、撥水撥油剤、防汚剤または汚れ脱離剤である請求項11に記載の表面処理剤。
【請求項13】
水性媒体をも含有する請求項11または12に記載の表面処理剤。
【請求項14】
請求項11に記載の表面処理剤で処理することからなる、基材を処理する方法。
【請求項15】
請求項11に記載の表面処理剤を基材に適用することを含む、処理された基材の製法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素重合体、および該含フッ素重合体を含んでなる処理剤に関する。本発明の処理剤は、撥水撥油性、特に撥水撥油性の耐久性に優れている。
【背景技術】
【0002】
従来、含フッ素重合体を使用する種々の表面処理剤が、例えば、国際公開2002/083809公報(特許文献1)、国際公開2009/008512公報(特許文献2)および国際公開2004/096939公報(特許文献3)において提案されている。特許文献1および特許文献2は、ステアリルアクリレートなどの炭素数が15以上のアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体を使用する含フッ素重合体を含んでなる撥水撥油剤組成物を開示している。
しかしながら、特許文献1および特許文献2の撥水撥油剤組成物は、撥水撥油性が不充分であり、特に、撥水撥油性の耐久性が不充分であった。
【0003】
また、従来の一般的な水性分散液を希釈して調合される撥水撥油剤加工浴では、処理される生地が入るときに受ける機械的衝撃により分散液が壊れ、エマルション粒子が凝集、沈降が起こったりして、撥ロールにポリマーが付着して生地汚れとなる、ロール汚れとなるなどのトラブルがしばしば発生していた。ロールにポリマーが付着する問題については、ポリマーの粘着性が高いほど問題が起こりやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2002/083809公報
【特許文献2】国際公開2009/008512公報
【特許文献3】国際公開2004/096939公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、繊維織物等の基材に対して、優れた撥水性、撥油性、防汚性および汚れ脱離性を付与する処理剤(特に、表面処理剤)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために、以下の発明に至った。すなわち、本発明は、
(a)α位が一価の有機基またはハロゲン原子で置換されているアクリレートエステル単量体である、フルオロアルキル基を有する含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位、
(b)アルキル基の炭素数が6〜13であるアルキルアクリレートである非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位、および
(c)環状炭化水素基を有する非フッ素(メタ)アクリレート単量体から誘導された繰り返し単位を有してなる含フッ素重合体に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた撥水性、撥油性、防汚性および汚れ脱離性、特に、撥水撥油性の優れた耐久性が得られる。本発明の処理剤は、処理剤における含フッ素重合体が低濃度であっても、優れた性能(例えば、撥水撥油性)を与える。本発明の処理剤は、処理剤の優れた安定性、例えば加工安定性および他の薬剤との併用安定性を有しており、過酷な条件での撥水性、例えば強撥水性を与える。処理された基材は、ラビングされても高い性能(例えば、撥水撥油性)を有しており、高い耐摩耗性を有する。さらに、本発明の処理剤は、加工処理において、ロールへのポリマー付着性防止に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、含フッ素重合体の繰り返し単位を構成する単量体として、含フッ素単量体(a)、非フッ素アルキルアクリレート単量体(b)および環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体(c)を使用する。
必要により、含フッ素重合体は、単量体(a)、(b)および(c)以外の他の単量体(特に、非フッ素単量体)から誘導された繰り返し単位、例えば、
(d)ハロゲン化オレフィン単量体から誘導された繰り返し単位、および/または
(e)単量体(b)、(c)および(d)以外の非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位
を有してよい。
非フッ素単量体(e)の例は、(e1)非フッ素架橋性単量体である。
【0009】
本発明において、含フッ素重合体の繰り返し単位を構成する単量体の組み合わせは、例えば、次のとおりである。
(1)単量体(a)+単量体(b)+単量体(c)
(2)単量体(a)+単量体(b)+単量体(c)+単量体(d)
(3)単量体(a)+単量体(b)+単量体(c)+単量体(e)
(例えば、単量体(a)+単量体(b)+単量体(c)+単量体(e1))
(4)単量体(a)+単量体(b)+単量体(c)+単量体(d)+単量体(e)
(例えば、単量体(a)+単量体(b)+単量体(c)+単量体(d)+単量体(e1))
含フッ素重合体の繰り返し単位を構成する単量体の組み合わせは、組み合わせ(1)、(2)または(3)であってもよいが、組み合わせ(4)であることが特に好ましい。
【0010】
本発明の含フッ素重合体は、撥水撥油剤、防汚剤および汚れ脱離剤の有効成分として使用できる。
【0011】
(a)含フッ素単量体
含フッ素単量体は、α位が一価の有機基またはハロゲン原子で置換されているアクリレートエステル単量体またはアクリルアミド単量体である。含フッ素単量体のα位の一価の有機基は、メチル基であってもよいが、メチル基でないことが好ましい。
含フッ素単量体は式:
CH2=C(-X)-C(=O)-Y-Z-Rf
[式中、Xは、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Y は、-O- または -NH-であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される含フッ素単量体である。
Zは、例えば、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状脂肪族基(特に、アルキレン基)、例えば、式−(CH−(式中、xは1〜10である。)で示される基、あるいは、式−R(R)N−SO−または式−R(R)N−CO−で示される基(式中、Rは、炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜10の直鎖アルキレン基または分枝状アルキレン基である。)、あるいは、式−CHCH(OR)CH−(Ar−O)p−(式中、Rは、水素原子、または、炭素数1〜10のアシル基(例えば、ホルミルまたはアセチルなど)、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、pは0または1を表す。)で示される基、あるいは、式−CH−Ar−(O)−(式中、Arは、置換基を必要により有するアリーレン基、qは0または1である。)で示される基、-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基 または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)であってよい。
Xの代表的な具体例は、Cl、Br、I、F、CN、CFである。
【0012】
含フッ素単量体(a)は、式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (I)
[式中、Xは、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、
-CH2CH(OZ1)CH2-(Ph-O)p-基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基、Phはフェニレン基、pは0または1である。)、-(CH2)n-Ph-O-基(但し、Phはフェニレン基、nは0〜10である。)、-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10である)、
Rfは、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示されるアクリレートエステルまたはアクリルアミドであることが好ましい。
【0013】
含フッ素単量体(a)は、α位がハロゲン原子などで置換されているアクリレートである。Xは、塩素原子であることが好ましい。
【0014】
上記式(1)において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜6、特別には4〜6であることが好ましい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−C817等である。
【0015】
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)、
-CH2CH(OZ1)CH2-(Ph-O)p-基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基、Phはフェニレン基、pは0または1である。)、-(CH2)n-Ph-O-基(但し、Phはフェニレン基、nは0〜10である。)、-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)であることが好ましい。脂肪族基は、アルキレン基(特に炭素数は1〜4、例えば1または2である。)であることが好ましい。芳香族基または環状脂肪族基は、置換または非置換であってよい。S 基または SO2基はRf基に直接に結合していてよい。
【0016】
含フッ素単量体(a)の具体例としては、例えば以下のものを例示できるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−Rf
【0018】
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0019】
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
【0020】
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−NH−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−F)−C(=O)−NH−(CH2)3−Rf
【0021】
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−Cl)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2H)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
【0022】
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CN)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−S−(CH2)2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)3−SO2−Rf
CH2=C(−CF2CF3)−C(=O)−O−(CH2)2−SO2−(CH2)2−Rf
[上記式中、Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
【0023】
(b)アルキルアクリレート単量体
アルキルアクリレート単量体(すなわち、非フッ素アルキルアクリレート単量体)は、アルキル基の炭素数が6〜13であるアルキルアクリレートエステル(即ち、C6-13アルキル含有アルキルアクリレート)である。アルキルアクリレート単量体は、フッ素原子を含まない非フッ素単量体である。
アルキルアクリレート単量体において、α位が水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であってよい。α位は、水素原子またはメチル基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0024】
アルキルアクリレート単量体は、式:
CH=CACOOA
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、C2n+1(n=6〜13)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアルキルアクリレートエステルであることが好ましい。
アルキル基の炭素数は、6〜13、好ましくは8〜12、例えば、10〜12である。アルキル基の炭素数を上記範囲にすることにより、処理剤における含フッ素重合体が低濃度であっても、優れた撥水性能、繰り返し洗濯による耐久性を与えることができる。
アルキルアクリレート単量体は、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレートであることが好ましい。ラウリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
本発明の含フッ素重合体は、Aが炭素数15以上のアルキル基(例えば、ステアリル基)である上記式(CH=CACOOA)の単量体から誘導された繰り返し単位を有しないことが好ましい。
【0025】
(c)環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体
環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体(c)は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素アクリレート単量体(c)は、架橋性官能基を有さない。非フッ素アクリレート単量体(c)は、架橋性単量体(e1)とは異なり、非架橋性である。
【0026】
好ましい非フッ素アクリレート単量体(c)は、式:
CH=CA−C(=O)−O−Q
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Qは、環状炭化水素基である。]
で示される化合物であってよい。
【0027】
環状炭化水素基の炭素数は、炭素数4〜30、好ましくは4〜20である。環状炭化水素基の例は、炭素数4〜30、好ましくは4〜20、特に5〜12の環状脂肪族基、炭素数6〜30、好ましくは6〜20の芳香族炭化水素基、炭素数7〜30、好ましくは7〜20の芳香脂肪族炭化水素基である。
環状炭化水素基としては、飽和または不飽和である、単環基、多環基、橋かけ環基などが挙げられる。環状炭化水素基は、飽和であることが好ましい。
環状炭化水素基の炭素数は、15以下、例えば10以下であることが特に好ましい。環状炭化水素基の炭素数を上記範囲にすることにより、強撥水性を与えることができる。
【0028】
環状炭化水素基の具体例は、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基である。アクリレート基は、アクリレート基またはメタアクリレート基であることが好ましいが、メタクリレート基が特に好ましい。環状炭化水素基を有する単量体の具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロペンタニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
(d)ハロゲン化オレフィン単量体
ハロゲン化オレフィン単量体は、フッ素原子を含まない非フッ素単量体である。ハロゲン化オレフィン単量体は、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20、例えば2〜5のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体は、炭素数2〜20の塩素化オレフィン、特に1〜5の塩素原子を有する炭素数2〜5のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体の好ましい具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。撥水性または耐水性(特に、撥水性または耐水性の耐久性)が高くなるので、塩化ビニルが好ましい。
【0030】
(e)非フッ素単量体
非フッ素単量体(e)は、アルキルアクリレート単量体(b)、環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体(c)およびハロゲン化オレフィン単量体(d)以外の非フッ素単量体である。非フッ素単量体(e)は、非フッ素架橋性単量体(e1)、または他の単量体(e2)であってよい。
【0031】
(e1)非フッ素架橋性単量体
本発明の含フッ素重合体は、非フッ素架橋性単量体(e1)から誘導された繰り返し単位を有していてよい。非フッ素架橋性単量体(e1)は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素架橋性単量体(e1)は、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有し、フッ素を含有しない化合物であってよい。非フッ素架橋性単量体(e1)は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基などである。非フッ素架橋性単量体(e1)は、反応性基を有するモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはモノ(メタ)アクリルアミドであってよい。あるいは、非フッ素架橋性単量体(e1)は、ジ(メタ)アクリレートであってよい。
【0032】
非フッ素架橋性単量体(e1)としては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、グリシジル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
【0033】
非フッ素単量体(e2)は、単量体(e1)以外の他の単量体である。他の単量体の具体例は、エチレン、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、メチロール化ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、アジリジニルエチル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、メチルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリシロキサンを有する(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルグリシジルエーテル、酢酸アリル、N−ビニルカルバゾール、マレイミド、N−メチルマレイミド、(2−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、側鎖にシリコーンを有する(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレート、アルキレンジ(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
非フッ素単量体(e)は、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート、および(メタ)アクリルアミド化合物の一方または両方を含んでなることが好ましい。ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートにおいて、ヒドロキシル基の数は、1〜5、好ましくは2〜4、例えば2または3であってよい。-CH(OH)-CH2-OH基を有する(メタ)アクリレートが特に好ましい。(メタ)アクリルアミド化合物は、(メタ)アクリルアミド基を有する単量体である。(メタ)アクリルアミド化合物は、活性水素を有することが好ましく、ジアセトン(メタ)アクリルアミドであることが特に好ましい。ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド化合物は、撥水性を向上させる。非フッ素単量体(e)として、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド化合物の両方(例えば、重量比1:9〜1:9)を用いることが特に好ましい。
【0035】
非フッ素アクリレート単量体(c)および/または非フッ素架橋性単量体(e1)を共重合させることにより、撥水撥油性や防汚性およびこれらの性能の耐クリーニング性、耐洗濯性、溶剤への溶解性、硬さ、感触などの種々の性質を必要に応じて改善することができる。
【0036】
本明細書において、単に「アクリレート」または「アクリルアミド」と呼ぶ場合には、α位が水素原子である化合物のみならず、α位が他の基(例えば、メチル基を含めた一価の有機基またはハロゲン原子)で置換されている化合物も含む。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)、単量体(d)および単量体(e)(例えば、単量体(e1)および(e2)のそれぞれ)のそれぞれは、1種の単独であっても、または2種以上の組み合わせであってもよい。
【0037】
含フッ素単量体(a)の量は、含フッ素重合体に対して20重量%以上、好ましくは30重量%〜90重量%であってよい。
含フッ素単量体(a)100重量部に対して、
アルキルアクリレート単量体(b)の量が5〜300重量部、例えば10〜200重量部、特に20〜100重量部、特別に30〜80重量部であり、
環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体(c)の量が0.1〜800重量部、例えば1〜300重量部、特に2〜200重量部であり、特別に3〜100重量部であり、
ハロゲン化オレンフィン(d)の量が300重量部、例えば5〜200重量部、特に10〜150重量部、特別に15〜100重量部であり、
非フッ素単量体(e)の量が1000重量部以下、例えば0.1〜400重量部、特に0.5〜250重量部、特別に1〜50重量部であってよい。
含フッ素重合体において、含フッ素単量体(a)100重量部に対して、
非フッ素架橋性単量体(e1)および(e2)のそれぞれの量が80重量部以下、例えば50重量部以下、特に0.1〜30重量部、特別に1〜20重量部であってよい。
アルキルアクリレート単量体(b)は、処理剤における含フッ素重合体が低濃度であっても、優れた撥水性能、繰り返し洗濯による耐久性を与えることができる。ハロゲン化オレフィン(d)は、処理剤における含フッ素重合体がさらに低濃度であっても、撥水性能、耐洗濯性、耐ドライクリーニング性を与えることができる。環状炭化水素基を有する非フッ素アクリレート単量体(c)は強撥水性を与えることができる。非フッ素架橋性単量体(e1)は耐洗濯性を向上させることができる。
【0038】
本発明における含フッ素重合体は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。
【0039】
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶剤に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0040】
有機溶媒は、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、エステル(例えば、炭素数2〜30のエステル、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、炭素数2〜30のケトン、具体的には、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン)、アルコール(例えば、炭素数1〜30のアルコール、具体的には、イソプロピルアルコール)であってよい。有機溶媒の具体例としては、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶媒は単量体の合計100重量部に対して、10〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
【0041】
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して共重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
【0042】
放置安定性の優れた共重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化し、油溶性重合開始剤を用いて重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用してよい。ノニオン性の乳化剤を使用することが好ましい。乳化剤は、ノニオン性の乳化剤のみからなることが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶剤や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
水溶性有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
【0043】
重合においては、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の使用量に応じて、共重合体の分子量を変化させることができる。連鎖移動剤の例は、ラウリルメルカプタン、チオグリコール、チオグリセロールなどのメルカプタン基含有化合物(特に、(例えば炭素数1〜30の)アルキルメルカプタン)、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などである。連鎖移動剤の使用量は、単量体の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部、例えば0.1〜5重量部の範囲で用いてよい。
【0044】
得られた含フッ素重合体は、必要により水や有機溶剤等に希釈または分散された後、乳濁液、有機溶剤溶液、エアゾールなどの任意の形態に調製でき、処理剤とすることが可能である。含フッ素重合体は、処理剤の有効成分(活性成分)として機能する。処理剤は、含フッ素重合体および媒体(特に、液状媒体)(例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。処理剤において、含フッ素重合体の濃度は、例えば、0.01〜50重量%であってよい。
本発明の処理剤は、含フッ素重合体および水性媒体を含んでなることが好ましい。本明細書において、「水性媒体」とは、水のみからなる媒体、および水に加えて有機溶剤(水溶性有機溶剤)(有機溶剤の量は、水100重量部に対して、80重量部以下、例えば0.1〜50重量部、特に5〜30重量部である。)をも含有する媒体を意味する。含フッ素重合体は、乳化重合によって、含フッ素重合体の分散液を製造されたものであることが好ましい。処理剤は、含フッ素重合体の粒子が水性媒体に分散する水性分散液であることが好ましい。
【0045】
本発明の含フッ素重合体は、被処理物品の種類や前記調製形態(乳濁液、有機溶剤溶液、エアゾールなど)などに応じて、任意の方法で処理剤として被処理物品に適応され得る。例えば、水性乳濁液や有機溶剤溶液である場合には、浸漬塗布、スプレー塗布等のような被覆加工の既知の方法により、被処理物の表面に付着させ乾燥する方法が採用され得る。この際、必要ならばキュアリング等の熱処理を行っても良い。
また、必要ならば、他のブレンダーを併用することも可能である。例えば、撥水撥油剤、防シワ剤、防縮剤、難燃剤、架橋剤、帯電防止剤、柔軟剤、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコール等の水溶性高分子、ワックスエマルション、抗菌剤、顔料、塗料などである。これらのブレンダーは被処理物、処理時に処理浴に添加して使用しても良いし、あらかじめ、可能なら、本発明の含フッ素重合体と混合して使用しても良い。
【0046】
含フッ素重合体は、基材布の上に重合体の膜を形成するために知られている方法のいずれかによって基材布に適用することができる。一般に、含フッ素重合体および液状媒体を含む液を布基材上に適用した後、液状媒体を乾燥などにより除去することによって、含フッ素重合体の膜を基材上に形成することができる。含フッ素重合体および液状媒体を含む液において、含フッ素重合体の濃度は、例えば、0.01〜20重量%、特に0.05〜10重量%であってよい。基材布を溶液に浸してよく、あるいは、基材布に液を付着または噴霧してよい。液を適用した基材布は、例えば撥液性を発現させるために、乾燥され、好ましくは、例えば、100℃〜200℃で加熱される。
【0047】
被処理物品としては、特に限定されないが繊維製品の他、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。特に繊維製品に対して有用である。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。繊維製品は、繊維、糸、布等の形態のいずれであってもよい。
【0048】
本発明においては、被処理物品を処理剤で処理する。「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である含フッ素共重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
【実施例】
【0049】
次に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、これらの説明が本発明を限定するものでない。
以下において、部または%は、特記しない限り、重量部または重量%を表す。
特性は、次のようにして測定した。
【0050】
低濃度撥水性
重合体の水性分散液を固形分濃度が0.15、0.23、0.3重量%になるよう水で希釈して処理液を調整した。ナイロン布(40デニール、タフタ)を処理液に浸漬し、マングルで4kg/cm、4m/分で絞って、170℃で1分間熱処理した後に、処理布の撥水性を評価した。
撥水性は、JIS−L−1092のスプレー法による撥水性NO.(下記表1参照)をもって表す。なお、下記の撥水性NO.に+を付けて表した評価結果はそれぞれの評価がその数字よりもわずかに良好なものを、−はわずかに低いことを示す。
【0051】
【表1】
【0052】
耐久撥水性
重合体の水性分散液を固形分濃度が1.0重量%になるよう水で希釈し、さらにブロックドイソシアネート(第一工業製薬製、商品名「エラストロンBN−69」)を0.25重量%となるように添加して処理液を調整した。試験布を処理液に浸漬し、マングルで4kg/cm、4m/分で絞って、ナイロン布(70デニール、タフタ)は170℃で1分間、ポリエステル(70デニール、タフタ)は120℃で2分間、ポリエステル(20デニール、リップ)は100℃で2分間熱処理した後に、処理布の撥水性を評価した。
撥水性は、洗濯前(HL0)とAATCC 88B(1)(III)に準じて10回または20回繰り返し洗濯を行なった後(HL10またはHL20)に評価した。撥水性は、低濃度撥水性と同じくJIS−L−1092のスプレー法による撥水性NO.(上記表1参照)をもって表す。
【0053】
ポリマーのタック性
重合体の水性分散液10gをメタノール20gに分散したものを60分間10000rpmで遠心分離器にかけて重合体と乳化剤を分離し、測定用サンプルポリマーを得た。このポリマーのタック性はタッキング試験機 TAC-2((株)RHESCA社製)で測定した。サンプルポリマー 0.1g,測定温度40℃,荷重500gfでタック性を測定した。
【0054】
実施例1
1Lオートクレーブに単量体A:C13CHCHOCOC(Cl)=CH(C6SFCLA) 110g、単量体B:ラウリルメタクリレート(LMA)48g、単量体D:シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)42g、純水 446g、トリプロピレングリコール 76g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル 10.2g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル 2.47g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル7.6gを入れ、60℃で加温後、高圧ホモジナイザーで乳化分散させた。乳化後、ラウリルメルカプタン2.5g、単量体C:塩化ビニル(VCl) 62gを圧入充填した。さらに2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩 1.6gを添加し、70℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液を得た。その固形分濃度が30重量%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性(撥水撥油性能)およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0055】
実施例2
単量体Bとしてラウリルアクリレート(LA)を用い、単量体C:塩化ビニル(VCl)を省略し、単量体F:グリセロールモノメタクリレート(GLM)を加えた以外は実施例1と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0056】
実施例3
単量体Bとしてオクチルアクリレート(OA)を用い、単量体E:ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)および単量体F:グリセロールモノメタクリレート(GLM)を加えた以外は実施例1と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0057】
実施例4
単量体Bとしてイソオクチルアクリレート(iso−OA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0058】
実施例5
単量体Bとしてイソデシルアクリレート(iso−DA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
実施例6
単量体Bとしてラウリルアクリレート(LA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0060】
実施例7
単量体D:ベンジルメタクリレート(BzMA)を加え、単量体E:ダイアセトンアクリルアミド(DAAM)を省略した以外は、実施例6と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0061】
実施例8
単量体Dとしてイソボルニルメタクリレート(IBMA)を用いた以外は、実施例6と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表2参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0062】
実施例9
1Lオートクレーブに単量体A:C13CHCHOCOC(Cl)=CH(C6SFCLA) 150g、単量体B:ラウリルアクリレート(LA)70g、単量体D:イソボロニルメタクリレート(IBMA)30g、純水 446g、トリプロピレングリコール 76g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル 10.2g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル 2.47g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル7.6gを入れ、60℃で加温後、高圧ホモジナイザーで乳化分散させた。乳化後、ラウリルメルカプタン2.5gを添加した。さらに2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩 1.6gを添加し、70℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液を得た。その固形分濃度が30重量%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表2に示す。
【0063】
比較例1
1Lオートクレーブに単量体A:C13CHCHOCOC(Cl)=CH(C6SFCLA) 150g、単量体B:ステアリルアクリレート(StA)53g、純水 446g、トリプロピレングリコール 76g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル 10.2g、ポリオキシエチレンオレイルエーテル 2.47g、ポリオキシエチレンイソトリデシルエーテル7.6gを入れ、60℃で加温後、高圧ホモジナイザーで乳化分散させた。乳化後、ラウリルメルカプタン2.5g、単量体C:塩化ビニル(VCl) 62gを圧入充填した。さらに2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩 1.6gを添加し、70℃で3時間反応させ、重合体の水性分散液を得た。その固形分濃度が30重量%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0064】
比較例2
単量体C:塩化ビニル(VCl)省略した以外は、比較例1と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0065】
比較例3
単量体AとしてC13CHCHOCOC(CH)=CH(C6SFMA)を用い、単量体Bとしてラウリルアクリレート(LA)を用いた以外は、比較例2と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0066】
比較例4
単量体Bとしてブチルアクリレート(BA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0067】
比較例5
単量体Bとしてセチルアクリレート(CA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0068】
比較例6
単量体Bとしてステアリルアクリレート(StA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0069】
比較例7
単量体Bとしてベヘニルアクリレート(BeA)を用いた以外は、実施例3と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0070】
比較例8
単量体AとしてC13CHCHOCOC(CH)=CH(C6SFMA)、単量体Bとしてステアリルアクリレート(StA)、単量体Dとしてシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を用いた以外は、実施例7と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
比較例9
単量体Bとしてステアリルアクリレート(StA)を用いた以外は、実施例9と同様にして重合体の水性分散液を得た(各成分の仕込量は表3参照)。その固形分濃度が30%となるように純水で濃度調整した水性分散液の撥水性およびタック性を評価した。結果を表3に示す。
【0071】
表中の略号の意味は、次のとおりである。
<単量体A>
C6SFCLA:C13CHCHOCOC(Cl)=CH
C6SFMA:C13CHCHOCOC(CH)=CH
【0072】
<単量体B>
LA:ラウリルアクリレート
LMA:ラウリルメタクリレート
OA:オクチルアクリレート
iso−OA:イソオクチルアクリレート
iso−DA:イソデシルアクリレート
StA:ステアリルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
CA:セチルアクリレート
BeA:ベヘニルアクリレート
【0073】
<単量体C>
VCl:塩化ビニル
【0074】
<単量体D>
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
IBMA:イソボルニルメタクリレート
【0075】
<単量体E>
DAAM:ダイアセトンアクリルアミド
<単量体F>
GLM:グリセロールモノメタクリレート
<布>
Ny:ナイロン布(70デニール、タフタ)
PET 70d:ポリエステル(70デニール、タフタ)
PET 20d:ポリエステル(20デニール、リップ)
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の含フッ素重合体は、処理剤、特に表面処理剤、例えば、撥水撥油剤、防汚剤および汚れ脱離剤の有効成分として使用できる。
【0079】
本発明の態様は、次のとおりである。
<1>
(a)α位が一価の有機基またはハロゲン原子で置換されているアクリレートエステル単量体である、フルオロアルキル基を有する含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位、および
(b)アルキル基の炭素数が6〜13であるアルキルアクリレートである非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位
を有してなる含フッ素重合体。
<2>
含フッ素単量体(a)が、式:
CH2=C(-X)-C(=O)-Y-Z-Rf
[式中、Xは、一価の有機基またはハロゲン原子であり、
Y は、-O- または -NH-であり、
Zは、直接結合または二価の有機基であり、
Rfは、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物である<1>に記載の含フッ素重合体。
【0080】
<3>
含フッ素単量体(a)が、式:
CH2=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf (I)
[式中、Xは、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
Rfは、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示される化合物である<1>または<2>に記載の含フッ素重合体。
【0081】
<4>
含フッ素単量体(a)が、α位が塩素原子で置換されているアルキルアクリレートである<1>〜<3>のいずれかに記載の含フッ素重合体。
<5>
非フッ素単量体(b)が、式:
CH=CACOOA
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
は、C2n+1(n=6〜13)によって表されるアルキル基である。]
で示されるアルキルアクリレートである<1>〜<4>のいずれかに記載の含フッ素重合体。
<6>
非フッ素単量体(b)においてアルキル基の炭素数が8〜13である<1>〜<5>のいずれかに記載の含フッ素重合体。
【0082】
<7>
含フッ素重合体が、さらに、
(c)ハロゲン化オレフィン単量体から誘導された繰り返し単位、および
(d)単量体(b)および(c)以外の非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位
からなる群から選択された少なくとも1種の繰り返し単位を有する<1>〜<6>のいずれかに記載の含フッ素重合体。
<8>
ハロゲン化オレフィン単量体(c)が、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンである<7>に記載の含フッ素重合体。
<9>
非フッ素単量体(d)が、環状炭化水素基を有する非フッ素(メタ)アクリレート単量体(d1)および非フッ素架橋性単量体(d2)からなる群から選択された少なくとも1種である<7>または<8>に記載の含フッ素重合体。
【0083】
<10>
環状炭化水素基を有する非フッ素(メタ)アクリレート単量体(d1)が、式:
CH=CA−C(=O)−O−Q
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Qは、環状炭化水素基である。]
で示される化合物である<9>に記載の含フッ素重合体。
<11>
非フッ素架橋性単量体(d2)が、少なくとも2つの反応性基および/または炭素−炭素二重結合を有する単量体であり、反応性基がヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックドイソシアネート、アセトアセトキシ基、アミノ基またはカルボキシル基である<9>に記載の含フッ素重合体。
【0084】
<12>
含フッ素単量体(a)100重量部に対して、アクリレートエステル単量体(b)の量が5〜300重量部である<1>〜<11>のいずれかに記載の含フッ素重合体。
<13>
<1>〜<12>のいずれかに記載の含フッ素重合体を必須成分とする表面処理剤。
<14>
表面処理剤が、撥水撥油剤、防汚剤または汚れ脱離剤である<13>に記載の表面処理剤。
【0085】
<15>
水性媒体をも含有する<13>または<14>に記載の表面処理剤。
<16>
<13>に記載の表面処理剤で処理することからなる、基材を処理する方法。
<17>
<13>に記載の表面処理剤によって処理された基材。