(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(i)水溶性パラジウム化合物、水溶性ルテニウム化合物、及び水溶性銀化合物水溶性銀化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の水溶性金属化合物を金属成分の濃度として0.0001〜0.5mol/L、
(ii)ハロゲン化水素酸、金属ハロゲン化物及びハロゲン化アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種のハロゲン化物を0.1〜500g/L、並びに
(iii)アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドポリアミン及びポリアミドポリアミンの架橋化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の窒素原子を含む化合物を0.001〜100g/L、
含む水溶液からなる銅系金属又は銀系金属の黒化処理用組成物。
銅若しくは銅合金からなる銅系金属を含む物品、又は銀若しくは銀合金からなる銀系金属を含む物品を被処理物として、請求項1又は2に記載の黒化処理用組成物に該被処理物を接触させることを特徴とする、銅系金属又は銀系金属の黒化方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の黒化処理用組成物及び黒化方法について具体的に説明する。
【0010】
銅系金属又は銀系金属の黒化処理用組成物
本発明の黒化処理用組成物は、下記(i)〜(iii)の成分を有効成分として含有する水溶液である。
(i)水溶性パラジウム化合物、水溶性ルテニウム化合物、及び水溶性銀化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の水溶性金属化合物、
(ii)金属ハロゲン化物及びハロゲン化アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種のハロゲン化物、並びに
(iii)アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドポリアミン及びポリアミドポリアミンの架橋化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の窒素原子を含む化合物。
【0011】
以下、本発明の黒化処理用組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0012】
(i)水溶性金属化合物
本発明の黒化処理用組成物では、水溶性パラジウム化合物、水溶性ルテニウム化合物、及び水溶性銀化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の水溶性金属化合物を用いる。
【0013】
これらの内で、水溶液パラジウム化合物としては本発明の黒化処理用組成物中に可溶性のパラジウム化合物であれば、特に限定なく用いることができる。具体例としては、塩化パラジウム、硫酸パラジウム、酸化パラジウム、ヨウ化パラジウム、臭化パラジウム、硝酸パラジウム、酢酸パラジウム、テトラアンミンパラジウムクロライド、ジニトロジアンミンパラジウム、ジクロロジエチレンジアミンパラジウムなどが挙げられる。
【0014】
水溶性ルテニウム化合物についても、本発明の黒化処理用組成物中に可溶性のルテニウム化合物であればよく、具体例としては、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウム、ルテニウム酸塩(ルテニウム酸ナトリウム、ルテニウム酸カリウム等)酸化ルテニウム等が挙げられる。
【0015】
水溶性銀化合物についても、本発明の黒化処理用組成物中に可溶性の銀化合物であればよく、具体例としては、硝酸銀、次シアノ酸銀、酢酸銀、酸化銀、メタンスルホン酸銀、硫化銀、塩化銀
等が挙げられる。
【0016】
水溶性パラジウム化合物、水溶性ルテニウム化合物、及び水溶性銀化合物は、一種単独で用いるか、或いは、同種もしくは異種の化合物を二種以上混合して用いることができる。
【0017】
水溶性金属化合物の濃度は、水溶性金属化合物に含まれる金属成分の濃度として0.0001〜0.5mol/L程度とすることが好ましく、0.001〜0.1mol/L程度とすることがより好ましい。水溶性金属化合物の濃度が低すぎる場合には、銅系金属及び銀系金属を十分に黒色化することができず、一方、濃度が高すぎる場合には、コスト高になるので好ましくない。
【0018】
(ii)ハロゲン化物
本発明の黒化処理用組成物には、ハロゲン化水素酸、金属ハロゲン化物及びハロゲン化アンモニウムからなる群から選ばれた少なくとも一種のハロゲン化物を添加することが必要である。これらのハロゲン化物を添加することによって、水溶性金属化合物を水溶液中において安定に存在させることができる。
【0019】
ハロゲン化物としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物等を用いることができる。ハロゲン化物の具体例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等のハロゲン化水素酸;塩化ナトリウム、臭化カリウム等のアルカリ金属ハロゲン化物;塩化マグネシウム、ヨウ化カルシウム等のアルカリ土類金属ハロゲン化物等の金属ハロゲン化物;塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のハロゲン化アンモニウム等を挙げることができる。本発明では、これらのハロゲン化物を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0020】
ハロゲン化物の濃度は、0.1〜500g/L程度とすることが好ましく、1〜300g/L程度とすることがより好ましい。ハロゲン化物の濃度が低すぎる場合には、処理液の安定性が低下し、ハロゲン化物の濃度が高すぎる場合には、コスト高になるので好ましくない。
【0021】
(iii)窒素原子含有化合物:
本発明では、アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドポリアミン及びポリアミドポリアミンの架橋化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の窒素原子を含む化合物を用いることが必要である。
【0022】
水溶性金属化合物とハロゲン化物に加えて、これらの特定の窒素原子を含む化合物を含む黒化処理用組成物を用いて、銅系金属又は銀系金属の黒化処理を行うことによって、銅系金属又は銀系金属を十分に黒色化することが可能となる。
【0023】
本発明の黒化処理用組成物では、窒素原子含有化合物の濃度は、0.001〜100g/L程度とすることが好ましく、0.01〜50g/L程度とすることがより好ましい。該窒素原子含有化合物の濃度が上記範囲外では、銅系金属又は銀系金属を十分に黒色化することができないので好ましくない。
【0024】
以下、窒素含有化合物について具体的に説明する。
【0025】
(a)アルキレンジアミン:
アルキレンジアミンの具体例としては、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を挙げることができる。
【0026】
(b)ポリアルキレンポリアミン:
ポリアルキレンポリアミンの具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等を挙げることができる。
【0027】
(c)ポリアミドポリアミン:
本発明で用いる窒素原子含有化合物の内で、ポリアミドポリアミンとしては、例えば、ポリアミンと二塩基性カルボン酸系化合物とを重縮合することによって得られたものを用いることができる。また、ポリアミンと二塩基性カルボン酸系化合物に加えて、さらに他の成分を反応させたものであってもよい。この様な成分としては、アルキル化剤、尿素類、酸化剤、活性水素を少なくとも1個有する脂環式化合物等を例示できる。
【0028】
これらの成分の内で、ポリアミンとしては、アルキレンジアミン類及びポリアルキレンポリアミン類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることができる。この様なポリアミンとしては、1級アミノ基を2個有し、これらの1級アミノ基を、2級アミノ基が結合していてもよいアルキレンを介して結合した化合物を用いることができる。この様なポリアミンの内で、アルキレンジアミン類の具体例としては、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等を挙げることができ、ポリアルキレンポリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、イミノビスプロピルアミン、3−アザヘキサン−1,6−ジアミン、4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等を挙げることができる。これらのポリアミンは、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。これらの中では、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が工業的に有利である。また所望により、このポリアミンとともに、モノアミン又はアンモニアを少量併用することもできる。
【0029】
二塩基性カルボン酸系化合物としては、分子内に2個のカルボキシル基を有する二塩基性カルボン酸、該二塩基性カルボン酸から誘導される化合物、例えば、エステル類、酸無水物などを用いることができる。二塩基性カルボン酸系化合物は、脂肪族、芳香族、脂環式のいずれであってもよい。
【0030】
遊離の二塩基性カルボン酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマール酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、シクロヘキサン−1,3−又は−1,4−ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、3−又は4−メチルテトラハイドロフタル酸、3−又は4−メチルヘキサハイドロフタル酸等の脂環式ジカルボン酸等を例示できる。なお、脂環式基が不飽和結合を有し、その不飽和結合の位置が明示されていない場合、その不飽和結合の位置は特に限定されない。以下においても同様である。
【0031】
二塩基性カルボン酸のエステル類としては、上記遊離酸と低級アルコールとのモノ−又はジ−エステル類、上記遊離酸とグリコール類とのポリエステル類などを用いることができる。酸無水物の具体例としては、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラハイドロ無水フタル酸、ヘキサハイドロ無水フタル酸、3−又は4−メチルテトラハイドロ無水フタル酸、3−又は4−メチルヘキサハイドロ無水フタル酸などを挙げることができる。
【0032】
二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応生成物であるポリエステルも有利に使用され、特に、遊離カルボキシル基を有するものが好ましい。ここで用いるグリコール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールのようなアルキレングリコール類、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオールのようなシクロアルキレングリコール類、ブテンジオール、オクテンジオールのようなアルケニレングリコール類、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなポリアルキレングリコール類、ビスフェノールA のエチレンオキシド付加物などを例示することができる。二塩基性カルボン酸とグリコール類との反応にあたって、カルボン酸を過剰モル比で反応させれば、分子末端に遊離カルボキシル基を有するポリエステルが得られる。二塩基性カルボン酸系化合物は、一種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
ポリアミンと二塩基性カルボン酸系化合物との反応は、脱水又は脱アルコールによる重縮合反応であり、これによりポリアミドポリアミンが形成される。
【0034】
二塩基性カルボン酸系化合物の使用量は、通常、ポリアミン1 モルに対して、0.1 〜2モル倍の範囲とすることができ、0.2 〜 1.2 モル倍の範囲とすることが好ましい。
【0035】
この反応では、鉱酸、スルホン酸類等を触媒として用いることもできる。鉱酸の例としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられ、スルホン酸類の例としては、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等があげられる。中でも硫酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が好ましい。触媒を用いる場合、その使用量は、ポリアミンの1級及び2級アミノ基の合計量に対して、通常0.005〜0.1モル倍程度、好ましくは0.01〜0.05モル倍程度とすればよい。
【0036】
ポリアミンと二塩基性カルボン酸系化合物とを反応させる方法としては、常圧下または減圧下において、約50〜250℃ 程度で、水などを除去しながら反応させる方法を例示できる。反応初期における急激な発熱を制御するため、例えば水を加え反応させても良い。水は急激な発熱を抑制するために必要な量であれば良く、通常、ポリアミン及び2塩基性カルボン酸系化合物の合計量100重量部に対して0.1〜30重量部程度とすればよい。
【0037】
この反応は、通常、得られる重縮合体であるポリアミドポリアミンを含む反応溶液を25℃、水含有量50重量%にて測定した粘度が、50mPas以上程度、好ましくは約100 〜 1000mPas程度となるまで行えばよい。
【0038】
また、ポリアミドポリアミンは、ポリアミンと二塩基性カルボン酸系化合物に加えて、さらに他の成分を反応させたものであってもよい。この様な成分としては、アルキル化剤、尿素類、酸化剤、及び活性水素を少なくとも1個有する脂環式化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物( 以下、「改質成分」ということがある)を例示できる。これらの改質成分を反応させることによって、水溶性のカチオン化度を増加させることができる。
【0039】
上記した改質成分の内で、アルキル化剤としては、例えば、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、アリルクロライド、ベンジルクロライド、2−クロロエチルジメチルアミンなどのハロゲン化炭化水素類;クロル酢酸メチル、ブロモ酢酸メチル、クロル酢酸エチル、ブロモ酢酸エチルなどのハロゲン化酢酸エステル類;エチレンクロルヒドリン、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのクロルヒドリン類;プロピレンオキシド、グリシドール、スチレンオキシド、1,2− エポキシブタンなどのエポキシ化合物; 硫酸ジメチル、硫酸ジエチルなどのアルキル硫酸エステル類などが挙げられる。これらのアルキル化剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。中でも、ハロゲン化炭化水素類、ハロゲン化酢酸エステル類、ハロゲンを含有しないエポキシ化合物、アルキル硫酸エステル類等が好ましく、特に、アルキル硫酸エステル類が好ましい。
【0040】
また、尿素類としては、通常、式−NHC(=Q)NHRで示される原子団を有する尿素、その誘導体等を用いることができる。式中、Qは酸素又は硫黄を表し、Rは水素又は炭素数1〜4程度のアルキルを表す。具体例としては、尿素、チオ尿素、グアニル尿素、メチル尿素、ジメチル尿素などを挙げることができる。尿素類は、1種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。工業的見地からは、尿素が好ましい。
【0041】
酸化剤としては、過酸化水素、オゾン、アルカリ金属次亜塩素酸塩、無機若しくは有機の過酸化物類等が挙げられるが、特に、過酸化水素が好ましい。
【0042】
活性水素を少なくとも1個有する脂環式化合物としては、脂環式アミン、脂環式エポキシ化合物などを用いることができる。これらの内で、脂環式アミンは、通常、環炭素数が5〜12程度の脂環式環、好ましくはシクロヘキサン環を有するとともに、1級又は2級のアミノ基を少なくとも1個有する化合物である。ここでアミノ基は、脂環式環に直接結合していてもよいし、またアルキレンのような連結基を介して間接的に脂環式環と結合していてもよい。活性水素を少なくとも1個有する脂環式アミンの具体例としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン、1,3−又は1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルビシクロヘキシル、イソホロンジアミン、1,3−、1,2−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノプロピルシクロヘキシルアミン、1,5−又は2,6−ビス(アミノメチル) オクタハイドロ−4,7−メタノインデン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、4,4′−オキシビス(シクロヘキシルアミン)、4,4′−スルホンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3,5−トリアミノシクロヘキサン、2,4′−又は4,4′−ジアミノ−3,3′,5,5′−テトラメチルジシクロヘキシルメタン、メンタンジアミン、N−メチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、3−N−メチルアミノ−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどが挙げられる。
【0043】
上記した改質成分、即ち、アルキル化剤、尿素類、酸化剤、及び活性水素を少なくとも1個有する脂環式化合物は、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
改質成分は、ポリアミドポリアミンの製造工程の任意の段階で反応させることができる。例えば、 ポリアミンと二塩基性カルボン酸化合物とを反応させてポリアミドポリアミンとした後、得られたポリアミドポリアミンに改質成分を反応させることができる。
【0045】
改質成分は、ポリアミドポリアミンの1級、2級又は3級アミノ基、又はポリアミンポリアミドの1級又は2級アミノ基と反応し、これによりアミノ基の価数が増加する。特に、3級アミノ基との反応により4 級アミノ基が形成されて、カチオン化度が増加する。
【0046】
改質成分とポリアミドポリアミンとの反応は、通常、水溶液中で実施され、その水分含量は、後述するポリアミドポリアミンと架橋性化合物との反応における水分含量と同程度であるか、あるいは、それよりも高い水分含量であることが好ましい。改質成分との反応温度は、通常、10〜80℃程度であり、好ましくは15〜75℃程度であり、特に好ましくは20〜70℃程度である。
【0047】
改質成分の使用量は、ポリアミドポリアミンの1級、2級及び3級アミノ基の合計量に対して、通常、0.3〜2モル倍程度、好ましくは0.5〜1モル倍程度とすればよい。
【0048】
(d)ポリアミドポリアミンの架橋化物
ポリアミドポリアミンの架橋化物としては、上記したポリアミドポリアミンに架橋性化合物を反応させたものを用いることができる。
【0049】
架橋性化合物としては、アルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシジル化合物、及びイソシアネート類からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を用いることができる。
【0050】
これらの架橋性化合物の内で、アルデヒド類は、分子中に−CHO基を少なくとも1個有する化合物であればよく、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルキルアルデヒド類; グリオキザール、プロパンジアール、ブタンジアール等のアルキルジアルデヒド類などが挙げられる。工業的には、ホルムアルデヒド、グリオキザール等が有利である。
【0051】
架橋性化合物の内で、エピハロヒドリン類は、次の一般式で示される化合物である。
【0053】
式中、X は、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を表し、w は1、2又は3である。エピハロヒドリン類の好ましい例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが挙げられる。
【0054】
架橋性化合物の内で、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類は、次の一般式で示される化合物である。
【0056】
式中、Y及びZは同一又は異なって、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を表す。α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類の具体例としては、1,3−ジクロロ−2−プロパノールなどが挙げられる。
【0057】
架橋性化合物の内でグリシジル化合物は、分子内にグリシジル基を少なくとも2個有する化合物である。その具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル類;ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル類;レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA ジグリシジルエーテル等の芳香族ジグリシジルエーテル類;トリメチロールプロパンジ−又はトリ−グリシジルエーテル、ソルビトールジ−、トリ−、テトラ−、ペンタ−又はヘキサ−グリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジ−、トリ−又はテトラ−グリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0058】
架橋性化合物の内でイソシアネート類は、分子内にイソシアナト基を少なくとも2個有する化合物である。その具体例としては、イソホロンジイソシアネート、3−(2−イソシアナトシクロヘキシル) プロピルイソシアネート、ビス( イソシアナトメチル) シクロヘキサン、イソプロピリデンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等の脂環式イソシアネート類; ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル( リジンジイソシアネートとも呼ばれる) 等の脂肪族イソシアネート類;トリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス( イソシアナトフェニル) チオフォスフェート、フェニレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類が挙げられる。
【0059】
上記したアルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシジル化合物及びイソシアネート類からなる架橋性化合物は、一種単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。アルデヒド類、エピハロヒドリン類、α,γ−ジハロ−β−ヒドリン類、グリシジル化合物及びイソシアネート類のうちで、異なる種類に属するものを2種以上併用することもできる。
【0060】
架橋性化合物を反応させる順序は任意であり、特に制限されないが、例えば、ポリアミンと二塩基性カルボン酸化合物とを反応させてポリアミドポリアミンとした後、これに架橋性化合物を反応させるという態様を採ることができる。この反応により、ポリアミドポリアミン構造の2級アミノ基部分や、未反応の1級アミノ基が残存する場合にはこの1級アミン部分が架橋性化合物と反応することによって架橋構造が形成される。また反応によって形成した3級アミノ基は、さらに架橋性化合物と反応することにより4級アミノ基となり、カチオン化度が増加する。
【0061】
また、ポリアミドポリアミンが改質成分を含む場合には、改質成分を反応させて得られたポリアミドポリアミンに対して架橋性化合物を反応させてもよく、或いは、ポリアミンと二塩基性カルボン酸系化合物とを重縮合して得られるポリアミドポリアミンに対して架橋性化合物を反応させた後、改質成分を反応させても良い。
【0062】
架橋性化合物の使用量は、通常、ポリアミドポリアミンの1級及び2級アミノ基の合計量に対して0.1〜2モル倍程度の範囲とすることができ、0.2〜1.1モル倍程度の範囲とすることが好ましい。
【0063】
この反応は、通常、水溶液中で実施される。その水分含量としては、通常、30〜80重量%程度、好ましくは40〜70重量%程度とすればよい。80%よりも多い水分含量で反応を行うと、反応速度が低下する傾向にあり好ましくなく、30%よりも少ない水分含量で反応を行うと反応速度が早くなる傾向にあり、反応液がゲル化する傾向にあることから好ましくない。
【0064】
ポリアミドポリアミンと架橋性化合物との反応温度は、通常、10〜80℃程度、好ましくは15〜70℃程度、より好ましくは20〜60℃程度である。ポリアミドポリアミンと架橋性化合物との反応は、例えば、未反応の架橋性化合物量が、架橋性化合物の使用量に対して、10%程度以下となるまで行えばよい。
【0065】
ポリアミドポリアミンの架橋化物は、水分含量85重量%にて25℃で測定した粘度が、1〜300mPas程度,好ましくは2〜200mPas程度であることが好ましい。この粘度を与えるポリアミドポリアミンの重量平均分子量は、概ね1,000〜1,000,000程度である。水溶性樹脂に含まれる1級、2級、3級、4級アミノ基の合計量に対する4級アミノ基の割合を意味するカチオン化度は10%から90%であることが好ましい。
【0066】
銅系金属又は銀系金属の黒化処理方法
本発明の黒化処理用組成物による処理対象は、銅若しくは銅合金からなる銅系金属、又は銀若しくは銀合金からなる銀系金属である。銅合金及び銀合金としては、それぞれ、例えば、銅又は銀を50重量%以上、好ましくは70重量%以上含む合金を用いることができる。
【0067】
処理対象とする銅系金属及び銀系金属の具体的な種類については、特に限定はなく、例えば、銅系金属としては、プリント配線板の回路部分など、無電解めっき法、電気めっき法などによって形成された銅回路部分を挙げることができる。銀系金属としては、半導体パッケージ、電子部品などに形成された銀ペーストによる回路部分、被膜部分などを挙げることができる。
【0068】
本発明の黒化処理用組成物によれば、これらの銅系金属又は銀系金属を処理対象として、黒化処理を施すことができる。これにより、銅回路部分や銀ペーストによる回路、被膜などの反射率を低減することができる。
【0069】
その他、銅、銅合金等の銅系金属、又は銀、銀合金等の銀系金属を含む各種の物品に黒化処理を施すことによって、銅系金属部分又は銀軽金属部分を均一に黒色化して、良好な装飾性を付与することができる。
【0070】
本発明の黒化処理用組成物を用いて銅系金属又は銀系金属の黒化処理を行う方法については、特に限定的ではなく、必要に応じて、被処理物の表面の汚れや酸化皮膜を除去するために、常法に従って、脱脂処理や、硫酸、塩酸などの酸性溶液に浸漬する処理を行い、水洗を行った後、黒化処理用組成物を被処理物である銅系金属又は銀系金属に接触させればよい。該黒化処理用組成物を銅系金属又は銀系金属に接触させるための具体的な方法については、特に限定的ではないが、通常は、該黒化処理用組成物中に銅系金属又は銀系金属を含む物品を浸漬すればよい。その他、銅系金属又は銀系金属の表面に該黒化処理用組成物を噴霧する方法などによっても銅系金属又は銀系金属の黒化処理を行うことができる。
【0071】
本発明の黒化処理用組成物を浸漬法によって使用する場合には、該黒化処理用組成物の液温は、通常、10〜90℃程度とすることが好ましく、20〜60℃程度とすることがより好ましい。
【0072】
黒化処理を行う際の黒化処理用組成物のpHは、0〜13程度とすることが好ましく、0〜8程度とすることがより好ましい。
【0073】
黒化処理の処理時間については、所望の黒色化が達成できる時間とすればよく、浸漬法で処理する場合には、通常、0.1〜10分程度とすればよい。
【0074】
上記した方法で黒化処理を行った後、必要に応じて、水洗及び乾燥を行うことによって、均一に黒色化された銅系金属部分又は銀系金属部分を有する物品を得ることができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0076】
製造例1
温度計、リービッヒ冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、ジエチレントリアミン55重量部、フタル酸29重量部、水10重量部及び98%硫酸6重量部を仕込み、150〜160℃で15時間、脱水反応させた。次いで、得られた反応混合物にイオン交換水を加えて樹脂分濃度を50重量%に調整し、粘度680Pas、1級及び2級アミノ基の合計量2.578mmol/gのポリアミドアミン樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミン1とする。
【0077】
製造例2
温度計、リービッヒ冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、ジエチレントリアミン72重量部、アジピン酸22重量部、水3重量部及び98%硫酸3重量部を仕込み、150〜160℃で15時間、脱水反応させた。次いで、得られた反応混合物にイオン交換水を加えて樹脂分濃度を50重量%に調整し、粘度650Pas、1級及び2級アミノ基の合計量3.1mmol/gのポリアミドアミン樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミン2とする。
【0078】
製造例3
温度計、リービッヒ冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、トリエチレントリアミン30重量部、コハク酸30 重量部、水30重量部及び98%硫酸10重量部を仕込み、150〜160℃で15時間、脱水反応させた。次いで、得られた反応混合物にイオン交換水を加えて樹脂分濃度を50重量%に調整し、粘度620Pas、1級及び2級アミノ基の合計量3.2mmol/gのポリアミドアミン樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミン3とする。
【0079】
製造例4
温度計、リービッヒ冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、ジエチレントリアミン39重量部、マレイン酸40 重量部、水20重量部及び98%硫酸1重量部を仕込み、150〜160℃で15時間、脱水反応させた。次いで、得られた反応混合物にイオン交換水を加えて樹脂分濃度を50重量%に調整し、粘度611Pas、1級及び2級アミノ基の合計量3.0mmol/gのポリアミドアミン樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミン4とする。
【0080】
製造例5
温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、製造例1で得たポリアミドポリアミン1を55.1重量部と水を30.2 重量部仕込み、30℃に保温しながら、エピクロルヒドリン10 重量部を2時間かけて滴下した後、4時間反応させた。
【0081】
これにイオン交換水2.7重量部を滴下した後、温度を50℃まで昇温した。50℃ に到達後、直ちに水1.9重量部を滴下し、硫酸により反応混合物のpHを3.4に調整し、更に水を加えて樹脂濃度を15%に希釈して、粘度6.4mPas 、カチオン化度19.2 % 、一級、二級及び三級アミノ基の合計量0.387mmol/gの水溶性樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミンの架橋物1とする。
【0082】
製造例6
製造例5と同様にして、ポリアミドポリアミン1を35.1重量部と水を31.2 重量部仕込み、30 ℃ に保温しながら、エピクロルヒドリン23.3重量部を5時間かけ滴下した後、10 時間反応させた。これにイオン交換水10.7 重量部を滴下した後、温度を50℃ まで昇温した。50℃に到達後、直ちに水1.6重量部を滴下し、硫酸により反応混合物のpHを3.4に調整し、更に水を加えて樹脂濃度を15%に希釈して、粘度6.4mPas 、カチオン化度29.0 % 、一級、二級及び三級アミノ基の合計量0.444 mmol/gの水溶性樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミンの架橋物2とする。
【0083】
製造例7
温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、製造例2で得たポリアミドポリアミン2を30.3重量部と水を39 重量部仕込み、30℃に保温しながら、エピクロルヒドリン18 重量部を2時間かけて滴下した後、6時間反応させた。
【0084】
これにイオン交換水2.7重量部を滴下した後、温度を50℃まで昇温した。50℃ に到達後、直ちに水211.6重量部を滴下し、硫酸により反応混合物のpHを3.4に調整し、更に水を加えて樹脂濃度を15%に希釈して、粘度6.0mPas 、カチオン化度23.3 % 、一級、二級及び三級アミノ基の合計量0.41mmol/gの水溶性樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミンの架橋物3とする。
【0085】
製造例8
温度計、還流冷却器及び攪拌機を備えた反応容器に、製造例2で得たポリアミドポリアミン2を30.3重量部と水を29.9 重量部仕込み、30℃に保温しながら、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル11.1 重量部を2時間かけて滴下した後、4時間反応させた。
【0086】
これにイオン交換水9.1重量部を滴下した後、温度を50℃まで昇温した。50℃ に到達後、直ちに水200.9重量部を滴下し、硫酸により反応混合物のpHを3.4に調整し、更に水を加えて樹脂濃度を15%に希釈して、粘度6.2mPas 、カチオン化度21.3 % 、一級、二級及び三級アミノ基の合計量0.30mmol/gの水溶性樹脂の水溶液を得た。この水溶液をポリアミドポリアミンの架橋物4とする。
【0087】
実施例1
縦5cm×5cm×厚さ0.2mmの圧延銅板を被処理物として用い、市販の浸漬用脱脂剤(奥野製薬工業製、商標名:DP-320クリーン)に45℃で1分間浸漬して脱脂処理を行い、水洗した。その後、該被処理物を下記表1に示す組成のNo.1〜10の各黒化処理液中に、30℃で3分間浸漬して黒化処理を行った。
【0088】
【表1】
【0089】
処理後の各試料について、目視により色調を観察し、更に、光反射率測定器を用いて、波長400nmと700nmの光の反射率を測定した。
【0090】
また、樹脂からなる基板材料上に線幅3〜5μm程度の銅による配線回路を形成したプリント配線板を被処理物として用い、上記した方法と同様の工程によって黒化処理を行い、銅による配線部分の表面及び側面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって4000倍の倍率で観察し、配線部分の平滑性を評価した。観察結果は、平滑な場合は○印、粗雑な場合は×印で示す。以上の結果を下記表2に示す。
【0091】
尚、比較試験として、黒化処理を行わなかった場合(未処理)と、実施例1と同様の脱脂処理を行った後、黒化処理として、硫化物処理又は亜鉛素酸塩処理を行った場合について、上記した方法と同様にして、反射率、圧延銅板の色調、及び配線の平滑性を評価した。
【0092】
尚、硫化物処理としては、硫酸アンモニウムを5ml/L含有する水溶液に25℃で3分間浸漬する処理を行い、亜塩素酸塩処理としては、亜塩素酸ナトリウム30 g/L、水酸化ナトリウム10 g/L及びリン酸ナトリウム10 g/Lを含有する水溶液に25℃で3分間浸漬する処理を行った。
【0093】
【表2】
【0094】
以上の結果から明らかなように、本発明の黒化処理用組成物であるNo.1〜10の黒化処理液を用いて黒化処理を行った場合には、銅板が均一に黒色化されて反射率が大きく低下することが確認できた。また、銅による配線回路を有するプリント配線基板を処理対象とした場合には、配線回路の表面及び側面の平滑性を維持できた。
【0095】
これに対して、硫化物処理を行った場合には、ある程度黒色化できるものの、反射率の低下は不十分であり、更に、銅回路の側面や表面が粗化されて、平滑性が低下した。また、亜塩素酸塩処理を行った場合には、黒色化の程度が不十分であり、反射率を十分に低減することができなかった。
【0096】
これらの結果から、本発明の黒化処理用組成物を用いることによって、平滑性をほとんど低下させることなく、銅系材料を十分に黒色化して、反射率を大きく低減できることが確認できた。
【0097】
実施例2
下記表3及び表4に示す組成のNo.11〜30の各黒化処理液を用いること以外は、実施例1と同様にして、圧延銅板の黒化処理を行った。
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】
【0100】
処理後の各試料について、実施例1と同様にして色調を観察し、波長400nmと700nmの光の反射率を測定した。更に、実施例1と同様にして、銅による配線回路を形成したプリント配線板を被処理物として黒化処理を行い、配線部分の平滑性を評価した。結果を下記表5に示す。
【0101】
【表5】
【0102】
以上の結果から明らかなように、水溶性金属化合物としてルテニウム化合物又は銀化合物を含むNo.11〜30の黒化処理液を用いて黒化処理を行った場合にも、銅板が均一に黒色化されて反射率が大きく低下し、更に、銅回路の表面及び側面の平滑性を維持できることが確認できた。
【0103】
実施例3
銀粉(同和ハイテック(株)製:銀粉ST)75重量%、ガラスフリット(奥野製薬工業(株)製:GF3550)5重量%、及びオイル(奥野製薬工業(株)製:OIL-6018)20重量%を主成分とする銀ペーストを調製し、これを縦5cm×横5cm×厚さ0.5mmのアルミナ基板の全面にスクリーン印刷し、600℃で10分間焼成して、アルミナ基板上に銀ペースト皮膜を形成した。
【0104】
上記した銀ペースト皮膜を形成したセラミックス基板を被処理物として用いること以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト皮膜の黒化処理を行い、更に、処理後の各試料について、実施例1と同様にして色調を観察し、波長400nmと700nmの光の反射率を測定した。処理液としては、実施例1で用いたNo.1〜10の黒化処理液と、実施例2で用いたNo.11〜30の黒化処理液と同一組成の処理液を用いた。結果を下記表6及び表7に示す。
【0105】
【表6】
【0106】
【表7】
【0107】
以上の結果から明らかなように、銀ペースト皮膜を形成した物品を被処理物とした場合にも、本発明の黒化処理用組成物であるNo.1〜30の黒化処理液を用いて黒化処理を行うことによって、銀ペースト皮膜が均一に黒色化されて反射率が大きく低下することが確認できた。
本発明は、プリント配線板の銅回路や銀ペーストによって形成された回路、その他各種の銅、銅合金、銀、銀合金等の銅系金属又は銀系金属を含む物品について、銅系金属又は銀系金属の平滑性を損なうことなく、十分に黒色化することが可能な新規な黒化処理用組成物の提供を課題とする。
(iii)アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリアミドポリアミン及びポリアミドポリアミンの架橋化物からなる群から選ばれた少なくとも一種の窒素原子含有化合物