特許第5862859号(P5862859)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪ガスケミカル株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社ダスキンの特許一覧

<>
  • 特許5862859-浄水器 図000002
  • 特許5862859-浄水器 図000003
  • 特許5862859-浄水器 図000004
  • 特許5862859-浄水器 図000005
  • 特許5862859-浄水器 図000006
  • 特許5862859-浄水器 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862859
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】浄水器
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20160202BHJP
   C02F 1/28 20060101ALI20160202BHJP
   C02F 1/68 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   C02F1/00 B
   C02F1/28 G
   C02F1/68 510B
   C02F1/68 530E
   C02F1/68 540A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-182212(P2011-182212)
(22)【出願日】2011年8月24日
(65)【公開番号】特開2013-43120(P2013-43120A)
(43)【公開日】2013年3月4日
【審査請求日】2014年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】591147694
【氏名又は名称】大阪ガスケミカル株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 浩司
(72)【発明者】
【氏名】藤元 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】樋渡 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】金岡 智己
(72)【発明者】
【氏名】北田 朗
(72)【発明者】
【氏名】堤 敦子
(72)【発明者】
【氏名】徳田 皓平
【審査官】 目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−061456(JP,A)
【文献】 実開昭60−165087(JP,U)
【文献】 特開昭56−024087(JP,A)
【文献】 実開平05−039694(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/28
C02F1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器であって、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を装着可能な浄水器支持体が設けられ、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器から供給される原水を前記浄化処理部にて浄化し、前記浄水容器に浄水として貯留可能に構成され、
前記原水容器が、前記浄水器支持体から独立に着脱可能に構成され、
前記原水容器及び前記浄化処理部が前記装着姿勢にある場合に、前記原水容器には、前記浄化処理部側へ開口する原水流出口が設けられ、
閉止状態において前記原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において前記原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段が、前記原水流出口に設けられ、
前記浄化処理部が装着姿勢にあり、且つ、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、前記原水流出調整手段を前記閉止状態から前記開放状態へ操作する操作手段が、前記浄化処理部に設けられ
前記浄水器支持体は、前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を上下方向で記載順に装着可能に構成され、
前記原水容器は、その下面から下方側に延びて自身を支持可能な脚状体を備え、
前記浄水処理部の上面には、前記原水容器及び前記浄化処理部が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢において、前記脚状体の外面に沿う形状の案内部材が設けられ、
前記案内部材は、前記浄化処理部が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に移行するときに、前記原水容器の前記原水流出口と前記浄化処理部の原水受入口とを芯出しするように、前記原水容器を案内するように構成されていている浄水器。
【請求項2】
原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器であって、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を装着可能な浄水器支持体が設けられ、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器から供給される原水を前記浄化処理部にて浄化し、前記浄水容器に浄水として貯留可能に構成され、
前記原水容器が、前記浄水器支持体から独立に着脱可能に構成され、
前記原水容器及び前記浄化処理部が前記装着姿勢にある場合に、前記原水容器には、前記浄化処理部側へ開口する原水流出口が設けられ、
閉止状態において前記原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において前記原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段が、前記原水流出口に設けられ、
前記浄化処理部が装着姿勢にあり、且つ、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、前記原水流出調整手段を前記閉止状態から前記開放状態へ操作する操作手段が、前記浄化処理部に設けられ、
前記浄水器支持体の底部には、前記浄水容器を前記浄水器支持体へ装着される装着姿勢に案内するための案内溝が設けられている浄水器。
【請求項3】
原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器であって、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を装着可能な浄水器支持体が設けられ、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器から供給される原水を前記浄化処理部にて浄化し、前記浄水容器に浄水として貯留可能に構成され、
前記原水容器が、前記浄水器支持体から独立に着脱可能に構成され、
前記原水容器及び前記浄化処理部が前記装着姿勢にある場合に、前記原水容器には、前記浄化処理部側へ開口する原水流出口が設けられ、
閉止状態において前記原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において前記原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段が、前記原水流出口に設けられ、
前記浄化処理部が装着姿勢にあり、且つ、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、前記原水流出調整手段を前記閉止状態から前記開放状態へ操作する操作手段が、前記浄化処理部に設けられ、
前記浄水器支持体の底部には、前記浄水容器が前記浄水器支持体へ装着されている装着姿勢において、前記浄水容器と前記底部との間に換気流を通流させる隙間を形成する凹部が設けられている浄水器。
【請求項4】
前記原水流出調整手段は、前記原水流出口における原水の通流方向に、付勢手段により付勢されて閉止状態を維持すると共に、前記原水流出口における原水の通流方向と反対側に、前記付勢手段による付勢力に抗して押圧されたときに開放状態となる逆止弁により構成され、
前記操作手段は、前記原水容器及び前記浄化処理部が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢にあるときに、前記逆止弁を、前記原水の通流方向と反対方向に、前記付勢手段による付勢力に抗して押圧する棒状部材を有している請求項1〜3のいずれか一項に記載の浄水器。
【請求項5】
前記原水流出口は、前記原水容器の下面から下方側に突出して原水の流れを案内する筒状突出部を有し、
前記原水容器が前記脚状体により支持されている状態で、前記筒状突出部の下端部は、前記脚状体の下端部よりも上方側に位置する請求項1に記載の浄水器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポット型浄水器100は、図6に示すように、原水を貯留可能な原水容器30と、原水容器30から導かれる原水を浄化する浄化処理部50と、浄化処理部50から導かれる浄水を貯留する浄水容器70とを備えているものが、知られている(特許文献1を参照)。
当該特許文献1のポット型浄水器100では、原水容器30、浄化処理部50、及び浄水容器70が、一体に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−313501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、原水容器30、浄化処理部50、及び浄水容器70が、一体に設けられているポット型浄水容器では、全体として大型となり、原水容器30に原水を流入する場合には、大型のポット型浄水器100のすべてを蛇口まで運ぶ必要があり、使用者の使い勝手が悪いという問題があった。
そこで、原水容器30への原水の流入を容易にすべく、原水容器30を、浄化処理部50及び浄水容器70とは独立に蛇口まで移動可能に構成することが考えられる。
本願は、このように、原水容器30を、浄化処理部50及び浄水容器70とは独立に蛇口まで移動可能に構成した場合に、生じる独特の課題を解決するために成されたものである。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、原水容器の移動中には、原水容器の原水流出口から原水の流出を適切に防止しながらも、原水を浄化する浄化処理中には、原水容器の原水流出口から原水を流出して、浄化処理部に適切に導くことができる浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための浄水器は、原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器であって、その特徴構成は、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を装着可能な浄水器支持体が設けられ、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器から供給される原水を前記浄化処理部にて浄化し、前記浄水容器に浄水として貯留可能に構成され、
前記原水容器が、前記浄水器支持体から独立に着脱可能に構成され、
前記原水容器及び前記浄化処理部が前記装着姿勢にある場合に、前記原水容器には、前記浄化処理部側へ開口する原水流出口が設けられ、
閉止状態において前記原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態におい
て前記原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段が、前記原水流出口に設けられ、
前記浄化処理部が装着姿勢にあり、且つ、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、前記原水流出調整手段を前記閉止状態から前記開放状態へ操作する操作手段が、前記浄化処理部に設けられ、
前記浄水器支持体は、前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を上下方向で記載順に装着可能に構成され、
前記原水容器は、その下面から下方側に延びて自身を支持可能な脚状体を備え、
前記浄水処理部の上面には、前記原水容器及び前記浄化処理部が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢において、前記脚状体の外面に沿う形状の案内部材が設けられ、
前記案内部材は、前記浄化処理部が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に移行するときに、前記原水容器の前記原水流出口と前記浄化処理部の原水受入口とを芯出しするように、前記原水容器を案内するように構成されていている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、原水容器は、浄水器支持体から独立に着脱可能に構成されているので、使用者は、浄化処理部及び浄水容器とは別に、原水容器のみを移動させることができる。
さらに、上記特徴構成によれば、閉止状態にて原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段を、原水容器の原水流出口に設け、且つ、浄化処理部が浄水器支持体に装着されている状態で、原水容器が浄水器支持体に装着されている装着姿勢にある場合に、原水流出調整手段を閉止状態から開放状態へ操作する操作手段を、浄化処理部に設けているので、原水流出調整手段は、原水容器が浄水器支持体から取り外され、装着姿勢以外の姿勢にある場合に、原水流出口を閉止状態に維持し、原水容器が装着姿勢にある場合にのみ、原水流出口を閉止状態から開放状態に移行されることとなる。
結果、使用者が、原水容器を浄水器支持体から取り外して、浄水器支持体と蛇口との間を移動している場合、原水流出口からの原水の流出が適切に防止されると共に、使用者が、原水容器を浄水器支持体に装着する装着姿勢に移行させた場合、原水流出口から原水を流出させて、浄化処理部への原水の供給を確実に実行することができる。
また、原水容器は、非装着姿勢から装着姿勢に移行するときに、その脚状体が、浄化処理部に設けられている案内部材により案内されることで、その原水流出
口と浄化処理部の原水受入口とが芯出しされた状態で、位置決めされることとなる。
結果、原水容器の原水流出口から流出された原水は、確実に浄化処理部の原水受入口に受け入れられることとなり、原水容器と浄化処理部との間における原水の漏洩を、確実に防水することができる。
【0008】
また、上記目的を達成するための浄水器は、
原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器であって、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を装着可能な浄水器支持体が設けられ、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器から供給される原水を前記浄化処理部にて浄化し、前記浄水容器に浄水として貯留可能に構成され、
前記原水容器が、前記浄水器支持体から独立に着脱可能に構成され、
前記原水容器及び前記浄化処理部が前記装着姿勢にある場合に、前記原水容器には、前記浄化処理部側へ開口する原水流出口が設けられ、
閉止状態において前記原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において前記原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段が、前記原水流出口に設けられ、
前記浄化処理部が装着姿勢にあり、且つ、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、前記原水流出調整手段を前記閉止状態から前記開放状態へ操作する操作手段が、前記浄化処理部に設けられ、
前記浄水器支持体の底部には、前記浄水容器を前記浄水器支持体へ装着される装着姿勢に案内するための案内溝が設けられている点を特徴とすることもできる。
【0009】
上記特徴構成によれば、原水容器は、浄水器支持体から独立に着脱可能に構成されているので、使用者は、浄化処理部及び浄水容器とは別に、原水容器のみを移動させることができる。
さらに、上記特徴構成によれば、閉止状態にて原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段を、原水容器の原水流出口に設け、且つ、浄化処理部が浄水器支持体に装着されている状態で、原水容器が浄水器支持体に装着されている装着姿勢にある場合に、原水流出調整手段を閉止状態から開放状態へ操作する操作手段を、浄化処理部に設けているので、原水流出調整手段は、原水容器が浄水器支持体から取り外され、装着姿勢以外の姿勢にある場合に、原水流出口を閉止状態に維持し、原水容器が装着姿勢にある場合にのみ、原水流出口を閉止状態から開放状態に移行されることとなる。
結果、使用者が、原水容器を浄水器支持体から取り外して、浄水器支持体と蛇口との間を移動している場合、原水流出口からの原水の流出が適切に防止されると共に、使用者が、原水容器を浄水器支持体に装着する装着姿勢に移行させた場合、原水流出口から原水を流出させて、浄化処理部への原水の供給を確実に実行することができる。
また、浄水容器は、浄水器支持体の底部に設けられる案内溝により、浄水器支持体へ装着される装着姿勢に案内されるので、浄水容器を確実に案内姿勢に導くことができ、浄水を確実に浄水容器の内部へ導くことができる。
【0010】
また、上記目的を達成するための浄水器は、
原水を貯留可能な原水容器と、当該原水容器から導かれる原水を浄化する浄化処理部と、当該浄化処理部から供給される浄水を貯留する浄水容器とを有する浄水器であって、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器を装着可能な浄水器支持体が設けられ、
前記原水容器、前記浄化処理部、及び前記浄水容器が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢で、前記原水容器から供給される原水を前記浄化処理部にて浄化し、前記浄水容器に浄水として貯留可能に構成され、
前記原水容器が、前記浄水器支持体から独立に着脱可能に構成され、
前記原水容器及び前記浄化処理部が前記装着姿勢にある場合に、前記原水容器には、前記浄化処理部側へ開口する原水流出口が設けられ、
閉止状態において前記原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において前記原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段が、前記原水流出口に設けられ、
前記浄化処理部が装着姿勢にあり、且つ、前記原水容器が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、前記原水流出調整手段を前記閉止状態から前記開放状態へ操作する操作手段が、前記浄化処理部に設けられ、
前記浄水器支持体の底部には、前記浄水容器が前記浄水器支持体へ装着されている装着姿勢において、前記浄水容器と前記底部との間に換気流を通流させる隙間を形成する凹部が設けられている点を特徴とすることもできる。
【0011】
上記特徴構成によれば、原水容器は、浄水器支持体から独立に着脱可能に構成されているので、使用者は、浄化処理部及び浄水容器とは別に、原水容器のみを移動させることができる。
さらに、上記特徴構成によれば、閉止状態にて原水流出口からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態において原水流出口からの原水の流出を許容する原水流出調整手段を、原水容器の原水流出口に設け、且つ、浄化処理部が浄水器支持体に装着されている状態で、原水容器が浄水器支持体に装着されている装着姿勢にある場合に、原水流出調整手段を閉止状態から開放状態へ操作する操作手段を、浄化処理部に設けているので、原水流出調整手段は、原水容器が浄水器支持体から取り外され、装着姿勢以外の姿勢にある場合に、原水流出口を閉止状態に維持し、原水容器が装着姿勢にある場合にのみ、原水流出口を閉止状態から開放状態に移行されることとなる。
結果、使用者が、原水容器を浄水器支持体から取り外して、浄水器支持体と蛇口との間を移動している場合、原水流出口からの原水の流出が適切に防止されると共に、使用者が、原水容器を浄水器支持体に装着する装着姿勢に移行させた場合、原水流出口から原水を流出させて、浄化処理部への原水の供給を確実に実行することができる。
ここで、浄水器支持体の底部には、浄水容器が装着姿勢にない場合等に、浄化処理部から浄水が導かれて濡れて、雑菌が繁殖する場合がある。
したがって、浄水器支持体の底部に凹部を設けることにより、浄水器支持体の底部と浄水容器と底部との間に換気流を通流させることができ、浄水器支持体の底部及び浄水容器の底部の乾燥を促進して、雑菌の繁殖を抑制することができる。
【0012】
本発明の浄水器の更なる特徴構成は、前記原水流出調整手段は、前記原水流出口における原水の通流方向に、付勢手段により付勢されて閉止状態を維持すると共に、前記原水流出口における原水の通流方向と反対側に、前記付勢手段による付勢力に抗して押圧されたときに開放状態となる逆止弁により構成され、
前記操作手段は、前記原水容器及び前記浄化処理部が前記浄水器支持体に装着されている装着姿勢にあるときに、前記逆止弁を、前記原水の通流方向と反対方向に、前記付勢手段による付勢力に抗して押圧する棒状部材を有している点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、原水容器の原水流出口には、原水の通流方向に沿う方向に付勢されて閉止状態を維持する逆止弁を設けているので、原水容器が装着姿勢以外の姿勢で、例えば、移動している場合等には、原水流出口からの原水の流出が適切に防止される。
一方、当該逆止弁は、原水容器が装着姿勢にある場合、浄化処理部に操作手段として設けられている棒状部材により、原水の通流方向と反対方向に押圧されることにより、開放状態となるので、原水容器が装着姿勢にある場合にのみ、原水容器に貯留される原水を浄化処理部へ適切に導くことができる。
【0014】
本発明の浄水器の更なる特徴構成は、前記原水流出口は、前記原水容器の下面から下方側に突出して原水の流れを案内する筒状突出部を有し、
前記原水容器が前記脚状体により支持されている状態で、前記筒状突出部の下端部は、前記脚状体の下端部よりも上方側に位置する点にある。
【0015】
原水容器は、浄水器支持体から取り外される非装着姿勢において、雑菌が付着している虞のあるテーブル等に載置される場合がある。
上記特徴構成によれば、原水流出口から流出する原水の流れを案内する筒状突出部は、原水容器が脚状体により支持されている状態で、その下方側の端部が、脚状体の下方側の端部よりも上方側に位置するので、例え、原水容器が、雑菌が付着している虞のあるテーブル等に載置された場合であっても、脚状体の下方側の端部がテーブルの上面に当接し、筒状突出部が、テーブルの上面に当接することはない。
これにより、筒状突出部にテーブルの雑菌が付着することを防止でき、筒状突出部から雑菌等の含まれない衛生的な原水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】原水容器及び浄水容器が非装着姿勢にある場合の浄水器の斜視図である。
図2】原水容器及び浄水容器が装着姿勢にある場合の浄水器の斜視図である。
図3】浄化処理部が装着姿勢にある状態における非装着姿勢にある原水容器の断面図である。
図4】浄化処理部が装着姿勢にある状態における装着姿勢にある原水容器の断面図である。
図5】開閉部材が開放状態にある場合(a)と閉止状態とにある場合(b)における、浄水容器の装着姿勢への移行過程を示す断面図である。
図6】従来技術に係る浄水器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の浄水器100は、図1、2に示すように、原水を貯留可能な原水容器30と、当該原水容器30から導かれる原水を浄化する浄化処理部50と、当該浄化処理部50から供給される浄水を貯留する浄水容器70と、原水容器30と浄化処理部50と浄水容器70とを原水の流通方向(図1、2で、矢印Yの矢示方向)で記載順に装着自在な浄水器支持体10とから構成されている。そして、本発明の浄水器100は、特に、原水容器30を、浄水器支持体10から独立に着脱するための構成に特徴がある。
以下では、浄水器100の全体構成を説明した後、原水容器30、浄化処理部50、及び浄水容器70の夫々について、説明を加える。
【0020】
〔全体構成〕
浄水器100は、原水容器30、浄化処理部50、及び浄水容器70の夫々が、原水の通流方向(図1、2で、矢印Yの矢示方向)を鉛直方向に沿わせる状態で、上方側から記載順に、浄水器支持体10に装着される装着姿勢となるように構成されている。
浄水器支持体10は、図1、2に示すように、テーブル(図示せず)等に載置可能な底部11と、当該底部11の側方から鉛直方向で上方(図1、2で矢印Yの矢示方向と反対方向)に延びる一対の側方支持体12とから構成されている。
一対の側方支持体12には、一対の側方支持体12に挟まれる状態で、鉛直方向で側方支持体12の略中央部位に、複数の螺子13にて、浄化処理部50が螺設されている。これにより、浄化処理部50が浄水器支持体10に装着される装着姿勢(図1、2に示す姿勢)となる。
原水容器30は、浄化処理部50が浄水器支持体10に装着されている装着姿勢において、一対の側方支持体12に挟まれる状態で、上方から下方(図1、2で矢印Yの矢示方向)へ移動して、浄化処理部50の浄化処理部本体51の上端部51aに載置されて、非装着姿勢(図1に示す姿勢)から装着姿勢(図2に示す姿勢)へと姿勢変更する。
一方、浄水容器70は、浄化処理部50が浄水器支持体10に装着されている装着姿勢において、一対の側方支持体12に挟まれる状態で、一対の側方支持体12の対向方向に直交する方向(図1で矢印Xに沿う方向)に移動して、非装着姿勢(図1に示す姿勢)から、浄化処理部50の下方で浄水器支持体10の底部11に載置される装着姿勢(図2に示す姿勢)へ姿勢変更する。
以上の如く、原水容器30及び浄水容器70は、浄水器支持体10に対して着脱自在に構成される。
そして、原水容器30、浄化処理部50、及び浄水容器70の夫々は、浄水器支持体10に装着される装着姿勢(図2に示す姿勢)において、原水容器30に貯留される原水を、自重によりその下方に位置する浄化処理部50に導いて浄化し、浄化された浄水を浄水容器70に貯留可能に構成されている。
【0021】
〔原水容器〕
原水容器30は、浄水器支持体10から取り外して移動可能であり、浄水器支持体10から取り外して移動している非装着姿勢(図3に示す姿勢)においては、その内部に原水を貯留した状態を維持できながらも、浄水器支持体10への装着姿勢(図4に示す姿勢)においては、浄化処理部50に原水を供給可能としている点を特徴としている。以下、この特徴に係る構成について、詳細に説明する。
原水容器30は、図3に示すように、原水を貯留する原水容器本体31と、当該原水容器本体31の上方の開口32に設けられる原水容器蓋33と、原水容器本体31の下方から原水を流出する原水流出口34とを備えている。
原水容器蓋33には、原水流入口35が設けられると共に、当該原水流入口35を開放状態又は閉止状態とする原水流入口蓋36が設けられている。
原水流出口34には、原水容器30の下面から下方側(図3で矢印Yの矢示方向の先端側)に突出して、原水をその通流方向(図3で矢印Yの矢示方向)に案内する筒状突出部38が設けられている。
【0022】
〔逆止弁及び操作手段〕
当該原水流出口34の筒状突出部38には、閉止状態(図3に示す状態)において原水流出口34からの原水の流出を禁止すると共に、開放状態(図4に示す状態)において原水流出口34からの原水の流出を許容する逆止弁37(原水流出調整手段の一例)が設けられている。
説明を加えると、逆止弁37は、筒状突出部38の内部において、付勢部材39により原水流出方向(図3で矢印Yの矢示方向)に付勢され、筒状突出部38の原水流出方向の端部に設けられる弁座40に着座する閉止状態と、当該弁座40から原水流出方向と反対方向(図4に矢印Yの矢示方向と反対方向)に離間する開放状態との間で、切替可能に構成されている。
さらに、浄化処理部50が装着姿勢にあり、原水容器30が非装着姿勢(図3に示す姿勢)から装着姿勢(図4に示す姿勢)に姿勢変更する場合に、当該逆止弁37を、閉止状態(図3に示す状態)から開放状態(図4に示す状態)へ操作する操作手段41が、浄化処理部50に設けられている。
説明を加えると、当該操作手段41は、図4に示すように、浄化処理部50に装着される浄水カートリッジ200の第1浄化材充填容器110の上面に載置される状態で、設けられる。
当該操作手段41は、図3、4に示すように、浄化処理部50が装着姿勢にあり、原水容器30が非装着姿勢から装着姿勢に姿勢変更する場合に、逆止弁37を原水流出方向と反対方向に、付勢部材39の付勢力に抗して押圧する棒状部材41aと、当該棒状部材41aを浄化処理部50の上方で支持する支持基体41bとから構成されている。
【0023】
〔逆止弁の作用〕
上述の構成により、原水容器30が浄水器支持体10から取り外され非装着姿勢(図3に示す姿勢)となる場合、逆止弁37の弁座40への着座状態が維持され、原水流出口34の閉止状態が維持されることとなり、原水流出口34から原水が漏洩することを適切に防止する。
一方、原水容器30が非装着姿勢(図3に示す姿勢)から浄水器支持体10に装着される装着姿勢(図4に示す姿勢)に姿勢変更する場合、逆止弁37が操作手段41の棒状部材41aにより原水の流通方向と反対方向(図3で矢印Yの矢示方向と反対方向)へ押圧されて、逆止弁37が弁座40から離れて、原水流出口34が閉止状態(図3に示す状態)から開放状態(図4に示す状態)へ移行し、原水流出口34から原水が流出し、浄化処理部50へ原水が供給される。
【0024】
原水容器30の下方には、原水流出口34の筒状突出部38の径方向で外側に位置する筒状連結部42が上方から下方(図3、4で矢印Yの矢示方向)に延設されている。
当該筒状連結部42は、浄化処理部50に装着される浄水カートリッジ200の浄化材充填筐体160と連結可能に構成されている。当該連結状態が維持されている状態(図4に示す状態)では、原水容器30から供給される原水は、確実に浄化処理部50の浄水カートリッジ200に導かれることとなる。
【0025】
〔脚状体及び案内部材〕
原水容器30は、その下面から下方側(図3で矢印Yの矢示方向で先端側)に延びて自身を支持する一対の脚状体43を備えている。一方、浄化処理部50の上面には、原水容器30及び浄化処理部50が浄水器支持体10に装着されている装着姿勢において、脚状体43の外面に沿う形状の案内部材54が設けられている。
当該案内部材54は、浄化処理部50が浄水器支持体10に装着されている装着姿勢(図3、4に示す姿勢)において、原水容器30が非装着姿勢(図3に示す姿勢)から装着姿勢(図4に示す姿勢)に姿勢変更するときに、脚状体43を案内する形態で、浄化処理部50に対し原水容器30を案内する。
これにより、原水容器30は、原水容器30の原水流出口34と浄化処理部50に装着される浄水カートリッジ200の原水受入口117とが芯出しされている状態に、位置決めされる。
【0026】
脚状体43は、原水容器30が浄水器支持体10から取り外された非装着姿勢において、原水容器30がテーブル等(図示せず)に載置された場合、テーブル等に対して原水容器30を支持する。
このように、原水容器30が脚状体43により支持されている状態で、原水容器30の筒状突出部38の下端部38aは、脚状体43の下端部43aよりも上方側に位置している。
これにより、原水容器30の筒状突出部38の下端部38aは、原水容器30が脚状体43により支持されている状態において、テーブル等に当接することはなく、テーブル等に存在する場合のある雑菌の付着が防止される。
【0027】
〔浄化処理部〕
浄化処理部50は、図1、3、4に示すように、浄水カートリッジ200を装着可能に構成されている。そして、当該浄水カートリッジ200が、図3、4に示すように、第1浄化材111と当該第1浄化材111とは異なる第2浄化材121を備え、第1浄化材111と第2浄化材121の夫々を各別に充填及び取り外し可能に構成されている。
浄化処理部50は、図1、3、4に示すように、主には、浄水器支持体10に螺設される浄化処理部本体51と、当該浄化処理部本体51の内部に配設されて、浄水カートリッジ200を支持する浄水カートリッジ支持部材52とから構成されている。
【0028】
〔浄水カートリッジ〕
浄水カートリッジ200は、図3に示すように、上方から下方への原水の通流方向(図3で矢印Yの矢示方向)において、第1浄化材111を充填可能な第1浄化材充填容器110と、第2浄化材121を充填可能な第2浄化材充填容器120とを記載順に備えて成る浄化材充填筐体160から構成されている。
当該浄水カートリッジ200では、第1浄化材111及び第2浄化材121の双方が、各別に、充填及び取出し可能である。このため、使用者は、第1浄化材111のみを充填した状態、第2浄化材121のみを充填した状態、第1浄化材111と第2浄化材121の双方を充填した状態の3つの状態に切り替えて、浄水カートリッジ200を使用することができる。
【0029】
更に、本発明の浄水カートリッジ200では、第1浄化材111を、原水の硬度を上昇させる硬度上昇材と、原水の硬度を低減させる硬度低減材とから択一的に選択可能に構成している。これにより、使用者は、各自の好みに応じた硬度の浄水を得ることができる。
ここで硬度上昇材は、原水にミネラル分を供給可能な材料を用いることができ、硬度低減材は、原水のミネラル分を回収可能な材料を用いることができる。
【0030】
〔浄水容器〕
本発明においては、浄水容器70は、浄水器支持体10から独立に装着及び取り外しが可能に構成されており、その装着姿勢において、浄化処理部50にて浄化された浄水が、その内部に適切に導かれるように構成されている点を特徴としている。
【0031】
尚、浄水容器70は、図1図5(b)に示すように、非装着姿勢から装着姿勢へ姿勢変更するに場合に、浄水器支持体10の底部11に設けられる案内溝14により案内されるように構成されている。
当該案内溝14は、浄水容器70の浄水受入口75と浄化処理部50に装着される浄水カートリッジ200の浄水流出口124とを位置合わせするように、浄水容器70を案内する。
【0032】
さらに、浄水器支持体10の底部11には、図5(a)に示すように、浄水容器70が浄水器支持体10へ装着されている装着姿勢において、浄水容器70と底部11との間に換気流を通流させる隙間を形成する凹部15が設けられている。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の浄水器は、原水容器の移動中には、原水容器の原水流出口から原水の流出を適切に防止しながらも、原水を浄化する浄化処理中には、原水容器の原水流出口から原水を流出して、浄化処理部に適切に導くことができる浄水器として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 :浄水器支持体
11 :底部
14 :案内溝
15 :凹部
30 :原水容器
34 :原水流出口
37 :逆止弁
38 :筒状突出部
38a :筒状突出部の下端部
39 :付勢部材
41 :操作手段
41a :棒状部材
43 :脚状体
50 :浄化処理部
54 :案内部材
70 :浄水容器
75 :浄水受入口
77 :突起部
78 :開閉部材
100 :浄水器
110 :第1浄化材充填容器
111 :第1浄化材
120 :第2浄化材充填容器
121 :第2浄化材
160 :浄化材充填筐体
200 :浄水カートリッジ
Y :原水の通流方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6