(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の一
参考の形態に係る電動パワーステアリング装置1の概略構成を示す模式図である。
図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、操舵部材としてのステアリングホイール2と、ステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
【0018】
本
参考の形態では、操舵補助機構5がステアリングシャフト6にアシスト力(操舵補助力)を与える例に則して説明する。しかしながら、本発明を、操舵補助機構5が後述するピニオン軸にアシスト力を与える構造や、操舵補助機構5が後述するラック軸にアシスト力を与える構造に適用することも可能である。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して同一軸線上で相対回転可能に連結されている。
【0019】
ステアリングシャフト6の周囲に配置されたトルクセンサ11は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に入力された操舵トルクを検出する。トルクセンサ11のトルク検出結果は、制御装置としてのECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)12に入力される。また、車速センサ90からの車速検出結果がECU12に入力される。中間軸7は、ステアリングシャフト6と転舵機構4とを連結している。
【0020】
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示せず)を介して転舵輪3が連結されている。
ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端(
図1では下端)には、ピニオン16が設けられている。
【0021】
ラック軸14は、自動車の左右方向に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の途中部には、前記ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることで、転舵輪3を転舵することができる。
【0022】
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助用の電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。減速機構19は、電動モータ18の駆動力が入力される駆動ギヤ(入力軸)としてのウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合う従動ギヤとしてのウォームホイール21とを含む。減速機構19は、ギヤハウジング23内に収容されている。
【0023】
ウォーム軸20は、図示しない継手を介して電動モータ18の出力軸(図示せず)に連結されている。ウォーム軸20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、ステアリングシャフト6とは一体回転可能に連結されている。
電動モータ18がウォーム軸20を回転駆動すると、ウォーム軸20によってウォームホイール21が回転駆動され、ウォームホイール21およびステアリングシャフト6が一体回転する。これにより、操舵補助力がステアリングシャフト6に伝達される。
【0024】
電動モータ18は、ECU12によって制御される。ECU12は、トルクセンサ11からのトルク検出結果、および車速センサ90からの車速検出結果等に基づいて電動モータ18を制御する。具体的には、ECU12では、トルクと目標アシスト量との関係を車速毎に記憶したマップを用いて目標アシスト量を決定し、電動モータ18の発生するアシスト力を目標アシスト量に近づけるように制御する。
【0025】
図2は、電動パワーステアリング装置1の主要部の断面図である。
図2を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ハウジング22を備えている。ハウジング22は、ギヤハウジング23と、ECUハウジング24と、モータハウジング25とを含んでいる。
ギヤハウジング23は、アルミニウム合金等を用いて形成された一体成形品である。このギヤハウジング23は、駆動ギヤとしてのウォーム軸20を収容する筒状の駆動ギヤ収容部26と、従動ギヤとしてのウォームホイール21を収容する従動ギヤ収容部27とを含んでいる。
【0026】
ECUハウジング24は、ギヤハウジング23と電動モータ18のモータハウジング25との間に配置されている。ECUハウジング24は、保持部材としての第1ハウジング28と、ギヤハウジング23とは単一の材料を用いて形成された第2ハウジング29とを含んでいる。第1ハウジング28は、モータハウジング25に隣接して配置されている。第1ハウジング28は、一体成形品であり、中央に孔が形成された板状の底壁30と、底壁30の外周から延びる周壁31と、周壁31の内周から延びる筒状部32とを含んでいる。
【0027】
底壁30は、薄肉部30aと、薄肉部30aよりも厚みの大きい厚肉部30bとを含んでいる。厚肉部30bは、後述するパワー基板65が設置される放熱部として設けられている。周壁31は、例えば、四角環状に形成されており、底壁30から第2ハウジング29に向けて延びている。筒状部32は、円筒状に形成されており、底壁30から第2ハウジング29に向けて延びている。底壁30(薄肉部30a)からの筒状部32の高さは、底壁30からの周壁31の高さよりも高い。
【0028】
第2ハウジング29は、ギヤハウジング23の一端部23aに配置されている。この第2ハウジング29は、中央に孔34aが形成された底面34と、底面34の外周から延びる周壁35とを含んでいる。周壁35は、周壁31と同様の形状(本実施形態において、四角環状)に形成されている。周壁35の先端と、周壁31の先端とは、固定ねじ36,37および固定ナット38,39を用いて互いに締結されている。
【0029】
第1ハウジング28と第2ハウジング29とが互いに締結されていることにより、制御装置としてのECU12を収容する収容室40が形成されている。
電動モータ18のモータハウジング25は、一端が閉じられた円筒状に形成されている。モータハウジング25の他端は、ECUハウジング24の第1ハウジング28に形成された環状の凸部28cに嵌め込まれており、第1ハウジング28の環状の段部28aに受けられている。モータハウジング25の他端は、図示しない固定ねじを用いて第1ハウジング28に固定されている。
【0030】
電動モータ18は、ブラシレスモータである。この電動モータ18は、モータハウジング25内に収容されたロータ44およびステータ45とを含んでいる。
ステータ45は、モータハウジング25の内周に固定されている。ステータ45は、モータハウジング25の内周に固定されたステータコア46と、複数のコイル47とを含む。ステータコア46は、ステータコア46の環状のヨークと、このヨークの内周から径方向内方へ突出する複数のティースとを含む。各コイル47は対応するティースに巻回されている。
【0031】
また、モータハウジング25内には、環状またはC形形状をなすバスバー48が収容されている。各ティースに巻回されたコイル47は、バスバー48と接続されている。バスバー48は、各コイル47と後述するパワー基板65との接続部に用いられる導電接続材である。
ロータ44は、ロータマグネットを含む環状の部材であり、電動モータ18の出力軸49と一体回転可能に連結されている。出力軸49は、連結軸50と単一の材料を用いて一体に形成されている。連結軸50は、出力軸49とウォーム軸20とを同軸に連結するために設けられている。
【0032】
連結軸50の一部は、第1ハウジング28の筒状部32に収容されており、残りの一部は、筒状部32から突出して、収容室40に配置されている。連結軸50と出力軸49とを含む軸ユニット51の一端は、第3軸受53を介して筒状部32に回転可能に支持されている。軸ユニット51の他端は、第4軸受54を介してモータハウジング25に回転可能に支持されている。
【0033】
減速機構19のウォーム軸20は、第1軸受58および第2軸受59を介して、駆動ギヤ収容ハウジング26に両端支持されている。ウォーム軸20と連結軸50とは、継手60を介して同軸に連結されている。継手60の大部分は、ECUハウジング24の収容室40に配置されており、残りの一部は、駆動ギヤ収容部26に配置されている。
収容室40には、電動モータ18の回転角を検出するための回転角センサ55が配置されている。回転角センサ55は、連結軸50と一体回転する継手60の入力部材61に一体回転可能に連結された例えば環状の検出マグネット56と、検出マグネット56の回転による磁束変化に応じた出力を発生する磁電変換素子57とを含んでいる。
【0034】
継手60の入力部材61は、検出マグネット56を連結軸50に支持する支持部材として機能している。磁電変換素子57は、例えばホールICであり、ECU12に含まれる制御基板(基板)67に実装されている。
図3は、
図2のECU12周辺の拡大図である。
図3に示すように、ECU12は、制御基板67を保持する保持部材としての第1ハウジング28によって保持されたカバー68を含んでいる。カバー68は、検出マグネット56および磁電変換素子57の対向面56a,57a間の空間S1(磁電変換素子57に対する検出マグネット56の対向面56aに隣接する空間に相当)が、減速機構19側へ連通することを防止する機能を果たしている。
【0035】
継手60は、連結軸50に固定される環状の前記入力部材61と、ウォーム軸20に固定される環状の出力部材62と、入力部材61および出力部材62の間に介在し、入力部材61および出力部材62を動力伝達可能に連結する環状の弾性部材63とを有している。
入力部材61は、金属製の一体成形品であり、収容室40に収容されている。入力部材61は、連結軸50に固定される第1部分61aと、第1部分61aから延びる第2部分61bとを含んでいる。第1部分61aは、筒状に形成されており、連結軸50のうち筒状部32から突出する先端部50aに圧入等により固定されている。第2部分61bは、第1部分61aから径方向外方に拡がっている。第2部分61bには、入力部材61の周方向に等間隔に並ぶ爪部61cが形成されている。
【0036】
出力部材62は、金属製の一体成形品である。出力部材62は、ウォーム軸20の一端部20aに圧入等により固定される第1部分62aと、第1部分62aから延びる第2部分62bとを含んでいる。第1部分62aは、筒状に形成されており、駆動ギヤ収容部26および収容室40に配置されている。第2部分62bは、第1部分62aから径方向外方に拡がっている。第2部分62bには、出力部材62の周方向に等間隔に並ぶ爪部62cが形成されている。爪部62cと爪部61cとは、ウォーム軸20の軸方向X1の位置が揃えられており、出力部材62の周方向に関して交互に配置されている。
【0037】
弾性部材63は、爪部61cと爪部62cとの間に配置されるようになっている。これにより、連結軸50から入力部材61に伝わったトルクは、弾性部材63を介して出力部材62に伝わり、さらに、ウォーム軸20に伝わる。
ECU12は、前記ECUハウジング24と、パワー基板65と、電源モジュール66と、前記制御基板(基板)67と、検出マグネット56および磁電変換素子57の対向面間56a,57aの空間S1が減速機構19側に連通することを防止する前記カバー68とを含んでいる。パワー基板65と、電源モジュール66と、制御基板67と、カバー68とは、収容室40に配置されている。
【0038】
カバー68は、ECUハウジング24の第2ハウジング29の周壁35の内周に沿って配置された例えば四角環状をなす周壁部95と、検出マグネット56と減速機構19との間に配置された隔壁部96と、隔壁部96と継手60の支持部材61との間を封止する第1封止部77と、周壁部95から延設された固定部97,98とを備えている。
周壁部95は、製造工程において制御基板67の裏面67bの半田付けの状態を目視検査するために第1ハウジング28に設けられた窓部92,93を、検査後に閉塞する閉塞部としても機能する。
【0039】
隔壁部96は、例えば矩形板に形成されており、周壁部95の一端を塞ぐように周壁部95に接続されている。隔壁部96には、挿通孔96aが形成されている。この挿通孔96aには、継手60の入力部材61の第1部分61aと、連結軸50とが挿通されている。
図4に示すように、第1封止部77は、隔壁部96の挿通孔96aの内周と、検出マグネット56を連結軸50に同伴回転可能に支持する支持部材としての入力部材61の外周(具体的には、第2部分61bの外周61d)との間を封止している。
【0040】
図3に示すように、カバー68は、第1封止部77を例えばゴム等の弾性部材で形成し、残りの部分である隔壁部96、周壁部95および固定部97,98を例えばアルミニウム合金等の金属や合成樹脂で構成している。第1封止部77は、隔壁部96の挿通孔96aの内周に固定される外周縁77aと、入力部材61の外周(第2部分61bの外周61d)に摺接する内周縁77bとを有している。残りの部分である隔壁部96、周壁部95および固定部97,98は、例えば制振材(金属、合成樹脂、セラミックス)で形成されていてもよい。
【0041】
図示していないが、カバー68の全体(周壁部95、隔壁部96、第1封止部77および固定部97,98)を単一の材料で一体に形成していてもよい。その場合、例えば、カバー68の全体をゴム等の弾性部材やその他の制振材(金属、合成樹脂、セラミックス)で形成するようにしてもよい。
カバー68によって、収容室40は、第1収容室41と第2収容室42とに分けられている。第1収容室41には、制御基板67、パワー基板65および電源モジュール66が収容されている。第2収容室42は、駆動ギヤ収容部26と連通している。
【0042】
第1ハウジング28および第2ハウジング29の対向端部には、径方向外方に突出する二対の取付フランジ31d,35d;31e,35eが設けられている。取付フランジ31d,35d間に、カバー68の対応する固定部97が挟持されている。具体的には、両取付フランジ31d,35dおよび固定部97を貫通する固定ねじ36が固定ナット38にねじ込まれることにより、カバー68の固定部97が、両取付フランジ31d,35dに共締めされている。
【0043】
また、取付フランジ31e,35e間に、カバー68の対応する固定部98が挟持されている。具体的には、両取付フランジ31e,35eおよび固定部98を貫通する固定ねじ37が固定ナット39にねじ込まれることにより、カバー68の固定部98が、両取付フランジ31e,35eに共締めされている。
パワー基板65は、底壁30の厚肉部30b上に配置されている。パワー基板65には、スイッチング素子としてのFET(Field Effect Transistor )69が例えば6個実装されている(
図3において、1つのFET69を例示)。これらのFET69等により、電動モータ18を駆動するためのパワー回路70が形成されている。パワー基板65のパワー回路70と、前述のバスバー48とは、バスバー端子71等を介して電気的に接続されている。パワー基板65のFET69の熱は、厚肉部30bを介してECUハウジング24の外部に放出されるようになっている。
【0044】
電源モジュール66は、ECUハウジング24の外部に配置された車両のバッテリ(図示せず)からの電力をパワー基板65に伝達するために設けられている。この電源モジュール66は、合成樹脂製の主体部72と、電源バスバー73と、接続部材としての複数の接続端子74と、を含んでいる。
主体部72は、筒状部32を取り囲む環状(枠状)に形成されており、周壁31に沿わされている。また、主体部72は、第1ハウジング28の底壁30に沿わされており、この底壁30に固定されている。主体部72は、底壁30の厚肉部30bに隣接する第1部分72aと、底壁30の薄肉部30aに隣接する第2部分72bとを含んでいる。
【0045】
第1部分72aは、厚肉部30bと協働してパワー基板65を挟んでいる。第2部分72aは、底壁30の薄肉部30aに受けられている。
電源バスバー73は、主体部72に保持された導電部材である。電源バスバー73は、パワー基板65に接続されているとともに、主体部72に設けられたコネクタ(図示せず)に接続されている。コネクタは、車両のバッテリに電気的に接続されるようになっている。これにより、バッテリとパワー基板65のパワー回路70とは電気的に接続され、パワー回路70に電力が供給される。電源バスバー73には、図示しないコイルやコンデンサ等の電気素子が接続されており、これらの電気素子は主体部72に保持されている。
【0046】
接続端子74は、パワー基板65と制御基板67とを電気的に接続するために複数設けられている。各接続端子74は、主体部72の第1部分72aに保持されており、第1ハウジング28の周壁31に隣接している。各接続端子74は、主体部72を介して底壁30に支持されており、周壁31に取り囲まれている。各接続端子74の一端は、パワー回路70に電気的に接続されている。各接続端子74の他端は、制御回路67に形成された挿通孔(スルーホール)に挿通されている。各接続端子74の他端は、半田部材76を用いて制御基板67の制御回路75に電気的に接続されている。
【0047】
制御基板67は、電源モジュール66と軸方向X1に並んで配置されている。制御基板67は、軸方向X1に関して、筒状部32と、第2ハウジング29の底面34との間に配置されている。制御基板67は、例えば、矩形の板状に形成されており、中央に挿通孔67cが形成されている。この挿通孔67cには、継手60の入力部材61の第1部分61aおよび軸ユニット50の先端部50aが挿通されている。
【0048】
制御基板67には、パワー回路70を制御する制御回路75が実装されている。制御回路75は、パワー回路70の各FET69を制御するドライバと、このドライバを制御するCPUとを含む。
制御回路75とパワー回路70とは、接続端子74を介して電気的に接続されている。各半田部材76は、制御基板67の裏面67bに配置されている。このように、各半田部材76の形状(バックフィレット形状)は、制御基板67の表面67aからは実質的に視認できないようになっている。本実施形態では、各半田部材76の形状を制御基板67の外側方(制御基板67の裏面67bと平行な方向)から視認できるようになっている。
【0049】
図5は、磁電変換素子57が実装された制御基板67、第1ハウジング28およびモータハウジング25の斜視図であり、一部を断面で示している。
図3および
図5に示すように、第1ハウジング28は、底壁30から収容室40内に向けて突出する複数の支柱81,82,83を含んでいる。各支柱81,82,83は、制御基板67を支持するために設けられている。各支柱81,82,83は、第1ハウジング28の周壁31に沿わされており、筒状部32と略平行に延びている。
【0050】
支柱81,82は、底壁30の厚肉部30bから延設されており、周壁31の2つの隅部に配置されている。支柱83は、底壁30の薄肉部30aから延設されている。軸方向X1に沿って見たとき、支柱81,82,83は、三角形の頂点を形成するように配置されている。
これらの支柱81,82,83上に、制御基板67が載置されている。制御基板67は、固定ねじ84,85,86を用いて対応する支柱81,82,83に固定されている。
【0051】
制御基板67の一側縁には、コネクタ87が設けられている。コネクタ87は、周壁31に形成された切欠部31aを通して第1ハウジング28の内側から外側に延びている。このコネクタには、トルクセンサ11(
図1参照)等に電気的に接続されるようになっており、これらのトルクセンサ等からの出力がコネクタ87を介して制御回路75に入力されるようになっている。
【0052】
本
参考の形態によれば、電動モータ18と減速機構19との間に配置された制御基板67に、回転角センサ55の磁電変換素子57を実装するので、構造を簡素化し、小型化を図ることができる。
また、検出マグネット56および磁電変換素子57の対向面56a,57a間の空間S1(磁電変換素子57に対する検出マグネット56の対向面56aに隣接する空間に相当)が、減速機構19側に連通することをカバー68によって防止している。したがって、減速機構19側からの油や金属摩耗粉等が、回転角センサ55の検出マグネット56の対向面56aに付着することをカバー68によって確実に防止することができるので、回転角センサ55の検出性能が劣化することがない。
【0053】
また、カバー68によって、検出マグネット56の側部に金属摩耗粉等が付着することも防止することができる。したがって、検出マグネット56の側部に付着した金属摩耗粉等の影響で、磁電変換素子57側への磁束が弱まるようなことがなく、この点からも、回転角センサ55の検出性能の劣化を防止することができる。
また、制御基板67を含むECU12の他の電子部品に、油や金属摩耗粉が付着することを防止し、ECU12の信頼性を向上することができる。
【0054】
また、電動モータ18の出力軸49と減速機構19の入力軸(ウォーム軸20)とを同軸に連結する連結軸50を備えており、その連結軸50と一体回転する、継手60の入力部材61が、回転角センサ55の検出マグネット56を連結軸50に同伴回転可能に支持する支持部材として機能している。そして、カバー68の第1封止部77によって、カバー68の隔壁部96の挿通孔96aの内周と支持部材としての継手60の入力部材61の外周との間を封止する構成を採用することによって、金属摩耗粉等の、検出マグネット56への付着を確実に防止することができる。
【0055】
なお、第1封止部77が、検出マグネット56を支持する支持部材(例えば継手60の入力部材61)と同伴回転可能に連結されていてもよい。その場合、第1封止部77は、隔壁部96と摺接する。
次いで、
図6,
図7および
図8は本発明の
一実施の形態を示している。本実施の形態が
図3〜
図5の
参考の形態と主に異なるのは、下記である。
図6〜
図8の構成要素において、
図3〜
図5の構成要素と同じ構成要素には、
図3〜
図5の構成要素と同じ参照符号を付してある。
図6および、主に
図7を参照して、カバー168が、周壁部95と、隔壁部196と、第1封止部177と、一対の第2封止部178,179と、固定部97,98とを備えている。
図8に示すように、カバー168の隔壁部196が、回転角センサ55の検出マグネット56および磁電変換素子57の対向面56a,57a間を横切って配置されている。
【0056】
また、第1封止部177は、隔壁部196の挿通孔196aの内周に固定された外周縁177aと、検出マグネット56を支持する支持部材としての入力部材61の第1部分61aの外周61eに摺接する内周縁177bとを有している。
一対の第2封止部178,179は、回転角センサ55の検出マグネット56の対向面56aとこれに対向する隔壁部196の対向面196bとの間の空間S2(検出マグネット56の対向面56aに隣接する空間に相当)の側方を覆っている。具体的には、第2封止部178は、環状をなす検出マグネット56の周囲を取り囲む環状をなしており、空間S2の径方向外方を閉塞している。第2封止部179は、環状をなす入力部材61の第1部分61aと環状をなす検出マグネット56との間に配置されて、環状をなしており、空間S2の径方向内方を閉塞している。
【0057】
第2封止部178は、カバー168の隔壁部196の対向面196bに固定された第1端部178aと、支持部材60の第1部分61aの外周61eに摺接する第2端部178bとを有している。また、第2封止部179は、カバー168の隔壁部196の対向面196bに固定された第1端部179aと、支持部材60の第2部分61bの端面61fに摺接する第2端部179bとを有している。
【0058】
本実施の形態によれば、電動モータ18と減速機構19との間に配置された制御基板67に、回転角センサ55の磁電変換素子57を実装するので、構造を簡素化し、小型化を図ることができる。
カバー168の隔壁部196が、検出マグネット56および磁電変換素子57の対向面56a,57aの間を横切って配置されている。もともと、回転角センサ55の磁電変換素子57と検出マグネット56との間には、所定の隙間を設けることが必要である。その隙間にカバー168の隔壁部196を配置するので、空きスペースを有効に利用して小型化に寄与することができる。
【0059】
また、隔壁部196を有するカバー168によって、検出マグネット56の対向面56aとカバー168の隔壁部196の対向面196bとの間の空間S2(磁電変換素子57に対する検出マグネット56の対向面56aに隣接する空間に相当)が、減速機構19側に連通することを防止している。したがって、減速機構19側からの油や金属摩耗粉等が、回転角センサ55の検出マグネット56の対向面56aに付着することをカバー168によって確実に防止することができるので、回転角センサ55の検出性能が劣化することがない。
【0060】
また、カバー168の第2封止部178,179によって、検出マグネット56の側方を覆っているので、検出マグネット56の側部に金属摩耗粉等が付着することも防止することができる。したがって、検出マグネット56の側部に付着した金属摩耗粉等の影響で、磁電変換素子57側への磁束が弱まるようなことがなく、この点からも、回転角センサ55の検出性能の劣化を防止することができる。
【0061】
また、第1封止部177によって、隔壁部196の挿通孔196aの内周と入力部材61の第1部分61aの外周61eとの間が封止されている。したがって、制御基板67を含むECU12の他の電子部品に、油や金属摩耗粉が付着することを防止し、ECU12の信頼性を向上することができる。
なお、第1封止部177が、検出マグネット56を支持する支持部材(例えば継手60の入力部材61)と同伴回転可能に連結されていてもよい。その場合、第1封止部177は、隔壁部196と摺接することになる。
【0062】
また、第2封止部178,179が、検出マグネット56を支持する支持部材(例えば継手60の入力部材61)と同伴回転可能に連結されていてもよい。その場合、第2封止か部178,179が、隔壁部196の対向面196bと摺接することになる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、例えば、図示していないが、第1封止部77,177や第2封止部178,179が、当該第2封止部178,179に対して相対回転する部材に対して摺接せずに、ラビリンスを用いて非接触で封止するように構成されていてもよい。その場合にも、検出マグネット56の対向面56aに隣接する空間が減速機構19側へ実質的に連通することを防止することができる。
【0063】
また、
図9に示すように、第1封止部77(177)が、隔壁部96(196)の挿通孔96a(196a)の内周と連結軸50の外周との間を封止するものであってもよい。 また、
図10に示すように、第2封止部278,279が、隔壁部196の対向面196bと検出マグネット56の側部との間を封止するものであってもよい。また、
図11に示すように、第2封止部378,379が、隔壁部196の対向面196bと検出マグネット56の対向面56aとの間を封止するものであってもよい。
【0064】
また、上記各実施形態では、カバー68;168を保持部材としての第1ハウジング28によって保持したが、これに代えて、
図12に示すように、カバー68(168)を、電源モジュール66によって保持するようにしてもよい。具体的には、カバー68(168)に設けられた突起等の係合部300が、電源モジュール66に設けられた凹部等の係合部301に係合される。これにより、保持部材としての第1ハウジング28によって保持された電源モジュール66を介して、カバー68(168)が、第1ハウジング28によって間接的に保持される。
【0065】
また、図示していないが、複数の検出マグネットを環状に配置して用いる場合、各検出マグネットにそれぞれ対応する複数の第2封止部を設け、各第2封止部が、それぞれ対応する検出マグネットに隣接する空間をそれぞれ覆うものであってもよい。
また、図示していないが、各封止部が摺接部を有している場合、その摺接部に公知のリップ構造を採用してもよい。その他、本発明は、請求項記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。