(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
レンタル媒体の自重による滑動を許容する傾斜角を備えた下側傾斜面と貸し出し対象となるレンタル媒体のうち最も厚いレンタル媒体の厚みに匹敵する間隔を前記下側傾斜面との間に置いて前記下側傾斜面に対して平行に設置された上側傾斜面とによって形成される媒体搬送路と、前記媒体搬送路の上流側に設けられた媒体挿入口から挿入されるレンタル媒体に貼着されたバーコードを読み取るバーコードスキャナと、少なくとも前記バーコードスキャナによるバーコードの読み取りが完了するまでの間前記下側傾斜面から前記媒体搬送路内に突出した状態を維持しレンタル媒体の挿入側端面に当接して前記レンタル媒体を回収可能位置に留め置く常閉型の媒体ストッパと、前記媒体ストッパの上流側に設置され前記レンタル媒体の挿入側端面が媒体ストッパに当接したことを検知する媒体検知センサと、前記バーコードスキャナで読み取られたバーコードの適否を判定する判定手段と、前記媒体ストッパの下流側に設置され前記レンタル媒体の挿入側端面が媒体ストッパの位置を越えて下流側に移動したことを検知する通過検知センサと、前記通過検知センサよりも下流側の位置で前記下側傾斜面上を滑動するレンタル媒体の磁気セキュリティを解除するセキュリティ解除手段とを備えたセキュリティ解除装置において、
前記下側傾斜面を基準とする前記媒体ストッパの突出高さを貸し出し対象となるレンタル媒体のうち最も薄いレンタル媒体の厚み以下に形成すると共に、
前記通過検知センサよりも下流側で且つ前記セキュリティ解除手段よりも上流側の位置に設けられて前記媒体搬送路を開閉する常閉型の予備ストッパと、
前記判定手段によってバーコードが適正なものであると判定された状況下で、前記媒体検知センサによりレンタル媒体の挿入側端面が前記媒体ストッパに当接していることが検知され、且つ、前記通過検知センサにより前記レンタル媒体の挿入側端面が媒体ストッパの位置を越えて下流側に移動していないことが検知された場合に限り前記媒体ストッパおよび前記予備ストッパを前記媒体搬送路の厚み方向の外側に退避させるストッパ開放手段とを備えたことを特徴とするセキュリティ解除装置。
前記予備ストッパは、前記媒体ストッパの先端から前記媒体搬送路に沿って下流側に延出するストッパ接続部と此のストッパ接続部の先端から前記上側傾斜面に向かって延出するストッパ本体部によって前記媒体ストッパと一体に形成され、前記ストッパ開放手段は、前記媒体ストッパに接続された1つのアクチュエータによって構成されていることを特徴とした請求項1記載のセキュリティ解除装置。
前記予備ストッパは、前記媒体ストッパと独立して設けられ、前記ストッパ開放手段は、前記媒体ストッパに接続されたアクチュエータと前記予備ストッパに接続されたアクチュエータとによって構成されていることを特徴とした請求項1記載のセキュリティ解除装置。
【背景技術】
【0002】
内蔵したバーコードスキャナでCD/DVDや書籍等のレンタル媒体に貼着したバーコードを読み込み、そのバーコードが適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体のバーコードとして上位装置に記憶されている場合に限ってレンタル媒体の磁気セキュリティを解除するようにしたセキュリティ解除装置が既に公知である。
【0003】
適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体の磁気セキュリティを解除する際に用いられるセキュリティ解除装置の構成の概略を
図9に示す。
【0004】
セキュリティ解除装置100の主要部は、
図9に示されるように、レンタル媒体112の自重による滑動を許容する傾斜角を備えた下側傾斜面101と貸し出し対象となるレンタル媒体112のうち最も厚いレンタル媒体の厚みに匹敵する間隔を下側傾斜面101との間に置いて下側傾斜面101に対して平行に設置された上側傾斜面102とによって形成される媒体搬送路103と、媒体搬送路103の上流側に設けられた媒体挿入口104から挿入されるレンタル媒体112に貼着されたバーコード114(
図10参照)を読み取るバーコードスキャナ105と、少なくともバーコードスキャナ105によるバーコード114の読み取りが完了するまでの間下側傾斜面101から媒体搬送路103内に突出して媒体搬送路103を完全に閉鎖した状態を維持しレンタル媒体112の挿入側端面113に当接してレンタル媒体112を回収可能位置(レンタル媒体112の反挿入側端部が媒体挿入口104から突出する位置)に留め置く常閉型の媒体ストッパ106と、媒体ストッパ106よりも僅かに上流側に設置されレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ106に当接したことを検知する媒体検知センサ107と、バーコードスキャナ105で読み取られたバーコード114の適否を判定する判定手段(図示せず)と、この判定手段によってバーコード114が適正なものであると判定された場合に限り媒体ストッパ106を媒体搬送路103の厚み方向の外側に退避させるストッパ開放手段(図示せず)と、媒体ストッパ106よりも僅かに下流側に設置されレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ106の位置を越えて下流側に移動したことを検知する通過検知センサ108と、通過検知センサ108よりも下流側の位置で下側傾斜面101上を滑動するレンタル媒体112のRFIDタグ115(
図10参照)を一時的に無効化して磁気セキュリティを解除するセキュリティ解除手段109によって構成される。
【0005】
符号110はレンタル媒体112の完全通過を検知する確認用センサであり、符号111は磁気セキュリティを解除されたレンタル媒体112を取り出すための媒体取出口である。
【0006】
媒体検知センサ107,通過検知センサ108,確認用センサ110は一般にフォトカプラ等で構成され、ストッパ開放手段は、媒体ストッパ106を下側傾斜面101の法線方向に直動させる電磁ソレノイドや媒体ストッパ106の基部を中心として媒体ストッパ106を揺動させるロータリーソレノイド等で構成される。
また、バーコード114の適否を判定する判定手段はセキュリティ解除装置100に内蔵されたCPUによって構成され、このCPUがバーコードスキャナ105,媒体検知センサ107,通過検知センサ108,セキュリティ解除手段109,確認用センサ110,ストッパ開放手段の制御手段としても機能する。
【0007】
貸し出し対象となるレンタル媒体112は例えば
図10に示されるような形態のものであって、その厚み方向の一面にはバーコード114が貼着され、更に、不正持ち出しを防止するためのRFIDタグ115が取り付けられている。RFIDタグを利用したセキュリティシステムに関しては既に公知であるので特に説明しない。
【0008】
貸し出し対象となるレンタル媒体112が書籍等である場合にはレンタル媒体112そのものにバーコード114やRFIDタグ115を取り付け、また、貸し出し対象となるレンタル媒体112がCD/DVD等である場合、つまり、貸し出し対象それ自体にバーコード114やRFIDタグ115を取り付けると不都合が生じるような場合にあってはCD/DVD等のケース112にバーコード114やRFIDタグ115を取り付けることになるが、ここではCD/DVD等のケースを含めてレンタル媒体112と称する。
【0009】
書籍等のレンタル媒体112を貸し出し対象として取り扱う場合、あるいは、CD/DVDと書籍をレンタル媒体112として同時に取り扱うような場合にあっては、最大の厚みを有するレンタル媒体112の挿入を許容する必要があるため、媒体挿入口104および媒体搬送路103の大きさは最大の厚みを有するレンタル媒体112に合わせて設計されるが、この結果として、セキュリティ解除装置100に対するレンタル媒体112の重複挿入といった問題が発生することがある。
【0010】
例えば、
図9に示されるように、2つのレンタル媒体112,112を重ね合わせた厚みが最大の厚みを有するレンタル媒体の厚み以下となるような場合にあっては、2つのレンタル媒体112,112をセキュリティ解除装置100に同時に挿入することが可能となる。
【0011】
そうした場合、2つのレンタル媒体112,112の挿入側端面113,113が媒体ストッパ106に当接して一時的にレンタル媒体112,112が回収可能位置に留め置かれることになるが、バーコードスキャナ105によって読み取られるのは上側に位置するレンタル媒体112のバーコード114のみである。
そして、上側に位置するレンタル媒体112のバーコード114が適正なものであると判定手段が判定を下した場合にはストッパ開放手段が無条件に作動して媒体ストッパ106を媒体搬送路103から退避させるので、これら2つのレンタル媒体112,112が共に下側傾斜面101上を滑動して媒体搬送路103に沿って下流側に流れることになり、2つのレンタル媒体112,112のRFIDタグ115,115が共にセキュリティ解除手段109によって無効化され、バーコード114をスキャンされていない側のレンタル媒体112の不正な持ち出しが許容されてしまうといった不都合が発生する。
【0012】
不正な持ち出しが行われる本質的な原因が媒体挿入口104および媒体搬送路103に対するレンタル媒体112の重複挿入にあることは明らかであり、この種の問題を解決するための手段としては、取り扱うレンタル媒体112の厚さを一義的に規定した上で媒体挿入口104の大きさや形状を其のレンタル媒体112に合わせて規制し、規定された厚さのレンタル媒体112の単体挿入のみを許容するといった方法が考えられるが、そうした場合、取り扱うレンタル媒体112のサイズに制限が生じるため、様々な厚みを有する書籍等のレンタル媒体112を貸し出し対象として取り扱ったり、CD/DVDと書籍をレンタル媒体112として同時に取り扱ったりすることはできなくなる。
無論、レンタル媒体112の種別毎にフロアを分割してレンタル媒体112の厚みに適合した専用のセキュリティ解除装置100を設置するといったことは可能だが、設備投資やラニングコストが著しく増大してしまう。
【0013】
あるいは、書籍やCD/DVD等のレンタル媒体を入れるケース112の規格を統一し、全てのレンタル媒体を同一仕様のケース112に入れて貸し出すようにして、そのケース112にバーコード114やRFIDタグ115を取り付けることによって単一仕様のセキュリティ解除装置100で様々なレンタル媒体に対処するといったことも考えられるが、専用のケース112の新規製作が必要となるので、やはり、設備投資やランニングコスト等の面から好ましくない。
【0014】
貸し出し或いは販売の対象となる物品の重複搬送を防止するための一般的な手段としては、対象物の高さや厚みを測定する検知手段を利用したものが例えば特許文献1として開示されているが、このものは専用の測定器が必要となる点で不都合があり、また、バーコード114に対応させて対象物の厚みを事前登録しておかなければならないといった煩わしさもある。
更に、物品の重複搬送を解除するための一般的な手段としては、コンベヤベルト等を利用した積極的な搬送過程でブラシを作動させることにより積み重なった対象物を突き崩すようにしたものが例えば特許文献2として開示され、また、重なった物品の一方に摩擦負荷を作用させることによって対象物の積み重なりを解除するようにしたものが例えば特許文献3として開示されているが、これらのものは物品を積極的に搬送するコンベヤベルトやローラおよび対象物を突き崩したり対象物の積み重なりを解除したりするための格別な手段が必要であり、また、或る程度の長さの搬送路を必要とすることから、小型のセキュリティ解除装置には向かない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を実施するための実施形態について具体例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明を適用した一実施形態のセキュリティ解除装置1の構成の概略を側方から示した概念図である。
【0022】
この実施形態のセキュリティ解除装置1は、
図1に示されるように、レンタル媒体112の自重による滑動を許容する傾斜角を備えた下側傾斜面101と貸し出し対象となるレンタル媒体112のうち最も厚いレンタル媒体112aの厚みを僅かに上回る間隔を下側傾斜面101との間に置いて下側傾斜面101に対して平行に設置された上側傾斜面102とによって形成される媒体搬送路103と、媒体搬送路103の上流側に設けられた媒体挿入口104から挿入されるレンタル媒体112に貼着されたバーコード114(
図10参照)を読み取るバーコードスキャナ105と、少なくともバーコードスキャナ105によるバーコード114の読み取りが完了するまでの間下側傾斜面101から媒体搬送路103内に突出した状態を維持しレンタル媒体112の挿入側端面113に当接してレンタル媒体112を回収可能位置(レンタル媒体112の反挿入側端部が媒体挿入口104から突出する位置)に留め置く常閉型の媒体ストッパ2と、媒体ストッパ2よりも僅かに上流側(例えば5mm上流側)に設置されレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接したことを検知する媒体検知センサ107と、バーコードスキャナ105で読み取られたバーコード114の適否を判定する判定手段(
図1中では図示せず)と、媒体ストッパ2よりも僅かに下流側(例えば5mm下流側)に設置されレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動したことを検知する通過検知センサ108と、通過検知センサ108よりも下流側の位置で下側傾斜面101上を滑動するレンタル媒体112のRFIDタグ115(
図10参照)を一時的に無効化して磁気セキュリティを解除するセキュリティ解除手段109とを備える。
そして、特に、下側傾斜面101を基準とする媒体ストッパ2の突出高さを貸し出し対象となるレンタル媒体112のうち最も薄いレンタル媒体112b(
図5参照)の厚み以下に形成した点、および、通過検知センサ108よりも僅かに下流側で且つセキュリティ解除手段109よりも上流側の位置において媒体搬送路103を開閉する常閉型の予備ストッパ3を設けた点、ならびに、判定手段によってバーコード114が適正なものであると判定された状況下で、媒体検知センサ107によりレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接していることが検知され、且つ、通過検知センサ108によりレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動していないことが検知された場合に限って媒体ストッパ2および予備ストッパ3を媒体搬送路103の厚み方向の外側に退避させるストッパ開放手段(
図1中では図示せず)を設けたことを構成上の特徴としている。
【0023】
また、この実施形態の予備ストッパ3は、媒体ストッパ2の先端から媒体搬送路103に沿って下流側に延出するストッパ接続部3aとストッパ接続部3aの先端から上側傾斜面102に向かって延出するストッパ本体部3bによって媒体ストッパ2と一体に形成されているので、媒体ストッパ2および予備ストッパ3を作動させるストッパ開放手段は媒体ストッパ2に接続された1つのアクチュエータで事足りる。
そこで、この実施形態にあっては、媒体ストッパ2の基部を中心として媒体ストッパ2を
図1の常閉位置からクロックワイズ方向に向けて揺動させる1つのロータリーソレノイド(
図1中では図示せず)を媒体ストッパ2および予備ストッパ3のアクチュエータつまりストッパ開放手段として利用している。
無論、媒体ストッパ2の基部を中心として媒体ストッパ2を揺動させるロータリーソレノイドに代えて媒体ストッパ2を下側傾斜面101の法線方向に移動させる直動型の電磁ソレノイドを利用して媒体ストッパ2および予備ストッパ3を媒体搬送路103の厚み方向の外側に退避させるように構成しても構わない。
但し、何れの場合も、ストッパ本体部3bの先端と上側傾斜面102の間に形成される間隙が、貸し出し対象となるレンタル媒体112のうち最も薄いレンタル媒体112bの厚みよりも小さくなるようにストッパ本体部3bの高さを決める必要がある。
【0024】
この実施形態においては、媒体ストッパ2の先端から媒体搬送路103に沿って下流側に延出するストッパ接続部3aの長さ、すなわち、媒体ストッパ2と予備ストッパ3におけるストッパ本体部3bとの離間距離を10mm前後としているので、媒体ストッパ2の位置を越えて10mmほど下流側のストッパ本体部3bの位置にまで移動したレンタル媒体112の先端を、媒体ストッパ2の5mmほど下流側に位置する通過検知センサ108によって的確に検知することが可能である。
【0025】
符号110はレンタル媒体112の完全通過を検知する公知の確認用センサであり、媒体ストッパ2の50mmほど下流側に設けられている。
【0026】
また、符号111は磁気セキュリティを解除されたレンタル媒体112を利用者が取り出すための媒体取出口である。
【0027】
媒体検知センサ107,通過検知センサ108,確認用センサ110は、フォトカプラ等の透過型センサもしくは反射型のセンサや機械的なスイッチ手段等で構成することが可能である。
この実施形態では、一例として、媒体検知センサ107,通過検知センサ108,確認用センサ110が透過型センサで構成されている場合について説明する。
【0028】
図1と
図9の比較からも明らかなように、この実施形態のセキュリティ解除装置1が備える下側傾斜面101,上側傾斜面102,媒体搬送路103,媒体挿入口104,バーコードスキャナ105,媒体検知センサ107,通過検知センサ108,セキュリティ解除手段109,確認用センサ110,媒体取出口111の構成およびレイアウトは
図9に示されるような従来型のセキュリティ解除装置100の其れらと同様である。
また、この実施形態の媒体ストッパ2と従来型の媒体ストッパ106とでは構成が異なるが、
図9に示されるような従来型のセキュリティ解除装置100の媒体ストッパ106に代えて、予備ストッパ3を一体成形した媒体ストッパ2を従来型のセキュリティ解除装置100に取り付けることにより、この実施形態で必要とされるセキュリティ解除装置1のハードウェア構成を極めて簡単に実現することが可能である。
従って、セキュリティ解除装置1の設計や製造は極めて容易であり、セキュリティ解除装置1を設置する際の設備投資の費用も軽減される。
【0029】
セキュリティ解除装置1が備える制御系の要部を簡略化して
図2のブロック図に示す。
【0030】
バーコードスキャナ105で読み取られたバーコード114の適否を判定するための判定手段はセキュリティ解除装置1に内蔵されたCPU4によって構成され、このCPU4がバーコードスキャナ105,媒体検知センサ107,通過検知センサ108,セキュリティ解除手段109,確認用センサ110,媒体ストッパ2および予備ストッパ3のストッパ開放手段であるアクチュエータ5の制御手段としても機能する。
つまり、媒体検知センサ107,通過検知センサ108,確認用センサ110からの検知信号やバーコードスキャナ105が読み取ったバーコード114の情報はCPU4の入力回路6を介してCPU4に読み込まれ、また、媒体ストッパ2および予備ストッパ3のストッパ開放手段として機能するアクチュエータ5はCPU4の出力回路7およびドライバ8を介してCPU4によって駆動制御される。また、レンタル媒体112のRFIDタグ115を一時的に無効化して磁気セキュリティを解除するセキュリティ解除手段109はCPU4の出力回路7を介してCPU4によりオン/オフ制御される。
【0031】
そして、CPU4の入出力インターフェイス9にはPOSシステムのコンピュータ等からなる上位装置10が接続されており、適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体112のバーコード情報等が、CPU4から入出力インターフェイス9を介して上位装置10に問い合わせられるようになっている。
【0032】
バーコードスキャナ105が読み取ったバーコード114の適否を判定するための判定手段およびセキュリティ解除装置1の制御手段としてCPU4を機能させるための制御プログラムはROM12に格納されている。
【0033】
図3はセキュリティ解除装置1の制御手段および判定手段として機能するCPU4の処理の概略について示したフローチャート、また、
図4〜
図7はセキュリティ解除装置1の媒体挿入口104に対するレンタル媒体112,112a,112bの様々な挿入状況に関して代表的な例について示した作用原理図である。
【0034】
実際には貸し出し対象となるレンタル媒体が書籍等である場合にはレンタル媒体112そのものにバーコード114やRFIDタグ115を取り付ける一方、貸し出し対象となるレンタル媒体がCD/DVD等である場合にはCD/DVD等のケース112にバーコード114やRFIDタグ115を取り付ける必要があるが、この実施形態では、媒体挿入口104に挿入されるものがバーコード114やRFIDタグ115を取り付けた書籍等であるのかバーコード114やRFIDタグ115を取り付けたケースであるのかを区別することなく、レンタル媒体112およびCD/DVD等を収納したケース112を総称してレンタル媒体112と表記している。
【0035】
次に、
図3のフローチャートおよび
図4〜
図7の作用原理図を参照してセキュリティ解除装置1の処理動作について具体的に説明する。
【0036】
まず、レンタル媒体112の磁気セキュリティを解除しようとする利用者が媒体搬送路103の上流側に設けられた媒体挿入口104にレンタル媒体112を挿入すると、レンタル媒体112が其の自重により媒体搬送路103の下側傾斜面101に沿って下流側に向けて滑動を開始し、レンタル媒体112に貼着されたバーコード114がバーコードスキャナ105の読み取り可能範囲(
図1の破線参照)を通過する際にバーコード114の情報がバーコードスキャナ105によって読み取られ、その内容がCPU4を介してRAM11に一時記憶される(ステップS1)。
【0037】
そして、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接すると、下側傾斜面101から媒体搬送路103内に突出した状態にある媒体ストッパ2がレンタル媒体112の挿入側端面113を支え、レンタル媒体112を回収可能位置に保持する。
【0038】
次いで、セキュリティ解除装置1の判定手段として機能するCPU4が入出力インターフェイス9を介して上位装置10にアクセスし(ステップS2)、ステップS1の処理で読み込まれたバーコード114の情報が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体のバーコードの情報として上位装置10に記憶されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0039】
ステップS3の判定結果が偽となった場合、つまり、ステップS1の処理で読み込んだバーコード114の情報が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体のバーコードの情報として上位装置100に記憶されていなかった場合には、少なくとも、この時点で挿入されている1つのレンタル媒体112(1つのレンタル媒体112だけが挿入された場合にあっては其のレンタル媒体112自体、また、複数のレンタル媒体112が重複挿入された場合にあっては最上層に位置するレンタル媒体112)に対する適切な貸し出し処理が行なわれていないか、もしくは、
図4に例示されるように、レンタル媒体112が不適切な姿勢で挿入された為にバーコード114の読み取りに失敗が生じたことを意味する。
従って、この場合、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、入出力インターフェイス9を介して上位装置10にリトライ要求信号を送信し(ステップS11)、POSシステム等を構成する上位装置10のディスプレイまたは音声合成装置等によってレンタル媒体112の再挿入に関わるガイダンスメッセージを表示させる。
この場合、媒体ストッパ2および予備ストッパ3のアクチュエータ5は作動しないので全てのレンタル媒体112が回収可能位置に留め置かれたままとなり、また、レンタル媒体112がセキュリティ解除手段109の配設位置に到達することもないので、RFIDタグ115の無効化による磁気セキュリテの解除操作は何れのレンタル媒体112に対しても行なわれない。
【0040】
一方、ステップS3の判定結果が真となり、ステップS1の処理で読み込んだバーコード114が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体のバーコードとして上位装置100に記憶されていることが明らかとなった場合には、少なくとも、媒体挿入口104に挿入されたレンタル媒体112の内の1つ、つまり、1つのレンタル媒体112だけが挿入された場合にあっては其のレンタル媒体112自体、また、複数のレンタル媒体112が重複挿入された場合にあっては最上層に位置するレンタル媒体112が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体であることを意味するので、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、更に、媒体検知センサ107および通過検知センサ108を利用してレンタル媒体112の重複挿入の有無について判定することになる。
【0041】
そこで、重複挿入の有無に関わる判定処理を開始したCPU4は、まず、重複挿入の有無に関わる判定処理を開始してからの経過時間を計測するためのタイマとして機能するカウンタCの値を0に初期化する(ステップS4)。
但し、カウンタCの実体はRAM11の記憶領域の一部を利用して構築されたレジスタである。
【0042】
次いで、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接していることが媒体検知センサ107によって検知されているか否かを判定し(ステップS5)、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体検知センサ107によって検知されていれば、更に、レンタル媒体112の挿入側端面113が予備ストッパ3の主要部を成すストッパ本体部3bに当接しているか否か、つまり、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動しているか否かを判定する(ステップS6)。
【0043】
そして、ステップS5の判定結果が真、且つ、ステップS6の判定結果が偽となった場合、すなわち、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接し、且つ、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動していないことが確認された場合に限り、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、タイマとして機能するカウンタCの値を1インクリメントし(ステップS7)、カウンタCの現在値が予め決められた経過時間に相当する設定値Nに達しているか否かを判定する(ステップS8)。
【0044】
ここでカウンタCの現在値が設定値Nに達していなければ、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は再びステップS5の判定処理に移行し、前記と同様にしてステップS5〜ステップS8の処理を繰り返し実行する。
【0045】
このようにしてステップS5〜ステップS8の処理を繰り返し実行する間にステップS5の判定結果が偽となった場合、つまり、重複挿入の有無に関わる判定処理を開始してからの経過時間が予め決められた経過時間の設定値に達する前にレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2から離間して媒体検知センサ107がレンタル媒体112を検知しなくなったことが確認された場合には、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、回収可能位置に留め置かれていたレンタル媒体112、すなわち、1つのレンタル媒体112だけが挿入された場合にあっては其のレンタル媒体112それ自体、また、複数のレンタル媒体112が重複挿入された場合にあっては挿入された全てのレンタル媒体112が利用者の意図によって回収されたものと見做して処理を終了し、バーコードスキャナ105によって改めてバーコード114が読み込まれるのを待つ初期の待機状態に復帰する。
【0046】
一方、ステップS5〜ステップS8の処理を繰り返し実行する間にステップS6の判定結果が真となった場合、つまり、重複挿入の有無に関わる判定処理を開始してからの経過時間が予め決められた経過時間の設定値に達する前にレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動したことが明らかとなった場合には、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、レンタル媒体112の重複挿入が行われているか、或いは、レンタル媒体112が不適切な姿勢で挿入されるセッティングミスが発生しているものと見做し、入出力インターフェイス9を介して上位装置10にリトライ要求信号を送信して(ステップS11)、POSシステム等を構成する上位装置10のディスプレイまたは音声合成装置等によってレンタル媒体112の再挿入に関わるガイダンスメッセージを表示させる。
【0047】
例えば、
図5に示されるように、貸し出し対象となるレンタル媒体のうち最も薄いレンタル媒体112bが2つ重ねて媒体挿入口104から媒体搬送路103に挿入された場合にあっては、最下層に位置するレンタル媒体112bの挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接して最下層に位置するレンタル媒体112bの下流側への移動が防止されることになるが、下側傾斜面101を基準とする媒体ストッパ2の突出高さが最も薄いレンタル媒体112bの厚み以下に形成されているため、最下層に位置するレンタル媒体112bの上に重ねられた他のレンタル媒体112bの挿入側端面113が媒体ストッパ2に干渉することはなく、
図5に示される通り、上側に位置するレンタル媒体112bが最下層に位置するレンタル媒体112bの上を滑動することによって媒体ストッパ2を超えて更に予備ストッパ3におけるストッパ本体部3bの位置まで下流側に移動し、その結果として、上側に位置するレンタル媒体112bの挿入側端面113の過剰な移動が通過検知センサ108によってレンタル媒体112bの重複挿入として検知されることになる。
この実施形態においては、特に、下側傾斜面101を基準とする媒体ストッパ2の突出高さが最も薄いレンタル媒体112bの厚みに比べて1mmほど低めに形成されているので、最も薄いレンタル媒体112bの上に他のレンタル媒体112を重複して挿入した場合であっても、最下層に位置するレンタル媒体112bの上に重ねられた他のレンタル媒体112を最下層に位置するレンタル媒体112に対し確実に滑動させて、上側に位置するレンタル媒体112の挿入側端面113の過剰な移動、すなわち、複数のレンタル媒体112の重複挿入が発生したことを通過検知センサ108によって確実に検知することができる。
【0048】
また、例えば
図6に示されるように、挿入側端面113を持ち上げるようにして貸し出し対象となるレンタル媒体112が不適切な姿勢で媒体挿入口104から媒体搬送路103に挿入された場合にあっては、仮に、挿入されたレンタル媒体112が1枚のみであって、且つ、このレンタル媒体112が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体であることがステップS3の判定処理で明らかとなっていたとしても、レンタル媒体112の姿勢が不適切であるが故に其のレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2を超えて予備ストッパ3のストッパ本体部3bの位置まで突入してしまうといった現象が希に生じる。
これは適切な貸し出し処理を終えていないレンタル媒体112の挿入や複数のレンタル媒体112の重複挿入といった不正操作を意味するものではないが、このような場合であってもレンタル媒体112の挿入側端面113の移動が通過検知センサ108によって検知されることに変わりはないので、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、この現象をレンタル媒体112の挿入に関わるセッティングミスとして検知し(ステップS6)、入出力インターフェイス9を介して上位装置10にリトライ要求信号を送信し(ステップS11)、POSシステム等を構成する上位装置10のディスプレイまたは音声合成装置等によってレンタル媒体112の再挿入に関わるガイダンスメッセージを表示させる。
レンタル媒体112が不適切な姿勢で媒体挿入口104から媒体搬送路103に挿入される可能性は高いものではなく、また、仮に適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体112のセッティングミスによって再挿入に関わる指示が出されたとしても、そのレンタル媒体112を改めて適切な姿勢で挿入し直せばセッティングミスに関わる問題は解消されるので特に問題はない。
【0049】
これに対し、ステップS5〜ステップS8の処理を繰り返し実行する間にステップS8の判定結果が真となった場合、つまり、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接し、且つ、レンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動していない状況が判定処理を開始してから予め決められた設定時間に亘って継続したことが確認された場合には、セキュリティ解除装置1の制御手段として機能するCPU4は、挿入されたレンタル媒体112が1枚のみであって、且つ、このレンタル媒体112が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体112であると見做してストッパ開放手段として機能するアクチュエータ5を作動させ、媒体ストッパ2の基部を中心として媒体ストッパ2を
図7に破線で示す常閉位置からクロックワイズ方向に向けて揺動させ、
図7に実線で示されるようにして媒体ストッパ2および予備ストッパ3を媒体搬送路103の厚み方向外側の開放位置へと退避させる(ステップS9)。
【0050】
レンタル媒体112が適切な貸し出し処理を終えたものであることが確認された状況下でレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接し且つレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動していないことが検知された場合でも直ちに媒体ストッパ2および予備ストッパ3を開放せず、予め決められた設定時間に亘ってレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動していないことを確認してから媒体ストッパ2および予備ストッパ3を開放するようにしているのは、2つ以上のレンタル媒体112を重複挿入した際に最下層に位置するレンタル媒体112の上に重ねられた他のレンタル媒体112が最下層に位置するレンタル媒体112に対して滑りを生じて其の挿入側端面113を媒体ストッパ2の下流側に移動させるまでに或る程度の時間(例えば1秒〜2秒)を要し、この間に通過検知センサ108がレンタル媒体112の挿入側端面113を検知しないからといって直ちに媒体ストッパ2および予備ストッパ3を開放してしまうと、実際に2つ以上のレンタル媒体112の重複挿入が発生していた場合に、適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体112の下面側に重ねられた他のレンタル媒体112が適切な貸し出し処理を終えたレンタル媒体112と共に其のまま媒体ストッパ2および予備ストッパ3の位置を越えて下流側に滑動してしまう恐れがあるからである。
従って、前述した設定値Nの値は、最下層に位置するレンタル媒体112の上に重ねられた他のレンタル媒体112が最下層に位置するレンタル媒体112に対し滑りを生じて其の挿入側端面113を媒体ストッパ2の下流側に移動させるまでの所要時間とステップS5〜ステップS8のループ処理に要する時間とを考慮し、例えば、ループ処理に要する時間にNを乗じた値が1秒〜2秒程度になるように適切な値を設定し、2つ以上のレンタル媒体112の重複挿入を上方に位置するレンタル媒体112の滑りによって確実に検出できるようにする必要がある。
【0051】
そして、ステップS5〜ステップS8の処理を繰り返し実行する間にステップS8の判定結果が真となった場合、つまり、重複挿入の有無に関わる判定処理を開始してからの経過時間が予め決められた経過時間の設定値に達しても通過検知センサ108がレンタル媒体112の重複挿入を検知せずに媒体ストッパ2および予備ストッパ3が開放された場合に限り、媒体ストッパ2および予備ストッパ3の退避動作によってレンタル媒体112の下流側への滑動が許容され、レンタル媒体112に取り付けられたRFIDタグ115がセキュリティ解除手段109の上を通過する過程で従来と同様にしてレンタル媒体112のRFIDタグ115が無効化され、レンタル媒体112の磁気セキュリティが解除されることになる(ステップS10)。
【0052】
以上に述べた通り、この実施形態にあっては、媒体搬送路103の下側傾斜面101から媒体搬送路103内に突出する媒体ストッパ2の突出高さを貸し出し対象となるレンタル媒体112のうち最も薄いレンタル媒体112bの厚み以下に形成する一方、媒体ストッパ2の下流側に位置する通過検知センサ108よりも下流側で且つセキュリティ解除手段109よりも上流側の位置に媒体搬送路103を開閉する常閉型の予備ストッパ3を設け、レンタル媒体112のバーコード114が適正なものであると判定された状況下においてレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接し且つレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2の位置を越えて下流側に移動していないことが確認された場合に限って媒体ストッパ2および予備ストッパ3を媒体搬送路103の厚み方向の外側に退避させるようにしているので、レンタル媒体112の厚みを問わず1つのレンタル媒体112のみが下側傾斜面101に沿って適切に挿入された場合にはレンタル媒体112の挿入側端面113が媒体ストッパ2に当接して其れ以上の下流側にレンタル媒体112が移動することが防止され、従来装置と同様、バーコードスキャナ105およびCPU4から成る判定手段によるバーコード114の判定結果に応じて媒体ストッパ2の開放操作の実行と非実行、すなわち、セキュリティ解除手段109による磁気セキュリティ解除操作の実行と非実行を適切に選択して実施することができる。
また、レンタル媒体112の厚みを問わず2つ以上のレンタル媒体112が重複挿入された場合には、最下層に位置するレンタル媒体112すなわち下側傾斜面101と直に接するレンタル媒体112の挿入側端面113のみが媒体ストッパ2に当接して其れ以上の下流側への移動が防止される一方、最下層に位置するレンタル媒体112を除く他の全てのレンタル媒体112は最下層に位置するレンタル媒体112に対して滑りを生じて媒体ストッパ2を超えて下流側に移動するので、これら下流側に移動したレンタル媒体112の挿入側端面113が通過検知センサ108によって検知され、バーコードスキャナ105およびCPU4から成る判定手段によるバーコード114の判定結果とは関わりなく媒体ストッパ2および予備ストッパ3の退避動作が非実行とされ、最下層のレンタル媒体112の挿入側端面113と媒体ストッパ2との当接および最下層に位置するレンタル媒体112を除く他のレンタル媒体112の挿入側端面113と予備ストッパ3との当接によって全てのレンタル媒体112が回収可能位置に留め置かれると共に、セキュリティ解除手段109によるセキュリティ解除操作も非実行とされるので、レンタル媒体112の重複挿入に起因したレンタル媒体112の不正な持ち出しを未然に防止することができる。
特に、この実施形態にあっては、下側傾斜面101を基準とする媒体ストッパ2の突出高さが最も薄いレンタル媒体112bの厚みに比べて1mmほど低めに形成されているので、最も薄いレンタル媒体112bの上に他のレンタル媒体112を重複して挿入した場合であっても、最下層に位置するレンタル媒体112bの上に重ねられた他のレンタル媒体112を最下層に位置するレンタル媒体112に対し確実に滑動させて、上側に位置するレンタル媒体112の挿入側端面113における下流側への過剰な移動、つまり、複数のレンタル媒体112の重複挿入を通過検知センサ108によって確実に検知することができる。
【0053】
しかも、セキュリティ解除装置1が備える下側傾斜面101,上側傾斜面102,媒体搬送路103,媒体挿入口104,バーコードスキャナ105,媒体検知センサ107,通過検知センサ108,セキュリティ解除手段109,確認用センサ110,媒体取出口111の構成およびレイアウトは従来型のセキュリティ解除装置100の其れらと完全に同様であり、従来型のセキュリティ解除装置100の媒体ストッパ106に代えて予備ストッパ3と共に一体成形した媒体ストッパ2を従来型のセキュリティ解除装置100に取り付けるだけの簡単な作業によってレンタル媒体112の重複挿入の検知に必要とされるハードウェア構成を実現することができることから、セキュリティ解除装置1の開発や設計は極めて容易であり、セキュリティ解除装置1を設置する際の設備投資の費用も軽減される。
従って、専用の測定器や積極的な搬送手段、および、重複したレンタル媒体112を突き崩したりレンタル媒体112の積み重なりを解除したりするための格別な手段の設置、ならびに、媒体搬送路103の冗長化や媒体挿入口104に挿入される対象物の大きさを標準化するための専用ケースの新規製作といった必要は一切なく、1台のセキュリティ解除装置1によって様々な厚みのレンタル媒体112,112a,112b等に対処することができるので、ラニングコストの増大といった問題も発生しない。
【0054】
以上、予備ストッパ3を媒体ストッパ2と一体に形成し、1つのアクチュエータ5で媒体ストッパ2および予備ストッパ3を開閉操作するセキュリティ解除装置の構成の一例について述べたが、予備ストッパ3を媒体ストッパ2と独立して形成したり、独立して形成された予備ストッパ3および媒体ストッパ2の各々を個別のアクチュエータで開閉駆動するように構成することも可能である。
【0055】
例えば、
図8に示すように、媒体ストッパ2と予備ストッパ3を独立して設け、媒体ストッパ2を下側傾斜面101から媒体搬送路103内に突出させる構成とする一方、予備ストッパ3を上側傾斜面102から媒体搬送路103内に突出させる構成とし、媒体ストッパ2と予備ストッパ3の各々を夫々に専用の直動型の電磁ソレノイド(都合2個)を利用して下側傾斜面101(上側傾斜面102)の法線方向に直動させる構成とすることが可能である。
この場合も媒体ストッパ2の突出高さを貸し出し対象となるレンタル媒体112のうち最も薄いレンタル媒体112bの厚み以下とすることは必須の要件であるが、突出の向きを対向させた媒体ストッパ2と予備ストッパ3を併用して予備ストッパ3よりも下流側へのレンタル媒体112の滑動を防止することができるので、上側傾斜面102から媒体搬送路103内への予備ストッパ3の突出高さは、媒体ストッパ2を乗り越えて突入する最も薄いレンタル媒体112bの下流側への侵入を阻止できる程度の高さがあれば十分である。
【0056】
また、特に図示しないが、媒体ストッパ2と予備ストッパ3を独立して設け、媒体ストッパ2および予備ストッパ3を共に下側傾斜面101から媒体搬送路103内に突出させる構成とし、媒体ストッパ2と予備ストッパ3の各々を夫々に専用の直動型の電磁ソレノイド(計2個)を利用して下側傾斜面101の法線方向に直動させる構成とすることも可能である。
【0057】
以上に開示した実施形態の一部または全部は、以下の付記に示す記載によって適切に表現され得るが、発明を実施するための形態や発明の技術思想は、これらのものに制限されるものではない。
【0058】
〔付記1〕
レンタル媒体(112)の自重による滑動を許容する傾斜角を備えた下側傾斜面(101)と貸し出し対象となるレンタル媒体(112)のうち最も厚いレンタル媒体(112a)の厚みに匹敵する間隔を前記下側傾斜面(101)との間に置いて前記下側傾斜面(101)に対して平行に設置された上側傾斜面(102)とによって形成される媒体搬送路(103)と、前記媒体搬送路(103)の上流側に設けられた媒体挿入口(104)から挿入されるレンタル媒体(112)に貼着されたバーコード(114)を読み取るバーコードスキャナ(105)と、少なくとも前記バーコードスキャナ(105)によるバーコード(114)の読み取りが完了するまでの間前記下側傾斜面(101)から前記媒体搬送路(103)内に突出した状態を維持しレンタル媒体(112)の挿入側端面(113)に当接して前記レンタル媒体(112)を回収可能位置に留め置く常閉型の媒体ストッパ(2)と、前記媒体ストッパ(2)の上流側に設置され前記レンタル媒体(112)の挿入側端面(113)が媒体ストッパ(2)に当接したことを検知する媒体検知センサ(107)と、前記バーコードスキャナ(105)で読み取られたバーコード(114)の適否を判定する判定手段(CPU4)と、前記媒体ストッパ(2)の下流側に設置され前記レンタル媒体(112)の挿入側端面(113)が媒体ストッパ(2)の位置を越えて下流側に移動したことを検知する通過検知センサ(108)と、前記通過検知センサ(108)よりも下流側の位置で前記下側傾斜面(101)上を滑動するレンタル媒体(112)の磁気セキュリティを解除するセキュリティ解除手段(109)とを備えたセキュリティ解除装置(1)において、
前記下側傾斜面(101)を基準とする前記媒体ストッパ(2)の突出高さを貸し出し対象となるレンタル媒体(112)のうち最も薄いレンタル媒体(112b)の厚み以下に形成すると共に、
前記通過検知センサ(108)よりも下流側で且つ前記セキュリティ解除手段(109)よりも上流側の位置に設けられて前記媒体搬送路(103)を開閉する常閉型の予備ストッパ(3)と、
前記判定手段(CPU4)によってバーコード(114)が適正なものであると判定された状況下で、前記媒体検知センサ(107)によりレンタル媒体(112)の挿入側端面(113)が前記媒体ストッパ(2)に当接していることが検知され、且つ、前記通過検知センサ(108)により前記レンタル媒体(112)の挿入側端面(113)が媒体ストッパ(2)の位置を越えて下流側に移動していないことが検知された場合に限り前記媒体ストッパ(2)および前記予備ストッパ(3)を前記媒体搬送路(103)の厚み方向の外側に退避させるストッパ開放手段(アクチュエータ5)とを備えたことを特徴とするセキュリティ解除装置(1)。
【0059】
〔付記2〕
前記予備ストッパ(3)は、前記媒体ストッパ(2)の先端から前記媒体搬送路(103)に沿って下流側に延出するストッパ接続部(3a)と此のストッパ接続部(3a)の先端から前記上側傾斜面(102)に向かって延出するストッパ本体部(3b)によって前記媒体ストッパ(2)と一体に形成され、前記ストッパ開放手段(アクチュエータ5)は、前記媒体ストッパ(2)に接続された1つのアクチュエータ(5)によって構成されていることを特徴とした付記1記載のセキュリティ解除装置(1)。
このような構成を適用した場合には、特に、従来型のセキュリティ解除装置100の媒体ストッパ106に代えて予備ストッパ3と一体成形した段付き形状の媒体ストッパ2を換装するだけでレンタル媒体112の重複挿入の検知に必要とされるハードウェア構成を実現することができるため、セキュリティ解除装置1の開発や設計の容易化およびセキュリティ解除装置1を設置する際の設備投資の費用の軽減化に顕著な効果が発揮される。
【0060】
〔付記3〕
前記予備ストッパ(3)は、前記媒体ストッパ(2)と独立して設けられ、前記ストッパ開放手段は、前記媒体ストッパ(2)に接続されたアクチュエータと前記予備ストッパ(3)に接続されたアクチュエータとによって構成されていることを特徴とした付記1記載のセキュリティ解除装置。
【0061】
〔付記4〕
前記予備ストッパ(3)は、前記上側傾斜面(102)から前記媒体搬送路(103)内に突出するように構成されていることを特徴とした付記3記載のセキュリティ解除装置。
【0062】
〔付記5〕
前記予備ストッパ(3)は、前記下側傾斜面(101)から前記媒体搬送路(103)内に突出するように構成されていることを特徴とした付記1または付記3記載のセキュリティ解除装置(1)。