(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面にて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る回路遮断器について、
図1乃至
図8を用いてその構成を説明する。
第1の実施形態に係る回路遮断器1は、単相3線式の商用電路に用いられるものである。該回路遮断器は、
図1及び
図2に示すように、回路遮断器1を並設する方向を幅方向としたときに、該幅方向に分割するケース101a及び101bを重ね合わせて構成される略箱体形状の器体を有する。そして、該器体には、回路遮断器1に電源を供給するための各極の導体と接続される電源側端子部102A、102Bと、回路遮断器1の負荷側に電源を供給するための各極の導体と接続される負荷側端子部103A、103Bとが設けられ、これら電源側端子部102A、102Bと負荷側端子部103A、103Bとの間を電気的に接続する各極の主導体に介在し、電源側と負荷側を電気的に入切接続する固定接点と、該固定接点と各々接離自在に対向する可動接点を固着した可動接触子と、これら可動接触子を開閉駆動する開閉機構と、該開閉機構とリンクにより接続され器体の外部から開閉機構を操作して、電路を入切操作する第一の操作部となるハンドル104とが配設されている。
【0017】
次に、電源側端子部102A、102Bについて説明を行う。
前記電源側端子部102A、102Bは、器体の操作部が設けられた面を前面aとし、分電盤への取付面となる前記前面aに対向する面を背面bとし、該前面aと該背面bとに相隣り合う面を側面cとしたときに、器体の長手方向における側面cの一端に、ケース101a、101bの間に挟み込まれるように設けられている。
【0018】
電源側端子部のうち102Aは器体に固定されて配設される端子部(固定端子部という)で、102Bは器体の前記幅方向において、一方の側面側の端部と、他方の側面側の端部の2箇所の間で連続的に往復移動が行えるよう、器体の側面に設けた窪み部分に配設される端子部(可動電源側端子部という)である。
【0019】
(可動電源側端子部の構造)
器体の電源側には、前記固定されて配設される端子部102A並びに移動可能に設けられる可動電源側端子部102Bのそれぞれの位置に対応するよう、分電盤内に予め3本の母線L1、L2、Nの接続部が配置されており、前記固定端子部102Aは、母線L2と接続され、前記可動電源側端子部102Bは、一方の位置の場合は所定の母線L1と接続され、他方の位置の場合は所定の母線Nと接続される。可動電源側端子部102Bが母線L1と接続される場合には、回路遮断器1には200Vの電圧が印加され、可動電源側端子部102Bが母線Nと接続される場合には、回路遮断器1には100Vの電圧が印加される。
【0020】
また、単相3線式の相バランスを整えるため、固定端子部102Aを母線L1と接続する場合には、可動電源側端子部102Bは、一方の位置の場合は母線L2と接続され、他方の位置の場合は母線Nと接続される。そして、可動電源側端子部102Bが母線L2と接続される場合には、回路遮断器1には200Vの電圧が印加され、可動電源側端子部102Bが母線Nと接続される場合には、回路遮断器1には100Vの電圧が印加される。
【0021】
図3及び
図4には、前記可動電源側端子部102Bと、該可動電源側端子部102Bに収納される刃受102B3を示している。前記固定端子部102A並びに可動電源側端子部102Bは、その内部に、母線と接続するための端子として、断面が略徳利状の略コの字状の先部を絞った形状に成形された刃受を収納している。
図3及び
図4には、前記可動電源側端子部102Bと、該可動電源側端子部102Bに収納される刃受102B3を示している。該刃受は前記絞った形状の部分で母線を挟み込み、負荷側に電源を供給する。
【0022】
可動電源側端子部102Bは、その外郭が刃受102B3とは電気的に接続されていない非充電部として構成されている。外郭の前面側には、複数の歯を設けたラック102B1を形成しており、該可動電源側端子部102Bの移動操作を、後述する隠し板105に伝達する役割を果たす。また、外郭の背面側には、幅方向に長形状のリブ102B2が設けられており、このリブ102B2が、器体側に設けられた溝部101cと嵌め合わされることにより、可動電源側端子部102Bが幅方向に往復移動する際のガイド部として働く。
【0023】
(電圧表示部の構造)
器体の前面側には、電圧表示部107が外部から視認可能に設けられている。該電圧表示部107は、器体の幅方向に亘って設けられており、分電盤において回路遮断器に印加され得る電圧値を中央部分で種別して記載している。印加され得る電圧値は、母線と可動電源側端子部102Bの接続位置に応じて回路遮断器1に供給される電圧値であり、本実施形態の場合には、略中央から一方の側面寄りには第一の供給電圧である100Vの文字が表示され、略中央から他方の側面寄りには第二の供給電圧である200Vの文字が表示される。前記電圧表示部107は、電圧表示を銘板に記載し、器体に貼り付けることにより構成している。なお、器体に直接印字したり刻印してもよい。
【0024】
(隠し板の構造)
次に、可動電源側端子部102Bと連動される連動部材と係合され、前記可動電源側端子の接続位置の移動に伴って、前記電圧表示部のうち、前記所定の母線と可動電源側端子の接続時において実際には印加されない電源電圧の表示を隠蔽する隠し板105について説明を行う。
【0025】
隠し板105は、前記器体の前面側に設けられ、該隠し板105の背面側に電圧表示部107が位置する。該隠し板105は、器体の幅方向における長さの略半分の大きさに形成された長四角形状のベースと、該ベースの背面側に設けられた複数の歯を設けたラック105bとを備えている。ラック105bは、ベースに形成した長形状のリブ105b1の端部に、該リブ105b1よりも幅広状に形成されており、該リブ105b1を器体に設けられた開口部101b3に嵌め込み取付けた際に、幅方向に移動させるためのガイド部として働くとともに、前記ラック105bが前面側への抜止めとして働く。
【0026】
前記隠し板105は、後述するピニオン106により、可動電源側端子部102Bの移動と連動して、器体の幅方向における一方の側面寄りと、他方の側面寄りの2箇所の間で連続的に往復移動を行う。そして、それぞれの一方の側面寄りの位置、及び他方の側面寄りの位置において、前記ベースにより、該ベースの背面となる部分に位置する電圧表示部107、即ち、可動電源側端子部102Bが位置しない側における器体の前面a側に設けられた電圧表示部107を隠蔽する。前述のベースの背面となる部分に位置する電圧表示部は、該ベースに隠蔽されて前面側からは視認できず、ベースに隠蔽されない部分に位置する電圧表示部は前面側から視認可能となる。隠蔽される側の電圧値は、実際には印加されない電圧値で、外部に露出する電圧値は実際に印加される電圧値である。
【0027】
次に、可動電源側端子部102Bと隠し板105とを連動させるピニオン106について説明を行う。
該ピニオン106は、軸106aの周囲に複数の歯を設けて形成されている。該歯は、前記隠し板105に設けられたラック105b、並びに前記可動電源側端子部102Bに設けられたラック102B1と噛み合うように、隠し板105に設けられたラック105bと前記可動電源側端子部102Bに設けられたラック102B1との間に位置するよう配設される。前記ピニオン106は、回路遮断器の器体の前面寄りに、該器体の一部を凹ませて形成した軸受部101dに軸106aが枢支されて配設される。
【0028】
図7に、これら隠し板105とピニオン106と可動電源側端子部102Bとの器体への配置状態を一部断面にて示した。
図7のように、隠し板105と可動電源側端子部102bとの間にピニオン106が配置され、それぞれのラック105b、102B1と、器体により枢支された軸106aが回動することにより、可動電源側端子部102Bを一方の接続位置から他方の接続位置に移動させることに伴い、前記隠し板105が連動する。より詳しくは、該可動電源側端子120Bと連動する隠し板105が、該可動電源側端子102Bが前記一端に位置するときは前記他端に位置する一方、該可動電源側端子102Bが前記他端に位置するときは前記一端に位置し、前記幅方向において、可動電源側端子102Bを移動させる方向とは反対の方向に隠し板105が移動する。
【0029】
器体の幅方向における両端の周縁部には、前記隠し板105がいずれかの端部に位置したときに当接する壁部101b10、101a10が、器体の前面側に突設形成されている。該壁部101b10、101a10の突設高さは、隠し板105の側面部の厚みと同等に形成されており、隠し板105が当接したときに、該隠し板105の側面が外部に露出しないよう構成されている。
【0030】
次に、可動電源側端子部102Bの位置を移動する場合について
図8を用いて説明を行う。例として、
図8(a)は、固定端子部102Aには母線L2が接続され、可動電源側端子部102Bには母線Nと接続される場合(即ち供給される電圧は100V)を示し、
図8(b)は、固定端子部102Aには母線L2が接続され、可動電源側端子部102Bには母線L1と接続される場合(即ち供給される電圧は200V)を示す。
【0031】
まず、
図8(a)は、固定端子部102Aには母線L2が接続され、可動電源側端子部102Bには母線Nと接続される場合であるから、回路遮断器に供給される電圧値は100Vとなる。器体の幅方向において隠し板105は可動電源側端子102Bとは反対側の端部に位置し、可動電源側端子部102Bの位置する側の電圧表示部107には、100Vの文字が外部に露出して表示される。
【0032】
次に、分電盤から回路遮断器を取り外し、端子に母線が接続されていない状態において、可動電源側端子102Bを(a)の初期位置から(b)の他方の側面側にスライド移動させ始めると、可動電源側端子102Bの前面側に設けられたラック102B1とピニオン106の歯の噛み合いにより、ピニオンは図中において反時計回りに回転を始める。同時に、ピニオン106の歯と噛み合っている隠し板105の背面側に設けられたラック105bに力が伝達され、前記可動電源側端子102Bをスライド移動させる方向とは反対の方向に移動を始める。ラックとピニオンの歯は1対1で対応しているため、隠し板105の移動量と可動電源側端子部102Bの移動量は同じであり、可動電源側端子102Bを他方の側面側に移動させ終えた場合には、隠し板105も初期位置から他方の側面側に移動し終える。
【0033】
図8(b)の状態では、固定端子部102Aには母線L2が接続され、可動電源側端子部102Bには母線L1と接続される場合であるから、回路遮断器に供給される電圧値は200Vとなる。可動電源側端子部102Bの位置する側の前面側においては、可動電源側端子部102Bが位置しない側の電圧表示部107は隠し板105のベースにより隠蔽され、可動電源側端子部102Bが位置する側の電圧表示部107が現れている。この場合の電圧表示部107は200Vの文字が表示される。
【0034】
このように可動電源側端子部102Bと隠し板105とが互いに連動し、可動電源側端子102Bをスライド移動させる方向とは反対の方向に隠し板105が移動されるよう構成したから、作業者は可動電源側端子部の位置を的確に把握しやすく、可動電源側端子部102Bを母線と接続する一方の位置において、常にその前面側に、回路遮断器に供給される電圧値の表示の露出が行える。
他方の位置において回路遮断器に供給される電圧は前記隠し板105の背面側に位置して隠蔽されるよう構成したから、器体の前面側から端子部を臨んだ場合に、接続する母線の違いを、器体の前面に設けられた電圧表示の違い、即ち端子位置の違いとして目視確認することができ、端子装置と母線とを選択的に接続する場合や、端子装置と母線を接続した後であっても、どの回路遮断器がどの母線を選択して接続されているのかが直接的に把握しやすい。器体の端子部における前面側の、隠し板105に隠蔽されない側の略全面を電圧表示部として用いることができるため、電圧表示部を大きくとれ視認性がよく、作業をする者にとって接続母線や供給電圧の誤認を生じさせにくく、配線確認作業性が高い回路遮断器の端子構造を提供することができる。
【0035】
なお、可動電源側端子部の刃受と回路遮断器内部の主導体とはより線により接続されており、前記幅方向に連続的に移動するときの妨げにならないよう、移動量分の余裕を持たせた長さとしている。
【0036】
また、前記電圧表示部における電圧の表示は、文字による表示の他、器体の幅方向における略中央部を境に色分けを行ったり、その他接続する母線の種類を記載することにより行ってもよい。色分けは、給電電圧を識別するために赤と白、赤と黒というように、各々で色相を違えたり、また、明度、彩度を違えて構成するとよい。また、母線の種類をL1、Nというように表示したり、色分けと文字による表示を組み合わせて行ってもよい。
【0037】
また、可動電源側端子102Bの移動に伴い隠し板105の移動が行われる際に、所定の位置に可動電源側端子102B及び隠し板105が到達したことを操作時に伝達すること、また、所定の位置に可動電源側端子102B及び隠し板105が到達しやすくすることを目的として、器体の電源側端子部102Bの前面側と隠し板105の背面側に夫々移動時に乗り越える突起部108a1、108a2、108b、105c1、105c2を設けて構成している。可動電源側端子102Bを器体の幅方向に移動させる場合に連動して移動する隠し板105の背面側の突起が器体の前面側の突起と当接し乗り越えることにより、可動電源側端子102Bを一方の位置から他方の位置に移動させるときに、前記突起を乗り越えることにより適度なクリック感が得られ、作業者は、可動電源側端子部102Bを切替えたことを感覚的に認識することができ、同時に可動電源側端子102B及び隠し板105が所定の位置に到達しやすくなる。
【0038】
また、隠し板105の前面側及び背面側には、前記器体の幅方向に溝部105d、105eが設けられている。溝部を設けて、部分的に隠し板の厚みを薄くすることにより、前記突起同士が乗り越える際に、隠し板を弾性的に撓みやすくしている。
【0039】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0040】
前述した電圧表示部107は、文字、色彩による表示を行った例を示したが、回路遮断器が配設される分電盤の設置場所によっては薄暗い場所に設置されること可能性がある。このため、電圧表示部や第二の操作部の位置が作業者にとって明確には分かりにくくなる可能性があることに鑑み、回路遮断器1における前記可動電源側端子部102B側の器体内部の導体と前記固定端子部102A側の器体内部の導体とから電源を得る発光手段を器体に配置し、該発光手段の発光により前記電圧表示部や第二の操作部の位置が認識しやすくなるよう構成してもよい。
【0041】
例えば、
図10に示したように、器体の前面側に配置された突部壁面Aに発光手段400を配置して、該発光手段400から器体の電源側端子側を照らすように構成するとよい。これにより、薄暗い場所においても、電源表示部107付近が発光手段400により照らされることにより視認性が向上する。
【0042】
発光手段400は、前記可動電源側端子部102B側の器体内部の導体と前記固定端子部102A側の器体内部の導体とから電力を得るため、それぞれの導体に接続された整流回路、抵抗回路を介して設けられる。発光手段としては、LEDやELパネルなどを用いるとよい。
【0043】
また、可動電源側端子部102Bの位置に応じて、回路遮断器に供給される電圧が変わることから、供給電圧の違いによって発光手段400が破壊しないよう、定電流回路を設けて構成し、常に発光手段が発光するように構成するとよい。
【0044】
また、発光手段を複数設けて、回路遮断器に供給される電圧に応じて、電流を供給するLEDを違えるように構成してもよい。LEDの発光色を変えておくことにより、例えば、電圧が100Vのときは白色、電圧が200Vのときは赤色のLEDが発光するように回路を設けてもよい。
【0045】
また、この他、電圧表示部107に透過性を持たせて構成し、発光手段を該電圧表示部107の背面側に設けて、該背面側から前面側を照らすことにより、電圧表示部の文字や色彩が前面側から明確に分かるように構成してもよい。
【0046】
例えば、電圧表示部107を光の透過性を持たせた樹脂製シートで構成するとよい。
【0047】
図12には、第1の形態の回路遮断器を複数並設した場合の図を示している。
いずれの場合においても、可動電源側端子部の位置により回路遮断器に接続する母線の種類や供給する電圧を回路遮断器の前面側から一目瞭然に識別することができる。
このように、個々の回路遮断器に対して、接続する母線の種類や供給する電圧の大きさが識別しやすいことに加え、複数の回路遮断器を並設配置した場合においても、どの回路遮断器がどの母線を選択して接続しているのか、どの回路遮断器にいくらの電圧が供給されているのかが直接的に把握しやすい。