特許第5863220号(P5863220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オリンピアの特許一覧

<>
  • 特許5863220-遊技機 図000002
  • 特許5863220-遊技機 図000003
  • 特許5863220-遊技機 図000004
  • 特許5863220-遊技機 図000005
  • 特許5863220-遊技機 図000006
  • 特許5863220-遊技機 図000007
  • 特許5863220-遊技機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5863220
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20160202BHJP
【FI】
   A63F5/04 516F
   A63F5/04 512D
【請求項の数】1
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-156416(P2015-156416)
(22)【出願日】2015年8月6日
(62)【分割の表示】特願2014-182201(P2014-182201)の分割
【原出願日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年8月6日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】今村 昇平
(72)【発明者】
【氏名】福田 英之
【審査官】 鶴岡 直樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−195629(JP,A)
【文献】 特開2008−237735(JP,A)
【文献】 特開2014−050545(JP,A)
【文献】 特開2013−009760(JP,A)
【文献】 特開2012−125444(JP,A)
【文献】 特開2014−100306(JP,A)
【文献】 特開2012−125510(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
小役、リプレイ及びボーナスを含む複数種類の役の当否を抽選する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記複数のリールをゲームごとに回転させ、停止操作を契機として回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
前記複数のリールが停止した状態で、役ごとに予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、
前記小役の入賞に伴い、入賞した前記小役の配当に基づいて遊技媒体の払出数を決定する払出数制御手段と、
前記リプレイが入賞したことに基づいて遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ処理手段と、
通常状態において前記ボーナスに当選したことに基づいて通常状態よりもリプレイの当選確率が高いボーナス成立状態へ移行させ、前記ボーナス成立状態において前記ボーナスが入賞したことに基づいて遊技状態をボーナス状態へ移行させる遊技状態移行制御手段と、
前記ボーナス成立状態において通常演出状態及びアシストタイム状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させ、演出状態が前記アシストタイム状態に設定されている場合には、前記小役の入賞を補助する入賞補助演出を演出装置に実行させる制御を行う演出制御手段と、を備えた遊技機であって、
前記通常状態、前記ボーナス成立状態及び前記ボーナス状態では遊技を開始する際に必要となる遊技媒体の投入数が同一に設定され、
前記内部抽選手段が、
前記通常状態及び前記ボーナス成立状態では、入賞に伴う遊技媒体の払出数が前記投入数よりも多くなる小役である複数種類の特定小役が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1当選態様が存在するように内部抽選を行い、
前記ボーナス状態では、前記複数種類の特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記ボーナス状態において内部抽選で前記第2当選態様となる確率が、前記複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低く、かつすべての小役のうち一部の小役の当選確率は前記通常状態及び前記ボーナス成立状態よりも高くなるとともに当該一部の小役以外の小役の当選確率は前記通常状態及び前記ボーナス成立状態と同一となるように内部抽選を行い、当該一部の小役以外の小役には、前記複数種類の特定小役の少なくとも1つが含まれており、
前記リール制御手段が、
前記ボーナス成立状態において、前記ボーナスと前記リプレイとが共に当選した状態では、前記ボーナスに優先して前記リプレイが入賞し、前記ボーナスと前記小役とが共に当選した状態では、前記ボーナスに優先して前記小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、
前記複数種類の第1当選態様のそれぞれに対して第1当選態様の種類に応じた正解打順が予め設定されており、正解打順である場合には前記特定小役が入賞し、正解打順と異なる場合には前記特定小役が入賞しないように回転中のリールを停止させ、
複数種類の前記小役が重複して当選した状態で前記複数のリールを停止させる場合に、各リールの停止位置を、前記有効ライン上に表示可能な図柄組み合わせの種類が多くなるほど優先度が高くなるように設定し、
前記演出制御手段が、
演出状態が前記アシストタイム状態に設定されている場合には、内部抽選の結果が前記複数種類の第1当選態様のいずれかであることに基づいて、前記入賞補助演出によって第1当選態様の種類に応じた正解打順を報知する、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、スロットマシンなどの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スロットマシンは、外周面に図柄が配列された複数のリールを有し、これらリールの回転開始操作に基づいて内部抽選を行うと共に、この内部抽選の結果に応じた態様で上記複数のリールを停止させ、入賞判定ライン上に表示された図柄の組み合わせによってゲームの結果を表示するように構成されている。
【0003】
ところで、このようなスロットマシンにおいて、近年、演出状態を、上記複数のリールの停止順序を遊技者に報知して当選している子役の入賞を補助するアシストタイム状態とし、このアシストタイム状態を通してメダルを増やすタイプのスロットマシンが好評を博している。そして、このような演出状態をアシストタイム状態に設定可能なスロットマシンにおいて、従来、アシストタイム状態中に、アシストタイム状態を実行するゲーム数の上乗せ抽選と、アシストタイム状態のセット数の上乗せ抽選とを同時に実行可能なものが案出されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−113265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のように、アシストタイム状態のゲーム数の上乗せ抽選と、アシストタイム状態のセット数の上乗せ抽選とを同時に実行する場合、遊技者は、本来ならば実行されているどちらの抽選に対しても期待感を持つことができる。しかしながら、上記特許文献1記載のスロットマシンは、複数の抽選が同時に行なわれたとしても、これらの複数の抽選について、当選しない限り、個別に演出を行わない。このため、遊技者から見ると、複数の抽選を行っているのか、単一の抽選を行っているのか当選しないと分からず、せっかく複数の抽選を行っていたとしても、遊技者が各抽選ごとに期待感を得ることができないという問題があった。
【0006】
発明は、設計自由度の高いアシストタイム機能を備えた遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る遊技機は、外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、小役、リプレイ及びボーナスを含む複数種類の役の当否を抽選する内部抽選を行う内部抽選手段と、前記複数のリールをゲームごとに回転させ、停止操作を契機として回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、前記複数のリールが停止した状態で、役ごとに予め定められた入賞形態を示す図柄組合せが有効ライン上に表示されたことに基づいて、役が入賞したと判定する入賞判定手段と、前記小役の入賞に伴い、入賞した前記小役の配当に基づいて遊技媒体の払出数を決定する払出数制御手段と、前記リプレイが入賞したことに基づいて遊技者の所有する遊技媒体を要さずに次回の遊技を行わせるリプレイ処理手段と、通常状態において前記ボーナスに当選したことに基づいて通常状態よりもリプレイの当選確率が高いボーナス成立状態へ移行させ、前記ボーナス成立状態において前記ボーナスが入賞したことに基づいて遊技状態をボーナス状態へ移行させる遊技状態移行制御手段と、前記ボーナス成立状態において通常演出状態及びアシストタイム状態を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行させ、演出状態が前記アシストタイム状態に設定されている場合には、前記小役の入賞を補助する入賞補助演出を演出装置に実行させる制御を行う演出制御手段と、を備えた遊技機であって、前記通常状態、前記ボーナス成立状態及び前記ボーナス状態では遊技を開始する際に必要となる遊技媒体の投入数が同一に設定され、前記内部抽選手段が、前記通常状態及び前記ボーナス成立状態では、入賞に伴う遊技媒体の払出数が前記投入数よりも多くなる小役である複数種類の特定小役が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1当選態様が存在するように内部抽選を行い、前記ボーナス状態では、前記複数種類の特定小役が重複して当選する第2当選態様が存在し、前記ボーナス状態において内部抽選で前記第2当選態様となる確率が、前記複数種類の第1当選態様のいずれかとなる確率よりも低く、かつすべての小役のうち一部の小役の当選確率は前記通常状態及び前記ボーナス成立状態よりも高くなるとともに当該一部の小役以外の小役の当選確率は前記通常状態及び前記ボーナス成立状態と同一となるように内部抽選を行い、当該一部の小役以外の小役には、前記複数種類の特定小役の少なくとも1つが含まれており、前記リール制御手段が、前記ボーナス成立状態において、前記ボーナスと前記リプレイとが共に当選した状態では、前記ボーナスに優先して前記リプレイが入賞し、前記ボーナスと前記小役とが共に当選した状態では、前記ボーナスに優先して前記小役が入賞するように回転中のリールを停止させ、前記複数種類の第1当選態様のそれぞれに対して第1当選態様の種類に応じた正解打順が予め設定されており、正解打順である場合には前記特定小役が入賞し、正解打順と異なる場合には前記特定小役が入賞しないように回転中のリールを停止させ、複数種類の前記小役が重複して当選した状態で前記複数のリールを停止させる場合に、各リールの停止位置を、前記有効ライン上に表示可能な図柄組み合わせの種類が多くなるほど優先度が高くなるように設定し、前記演出制御手段が、演出状態が前記アシストタイム状態に設定されている場合には、内部抽選の結果が前記複数種類の第1当選態様のいずれかであることに基づいて、前記入賞補助演出によって第1当選態様の種類に応じた正解打順を報知する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ボーナス状態での遊技媒体の獲得率の期待値を引き下げた上で、アシストタイム遊技に関する遊技媒体の獲得性能を設計することができるため、アシストタイム機能を備えた遊技機の設計自由度をより飛躍的に向上させることができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の遊技機の外観構成を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図3】本発明の実施形態の遊技機における内部抽選テーブルを説明する図である。
図4】(A)は、本発明の実施形態の遊技機において通常状態及びボーナス成立状態で当選する打順ベル1〜打順ベル12の当選態様を説明する図、(B)は、ボーナス状態で当選するJAC1及びJAC2の当選態様を説明する図である。
図5】(A)は、本発明の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、演出状態の状態遷移図である。
図6】(A)は、本発明の実施形態の遊技機において通常状態及びボーナス成立状態で実行される内部抽選の当選確率の詳細な設定例、(B)は、ボーナス状態で実行される内部抽選の詳細な設定例を示す図である。
図7】CZ状態における遊技機を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのスロットマシン(回胴式遊技機)について図面に基づいて説明をする。なお、本実施の形態に係るスロットマシンは、メダルを遊技媒体として用いて遊技を行うが、例えば、パチンコ球などを遊技媒体として用いても良い。
【0011】
<遊技機の概略構成>
図1に示すように、スロットマシン1は、収納箱3、前面上扉5、及び前面下扉6からなる箱型の筐体2を備えており、この筐体2内に、リールユニット7、メダルの払出装置としてのホッパーユニット(図2参照)8、スロットマシン1の動作を制御する制御基板(制御手段、図2参照)100などが収められて構成されている。
【0012】
リールユニット7は、筐体2の上部に設けられており、第1リール〜第3リール71〜73を備えている。これら第1リール〜第3リール71〜73は、それぞれ外周面が一定の間隔で21の領域(各領域を「コマ」と称する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。また、第1リール〜第3リール71〜73は、ステップモータに軸支されており、このステップモータが上記制御基板100によって制御されることにより、回転駆動及びコマ単位での停止が可能となっている。
【0013】
前面上扉5は、上記リールユニット7に対応して、第1リール〜第3リール71〜73を観察可能な表示窓9をその上部に備えており、この表示窓9を通じて、各リールについて上、中、下段にある図柄を観察可能に構成されている。スロットマシン1において1回のゲームの結果は、この表示窓9における有効ライン(入賞判定ライン)L1上に表示された図柄の組み合わせによって表示され、有効ライン上の図柄組み合わせが予め定められた役に対応した図柄組み合わせ(入賞形態)である場合には、その役が入賞したものとしてホッパーユニット8(図2参照)からメダルの払い出しなどが行われる。
【0014】
また、前面上扉5の中央部には、第1液晶ディスプレイ111が設けられており、この第1ディスプレイ111は、下扉6の中央部に設けられた第2液晶ディスプレイ112と共に演出画像(映像)を表示する画像表示部11を構成している。更に、リールユニット7の側方には、ランプ13、スピーカ12などが設けられており、これら画像表示部11、ランプ13などの表示装置や、スピーカ12などの音響装置によって、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための遊技演出を行う演出装置(演出手段)15が構成されている。
【0015】
また、前面上扉5とは別体に構成された上記前面下扉6には、上記第2液晶ディスプレイ112の他に、遊技者がメダルを投入するメダル投入口16が設けられていると共に、スロットマシン1を操作して遊技を行うための各種操作手段が設けられている。具体的には、この操作手段として、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うためのベットボタン17、第1リール〜第3リール71〜73を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー19、ステップモータにより回転駆動されている第1リール〜第3リール71〜73のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン20〜22、演出内容を選択する選択手段としてのジョグダイヤル18などが設けられている。
【0016】
このため、上記メダル投入口16へのメダルの投入、もしくはベットボタン17の押下操作により、1回のゲームに必要となる枚数(規定投入枚数、本実施の形態では3枚)のメダルを受け付けると、スロットマシン1は有効ラインL1を有効化し、かつ第1リール〜第3リール71〜73の回転制御を開始することが可能な準備状態となる。そして、遊技者によってスタートレバー19が押下されると、第1リール〜第3リール71〜73の回転を開始すると共に、乱数値を用いた内部抽選を行い、第1リール〜第3リール71〜73の回転速度が所定の速度まで上昇したことを条件に、ストップボタン20〜22の押下操作を許可(有効化)する。そして、遊技者が任意のタイミングでストップボタン20〜22を押下していくと、スロットマシン1は、上記内部抽選の結果に応じた停止位置で第1リール〜第3リール71〜73を停止させ、遊技の結果に応じた枚数のメダルを、前面下扉6の下方に設けられたメダル払い出し口23からメダル受け皿25へと払い出す。
【0017】
<制御基板の構成>
ついで、上記スロットマシン1の制御基板100の構成について図2に基づいて説明をする。図2に示すように、スロットマシン1において遊技に関する制御を実行する上記制御基板(制御手段)100は、主に内部抽選、リール制御、メダルの払い出しなどを担当するメイン基板110と、主に演出制御を担当するサブ基板140と、を備えて構成されている。
【0018】
<メイン基板の構成>
メイン基板110は、CPUを主体として構成されたメイン側演算部120と、ROM、RAMなどを主体として構成されたメイン側記憶部(記憶手段)130とを備えて構成されていると共に、メダル投入スイッチ30、ベットスイッチ31、スタートスイッチ32、ストップスイッチ33などが接続されて、各種入力信号が入力されるようになっている。また、メイン基板110には、リールユニット7、ホッパーユニット8などの出力装置が接続されており、これらリールユニット7及びホッパーユニット8の動作制御を行うことが可能となっている。
【0019】
より具体的には、上記メイン側演算部120は、投入受付手段121、乱数発生手段122、内部抽選手段123、リール制御手段124、入賞判定手段125、払出制御手段126、リプレイ処理手段127、遊技状態移行制御手段128を含んでおり、その回路構成、上記入力信号及び記憶部130に格納された各種プログラムを含むデータに基づいて上述した各手段として機能する。
【0020】
上記投入受付手段121は、メダル投入口16へのメダルの投入によるメダル投入スイッチ30からの入力信号もしくはベットボタン17の操作によるベットスイッチ31からの入力信号に基づいて、ゲーム毎にメダルの投入操作を受け付ける手段であり、規定投入数に相当するメダルが投入されたことに応じて、スタートレバー19に対する第1リール〜第3リール71〜73の回転開始操作を有効化する処理を行う。
【0021】
乱数発生手段122は、抽選用の乱数値を発生させる手段である。乱数値は、例えば、インクリメントカウンタ(所定のカウント範囲を循環するように数値をカウントするカウンタ)のカウント値に基づいて発生させることができる。なお、本実施の形態において、「乱数値」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、その発生自体は規則的であっても、その取得タイミング等が不規則であるために実施的に乱数として機能しうる値も含まれる。
【0022】
内部抽選手段123は、遊技者がスタートレバー19の押下操作により作動するスタートスイッチ32からのスタート信号に基づいて、役の当選の当否を抽選する内部抽選を行う手段であり、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理などを行う。
【0023】
より詳しくは、抽選テーブル選択処理では、記憶部130の内部抽選テーブル記憶手段132に格納されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき決定する。本実施の形態においては、内部抽選テーブル記憶手段132に、図3に示すような、遊技状態が通常状態である場合に選択される内部抽選テーブルAと、遊技状態がボーナス成立状態である場合に選択される内部抽選テーブルBと、遊技状態がボーナス状態である場合に選択される内部抽選テーブルCとが記憶されている。そして各抽選テーブルでは、複数の乱数値(例えば、0〜65535の65536個の乱数値)のそれぞれに対して、リプレイ、小役、およびボーナスなどの各種の役やハズレ(不当選)が対応づけられている。
【0024】
ここで、内部抽選テーブルAと内部抽選テーブルBとは、小役の当選確率が同一に設定されており、小役として、打順ベル1〜12と、取りこぼし役とにそれぞれ乱数値が対応付けられている。また、本実施の形態のスロットマシン1では、ボーナスとして第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのビッグボーナス(BB)が用意されており、内部抽選テーブルAでは、ビックボーナス(BB)が抽選対象として設定されている。内部抽選テーブルBは、内部抽選テーブルAとリプレイの当選確率が異なっており、内部抽選テーブルAにおけるBB及びハズレの代わりにリプレイを抽選対象とすることで、内部抽選テーブルAよりもリプレイの当選確率が高くなるように設定されている。内部抽選テーブルCは、小役としてJAC1とJAC2とに乱数値が対応付けられている。
【0025】
図4(A)に示すように、本実施形態のスロットマシン1では、入賞役として、ベルA、ベルB、ベルC、特殊小役A1、特殊小役A2、特殊小役A3、特殊小役A4、特殊小役B1、特殊小役B2、特殊小役B3及び取りこぼし役が用意されており、複数種類の入賞役が重複して当選する小役の当選態様として、第1当選態様としての打順ベル1〜打順ベル12と、第2当選態様としてのJAC1及びJAC2とが設定されている。即ち、上記打順ベル1〜打順ベル12及びJAC1、JAC2は、1回の内部抽選で複数種類の小役が重複して当選するように同一の乱数値に対して複数種類の小役が対応づけられていること(いわゆる、択役であることを)を意味する。また、リプレイとしては、通常リプレイと、特殊リプレイとが用意されている。
【0026】
なお、ここで、「打順」とは、ストップボタン20〜ストップボタン22に対して押下操作を実行する順番を意味し、本実施の形態においては、図4(A)に示す打順1〜打順6の6種類の打順から構成されている。また、打順ベル1〜12の小役の重複態様は、図4(A)に示す通りであり、それぞれの打順ベルに対して正解打順と、押下順序が正解打順とは異なる不正解打順とが設定されている。具体的には、打順ベル1〜12においては、図4(A)において、それぞれベルA、ベルB、ベルCのいずれかが入賞可能な打順が正解打順となっている。
【0027】
また、図4(B)に示すように、JAC1は、ベルAと、ベルBと、ベルCと、が重複して当選する。更に、JAC2は、特殊小役A1〜特殊小役A4と、特殊小役B1〜特殊小役B3と、取りこぼし役とが重複して当選する。
【0028】
乱数判定処理では、スタートスイッチ32からのスタート信号に基づいて、遊技毎に乱数発生手段122から乱数値(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数値について内部抽選テーブル記憶手段132に記憶されている内部抽選テーブルを参照して役に当選したか否かを判定する。
【0029】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非当選状態(オフ状態)から当選状態(オン状態)に設定する。本実施の形態の遊技機では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが当選状態に設定される。なお抽選フラグの設定情報は、抽選フラグ記憶手段134に格納される。
【0030】
また本実施の形態の遊技機では、入賞するまで次回以降の遊技に当選状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に当選状態を持ち越さずに非当選状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)とが用意されている。前者の持越可能フラグが対応づけられる役としては、ビッグボーナス(BB)があり、小役およびリプレイは後者の持越不可フラグに対応づけられている。すなわち抽選フラグ設定処理では、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選すると、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態を、ビッグボーナス(BB)が入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき内部抽選手段123は、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技でも、小役およびリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち抽選フラグ設定処理では、ビッグボーナス(BB)の抽選フラグの当選状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているビッグボーナス(BB)の抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを当選状態に設定する。
【0031】
リール制御手段124は、遊技者がスタートレバー19への遊技開始操作により作動するスタートスイッチ32からのスタート信号に基づいて、ステッピングモータにより第1リール71〜第3リール73の回転駆動を開始する。また、第1リール71〜第3リール73の回転状態が、所定速度(約80rpm:1分間あたり約80回転となる回転速度)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタン20〜ストップボタン22が押下操作されることでストップスイッチ33によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段124は、停止操作の検出に基づきストップスイッチ33からリール停止信号が出力された場合に、リールユニット7のステッピングモータへの駆動パルス(モータ駆動信号)の供給を停止することにより、第1リール71〜第3リール73の各リールを停止させる制御を行う。このとき、リール制御手段124は、ステッピングモータにより回転駆動されている第1リール71〜第3リール73を抽選フラグの設定状態、すなわち内部抽選の結果に応じた態様で停止させる制御を行う。つまり、リール制御手段124は、ストップボタン20〜ストップボタン22の各ボタンが押下されるごとに、第1リール71〜第3リール73のうち押下されたストップボタンに対応するリールの停止位置を決定して、決定された停止位置でリールを停止させる制御を行っている。
【0032】
また、本実施形態のスロットマシン1では、第1リール71〜第3リール73について、ストップボタン20〜ストップボタン22が押下された時点から190ms以内に、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに要するコマ数が所定の引き込み範囲として0コマ〜4コマの範囲で決定される。
【0033】
具体的には、リール制御手段124は、ロジック演算により回転中のリールの停止位置を求める処理(ロジック演算処理)と、メイン側記憶部130の停止制御テーブル記憶手段135に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定する処理(テーブル参照処理)とを行っている。
【0034】
まずロジック演算処理では、役毎に定められた優先順位データに従ってストップスイッチ33の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)におけるリールの位置である押下検出位置から0コマ〜4コマの範囲内に存在する5コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求める。なおボーナス状態では、第1リール71については押下検出位置から0コマ〜1コマの範囲内に存在する2コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求め、第2リール72および第3リール73については上記と同様に押下検出位置に対応する5コマ分の停止位置の候補に対して優先度を求める。そして各停止位置の候補の優先度のうち最も優先度の高い停止位置の候補を実際の停止位置として決定する。ただしロジック演算処理では、内部抽選の結果や押下検出位置などに応じて複数の停止位置の候補に対して同一の優先度が求まる場合があり、最も優先度の高い停止位置の候補が複数となった場合には、後述するテーブル参照処理によって実際の停止位置を決定する。
【0035】
また、本実施の形態の遊技機では、「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。ロジック演算処理では、2種類以上の役に関する抽選フラグが内部当選状態に設定されている場合、各役に対応付けられた優先順位に従って、優先順位の高い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補を、優先順位が低い役の入賞形態を構成する図柄を含む停止位置の候補よりも優先度が高くなるように優先度を求める。
【0036】
なお、本実施の形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法とが存在する。有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合には、有効ラインL1上に表示可能な入賞形態を示す図柄組合せ(以下、「入賞図柄組合せ」と記載)の数が多くなる停止位置ほど優先度が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。また、メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合には、有効ラインL1上の表示位置に表示されている図柄に対応する小役の配当に基づくメダルの払出数が多くなる停止位置、すなわち配当が多い小役を入賞させることができる停止位置ほど優先順位が高くなるように各停止位置の候補の優先度を求める。ただし、メダルの払出数に応じて停止位置の候補の優先度を求める場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0037】
またロジック演算処理では、いわゆる引き込み処理と蹴飛ばし処理とをリールの停止位置の候補を求める処理として行っている。引き込み処理とは、抽選フラグが当選状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるようにリールの停止位置の候補を求める処理である。一方蹴飛ばし処理とは、抽選フラグが非当選状態に設定された役を入賞させることができないようにリールの停止位置の候補を求める処理である。このようにリール制御手段124は、抽選フラグが当選状態に設定された役の図柄を入賞の形態で停止可能にし、一方で抽選フラグが非当選状態に設定された役の図柄が入賞の形態で停止しないようにリールの停止位置の候補を求めるロジック演算処理を行っている。
【0038】
テーブル参照処理では、ロジック演算処理を行った結果、最も優先度の高い停止位置の候補が複数得られた場合に、いずれの位置を停止位置とするかを、メイン側記憶部130の停止制御テーブル記憶手段135に記憶されている停止制御テーブルを参照して決定する。
【0039】
ここで停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、ストップスイッチ33の作動時点(ストップボタンの押下が検出された時点)におけるリールの位置である押下検出位置と、押下検出位置から実際の停止位置までの回転量を示す滑りコマ数との対応関係が設定されている。なお停止制御テーブルでは、抽選フラグの設定状態に応じて、押下検出位置と実際の停止位置との対応関係が設定されていてもよい。
【0040】
そして本実施の形態の遊技機では、入賞判定手段125の判定結果に基づいて、入賞時処理が実行される。入賞時処理としては、例えば、小役(ベル、特殊小役、取りこぼし役)が入賞した場合には払出制御手段126によってメダルの払出制御処理が行われ、リプレイ(通常リプレイ、特殊リプレイ)が入賞した場合にはリプレイ処理手段127によってリプレイ処理が行われ、ビッグボーナス(BB)が入賞した場合には遊技状態移行制御手段128によって遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理が行われる。
【0041】
払出制御手段126は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出制御処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役毎に予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、ホッパーユニット8(払出装置)に払い出させる制御を行う。なお、本実施形態において、ベルA〜ベルCの配当は、いずれも7枚に定められている。また、特殊小役A1〜特殊小役A4、特殊小役B1〜特殊小役B3及び取りこぼし役の配当は、いずれも1枚に定められている。
【0042】
ホッパーユニット8は、払出制御手段126によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット8には、メダルを1枚払い出す毎に作動する払出メダル検出スイッチが備えられており、払出制御手段126は、払出メダル検出スイッチからの入力信号に基づいてホッパーユニット8から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。
【0043】
なおメダルのクレジット(内部貯留)が許可されている場合には、ホッパーユニット8によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、メイン側記憶部130のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0044】
リプレイ処理手段127は、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関して遊技者の所有するメダルの投入を要さずに前回の遊技と同じ準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち本実施の形態の遊技機では、リプレイが入賞した場合には、前回の遊技と同じ枚数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインを設定した状態で次回のスタートレバー19に対する遊技開始操作を待機する。
【0045】
遊技状態移行制御手段128は、図5(A)に示すように、通常状態、ボーナス成立状態及びボーナス状態の間で遊技状態を移行させる遊技状態移行制御処理を行う。ここで、遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件の全てが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。なお、本実施の形態において、遊技状態移行制御手段128は、遊技状態として、通常状態、ボーナス成立状態及びボーナス状態を有しているが、これに限らず、例えば、通常状態やボーナス成立状態とはリプレイの当選確率が異なるリプレイタイム状態(RT状態)を有していてもよく、また、それぞれリプレイの当選確率が異なる複数のRT状態を有していてもよい。
【0046】
通常状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態で、通常状態からはボーナス成立状態への移行が可能となっている。具体的には、通常状態においてビッグボーナス(BB)が当選した場合にボーナス成立状態へ移行する。また、通常状態では、図3に示す内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルCのうち、リプレイの当選確率が約1/7.3に設定され、かつBBが抽選対象として設定されている内部抽選テーブルAを参照した内部抽選が行われる。
【0047】
ボーナス成立状態は、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選したことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス成立状態では、図3に示す内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルCのうち、内部抽選テーブルBを参照した内部抽選が行われる。内部抽選テーブルBにおいては、上述した通り、ビッグボーナス(BB)が持越可能フラグに対応付けられた当選役であることから、ビッグボーナス(BB)を抽選対象から除外し、ビッグボーナス(BB)の代わりにリプレイが抽選対象となっている。このため、内部抽選テーブルBは、内部抽選テーブルAよりもリプレイの当選確率が高く(約1/6.2)に設定されている。
【0048】
また、ボーナス成立状態では、上述した通り、ビッグボーナス(BB)が入賞するまでビッグボーナス(BB)に対応する抽選フラグが当選状態に維持される。遊技状態移行制御手段128は、ビッグボーナス(BB)の入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示されると、遊技状態をボーナス成立状態からボーナス状態へ移行させる。
【0049】
ボーナス状態は、ビッグボーナス(BB)の入賞図柄組合せが有効ラインL1上に表示されたことを契機として移行する遊技状態である。ボーナス状態では、図3に示す内部抽選テーブルA〜内部抽選テーブルCのうち他の内部抽選テーブルとは小役の当選確率が異なる構成の内部抽選テーブルCを参照した内部抽選が行われる。
【0050】
また、ボーナス状態では、ボーナス状態によって払い出されたメダルの合計数により終了条件が成立したか否かを判定する。遊技状態移行制御手段128は、予め定められた所定枚数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出されると、ボーナス状態を終了させて、遊技状態を通常状態へ復帰させる制御を行う。なお、本実施形態では、ボーナス状態の終了条件がメダルの払出数の合計によって定められているが、ボーナス状態での遊技回数や小役の入賞回数によって終了条件が定められていてもよい。また、ボーナス状態は、1回の遊技で終了するように終了条件が定められたものであってもよい。
【0051】
演出制御手段151は、演出データ記憶手段161に記憶されている演出データに基づいて、画像表示部11を用いて行う表示演出や音響装置12を用いて行う音響演出に関する制御を行う。例えば、メダルの投入やベットボタン17、スタートレバー19、ストップボタン20〜22に対する操作、遊技状態の変動などの遊技イベントの発生に応じてランプやLEDを点灯あるいは点滅させたり、液晶ディスプレイ11の表示内容を変化させたり、スピーカから音を出力させたりすることにより、遊技を盛り上げたり、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。
【0052】
特に、本実施の形態では、演出制御手段151は、図5(B)に示すように、通常演出状態、分割演出状態としてのチャンスゾーン状態(CZ状態)、特別演出状態としてのアシストタイム状態(AT状態)を含む複数種類の演出状態の間で演出状態を移行可能に構成されており、所定条件下で演出状態をCZ状態やAT状態に設定する制御を行う。なお、演出制御手段151は、乱数値を用いる各処理ごとに0〜32767までの32768個の乱数値のいずれかを取得する。
【0053】
ここで、通常演出状態とは、演出状態がCZ状態及びAT状態でない場合に実行される演出状態であり、他の演出状態に移行するまで継続する演出状態である。通常演出状態において、演出制御手段151は、予め定められた当選役に当選した場合にAT状態に移行するか否かを抽選により決定するAT抽選処理を実行する。また、通常演出状態において、内部抽選で特殊リプレイに当選した場合には、演出状態をCZ状態に移行するか否かを決定するCZ抽選を実行する。
【0054】
CZ状態は、演出状態が通常演出状態である場合に実行されるCZ抽選に当選した場合に移行する演出状態である。演出制御手段151は、CZ状態において、例えば、AT状態に移行するか否かを抽選するAT抽選などのAT状態(特別演出状態)に関する抽選を通常状態よりも高い確率で行い、このAT抽選に当選した場合には、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。また、演出制御手段151は、上記AT抽選処理に当選することなくCZ状態が終了した場合、CZ状態から通常演出状態に演出状態を移行する。
【0055】
AT状態は、通常演出状態及びCZ状態において実行されるAT抽選処理に当選した場合と、AT状態に移行することなく所定の遊技回数(例えば、1000ゲーム)の遊技が実行された場合とに移行する演出状態である。AT状態において、演出制御手段151は、打順ベル1〜打順ベル12の当選時にベルA〜ベルCを入賞させることができる正解打順を報知する、つまりベルA〜ベルC(小役)の入賞を補助する入賞補助演出を実行する。また、演出制御手段151は、AT状態の開始時に設定される遊技回数(例えば、50ゲーム)の遊技が実行された場合に、AT状態から通常演出状態に演出状態を移行しAT状態を終了する。
【0056】
ここで、上述した通り、打順ベル1〜打順ベル12は、ストップボタン21又はストップボタン22に対して第1停止操作を実行した場合に、正解打順となりベルA〜ベルCが入賞し得る構成となっている。本実施形態のスロットマシン1においては、演出状態が通常演出状態である場合、遊技者にストップボタン20を第1停止操作させ、演出状態がAT状態に移行し、正解打順が報知された場合に遊技者にストップボタン21又はストップボタン22を第1停止操作させ、ベルA〜ベルDを入賞させてメダルを獲得させるように構成されている。しかしながら、打順ベル1〜打順ベル12の入賞時においては、演出状態によらず正解打順で停止操作を実行することでベルA〜ベルCを入賞できてしまうため、不誠実な遊技者が通常演出状態での遊技においてストップボタン21やストップボタン22を最初に押下操作することで、メダルを獲得しやすい遊技方法を選択できるという攻略要素が発生してしまう。
【0057】
そこで、演出制御手段151は、AT演出状態以外の演出状態において、ストップボタン21又はストップボタン22が第1停止操作された場合に遊技者にとって不利益となるペナルティを発生させるペナルティ処理を行う。ペナルティ処理としては、例えば、一定の遊技回数(例えば、3ゲーム)を消化するまでCZ抽選やAT抽選処理の実行を禁止する処理、一定の遊技回数を消化するまでCZ抽選やAT抽選処理の結果を破棄する処理、CZ抽選に当選しても一定の遊技回数を消化するまでCZ状態への移行を保留する処理、AT抽選処理に当選しても一定の遊技回数を消化するまでAT状態への移行を保留する処理、CZ抽選やAT抽選処理に当選し演出状態がCZ状態やAT状態に移行しても一定の遊技回数を消化するまで打順ベル1〜打順ベル12の正解打順の報知を禁止する処理、演出状態がCZ状態に移行しても一定の遊技回数を消化するまでAT抽選処理の実行を禁止する処理等を行うことができる。
【0058】
このように、本実施の形態では、上記のようなペナルティ処理を行うことで、AT状態での正解打順報知演出によらずにベルA〜ベルCを入賞させることを制限することができ、不誠実な遊技者が意図的にストップボタン21又はストップボタン22を最初に押下操作するようにして利益を享受することを抑止することができるようになっている。
【0059】
<各遊技状態における小役当選確率>
ついで、各遊技状態における小役当選確率について、図6に基づいて説明をする。上述したように、本実施の形態では、ビッグボーナス(BB)の当選により通常状態よりもリプレイの当選確率が高いボーナス成立状態へ移行させ、毎回のゲームにおいて小役又はリプレイのいずれかが当選するボーナス成立状態において、演出状態をAT状態へ移行させる機会を付与することにより、遊技状態がボーナス成立状態であり、かつ演出状態がAT状態である遊技によって、ベルA〜ベルCの入賞率を高めて遊技者にメダルを獲得させる手法を採用している。以下では、図6に示す本実施の形態のスロットマシン1における内部抽選での当選確率の詳細な設定例を参照しながら説明する。
【0060】
まず、本実施の形態では、上述した通り、ベルA〜ベルCが入賞した場合に限って規定投入数(3枚)よりも多い7枚のメダルが払い出されて遊技者が手持ちのメダルを増やすことができる。ボーナス成立状態では、図6(A)に示すように、ベルA、ベルB又はベルCの少なくとも1つが当選する確率が54300/65536(約1/1.2)である。一方、本実施の形態において、ボーナス状態では、図6(B)に示すように、ベルA、ベルB及びベルCの少なくとも1つが当選する確率が18100/65536(約1/3.6)となる。つまり、本実施形態においては、ボーナス状態において規定投入枚数よりも多いメダルが払い出される小役(ベルA〜ベルC)を含む当選態様が得られる確率を、通常状態及びボーナス成立状態において特定小役を含む当選態様が得られる確率の約1/3に圧縮している。通常状態及びボーナス成立状態においてN種類(Nは自然数)の規定投入枚数よりも多いメダルが払い出される小役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行うように構成し、ボーナス状態においてN種類の規定投入枚数よりも多いメダルが払い出される小役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うように構成することにより、ボーナス状態において特定小役を含む当選態様が得られる確率を、通常状態及びボーナス成立状態において特定小役を含む当選態様が得られる確率の約1/N(本実施形態においては約1/3)に圧縮することができる。
【0061】
また、図6(A)及び図6(B)に示すように、ボーナス状態においていずれかの小役の当選態様が得られる確率は、55456/65536(約1/1.2)であり、通常状態及びボーナス成立状態において、いずれかの小役の当選態様が得られる確率である55455/65536(約1/1.2)よりも高くなるように内部抽選を行っている。そして、ボーナス状態において特殊小役A1〜特殊小役A4、特殊小役B1〜特殊小役B3又は取りこぼし役のいずれかに当選する確率は、37356/65536(約1/1.8)であり、通常状態及びボーナス成立状態において、特殊小役A1〜特殊小役A4のいずれかに当選する確率である13575/65536(約1/4.8)、特殊小役B1〜特殊小役B3のいずれかに当選する確率である18100/65536(約1/3.6)又は取りこぼし役に当選する確率である655/65536(約1/100.1)のいずれよりも高くなるように内部抽選を行っている。このように構成することで、ボーナス状態では、特殊小役A1〜特殊小役A4、特殊小役B1〜特殊小役B3及び取りこぼし役のそれぞれの当選確率が通常状態やボーナス成立状態よりも上昇し、かつ小役全体の当選確率も通常状態やボーナス成立状態よりも上昇しているが、上述した通り、規定投入数より配当の高いベルA、ベルB及びベルCを含む当選態様を得られる確率(18100/65536(約1/3.6))が、通常状態やボーナス成立状態においてベルA、ベルB又はベルCの少なくとも1つの当選態様が得られる確率(54300/65536(約1/1.2))よりも低くなっている。
【0062】
この構成により、本実施の形態のスロットマシン1は、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満としメダルの獲得率の期待値を引き下げた上で、AT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度をより飛躍的に向上させることができる。
【0063】
<CZ状態の詳細な説明>
ついで、本実施の形態に係るスロットマシン1の演出状態の内、上述したチャンスゾーン状態(CZ状態)について図7に基づいて詳しく説明をする。本実施の形態のスロットマシン1は、上述したようにボーナス状態の期待値を引き下げていると共に、遊技状態がボーナス成立状態から移動し辛くなっているため、上記演出状態は、主に遊技状態がボーナス成立状態において、通常状態、CZ状態、AT状態の間を移行する。
【0064】
上記CZ状態は、演出状態をAT状態へと移行させるために、通常演出状態よりも高い確率でAT状態への移行に関する抽選が行われる演出状態であり、本実施の形態においては、画像表示部11を複数の表示領域(例えば、図7の201〜204)に区画し、各表示領域ごとにAT状態(特別演出状態)に関する抽選を通常状態よりも高い確率で独立して行う分割演出状態を構成している。
【0065】
即ち、CZ状態においては、各表示領域201〜204のそれぞれにおいて、AT状態への移行に関する抽選を行うチャンス演出状態が並行して進行し、演出制御手段151は、通常演出状態におけるCZ抽選に当選すると、まず、CZ状態において実行される上記チャンス演出状態の数を抽選する演出数抽選を行う。より詳しくは、本実施の形態においては、この演出数抽選は、最小数を2、最大数を32として、2の倍数ごとに2(nは1〜5)個の範囲でチャンス演出状態の実行数を抽選している。
【0066】
そして、演出制御手段151は、この演出数抽選によって、いくつのチャンス演出状態を実行するかが決定されると、演出数抽選によって決定したチャンス演出状態の実行数に応じて画像表示部11を複数の表示領域に区画する。例えば、実行するチャンス演出状態の数が「4」であった場合、図7に示すように、画像表示部11としての第1及び第2液晶ディスプレイ111,112のそれぞれが上下に分割され、この画像表示部11上に4つの表示領域201〜204が形成される。なお、実行するチャンス演出状態の数が「2」であった場合、第1及び第2液晶ディスプレイ111,112のそれぞれが1つの表示領域となる。
【0067】
また、CZ状態においては、実行可能なチャンス演出状態の種類が、複数用意されており、上記チャンス演出状態の実行数が決定すると、区画された表示領域毎に実行されるチャンス演出状態の種類が選択される。より具体的には、CZ状態で実行可能なチャンス演出状態として、本実施の形態では、AT状態に移行するか否かを抽選する3種類のATジャッジ系のチャンス演出状態と、CZ状態の継続抽選を行う2種類のCZ上乗せ系のチャンス演出状態とが用意されている。
【0068】
即ち、上記3種類のATジャッジ系のチャンス演出状態は、積み上げジャッジタイプのチャンス演出状態と、1ゲームジャッジタイプのチャンス演出状態と、ジャッジ個数積み上げタイプのチャンス演出状態とによって構成されており、積み上げジャッジタイプのチャンス演出状態では、所定の規定ゲーム数(例えば10ゲーム)の間の内部抽選において、所定の契機役(本実施の形態においては、ベル及びリプレイ)が当選することに基づいてポイントが付加され、この規定ゲーム数の最終ゲームにおいて、溜まったポイントに基づいたAT抽選が行われるようになっている。即ち、この積み上げジャッジタイプのチャンス演出状態では、溜まったポイントの多さによってAT抽選において使用される抽選テーブルが変動し、溜まったポイントが高い程、AT抽選の当選確率が高い抽選テーブルが使用されるようになっている。
【0069】
なお、サブ側記憶部160(図2参照)には、演出状態がCZ状態に突入してから当該CZ状態において実行されたゲーム数をカウントするチャンス演出状態終了カウンタ163及び付与されたポイントを記憶するポイント記憶手段164が設けられている。そして、このチャンス演出状態終了カウンタ163の値が上記規定ゲーム数になった際に、演出制御手段151は、ポイント記憶手段164に記憶されているポイントの値に応じて抽選テーブルを決定し、この決定した抽選テーブルを用いてAT抽選を行う。
【0070】
また、1ゲームジャッジタイプのチャンス演出状態では、演出状態がCZ状態に突入した後の最初のゲームにおいて、AT抽選が実行されるようになっている。なお、この場合、積み上げジャッジタイプのチャンス演出状態とは異なり、常に同一の抽選テーブルがAT抽選の際に使用される。
【0071】
更に、ジャッジ個数積み上げタイプのチャンス演出状態では、所定の規定ゲーム数(例えば7ゲーム)の間の内部抽選において、所定の契機役(本実施の形態においては、特殊リプレイ)が当選した数をカウントし、規定ゲーム数の最終ゲームにて上記契機役が当選した数だけAT抽選を行うようになっている。なお、この場合も積み上げジャッジタイプと同様に、チャンス演出状態終了カウンタ163のカウンタ値が規定ゲーム数に達した際にAT抽選が行われるが、このジャッジ個数積み上げタイプのチャンス演出状態と、積み上げジャッジタイプのチャンス演出状態とでは、上記規定ゲーム数が10ゲームと7ゲームとで異なるように設定されている。
【0072】
一方、上述した2種のCZ上乗せ系のチャンス演出状態は、リプレイジャッジ規定ゲーム数ループタイプのチャンス演出状態と、規定ゲーム数リプレイ連回避タイプのチャンス演出状態とによって構成されている。ここで、リプレイジャッジ規定ゲーム数ループタイプのチャンス演出状態では、所定の規定ゲーム数(例えば5ゲーム)の間の内部抽選において、所定の契機役(本実施の形態においては、通常リプレイ)が当選するごとに、上記CZ状態の継続抽選が行なわれる。なお、ここで、CZ状態の継続抽選とは、区画された全ての表示領域201〜204に対応するチャンス演出状態が終了してCZ状態が1セット終了した際に、再度、演出数抽選を受けて、表示領域の区割りがリセットされてから、連続して演出状態をCZ状態に設定するか否かを抽選する抽選である。
【0073】
また、上記サブ側記憶部160(図2参照)には、演出制御手段151が、演出状態を連続してCZ状態(分割演出状態)に設定可能な回数を規定するカウンタ値が記憶されたCZカウンタ(分割演出状態カウンタ)166を備えており、このCZカウンタ166のカウント値は、上記CZ状態の継続抽選に当選することにより「1」加算され、CZ状態が1セット終了することにより「1」減算される。即ち、本実施の形態においては、CZ状態の継続抽選に当選することによって、CZ状態の実行回数をストックすることが可能に構成されている。そして、演出制御手段151は、CZカウンタ166の値が、CZ状態が1セット終了した際に、所定値(例えば0)の場合、CZ状態を終了し、消化されたCZ状態でAT抽選に当選していれば、演出状態をAT状態に移行させ、当選していない場合には、演出状態を通常状態へと移行させるようになっている。
【0074】
また、規定ゲーム数リプレイ連回避タイプのチャンス演出状態では、内部抽選において、所定の契機役(本実施の形態においては、通常リプレイ)を所定回数(本実施の形態においては、2回)連続して当選するまでは、各ゲームの内部抽選毎に上記CZ状態の継続抽選が行われるようになっている。
【0075】
上述したように、本実施の形態では、CZ状態において演出状態を複数種類のチャンス演出状態に設定可能であるため、演出数抽選で当選した実行されるチャンス演出状態の数(表示領域201〜204の数)が所定数(本実施の形態では8)よりも少ない場合は、遊技者が、ジョグダイヤル18を使用して、各表示領域201〜204ごとに実行するチャンス演出状態の種類を選択することができるようになっている。一方で、CZ状態において並行して実行されるチャンス演出状態が所定数以上の場合、演出制御手段151は、全ての表示領域201〜204に対応するチャンス演出状態の種類を、自動的に所定の種類のチャンス演出状態(本実施の形態においては1ゲームジャッジタイプのチャンス演出状態)に設定する。
【0076】
そして、全ての表示領域201〜204にて実行されるチャンス演出状態の種類が設定されると、CZ状態におけるゲームを実行することが可能となり、遊技者がCZ状態において遊技を進行させることにより、各表示領域に対応する複数のチャンス演出状態が同時に進行して行く。
【0077】
ここで、本実施の形態において、上述したように5種類のチャンス演出状態のすべてについて、終了契機が異なっていると共に、各表示領域201〜204で実行されるチャンス演出状態は、それぞれが独立している。このため、各表示領域201〜204で実行されるチャンス演出状態は、演出制御手段151によって、各表示領域に対応するチャンス演出状態ごとに終了判断が行なわれる。
【0078】
従って、例えば、表示領域201、203、204については、1ゲームジャッジタイプのチャンス演出状態が選択され、表示領域202については、規定ゲーム数リプレイ連回避タイプのチャンス演出状態が選択されると、CZ状態に突入してから2ゲーム目には、図7に示すように、表示領域201、203、204にて成功もしくは失敗といった抽選結果が報知され、表示領域202については、CZ状態の継続抽選を実行されるという状態となる。そして、内部抽選にて通常リプレイが2連続で当選し、表示領域202についてのチャンス演出状態が終了すると、全てのチャンス演出状態が終了してCZ状態が1セット終了する。
【0079】
全ての表示領域201〜204に対応するチャンス演出状態が終了すると、演出制御手段151は、CZカウンタ166のカウント値が0であるかを確認し、このカウント値が0である場合には、CZ状態を終了して、いずれかのチャンス演出状態におけるAT抽選が当選している場合には、演出状態をAT状態にし、いずれのチャンス演出状態におけるAT抽選も当選していない場合には、演出状態を通常状態に移行する。
【0080】
なお、本実施の形態では、上記CZ状態の終了時に、全てのチャンス演出状態においてもAT抽選に洩れた場合であっても、演出抽選にて当選したCZ状態で実行されるチャンス演出状態の数が8以上の場合、演出制御手段151は、いずれかのチャンス演出状態でAT抽選に当選したものとみなし、演出状態をAT状態へと移行させる。
【0081】
このように、本実施の形態に係るスロットマシン1は、演出状態がCZ状態に突入すると、演出数抽選を行ってCZ状態において実行するチャンス演出状態の数を決定し、複数のチャンス演出状態を独立して進行させるようになっている。特に、画像表示部11を実行するチャンス演出状態の数に合せた数の表示領域201〜204に区画し、これら区画された表示領域201〜204にてそれぞれのチャンス演出状態に応じた演出を実行している。このため、遊技者は、現在、CZ状態においてどのような抽選がいくつ行われている可能性があるのかを、明確に把握することが可能となり、上記表示領域201〜204にて実行される演出を通して、各表示領域201〜204に対応して実行されるそれぞれの抽選について期待感を得ることができる。
【0082】
更に、ATジャッジ系及びCZ上乗せ系のチャンス演出状態といった複数種類のチャンス演出状態をCZ状態において実行可能に構成したため、遊技者の好みや状況に応じて、各表示領域201〜204にて実行するチャンス演出状態の種類を、戦略を持って選択することができ、多様な遊技性を提供することができる。
【0083】
なお、上述した実施の形態では、2の倍数ごとに画像表示部11を分割して表示領域を形成したが、画像表示部はどのように区画されても良い。また、本実施の形態においては、5種類のチャンス演出状態のすべてについて終了契機を異ならせたが、必ずしも各チャンス演出状態の終了契機を異ならせる必要はなく、また、例えば、チャンス演出状態の終了契機を異ならせる場合であっても、複数種類のチャンス演出状態は、少なくともその一部のチャンス演出状態が、他のチャンス演出状態に対して終了契機が異なるように設定されていれば良い。
【0084】
また、本発明は、CZ状態のみならず、たとえば、例えば、演出状態がAT状態から、このAT状態が実行されるゲーム数の上乗せを行う演出状態である上乗せ特化ゾーン状態のような他の演出状態に対しても適用することができる。上乗せ特化ゾーン状態に本発明を適用する場合、上乗せ特化ゾーン状態に突入する際に、演出数抽選が実行されて、並行して行う上乗せ特化演出の数を決定される。そして、この実行される上乗せ特化演出の数に基づいて、画像表示部11が複数の表示領域に区画され、この表示領域ごとにAT状態が実行されるゲーム数の上乗せ抽選が行われるようになる。即ち、本実施の形態において、AT状態に関する抽選とは、上述したCZ状態におけるAT抽選のみならず、このようなAT状態の上乗せ抽選などの抽選も含む概念である。また、本実施の形態に係るスロットマシンは、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値を100%未満としたが、この期待値を100%や、100%以上に設定しても良い。
【符号の説明】
【0085】
71〜73:リール、123:内部抽選手段、124:リール制御手段、125:入賞判定手段、126:払出制御手段、127:リプレイ処理手段、128:遊技状態移行制御手段
【要約】
【課題】設計自由度の高いアシストタイム機能を備えた遊技機を提供する。
【解決手段】内部抽選手段は、通常状態及びボーナス成立状態では、ベルA〜Cが互いに重複せずに当選する打順ベル1〜12が存在するように内部抽選を行う。また、ボーナス状態では、ベルA〜Cが重複して当選するJAC1が存在し、ボーナス状態において内部抽選でJAC1となる確率が、ベルA、ベルBorベルCとなる確率よりも低く、かつ特殊小役A1〜A4,B1〜B3及び取りこぼし役の当選確率は通常状態及びボーナス成立状態よりも高くなるとともにベルA〜Cの当選確率は通常状態及びボーナス成立状態と同一となるように内部抽選を行う。リール制御手段は、複数種類の小役が重複して当選した状態で複数のリールを停止させる場合に、各リールの停止位置を、有効ライン上に表示可能な図柄組み合わせの種類が多くなるほど優先度が高くなるように設定する。
【選択図】図
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7