(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ユーザインタフェースは、前記グラフ上で操作者によるスキャングループの選択を受け付け、選択されたスキャングループの被曝量の予測値をテキスト情報で表示する請求項6に記載のX線CT装置。
前記ユーザインタフェースは、スキャン開始後に、前記グラフにおけるスキャン未実行のスキャングループに対応する部分の変更を受け付ける請求項6または請求項7に記載のX線CT装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オペレータ(operator)は、上記グラフを参照して、予測される被曝量が期待通りでないと考える場合には、スキャン条件を変更する。
【0005】
しかしながら、上記の装置では、設定されているスキャン条件に基づいて被曝量の予測値を算出してこれをグラフ化するだけである。そのため、被検体の被曝量の予測値を期待通りの値にするには、いわゆるトライ・アンド・エラー(try and error)形式により、スキャン条件の設定変更とグラフの参照とを繰り返し行う必要がある。このような作業は効率が悪く、オペレータに負担を与えるだけでなく、撮影の生産性がよくない。
【0006】
このような事情により、スキャン条件を変更する際に、被検体の被曝量として所望値を効率よく狙うことができるX線CT装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点の発明は、設定されているスキャン条件に基づいて被検体の被曝量の予測値を算出する算出手段と、前記算出された被曝量の予測値を表すグラフを表示し、操作者による該グラフの変更を受け付けるユーザインタフェース(user interface)と、前記変更されたグラフに対応する被曝量の目標値を設定する設定手段と、前記算出手段により算出される被曝量の予測値が前記設定された被曝量の目標値に近づくよう、前記スキャン条件を調整する調整手段とを備えているX線CT装置を提供する。
【0008】
第2の観点の発明は、前記ユーザインタフェースが、前記グラフ上に被曝量の基準値を示すマークを表示する上記第1の観点のX線CT装置を提供する。
【0009】
第3の観点の発明は、前記スキャン条件が、優先順位が定められた複数のパラメータ(parameter)を含んでおり、前記調整手段が、所定の優先順位のパラメータを調整し、該パラメータの設定が所定の条件に達したら、次に優先順位が高いパラメータを調整する上記第1の観点または第2の観点のX線CT装置を提供する。
【0010】
第4の観点の発明は、前記複数のパラメータが、自動露出機構に係るパラメータを含んでいる上記第3の観点のX線CT装置を提供する。
【0011】
第5の観点の発明は、前記複数のパラメータが、X線照射出力と画像再構成時に用いるノイズ低減処理の強さとのバランス(balance)に係るパラメータを含んでいる上記第3の観点のX線CT装置を提供する。
【0012】
第6の観点の発明は、前記複数のパラメータが、X線照射出力に係るパラメータを含んでいる上記第3の観点のX線CT装置を提供する。
【0013】
第7の観点の発明は、前記スキャン条件が、複数のスキャングループ(scan group)の各々に対するパラメータを含んでおり、前記算出手段が、前記スキャングループごとに被曝量の予測値を算出し、前記ユーザインタフェースが、前記スキャングループごとの被曝量の予測値を表すグラフを表示する上記第1の観点から第6の観点のいずれか一つの観点のX線CT装置を提供する。
【0014】
第8の観点の発明は、前記ユーザインタフェースが、前記グラフ上で操作者によるスキャングループの選択を受け付け、選択されたスキャングループの被曝量の予測値をテキスト情報で表示する上記第7の観点のX線CT装置を提供する。
【0015】
第9の観点の発明は、前記ユーザインタフェースが、スキャン開始後に、前記グラフにおけるスキャン未実行のスキャングループに対応する部分の変更を受け付ける上記第7の観点または第8の観点のX線CT装置を提供する。
【0016】
第10の観点の発明は、前記算出手段が、前記被検体の部位ごとに被曝量の予測値を算出し、前記ユーザインタフェースが、前記被検体の部位ごとの被曝量の予測値を表すグラフを表示する上記第1の観点から第9の観点のいずれか一つの観点のX線CT装置を提供する。
【0017】
第11の観点の発明は、前記算出手段が、前記被検体の部位ごとの被曝量の予測値を、該部位の放射線感受性の高さを考慮して算出する上記第10の観点のX線CT装置を提供する。
【0018】
第12の観点の発明は、前記ユーザインタフェースが、前記被検体の複数の部位について該部位に応じた前記マークを表示する上記第10の観点または第11の観点のX線CT装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
上記観点の発明によれば、被曝予測グラフを表示し、操作者によるそのグラフの変更を受け付け、変更されたグラフに対応する被曝量の目標値を設定し、算出される被曝量の予測値が、設定された被曝量の目標値に近づくよう、スキャン条件を調整することができ、スキャン条件を変更する際に、被検体の被曝量として所望値を効率よく狙うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して発明の実施形態を説明する。なお、これにより本発明は限定されない。
【0022】
(第一実施形態)
図1に、X線CT装置の構成を模式的に示す。
【0023】
本装置は、ガントリ(gantry)100、テーブル(table)200およびオペレータコンソール(operator console)300を有する。ガントリ100は、テーブル200によって搬入される被検体10を、X線照射・検出装置110でスキャンして複数ビュー(view)の投影データ(data)を収集し、オペレータコンソール300に入力する。
【0024】
オペレータコンソール300は、ガントリ100から入力された投影データに基づいて画像再構成を行い、再構成画像をディスプレイ(display)302に表示する。画像再構成は、オペレータコンソール300内の専用のコンピュータ(computer)によって行われる。
【0025】
オペレータコンソール300は、また、ガントリ100とテーブル200の動作を制御する。制御はオペレータコンソール300内の専用のコンピュータによって行われる。オペレータコンソール300による制御の下で、ガントリ100は所定のスキャン条件でスキャンを行い、テーブル200は所定の部位がスキャンされるように、被検体10の位置決めを行う。位置決めは、テーブル200が内蔵する位置調節機構により、上部構造体202の高さおよびクレードル(cradle)204の水平移動距離を調節することによって行われる。
【0026】
クレードル204を停止させた状態でスキャンすることにより、アキシャルスキャン(axial scan)を行うことができる。また、クレードル204を移動させた状態でスキャンすることにより、ヘリカルスキャン(helical scan)を行うことができる。
【0027】
上部構造体202の高さ調節は、クレードル204とベース(base)208との間に設けられた昇降機構206によって行われる。スキャン条件によっては、ガントリ100をチルト(tilt)させた状態でスキャンが行われる。ガントリ100のチルトは、内蔵のチルト機構によって行われる。
【0028】
図2に、X線照射・検出装置110の構成を模式的に示す。X線照射・検出装置110は、X線管130の焦点132から放射されたX線134をX線検出器150で検出するようになっている。
【0029】
X線134は、図示しないコリメータ(collimator)で成形されて、ファンビーム(fan
beam)またはコーンビーム(cone beam)のX線となる。X線検出器150は、X線の広がりに対応して2次元的に広がるX線入射面152を有する。X線入射面152は円筒の一部を構成するように湾曲している。円筒の中心軸は焦点132を通る。
【0030】
X線照射・検出装置110は、撮影中心すなわちアイソセンタ(iso-center)ICを通る中心軸の周りを回転する。中心軸は、X線検出器150が形成する部分円筒の中心軸に平行である。
【0031】
回転の中心軸の方向をz方向とし、アイソセンタICと焦点132を結ぶ方向をy方向とし、z方向およびy方向に垂直な方向をx方向とする。これらx,y,z軸はz軸を中心軸とする回転座標系の3軸となる。
【0032】
図3に、被検体の撮影を行うときの本装置の動作フローを示す。なお、撮影は、オペレータコンソール300による制御の下で遂行される。また、オペレータとオペレータコンソール300との間での各種情報のやり取りは、グラフィカル・ユーザ・インタフェース(graphical user interface ;GUI)を用いてインタラクティブ(interactive)に行われる。
【0033】
ステップ(step)501では、低線量のX線による被検体のスカウトスキャン(scout scan)を行う。このスカウトスキャンにより、被検体のスカウト画像が得られる。スカウト画像は、被検体のX線吸収プロファイル(profile)に相当し、主に、スキャン範囲やスキャン位置すなわちスライス(slice)位置の設定、自動露出機構による管電流変調カーブ(curve)の算出等に用いられる。
【0034】
ステップ502では、被検体10の1検査分のスキャンに係るスキャンパラメータ(scan parameter)を設定する。スキャンパラメータの設定は、例えば、オペレータコンソール300のディスプレイ302にスカウト画像を含むスキャン計画画面が表示され、その画面を介してオペレータにより行われる。スキャンパラメータには、例えば、X線管130の管電圧および管電流、スキャン範囲、チルト角、スキャン位置、ガントリ回転速度、ヘリカルピッチ(helical
pitch)、自動露出機構の種類およびオンオフ(on/off)のモード(mode)、ノイズ(noise)低減画像フィルタ(filter)による被曝低減率などが含まれる。
【0035】
スキャンパラメータの設定は、スキャングループごとに行われる。スキャングループとは、ガントリ回転速度、ヘリカルピッチ、自動露出機構のモード、被曝低減率などのスキャンパラメータによるスキャン条件を共通にして行われる一連のスキャンのまとまりである。スキャングループは、例えば、撮影部位、撮影タイミング、撮影目的に等によって分けられる。
【0036】
ここでは、1検査として、被検体10の頭部のパフュージョン撮影を行うことを想定する。
図4に、パフュージョン撮影による1検査を構成するスキャングループの一例を概念的に示す。
図4による示すように、1検査として、撮影タイミングが異なる3つのスキャングループを想定する。すなわち、頭部の同一スキャン範囲について、撮影タイミングt1でのチルトスキャンを第1スキャングループGr1、撮影タイミングt2でのチルトスキャンを第2スキャングループGr2、撮影タイミングt3でのチルトスキャンを第3スキャングループGr3とする。
【0037】
ステップ503では、設定されているスキャンパラメータを基に、1検査分の被曝予測値を算出し、その算出結果を基に被曝予測グラフを表示する。被曝予測値の算出は、スキャングループごとに、必要に応じてさらに細分化して行う。被曝予測値は、例えばCTDIvol(mGy)およびDLP(mGy*cm)で算出される。
【0038】
図5に、第一実施形態による被曝予測グラフの表示例を示す。第一実施形態による被曝予測グラフは、例えば
図5に示すように、DLPによる被曝量を軸にとった棒グラフ611である。ここでは、1検査分の各スキャングループの中で、スキャン範囲の少なくとも一部が互いに重複するスキャングループを特定する。特定されたスキャングループのトータル(total)の被曝予測値を一本のビン612の全長で表す。また、特定されたスキャングループごとの被曝予測値を、このビン612の区分領域6121,6122,・・・の長さでそれぞれ表す。なお、スキャングループが1つだけのときは、そのスキャングループの被曝予測値を一本のビンの全長で表す。また、各スキャングループにおいてスキャン範囲の重複部分がない場合には、スキャングループごとに一本ずつビンを割り当てて表示し、各スキャングループの被曝予測値をそれぞれのビンの全長で表す。
【0039】
また、この棒グラフ611上には、被曝の参照用の基準値として被曝許容上限値を示す上限値ライン(line)(マーク)613を表示する。この上限値は、例えば次のようにして求める。まず、撮影部位、被検体の大人/小児の別、年齢、性別等に応じて、基準となるCTDIvolを決定する。決定されたCTDIvolの値に、各スキャングループにおけるスキャン範囲の重複部分のz方向長さを乗算し、その重複部分のDLP基準値を算出する。そして、算出された重複部分のDLP基準値に、特定されたスキャングループのスキャン範囲のうちこの重複部分以外の領域に対するDLPの被曝予測値を加算して、上限値を求める。
【0040】
スキャン範囲の重複部分はトータルの被曝量が大きくなりやすいが、このように表示することで、棒グラフ611のビンがこの上限値ライン613を超えているか否かを観ることにより、スキャン範囲の重複部分に対するトータルの被曝予測値がDLP基準値を超えているか否かを認識することができる。つまり、被曝量が大きくなりがちな、スキャン範囲の重複部分について、そのトータルの被曝量の管理、コントロールの支援を行うことができる。
【0041】
ちなみに、オペレータがポインタ(pointer)701をビンまたはその区分領域の上に位置させると、その区分領域に対応するスキャングループの被曝詳細情報702がポップアップ(pop-up)表示される。被曝詳細情報702には、例えば、CTDIvolによる被曝予測値、DLPによる被曝予測値、被曝効率(X線検出器の幅に対するX線照射幅の比率)、CTDIvolの算出基準に用いたファントム(phantom)の径などが含まれる。
【0042】
なお、被曝予測グラフは、スキャン開始後にも表示させておくことができる。この場合、”スキャン実行済み”のスキャングループの区分領域と、”スキャン実行中”のスキャングループの区分領域と、”スキャン未実行”のスキャングループの区分領域とを、それぞれ差別化して表示する。差別化は、区分領域の色、テクスチャ(texture)、枠線などを変えたり、反転表示、点滅表示させたりすることにより行われる。
【0043】
ところで、表示された被曝予測グラフにおける各スキャングループの区分領域(スキャン未実行のものに限る)の大きさ(長さ)は、その画面上でオペレータの操作により作図感覚で変更できるようになっている。詳細は後述するが、区分領域の大きさが変更されると、変更後の区分領域の大きさに対応する被曝予測値が算出されるよう、そのスキャングループのスキャンパラメータが調整される。これにより、オペレータは、トータルの被曝予測値を、基準値としての上限値を参照しながらコントロール(control)することができる。このスキャンパラメータの調整は、後述するステップ507以降の処理によって実現される。
【0044】
図6に、第一実施形態による被曝予測グラフにおける区分領域の変更例を示す。この例では、第1〜第3スキャングループGr1〜Gr3のうち、第2スキャングループGr2の区分領域6122を、ポインタ701を用いてより小さく変更している。これに伴い、第3スキャングループGr3の区分領域6123が、第2スキャングループGr2の区分領域6122側にシフトし、トータルの被曝予測値が下がる。
【0045】
ステップ504では、オペレータにより被曝予測グラフが変更されたか否かを判定する。変更されたときには、ステップ507に進み、変更されていないときには、ステップ505に進む。
【0046】
ステップ505では、オペレータにより確認操作が成されたか否かを判定する。成されたときには、ステップ506に進み、設定されているスキャンパラメータを基に、スキャンが実行される。成されていないときには、ステップ504に戻る。
【0047】
ステップ507では、変更された区分領域の大きさに対応した被曝量を、そのスキャングループの被曝目標値に設定する。
【0048】
ステップ508では、調整するスキャンパラメータを優先順位にしたがって選択する。調整するスキャンパラメータの候補とその優先順位は、事前に登録しておく。なお、この候補と優先順位とは、オペレータがオペレータコンソール300を介して任意に設定可能である。
【0049】
図7に、調整するスキャンパラメータの候補とその優先順位の一例を示す。なお、調整するスキャンパラメータの候補には、それぞれ閾値が設定されている。閾値は、スキャンパラメータの調整を止めるタイミングを決める基準であり、調整しているスキャンパラメータがこの閾値に達したら、そのスキャンパラメータでの調整を一旦止める。そして、次の優先順位のスキャンパラメータがある場合には、調整するスキャンパラメータをそのパラメータに切り換えて、調整を再開する。
【0050】
この例では、優先順位が第1位〜第3位のスキャンパラメータを、それぞれ、「X線管電流の変調による自動露出機構モード」、「ノイズ低減画像フィルタによる被曝低減率」、「X線管電流」としている。
【0051】
「自動露出機構モード」の調整は、例えば、X線管電流の「変調なし」、「体軸方向のみ変調(例えば、GE製装置のAuto mA機能に相当)」、「体軸方向および断層面方向で変調(例えばGE製装置のSmart mA機能に相当)」のモードを順次切り換えて、段階的に被曝量を低減させることにより行われる。このスキャンパラメータの閾値は、例えば、モード=「体軸方向および断層面方向で変調」である。なお、体軸方向、または、体軸方向および断層面方向でX線管電流を変調する場合は、その平均値の代表値による被曝予測値に基づいて調整される。
【0052】
「被曝低減率」の調整は、例えば、再構成画像の画質、例えばノイズレベル(noise level)が一定に維持されるようにしながら、管電流のレベルとノイズ低減画像フィルタ(例えば、GE製装置のASiRに相当)の強度レベルとのバランスを変更することにより行われる。このスキャンパラメータの閾値は、例えば、被曝低減率=40%である。
【0053】
また、「X線管電流」の調整は、例えば、自動露出機構による変調管電流の上限値、下限値、または、自動露出機構で設定される再構成画像のノイズレベルを増減させることにより行われる。このスキャンパラメータの閾値は、例えば、変調管電流の上限値なら100mA、下限値なら20mA、再構成画像のノイズレベルなら画素値の標準偏差で10である。
【0054】
ステップ509では、被曝予測値が被曝目標値に近づくよう、ステップ508で選択されたスキャンパラメータを調整する。スキャンパラメータの調整は、微量調整が可能な場合には、微量調整により行う。
【0055】
ステップ510では、調整後のスキャンパラメータを基に被曝予測値を算出し、その算出された被曝予測値が、被曝目標値以下であるか否かを判定する。被曝目標値以下であれば、ステップ503に戻り、被曝目標値以下でなければ、ステップ511に進む。
【0056】
ステップ511では、調整しているスキャンパラメータが、その閾値に達したか否かを判定する。達していれば、ステップ512に進み、達していなければ、ステップ509に戻る。
【0057】
ステップ512では、次の優先順位のスキャンパラメータがあるか否かを判定する。あれば、ステップ508に戻り、なければ、ステップ503に戻る。
【0058】
このような第一実施形態によれば、被曝予測グラフを表示し、オペレータによるそのグラフの変更を受け付け、変更されたグラフに対応する被曝量の目標値を設定し、算出される被曝量の予測値が、設定された被曝量の目標値に近づくよう、スキャン条件を調整することができ、スキャン条件を変更する際に、被検体の被曝量として所望値を効率よく狙うことができる。
【0059】
また、第一実施形態によれば、グラフ上に被曝量の基準値を示すラインを表示するので、被曝量の予測値と基準値とを見比べながら被曝予測グラフを変更するができ、被検体の被曝量として基準値からの所定値を効率的かつ効果的に狙ってスキャンパラメータを変更することができる。
【0060】
また、第一実施形態によれば、調整するスキャンパラメータの候補の優先順位が登録されているので、調整するスキャンパラメータを優先順位にしたがって切り換えることができ、変更の許容度が高いものから順にスキャンパラメータを変更することができる。
【0061】
また、第一実施形態によれば、被曝予測グラフにおける区分領域ごとの変更を受け付けるので、スキャングループごとにスキャンパラメータを変更することができ、スキャンパラメータの変更の許容度が高いスキャングループのスキャンパラメータを優先的に変更することができる。
【0062】
また、第一実施形態によれば、スキャン開始後においても被曝予測グラフの変更を受け付けるので、スキャン未実行のスキャングループのスキャンによる被曝量の調整を行うことができ、スキャン開始後であってもトータルの被曝量の調整を行うことができる。
【0063】
(第一変形例)
第一実施形態の第一変形例では、1検査の中にスカウトスキャンも含めて、被曝予測値の算出および被曝予測グラフの表示を行う。
【0064】
図8に、第一実施形態の第一変形例による被曝予測グラフの表示例を示す。第一変形例では、例えば
図8に示すように、棒グラフ611のビン612の中に、スカウトスキャンによる被曝予測値を表す区分領域6124が追加される。
【0065】
このようにすれば、スカウトスキャンも含めたより正確な被曝量の管理を行うことができる。
【0066】
(第二変形例)
第一実施形態の第二変形例では、各スキャングループにおけるスキャン範囲の重複部分が複数ある場合に、その重複部分ごとに、その重複部分をスキャン範囲に含むスキャングループによるトータルの被曝予測値を示す被曝予測グラフを表示する。
【0067】
図9に、第一実施形態の第二変形例における1検査を構成するスキャングループの一例を概念的に示す。ここでは、
図9に示すように、被検体10の頭部のチルトスキャンを第1スキャングループGr1、被検体10の頭頂から首部にかけてのアキシャルスキャンを第2スキャングループGr2、被検体10の胸部のヘリカルスキャンを第3スキャングループGr3とする。
【0068】
図10に、第一実施形態の第二変形例による被曝予測グラフの表示例を示す。第二変形例では、例えば
図10に示すように、スカウト画像651および棒グラフ621を表示する。スカウト画像の上または近傍には、各スキャングループGr1〜Gr3のスキャン範囲を示すバー652〜654を表示する。そして、スキャン範囲の重複部分655,656を差別化して表示する。また、棒グラフ621では、その重複部分ごとに対応するビンを表示する。すなわち、重複部分655をスキャン範囲に含む第1スキャングループGr1および第2スキャングループGr2によるトータルの被曝予測値を表すビン622を表示するとともに、重複部分656をスキャン範囲に含む第2スキャングループGr2および第3スキャングループGr3によるトータルの被曝予測値を表すビン623を表示する。ビン622については、第1スキャングループGr1の被曝予測値を区分領域6221の長さで表し、第2スキャングループGr2の被曝予測値を区分領域6222の長さで表す。同様に、ビン623については、第2スキャングループGr2の被曝予測値を区分領域6241の長さで表し、第3スキャングループGr3の被曝予測値を区分領域6242の長さで表す。
【0069】
また、前述のように、決定されたCTDIvolの値に、重複部分655のz方向長さを乗算し、重複部分655のDLP基準値を算出する。算出された重複部分655のDLP基準値に、第1スキャングループGr1および第2スキャングループGr2のスキャン範囲のうちこの重複部分以外の領域に対するDLPの被曝予測値を加算して、ビン622に対応する上限値を求める。この上限値を表す上限値ライン623をビン622に対応付けて表示する。同様に、ビン624に対応する上限値を求め、この上限値を表す上限値ライン625をビン624に対応付けて表示する。ビン622の区分領域6222と、ビン624の区分領域6241とは、同じ第2スキャングループGr2の被曝予測値を表している。したがって、これらはリンク(link)しており、一方の区分領域を変更すると、他方の区分領域も連動して変更される。
【0070】
このようにすれば、各スキャングループにおけるスキャン範囲の重複部分が複数ある場合にも、それぞれの重複部分について被曝量の管理を行うことができる。
【0071】
(第二実施形態)
第二実施形態では、スキャングループごとおよび被検体の部位ごとに被曝予測値の算出を行い、その結果を被曝予測グラフにして表示する。
【0072】
ここでは、1検査を構成するスキャングループとして、
図9に示した第1〜第3スキャングループGr1〜Gr3を想定する。
【0073】
図11に、第二実施形態による被曝予測グラフの表示例を示す。被曝予測グラフは、例えば
図11に示すように、実効線量(mSv)による被曝量を一方の軸にとり、被検体の部位(z方向の座標)を他方の軸にとった棒グラフ631とする。被検体10の部位を示す軸には、被検体10のモデル画像あるいはスカウト画像651を対応付けて表示し、どの位置がどの部位と対応しているか分かりやすくする。被検体10の部位の位置と実際のスキャン位置との対応関係は、スカウト画像651の画像認識結果やオペレータによる手動設定により求められる。この棒グラフ631では、部位ごとにビン632,633,・・・,637を設け、部位ごとのトータルの被曝予測値をその部位のビンの全長で表す。そしてさらに、部位のビンにおいて、スキャングループごとの被曝予測値をそのビンの区分領域の長さ(スキャングループが1つしかないときは、ビン全体の長さ)で表す。この棒グラフ631では、区分領域6321が頭部の第1スキャングループGr1による被曝予測値を表しており、区分領域6322が頭部の第2スキャングループGr2による被曝予測値を表している。また、区分領域6362が胸部上端部の第2スキャングループGr2による被曝予測値を表しており、区分領域6363が胸部上端部の第3スキャングループGr3による被曝予測値を表している。
【0074】
また、被曝許容上限値を複数の部位について決定し、この棒グラフ631上に、その部位に応じた上限値を示すラインを参照用の基準値としてそれぞれ表示する。例えば、一般部位用の上限値ライン638に加え、水晶体を含む部位用の上限値ライン639や、甲状腺を含む部位用の上限値ライン640などを表示する。
【0075】
なお、部位ごとの被曝予測値は、その部位の放射線感受性すなわち放射線吸収率の高さを考慮して算出する。例えば、X線照射出力が一定である場合に、水晶体を含む部位10aに対しては、一般部位の約3倍の被曝量を予測値として算出する。また例えば、甲状腺を含む部位10bに対しては、一般部位の約2倍の被曝量を予測値として算出する。
【0076】
図12に、第二実施形態による被曝予測グラフにおける区分領域の変更例を示す。この例では、第2スキャングループGr2の水晶体を含む部位10aのビン(区分領域)を、ポインタ701を用いてより小さく変更している。これに伴い、第2スキャングループGr2に属する各部位のビンあるいは区分領域もより小さく変更される。そして、これらのビンや区分領域に隣接する他のスキャングループの区分領域は低被曝量側にシフトし、トータルの被曝予測値が下がる。
【0077】
区分領域の大きさが変更されると、第一実施形態と同様に、変更後の区分領域の大きさに対応する被曝予測値が算出されるよう、そのスキャングループのスキャンパラメータが調整される。
【0078】
このような第二実施形態によれば、被曝量の予測値と基準値とを部位ごとに見比べながらスキャンパラメータを変更することができるので、所望の部位の被曝量が基準値に近い被曝量となるように、スキャンパラメータを変更することができる。
【0079】
(他の実施形態)
被曝予測グラフは、折れ線グラフや円グラフ等であってもよい。
【0080】
スキャングループは1つだけであってもよい。