【実施例1】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の一例を図面を参照して説明する。図中12はベースを示しており、このベース12は前方から後方にかけて、徐々に高さを小さくした板状体となっており、全体を握持した際に紙葉束を受け入れ易いように後方に向けてやや傾斜するものとしており、片手で綴る作業を行ない易くしている。
【0015】
このベース12は前方寄りの上面に後述するニードル11、11の先端を受け入れる受穴12a、12aが形成されるとともに、中程から後方にかけてサイド寄りに平行の一対のスリット12b、12bが形成され、そのスリット12b、12bの中程外寄りには後述するベーススタンド15の立壁に形成された係合用の切り起こし片を係合する係合用段部12c、12cが形成されている。また、スリット12b、12b間には後述するマガジン20(レール21)との間で弾設されるコイルスプリング22の下端を受ける受穴12dが形成され、裏面にはベーススタンド15をねじ13で止着するためのねじ穴12e、12eが形成され、ベーススタンド15が嵌装される段部12fが形成されている。
【0016】
図中15はベース12の下面に嵌め付けられ、ねじ13でベース12に止着されるベーススタンドである。このベーススタンド15は両サイドに合同形をした相対向する立壁15a、15aが形成され、この立壁15a、15aがベース12のスリット12b、12bに下方から挿入される。この立壁15a、15aには外方に向けて切り起こし片15b、15bが形成され、係合用段部12c、12cと係合して抜け止めとなる。
【0017】
この立壁15a、15aは前方上部が突片となって形成されており、その突片部分の先端に、後述するレバー3の先端を枢支するピン19の挿通孔15cが穿設され、後端上部にはマガジン20と後述するハンドル1を一体的に枢支するピン24の挿通孔15dが形成されている。また、前方寄り中程には後述するプロテクター9の後端を支持するスリット孔15eが形成されている。尚、この立壁15a、15aの前面下縁15fは対象となる紙葉束をセットする際のストッパーとして作用するが、必要に応じ、この前面下縁15fの位置は後方へずらすことも可能である。
【0018】
一方、図中1はハンドルを示している。このハンドル1は前面が弧状に形成され、上面を膨出部としてあり、その膨出部の後部に、後述するレバー3の後部を外方へ突出させるための透孔1aが形成されている。また、その透孔1aの後方内面にはマガジン20との間に弾設されるコイルスプリング25の上端を受ける受穴1bが形成され、後端寄りの内壁面にマガジン20と立壁15a、15aと一体的に枢支するピン24の端部受穴1c、1cが形成されている。
【0019】
また、膨出部の前方で上面内面には、後述するニードル11、11に挿通してステープルを押すスピンドル5のホルダー4の装着部1dが形成されている。この装着部1dは左右側壁内面に突出された対向する突片1e、1eと上面内面に突出された一対の突片1f、1fとより構成され、その突片1e、1e、1f、1f間にホルダー4を圧嵌入する構成となっている。
【0020】
さらに、このハンドル1の前方寄り下方の内面には後述するカバー6の後端で弦巻バネ7により附勢するためのボス1gが基端周囲に環状溝を形成して設けられている。
【0021】
図中3は操作用のレバーを、2はそのレバーの上面をカバーするレバーカバーを示している。レバー3は断面上向きコ字状をしており、その底面略中央には、ハンドル1から透孔1aを通って外方へ突出される部分の基部に、ハンドル1の天面を押圧する半球状としたボッチ3aが突出され、その前端寄り側面には立壁15a、15aの透孔15c、15c、及びプロテクター9の透孔とピン19で一体化枢支される透孔3bが形成されている。
【0022】
レバーカバー2はレバー3の上面を覆うように装着され、レバー3のねじ穴2a、2aに下方からねじを螺着することで一体的に止着される。このレバーカバー2の前方寄りの内面には先端をアール状とした一対の押圧片2b、2bが一体的に垂設されており、この押圧片2b、2bはレバー3の操作降下によって後述するマガジン20の上面を押し、これを押し下げる作用をする。2cは押圧片2b、2b間に設けられた補強リブである。なお、この押圧片2b、2bはスプリングで代替することもでき、押下げのタイミングを計ることもできる。スプリングとしてコイルのほか、板バネも使用可能で、ここにスプリングを使用すると前記したコイルスプリング25を不要とできる。
【0023】
図中20はステープルのアッセンブリが収容されるマガジンであり、このマガジン20は段面下向きコ字状とされ、その下面開放部にはレール部材21が装着される。このマガジン20の前方内部にはニードルホルダー10の収納部20aが設けられ、この収納部20aの両側内面にはニードルホルダー10の係合爪を受ける係合穴20bが形成されている。また、収納部20aの上方外面にはニードル11内に挿入される一対のスピンドル5の挿通ガイド20c、20cが設けられるとともに、上方からニードルホルダー10をねじ8で止着するためのねじ挿通孔20dが穿設されている。
【0024】
一方、マガジン20の後方寄り上面両側には立壁15a、15a及びハンドル1と一体化枢支するピン24を挿通する挿通孔20eを穿設したブラケット20fが一体に設けられている。また、そのブラケット20fの後方には、後述するノブ23の係合爪が係合されて着脱可能とされる係合孔20gが穿設されている。さらに、下縁寄り側壁内面にはレール部材の係合爪が係合されてスナップイン装着されるための係合穴20h、20hが形成され、レール部材21と対応してステープルの搬送ガイドを形成する一対の平行した突条20iが上面内側に垂設されている。
【0025】
図中21は、マガジン20の下方からスナップイン装着されるレール部材であり、マガジン20の係合穴20h、20hと係合する係合片21a、21a‥が両側面に形成されている。また、上面にはマガジン20の突条20i、20iと対応してステープルの搬送ガイドを構成する平行した一対の突条21b、21bが立設されている。さらに、その突条21b、21bの中間には前方寄りにステープルの位置ずれを補正する突起21cが突設されている。
【0026】
図中23は、マガジン20とレール部材21とによって構成されるステープルのアッセンブリの搬送路の後端開口を閉塞し、開放する開閉用ノブであり、このノブ23を外すことで搬送路内へステープルのアッセンブリを投入収容することとなる。このノブ23は上面に、先端を下方へ屈曲させて、マガジンの係合孔20gへ係合させる係止突部23aを一体に形成したバネ性を有する係合片23bを備えている。また、内面中央にはステープルのアッセンブリの搬送用のガイドとなるスピンドル18の後端を嵌合止着する受穴23cを形成するとともに、マガジン20の後端受凹部23dとレール部材21の後端受凹部23eが形成されている。このノブ23は係合片23bのバネ性を利用して係止突部23aをマガジン20の係合孔20gと着脱させる。
【0027】
また、図中9は、マガジン20及び後述するニードル11の前方を覆い、怪我等を防止するためのプロテクターであり、このプロテクター9は前面板9aと、その前面板9aの両側縁から後方に延設された平行な一対の側板9b、9bとより構成されている。この側板9b、9bの後端には各々外方へ屈曲された係合片9c、9cが一体に形成され、この係合片9c、9cを立壁15aの係合孔15eに係合することで止着する。
【0028】
さらに、側板9b、9bの上縁は一部膨出され、その膨出部分に立壁15aのピン19の挿通孔15c、15cと連通する挿通孔9cが穿設され、レバー3を枢支するピン19を挿通することで、より一層立壁15aとの一体化を強めている。
【0029】
図中6は前面をハンドル1の前面弧状と適合させ、そのハンドル1が沿って可動となる弧面としたカバーであり、このカバー6はその前面の両側縁から後方に向け、一対の扇形をした側板6aを有している。この側板6aの後端はハンドル1の内面に形成されたボス1gに嵌着され、そのボス1gの基端の環状溝に基部を嵌め付けられた弦巻バネ7の一端で側板6aの上端を押さえられて位置決めされている。弦巻バネ7の他端はスピンドルホルダー4の装着部1dを形成する突片1eに掛けられ、カバー6を附勢している。
【0030】
スピンドルホルダー4は略平板状に形成されており、その下部が、平行とし、上端を一体に連結したスピンドル5、5の基端の挿通部4aとなっており、この挿通部4aにはスピンドル5、5を通す透孔4b、4bが、周囲を同心円状に膨らませて形成されている。スピンドル5、5の上端連結部は本体内に埋設される。
【0031】
一対のスピンドル5、5はマガジン20の上面に形成された挿通ガイド20c、20cを挿通して、マガジン20内のニードルホルダー10に保持されている一対のニードル11、11の上部開口にその先端を対峙させている。
【0032】
図中10はニードルホルダーを示しており、このニードルホルダー10には上下方向に平行して一対の左右のニードル11、11が貫通保持される挿通部10a、10aが形成され、マガジン20の装着部20aに装着される際に、マガジン20の係合孔20b、20bに係合止着される爪片10b、10bが形成され、装着部20aの天面からねじ8で止着されるねじ穴10cが穿設されている。また、10dはステープルのフィーダーにおけるスピンドル18の先端が当接される凹部である。
【0033】
ニードル11、11は一対が左右対称となっており、
図15は右側となるニードル11を示している。このニードル11は左側のニードル11と対向する面に上下に連通するスリット11aが形成され、そのスリット11aと直角配置で上端にはホルダー10にあって回転を抑止され、位置決めするためのストッパフランジ11bが設けられている。
【0034】
また、ニードル11は相互に対向する方向に向けて、その先端を内側にやや屈曲させ、ステープルの係止ピンの戻り方向性を強制するようにしており、この先端部分で、スリット11aを形成する部分11cは弧状に削いだ状態とし、ステープルの係止ピンの排出を容易化している。
【0035】
図中18はマガジン20内に収容され、後端18aをノブ23の受穴23cに嵌着して支持されるスピンドルであり、このスピンドル18の周囲にはフィーダー17を附勢するコイルスプリング16が巻装されている。18bは、そのコイルスプリング16の後端を受けるストッパーである。また、18cはスピンドル18の先端で、ニードルホルダー10の凹部10d内に挿入され、当接される先端フランジである。
【0036】
さらに、図中17はスピンドル18を中心孔17aに挿通して、そのスピンドル18に沿い、コイルスプリング16で前方へ附勢され、収納されたステープルのアッセンブリを押し送りするフィーダーである。このフィーダー17は平面的に略H字状をしており、左右の、ステープルの係止ピンを押圧する平行な押圧片17b、17bとその押圧片17b、17bの中心で一体化する連結部17cとより成り、この連結部17cの中央に中心孔17aが形成されている。押圧片17b、17bはその前端でステープルを押し、後端でコイルスプリング16の附勢力を受けるものとなっている。
【0037】
また、
図34として示す100は使用するプラスチック製ステープルの一例を示す。このステープル100は左右に一対の係止ピン120、120を有し、その係止ピン120、120をフィラメント110で一体に連結してあるもので、係止ピン120、120の一部は脆弱な接続ピン130、130で図において前方、奥行方向に連続されたアッセンブリとして供給される。このステープル100はニードル11、11のスリット11a、11aに係止ピン120、120が送り込まれると、ニードル11、11の上方からスピンドル5によって押圧され、接続ピン130、130は切断されて単品として供給される。
【0038】
係止ピン120、120はニードル11、11内で押されながら下降し、ニードル11、11の先端が紙葉束Pを通過した時に、そのニードル11の形状で強制的に屈曲されて紙葉束Pの裏面で横向きとなり、フィラメント110との間で紙葉束Pを綴り込むこととなる。ここで、示すステープル100はあくまでも一例であり、フィラメント110の位置や接続ピン130、130の位置などはこだわるものではない。
【0039】
ここで、本実施例に係るステープラーの使用方法とその作用について説明する。まず、綴じようとする目的の紙葉束Pをベース12の前方上面とプロテクター9との間のスペースにセットする。その際、このスペースの高さは、綴じることの可能な紙葉束Pの厚さを想定してあり、挿し込み奥行きも立壁15aの前縁のストッパー15fで制約されるが、このストッパー15fはないものとしたり、スリットを形成する等して、制約のない機構とすることもできる。
【0040】
この状態でステープル100はニードル11、11のスリット11a、11a内にスプリング16で附勢されたフィーダー17によって送り込まれており、レバー3のハンドル1から突出された遊端をピン19を枢動軸として押し下げると、まず、レバー3に形成されたボッチ3aがハンドル1の上面を押し、スプリング25の附勢力に抗してハンドル1を押し下げる。次いで、スピンドルホルダー4の頭部もハンドル1の装着部1dが押し、スピンドル5、5をガイド20cからニードル11の上部開口へ挿入していく。この際、ハンドル1の前面板の内面をカバー6の前面に沿わせて下降していく。
【0041】
また、レバー3の押し下げ力は、押圧片2b、2bを介して、マガジン20の上面を押し、マガジン20をスプリング22の附勢力に抗して押し下げる。このマガジン20の下降に伴って、ニードルホルダー10に取り付けられたニードル11、11も下降していき、紙葉束Pに突き刺さる。尚、押圧片2b、2bは前記したようにスプリングでの代替もできる。
【0042】
さらに、強くレバー3を押し下げると、ニードル11、11は紙葉束Pを通過して、その先端がベース12の受穴12a、12aに入り、紙葉束Pを貫通する。続いて、スピンドル5、5で押し下げられたステープル100は係止ピン120、120がニードル11、11の形状に沿って屈曲され、紙葉束Pの裏面側でフィラメント110と平行状態となって排出され、この係止ピン120、120とフィラメント110によって紙葉束Pを綴ることとなる。このレバー3の押し下げ作業は複数のスプリング25、22、あるいは押圧部材として押圧片2b、2bに代わるスプリングが介在されて増強され、20枚程度の厚さがある紙葉束Pも十分にニードル11、11を通過させるパワーを得ることができる。
【0043】
また、ステープル100のアッセンブリは、マガジン20の後部開口に取り付けられたノブ23を外し、ノブ23とともにスピンドル18、コイルスプリング16及びフィーダー17を引き出し、レール部材21とともに形成された搬路に投入収容される。ステープル100のアッセンブリを収容後に、スピンドル18、コイルスプリング16及びフィーダー17をマガジン20内に挿し込み、スプリング16の附勢力に抗して、これを圧縮させて、再びノブを装着ロックすることでスタンバイ状態とできる。