特許第5863075号(P5863075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5863075ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863075
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20160202BHJP
   H04W 36/08 20090101ALI20160202BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20160202BHJP
【FI】
   H04W64/00 173
   H04W64/00 140
   H04W36/08
   G01S5/02 Z
【請求項の数】15
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-520518(P2014-520518)
(86)(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公表番号】特表2014-527737(P2014-527737A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】CN2012078964
(87)【国際公開番号】WO2013017025
(87)【国際公開日】20130207
【審査請求日】2014年2月18日
(31)【優先権主張番号】201110203898.9
(32)【優先日】2011年7月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】肖 登坤
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲トン▼
(72)【発明者】
【氏名】崔 杰
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−213133(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101998228(CN,A)
【文献】 3rd Generation Partnership Project,X2 application protocol (X2AP),3GPP TS 36.423 V8.9.0 (2010-03),3GPP,2010年 3月31日,1-5,11-14,23,24,49,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.423/36423-890.zip
【文献】 3rd Generation Partnership Project,LTE Positioning Protocol A (LPPa),3GPP TS 36.455 V9.1.0 (2010-03),3GPP,2010年 4月 6日,1-4,8,14-16,21-25 pages,URL,http://www.3gpp.org/ftp/Specs/archive/36_series/36.455/36455-910.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 − 99/00
G01S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法であって、
前記ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置の対象基地局によって、前記ユーザ装置のソース基地局から送信された前記ユーザ装置の拡張セルID、E-CID、位置測定関連情報を受信するステップと、
前記対象基地局によって、前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて、前記ユーザ装置に対するE-CID位置測定を実行するステップと
を含み、
前記E-CID位置測定関連情報は、ロング・ターム・エボリューション・位置測定プロトコル・クラスA・トランザクションIDと、測位サーバのユーザ装置測定IDと、基地局のユーザ装置測定IDと、前記E-CID位置測定を実行するために前記ユーザ装置を識別する情報とを含むハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法。
【請求項2】
前記ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置の前記対象基地局によって、前記ユーザ装置の前記ソース基地局から送信された前記ユーザ装置の前記E-CID位置測定関連情報を受信する前記ステップは、
前記ソース基地局によって、モビリティ管理エンティティから送信された前記ユーザ装置の前記E-CID位置測定関連情報を受信し、かつ、前記ソース基地局によって、前記ユーザ装置に前記E-CID位置測定関連情報を送信するステップであって、前記E-CID位置測定関連情報は、測位サーバから前記モビリティ管理エンティティに送信される、ステップと、
前記ソース基地局によって、前記ユーザ装置の前記ハンドオーバー処理をトリガし、かつ、前記ユーザ装置によって送信された各隣接セルの信号強度及び識別情報を受信し、かつ、各隣接セルの前記信号強度及び前記識別情報に基づいて前記ユーザ装置の前記対象基地局を決定するステップと、
前記ソース基地局によって、前記対象基地局にハンドオーバー要求を送信するステップであって、前記ハンドオーバー要求は、前記ユーザ装置の前記E-CID位置測定関連情報を含む、ステップと
を含む請求項1に記載の前記ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法。
【請求項3】
前記対象基地局によって、前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて、前記ユーザ装置に対する前記E-CID位置測定を実行する前記ステップは、
前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後に前記ユーザ装置に対してE-CID測位方法を実行したとき、前記対象基地局が、前記E-CID位置測定関連情報に基づいてユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける受信時間及び送信時間とを測定するステップと、
前記対象基地局が、前記ユーザ装置によって送信された前記ユーザ装置サイドにおける受信時間及び送信時間を受信するステップであって、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間は、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて測定する前記ユーザ装置によって取得される、ステップと
を含む請求項2に記載のハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法。
【請求項4】
前記対象基地局によって、前記ユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間並びに前記対象基地局の位置情報と、前記E-CID位置測定関連情報とを前記モビリティ管理エンティティに送信ステップをさらに含み、その結果、前記モビリティ管理エンティティは、ついで、前記測位サーバに前記受信された情報を転送し、かつ、前記測位サーバは、前記受信された情報に基づいて前記ユーザ装置の位置情報を計算する、請求項に記載のハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法。
【請求項5】
ハンドオーバー処理においてユーザ装置のソース基地局から送信された前記ユーザ装置の拡張セルID、E-CID、位置測定関連情報を受信するように構成された位置測定関連情報受信モジュールであって、前記E-CID位置測定関連情報は、ロング・ターム・エボリューション・位置測定プロトコル・クラスA・トランザクションIDと、測位サーバのユーザ装置測定IDと、基地局のユーザ装置測定IDと、前記E-CID位置測定を実行するために前記ユーザ装置を識別する情報とを含む、位置測定関連情報受信モジュールと、
前記ユーザ装置が対象基地局に無事に接続した後、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて、前記ユーザ装置に対するE-CID位置測定を実行するように構成された位置測定処理モジュールと
を含む、対象基地局。
【請求項6】
前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後に、前記ユーザ装置に対してE-CID測位方法を実行するとき、前記E-CID位置測定関連情報に基づいてユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける受信時間及び送信時間とを測定し、かつ、前記ユーザ装置によって送信された前記ユーザ装置サイドにおける受信時間及び送信時間を受信するように構成され、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間は、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて測定する前記ユーザ装置によって取得される、情報取得モジュールと、
前記ユーザ装置到達角度と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記対象基地局サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間並びに前記対象基地局の位置情報と、前記E-CID位置測定関連情報とをモビリティ管理エンティティに送信するように構成され、その結果、前記モビリティ管理エンティティは、ついで、前記測位サーバに前記受信された情報を転送し、かつ、前記測位サーバは、前記受信された情報に基づいて前記ユーザ装置の位置情報を計算する、情報送信モジュールと
を含む請求項に記載の対象基地局。
【請求項7】
モビリティ管理エンティティから送信されたハンドオーバー処理におけるユーザ装置の拡張セルID、E-CID、位置測定関連情報を受信するように構成され、前記E-CID位置測定関連情報は、測位サーバによって前記モビリティ管理エンティティに送信され、かつ、前記E-CID位置測定関連情報は、ロング・ターム・エボリューション・位置測定プロトコル・クラスA・トランザクションIDと、測位サーバのユーザ装置測定IDと、基地局のユーザ装置測定IDと、前記E-CID位置測定を実行するために前記ユーザ装置を識別する情報とを含む、位置測定関連情報受信モジュールと、
前記E-CID位置測定関連情報を、前記ユーザ装置と、前記ユーザ装置の対象基地局とに送信するように構成される、位置測定関連情報送信モジュールと
を含む、ソース基地局。
【請求項8】
前記ユーザ装置の前記ハンドオーバー処理をトリガし、かつ、前記ユーザ装置によって送信された各隣接セルの信号強度及び識別情報を受信し、かつ、各隣接セルの前記信号強度及び前記識別情報に基づいて前記ユーザ装置の前記対象基地局を決定するように構成される、ハンドオーバー処理モジュールをさらに含む請求項に記載のソース基地局。
【請求項9】
請求項又はに記載の対象基地局、及び、請求項又はに記載のソース基地局を含む、ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位システム。
【請求項10】
測位サーバから送信された前記E-CID位置測定関連情報を、前記ソース基地局に送信し、かつ、ユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける受信時間及び送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける受信時間及び送信時間並びに前記対象基地局の位置情報と、前記対象基地局から前記測位サーバに送信された前記E-CID位置測定関連情報とを送信するように構成される、モビリティ管理エンティティと、
前記ユーザ装置の前記E-CID位置測定関連情報を前記モビリティ管理エンティティに送信し、かつ、前記ユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間並びに前記対象基地局の前記位置情報と、前記モビリティ管理エンティティから送信された前記E-CID位置測定関連情報とに基づいて前記ユーザ装置の位置情報を計算するように構成される測位サーバとをさらに含む、請求項に記載のハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位システム。
【請求項11】
ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法であって、
第一基地局によって、第二基地局から送信するハンドオーバー要求を受信するステップであって、前記ハンドオーバー要求は、前記ユーザ装置、前記第二基地局から前記第一基地局への動を示し、前記ハンドオーバー要求はさらに、前記ユーザ装置の拡張セルID、E-CID、位置測定関連情報を含み、前記E-CID位置測定関連情報は、前記第一基地局が前記ユーザ装置の位置を測定することを示前記E-CID位置測定関連情報は、ロング・ターム・エボリューション・位置測定プロトコル・クラスA・トランザクションIDと、測位サーバのユーザ装置測定IDと、基地局のユーザ装置測定IDと、前記E-CID位置測定を実行するために前記ユーザ装置を識別する情報とを含む、ステップと、
前記ユーザ装置からのアクセス要求を受信するとともに、前記ユーザ装置にアクセス応答を返信するステップと、
前記第一基地局によって、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて前記ユーザ装置のE-CID位置測定を実行するステップと
を含む、ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法。
【請求項12】
前記第一基地局によって、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて、前記ユーザ装置に対する前記E-CID位置測定を実行する前記ステップは、
前記ユーザ装置が前記第一基地局に無事に接続した後に前記ユーザ装置に対してE-CID測位方法を実行したとき、前記対象基地局が、前記E-CID位置測定関連情報に基づいてユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける受信時間及び送信時間とを測定するステップと、
前記第一基地局が、前記ユーザ装置によって送信された前記ユーザ装置サイドにおける受信時間及び送信時間を受信するステップであって、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間は、前記E-CID位置測定関連情報に基づいて測定する前記ユーザ装置によって取得される、ステップと
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第一基地局によって、前記ユーザ装置到達角度と、前記第一基地局サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間並びに前記対象基地局の位置情報と、前記E-CID位置測定関連情報とを前記モビリティ管理エンティティに送信ステップをさらに含み、その結果、前記モビリティ管理エンティティは、ついで、前記測位サーバに前記受信された情報を転送し、かつ、前記測位サーバは、前記受信された情報に基づいて前記ユーザ装置の位置情報を計算する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ハンドオーバー要求は、X2インターフェースを介して受信される、請求項1113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプロセッサによって実行されるとき、前記コンピュータプロセッサに、請求項1114のいずれか一項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラムコードを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術の分野に関連し、特にハンドオーバー処理におけるUE(User Equipment,ユーザ装置)の測位方法及び装置に関する。
【0002】
本願は、2011年7月20日に出願された発明の名称を“ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法及び装置”とする中国特許出願第201110203898.9号の優先権を主張するとともに、参照により、その全体がここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
無線ネットワークにおいて、UEの動作に起因したサービスノードのHO(handover,ハンドオーバー)は、頻繁に発生し、特に、今後のLTE(Long Term Evolution,ロング・ターム・エボリューション)-Aにおいて、ノード間の前記HOは、多くのLPN(Low Power Node,低電力ノード)ノードの導入が原因でより頻繁になる。
【0004】
“測位”は、正確な位置情報を予め推定するためにネットワークサイドによってUEに対して提供されるサービスであり、例えば、犯罪者の逮捕、避難ルートの誘導等といった主に社会安全に関連する場面において使用される。それゆえに、測位サービスの頻繁な発生は、比較的低い。実際の適用において、UEの測位プロセスは、前記ネットワークにおけるUEの前記ハンドオーバー処理とコンフリクトする可能性があり、つまり、現在のUEは、測位だけでなく、ハンドオーバーもまた実行する必要がある。
【0005】
前記E-CID(Enhanced Cell-ID,拡張セルID測位方法)測位方法に対して、よく使用される測位方法は、Rx(受信時間)-Tx(送信時間)である。このよく使用される測位方法において、前記UEは、UEサイドのRxを推定するために前記サービングセルのCRS(Cell-specific reference signals,セル固有参照信号)を測定し、かつ、前記UEサイドのTxを推定するためにアップリンクSRS(Sounding Reference Signal,サウンディング参照信号)信号を送信する。従って、前記UEは、UEサイドのRx-Txの時間差を計算し、ついで、サービングeNB(evolved Node B,発展型基地局)にその結果を通知する。前記サービングeNBは、それ自身のRx-Tx時間差を測定することによって、ついで、前記UEサイドにより通知された前記Rx-Tx時間差の考慮をすることによって、前記UEが現在位置している、前記サービングセルからの円の半径を計算することができ、かつ、前記サービングeNBはまた、前記UE AOA(Angle of Arrival,到達角度)を測定する。前記AOAは、前記端末によって送信された無線電波信号と、前記eNB基準方向との間の相対角度であり、かつ、前記指向性アンテナ又はアレイアンテナを介して前記eNBによって推定される。ついで、前記サービングeNBは、上記で取得された情報を測位サーバに通知し、かつ、前記測位サーバは、上記の情報に基づいて前記UEの正確な位置を決定する。
【0006】
本発明の実施の処理において、発明者は、従来技術には、少なくとも次の欠点があることを発見した。前記UEが、E-CID測位を実行するとき、前記UEは、HOをすでにトリガしていてもよく、それは、前記サービングeNB及び前記UE間のリンクの質が低い、又は、完全に非接続と同様であることを意味し、それゆえに、前記UEサイドにおけるRx-TXの測定結果が、前記サービングeNBに通知されることができず、それによって、前記UE E-CID測位の失敗の原因となる。
【0007】
前記測位サーバは、前記UEが新しいeNBに無事にハンドオーバーした後に、前記新しいeNBに測位要求を開始する必要があり、その結果、前記eNB及び前記測位サーバ間に大量の信号を追加する必要があり、測位遅延が比較的長くなってしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ハンドオーバー処理におけるUEの測位方法及び装置を提供し、ハンドオーバー処理において前記UEを効率的に測位することができる。
【0009】
ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法であって、
前記ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置の対象基地局によって、前記ユーザ装置のソース基地局から送信された前記ユーザ装置の位置測定関連情報を受信するステップと、
前記対象基地局によって、前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記位置測定関連情報に基づいて前記ユーザ装置に対する位置測定を実行するステップと
を含むハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法。
【0010】
対象基地局であって、
ハンドオーバー処理において前記ユーザ装置のソース基地局から送信されたユーザ装置の位置測定関連情報を受信するように構成された位置測定関連情報受信モジュールと、
前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記位置測定関連情報に基づいて前記ユーザ装置に対する位置測定を実行するように構成された位置測定処理モジュールと
を含む対象基地局。
【0011】
ソース基地局であって、
モビリティ管理エンティティから送信されたハンドオーバー処理におけるユーザ装置の位置測定関連情報を受信するように構成され、前記位置測定関連情報は、測位サーバによって前記モビリティ管理エンティティに送信される、位置測定関連情報受信モジュールと、
前記ユーザ装置と、前記ユーザ装置の対象基地局とに前記位置測定関連情報を送信するように構成された位置測定関連情報送信モジュールと
を含む、ソース基地局。
【0012】
ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位システムであって、前記対象基地局及び前記ソース基地局を含む。
【0013】
本発明の実施形態によって提供される技術的解決策によると、前記ソース基地局は、前記ユーザ装置の前記位置測定関連情報を前記対象基地局に送信し、それによって、前記UEが無事に前記対象基地局と接続した後すぐに、前記対象基地局が前記ユーザ装置に対して位置測定を実行することが可能になり、かつ、測位サーバがユーザ装置測位処理を再トリガする必要性を排除し、従って、前記ユーザ装置測位処理を再トリガすることによって発生する信号コストを減少させ、前記ユーザ装置の測位遅延を短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の実施形態の技術的解決策をより明瞭にするために、本発明の詳細な説明において使用される添付図面をここで簡単に説明する。説明される図面は、本発明の単なるいくつかの実施形態に過ぎないことは明らかである。当業者にとって、これらの図面に基づいて、創造的な努力なしに他の図面を取得することが可能である。
【0015】
図1】本発明の第一の実施形態におけるUEの測位方法の処理フローチャートである。
図2】本発明の第二の実施形態におけるUEの測位方法の応用場面の概略図である。
図3】本発明の第二の実施形態におけるUEの測位方法の処理フローチャートである。
図4】本発明の第三の実施形態における対象基地局の詳細な構造図である。
図5】本発明の第三の実施形態におけるソース基地局の詳細な構造図である。
図6】本発明の第三の実施形態におけるUEの測位システムの詳細な構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態の課題、技術的解決策及び利点をより明瞭にするために、本発明の実施形態における技術的解決策を、以下に本発明の実施形態における添付図面を参照して明瞭かつ十分に説明する。明らかに、説明される実施形態は、本発明の全ての実施形態というよりはむしろ、本発明の実施形態の単なる一部に過ぎない。本発明の実施形態に基づき創造的な努力なしに当業者により取得される他の全ての実施形態は、本発明の保護範囲である。
【0017】
本発明の実施形態を容易に理解できるよう、例を用いた本発明のいくつかの詳細な実施形態が、添付図面の参照とともに以下に詳細に説明され、かつ、各実施形態は、本発明の実施形態の制限を構成しない。
【0018】
〔実施形態1〕
この実施形態に基づくハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位方法の処理フローは、図1に示され、次の処理ステップを含む。
【0019】
11. 前記ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置の対象基地局は、前記前記ユーザ装置のソース基地局から送信された前記ユーザ装置の位置測定関連情報を受信する。
【0020】
12. 前記対象基地局は、前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記位置測定関連情報に基づいて前記ユーザ装置に対する位置測定を実行する。
【0021】
本発明の実施形態によって提供される技術的解決策によると、前記ソース基地局は、前記対象基地局に、前記ユーザ装置の前記位置測定関連情報を送信し、それによって、前記UEが無事に前記対象基地局に接続した後すぐに、前記対象基地局が前記ユーザ装置に対する位置測定を実行することを可能とし、測位サーバが、ユーザ装置測位処理を再トリガする必要性を排除する。
【0022】
〔実施形態2〕
この実施形態に基づくUEの測位方法の応用場面の概略図が、図2に示される。ソースeNB及び対象eNBの両方は、同一のMME(Mobility Management Entity,モビリティ管理エンティティ)に接続され、前記MMEは、UE測位サービスを開始するために使用される測位サーバE-SMLC(Evolved Serving Mobile Position Centre)に接続さ、かつ、前記ソースeNBは、X2インターフェースを介して対象eNBと通信する。この応用場面において、前記UEは、前記E-CID測位を実行し、かつ、ついでハンドオーバーをトリガする。
【0023】
図2に示される応用場面に基づいて、この実施形態におけるUEの測位方法の処理フローが、図3に示され、次の処理ステップを含む。
【0024】
ステップ31:E-SMLCは、UE E-CID測位を開始し、かつ、前記UEのE-CID位置測定関連情報を送信するLPP(Long Term Evolution Positioning Protocol, LTE位置決めプロトコル)信号をMMEに送信し、かつ、ついで前記MMEは、ソースeNBに前記LPP信号を転送する。前記LPP信号を受信した後、前記ソースeNBは、E-CID位置測定関連情報を送信する前記LPP信号又はRRC(Radio Resource Control, 無線リソース制御プロトコル)信号を前記UEに送信する。前記E-CID位置測定関連情報は主に、LPPaトランザクションID(Long Term Evolution Positioning Protocol Class A Transaction Identity)と、E-SMLC UE測定ID(前記測位サーバのUE測定識別)と、eNB UE測定ID(前記eNBのUE測定識別)と、前記E-CID測定を実行するために前記UEを指示する情報とを含む。
【0025】
前記UEは、受信されたLPP信号又はRRC信号に基づいて前記E-CID位置測定を実行する。
【0026】
ステップ32:前記UEが前記E-CID位置測定を実行するとき、前記ソースeNBは前記UE HO基準をトリガし、かつ、前記UEは前記UE HO処理を実行する。前記HO処理において、前記UEは、例えば各隣接セルの信号強度、CQI(Channel Quality Indicator, チャネル品質インジケータ)情報、及びCID(Connection Identity)情報のような情報を測定する必要がある。
【0027】
前記UEは、測定によって取得された各隣接セルの信号強度と、CQI情報と、CID情報とを送信する測定通知を、前記ソースeNBに送信する。
【0028】
ステップ33:前記UEによって送信された前記測定通知を受信した後、前記ソースeNBは、前記測定通知において送信された前記情報に基づいて、最も強い信号強度を有する隣接セルを、前記UEの前記対象eNBとする。
【0029】
前記ソースeNBは、X2インターフェースを介して、HO要求(request)を前記対象eNBに送信し、前記HO要求は、前記E-SMLCから送信された前記UEのE-CID位置測定関連情報を含む。
【0030】
HO要求の構造が以下の表1に示されており、前記E-CID位置測定関連情報が、この実施形態に基づいて追加されている。
【0031】
【表1A】
【表1B】
【0032】
ステップ34:HO要求を受信した後、前記対象eNBは、ハンドオーバー接続しようとしている前記UEが、前記E-CID位置測定関連情報に基づいた前記E-CID測位が必要であると認識し、かつ、前記ソースeNBにHO要求ACK(応答)信号をフィードバックする。
【0033】
ステップ35:HO要求ACK信号を受信した後、前記ソースeNBは、ハンドオーバーコマンドを前記UEに送信する。
【0034】
ステップ36:前記ハンドオーバーコマンドを受信した後、前記UEは、前記UEのプリアンブルを送信するランダムアクセス要求(random access request)を、前記対象eNBに送信する。
【0035】
ステップ37:前記ランダムアクセス要求を受信した後、前記対象eNBは、前記UEにランダムアクセス応答(random access response)を返信し、かつ、前記対象eNBサイドにおいて、UE AOA及びRx-Tx測定値を測定するために準備する。
【0036】
ステップ38:前記対象eNBから前記ランダムアクセス応答を受信し、かつ、前記対象eNBが無事に接続した後、前記UEは、前記UEと前記対象eNBとの間でE-CID位置測定を実行し、かつ、前記測定が完了した後、前記対象eNBに前記測定結果を送信する前記測定通知を送信する。前記Rx-Tx測定方法を適用するとき、前記測定結果は主に、UEサイドにおけるRx-Tx時間差を含む。
【0037】
ステップ39:前記対象eNBは、前記UEによって通知された前記測定結果と、前記対象eNBそれ自体によって測定された対象eNBサイドにおけるUE AOA及びRx-Txと、前記対象eNB自体の位置情報及び前記UEの前記E-CID位置測定関連情報とをMMEに一緒に送信する。
【0038】
ステップ310:前記MMEは、前記対象eNBから送信された前記情報をE-SMLCに送信する。
【0039】
ステップ311:前記MMEから送信された前記情報を受信した後、前記E-SMLCは、前記UEのE-CID位置測定関連情報に基づいてUEに対しての測位サービスを開始することを認識する。ついで、前記E-SMLCは、前記UEによって通知された測定結果と、前記対象eNB自体によって測定された前記対象eNBサイドにおける前記UE AOA及び前記Rx-Txと、前記対象eNB自体の位置情報とに基づいて前記UEの正確な位置を計算する。
【0040】
前記E-SMLCによって前記UEの正確な位置を計算する処理は次を含む。
【0041】
1. 前記E-SMLCは、前記UEサイドのRx-Txと、前記対象サイドのRx-Txとに基づいて、前記UEが位置する円を計算する。前記対象eNBは、円の中心であり、かつ、前記円の半径はRであり、かつRは
【数1】
として表現されてよい。上記の式において、Vは光速である。
【0042】
2. 前記E-SMLCは、前記AOA情報に基づいて、前記UEが位置する前記円の点を計算してもよい。
【0043】
3. 前記E-SMLCは、前記対象eNBの座標情報に基づいて前記UEの座標情報を計算する。
【0044】
本発明の実施形態によって提供される技術的解決策に基づいて、前記ソース基地局は、前記ユーザ装置の前記位置測定関連情報を前記対象基地局に送信し、それによって、前記UEが無事に前記対象基地局に接続した後すぐに、前記対象基地局が、前記ユーザ装置のために位置測定を実行することを可能にし、測位サーバが、ユーザ装置測位処理を再トリガする必要性を排除し、従って、前記ユーザ装置測位処理を再トリガすることによって発生する信号コストを減少させ、前記ユーザ装置の測位遅延を短縮する。
【0045】
〔実施形態3〕
実施形態3は、対象基地局を提供し、詳細な構造を図4に示す。前記対象基地局は、以下のモジュールを含む。
【0046】
ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置のソース基地局から送信されたユーザ装置の位置測定関連情報を受信するように構成された位置測定関連情報受信モジュール41と、
前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記位置測定関連情報に基づいて、前記ユーザ装置に対する位置測定を実行するように構成された位置測定処理モジュール42と、
を含む。
【0047】
特に、前記位置測定処理モジュール42は、
前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後に、前記ユーザ装置に対して拡張セルID測位方法E-CID測位を実行したとき、前記位置測定関連情報に基づいてユーザ装置到達角度AOAと、前記対象基地局サイドにおける受信時間及び送信時間と、を測定し、かつ、前記ユーザ装置によって送信された前記ユーザ装置サイドにおける受信時間及び送信時間とを受信するように構成され、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間は、前記位置測定関連情報に基づいて前記ユーザ装置が測定することによって取得される、情報取得モジュール421と、
前記ユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間並びに前記対象基地局の位置情報と、前記位置測定関連情報とをモビリティ管理エンティティに送信するように構成され、その結果、前記モビリティ管理エンティティは、ついで、前記測位サーバに前記受信された情報を転送し、かつ、前記測位サーバは、前記受信された情報に基づいて前記ユーザ装置の位置情報を計算する、情報送信モジュール422とを含んでもよい。
【0048】
この実施形態はまた、ソース基地局を提供し、その具体的な構造は図5に示されており、以下のモジュールを含む。そのモジュールは、
前記モビリティ管理エンティティから送信されたハンドオーバー処理におけるユーザ装置の位置測定関連情報を受信するように構成され、前記位置測定関連情報は、測位サーバによって前記モビリティ管理エンティティに送信される位置測定関連情報受信モジュール51と、
前記位置測定関連情報を、前記ユーザ装置と、前記ユーザ装置の対象基地局とに送信するように構成された位置測定関連情報送信モジュール52と、を含む。
【0049】
さらに、前記ソース基地局はまた、
前記ユーザ装置の前記ハンドオーバー処理をトリガし、かつ、前記ユーザ装置によって送信された各隣接セルの信号強度及び識別情報を受信し、かつ、各隣接セルの前記信号強度及び前記識別情報に基づいて、前記ユーザ装置の前記対象基地局を決定するように構成されたハンドオーバー処理モジュール53を含んでもよい。
【0050】
この実施形態は、ハンドオーバー処理におけるユーザ装置の測位システムを提供し、その具体的な構造は、図6に示され、以下のモジュールを含む。そのモジュールは、
ハンドオーバー処理において、ユーザ装置のソース基地局から送信されたユーザ装置の位置測定関連情報を受信し、かつ、前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後、前記位置測定関連情報に基づいて、前記ユーザ装置に対する位置測定を実行するように構成された対象基地局61である。前記対象基地局61の具体的な構造は、図4に示されている。
【0051】
また前記モジュールは、モビリティ管理エンティティから送信された前記ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置の前記位置測定関連情報を受信し、かつ、前記ユーザ装置及び前記ユーザ装置の前記対象基地局に前記位置測定関連情報を送信するように構成され、前記位置測定関連情報は、前記測位サーバによって前記モビリティ管理エンティティに送信される、ソース基地局62を含む。前記ソース基地局62の具体的な構造は、図5に示されている。
【0052】
さらに、前記システムは、
測位サーバから送信された位置測定関連情報を前記ソース基地局に送信し、かつ、ユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける受信時間及び送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける受信時間及び送信時間並びに前記対象基地局における位置情報と、前記対象基地局から送信された前記位置測定関連情報と、を前記測位サーバに送信するように構成されたモビリティ管理エンティティ63と、
前記ユーザ装置の前記位置測定関連情報を前記モビリティ管理エンティティに送信し、かつ、前記ユーザ装置到達角度と、前記対象基地局サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間と、前記ユーザ装置サイドにおける前記受信時間及び前記送信時間並びに前記対象基地局の前記位置情報と、前記モビリティ管理エンティティから送信された前記位置測定関連情報と、に基づいて前記ユーザ装置の位置情報を計算するように構成された測位サーバ64と、を含んでもよい。
【0053】
本発明の実施形態における前記装置及びシステムの使用による前記ハンドオーバー処理での前記ユーザ装置を測位する具体的処理は、前述の方法の実施形態と類似しており、詳細については、ここで繰り返し説明しない。
【0054】
当業者は、前述の実施形態に基づく方法の全て又は一部のステップが、関連ハードウェアに命令するプログラムによって実施することができることを理解すべきである。前記プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができ、プログラム実行時に、前述の実施形態に基づく方法のステップが実行される。記憶媒体は、磁気ディスク、光学ディスク、読出し専用メモリ(Read-Only Memory, ROM)、又は、ランダムアクセスメモリー(Random Access Memory, RAM)等を含んでもよい。
【0055】
結果的に、本発明の実施形態によって提供される技術的解決策に基づいて、前記ソース基地局は、前記対象基地局に前記ユーザ装置の前記位置測定関連情報を送信し、それによって、前記対象基地局は、前記ユーザ装置が前記対象基地局に無事に接続した後すぐに前記ユーザ装置に対する位置測定を実行することが可能になり、かつ、測位サーバがユーザ装置測位処理を再トリガする必要性を排除し、従って、前記ユーザ装置測位処理を再トリガすることによって発生する前記信号コストが減り、前記ユーザ装置の測位遅延が短縮する。
【0056】
本発明の実施形態は、前記ハンドオーバー処理における前記ユーザ装置のE-CID測位成功率を上げることができ、かつ、位置測定を実行することによって発生するハンドオーバー失敗率を減らすことができる。
【0057】
上述した説明は、単なる本発明の好適で具体的な実施形態の手段に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものとして考えられるべきではなく、本発明の技術的範囲内で当業者によって行われる如何なる変更又は置換は、本発明の保護範囲であるべきである。それゆえに、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に従う。
【符号の説明】
【0058】
41 位置測定関連情報受信モジュール
42 位置測定処理モジュール
421 情報取得モジュール
422 情報送信モジュール
51 位置測定関連情報受信モジュール
52 位置測定関連情報送信モジュール
53 ハンドオーバー処理モジュール
61 対象基地局
62 ソース基地局
63 モビリティ管理エンティティ
64 測位サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6