特許第5863482号(P5863482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5863482
(24)【登録日】2016年1月8日
(45)【発行日】2016年2月16日
(54)【発明の名称】角度測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 1/00 20060101AFI20160202BHJP
   G01C 15/00 20060101ALI20160202BHJP
【FI】
   G01C1/00 T
   G01C15/00 103E
   G01C15/00 103A
   G01C15/00 105Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-16273(P2012-16273)
(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公開番号】特開2013-156124(P2013-156124A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083563
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 祥二
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 薫
(72)【発明者】
【氏名】大佛 一毅
(72)【発明者】
【氏名】穴井 哲治
(72)【発明者】
【氏名】大友 文夫
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−108939(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/020845(WO,A1)
【文献】 特開平03−056923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00−1/04
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角度測定装置本体部と該角度測定装置本体部に着脱可能な遠隔操作装置とを具備し、前記角度測定装置本体部が測定点を視準する視準望遠鏡と、該視準望遠鏡を所望の方向に回転させる回転駆動部と、第1通信部と、前記視準望遠鏡を所定の方向に向ける様前記回転駆動部を制御する本体制御装置とを具備し、前記遠隔操作装置が第2撮像部と、鉛直センサと第2方向角センサと、第2通信部とを具備し、前記遠隔操作装置が取外された状態で、前記鉛直センサと前記第2方向角センサの検出結果が前記第2通信部から送信されると共に前記第1通信部で受信され、前記本体制御装置は、前記検出結果に基づき得られる前記第2撮像部の視準方向と、前記視準望遠鏡の視準方向とが合致する様前記回転駆動部を制御することを特徴とする角度測定装置。
【請求項2】
前記角度測定装置本体部が第1方向角センサと、鉛直角検出器とを具備し、前記第1方向角センサと、前記鉛直角検出器の検出結果で得られる前記視準望遠鏡の視準方向と前記鉛直センサと前記第2方向角センサの検出結果で得られる前記第2撮像部の視準方向との偏差を解消する様回転駆動部を制御する請求項1の角度測定装置。
【請求項3】
前記角度測定装置本体部が前記視準望遠鏡を介して視準方向の画像を取得する第1撮像部を具備し、該第1撮像部で取得した画像と前記第2撮像部で取得した画像との画像マッチングにより前記視準望遠鏡の視準方向と前記第2撮像部の視準方向を合致させる請求項1又は請求項2の角度測定装置。
【請求項4】
前記角度測定装置本体部が前記視準望遠鏡を介して視準方向の画像を取得する第1撮像部を具備し、前記遠隔操作装置が表示部を具備し、該表示部には前記第1通信部、前記第2通信部を介して受信した前記第1撮像部取得の第1画像及び/又は前記第2撮像部取得の第2画像が表示される請求項1又は請求項2の角度測定装置。
【請求項5】
前記角度測定装置本体部が着脱可能な光波距離計を有し、前記遠隔操作装置は携帯端末である請求項3又は請求項4の角度測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易型の角度測定装置、特に遠隔操作が可能な角度測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
測距機能を具備した角度測定装置は、一般に、高精度であるが大型で高価なものとなっている。又、室内装飾、施工を実施する場合に、種々の窓の設置、空調機の設置等各種内装工事を実施する場合の測定、罫書きを行う場合の測定を行うが、従来内装工事の測定ではレーザ光線を回転照射して水平基準面を設定する測量機が用いられている。該測量機によって形成される水平基準面、水平基準線に基づき寸法取り、罫書き等を実施していた。
【0003】
従来の作業では、基準面、基準線からの寸法取りは作業者による人手作業であり、時間を要すると共に作業性が悪く、測定には人為的な誤差が含まれ、測定精度はいいとは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−279351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は斯かる実情に鑑み、作業性に優れた簡便な角度測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、角度測定装置本体部と該角度測定装置本体部に着脱可能な遠隔操作装置とを具備し、前記角度測定装置本体部が測定点を視準する視準望遠鏡と、該視準望遠鏡を所望の方向に回転させる回転駆動部と、第1通信部と、前記視準望遠鏡を所定の方向に向ける様前記回転駆動部を制御する本体制御装置とを具備し、前記遠隔操作装置が第2撮像部と、鉛直センサと第2方向角センサと、第2通信部とを具備し、前記遠隔操作装置が取外された状態で、前記鉛直センサと前記第2方向角センサの検出結果が前記第2通信部から送信されると共に前記第1通信部で受信され、前記本体制御装置は、前記検出結果に基づき得られる前記第2撮像部の視準方向と、前記視準望遠鏡の視準方向とが合致する様前記回転駆動部を制御する角度測定装置に係るものである。
【0007】
又本発明は、前記角度測定装置本体部が第1方向角センサと、鉛直角検出器とを具備し、前記第1方向角センサと、前記鉛直角検出器の検出結果で得られる前記視準望遠鏡の視準方向と前記鉛直センサと前記第2方向角センサの検出結果で得られる前記第2撮像部の視準方向との偏差を解消する様回転駆動部を制御する角度測定装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記角度測定装置本体部が前記視準望遠鏡を介して視準方向の画像を取得する第1撮像部を具備し、該第1撮像部で取得した画像と前記第2撮像部で取得した画像との画像マッチングにより前記視準望遠鏡の視準方向と前記第2撮像部の視準方向を合致させる角度測定装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記角度測定装置本体部が前記視準望遠鏡を介して視準方向の画像を取得する第1撮像部を具備し、前記遠隔操作装置が表示部を具備し、該表示部には前記第1通信部、前記第2通信部を介して受信した前記第1撮像部取得の第1画像及び/又は前記第2撮像部取得の第2画像が表示される角度測定装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記角度測定装置本体部が着脱可能な光波距離計を有し、前記遠隔操作装置は携帯端末である角度測定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、角度測定装置本体部と該角度測定装置本体部に着脱可能な遠隔操作装置とを具備し、前記角度測定装置本体部が測定点を視準する視準望遠鏡と、該視準望遠鏡を所望の方向に回転させる回転駆動部と、第1通信部と、前記視準望遠鏡を所定の方向に向ける様前記回転駆動部を制御する本体制御装置とを具備し、前記遠隔操作装置が第2撮像部と、鉛直センサと第2方向角センサと、第2通信部とを具備し、前記遠隔操作装置が取外された状態で、前記鉛直センサと前記第2方向角センサの検出結果が前記第2通信部から送信されると共に前記第1通信部で受信され、前記本体制御装置は、前記検出結果に基づき得られる前記第2撮像部の視準方向と、前記視準望遠鏡の視準方向とが合致する様前記回転駆動部を制御するので、前記遠隔操作装置の姿勢、向きを調整することで簡単に測定点の視準を行うことができる。
【0012】
又本発明によれば、前記角度測定装置本体部が第1方向角センサと、鉛直角検出器とを具備し、前記第1方向角センサと、前記鉛直角検出器の検出結果で得られる前記視準望遠鏡の視準方向と前記鉛直センサと前記第2方向角センサの検出結果で得られる前記第2撮像部の視準方向との偏差を解消する様回転駆動部を制御するので、前記遠隔操作装置から要求する視準方向がリアルタイムで得られる。
【0013】
又本発明によれば、前記角度測定装置本体部が前記視準望遠鏡を介して視準方向の画像を取得する第1撮像部を具備し、該第1撮像部で取得した画像と前記第2撮像部で取得した画像との画像マッチングにより前記視準望遠鏡の視準方向と前記第2撮像部の視準方向を合致させるので、前記遠隔操作装置から要求する視準方向が高精度で得られる。
【0014】
又本発明によれば、前記角度測定装置本体部が前記視準望遠鏡を介して視準方向の画像を取得する第1撮像部を具備し、前記遠隔操作装置が表示部を具備し、該表示部には前記第1通信部、前記第2通信部を介して受信した前記第1撮像部取得の第1画像及び/又は前記第2撮像部取得の第2画像が表示されるので、前記遠隔操作装置で視準する方向と前記視準望遠鏡が視準する方向との対比が可能であり、視準作業が容易であり、又第1画像と第2画像との切替えで画像の倍率が変えられるので、視準作業が手際よく行える。
【0015】
又本発明によれば、前記角度測定装置本体部が着脱可能な光波距離計を有し、前記遠隔操作装置は携帯端末であるので、市販の装置を用いることが可能で簡単に安価に製作することが可能である等の優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例に係る角度測定装置の概略正面図である。
図2】同前角度測定装置の概略側面図である。
図3】該角度測定装置に用いられる遠隔操作装置の概略図である。
図4】前記角度測定装置の本体制御装置のブロック図である。
図5】前記遠隔操作装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0018】
先ず、図1図2により、本実施例の概略を説明する。尚、図1図2中、1は角度測定装置を示している。
【0019】
3脚2の上端に整準部3が設けられ、該整準部3に水平回転軸4を介して回転基台5が回転可能に設けられている。前記整準部3は、前記水平回転軸4の軸心を鉛直に整準する整準機構(図示せず)及び傾斜センサ24(後述)を有している。前記整準部3内部には、水平回転駆動部6が内蔵され、該水平回転駆動部6により前記水平回転軸4を中心に前記回転基台5が回転される様になっている。
【0020】
前記回転基台5には架台7が垂直に設けられ、該架台7には水平な軸心を有する鉛直回転軸8を介して望遠鏡部9が回転可能に取付けられている。又前記回転基台5には第1方向角センサ25(後述)が設けられている。
【0021】
前記望遠鏡部9は視準望遠鏡10を備え、該視準望遠鏡10は5゜程度の視野角を有し、測定点を視準するものである。該視準望遠鏡10の視準点は該視準望遠鏡10が備えたレチクル(図示せず)によって示される様になっている。前記望遠鏡部9には第1撮像部11が内蔵され、前記視準望遠鏡10を透して視準方向の画像を撮像可能であり、又前記第1撮像部11は撮像素子として、CCD、CMOS等のセンサを有し、デジタル画像データを出力する様になっている。
【0022】
前記架台7には鉛直回転駆動部12が内蔵されており、該鉛直回転駆動部12により前記鉛直回転軸8を中心として前記望遠鏡部9が鉛直方向に回転される様になっている。
【0023】
前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12は回転駆動部を構成し、該回転駆動部は前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12の協働により、前記望遠鏡部9を所望の方向に向けることができる。
【0024】
前記望遠鏡部9の上面には、光波距離計(EDM)13が設けられ、前記望遠鏡部9と前記光波距離計13とは一体化されている。前記光波距離計13の光軸と前記望遠鏡部9の光軸とは平行となっており、両者の光軸間の距離は既知となっている。尚、前記光波距離計13はアタッチメント(図示せず)を介して前記望遠鏡部9に設けられてもよく、前記アタッチメントにより前記光波距離計13の光軸の方向を調整可能としてもよい。
【0025】
前記水平回転軸4には水平角検出器14が設けられ、該水平角検出器14は前記水平回転軸4の回転角、即ち前記回転基台5の水平回転角を検出し、前記鉛直回転軸8には鉛直角検出器15が設けられ、該鉛直角検出器15は前記鉛直回転軸8の回転角、即ち前記望遠鏡部9の鉛直回転角を検出する様になっている。
【0026】
又、前記回転基台5の内部には本体制御装置16が設けられる。尚、該本体制御装置16は、スペース的に余裕があれば、前記望遠鏡部9等他の部位に設けられてもよい。前記本体制御装置16は、前記水平回転駆動部6及び前記鉛直回転駆動部12の制御、前記光波距離計13による測距の制御、前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15の検出結果に基づく水平角、鉛直角の測定、或は後述する遠隔操作装置17とのデータ通信を行う様になっている。尚、該遠隔操作装置17を除く、前記整準部3、前記回転基台5、前記架台7、前記望遠鏡部9等は角度測定装置本体部を構成する。
【0027】
前記整準部3にはアタッチメント18を介して前記遠隔操作装置17が着脱可能となっている(図2参照)。
【0028】
図3に示される様に、該遠隔操作装置17は、片手で持ち他方の手で操作可能な携帯型(ハンドヘルドタイプ)となっており、表示部28、第2撮像部36、操作部(前記表示部28がタッチパネルとなっており、操作部を兼ねる)を有すると共に前記本体制御装置16との間でデータ通信を行う通信部(後述)等を具備している。又、前記遠隔操作装置17の姿勢、方向を検出する鉛直センサ33、第2方向角センサ34を備えている。
【0029】
又、図2に示される様に、前記望遠鏡部9に偏向光学部19を設け、前記光波距離計13の光の一部を前記望遠鏡部9に戻し、該望遠鏡部9の視準点と前記光波距離計13の測定点が一致する様に、前記偏向光学部19により前記望遠鏡部9の光軸を偏向してもよい。
【0030】
前記遠隔操作装置17からの操作で、前記望遠鏡部9の視準方向の決定、測定点の決定、測定、撮像の実行等の所要の作動をさせることができ、前記遠隔操作装置17を前記角度測定装置1に設置した状態では、前記遠隔操作装置17を介して前記角度測定装置1を直接操作する状態となり、前記遠隔操作装置17を取外した状態では、該遠隔操作装置17を介して前記角度測定装置1を遠隔操作する状態となる。
【0031】
又、前記遠隔操作装置17と前記アタッチメント18にそれぞれ嵌脱可能なコネクタ(図示せず)を装備させ、前記遠隔操作装置17を前記アタッチメント18に設置した状態では、前記遠隔操作装置17がコネクタの連結を介して直接、前記本体制御装置16と電気的に接続される様にしてもよい。
【0032】
図4図5により、前記本体制御装置16、前記遠隔操作装置17について更に説明する。
【0033】
先ず、図4により前記本体制御装置16について説明する。
【0034】
該本体制御装置16は主に、第1演算制御部21、第1記憶部22、前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15、前記傾斜センサ24、前記第1方向角センサ25、操作部26、第1通信部27、前記光波距離計13、前記第1撮像部11、前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12、表示部28、第1電源部29等から構成されている。
【0035】
前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15、前記傾斜センサ24、前記第1方向角センサ25からの検出信号は、前記第1演算制御部21に入力される。前記第1通信部27は前記第1演算制御部21によって通信が制御されると共に制御指令は前記第1通信部27より発信され、該第1通信部27が受信したデータは前記第1演算制御部21に入力される。
【0036】
該第1演算制御部21は前記光波距離計13及び前記第1撮像部11を制御し、前記光波距離計13で測定した測距結果、前記第1撮像部11で取得した画像データは前記第1演算制御部21に入力される。
【0037】
又、該第1演算制御部21は前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12を制御し、前記望遠鏡部9、前記光波距離計13を所要の方向に回転させる。
【0038】
前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15からの検出結果は前記第1演算制御部21に入力され、前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15の検出結果に基づき、前記偏向光学部19及び光波距離計13の水平方向の回転角、及び鉛直方向の回転角が測定される。
【0039】
前記傾斜センサ24の検出結果は、前記第1演算制御部21に入力され、前記整準部3の整準動作が制御されると共に前記傾斜センサ24と前記鉛直角検出器15の検出結果に基づき前記望遠鏡部9の鉛直角が測定される。前記第1方向角センサ25の検出結果は、前記第1演算制御部21に入力され、該第1演算制御部21は前記第1方向角センサ25の検出結果に基づき視準方向の方向角を測定する。
【0040】
前記操作部26、前記表示部28は後述する前記遠隔操作装置17に装備されている操作部及び表示部が兼用される。
【0041】
前記第1記憶部22は、前記第1撮像部11、前記光波距離計13、前記第1通信部27、前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12を制御する為に必要な制御プログラム、前記第1撮像部11で取得した画像データを処理する為の画像処理プログラム、前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15、前記傾斜センサ24、前記第1方向角センサ25からの検出結果に基づき方向角、傾斜角、水平回転角、鉛直回転角等を測定する角度測定プログラム、前記第1通信部27による通信を制御する通信制御プログラム等のプログラムが格納され、又、前記光波距離計13による測距結果及び角度測定結果等の測定データ、及び前記第1撮像部11で取得した画像データ等が格納される。
【0042】
前記第1電源部29は、リチュウムイオン電池等の充電可能な電池であり、前記第1演算制御部21、前記第1通信部27、前記第1撮像部11、前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12等に必要な電力を供給する。
【0043】
図5により、前記遠隔操作装置17について説明する。
【0044】
該遠隔操作装置17は主に、前記操作部26、前記表示部28、第2演算制御部31、第2記憶部32、鉛直センサ33、第2方向角センサ34、第2通信部35、第2撮像部36、第2電源部37等から構成されている。
【0045】
前記鉛直センサ33、前記第2方向角センサ34からの検出信号は、前記第2演算制御部31に入力され、該第2演算制御部31は前記鉛直センサ33、前記第2方向角センサ34からの信号に基づき前記第2撮像部36の撮像方向(前記遠隔操作装置17の姿勢)を演算する様になっている。
【0046】
前記第2撮像部36は、60゜程度の視野角を有し、又撮像素子としてCCD、CMOS等のセンサを有し、デジタル画像を取得し、取得した画像は前記第2演算制御部31に入力する様になっている。
【0047】
前記第2通信部35は、前記本体制御装置16から送信されるデータを受信し、前記第2演算制御部31に入力し、又該第2演算制御部31で演算された前記遠隔操作装置17の姿勢の情報、或は前記第2撮像部36で取得した画像データ等を前記本体制御装置16に送信する。
【0048】
前記表示部28には、前記第2撮像部36で取得した第2画像が表示され、又前記第1撮像部11で取得した第1画像が表示される。又、前記第2画像の表示、及び前記第1画像の表示は前記表示部28に全面表示されてもよく、或は該表示部28が分割され、或は該表示部28にウインドウが設定され、前記第1画像及び前記第2画像が同時に表示されてもよい。
【0049】
又、前記表示部28はタッチパネルとして、該表示部28より所望の操作を行える様にし、前記操作部26の機能を前記表示部28に集約させてもよい。
【0050】
前記第2記憶部32には、前記第2撮像部36を制御する為の制御部プログラム、前記第2通信部35による通信を制御する為の通信制御プログラム、前記表示部28の表示、該表示部28を操作部として機能させる為のプログラム、前記鉛直センサ33、前記第2方向角センサ34からの信号に基づき、前記遠隔操作装置17の方向、傾斜等、該遠隔操作装置17の姿勢に関する情報を演算する為のプログラム、前記第2撮像部36で取得した画像と前記第1撮像部11で取得した画像をマッチングさせる等の画像処理を実行する画像処理プログラム等の各種プログラムが格納されている。
【0051】
又、前記第2記憶部32には、前記第2撮像部36で取得した画像データ、或は前記第1通信部27から送信された前記第1撮像部11の画像データ、前記角度測定装置1で測定した測距、測角のデータが格納される。
【0052】
前記第2電源部37は、リチュウムイオン電池等の充電可能な電池であり、前記第2演算制御部31、前記第2通信部35、前記第2撮像部36、前記表示部28等に必要な電力を供給する。
【0053】
以下、作動について説明する。
【0054】
先ず、前記遠隔操作装置17を前記アタッチメント18に装着し、前記角度測定装置1の操作部として使用する場合を説明する。尚、以下の説明では、前記表示部28を前記操作部として使用する場合を説明する。
【0055】
前記視準望遠鏡10を通して撮像された画像が、前記表示部28に表示される。作業者は、該表示部28に表示された画像に基づき該表示部28上から測定点を選択し、該測定点に前記視準望遠鏡10が視準する様に前記表示部28を通して、水平回転、鉛直回転の指示を与え前記視準望遠鏡10を測定点に視準させ、測距、測角を実行する。或は、前記表示部28から、測定条件、例えば測定間隔、測定範囲等を入力し、与えた測定条件で自動測定を実行させる。
【0056】
測定の実行指令で、前記光波距離計13が駆動され、測距データが取得され、又前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15の検出結果に基づき測角データが取得される。
【0057】
又、測定個所、或は測定範囲の画像が必要な場合は、前記第1撮像部11で取得された画像が測定結果に関連付けられて、前記第1記憶部22に格納される。
【0058】
次に、前記遠隔操作装置17を前記アタッチメント18から取外し、前記遠隔操作装置17により遠隔操作をする場合を説明する。
【0059】
前記視準望遠鏡10の視準方向は、前記鉛直角検出器15及び前記第1方向角センサ25によって検出され、又前記第2撮像部36の視準方向(以下第2視準方向)は前記鉛直センサ33、前記第2方向角センサ34によって検出される。前記鉛直センサ33、前記第2方向角センサ34によって検出された前記第2撮像部36の視準方向のデータが前記第2通信部35を介して前記第1通信部27に送信される。
【0060】
前記第1演算制御部21は、該第1通信部27によって受信された第2視準方向と前記第1方向角センサ25、前記鉛直角検出器15によって検出された視準方向(以下第1視準方向)とを比較し、偏差がある場合は、偏差を解消する様に、前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12を駆動し、前記望遠鏡部9を水平方向、鉛直方向に所定角度回転する。
【0061】
偏差が0となった状態では、前記表示部28で表示される画像が前記視準望遠鏡10で視準した方向の画像となる。又、前記表示部28の中心を前記第2撮像部36の視準点とすると、前記視準望遠鏡10で視準している点は、前記表示部28の中心となる。
【0062】
尚、前記第1方向角センサ25、前記鉛直角検出器15、前記鉛直センサ33、前記第2方向角センサ34の検出結果には、誤差が含まれるので、前記視準望遠鏡10の視準方向と前記第2撮像部36の視準方向を高精度に合致させるには、前記第1撮像部11で取得した画像と前記第2撮像部36で取得した画像間で画像マッチングを行う。画像マッチングで得られる両画像間の偏差を用いて前記視準望遠鏡10の視準方向を微調整すれば、前記第1視準方向と前記第2視準方向の完全な一致が得られる。
【0063】
前記第1視準方向と前記第2視準方向の完全な一致が得られた時点で、前記角度測定装置1と前記遠隔操作装置17との関係を0セット(基準状態として設定)する。
【0064】
次に、作業者が測定したい点(測定点)を目視で選択し、前記表示部28の画像を見ながら、前記第2撮像部36を測定点に向ける。
【0065】
前記遠隔操作装置17の動きは、前記第2方向角センサ34、前記鉛直センサ33によって連続的に検出されており、検出結果はリアルタイムで前記第2通信部35より前記第1通信部27に送信され、前記第1演算制御部21は前記第1通信部27が受信した前記第2方向角センサ34、前記鉛直センサ33の検出結果に基づき、前記第2撮像部36の視準方向を演算し、演算した結果に基づき前記水平回転駆動部6、前記鉛直回転駆動部12を駆動し、前記望遠鏡部9の視準方向を前記遠隔操作装置17の動きにリアルタイムで追従させる。
【0066】
即ち、作業者が前記表示部28の画像を見て、画像中で測定点を選択すると、画像に表示されたレチクルを前記測定点に合致させ測定を開始する。尚、上記した様に前記表示部28に表示させるものは、前記第1撮像部11で取得した第1画像、前記第2撮像部36で取得した第2画像のいずれかを選択できるので、最初視野角の大きい前記第2画像を表示させて測定点の選択を行い、次に測定点へ視準させる際には倍率の大きい第1画像を表示させる様にしてもよい。
【0067】
又、前記表示部28を例えば上下に分割し、上側に視野角の大きい第2画像を表示させ、下側に視野角の小さい第1画像を表示させ、前記遠隔操作装置17の向きを変えた場合、或は前記遠隔操作装置17を移動した場合に、前記望遠鏡部9の動きが追従する様子を確認する様にしてもよい。或は、第1画像と第2画像とは視野角が異なる(第1画像の視野角が小さい)ので、第1画像と第2画像を上下に同時に表示し、第1画像が第2画像のどの部分に当るかを確認する様にしてもよい。
【0068】
測定点に視準されると、前記表示部28から測定開始の指令を入力する。測定開始の指令は前記第2通信部35より前記第1通信部27に送信され、該第1通信部27は受信した指令を前記第1演算制御部21に入力し、該第1演算制御部21は前記光波距離計13による測距、前記水平角検出器14、前記鉛直角検出器15からの信号に基づき測角を実行する。
【0069】
所定の範囲を自動測定する場合、或はパノラマ写真を撮る場合等では、前記表示部28から自動測定する条件を入力し、或はパノラマ写真を撮る条件を入力すると、入力された条件は前記角度測定装置1に送信され、更に、実行の指令を入力することで自動測定、或は自動撮影が実行される。
【0070】
尚、上記した光波距離計13は市販のものを、アタッチメントを介して取付ける様にしてもよい。更に、前記遠隔操作装置17には携帯端末(例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC)を用いてもよい。市販の光波距離計、携帯端末を用いることで簡便に、而も安価に角度測定装置を構成することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 角度測定装置
8 鉛直回転軸
9 望遠鏡部
10 視準望遠鏡
11 第1撮像部
12 鉛直回転駆動部
13 光波距離計
14 水平角検出器
15 鉛直角検出器
16 本体制御装置
17 遠隔操作装置
18 アタッチメント
21 第1演算制御部
22 第1記憶部
24 傾斜センサ
25 第1方向角センサ
26 操作部
27 第1通信部
28 表示部
31 第2演算制御部
32 第2記憶部
33 鉛直センサ
34 第2方向角センサ
35 第2通信部
36 第2撮像部
図1
図2
図3
図4
図5