(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反射面が、任意の点を起点として一方向に延びる第1の直線を、前記任意の点を起点とし、かつ前記第1の直線とは平行でない第2の直線を回転軸として360度回転させたときに、第1の直線により形成される面である、請求項2に記載の塗布装置。
前記スプレーノズルの先端側の、前記流動性を示す媒体が吐出される部分よりも外方に、前記噴霧方向変換部材の反射部と対向する第2の反射部をさらに有し、前記第2の反射部は、前記噴霧方向変換部材の反射部の反射面で反射したゾルをさらに反射して外方に噴霧するように形成された反射面を有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の塗布装置。
前記第2の反射部は、任意の点を起点として一方向に延びる第1の直線を、前記任意の点を起点とし、かつ前記第1の直線とのなす角度が45度〜135度である第2の直線を回転軸として360度回転させたときに、第1の直線により形成される面を有する、請求項12に記載の塗布装置。
前記噴霧方向変換部材が、前記スプレーノズルの先端から、前記液状物の吐出方向に延び、かつ先端が閉じられている中空部分を有する筒状本体を有し、前記筒状本体の側壁には、内管からの液状物の吐出方向と交差する方向に該側壁を貫通する開口部が形成されており、該開口部からゾルが外方に噴霧される、請求項18に記載の液状物の塗布方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のスプレーノズルを用いた場合、薬液エアロゾルが周囲に無秩序に飛散しがちである。そのため、薬液が管状の容器の外部に飛散することがある。また、管状の容器内面の所望とする特定の領域にのみ薬液を塗布することが難しい。
【0006】
本発明の目的は、管状の容器の内面の特定の領域に液状物を塗布することができる塗布装置、及び、スプレーノズルを用いて管状の容器の内面に液状物を塗布する方法であって、容器外部への液状物の飛散が生じ難く、しかも、筒状容器の内面の特定の領域に液状物を塗布する液状物の塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る塗布装置は、管状の容器の内面の特定の領域に液状物を塗布するための塗布装置であって、液状物を吐出する内管と、該内管が挿入されており、流動性を示す媒体を吐出する外管とを有し、外管から吐出される媒体により、内管から吐出される液状物をゾルとして先端から噴霧するスプレーノズルと、スプレーノズルの先端側に固定されており、ゾルの外方への噴霧方向を、液状物の吐出方向と交差する方向に変化させる噴霧方向変換部材とを備える。
【0008】
前記噴霧方向変換部材は、好ましくは、スプレーノズルの先端から、液状物の吐出方向に延び、かつ先端が閉じられている中空部分を有する筒状本体を有し、筒状本体の側壁には、内管からの液状物の吐出方向と交差する方向に該側壁を貫通する開口部が形成されている。該開口部からゾルが外方に噴霧される。この場合には、内管からの液状物の吐出方向と交差する方向に開口部が側壁を貫通しており、開口部から外方に噴霧されるゾルの噴霧方向が規制される。従って、管状の容器の内面の特定の領域のみに液状物を塗布し易くなる。
【0009】
前記噴霧方向変換部材は、筒状本体の開口部よりも先端側に設けられている、ゾルを反射する反射面を有する反射部をさらに備えるのがより好ましい。この場合には、上記反射部に至ったゾルが反射部により反射される。従って、反射方向を調整することにより、管状の容器の内面の特定の領域のみに液状物を塗布し易くなる。
【0010】
前記反射面は平面であってもよく、あるいは前記スプレーノズル側に突出している凸状面または最奥部が前記スプレーノズルとは反対側に位置している凹状面であってもよい。
【0011】
前記反射面が、任意の点を起点として一方向に延びる第1の直線を、前記任意の点を起点とし、かつ第1の直線とは平行でない第2の直線を回転軸として360度回転させたときに、第1の直線により形成される面であることが好ましい。すなわち、上記反射部は、上記回転によって第1の直線により形成される、上記面として平面又は円錐面を有するのが好ましい。この場合には、反射方向を調整し易くなり、管状の容器の内面の特定の領域のみに液状物を塗布し易くなる。
【0012】
上記第1の直線と第2の直線とのなす角度は、45度〜135度の範囲内であることが好ましい。この場合には、該角度範囲外の場合に比べ、管状の容器の内面の開口部が対向している領域にゾルを集めやすくなる。それによって、管状の容器の内面の特定の領域に、より一層液状物を塗布し易くなる。
【0013】
上記第1の直線と第2の直線とのなす角度は、90度がより好ましい。この場合には、反射部の形成が容易となる。さらに、ゾルを集める領域を調整し易く、ゾルをより一層管状の容器の内面の特定の領域に塗布し易くなる。さらに好ましくは、第1の直線は、液状物の吐出方向に対して直交するように設けられる。この時、第2の直線は液状物の吐出方向となる。
【0014】
前記内管は、その先端開口形状が円であり、かつ、前記第2の直線は、前記円の中心から液状物の吐出方向に延びる直線であることが好ましい。
【0015】
本発明の塗布装置は、好ましくは、スプレーノズルの先端側の、流動性を示す媒体が吐出される部分よりも外方に、噴霧方向変換部材の反射部と対向する第2の反射部をさらに有し、該第2の反射部は、噴霧方向変換部材の反射部の反射面で反射したゾルをさらに反射して外方に噴霧するように形成された反射面を有する。
【0016】
前記第2の反射部は、任意の点を起点として一方向に延びる第1の直線を、前記任意の点を起点とし、かつ第1の直線とのなす角度が45度〜135度である第2の直線を回転軸として360度回転させたときに、第1の直線により形成される面を有するのが好ましい。この場合には、ゾルを第2の反射部においてより効果的に管状の容器の内面の特定の領域に向かって反射させることができる。
【0017】
上記流動性を示す媒体は、好ましくは気体である。それによって、液状物をエアロゾルとしてスプレーノズルから噴霧することができる。上記スプレーノズルから噴霧されるゾルはエアロゾルであることが好ましい。
【0018】
本発明の塗布装置は、管状の容器の内面に液状物を塗布する様々な用途に用いられるが、上記管状の容器は血液検査用容器であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る液状物の塗布方法は、管状の容器の内面の特定の領域に液状物を塗布する方法であって、本発明に従って構成された塗布装置を、外方へのゾルの噴霧方向が管状の容器の特定の領域に向くように容器の中に位置させる工程と、前記塗布装置のスプレーノズルの内管から液状物を吐出させ、かつ、前記塗布装置のスプレーノズルの外管から流動性を示す媒体を吐出させることで、スプレーノズルからゾルを噴霧させ、さらにゾルの外方への噴霧方向を、塗布装置の噴霧方向変換部材により、スプレーノズルの内管からの液状物の吐出方向から交差する方向に変化させて、ゾルを容器の特定の領域に塗布する工程とを備える。
【0020】
好ましくは、前記噴霧方向変換部材は、スプレーノズルの先端から、液状物の吐出方向に延び、かつ先端が閉じられている中空部分を有する筒状本体を有し、筒状本体の側壁には、内管からの液状物の吐出方向と交差する方向に該側壁を貫通する開口部が形成されている。該開口部からゾルが外方に噴霧される。この場合には、内管からの液状物の吐出方向と交差する方向に側壁を貫通して形成された開口物を通してゾルが噴霧される。従って、ゾルの噴霧方向が規制され、管状の容器の内面の特定の領域のみに液状物を塗布し易くなる。
【0021】
好ましくは、前記流動性を示す媒体は気体であり、前記スプレーノズルから噴霧されるゾルはエアロゾルであり、かつ、前記管状の容器は血液検査用容器であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の塗布装置によれば、スプレーノズルの先端から噴霧されるゾルの外方への噴霧方向を、噴霧方向変換部材により、液状物吐出方向と交差する方向に変化させるので、管状の容器の内面の特定の領域のみに液状物が付着するように、噴霧方向を設定することができる。従って、本発明の塗布装置を用いることにより、液状物を管状の容器の内面の特定の領域に塗布することができる。しかも、上記噴霧方向変換部材により、ゾルの外方への噴霧方向が規制される。従って、ゾルが無秩序に飛散することがない。また、噴霧方向を調整することにより、管状の容器の外へのゾルの飛散も生じ難くなる。
【0023】
本発明の液状物の塗布方法は、本発明に従って構成された塗布装置を用いているので、複雑な工程を追加することなく、管状の容器の内面の特定の領域に液状物を塗布することができる。また、管状の容器の内面の特定の領域のみにゾルが噴霧されるので、管状の容器の外へのゾルの飛散が生じ難く、かつ効率的に液状物を塗布することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。尚、図面では各部材を模式的に表しており、図面中の寸法比は実際の寸法と異なる場合がある。
【0026】
以下の実施形態では、液状物として薬液を用い、管状の容器として血液検査用容器を用い、流動性を示す媒体として気体を用いた塗布装置、及び該塗布装置を用いて薬液を塗布する方法を説明する。もっとも、本発明において、液状物は薬液に限られず、様々な液状物であってよく、管状の容器は血液検査用容器に限られず、様々な管状の容器であってよい。
【0027】
また、本発明において、流動性を示す媒体についても、気体に限らず、液体等を用いてもよい。流動性を示す媒体として気体を用いた場合に、スプレーノズルから噴霧されるゾルがエアロゾルとなる。
【0028】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る塗布装置を含む装置の概略構成図である。
図1(b)は、
図1(a)に示す塗布装置の要部を模式的に示す部分切欠正面断面図である。なお、
図1及び後述の図では、図示及び説明の便宜上、スプレーノズル及び噴霧方向変換部材等の寸法を実際の寸法から適宜変更して図示している。
【0029】
装置1は、塗布装置10を備えており、他に薬液タンク2、ポンプ5等を有する。塗布装置10は、スプレーノズル4、噴霧方向変換部材12等を有する。薬液タンク2内には、塗布しようとする薬液が収納されている。
【0030】
薬液タンク2は、配管3を介してスプレーノズル4に接続されている。配管3の途中には、薬液を送液するために、ポンプ5が接続されている。薬液タンク2、配管3及びポンプ5は、従来からスプレーノズルを用いて薬液を塗布するのに用いられている適宜の材料及び構造に従って形成することができる。
【0031】
図2に正面断面図で模式的に示すように、スプレーノズル4は、内管6と、内管6が挿入されている外管7とを有する。
図2では、内管6と、外管7とは、上流側で一体的に構成されているが、内管6及び外管7は別部材で構成され、一部で連結されていてもよい。スプレーノズル4の上流側には、内管の開口部6aが位置している。開口部6aに配管3が接続され、薬液が内管6内に供給される。内管6の先端(下流側)には、薬液が吐出される吐出口6bが開口している。すなわち、内管6は、開口部6aと吐出口6bとを結ぶ薬液流路を有する部材である。本実施形態では、内管6は、円筒状の形状を有しているが、角筒状などの他の形状を有していてもよい。本実施形態では、内管6は円筒状なので、内管6の先端開口形状は円である。
【0032】
外管7は、内管6の外壁と外管7の内壁との間の空間に、圧力媒体としての圧縮ガスなどの気体を供給するために設けられている。本実施形態では、外管7は円筒状の形状を有している。従って、内管6の外壁と外管7の内壁との間の空間8は、
図3に示すように、横断面が略円状の空間となっている。空間8の上流側は、外管7の側方に設けられた開口部9(
図2参照)に連通されている。
【0033】
図5(a)は、内管6が外管7の中心付近に位置できるようにするセンタリング構造体の一部を模式的に示す部分切欠正面断面図、及び
図5(b)は
図5(a)中のZ−Z線に沿う断面図である。内管6の外壁は、外管7の内壁に固定されているセンタリング構造体20と接して、外管7の中心付近に、内管6が位置できるようにしている。このセンタリング構造体20の寸法を制御することにより、内管6を、外管7の中心に容易に位置させることができる。
【0034】
もっとも、内管6を外管7の中心付近に位置させるセンタリング構造体20についてはこれに限定されるものではない。また、センタリング構造体20は、内管6の外側、または外管7の内側のいずれに固定されても良い。
【0035】
図1(a)に示すように、配管31が外管7の側方の開口部9に接続されている。配管31は、圧縮ガスなどの気体を空間8に供給するためのコンプレッサ11に接続されている。なお、配管31の途中には、気体の流量を調節するための弁Vが接続されている。配管31、コンプレッサ11及び弁Vは、スプレーにより薬液を塗布する際に従来から用いられている、適宜のコンプレッサ、配管及び弁により形成することができる。
【0036】
コンプレッサ11から配管31を通して気体が空間8に供給され、スプレーノズル4の先端において、内管6から吐出された薬液が、空間8から吐出する気体により剪断され、薬液エアロゾルとなる。
【0037】
図3は、
図2のD−D線に沿う部分の断面図である。内管6及び外管7において、内管6の外径をd1、外管7の内径をD1としたときに、空間8の厚み、すなわち外管7の内壁と内管6の外壁との間の距離d2が、D1とd1との差ΔDの25〜75%の範囲内であることが望ましい。この範囲内であれば、均一な薬液エアロゾルをより確実に形成することができる。もっとも、d2の大きさについてはこれに限定されるものではない。
【0038】
塗布装置10は、スプレーノズル4の先端に、噴霧方向変換部材12が固定されている。
図1(b)及び
図4に示すように、噴霧方向変換部材12は、筒状本体13を有する。
【0039】
図4に示すように、筒状本体13は、基端側に開口13aを有する。開口13a近傍の筒状本体13の内周面には、雌ネジ13bが形成されている。スプレーノズル4の外管7の先端側の外周面には雄ネジが形成されている。外管7の先端側の雄ネジの部分を筒状本体13の雌ネジ13bの部分にねじ込むことにより、噴霧方向変換部材12がスプレーノズル4に固定される。
【0040】
なお、筒状本体13において、基端とは、スプレーノズル4側の端部をいうものとし、先端とは、基端とは反対側の端部をいうものとする。ここで、筒状本体13は、後述の反射部14をも含むものとする。従って、筒状本体13の先端13fとは、後述の反射部14の
図4における下面に相当する。反射部14により、筒状本体13は、先端が閉じられていることになる。
【0041】
もっとも、噴霧方向変換部材12を、スプレーノズル4の先端側に固定する構造はこれに限定されるものではない。例えば、接着剤などの接合材を用いて固定するなど、適宜の固定方法を用いてよい。本実施形態のようにネジ止めにより固定した場合には、噴霧方向変換部材12を、スプレーノズル4に対し着脱自在とすることができる。従って、噴霧方向変換部材12を容易に交換したり、他の形状の噴霧方向変換部材に容易に変更することができる。
【0042】
筒状本体13の基端と先端との間において、複数の開口部13c,13cが形成されている。筒状本体13内には、開口13aから連なる中空部が、基端側から先端側に向かって、開口部13c,13cに至るように形成されている。開口部13c,13cは、基端側から先端側に向かって延びる細い連結部13d,13dを設けることにより形成されている。開口部13cは、筒状本体13を側方からみた場合、略矩形の形状を有する。但し、開口部13cは、略矩形の形状に限定されない。複数の開口部13c,13cは、筒状本体13の周方向に分散配置されている。
【0043】
連結部13d,13dは、その外側の面が、筒状本体13の外周面の一部であり、適宜の厚みを有している。本実施態様では、連結部13d,13dの厚みは、筒状本体13の開口13aが形成されている部分の肉厚と同等とされている。従って、開口13aから連なる中空部が形成されている部分の筒状本体13の内周面と連なるように連結部13d,13dの内面が形成されている。もっとも、連結部13d,13dの厚みは、筒状本体13の開口13aが形成されている部分の肉厚よりも薄くともよく、あるいは厚くともよい。
【0044】
開口部13c,13cは、側方からみた場合、略矩形の形状を有するが、平面視した場合には、略半円状の形状を有する。
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態では、2個の開口部13c,13cが、筒状本体13の周方向に分散配置されている。もっとも、3以上の開口部が周方向に分散配置されていてもよい。その場合には、2以上の連結部が設けられることになる。
【0045】
連結部13d,13dは、上下方向に伸びる細いストリップ状の形状を有し、その幅は、開口部13c,13cの筒状本体13の周方向に沿う長さよりもはるかに狭い。すなわち、開口部13c,13cが設けられている高さ位置においては、筒状本体13の外周面の大部分を複数の開口部13c,13cが占める。これは、開口部13c,13cが、薬液エアロゾルを外方に噴霧させるための部分であるため大きな面積が必要であること、並びに連結部13d,13dは、筒状本体13の基端と先端とを単に連結している部分にすぎないことによる。従って、このような機能を果たし得る限り、開口部13c,13cの開口形状は特に限定されず、また連結部13d,13dの形状についても特に限定されるものではない。
【0046】
連結部13d,13dの長さは、開口部13cの
図4(a)における上下方向寸法を規定するものである。従って、連結部13d,13dの長さは、薬液エアロゾルの塗布幅に応じて選択される。
【0047】
液状物としての薬液は、内管6から、
図1(b)に矢印Aで示している方向、すなわち筒状本体13の基端と先端とを結ぶ方向に吐出される。これに対して、開口部13c,13cは、筒状本体13の側壁の一部を切り欠いた形状に相当するため、筒状本体13の一部を貫通し、矢印Aで示している方向とは交差する方向に開口する形状を有している。
【0048】
図4(a)及び(b)の如く連結部13d,13dの先端側には、反射部14が設けられている。反射部14は、基端側に反射面14aを有する。この反射面14aは、略円形の平面であり、その外周縁の一部が、開口部13c,13cの先端側の端縁を形成している。
【0049】
反射面14aは、
図1(b)に示すように、下方向に向かって、すなわち矢印A方向に噴霧されてきた薬液エアロゾルを反射し、噴霧方向を開口部13cに向かって変化させる。すなわち、反射部14における反射面14aは、反射面14aに当たった薬液エアロゾルの噴霧方向を、内管6からの薬液の吐出方向と交差する方向に変換する。本実施形態では、この交差する方向は、
図1(b)に示すように、矢印A方向と略直交する方向すなわち側方である。もっとも、上記交差する方向は矢印A方向と交差していればよく、必ずしも直交する方向である必要はない。
【0050】
図1(b)に示すように、本実施形態では、反射部14の反射面14aは、内管6からの薬液の吐出方向、すなわち矢印Aで示している方向と直交する方向に延びる平面であるが、反射面は、このような平面に限定されるものではない。
図6を用いて、反射面についてより詳細に説明する。反射面は、任意の点Oを起点として一方向に延びる第1の直線Lを、任意の点Oを起点とし、かつ第1の直線Lとは平行ではない第2の直線Mを回転軸として360度回転させたときに、第1の直線Lにより形成される面である。点Oを、反射面の中心に位置する点とすれば、第1の直線Lと第2の直線Mとのなす角度をαとすると、角度αが90度未満の場合には、
図7の(b)に示すように反射面は凸状の円錐面となり、角度αが90度を超える場合には、
図7の(c)に示すように反射面は凹状の円錐面となる。角度αが90度の場合、
図4の(b)及び
図7の(a)に示すように反射面は平面となる。そして、第2の直線Mが液状物の吐出方向(
図1では矢印Aで示される方向)と一致する場合、
図4の(a)に示すように反射面は液状物の吐出方向に直交する平面となる。
図1及び
図4に示している本実施形態は、角度αが90度で、第2の直線Mが矢印Aで示される方向と一致する場合に相当する。
【0051】
第1の直線Lと第2の直線Mとのなす角度αは45度〜135度の範囲であることが好ましい。この範囲内であれば、薬液などの液状物を、管状の容器の内面の特定の領域により一層集中させて塗布することが可能となる。例として、
図13に、上記角度αが80度である噴霧方向変換部材12を示す。また、αが100度である噴霧方向変換部材12を、
図14に示す。
【0052】
なお、
図13及び
図14において、破線Pや一点鎖線Qで示すように、上記反射面は、曲面状であってもよい。すなわち、反射面14aは、
図6の第1の直線Lに代えて、前述したように定義した点Oから反射面の外周縁に至っており、かつ上方に凸状の曲線を直線Mを回転軸として360度回転させたときに得られる曲面であってもよい。逆に、
図13及び
図14に一点鎖線Qで示すように、反射面14aは、反射面の中心から外周縁に至るにつれて凹状の曲面であってもよい。言い換えれば、
図6の第1の直線Lに代えて、点Oから反射面の外周縁に至っており、かつ下方に凸状に湾曲している曲線を直線Mを回転軸として360度回転させたときに得られる曲面により反射面14aを形成してもよい。
【0053】
また、薬剤の塗布性能に悪影響を与えない範囲で、反射面14aは、上記のように反射面の中心から外周縁に至るにつれて凹面と凸面を適宜組み合わせた曲線を回転させることにより形成された面であっても良い。
【0054】
第2の直線Mは、内管の先端開口のほぼ中心から液状物の吐出方向に延びる直線であることが好ましく、内管の先端の開口形状が円である場合は、第2の直線Mは、円の中心から液状物の吐出方向に延びる直線であることが好ましい。その場合には、液状物の吐出方向の中心に対して対称に反射部の反射面が形成されることになり、管状の容器の特定領域において、全周にわたり均一に液状物を塗布することができる。
【0055】
図4に示すように、本実施態様における反射部14は、基端側に反射面14aを有する円柱状部分である。この円柱状部分の外径は、特に限定されないが、本実施形態では、筒状本体13の外径と同等とされている。
【0056】
反射部14を構成している円柱状部分の外径は、筒状本体13の外径と同等もしくは外径よりも大きいことが望ましい。それによって、薬液エアロゾルをより効果的に、例えば
図1(b)の矢印B方向に反射させることができる。さらに、筒状本体13と反射部14を形成している円柱状部分の外径が等しい場合には、噴霧方向変換部材12全体が同一の径の略円柱もしくは円筒状部材となるため、取扱いが容易となる。
【0057】
図1(b)に示すように、開口部13c,13cを規定している基端側端面が、反射面14aに対向している。この基端側端面が、反射面14aで反射されてきた薬液エアロゾルの一部をさらに反射する第2の反射部13eを形成している。なお、
図2に示すように、外管7の開口部側の端面7aも、上記開口部13c,13cの基端側端面とともに、第2の反射部13eを構成している。すなわち、
図1(b)に矢印Cで示すように、反射部14の反射面14aに当たって反射された薬液エアロゾルの一部が第2の反射部13eに当たり、矢印A方向と交差する方向に反射される。第2の反射部13eは、筒状本体13の外径よりも外側に延びるように形成されてもよい。その場合には、筒状本体13に連なるように、第2の反射部を形成するためのフランジ部を筒状本体13と一体に設けてもよい。
【0058】
なお、第2の反射部も、前述した反射部と同様に反射面を有する。
図1(b)及び
図4に示しているように、本実施態様における第2の反射部13eの反射面は、反射面14aと対向する平面である。第2の反射部13eの反射面は、前述した反射部の反射面と同様、平面に限らず、凸状の円錐面、凹状の円錐面等であってもよい。言い換えれば、第2の反射部の反射面は、任意の点を起点として一方向に延びる第1の直線を、前記任意の点を起点とし、かつ第1の直線とは平行でない第2の直線を回転軸として360度回転させたときに、第1の直線により形成される面である。
【0059】
第2の反射部の反射面についても、上記第1の直線に代えて、上方または下方に突出している曲線を回転させることにより形成された面であってもよい。
【0060】
また、薬剤の塗布性能に悪影響を与えない範囲で、第2の反射部の反射面も、上記のように反射面の中心から外周縁に至るにつれて凹面と凸面を適宜組み合わせた曲線を回転させることにより形成された面であっても良い。
【0061】
好ましくは、第2の直線と第1の直線とのなす角度は45度〜135度であり、この範囲内である場合には、第2の反射部に当たった薬液エアロゾルを、管状の容器の特定の領域により一層集中させて塗布することができる。
【0062】
なお、第2の反射部が形成されていることが好ましいが、形成されていなくてもよい。
【0063】
図1(a),(b)及び
図4(a),(b)に示すように、本実施形態の噴霧方向変換部材12では、筒状本体13の開口13a側にスプレーノズル4が接続され、スプレーノズル4から噴霧方向変換部材12に薬液エアロゾルが噴霧される。スプレーノズル4からは薬液エアロゾルは無秩序に噴霧されるが、噴霧方向変換部材12があるため、塗布装置10からは、開口部13cのみから外方に噴霧される。反射部14の反射面14aに当たった薬液エアロゾルは、反射面14aにより噴霧方向が変化され、開口部13c,13cを経て外方に噴霧されることとなる。例えば、
図1(b)に示すように、スプレーノズル4から開口部13cに向かって噴霧された薬液エアロゾルはそのまま開口部13cを経て外方に噴霧され、スプレーノズル4から反射部14に向かって噴霧されて反射面14aに当たった薬液エアロゾルは、矢印Bで示すように反射され、開口部13cを経て外方に噴霧される。さらに、薬液エアロゾルはスプレーノズル4から反射部14に向かって噴霧されて反射面14aに当たり、その後第2の反射部の反射面に当たった薬液エアロゾルは、矢印Cで示すように反射され、開口部13cを経て外方に噴霧される。このように、薬液エアロゾルは、開口部13cが設けられている領域の外側の領域に集められることになる。そのため、後述する使用方法から明らかなように、管状の容器の内面の特定の領域のみに薬液を塗布することができる。
【0064】
塗布装置10は、噴霧方向変換部材12により、スプレーノズル4から噴霧される薬液エアロゾルの噴霧方向を変化させるので、塗布装置10からは、開口部13cが設けられている部分の筒状本体13の径方向外側の領域に向うように薬液エアロゾルが噴霧される。従って、管状の容器の内面の特定の領域に薬液を塗布することができる。
【0065】
なお、反射部14は、塗布装置10から、噴霧方向変換部材12の先端側へ薬液エアロゾルが噴霧するのを防止するために設けられている。従って、反射面14aは、
図1(b)の矢印Aで示す方向と直交する面であることが望ましいが、必ずしも直交する面でなくてもよく、矢印Aで示される方向と交差する面であればよい。
【0066】
なお、好ましくは、
図7(a)に示す変形例のように、
図4(b)の反射面14aの外側に環状突出壁14bを設けることが望ましい。環状突出壁14bを設けることにより、塗布装置10から、薬液エアロゾルが反射部14よりも先端側に噴霧されることをより一層効果的に防止することができる。環状突出壁14bは必ずしも設けられずともよい。
【0067】
図15は、本発明の実施例6の実施形態に係る塗布装置の要部を示す正面断面図である。本実施形態では、外管7の開口側端面7a上に、第2の反射部材15が設けられている。第2の反射部材15は、略環状部材からなる。第2の反射部材15は、外管7と一体に構成されていてもよく、外管7とは別部材で構成され、かつ外管7の先端に固着されていてもよい。第2の反射部材15の内周面(反射面15a)は、先端側から外管7側に至るにつれて開口径が小さくなくようにテーパーが付けられている。従って、薬液エアロゾルのうち、反射面14aで反射され、上記反射面15aに至った薬液エアロゾルが、再度反射され、開口13c側に導かれる。このように、第2の反射面を構成するために、外管7の端面7a上に、第2の反射部材15を設けてもよい。
【0068】
図15に示す本実施形態では、上記第2の反射部材15が設けられているため、噴霧方向変換部材の内周面に設けられた雌ネジは、開口13cに対して上記第2の反射部材15の上下方向寸法分だけ上方に隔てられていることが好ましい。それによって、
図15に示すように、噴霧方向変換部材12を外管7にねじ込んだ際に、第2の反射部材15を確実に開口13cの上方に位置させることができる。
【0069】
なお、第2の反射部材15における第2の反射面15aの傾斜角度、すなわち
図15の正面断面視において、反射面15aが外管7の端面7aとなす角度は、20度〜70度の範囲とすることが望ましい。すなわち、外管7の端面7a上に第2の反射部材15が設けられている場合には、上記傾斜角度は20度〜70度の範囲が好ましい。
【0070】
また、
図15では、第2の反射部材15は、外管7の端面7a一体に設けられていたが、噴霧方向変換部材12の開口13cを囲んでいる端面のうち、上方端面に第2の反射部材が設けられてもよい。
【0071】
さらに、第2の反射部材15における第2の反射面15aは、前述した反射面14aと同様に、正面断面視において、内側から外側に向かって上方に凹状または下方に凸状の曲面とされていてもよい。また、薬剤の塗布性能に悪影響を与えない範囲で、第2の反射部の反射面15aも、上記のように反射面の中心から外周縁に至るにつれて凹面と凸面を適宜組み合わせた曲線を回転させることにより形成された面であっても良い。
【0072】
上述してきた各実施形態及び変形例から明らかなように、本発明においては、反射面14aは、薬液エアロゾルの進行方向と交差する方向に延びる限り、平面であってもよく、曲面であってもよい。また、上記交差する方向は、好ましくは、薬液エアロゾルの噴出方向と直交する方向であるが、直交する方向からある程度の角度、例えば±45度ずれていてもよい。そして、上記反射面14aが曲面である場合、スプレーノズル4側に突出している凸状の曲面であってもよく、あるいは凹状の曲面であってもよい。また、薬剤の塗布性能に悪影響を与えない範囲で、反射面14aも、上記のように反射面の中心から外周縁に至るにつれて凹面と凸面を適宜組み合わせた曲線を回転させることにより形成された面であっても良い。
【0073】
本発明に係る塗布装置は、様々な液状物を様々な管状の容器の内面の特定の領域に塗布するのに用いられるが、好ましくは、管状の血液検査用容器の内面に薬液を塗布するのに用いられる。例えば、血液検査用容器では、採取される血液よりも上方に、薬液が付着されていることが望ましい場合がある。例えば、血液凝固促進剤を、採取する血液面よりも上方の血液検査用容器内面に塗布しておけば、血液を採取する段階では、血液凝固促進剤と血液とが接触し難い。すなわち、血液を採取する際に血液中に泡が生じることがあり、血液中に泡を含んだ状態で血液を凝固させると、後の遠心分離が上手くいかないことがあるが、血液を採取した直後に血液と血液凝固促進剤とが接触しないようにすることで、血液中に泡が生じたまま、直ちに血液が凝固するのを避けることができる。血液中から泡が消失した後に、血液検査用容器を転倒混和することにより血液と血液凝固促進剤とを接触させ、血液中に泡のない状態で血液を凝固させることができる。よって、血清等の検査値の精度を高めることができる。また、血液検査用容器に血液凝固促進剤を塗布する際、周囲に血液凝固促進剤を含むゾルが飛散し難いため、効率的に血液凝固促進剤を塗布することができ、コストも低減することができる。
【0074】
上記のように、血液検査用容器の内面の上方に液状物を塗布する場合だけではなく、例えば、血液検査用容器の内面の下方に液状物を塗布する場合にも本発明の塗布装置は有用である。例えば、血液抗凝固剤を収容した血液検査用容器においては、血液抗凝固剤は、血液検査用容器の底部に収容しておくことが望ましい。採血時の血流により、底部に収容された抗凝固剤が血液中に短時間で均一に溶解する。従って、血液の部分凝固を防止することができる。本発明の塗布装置を用いれば、血液検査用容器などの管状の容器の特定の領域に液状物を塗布することができるので、血液検査用容器の底部のみに血液抗凝固剤を塗布し、収容することができる。
【0075】
(実施例1)
図1及び
図4に示された塗布装置を含む
図1の装置を用いた。
【0076】
外管7(長さが81.4mm、外径が3.5mm、内径が1.0mm)に、内管6(長さが140mm、外径が0.82mm、内径が0.41mm)が挿入されており、内管の先端が外管の先端よりも0.1mm突出しているスプレーノズルを用意した。このスプレーノズルの先端に下記の噴霧方向変換部材12を取り付けた。
【0077】
図7(a)に示した噴霧方向変換部材12を、ステンレス加工品として用意した。筒状本体13の外径を4.5mm、内径を3.15mm、長さを10.0mmとし、反射部14における外径を4.5mmとし、反射部14の肉厚、すなわち基端と先端とを結ぶ方向の厚みは2.5mmとした。また、反射面14aは、反射部14の上面から深さ0.1mmの位置に設けられた径3.15mmの円形の面とした。すなわち、反射部14の上面に設けた凹部の底面を反射面14aとした。従って、反射面14aが形成されている凹部の外側に、径方向に沿う寸法である厚みが0.67mmの円環状立ち上がり部が形成されており、該円環状立ち上がり部の上面が、開口部13cの下方側の開口端面を形成している。開口部13cの高さHは2mmとし、連結部13d,13dの幅方向寸法は1.0mmとした。なお、上記角度αは90度である。
【0078】
反射面14aは、
図6における第1の直線Lと第2の直線Mとのなす角度αを90度とした面である。従って、噴霧方向変換部材12は、
図7(a)に示す、角度αが90度の反射面14aを有する噴霧方向変換部材12を用いた。
【0079】
トロンビン、β−アラニン及び重量平均分子量4.5万のポリビニルピロリドン(和光純薬社製、品番:K30)を、それぞれ、以下の濃度となるように蒸留水に溶解した血液凝固促進剤溶液を用意した。
【0080】
トロンビン濃度:12500単位/mL、β−アラニン濃度:5.8重量%、ポリビニルピロリドン濃度:0.8重量%。
【0081】
上記血液凝固促進剤溶液を、薬液タンク2に収容し、0.24MPaの圧力となるように空気により加圧した。
【0082】
塗布装置を用い、ポリエチレンテレフタレートからなる有底管状の血液検査用容器(長さ100mm、外径13mm、内径11mm)の、開口端から13mmの深さにあたる位置を中心として、上記深さ方向寸法である幅が7mmの領域内に血液凝固促進剤溶液を付着させた。血液凝固促進剤溶液の塗布重量は3.5mgとした。しかる後、空気を血液検査用容器内に供給して血液凝固促進剤溶液を乾燥し、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0083】
(実施例2)
噴霧方向変換部材における角度αを
図7(b)に示すように、80度にしたことを除いては、実施例1と同様にして、塗布装置を構成し、実施例1と同様にして、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0084】
(実施例3)
噴霧方向変換部材における角度αを
図7(c)に示すように、100度にしたことを除いては、実施例1と同様にして、塗布装置を構成し、実施例1と同様にして、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0085】
(実施例4)
噴霧方向変換部材における角度αを
図8(a)に示すように、45度にしたことを除いては、実施例1と同様にして、塗布装置を構成し、実施例1と同様にして、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0086】
(実施例5)
噴霧方向変換部材における角度αを
図8(b)に示すように、135度にしたことを除いては、実施例1と同様にして、塗布装置を構成し、実施例1と同様にして、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0087】
(実施例6)
噴霧方向変換部材として、
図15に正面断面図で示す噴霧方向変換部材を用いた。第2の反射面において第2の直線と第1の直線のなす角度は45度とした。この噴霧方向変換部材は、
図7(a)に示した変形例とほぼ同様に構成され、さらに、
図15に示す第2の反射面が設けられている。噴霧方向変換部材12は、実施例1と同様にステンレスを加工することにより形成した。筒状本体13の外径、内径及び長さは、実施例1と同様とした。反射部14の外径は4.5mm、肉厚は2.5mmとした。もっとも、反射面14aは、反射部14の上面から深さ0.1mmの位置に設けられた径3.15mmの円形の面とした。すなわち、反射部14の上面に設けた凹部の底面を反射面14aとした。従って、反射面14aが形成されている凹部の外側に、径方向に沿う寸法である厚みが0.67mmの円環状立ち上がり部が形成されており、該円環状立ち上がり部の上面が、開口部13cの下方側の開口端面を形成している。開口部13cの高さは1mmとした。なお、上記角度αは90度である。
【0088】
その他の点については、実施例1と同様にして塗布装置を構成し、実施例1と同様にして、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0089】
(比較例)
噴霧方向変換部材を用いずに、実施例1で用意したスプレーノズルのみを用い、血液検査用容器の開口端から13mmの深さにあたる位置を中心とするように、血液凝固促進剤溶液を血液検査用容器の内面に塗布した。しかる後、血液検査用容器内に空気を供給して血液凝固促進剤溶液を乾燥し、血液凝固促進剤が塗布された血液検査用容器を得た。
【0090】
(実施例及び比較例の評価)
実施例1〜6及び比較例において、乾燥後の血液検査用容器の血液凝固促進剤の塗布部分を目視で観察した。その結果、比較例では、
図11に示すように、血液検査用容器21の内面の全体に血液凝固促進剤が塗布され、塗布幅を制御することができなかった。
【0091】
これに対して、実施例1〜6では、血液検査用容器の開口端から13mmの深さを中心とし、ある一定の幅で、環状の領域に血液凝固促進剤が塗布されていた。実施例4,5では、塗布幅がそれぞれ50mm、30mmと比較的広かったが、実施例2,3では、それぞれ20mm、10mmと塗布幅を狭くすることができた。さらに実施例1では、
図10に示すように、血液検査用容器21の環状領域Dに塗布幅7mmで血液凝固促進剤を塗布することができた。これは、噴霧方向変換部材における角度αを90度としたので、スプレーノズルからの薬液エアロゾルを反射部の反射面で均一に反射することが出来たためである。
【0092】
さらに、実施例6では、「第2の反射部」を設け、開口部13cの高さを1mmにしているため、血液検査用容器21の環状領域Dに塗布幅5mmで血液凝固促進剤を塗布することができた。
【0093】
次に、上記実施例1で用いた塗布装置について、開口部13cの高さ(
図4(b)の寸法H)を種々変更し、同様に噴霧方向変換部材における角度αを種々変化させ、実施例1と同様にして、血液検査用容器の内面に血液凝固促進剤を塗布し、実施例1と同様にして塗布幅を測定した。結果を
図12に示す。
図12において、横軸は、反射板の平面の角度αを示し、縦軸は塗布幅を示す。
【0094】
図12から明らかなように、開口部13cの開口高さH(
図4(b)参照)を2.0mm、2.5mm及び3.0mmのいずれにした場合においても、同様の傾向がみられ、反射部14の角度αを45度〜120度の範囲とすれば、塗布幅を約50mm以下とすることができ、より好ましくは、80度〜110度の範囲とすれば、約30mm以下とし得ることがわかる。更に好ましくは90度〜100度の範囲とすれば約20mm以下とし得ることがわかる。また、前記の実施例5の角度αが135度の場合の塗布幅が30mmであったことを併せ考えると、反射部14の角度αが45度〜135度の範囲とすれば、塗布幅を約50mm以下とすることができることがわかる。