特許第5862975号(P5862975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5862975電子装置、情報処理システム、および装置のプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5862975
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】電子装置、情報処理システム、および装置のプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20160202BHJP
【FI】
   H04L12/28 200A
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-179224(P2013-179224)
(22)【出願日】2013年8月30日
(65)【公開番号】特開2015-50514(P2015-50514A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2014年9月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084250
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】川邉 滋
【審査官】 谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−110001(JP,A)
【文献】 特開2012−165167(JP,A)
【文献】 特開2012−104970(JP,A)
【文献】 特開2005−303622(JP,A)
【文献】 特開2005−217976(JP,A)
【文献】 ネットワークでよくあるはなし,Windows 2000 magazine No.5,株式会社アスキー,2001年 4月 1日,p.40-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定的に割り当てられた所定の固定アドレス情報で相手先装置と通信を行う固定アドレス通信手段と、
他装置からアドレス情報を割り当てられた場合、当該割り当てられた可変アドレス情報で相手先装置と通信を行う可変アドレス通信手段と、
前記固定アドレス通信手段と前記可変アドレス通信手段のうち、前記固定アドレス情報と前記可変アドレス情報とは異なるネットワークセグメントに属し、前記相手先装置のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に前記相手先装置から送信されるブロードキャストパケットの送信先のアドレス通信手段を使用して該相手先装置との通信を行うよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記固定アドレス通信手段および前記可変アドレス通信手段、1つの通信部により実現され、
前記制御手段は、前記固定アドレス通信手段および前記可変アドレス通信手段の何れかを有効にするよう制御することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
相手先装置から送信されたパケットに含まれる自装置のアドレス情報が前記固定アドレス通信手段における前記所定の固定アドレス情報である場合、前記固定アドレス通信手段で通信を行うと共に前記可変アドレス通信手段を無効化し、
相手先装置から送信されたパケットに含まれる自装置のアドレス情報が前記可変アドレス通信手段における前記割り当てられた可変アドレス情報である場合、前記可変アドレス通信手段で通信を行うと共に前記固定アドレス通信手段を無効化することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記無効化した場合、所定の入力が検出されるまでの間、該無効化した状態を保持し、該所定の入力が検出された時点で該無効化した状態を解除することを特徴とする請求項に記載の電子装置。
【請求項5】
TV受信機能を有することを特徴とする請求項1からの何れか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
電子装置と情報処理装置とが通信可能に接続されて構成された情報処理システムであって、
前記電子装置は、
固定的に割り当てられた所定の固定アドレス情報で前記情報処理装置と通信を行う固定アドレス通信手段と、
他装置からアドレス情報を割り当てられた場合、当該割り当てられた可変アドレス情報で前記情報処理装置と通信を行う可変アドレス通信手段と、
前記固定アドレス通信手段と前記可変アドレス通信手段のうち、前記固定アドレス情報と前記可変アドレス情報とは異なるネットワークセグメントに属し、前記情報処理装置のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に前記情報処理装置から送信されるブロードキャストパケットの送信先のアドレス通信手段を使用して該情報処理装置との通信を行うよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
前記固定アドレス通信手段および前記可変アドレス通信手段、1つの通信部により実現され、
前記制御手段は、前記固定アドレス通信手段および前記可変アドレス通信手段の何れかを有効にするよう制御することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記情報処理装置から送信されたパケットに含まれる前記電子装置のアドレス情報が前記固定アドレス通信手段における前記所定の固定アドレス情報である場合、前記固定アドレス通信手段で通信を行うと共に前記可変アドレス通信手段を無効化し、
前記情報処理装置から送信されたパケットに含まれる前記電子装置のアドレス情報が前記可変アドレス通信手段における前記割り当てられた可変アドレス情報である場合、前記可変アドレス通信手段で通信を行うと共に前記固定アドレス通信手段を無効化することを特徴とする請求項6又は7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記制御手段は、前記無効化した場合、所定の入力が検出されるまでの間、該無効化した状態を保持し、該所定の入力が検出された時点で該無効化した状態を解除することを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記固定アドレス通信手段における前記所定の固定アドレス情報は、前記電子装置のアドレス情報として前記情報処理装置に予め設定されたことを特徴とする請求項6から9の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記他装置はDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバであり、
前記DHCPサーバが前記情報処理システムに通信可能に接続された場合、前記電子装置および前記情報処理装置は、
前記電子装置における前記可変アドレス通信手段に対して前記DHCPサーバから割り当てられたアドレス情報と、
前記情報処理装置に対して前記DHCPサーバから割り当てられたアドレス情報と、の間で通信を行うことを特徴とする請求項6から10の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記電子装置は、TV受信機能を有することを特徴とする請求項6から11の何れか1項に記載の情報処理システム。
【請求項13】
通信の相手先装置から送信されたパケットを受信したアドレス通信処理を使用して固定アドレス通信処理及び可変アドレス通信処理の何れかで該相手先装置との通信を行うよう制御する制御処理を電子装置のコンピュータに実行させ、
前記固定アドレス通信処理では、固定的に割り当てられた所定の固定アドレス情報で相手先装置と通信を行い、
可変アドレス通信処理では、他装置からアドレス情報を割り当てられた場合に当該割り当てられた可変アドレス情報で相手先装置と通信を行い、
前記固定アドレス通信処理と前記可変アドレス通信処理のうち、前記固定アドレス情報と前記可変アドレス情報とは異なるネットワークセグメントに属し、前記相手先装置のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に前記相手先装置から送信されるブロードキャストパケットの送信先のアドレス通信処理を使用して該相手先装置との通信を行うことを特徴とする電子装置のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手先装置と通信を行う機能を備えた電子装置、情報処理システム、および装置のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線や有線によるLAN(Local Area Network)が普及し、初心者にも使いやすくするよう工夫がなされたものがある。
こうした情報処理システムとして、図3に示す従来の情報処理システムは、PC80と電子装置90とが無線または有線により接続されて構成される。
【0003】
PC80は、通信部81と、接続設定を行うアプリケーションなどによる接続設定部82と、制御部83とを備えて構成される。
電子装置90は、通信部91と、電子装置90としての所定の機能を実現する制御部92とを備えて構成される。
【0004】
こうした構成により、図3(a)に示すように、ユーザが購入した初期状態などにPC80と電子装置90のみの間で通信を行う場合には、PC80の通信部81と、電子装置90の通信部91とのそれぞれが、予め設定された固定IP(Internet Protocol)アドレスで通信を行う。こうして、購入時から固定IPが予め設定された状態としておくことで、ユーザが初心者の場合であっても、設置してすぐに通信することができる。
【0005】
また、図3(b)に示すように、インターネットへの接続などのためにユーザがルータ30を接続した場合、一般にルータはDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバとしての機能を有する。このため、PC80の通信部81がDHCPで割り当てられたIPアドレスで通信を行うと共に、接続設定部82で電子装置90の通信部91を固定IPモードからDHCPモードに切り替える。こうして、電子装置90の通信部91が、予め設定された固定IPで通信を行うモードから、DHCPで割り当てられたIPアドレスで通信を行うモードとなる。こうして、PC80と電子装置90との間で、DHCPにより割り当てられたIPアドレスによる通信が行われる。
【0006】
また、アドレス競合の防止を目的としたストレージエリアネットワークとして、異なるディスク間でのアドレス競合が検出された場合に、競合している一方のアドレス情報を予備用のアドレス情報に切り替えさせるよう中央制御装置が制御するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−217595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した図3に示す情報処理システムでは、図3(b)に示すように、PC80の接続設定部82で電子装置90の通信部91を固定IPモードからDHCPモードに切り替える際、ユーザが初心者で切替設定に失敗すると、PC80と電子装置90との間での通信ができなくなっていた。すなわち、DHCPにより割り当てられたアドレス情報によりPC80と電子装置90との間で通信を行うためには、PC80の接続設定部82での切替設定が必要になり、この切替設定に失敗すると、初期状態に戻して再度設定し直す必要があった。こうした初期状態に戻して再設定する操作は、特にユーザが初心者である場合には難易度が高く、製品の普及への心理的な障害となっていた。
【0009】
また、上述した特許文献1のものは、システム全体を制御する中央制御装置が切替制御を行うものであり、初心者向けの設定を簡略化することについてまで考慮されたものではなかった。
【0010】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザが初心者の場合であっても、割り当てられたアドレス情報での通信に簡単に切り替えできる電子装置、情報処理システム、および装置のプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するために、本発明に係る電子装置は、固定的に割り当てられた所定の固定アドレス情報で相手先装置と通信を行う固定アドレス通信手段と、他装置からアドレス情報を割り当てられた場合、当該割り当てられた可変アドレス情報で相手先装置と通信を行う可変アドレス通信手段と、前記固定アドレス通信手段と前記可変アドレス通信手段のうち、前記固定アドレス情報と前記可変アドレス情報とは異なるネットワークセグメントに属し、前記相手先装置のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に前記相手先装置から送信されるブロードキャストパケットの送信先のアドレス通信手段を使用して該相手先装置との通信を行うよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る情報処理システムは、電子装置と情報処理装置とが通信可能に接続されて構成された情報処理システムであって、前記電子装置は、固定的に割り当てられた所定の固定アドレス情報で前記情報処理装置と通信を行う固定アドレス通信手段と、他装置からアドレス情報を割り当てられた場合、当該割り当てられた可変アドレス情報で前記情報処理装置と通信を行う可変アドレス通信手段と、前記固定アドレス通信手段と前記可変アドレス通信手段のうち、前記固定アドレス情報と前記可変アドレス情報とは異なるネットワークセグメントに属し、前記情報処理装置のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に前記情報処理装置から送信されるブロードキャストパケットの送信先のアドレス通信手段を使用して該情報処理装置との通信を行うよう制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る電子装置のプログラムは、通信の相手先装置から送信されたパケットを受信したアドレス通信処理を使用して固定アドレス通信処理及び可変アドレス通信処理の何れかで該相手先装置との通信を行うよう制御する制御処理を電子装置のコンピュータに実行させ、前記固定アドレス通信処理では、固定的に割り当てられた所定の固定アドレス情報で相手先装置と通信を行い、可変アドレス通信処理では、他装置からアドレス情報を割り当てられた場合に当該割り当てられた可変アドレス情報で相手先装置と通信を行い、前記固定アドレス通信処理と前記可変アドレス通信処理のうち、前記固定アドレス情報と前記可変アドレス情報とは異なるネットワークセグメントに属し、前記相手先装置のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に前記相手先装置から送信されるブロードキャストパケットの送信先のアドレス通信処理を使用して該相手先装置との通信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明によれば、ユーザが初心者の場合であっても、割り当てられたアドレス情報での通信に簡単に切り替えできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態としての情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
図2】固定アドレス通信部21およびDHCPアドレス通信部22を仮想的に実現する場合の構成例を模式的に示すブロック図である。
図3】従来の情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明に係る電子装置、情報処理システム、および装置のプログラムを適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
本実施形態の情報処理システムは、図1に示すように、PC10と電子装置20とが無線または有線により接続されて構成される。
【0018】
PC10は、通信部11と、制御部12とを備えて構成される。通信部11は、設定された固定IPアドレスによる通信と、DHCPにより他装置から割り当てられたIPアドレスによる通信との何れも可能となっており、初期状態では所定の固定IPアドレスが予め設定される。また、初期状態では電子装置20の固定アドレス通信部21に予め設定される所定の固定IPアドレスが、電子装置20のIPアドレスとして記憶される。
【0019】
電子装置20は、固定アドレス通信部21と、DHCPアドレス通信部22と、電子装置20としての所定の機能を実現する制御部23とを備えて構成される。
固定アドレス通信部21は、設定された固定IPアドレスによる通信を行う。初期状態では所定の固定IPアドレスが予め設定される。また、PC10に予め設定される所定の固定IPアドレスが、初期状態ではPC10のIPアドレスとして記憶される。
DHCPアドレス通信部22は、DHCPにより他装置から割り当てられたIPアドレスによる通信を行う。
【0020】
こうした構成により、図1(a)に示すように、ユーザが購入した初期状態などにPC10と電子装置20のみの間で通信を行う場合には、PC10の通信部11と、電子装置20の固定アドレス通信部21とのそれぞれが、予め設定された固定IPアドレスで通信を行う。
【0021】
この場合、電子装置20が受信するパケットのパケットヘッダに含まれる送信元アドレスが、PC10の通信部11に予め設定された固定IPアドレスであり、送信先アドレスが、電子装置20の固定アドレス通信部21に予め設定された固定IPアドレスとなる。こうしたパケットを受信すると、電子装置20の制御部23は、パケットヘッダに含まれる送信元アドレスおよび送信先アドレスを確認し、PC10の通信部11が電子装置20を固定IPアドレスで認識していると判断する。そして、予め設定された固定IPアドレスを自装置のアドレス情報として、所定の認証や暗号化による通信接続を確立する。
【0022】
こうして、購入時の初期状態から固定IPが予め設定された状態としておくことで、ユーザが初心者の場合であっても、設置してすぐに通信することができる。
【0023】
また、図1(b)に示すように、インターネットへの接続などのためにユーザがルータ30を接続した場合、一般にルータはDHCPサーバとしての機能を有する。このため、PC10の通信部11、および電子装置20のDHCPアドレス通信部22には、それぞれDHCPによるIPアドレスが割り当てられる。
【0024】
このため、電子装置20のDHCPアドレス通信部22は、DHCPにより割り当てられたIPアドレスで通信が可能となる。このため、電子装置20の制御部23は、固定アドレス通信部21と、DHCPアドレス通信部22との何れでも送受信可能となる。
【0025】
また、DHCPによるIPアドレスの割り当てが行われたことを検出すると、PC10の通信部11は、DHCPで割り当てられたIPアドレスで通信を行う。
このため、電子装置20が受信するパケットのパケットヘッダに含まれる送信元アドレスが、DHCPによりPC10の通信部11に割り当てられたIPアドレスとなり、送信先アドレスが、DHCPにより電子装置20のDHCPアドレス通信部22に割り当てられたIPアドレスとなる。
なお、固定IPアドレスとDHCPにより割り当てられたIPアドレスとは、異なるネットワークセグメントに属している。そして、PC10又は電子装置20からそれぞれ送信されたパケットは、PC10又は電子装置20のアドレスの属するネットワークセグメントに属するアドレスを有する全ての装置において受信可能に送信されるブロードキャストパケットである。
【0026】
こうしたパケットを受信すると、電子装置20の制御部23は、パケットヘッダに含まれる送信元アドレスおよび送信先アドレスを確認し、PC10の通信部11がDHCPモードとなっていると判断する。そして、DHCPによりにより電子装置20のDHCPアドレス通信部22に割り当てられたIPアドレスを自装置のアドレス情報として、所定の認証や暗号化による通信接続を確立する。
【0027】
このため、ルータ30が接続されることにより、DHCPによるIPアドレスがPC10および電子装置20に割り当てられた場合であっても、ユーザによる設定操作を何ら必要とせず、PC10と電子装置20との通信を継続することができる。
【0028】
なお、こうして通信接続が確立された後、電子装置20の制御部23は、固定アドレス通信部21と、DHCPアドレス通信部22との何れでも送受信可能としてもよく、確立した通信接続に用いていない側の通信部を無効化する制御を行う構成であってもよい。
【0029】
こうした無効化の制御を行う構成である場合、例えばPC10から電子装置20の有無を検索するためのブロードキャストパケットを受信した場合に、電子装置20の制御部23がその無効化された状態を解除する構成としてもよい。
【0030】
また、例えば不図示のリセットボタンなどをさらに備えた構成としてもよい。この場合、例えばリセットボタンからの入力が検出されるまでの間、電子装置20の制御部23がその無効化された状態を保持し、リセットボタンからの入力が検出された時点で、電子装置20の制御部23がその無効化された状態を解除する構成としてもよい。また、こうしてリセットボタンにより無効化の状態を解除した場合、電子装置20の制御部23が再度、初期状態に戻り、固定アドレス通信部21での予め設定された固定IPアドレスで通信を行う構成としてもよい。
【0031】
上述した固定アドレス通信部21と、DHCPアドレス通信部22とは、それぞれについてハードウェアによる通信アダプタを備えて実現してもよく、また、1つの物理的な通信アダプタを用いてソフトウェア制御でそれぞれを実現してもよい。
【0032】
次に、上述した固定アドレス通信部21と、DHCPアドレス通信部22とをソフトウェア制御により仮想的に実現する場合の構成例について、図2を参照して説明する。
【0033】
図2の構成例では、物理的アダプタ55を1つだけ備え、不図示の記憶部に格納されたプログラムによるソフトウェア制御により、固定IPアドレスで通信を行う仮想アダプタ52と、DHCPにより割り当てられたIPアドレスにより通信を行う仮想アダプタ53とを仮想的に実現する。そして、仮想アダプタ52、53のそれぞれのオン/オフを切り替える仮想スイッチ51と、これら仮想アダプタ52、53を1つの物理的アダプタ55に接続させる仮想ハブ54と、をソフトウェア制御により仮想的に実現する。
【0034】
こうした構成の場合、仮想アダプタ52、53の何れか一方により通信接続を確立した後、物理的アダプタ55は1つしかないため、その通信接続に用いた一方のみを有効とし、他方の仮想アダプタをそのプログラムによるソフトウェア制御により無効化する。
【0035】
以上のように、上述した本発明の実施形態では、電子装置20が固定アドレス通信部21と、DHCPアドレス通信部22とを備え、PC10から送信されたパケットに含まれる自装置のアドレス情報に応じて、その何れかでPC10との通信接続を確立させる。
【0036】
このため、製品購入時の初期状態など、DHCPによるIPアドレスの割り当てが行われていない状態であっても、DHCPによりIPアドレスが割り当てられた状態とされた場合であっても、ユーザによる設定操作を何ら必要とせず、PC10と電子装置20との通信を継続することができる。
【0037】
このため、固定IPアドレスによる通信と、DHCPによる割り当てられたアドレス情報での通信との切り替えを、従来のような専用アプリケーションによる接続設定を必要とせず、モード変更不要で行うことができる。
【0038】
このため、購入初期状態にも、設置するだけですぐに、予め設定された固定IPアドレスでの通信ができ、かつ、DHCPサーバとしての機能を有するルータ30を接続した際にも、設定不要で失敗のおそれなく、DHCPでの通信に切り替えることができる。
このため、ユーザが初心者の場合であっても、DHCPによる割り当てられたアドレス情報での通信に簡単に切り替えができ、電子機器20の導入に当たっての心理的な障害を取り除くことができる。このため、初心者でも使いやすい電子機器20による情報処理システムを提供することができる。
【0039】
特に、PC10でTV受信機能を実現しようとする場合、TVアンテナに接続するアンテナケーブルに有線で接続する部分が必要となる。このため、PC10がノート型コンピュータである場合、有線で接続しようとすると携帯性を損なうおそれがある。
こうした場合であっても、電子機器20の制御部23がTV受信機能を有する構成とすることで、ノート型コンピュータの携帯性を損なうことなくTVを受信可能とできる。このため、ユーザが初心者であっても簡単に設置することができ、さらに携帯性も損なうことがない情報処理システムを提供することができる。
【0040】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0041】
例えば、装置間の通信に用いるアドレス情報はIPアドレスに限定されず、任意のものを用いてよい。
【0042】
また、図2により上述した電子装置のプログラムは、不図示の記憶部に格納されることとして説明したが、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリーカード、ROM等に格納されてもよい。
すなわち、本発明の実施形態による上述した各機能が、上述した記録媒体から供給されるプログラムによって、電子装置のCPUや、電子装置に接続されたPCが処理を行うことにより実現されてもよい。
そして、その場合、上述した記録媒体により、あるいはネットワークを介して外部の記録媒体から、プログラムを含む情報群を出力装置に供給される場合でも本発明は適用されるものである。
すなわち、記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体および該記録媒体から読み出された信号は本発明を構成することになる。
【0043】
この本発明に係るプログラムによれば、当該プログラムによって制御される電子装置に、上述した実施形態における各機能を実現させることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 PC
11 通信部
12 制御部
20 電子装置
21 固定アドレス通信部
22 DHCPアドレス通信部
23 制御部
30 ルータ
51 仮想スイッチ
52、53 仮想アダプタ
54 仮想ハブ
55 物理的アダプタ
図1
図2
図3