(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の遠隔サーバへの前記確立された第1の通信リンク、および、前記自動体外式除細動器内に含まれるスピーカフォンを介して、ボイスオーバアイピ音声コールを行うステップをさらに備える、請求項10に記載の方法。
前記口頭メッセージが救急サービスセンタに通信された後に、スピーカフォンに携帯電話コールを接続する手段をさらに備える、請求項22に記載の自動体外式除細動器。
前記第1の遠隔サーバへの前記確立された第1の通信リンク、および、前記自動体外式除細動器内に含まれるスピーカフォンを介して、ボイスオーバアイピ音声コールを行う手段
をさらに備える、請求項21に記載の自動体外式除細動器。
統合無線モデムを含む自動体外式除細動器内のプロセッサに動作を実行させるように構成されたプロセッサ実行可能命令を記録した非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、前記動作が、
前記自動体外式除細動器が起動されることに応答して、セルラデータネットワークとの第1の通信リンクを確立するステップと、
前記確立された第1の通信リンクを介して、インターネットにアクセスするステップと、
前記確立された第1の通信リンクを使用して、前記インターネットを介して、第1の遠隔サーバにアクセスするステップと、
前記確立された第1の通信リンクを使用して、前記インターネットを介して、前記第1の遠隔サーバに起動メッセージを通信するステップと、
前記自動体外式除細動器が非活性化されることに応答して、前記セルラデータネットワークとの第2の通信リンクを確立するステップであって、前記第2の通信リンクは第1の通信リンクとは異なるデータ通信リンクである、ステップと、
前記確立された第2の通信リンクを使用して、前記インターネットにアクセスするステップと、
前記確立された第2の通信リンクを使用して、前記インターネットを介して、第2の遠隔サーバに患者診断データを通信するステップと
を含む、非一時的コンピュータ可読記録媒体。
前記第1の遠隔サーバへの前記確立された第1の通信リンク、および、前記自動体外式除細動器内に含まれるスピーカフォンを介して、ボイスオーバアイピ音声コールを行うステップ
をさらに含む動作を前記プロセッサに実行させる、請求項32に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【発明を実施するための形態】
【0008】
さまざまな実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明されることになる。可能な限り、同じ参照番号は、図面を通して、同じまたは同様の部分を参照するために使用されることになる。特定の例および実装形態の言及は例示を目的とし、本発明または本特許請求の範囲を限定するものではない。
【0009】
本明細書において、用語「自動体外式除細動器」および「AED」は、バッテリ、充電器、メモリ素子、および、患者への電気ショックを管理するための電極またはパドルを含む、心臓蘇生法に使用されるように設計された任意の携帯用デバイスを指す。
【0010】
本明細書において、用語「サーバ」は、クライアント-サーバアーキテクチャで動作するように構成されたさまざまな市販のコンピュータシステムのうちのいずれかを指す。具体的には、用語「サーバ」は、プロセッサと、メモリ(ハードディスクメモリなど)と、インターネット、インスタントメッセージングネットワーク、単純メッセージングシステムネットワークおよび/または携帯電話ネットワークなどのネットワークにサーバプロセッサを接続するように構成されたネットワークインタフェース回路とを通常は含む、ネットワークサーバ、特にインターネットアクセス可能なサーバ、を指す。
【0011】
公共の場でのAEDの配備は、突然の心イベントが原因の死者の数の全体的な減少をもたらした。AEDの適切な使用は、心臓が停止したときに鼓動を開始するようにそれを刺激することによって、または、心臓が細動し始めたときに通常のリズムを回復させることによって、心イベントを被っている人の命を救うことができる。
【0012】
現在のCPRプロトコルは、可能な限り早く二次救命処置(ALS)サービス(救急車など)からの追加支援を招集するために救急サービスセンタ(911、または他の国々における同等のもの)に電話をすることをアドバイスする。通常は、心イベントを目撃した居合わせた人が緊急事態に陥っている罹病者にAEDデバイスを使用することになり、その間に別の人が救急サービスに電話し、救急車を呼ぶ。しかし、その時点で現場に1人しかいない場合には、この911番通報を行うことがAEDを使ったCPR治療を遅らせることがある。救急サービスに電話をする第2の人物が存在しない場合には、現在の緊急事態訓練プロトコルは、倒れた人を見つけた第1の応答者にALS支援を招集するために911に直ちに電話をするようにアドバイスする。救急サービス通信指令係に話した後に、ただ1人の発信者は、手動CPR技法と組み合わせて罹病者にAEDを使用することによって、罹病者を蘇生しようと試みることができる。居合わせた人が倒れるのを見た場合、彼らは救急サービス(911など)に電話をする前に2分間CPRを提供することになる。
【0013】
救急サービスに電話をする人が医療の専門家であることは稀であるため、誤った伝達が911番通報中に生じることがある。救急サービスに電話をする人は、緊急通信指令係が医療緊急事態の位置、性質、および重篤性を正確に判定できるようにするような明快なまたは完全な情報を提供できないことがある。かかる情報なしでは、通信指令係は緊急事態の現場に救急隊を導くことができず、または彼らが直面することに対して準備させることができない可能性がある。911に電話をする人はまた、AEDを使用する訓練を殆どまたは全く受けていないことがあり、その使用中に指導を受けることによって助けられることがある。しかし、第2の人物が現場にいて、緊急通信指令係との電話に出続けない限り、救助者が救急サービス電話通信指令係からの指導を受け、同時にAEDを操作することは非常に困難である。AEDデバイスが使用中のAEDデバイス自体を介するデータおよび音声通信の直接の同時通信はこれらの両方の問題を解決することになろう。
【0014】
救急サービスセンタに電話がかけられる(911をダイヤルすることによってなど)とき、発呼者は通常は、適切な地元の緊急応答機関(PSAP)の救急サービス通信指令係に経路指定される。PSAPは、911への通話に応答し、適切な警察、消防または救急サービス職員を派遣する、救急サービスセンタである。通信指令係は、発呼者に緊急事態の性質についての質問をし、緊急事態の位置および発呼者の電話番号を確認する。殆どのPSAPは、発呼者の電話番号を自動的に取得し、別個のアドレスデータベース(地域電話会社によって通常は保持される)から関連アドレスを引き出し、通信指令係のコンピュータ画面にそのアドレスおよび電話番号を自動的に表示することになる、高度911通信システムを使用する。多数のPSAPはまた、GPS受信機を装備する携帯電話から位置情報を取得する能力を有する。
【0015】
いくつかの理由から発呼者と電話およびアドレス情報を確認することが緊急通信指令係の標準手順である。第1に、そこからアドレス情報が高度911システムによって自動的に引き出されるデータベースは、誤りを含むことがある。第2に、発呼者のアドレスが多くの場合に表示されるが、通信指令係が建物内のまたはアドレスの緊急事態の正確な位置を特定するための追加情報を必要とすることがある。たとえば、緊急事態が、多数の部屋を含むオフィスビルで、競技機関で、または住宅の裏庭で起きていることがある。最後に、発呼者が携帯端末を使用している場合、彼または彼女の電話番号は自動的に通信指令係のコンピュータ画面上に表示されないことがある。すべての高度911システムが、無線通信ネットワークを使用している発呼者の電話番号および正確な位置を自動的に取得する能力を有する訳ではない。
【0016】
PSAP通信指令係は通常は、入電データベースへの入力のためのコンピュータ画面上のさまざまな事前設定フィールドに収集された情報をタイプ入力する。基本情報が取得された後は、通信指令係はALSチームに派遣要求を送り、同時に、救急サービス車両に置かれたモバイルデータ端末を介して緊急救助者にそのイベントの性質に関する入力された基本データを送信する。
【0017】
救急サービスに電話がかかるのがいつであっても、伝えられる情報が不完全であることがある。心臓救急の現場から最初に救急サービスに電話をする人は、通常は医療の専門家ではなく、多大なストレスまたはパニックを感じていることがある。したがって、彼または彼女は、救急サービスコールセンタの電話通信指令係に罹病者の状態に関する情報を正確かつ完全に伝えることができないことがある。加えて、救急サービス電話の通信指令係は、訓練された医療の専門家ではないことがあり、したがって、発呼者からの情報の詳細を十分にかつ適切に解釈することができないことがある。データが正確に通信されるかどうかに関わらず、PSAP通信指令係は、状況の概要を到着するALSチームに与えるように設計された標準化された事実情報を入力するように訓練されている。PSAPオペレータは、詳細な医療診断質問に時間を費やさずに、可能な限り速く緊急状況に関する基本事実を取得するように訓練される。したがって、ALSチームは、緊急事態の現場に到着する前に、罹病者の状態に関する医療診断情報を殆どまたは全くもたない。
【0018】
発呼者はまた、緊急事態の正確な位置を確認する際に細部を見逃すことがある。これは、ストレス、パニック、またはその場所に馴染みがないことなどに起因しうる。間違った位置情報は、ALSチームの到着を遅れさせるため、致命的な誤りになりうる。
【0019】
心イベントが発生したときに現場に介護者が1人しかいない場合、その唯一の介護者が救急サービスに電話をし、通信指令係に話す間に、罹病者の蘇生の遅れが生じうる。心臓救急では、蘇生努力の開始のほんの数分の遅れが罹病者に致命的結末をもたらしうる。罹病者がCPRおよび/またはAEDで処置を受けるのが早いほど、生存率は大きくなり、罹病者が心臓に回復不可能な損傷を受ける可能性は低くなる。一方で、ALSチームの早い到着もまた患者の生存に重大であるため、また、CPR行動は救助を求める電話を数分間遅らせうるため、AEDユーザの指示および訓練は、CPRを与えるおよびAEDを適用する前に、911(または他の緊急事態番号)に電話をすることを強調する。したがって、ただ1人の介護者の状況は、AEDを使用して突然の心イベントの罹病者を救助するための困難な課題を表す。
【0020】
AEDは、それが使用されるとき、いくつかのデバイスで周辺雑音を記録することを含んで、患者データおよび治療データを記録する。かかる記録された情報は、患者の状態と、医療の訓練を受けた職員の到着前に適用された任意の蘇生または除細動治療の性質およびタイミングとを医師が判定するのに役立ちうる。しかし、かかる情報は、非活動化された後に、ダウンロードおよび保存されなければならない。この情報は、対応するALSチーム(病院、消防署などの)のコンピュータシステムに保存することができる。その情報は、AED製造会社によって後で収集され、使用されうる。かかる情報は、AEDが使用されている間には医療職員に利用可能ではなく、その情報をメモリからダウンロードするのにはさらに時間がかかる。
【0021】
AEDはまた、それらが引き続き使える状態にあることを確実にするために、定期的に補修される必要がある。AEDはいくつかの機能について自己試験する能力を有しうるが、サービス訪問は、何らかの深刻な問題を認識し、診断し、解決するために必要とされる。定期的なサービス訪問は、スケジュールすることができるが、問題がサービス訪問の合間に生じた場合には、AEDがそれが問題を被っていることを信号で伝えていることに誰かが偶然気付くまで、故障を検出および修理することはできない。
【0022】
さまざまな実施形態が、移動局モデム(MSM)チップセットなどの無線モデムをAEDシステムに統合し、自律して通信するためにモデムを使用するようにシステムを構成することによって、AEDにおけるこれらの現在の欠点と、ただ1人の介護者が直面する課題とを解決する。一実施形態では、AEDが起動されるとすぐに、無線モデムが起動されて、911緊急派遣に電話をする、または、その位置情報を通信指令係に提供するために、遠隔サーバへのデータリンクを確立する。AEDの位置情報は、事前に記録する、あるいは、内部グローバルポジショニングシステム(GPS)受信機からまたは支援型GPSを介して取得することができる。この方式では、救急サービスは、その正確な位置(AED記憶位置とは異なりうる)を含み、心臓救急の知らせを直ちに受けることができる。救急サービスへのコールが完了した後は、またはAED起動メッセージが遠隔サーバに送信された後は、一実施形態のAEDは、無線データ通信リンクを介して患者診断および治療データを遠隔サーバに送信することができる。遠隔サーバにかかるデータを送信することは、中間対応職員および救急救命士が患者の状態を評価し、彼らが現場に到着するときに、または患者が病院の緊急治療室に到着するときに、それに応じて対応する準備ができているようにすることができるように、そのデータがネットワークプロトコルを介して中間対応職員および救急救命士に経路指定されうるようにすることができる。
【0023】
さらなる実施形態で、AEDは、スピーカフォンを介して医療職員および介護者の間に通信を提供するために、PSAPコールセンタまたは電話外傷センタとのスピーカフォン音声コールを可能にするように構成されうる。この音声コールは、自律的にAEDによって、遠隔サーバによって、またはデータ伝送を監視する医療職員からの命令に応答して、起動されうる。さらなる実施形態で、AEDは、患者のデータを監視する医療職員が別個の音声コールを確立する必要なしに介護者(および、患者の意識がある場合には患者)に話しかけ始めることができるように、オープンIP接続を介するボイスオーバインターネット(VoIP)コールを受け入れるようにソフトウェアで構成されうる。さまざまな実施形態のAEDは、自動的に911に電話をする、または起動メッセージを遠隔サーバに送信し、極めて重要な情報を緊急派遣に送信し、患者データを医療職員および救急隊員に送信し、そして任意選択でスピーカフォンを介する音声コールを確立するための回路およびプログラミングを含むため、ただ1人の介護者は直ちに罹病者に付き添い、訓練を受けた医療職員の到着を遅らせることなしにCPRを開始することができる。さらに、ただ1人の介護者は、その介護者が電話を手に持つまたは電話をかけることを必要とせずに、遠隔医療職員による指導を受けることができる。さらに、自動起動報告は、緊急事態を報告する際の誤りを減らすことになり、ALSチームによるより速い対応を可能にする。
【0024】
無線モデムをAEDに統合することもまた、AEDが定期的自己診断試験の結果を自動的に報告するように構成されうるため、信頼性利益を提供する。AEDが定期的自己診断試験をスケジュールされているとき、AED製造会社またはサービスプロバイダのサーバなどの遠隔サーバにその試験の結果が報告することができるように、無線モデムが起動される。このデータを使用して、AED製造会社またはサービスプロバイダは、バッテリを交換するためなど、サービスがいつ必要とされることになるかを予想することができる。さらに、AED自己診断試験が故障状態を明らかにした場合、そのデバイスが直ちに置き換えまたは修理されうるように、AED製造会社またはサービスプロバイダは通知を受けることができる。これは、緊急の場合に、AEDが機能しないことが発覚する可能性を減らすことになる。
【0025】
図1は、さまざまな実施形態と使用されうる通信ネットワーク10を示す。かかる通信ネットワーク10は、セルラ電話ネットワーク4内の基地局6から/にセルラ信号2を送信および受信するためのアンテナ76に接続された無線モデム74を含む1つまたは複数のAED12を含む。この例示的通信ネットワーク10において、基地局6は、インターネット24へのアクセスを提供するサーバ5に結合された、モバイル交換局(MSC)8などのネットワークを操作するよう求められる要素を含むセルラネットワーク4の一部である。動作中、MSC8は、AED12におよびから、ならびに無線通信伝送2を介して携帯電話3におよびから、音声およびデータコールを経路指定する能力を有する。AED12は、セルラ電話ネットワーク4を介して911救急サービスセンタ28に音声またはデータコールをかけるように構成されうる。さらに、AED12は、患者のバイタルサインおよび診断データ、ならびにAEDによって患者に適用された治療に関する情報を入手し、そして、遠隔サーバ26および/または緊急応答センタ28にセルラ電話ネットワーク4およびインターネット24を介してこのデータを送信するように構成されうる。AEDはまた、セルラ電話ネットワーク4を介して、緊急応答センタ28などの救急隊員、または医療職員と音声コール(スピーカフォンを使ってなど)を行うように構成することもできる。
【0026】
セルラ電話ネットワーク4の代わりに、またはそれに加えて、AED12は、IEEE 802.11無線広域(WiFi)ネットワーク14などの別のタイプの無線通信ネットワークと通信するように構成することもできる。代表的なWiFiネットワーク14は、AEDアンテナ76とインターネット24に結合されたネットワークゲートウェイサーバ15に結合されたWiFi基地局16との間で無線信号13を伝送することができる。したがって、WiFiネットワーク14は、AEDが建物内に置かれているときなどに生じうるような、セルラサービスが使用可能でない場合に、インターネット24への代替接続として使用されうる。インターネットを介するネットワーク通信を使用して、AEDは、かかるメッセージを遠隔サーバ26に送信することによって、または救急サービスセンタ28へのVoIPコール(VoIPサーバ26を介するなどの)を開始することによってのいずれかで、起動イベントを報告することができる。
【0027】
同様に
図1に示すように、AED12からデータを受信するように構成された遠隔サーバ26はまた、ネットワーク接続(インターネット24など)または従来の通話27を介して、受信情報を救急サービスセンタ28にまたは他の医療機関(病院の緊急治療室など)に通信するように構成されうる。
【0028】
図2は、例示的な従来のAEDの構成要素ブロック図である。代表的なAEDは、バッテリ30と、プロセッサ42と、コンデンサまたはコンデンサバンク34を含みうる高電圧配信システム32と、バッテリ30およびスイッチング機構38で動くコンデンサ充電器36と、電極コネクタ40とを含む。プロセッサ42は、電極コネクタ40に接続された電極(図示せず)にコンデンサ34から電気ショックを配信するために、充電器36およびスイッチング機構38を動作させるように構成されうる。AEDは、試験信号発生器46および除細動器状況インジケータ48を含む試験システム44を含みうる。その試験システムは、除細動器の構成要素の動作状況を試験し、所定のイベントもしくは状態に応答して、および/または事前設定スケジュールで定期的に、その状況の指示(インジケータライトでなど)を提供することができる。代表的なAED内のプロセッサは、患者の心臓から発する電気的信号などの患者のバイタルサインを受信および解釈し、除細動治療を必要とする状態を認識するように、そして、電極を介して患者に適切な電気的ショックを適用するように高電圧配信システム32を起動するように構成される。
【0029】
図2には示されていないが、従来のAEDはまた、患者のバイタルサインおよび治療データを記録するためのプロセッサ42に結合されたメモリ、ならびに、インジケータライト、ディスプレイ(LCDパネルなど)、周辺雑音を記録するためのマイクロフォン、および、患者の心拍を監視するためのサウンドまたはトーンなどの介護者に音声の合図を提供するためのスピーカまたはブザーなどのユーザインタフェースデバイスを含みうる。
【0030】
図3は、さまざまな実施形態によるAED12の構成要素ブロック図である。本実施形態のAED12は、従来のAEDの構成要素、ならびにアンテナ76に結合された無線モデム74(MSMなど)を含む。加えて、AED12は、患者の心臓を監視し、必要に応じて除細動回路を起動するための、ならびにさまざまな実施形態の機能を実行するための、ソフトウェアで構成されるプロセッサ42を含みうる。プロセッサ42は、プログラマブルマイクロプロセッサおよび制御回路でもよく、いくつかの実装形態で、プロセッサ42は、除細動機能を制御するための1つのプロセッサ、および、さまざまな実施形態の通信プロセスを含む、他のシステムプロセスを制御するための第2のプロセッサなど、複数のプロセッサを含みうる。無線モデム74は、プロセッサ42におよびアンテナ76に結合され、携帯電話ネットワークまたは他のタイプの無線ネットワークへの音声およびデータコールを確立するように構成される。プロセッサ42は、無線モデム74に、音声またはデータコールを確立するための、および音声シンセサイザによって生成されたまたはメモリ60に保存されたデータまたは言葉を送信するためのソフトウェア命令で構成されうる。以下にさらに詳細に説明されるように、プロセッサ42は、メモリ60からの位置情報、デバイス識別情報、患者データ、および治療データを呼び出すことができ、無線モデム74を介する遠隔サーバへの伝送のための情報をフォーマットすることができる。
【0031】
一実施形態で、GPS受信機75は、AEDのGPS座標(緯度、経度および高度)を提供するためにアンテナ76におよびプロセッサ42に結合されうる。いくつかの実装形態で、GPS受信機75は図示するような無線モデム74の一部として含むことができ、一方、他の実装形態では、GPS受信機75は別個の構成要素でもよい。
【0032】
AED12の電力は、プロセッサ42および高電圧配信システム32を含む他の構成要素に電力を提供する電源回路54に電圧を提供するバッテリ30によって提供されうる。
図2を参照して前述したように、プロセッサ42は、コネクタ40を介してAED12に結合された電極50を介して患者に電気的ショックを適用するために、高電圧配信システム32に制御信号を送る。AED機能の診断試験を提供するために、高電圧配信システム32は、高電圧配信システム32の発火が電極50にエネルギを与えることなしに試験目的で実現されうるように、試験負荷54に接続することができるリレー52に結合されうる。
【0033】
前述のように、AED12は、小型心電図(ECG)として実質的に機能し、患者のバイタルサインおよび患者の心臓の電気的信号を感知することができなければならない。その信号は、AED技術分野でよく知られるように、信号増幅器および調整回路を含みうるフロントエンド回路56によってコネクタ40を介して電極50から受信することができる。フロントエンド回路56から受信される信号は、メモリ60での保存のために、ならびに患者への適用のための適切な除細動治療を決定するために、プロセッサ42に提供されうる。
【0034】
一実施形態で、AED12は、介護者の声などの周辺雑音を記録するように構成されたマイクロフォン62と、患者の心臓の鼓動を示すサウンドまたはトーンなどの介護者への聴覚によるプロンプトを提供するためにならびにスピーカフォンのスピーカ部分の役割を果たすために使用されうるスピーカ64と、介護者に警報または同様の信号を提供するためのブザー70などの他の音声ジェネレータと、LCDパネル66などのディスプレイなど、ユーザと通信するための他の回路を含みうる。
【0035】
ユーザインタフェースデバイスの制御は、ディスプレイ制御および多数の計器制御機能などの多数のAED機能を統合する特定用途向け集積回路(または別のプロセッサ)でもよい、ゲートアレイ58によって提供されうる。かかるゲートアレイ58は、AED内の構成要素の数を最小限にし、ユーザインタフェースタスクのためのプロセッサ42への処理負担を低減することができる。たとえば、プロセッサ42が無線モデム74を制御して救急サービスセンタ28などへの音声コールを開始する間に、ゲートアレイ58は無線モデム74とマイクロフォン62およびスピーカ64の間の接続の役割を果たすことができ、それによって、患者を監視および治療するために、プロセッサ42を解放する。
図3には示されていないが、ゲートアレイ58はまた、データ接続がプロセッサ42の指示の下で確立された後に、遠隔サーバへの伝送のために無線モデム74に保存データを渡すことができる、メモリへの接続を含みうる。同様に、ユーザに表示されることになる情報は、LCDパネル66に提示されるディスプレイ画像を次に生成するゲートアレイ58にプロセッサ42によって提供されうる。
【0036】
AED12はまた、AED12がスリープまたは低電力状態にあるときにシステム監視を実行する自己監視回路52を含みうる。自己監視プロセッサ52は、バッテリ30および高電圧配信システム32など、監視を必要とするAED12内のさまざまな構成要素への接続を有する別個のプロセッサでもよい。監視プロセッサ52は、バッテリ、またはメインプロセッサ42から独立した別の電力源から電力を受けるために、プロセッサ42がシャットダウンされるときに動作するように構成されうる。監視プロセッサ52は、AED12が満足できる状態にあることを指示するために、状況ライト72を起動することができる。自己監視プロセッサ52による診断試験からの結果は、無線モデム74を介する遠隔サーバへの送信のためにメインプロセッサ42に提供されうる。自己監視プロセッサ52はまた、ユーザからの命令で自己診断試験を開始するためのボタンなど、それ自体のセットのユーザ制御68を有しうる。
【0037】
図3は3つの別個のプロセッサ(メインプロセッサ42、監視プロセッサ52およびゲートアレイ58)を示すが、これは、実装されうる1つのみの可能なアーキテクチャである。将来のプログラマブルプロセッサは、実施形態AED12のすべての機能をそれらが実行できるようにするのに十分な計算能力を有しうる。別法として、4つ以上のプロセッサが、それらの設計を単純にするために、またはさらなる信頼性を提供するために、いくつかの実装形態で使用されうる。参照を容易にするために、実施形態は、特定のコプロセッサを参照する代わりにさまざまな実施形態方法を実行するためのソフトウェア命令で構成されうる、単一のプロセッサ42を参照して、本明細書では説明される。この単一のプロセッサ42の参照は、特定のプロセッサアーキテクチャ、または特定のプロセッサ回路への機能の割当てに本特許請求の範囲を限定するものではない。
【0038】
AED12の従来の構成要素および機能に関してさらに詳しくは、その全内容を参照により本明細書に組み込む、米国特許第5,879,374号、表題「External Defibrillator with Automatic Self-testing Prior to Use」、1999年3月9日付で提供される。
【0039】
無線モデム74は、AED12が従来の携帯電話ネットワークを介して音声またはデータコールを確立することを可能にする、MSMなど、携帯電話タイプの送受信機でもよい。別法として、無線モデム74は、AEDがWiFi無線ネットワークと無線データリンクを確立することを可能にする、IEEE 802.11g無線広域WiFi送受信機など、別のタイプの無線モデムでもよい。さらなる代替で、無線モデム74は、AEDが起動されるときにAEDが受信信号に応じてどちらかのタイプの無線ネットワークに接続を確立することができるように、携帯電話送受信機およびWiFi送受信機の両方を含みうる。無線モデム74は、「ホワイトスペース」送受信機を含む、将来開発されうる任意のタイプの無線送受信機でもよい。
【0040】
無線モデム74をAED12に統合することは、システムが、イベント(AEDの起動である)およびその位置を救急サービス職員に自動的に通知すること、ならびに、心臓罹病者を治療するのに役立ちうる情報を提供することを可能にする。かかる通知は、遠隔サーバにデータコールをかけ、データ伝送として電子的にデータを送信することによって、達成されうる。
図4は、それによってAEDが無線データ伝送を介してイベントを報告することができる、プロセスの概観を提供する。別法としてまたは追加で、911オペレータに記録された音声または合成音声によって提供される通知情報で救急サービスセンタに音声コールをかけることができる。救急サービスセンタに電話がかけられる場合、通信指令係が内蔵スピーカフォン(マイクロフォン62およびスピーカ64)を介して介護者と話すことができるように、接続は音声記録が再生された後もオープンなままにすることができる。
図5は、それによってAEDが自動音声コールを介してイベントを報告することができるプロセスの概観を提供する。たとえイベントがサーバにデータを送信することによって報告された場合でも、音声コールはVoIP接続および内蔵スピーカフォンを介して通信指令係または他の医療職員に接続されうる。
【0041】
図4は、その中で緊急通知が無線ネットワークを介して遠隔サーバにデータコールをかけることによって達成される一実施形態によるAEDの動作のプロセス概要100を示す。AEDが起動されるとき、ステップ102、それは、そのイベントの時間と、その患者の脈拍数およびECG信号(電極が付けられた後)と、AEDによって施されたショックの数など、それが使用されている心イベントに関する情報の記録を開始することができる、ステップ104。また、それが起動されるとき、AEDは自動的に無線モデムを起動し、遠隔の救急サービスサーバにデータコールをかける、ステップ106。そのデータコールが、AEDの位置および識別など、AED起動の報告を送る、ステップ108。この実施形態で、AEDは、セルラデータネットワークまたはWiFiネットワークへのデータコールを介してインターネットに自動的にアクセスすることによって、および、かかる緊急告知データを受信し、それに基づいて行動するように構成されたサーバにTCP/IPデータパケットでデータを送信することによって、緊急起動を報告するように構成されうる。たとえば、AEDは、救急サービスセンタのサーバにアクセスし、起動の識別子、位置、および性質などの情報を含む、AEDに関するデータを送信するように構成されうる。別法として、AEDは、たとえば、特定の電子メールアドレスへの電子メールとして、またはシンプルメッセージサービス(SMS)メッセージとしてを含む、他のタイプの電子的形式でイベント報告情報を送信するように構成されうる。
【0042】
電子的にAED起動イベントを報告することによって、AEDおよび受信コンピュータシステムは、緊急事態の位置および性質が、ヒューマンエラーの機会を回避し、正確に記録されることを確保することができる。さらに、緊急事態の報告は、国内のどこに置かれたサーバにも行うことができ、次にその地域の救急サービスに関する現在の情報に基づいて適切な通信指令係に緊急事態を報告するように構成されうる。したがって、AEDが地震またはハリケーンなどの自然災害状況に関わる場所に配備される場合、緊急通話はその国の影響を受けない部分にあるサーバによって処理されうる。かかる遠隔サーバは、モバイルEメール(Blackberry(登録商標)での受付けなど)またはSMSメッセージ(携帯電話での受付けなど)による一時的通信指令係または救急隊になど、応答することができる個人または機関に緊急情報を経路指定することができる。
【0043】
緊急事態の性質および位置を報告することに加えて、AEDは、患者の進行中の治療および状況に関する診断データの送信を開始する、ステップ110、ように構成されうる。データコールを介して遠隔サーバに送信されるデータは、その従来の機能でAEDによって記録されるデータを含みうる。たとえば、AEDは、患者に付けられた電極を介してそれが受信するECGデータ、ならびに患者に適用される電気ショックのログをサーバに送信することができる。この実施形態で、AEDは、患者が緊急治療室に到着するときに彼/彼女に提供されるべきケアを治療する医師が計画するために必要とすることになる情報を提供することができる。遠隔サーバはまた、派遣救急サービスチームの搭載コンピュータに直接この診断データを送る、ステップ112、ように構成されうる。データを派遣される救急サービスチームに送信することで、救命士が患者の状態への即座に対応する準備をできるようにすることができる。
【0044】
一実施形態で、遠隔サーバは、緊急データメッセージの配信後にスピーカフォンモードを使用可能にするように構成されうるAEDとのVoIP音声コールセッションを開始するようにさらに構成されうる。この実施形態は、介護者が電話を手に取るまたは罹病者への支援の提供を止めることを必要とせずに、中央機関または近隣の病院にいる地元の通信指令係または看護士が、介護者と話し始めることを可能にすることができる。この方式で、AEDの位置が遠隔サーバに確実に伝えられた後に、介護者は、追加情報を提供するために、通信指令係、看護士または医師との電話に出ることができる。遠隔サーバは、介護者が罹病者を受け取ることになる機関に追加情報を提供することができるように、近隣の緊急治療室を識別し、識別された緊急治療室およびAEDの間にVoIPコールを接続するように構成されうる。
【0045】
図5は、音声コールを介して起動イベントを報告するAEDのオペレーション150の要約プロセス流れ図である。この実施形態のAEDが起動されるとき、ステップ152、それは、911をダイヤルすることなどによって、自動的に救急サービスセンタまたはその地域のPSAPに音声コールをかける、ステップ154。音声コールが接続されるとき、AEDは、その現在位置、起動のタイプ、その識別番号、および、緊急通信指令係が適切な医療対応チームを送るのを助けることができる任意の他の情報などの情報を含む、記録されたまたは合成された音声によって起動イベントを自動的に報告することができる。たとえば、AEDは、911をダイヤルし、オペレータがそのコールに応答するのを聞き、その位置および緊急事態の性質の事前に記録された告知の再生を開始し、オペレータがメッセージを受信することを確実にするために、十分な回数告知を繰り返すように構成されうる。
【0046】
確立された通話は、事前に記録された告知が何回も繰り返された後に、スピーカフォンモードに切り替えるように、ステップ156、さらに構成されたAEDで、患者の治療中に継続することができる。この実施形態は、介護者が電話を手に取るまたは他の方法で罹病者への支援を提供することを中止することを必要とせずに、通信指令係が介護者と話し始めることを可能にする。この方式では、AEDの位置が緊急通信指令係に確実に伝えられた後に、介護者は、通信指令係からの質問に応答することなどによって、追加情報を提供するために、電話に出ることができる。救急サービス通信指令係は次に、現場に派遣されている救急サービスチームに音声コール中に受信された情報を伝えることができる、ステップ158。
【0047】
AEDの一実施形態によって実行されうる動作に関するさらなる詳細が、
図6A-6Cに示される。
図6Aおよび6Bは、起動および患者データを報告するために遠隔サーバに接続するAEDによって実行されうる動作を説明する。
図6Cは、911にダイヤルすることなどによって、救急サービスに音声コールをするAEDによって実行されうる動作を説明する。
【0048】
図6Aは、遠隔サーバに起動を報告するように構成されたAEDによって実装されうる例示的プロセス200を示す。使用されないとき、AEDはスリープモードで存在しうる。AEDが起動されるとき、ステップ202、そのプロセッサ42が従来のAEDの正規の機能を実行し始める。これらの正規の機能は、電極50が患者に付けられたときに電極50によって獲得されるバイタルサインを検出および記録すること、ステップ204、を含む。検出された患者のバイタルサインおよびECG信号を分析することによって、プロセッサ42は、除細動治療が必要かどうかを判定し、必要である場合には、自動的にかかる治療を行うことができる、ステップ206。バイタルサインを検出および記録するプロセス、ステップ204、および、自動治療を行うおよび記録すること、ステップ206、が、救命士によってなど、AEDが非活動化されるまで継続される。
【0049】
この従来の動作と同時に、一実施形態のAEDはまた、無線モデム74を起動し、ステップ208、インターネットへのアクセスを有する使用可能なデータネットワークに無線データ通信リンクを確立する、ステップ210、こともできる。無線通信リンクは、携帯電話ネットワークにデータコールを自動的にすること、WiFiネットワーク(IEEE 802.11g無線ネットワークなど)にログインすること、または、将来配備されうる別の形式の無線ネットワークにアクセスすることによって、確立されうる。一実施形態で、無線モデム74は複数のタイプの無線送受信機(携帯電話送受信機およびWiFi送受信機の両方など)で構成することができ、AEDプロセッサ42は、どのタイプのネットワーク信号を受信することができるかを決定し、AED起動の時間および位置で最も高信頼の接続を提供することになるネットワークのタイプを使用するために選択するように構成されうる。
【0050】
無線データネットワークを介してインターネットにアクセスする前、最中、または後に、AEDプロセッサ42は、それが遠隔サーバに起動イベントおよびその現在位置を報告することを可能にするために、メモリ内のデータにアクセスすることができる、ステップ212。たとえば、AEDが起動イベントを報告するためにアクセスすべき遠隔サーバのIPアドレスは、起動報告メッセージに含まれるべきAED識別子および位置情報とともに、メモリ内に保存されうる。このプロセスのステップ212の一部として、AEDプロセッサ42はまた、GPS座標の形式で現在の位置情報を取得するために、統合GPS受信機75にアクセスすることができる。現在位置情報を取得することは、AEDが、建物の外側の罹病者に到達するためなど、そのデバイスがその通常の記憶位置から移動されたときにその位置を正確に報告することを可能にする。AED内にGPS受信機75を含むことも、バス、列車、フェリー、および航空機などの車両に正常に保管されたデバイスによって起動位置の正確な報告を可能にする。
【0051】
メモリから取得されたIPアドレスを使用し、AEDプロセッサ42は、たとえば、近隣の救急サービスセンタのサーバなど、遠隔または集中サーバにアクセスすることができる、ステップ214。遠隔サーバにアクセスしたとき、AEDプロセッサ42は、AEDが本物であること、およびそれからの緊急起動報告は信頼できることをサーバが確認することができるように、メモリに保存された認証情報を交換することなどによって、サーバにそれ自体を認証することができる。加えて、無線モデム74および遠隔サーバは、緊急事態の位置および患者データが傍受から保護されうるように、セキュアソケットリンク(SSL)接続などの暗号化された通信リンクを取り決めることができる。
【0052】
TCP/IP通信リンクが遠隔サーバと確立された後は、AEDは、AED起動に関するデータをサーバに自動的に送信することができる、ステップ216。この起動データは、AEDの位置、起動の性質、患者の感知された状態(ECGデータが使用可能か、心停止状態が検出されるかなど)、ならびに、通信指令係が適切な応答を開始することを可能にすることができるその他の情報を含みうるが、これらに限定されない。遠隔サーバは起動メッセージの受信を確認することができ、そして、AEDプロセッサ42は、肯定応答が遠隔サーバから受信されるまで、起動メッセージを送信し続けるように構成されうる。前述のように、遠隔サーバへのTCP/IPリンクを確立する代わりに、起動メッセージが、宛先コンピュータに確実に配信されうるEメールまたは他の形式のアドレス指定可能メッセージとして、送信されうる。
【0053】
救急隊員がAEDの位置に送られうるように、AED起動が報告された後は、遠隔サーバとの確立された通信リンクは、VoIP接続を確立するために、
図6Bを参照して以下に説明されるプロセス230、または、サーバに患者診断および治療データを送信するために、ステップ218、使用することができる。AEDは、患者の治療中にAEDから遠隔サーバに進行中の治療および患者の状況に関するデータを継続的にプッシュするように構成されうる。患者診断および治療データは、それがAEDによって受信および保存されるため、継続的に送信されうる。別法として、AEDは、パケットまたはブロックでかかるデータを定期的に送信するように構成されうる。データを定期的に送信することは、遠隔サーバへのオープン通信リンクが、並列VoIP接続を確立することなど、他の通信に使用されうるようにすることができる、プロセス230。
【0054】
診断および治療データを送信することに加えて、AEDは、総合的GPS受信機75によって判定されるように、その現在の位置を報告し続けることができる。この情報は、バスまたはフェリーなどの移動する車両上に罹病者がいる状況で極めて重要になりうる。位置情報を送信し続けることによって、救急救命士を現場への到着時に罹病者の現在の位置に再度向かわせることができる。
【0055】
もう1つの実施形態で、AEDは、無線通信リンクが建物内で生じうるような、弱い信号強度または干渉に起因する途絶にしばしばさらされるため、無線接続の状況を監視する。この実施形態で、AEDプロセッサ42は、通信リンクを監視し、通信が不注意で終了された場合には遠隔サーバへのリンクを再確立するように構成されうる。コールがAEDのオペレータまたは遠隔サーバによる行動なしで中断または終了される場合、AEDは無線リンクを自動的に再確立し、データまたは音声コールを再びかけるように構成されうる。たとえば、プロセッサ42は、通信リンクが終了されたかどうかを定期的に判定することができる、判定220。通信リンクがまだ確立されている場合(判定220=「いいえ」)、プロセッサ42は遠隔サーバに患者および治療データを送信し続けることができる、ステップ218。しかし、通信リンクが終了された場合(判定220=「はい」)、プロセッサ42は、その終了が不注意でなかったことを指示することになる、サーバによって通信リンクが終了されたかどうかを判定することができる、判定222。この判定は、それが通信リンク終了メッセージを含んだかどうかを判定するために、サーバから受信された最後の通信を検査することによって行われうる。プロセッサ42が、サーバが通信リンクを終了させたと判定した場合(判定222=「はい」)、プロセッサ42は無線モデム74にデータリンクを終了し、シャットダウンするよう指示することができる、ステップ224。しかし、プロセッサ42が、サーバは通信リンクを終了しなかったと判定した場合(判定222=「いいえ」)、プロセッサ42は、インターネットへの無線通信リンクを再確立するように無線モデムに命令することができ、ステップ226、そして、その接続を使用してそのIPアドレスにある遠隔サーバにアクセスすることができる、ステップ228。コール接続が再確立された後は、AEDプロセッサ42は、AEDから遠隔サーバへの患者および治療情報の送信を継続することができる、ステップ218。
【0056】
スピーカフォン動作を可能にするためにスピーカ64およびマイクロフォン62を含むAED実施形態について、遠隔サーバとのオープン通信リンクが使用されて、適切な医療または救急サービス担当者と介護者の間のVoIP音声接続を開始することができる。
図6Bは、VoIP接続を介する音声コールを行うために、AEDに実装されうるプロセス230を示す。AEDと遠隔サーバの間に確立された通信リンクで、遠隔サーバは、その地域のPSAPの救急サービス通信指令係または近隣の緊急治療室施設内の看護士などの適切な人物へのAEDからのVoIPコールを開始することができる。AEDプロセッサ42は、遠隔サーバから受信されたメッセージでVoIP接続の知らせを受けることができる、ステップ232。それに応答して、プロセッサ42は、VoIPアプリケーションを起動して、IPフォーマットで音声データを受信および処理し、音声信号をスピーカ64に向け、マイクロフォン62から音声を受信することができる、ステップ234。前述のように、VoIP接続を使用するスピーカフォン動作は、介護者が、患者を助ける取組みを中断する必要なしに、追加情報を提供すること、または緊急通信指令係の医療関係者から命令を受けることを可能にすることができる。救急サービス通信指令係または他の職員との音声コールが続行する間に、AEDは同時に、バイタルサインを検出および記録すること、ステップ204、によって、ならびに自動治療を行うこと、ステップ206、によって、AEDが非活動化されるまで、治療動作を継続する。
【0057】
前述のように、無線通信リンクは不注意で中断されることがあるため、AEDの一実施形態は、VoIPの基礎である通信リンクが終了されたかどうかをプロセッサ42が定期的に判定するように、判定220、構成されうる。通信リンクがまだ確立されている場合(判定220=「いいえ」)、プロセッサ42は、スピーカフォン動作を継続することができる、ステップ234。しかし、プロセッサ42が通信リンクが終了されたと判定した場合(判定220=「はい」)、プロセッサ42は、終了が不注意ではなかったことを指示することになる、通信リンクがサーバによって終了されたかどうかを判定することができる、判定222。この判定は、それがVoIPコール終了メッセージなどの通信リンク終了メッセージを含んだかどうかを判定するために、サーバから受信された最後の通信を検査することによって、行われうる。プロセッサ42がサーバが通信リンクを終了させたと判定した場合(判定222=「はい」)、プロセッサ42は、無線モデム74にデータリンクを終了させるように指示することができる、ステップ224。しかし、プロセッサ42がサーバは通信リンクを終了させなかったと判定した場合(判定222=「いいえ」)、プロセッサ42は、インターネットへの無線通信リンクを再確立するように、ステップ226、およびその接続を使用してそのIPアドレスにある遠隔サーバにアクセスするように、ステップ228、無線モデムに命令することができる。遠隔サーバへの通信リンクが再確立された後は、AEDと遠隔サーバの間の通信は、
図6Aのステップ218を参照して前述したように、続行することができる。たとえば、遠隔サーバはVoIPコール接続を再確立することができ、その場合、前述のようなプロセス230で、それはAEDにかかるコールを知らせることになる、ステップ232。VoIPコールが再確立された場合、AEDオペレータと救急サービス通信指令係または医療職員の間の音声コールはそれまでどおり継続することができる。
【0058】
動作中、AEDからの音声またはデータコールのいずれかから通信指令係によって取得される情報は、たとえば、通信指令係によって緊急事態の現場におよび/または罹病者を受け入れることになる緊急治療室もしくは心臓病センタに向かっている途中のALSチームに転送することができる。
【0059】
図6Cは、遠隔サーバへのデータコールではなくて、音声コールをかけるように構成されたAED実施形態で実装されうるプロセス260を示す。AEDが起動されるとき、ステップ202、それは、患者のバイタルサインを検出および記録する、ステップ204、ならびに、自動治療を実施および報告する、ステップ206、の従来の動作を開始することができる。同時に、AEDプロセッサ42は、無線モデムを起動し、携帯電話ネットワークにアクセスすることができる、ステップ208。携帯電話サービスが確立された後は、プロセッサ42は、911をダイヤルすることによってなど、無線モデムに救急サービスセンタにダイヤルさせることができる、ステップ262。救急サービスに電話をすることとともに、プロセッサ42は、通信指令係にAED起動イベントを知らせるのに使用されることになるメモリからの記録(wavファイルなど)または合成音声メッセージを取得することができる、ステップ264。このステップの一部として、AEDプロセッサ42は、総合的GPS受信機75から位置情報を受信し、AEDが正確な位置情報を通信指令係に言葉で報告することもできるように、その情報を合成音声に変換するように構成されうる。プロセッサ42は、オペレータの声を聞き、検出されるときには、記録されたおよび/または合成された音声報告の再生を開始する、ステップ266、ように構成されうる。記録されたおよび/または合成された音声報告は、AED位置、起動イベントの性質に関する情報、および、救急サービス通信指令係の役に立ちうる他の事前に記録された情報を通信指令係が正確に記録することを確実にするために、何回か繰り返されうる。記録されたおよび/または合成された報告が事前設定された回数再生された後は、プロセッサ42がスピーカ64およびマイクロフォン62を無線モデム74に接続して、スピーカフォン音声コールを開始することができる、ステップ268。この方式で、救急サービス通信指令係は、患者を救助するための取組みを中断することを介護者に求めることなしに、介護者からさらなる情報を取得することができる。
【0060】
図6Aおよび6Bを参照して前述した実施形態と同様に、プロセス260で、AEDプロセッサ42は、音声コールが終了されたかどうかを定期的に判定する、判定270、ように構成されうる。通信リンクがまだ確立されている場合(判定270=「いいえ」)、スピーカフォン動作は継続することができる、ステップ268。しかし、プロセッサ42が通信リンクが終了されたと判定した場合(判定270=「はい」)、プロセッサ42は、その終了が不注意ではなかったことを示す、通話がAEDオペレータまたは救急サービス通信指令係によって終了されたかどうかを判定することができる、判定272。この判定は、リンクが一方または他方でのハングアップの結果として終了されるのではなくて失われたかどうかを判定するために、通話記録を検査することによって、行われうる。プロセッサ42がオペレータが通信リンクを終了させたと判定した場合(判定272=「はい」)、プロセッサ42は、無線モデムを非活動化することができる、ステップ274。しかし、プロセッサ42がコールが中断された通信リンクによって終了されたと判定した場合(判定272=「いいえ」)、プロセッサ42は、無線モデムに携帯電話ネットワークへのリンクを再確立し、ステップ276、そして、911を再度ダイヤルする、ステップ278、ように命令することができる。救急サービスへのコールが再確立された後は、スピーカフォンコールは継続することができる、ステップ268。
【0061】
前述のように、AED治療事件が終息した後、メモリに保存されたそのイベントからの患者および治療データは通常は、AED製造会社またはサービスプロバイダのコンピュータに、ならびに/あるいは、そのALSチームが緊急事態に対応した機関(病院、消防署、警察署など)のコンピュータシステムにダウンロードされる。最新の治療情報をダウンロードすることは、正確な患者記録管理を可能にすることができる。また、AEDは1度に1つのみの患者の治療情報を保存するように設計することができ、それは、AEDのメモリに保存された最新の治療情報が、AEDが再び使用されうる前にダウンロードされる必要があることを意味する。AEDに保存された情報を手動ダウンロードすることは、都市の消防署または病院などの多忙な外傷センタでの混乱となりうる。
【0062】
一実施形態で、AEDは、保存および使用のために遠隔サーバにAEDの最後の使用に関する情報を無線で送信するように構成されうる。遠隔サーバは、ALSチームを提供した応答機関のコンピュータシステム、救急サービスセンタのサーバ、あるいは、AED製造会社またはサービス会社のサーバでもよい。
図7は、それによって一実施形態のAEDが無線通信リンクを介して遠隔サーバに保存治療情報を送信することができる、プロセス300を示す。AEDが使用イベントからシャットダウンまたは非活動化されるとき、ステップ302、プロセッサ74は無線モデムを起動することができ、ステップ304、そうして無線モデムは無線データネットワークへの通信リンクを確立することができる、ステップ308。前述のように、無線モデム74は、携帯電話データネットワークまたはWiFiネットワークなどのさまざまな異なるタイプのネットワークとデータ通信リンクを確立するように構成することができ、感知された信号強度に基づいてネットワーク選択を行うことができる。プロセッサ42は、AED識別子と患者および治療データなど、送信されることになる情報とともに、そのデータが送信されるべき先の遠隔サーバのIPアドレスを取得するために、メモリにアクセスすることができる、ステップ310。メモリから取得された情報を使用し、AEDプロセッサ42は、無線モデムを適切な遠隔サーバにアクセスさせ、ステップ314、そして、サーバへの保存治療データの送信を開始させる、ステップ316。プロセッサ42は、いつすべての情報が送信されたかを判定するために、判定318(判定318=「はい」)、情報ダウンロードを監視するように構成されうる。この判定は、メモリに保存された情報の総量と送信された情報を比較することによって、あるいは、情報ダウンロードプロセスに関連する状況フラグまたはポインタ値をチェックすることによって、行われうる。すべての保存情報が送信された(判定318=「はい」)後は、プロセッサは、ダウンロードが完了したことを遠隔サーバに知らせ、無線モデムにデータコールを終了するように命令することができる、ステップ324。
【0063】
他の実施形態のように、AEDプロセッサ42は、無線接続の状況を監視して、コールが中断または終了されたかを判定することができる、判定320。無線通信リンクが確立されたままである限り(判定318=「いいえ」)、およびさらに情報が伝送されることになる限り(判定318=「いいえ」)、プロセッサ42は、保存された患者および治療データを遠隔サーバに送信し続けることができる、ステップ316。プロセッサ42が、すべての情報が送信される前に(判定318=「いいえ」)無線接続が終了されたと判定した場合(判定320=「はい」)、プロセッサは、無線通信リンクを自動的に再確立するように、ステップ322、および遠隔サーバに再アクセスするように、ステップ314、無線モデムに命令することができる。遠隔サーバへの通信リンクが再確立された後は、AEDは、AEDメモリから遠隔サーバへの患者および治療データの伝送を継続する、ステップ316。
【0064】
AEDは、それらが引き続き使える状態であることを確保するために、定期的に修理されなければならない。従来のAEDは、未充電などの内部問題を識別するために定期的自己試験プログラムを走らせる能力を有する。従来のAEDは、状況ライトまたは定期的トーンなど、サービスが必要とされているという何らかの指示を表示することになる。従来のAEDの管理人は次に、製造会社または他のサービス組織に来てAEDを修理するように修理サービスの依頼電話をかける必要がある。サービスインジケータは、特にそのサービスインジケータが控え目なサイズの視覚的インジケータである場合、AEDの所有者によって直ちに気付かれないことがある。したがって、AEDは、修理が必要とされていると気付くのに所有者が遅れることまたは気付かなかったことのいずれかが原因で、修理サービスの依頼電話が所有者によってかけられるいくらか前に修理を必要としていたことがある。この修理の遅延は、AEDが必要とされるときに使用可能でないことを意味することがある。
【0065】
一実施形態で、AEDは、無線通信リンクを介してサービスセンタに定期的自己試験の結果を自動的に送信するために、統合無線モデムを使用することができる。
図8は、一実施形態による、それによってAEDが自己診断データを自動的に送信することができるプロセス350を示す。AEDは、使用されないとき、「スリープ」モードになることができる、ステップ352。スリープモードである間、AED、またはAEDの一部(別個の監視プロセッサ52など)は、自動的に起動し、事前設定されたスケジュールにしたがって定期的自己診断試験を実行する、ステップ354。自己診断試験の結論で、AEDプロセッサ42または監視プロセッサ52は、修理が必要であるかどうかを判定することができる、判定356。プロセッサ42または監視プロセッサ52が修理は必要ないと判定した場合(判定356=「いいえ」)、AEDは無線モデムを起動して遠隔サーバへの通信リンクを確立し、サービスセンタにあるサーバなど、遠隔サーバに自己診断試験データを無線で送信することができる、ステップ358。診断データが送信された後は、プロセッサ42または監視プロセッサ52は、無線通信リンクを終了させ、ステップ362、そして、「スリープ」モードに戻ることができる、ステップ364。
【0066】
プロセッサ42または監視プロセッサ52が修理が必要であると判定した場合(判定356=「はい」)、AEDプロセッサ42または監視プロセッサ52は、必要とされる修理の性質またはタイプを判定し、ステップ358、無線モデムを起動して遠隔サーバへの通信リンクを確立し、遠隔サーバにサービス要求メッセージを無線で送信することができる、ステップ360。サービス要求を送信した後、AEDプロセッサ42または監視プロセッサ52は、データコールを終了させ、ステップ362、「スリープ」モードに戻る、ステップ364。
【0067】
図8を参照して前述された実施形態は、サービスチームがユニットを速く修理または置き換えることができるように、AEDがもはや動作可能でないときにAEDが報告することを可能にする。また、充電レベルなどの自己診断試験結果を定期的に報告することによって、AEDサービスプロバイダは、いつ修理サービスの依頼電話がかけてAEDユニットを修理または置き換えるべきかを予想することができる。したがって、この実施形態は、いくつかの場所でAEDデバイスを維持する費用を低減し、ならびに、AEDが緊急状況で起動されるときに機能することになる可能性を増やすはずである。
【0068】
一代替実施形態で、AEDは、遠隔サービスセンタサーバからデータコールを受信し、遠隔サービスセンタがAEDに自己診断評価を実行するように要求できるようにするデータ接続を確立するように構成されうる。この実施形態で、データコールは、無線モデムの携帯電話番号をダイヤルすることによって、AEDサービスセンタに置かれた遠隔サーバからAEDにかけることができる。AEDプロセッサ42および無線モデム74は、ある特定の電話番号(知られているサービスプロバイダの電話番号など)からの入電、またはある特定のIPアドレスからのVOIPコールを受け入れて、呼び出しサーバと通信リンク(音声またはデータリンク)を確立するように構成されうる。接続が確立された後は、診断自己試験を実行するための命令など、命令は遠隔サーバから送信され、AEDプロセッサ42によって受信することができる。かかる命令が受信されるとき、自己診断試験結果が遠隔サーバに送信されうるように、AEDプロセッサ42または監視プロセッサ52による処理は、
図8を参照して前述したように続行することができる。この実施形態は、AEDサービスプロバイダが彼らのAEDユニットの現在の状況を確認すること、およびAEDの自己試験機能の有効性をチェックすることを可能にする。
【0069】
図9は、無線データコールを介して受信されるAED起動メッセージを処理するために遠隔サーバ内に実装されうるプロセス400を説明する。
図6Aを参照して前述したように、一実施形態のAEDは、無線データリンクを介して送信されるデータメッセージ内で遠隔サーバにユニットの起動を自動的に報告するように構成されうる。遠隔サーバは、SSLリンクを確立する要求など、TCP/IPリンク確立メッセージをそれが受信するときに、AEDからの入力メッセージの知らせを受けることができる、ステップ402。遠隔サーバは、AEDと協力して、通信リンク、および次に受信されるAED起動報告メッセージを取り決め、確立することができる、ステップ404。AEDとの通信リンクの確立の一部として、遠隔サーバは、AEDが信頼できるデバイスであること、およびそこからの起動メッセージが信頼されうることをそれが確認できるようにするために、暗号化された身分証明などの認証情報を要求し、分析することができる。
【0070】
遠隔サーバは、受信された起動報告メッセージをパーズして、そのメッセージが心イベントを報告しているかどうかを判定することができる、判定406。この判定は、受信サーバが不注意の起動、修理依頼コールの起動、および実際の心臓救急を区別できるようにすることができる。AEDは、電極50が配備されたかどうか、および/または患者ECG情報が受信されているかどうかなど、起動に関する情報を含みうる。サーバがそのAED起動報告が心イベントを含まないと判定した場合(判定406=「いいえ」)、サーバはその特定のAEDユニットの保守をするAED製造会社またはサービスプロバイダにAED起動報告を送信することができる、ステップ408。かかる起動を報告することは、製造会社またはサービスプロバイダが修理依頼コールを確認すること、または、そのAEDユニットが、不注意の起動によって被害を受けたかを判定するために、補修されるべきであることを決定することを可能にすることができる。
【0071】
サーバがそのAED起動報告が心イベントを含まないと判定した場合(判定406=「はい」)、サーバは起動報告で受信された情報を使用して適切な応答を決定することができる、ステップ410。この決定は、AEDの位置および識別子に基づいて通知すべき適切な救急サービスセンタを識別することを含みうる。その応答はまた、医療スタッフが可能な限り早く通知を受けるように、AEDの最も近くに位置する緊急治療室または心臓救命センタを通知することを含みうる。その適切な応答はまた、標準的な交通パターン、医療施設の操業時間、および、かかる時間的変数に依存するプロトコルを考慮するために、時刻および曜日に応じて決まりうる。加えて、サーバは、生ECGデータまたは、患者データのそれ自体の評価でAEDが達した結論など、通知メッセージに含まれる任意の患者診断情報を評価することができる。たとえば、サーバは、患者が心停止、深刻な細動、わずかなもしくは断続的な細動、または正常ECGパターンを示しているかどうかに基づいて、異なる応答を開始するように構成されうる。患者の状況に対する異なる応答を可能にすることは、患者の個々の状況に対してより反応のよい、費用効率が高い、または高信頼の応答をサーバが開始することを可能にすることができる。
【0072】
決定された適切な応答に基づいて、サーバは、適切な救急サービスセンタまたは通信指令係にAED起動イベントを報告することができる、ステップ412。この報告は、適切な組織のサーバにTCP/IPメッセージまたはEメールなどの別のタイプのアドレス指定可能メッセージを送信することによって、達成することができる。別法として、サーバは、適切な組織のサーバによってアクセスされる、および救急サービス職員への表示および通知を生成するのに使用される、データベースに記録を保存することができる。サーバから報告を受信する組織は、起動を報告するAEDにALSチームを派遣するために、ならびにその患者が到着することになると緊急治療室に通知するために、その情報を使用することができる。
【0073】
並行してまたは緊急事態を適切な救急サービスセンタに通知した後に、サーバは、オープン通信リンクを介してAEDから患者の診断および治療情報を受信し始めることができる、ステップ414。決定された適切な応答に応じて、サーバは、罹病者のもとへおよび/または患者を受け取ることになる緊急治療室へ移動中のALSチームなど、適切な組織に受信データを中継することができる。サーバは、受信患者および治療データを一連のTCP/IPメッセージを介して、一連のEメールメッセージを介して、インターネットを介するまたは他の知られているインターネット通信技術を介するデータストリームとして経路指定することができる。サーバはまた、緊急治療室サーバによって、ならびにAED製造会社またはサービスプロバイダのサーバによってなど、医療チームのコンピュータシステムによってアクセスされうる1つまたは複数のデータベースに受信データを記入することもできる。受信データの配布は、ステップ410で決定される適切な応答の部分でもよい。
【0074】
加えて、または別法として、サーバは、AEDと、救急サービス通信指令係、または患者を受け取ることになる緊急治療室内の医師もしくは看護士などの適切な人物との間にVoIPコールをセットアップすることができる、ステップ416。VoIPコールをセットアップするために、サーバはVoIPアプリケーションを起動して、それがAEDから受信された符号化された音声データを人間のオペレータへの通話で送信される音声に変換することと、そのオペレータからのオーディオ音声をオープン通信リンクを介するAEDへの送信のための符号化された音声データに変換することとを可能にすることができる。別法として、サーバはオープン通信リンクをVoIPコールを行うように構成された別のサーバに転送することができる。VoIPコールを確立するために呼び出されることになる電話番号は、ステップ410で決定される適切な応答の一部として決定されうる。
【0075】
一実施形態で、サーバは、それがAEDから患者および治療データを受信するのと同時に、AEDとVoIPコールを行うように構成されうる。これは、サーバが適切にパケットを認識およびパーズすることができるように、VoIP情報または患者/治療データを含むデータパケットを識別するようにAEDを構成することによって達成されうる。この方式で、AEDは、VoIPデータパケットの間でパケットで患者/治療データを伝送することができる。
【0076】
AEDへのデータ通信リンクが終了された後は、サーバはAED起動をAED製造会社および/またはAEDサービスプロバイダに報告することができる、ステップ408。この報告は、TCP/IPメッセージ、Eメール、または他のタイプの電子的通信をこれらの組織のサーバに送信することによって行うことができる。この報告はまた、提供される治療に関するいくらかの情報を、かかる情報がAEDの性能を設計、維持または監視するのに価値のあるものである場合に、含みうる。
【0077】
前述のように、そこにAEDが通信リンクを確立するサーバは、救急サービスセンタ、病院、AED製造会社、AEDサービスプロバイダ、または第三者内を含む、どこにでも置くことができる。加えて、AEDは、個々のサーバ、またはそのサーバへの通信リンクに関する問題がAEDが自動報告を完了するのを妨げる可能性を低減するために、いくつかの代替サーバにアクセスするように試みるように構成されうる。
【0078】
前述の実施形態は、
図10に示すサーバ80など、さまざまな遠隔サーバデバイスのいずれかで実装されうる。かかるサーバ80は通常は、揮発性メモリ82および、ディスクドライブ83など、大容量の非揮発性メモリに結合されたプロセッサ81を含む。サーバ80はまた、プロセッサ81に結合されたフレキシブルディスクドライブおよび/またはコンパクトディスク(CD)ドライブ86を含みうる。サーバ80はまた、インターネットなど、データ接続ネットワーク85を確立するためのプロセッサ81に結合されたいくつかのコネクタポート84を含みうる。
【0079】
前述の方法の説明およびプロセス流れ図は、単に説明に役立つ例として提供され、そのさまざまな実施形態のステップが提示された順番で実行されなければならないことを求めるまたは暗示するものではない。当業者には理解されるように、前述の実施形態におけるステップの順番は、任意の順番で実行されうる。「その後」、「そして」、「次に」などの言葉は、ステップの順番を限定するものではなく、これらの言葉は単に読者に方法の解説を案内するために使用される。さらに、たとえば、冠詞「a」、「an」(1つの)、または「the」(その)を使用する、単数形での特許請求要素の参照は、その要素を単数に限定するものとして解釈されてはならない。
【0080】
本明細書において開示される実施形態に関して記載されるさまざまな例示的な論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組合せとして実装されうる。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明快に説明するために、さまざまな例示的構成要素、ブロック、モジュール、回路およびステップが概してそれらの機能に関して前述されてある。かかる機能がハードウェアまたはソフトウェアとして実装されるかどうかは、システム全体に課される個々のアプリケーションおよび設計制約によって決まる。当業者はそれぞれの個々のアプリケーションにさまざまな方法で記載されている機能を実装することができるが、かかる実装の決定は本発明の範囲からの逸脱をもたらすものとして解釈されるべきではない。
【0081】
本明細書で開示される態様に関して記載されたさまざまな例示的論理、論理ブロック、モジュールおよび回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のプログラマブル論理デバイス、個別ゲートまたはトランジスタ論理、個別ハードウェア構成要素、あるいは、本明細書に記載の機能を実行するように設計されたそれらの任意の組合せで、実装または実行されうる。本明細書におけるプロセッサの参照は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または状態機械などの汎用プロセッサを参照するものである。プロセッサはまた、DSPおよびマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連結した1つまたは複数のマイクロプロセッサ、あるいは任意の他のかかる構成など、計算デバイスの組合せとして実装することもできる。別法として、いくつかのステップまたは方法は、所与の機能に特有の回路によって実行されうる。
【0082】
1つまたは複数の例示的な実施形態において、記載される機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装されうる。ソフトウェアに実装される場合、その機能は、コンピュータ可読記録媒体上の1つまたは複数の命令または符号として保存または伝送されうる。本明細書で開示される方法またはアルゴリズムのステップは、コンピュータ可読記録媒体上に存在しうる実行されるプロセッサ実行可能ソフトウェアモジュール内で実施されうる。コンピュータ可読記録媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含むコンピュータ記憶媒体および通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされうる任意の使用可能な媒体でもよい。一例として、そして限定としてではなく、かかるコンピュータ可読記録媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶装置、あるいは、命令またはデータ構造の形式で所望のプログラム符号を運ぶまたは保存するのに使用されうる、およびコンピュータによってアクセスされうる、任意の他の媒体を備えうる。また、任意の接続はコンピュータ可読記録媒体と適切に称される。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または、赤外線、無線通信、およびマイクロウェーブなどの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、または他の遠隔ソースから送信される場合、そのとき、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または、赤外線、無線通信およびマイクロウェーブなどの無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書において、ディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク(登録商標)、光ディスク、デジタルビデオディスク(DVD)、フレキシブルディスク、およびブルーレイディスクを含み、diskは通常はデータを磁気的に複写し、一方discはレーザで光学的にデータを複写する。前記の組合せもまたコンピュータ可読記録媒体の範囲に含まれるべきである。加えて、方法またはアルゴリズムのオペレーションは、コンピュータプログラム製品に組み込まれうる、機械可読媒体および/またはコンピュータ可読記録媒体上の1つのまたは任意の組合せのまたは
セットの符号および/または命令として存在しうる。
【0083】
開示される実施形態の前述の説明は、当業者が本発明を行うまたは使用することを可能にするために提供される。これらの実施形態へのさまざまな修正が容易に当業者には明らかになることになり、本明細書に定義された一般的原理は、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用されうる。したがって、本発明は、本明細書に示された実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲、ならびに本明細書で開示される原理および新しい特徴と一致する最大の範囲を認められるものである。